| 【発明の名称】 |
モア装置駆動力伝動構造,モアケーシング,モアトラクタ及び車輌の走行系伝動構造 |
| 【発明者】 |
【氏名】井上 雄次
【氏名】過能 剣士郎
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| 【要約】 |
【課題】駆動源からモア装置における一対の回転軸へ駆動力を伝達するモア装置駆動力伝動構造であって、前記一対の回転軸への伝動効率を向上させることのできる構造簡単な動力伝動構造を提供する。
【解決手段】シャーシに配設された駆動源からの駆動力を、前輪及び後輪間における前記シャーシの下方に配設された,複数の回転軸を有するモア装置に伝達するモア装置駆動力伝動構造であって、前記駆動源に作動的に連結されたモア装置用主駆動軸を備え、前記主駆動軸と前記複数の回転軸のそれぞれとの間は軸連結されていることを特徴とするモア装置駆動力伝動構造。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 シャーシに配設された駆動源からの駆動力を、前輪及び後輪間における前記シャーシの下方に配設された,複数の回転軸を有するモア装置に伝達するモア装置駆動力伝動構造であって、前記駆動源に作動的に連結されたモア装置用主駆動軸を備え、前記主駆動軸と前記複数の回転軸のそれぞれとの間は軸連結されていることを特徴とするモア装置駆動力伝動構造。 【請求項2】 前記複数の回転軸は、前記シャーシの長手方向略同位置に配設された一対の垂直回転軸であり、前記主駆動軸は、前記シャーシの長手方向前方から後方に向かって駆動力を伝達するものであり、さらに、後端部が前記一対の垂直回転軸よりシャーシの長手方向前方で終焉し、前記主駆動軸と前記複数の回転軸のそれぞれとの間は、前端部が前記主駆動軸の後端部に連結され且つ後端部が前記一対の回転軸のそれぞれに連結される一対の伝動軸によって軸連結されていることを特徴とする請求項1に記載のモア装置駆動力伝動構造。 【請求項3】 前記主駆動軸は、シャーシの幅方向中央部においてシャーシの長手方向に沿って配設され、前記一対の伝動軸は、それぞれ、前端部がシャーシの幅方向中央寄りに位置し、且つ、後端部が前記前端部よりシャーシの幅方向外方且つ長手方向後方に位置していることを特徴とする請求項2に記載のモア装置駆動力伝動構造。 【請求項4】 互いに平行に配設された第1及び第2の垂直回転軸によって反対方向に回転駆動される第1及び第2の切削刃の回転軌道を囲繞すると共に、刈り取られた草の共通放出口が前記第1及び第2垂直回転軸間において該第1及び第2垂直回転軸を含む共通垂直平面に直交する方向に開くように形成されたモアケーシングであって、前記第1及び第2切削刃の上方に位置し、前記第1及び第2垂直回転軸を支持する上壁と、前記第1及び第2切削刃の回転軌道をそれぞれ囲繞するように、前記上壁から下方に延びる第1及び第2の外周円弧壁と、前記第1及び第2外周円弧壁よりそれぞれ径方向内方に位置する第1及び第2内方円弧部であって、前記第1及び第2外方円弧壁との共働下にそれぞれ刈り取った草の第1及び第2搬送空間を画する第1及び第2内方円弧部とを有し、第1及び第2搬送空間は、第1及び第2切削刃の回転方向後流側において合流して前記共通放出口に連通しており、前記第1及び第2外周円弧壁の円弧中心は、それぞれ、前記第1及び第2垂直回転軸の軸心と略同一に位置し、前記第1内方円弧部の円弧中心は、前記第1垂直回転軸を含み且つ前記共通垂直平面に直交する第1垂直平面より、前記共通放出口から離間した位置にあり、前記第2内方円弧部の円弧中心は、前記第2垂直回転軸を含み且つ前記共通垂直平面に直交する第2垂直平面より、前記共通放出口から離間した位置にあることを特徴とするモアケーシング。 【請求項5】 前記共通放出口並びに前記第1及び第2内方円弧部の円弧中心は、前記共通垂直平面より前記第1及び第2切削刃の回転方向後流側に位置していることを特徴とする請求項4に記載のモアケーシング。 【請求項6】 前記第1搬送空間及び第2搬送空間は、それぞれ、前記第1切削刃及び第2切削刃の回転方向に沿って徐々に上方に拡径していることを特徴とする請求項4又は5に記載のモアケーシング。 【請求項7】 シャーシと、前記シャーシに支持された駆動源と、前記シャーシに支持された前輪と、前記シャーシに支持された駆動後輪と、草の放出開口がシャーシの幅方向範囲内に位置し且つ長手方向後方を向くように、前記前輪及び駆動後輪間において前記シャーシの下方に配設されたモア装置と、前記駆動後輪より前記シャーシの長手方向前方に備えられた分岐装置であって、一対の出力軸を有し、作動的に連結された前記駆動源からの駆動力を該一対の出力軸から分岐出力する分岐装置とを備え、前記駆動後輪は、互いに離間された一対の駆動車軸によって駆動されるように構成され、前記一対の後輪間に空間が形成されるように、前記一対の出力軸と前記一対の駆動車軸とがそれぞれ軸連結させられており、前記シャーシのうち前記後輪を支持する後輪支持部は、前記一対の駆動車軸をそれぞれ支持する一対の側壁と、該一対の側壁間に延びる上壁とを有し、前方及び後方が開口とされた中空箱形形状とされており、該後輪支持部は、前方開口が前記モア装置の放出開口に連通されるように、前記空間内に位置していることを特徴とするモアトラクタ。 【請求項8】 シャーシに配設された駆動源からの駆動力を、一対の駆動輪に伝達する車輌の走行系伝動構造であって、一対の出力軸を有し、作動的に連結された前記駆動源からの駆動力を該一対の出力軸を介して分岐出力する分岐装置を備え、前記分岐装置は、前記一対の駆動輪より前記駆動源に近接されており、前記分岐装置の一対の出力軸と一対の駆動輪の入力部とは、それぞれ、連動連結されていることを特徴とする車輌の走行系伝動構造。 【請求項9】 前記駆動輪は後輪であり、前記分岐装置は、シャーシの幅方向に沿って延びる一対の出力軸を有するデファレンシャルギア装置であり、前記一対の出力軸のシャーシ幅方向外方端部は、前記一対の駆動輪の入力部より、シャーシ幅方向中央寄りに位置していることを特徴とする請求項8に記載の車輌の走行系伝動構造。 【請求項10】 前記デファレンシャルギア装置の一対の出力軸と前記一対の駆動輪の入力部との間には、一対の走行系伝動軸が備えられており、前記走行系伝動軸と前記出力軸及び駆動輪の入力部との間はベベルギアによって連結されていることを特徴とする請求項9に記載の車輌の走行系伝動構造。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、モアトラクタ等の車輌における走行系伝動構造、ミッドマウントモアトラクタにおける草の排出構造、モアトラクタにおけるモア装置駆動力伝動構造、及びモアケーシングに関する。 【0002】 【従来の技術】モアトラクタ等の車輌に対しては、種々の要望が存在する。その一つに、設計の自由度向上や車輌のコンパクト化等の為に、自由空間の確保がある。例えば、モア装置をシャーシの長手方向中央に備えたミッドマウントモアトラクタにおいては、車輌のコンパクト化等の為に、前輪の間または後輪の間の何れか若しくは双方に草の排出経路が確保されることが望まれる。 【0003】又、複数の回転軸を有するモア装置を備える車輌にあっては、駆動源から前記複数の回転軸への駆動力伝動構造を簡単な構成で且つ効率良く構成することが望まれる。例えば、米国特許5,836,144号明細書には、プーリーを用いたベルト伝動によって一対の回転軸間の動力伝達を行うものが記載されているが、ベルトを使用した場合には、ベルトの張力調整機構が必要となり構成が複雑になる、ベルトが切断する危険性がある等の不都合がある。 【0004】さらに、前記モア装置に対しては、刈り取った草を効率良く排出し得ることが望まれる。この点に関し、例えば、特開昭58-129907号公報には、車輌幅方向に沿って平行に配置された一対の垂直軸と、該一対の垂直軸によってそれぞれ反対方向に回転させられる一対の切削刃と、該一対の切削刃の回転軌道を囲繞する一対の外周円弧壁を有するケーシングとを備えたモア装置において、前記一対の外周円弧壁の径方向内方にそれぞれ一対の内方円弧部を設け、該内方円弧部と外周円弧壁とにより一対の切削刃にそれぞれ対応した一対の草搬出空間を形成すると共に、該一対の搬出空間を前記一対の垂直軸間において合流させ且つ上方に徐々に拡径したものが記載されている。該公報に記載のものは、前記搬出空間の後流端側を上方に拡径させることにより、草の排出効率の向上を図ろうとするものであるが、搬出空間の幅が一定である為、十分に排出効率を向上させることができないものであった。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記問題点を解決するためになされたものであり、一対の前輪間又は一対の後輪間に自由空間を確保できる車輌を提供することを一の目的とする。 【0006】さらに、本発明は、駆動源から一対の駆動後輪へ駆動力を伝達する動力伝達構造であって、該一対の駆動後輪間に自由空間を確保できる車輌の走行系伝動構造を提供することを他の目的とする。 【0007】又、本発明は、駆動源からモア装置における一対の回転軸へ駆動力を伝達するモア装置駆動力伝動構造であって、前記一対の回転軸への伝動効率を向上させることのできる構造簡単な動力伝動構造をすることをさらに他の目的とする。 【0008】又、本発明は、一対の切削刃を備えたモア装置用のモアケーシングであって、草の排出効率を向上させ得る構造簡単なモアケーシングを提供することをさらに他の目的とする。 【0009】又、本発明は、一対の駆動輪間に自由空間を確保しつつ、該一対の駆動輪を安定に支持できるモアトラクタを提供することをさらに他の目的とする。 【0010】 【課題を解決するための手段】本発明は、前記目的を達成する為に、シャーシに配設された駆動源からの駆動力を、前輪及び後輪間における前記シャーシの下方に配設された,複数の回転軸を有するモア装置に伝達するモア装置駆動力伝動構造であって、前記駆動源に作動的に連結されたモア装置用主駆動軸を備え、前記主駆動軸と前記複数の回転軸のそれぞれとの間は軸連結されているモア装置駆動力伝動構造を提供する。 【0011】好ましくは、前記複数の回転軸は、前記シャーシの長手方向略同位置に配設された一対の垂直回転軸であり、前記主駆動軸は、前記シャーシの長手方向前方から後方に向かって駆動力を伝達するものであり、さらに、後端部が前記一対の垂直回転軸よりシャーシの長手方向前方で終焉し、前記主駆動軸と前記複数の回転軸のそれぞれとの間は、前端部が前記主駆動軸の後端部に連結され且つ後端部が前記一対の回転軸のそれぞれに連結される一対の伝動軸によって軸連結されているものとすることができる。 【0012】より好ましくは、前記主駆動軸は、シャーシの幅方向中央部においてシャーシの長手方向に沿って配設され、前記一対の伝動軸は、それぞれ、前端部がシャーシの幅方向中央寄りに位置し、且つ、後端部が前記前端部よりシャーシの幅方向外方且つ長手方向後方に位置しているものとすることができる。 【0013】又、本発明は、前記目的を達成する為に、互いに平行に配設された第1及び第2の垂直回転軸によって反対方向に回転駆動される第1及び第2の切削刃の回転軌道を囲繞すると共に、刈り取られた草の共通放出口が前記第1及び第2垂直回転軸間において該第1及び第2垂直回転軸を含む共通垂直平面に直交する方向に開くように形成されたモアケーシングであって、前記第1及び第2切削刃の上方に位置し、前記第1及び第2垂直回転軸を支持する上壁と、前記第1及び第2切削刃の回転軌道をそれぞれ囲繞するように、前記上壁から下方に延びる第1及び第2の外周円弧壁と、前記第1及び第2外周円弧壁よりそれぞれ径方向内方に位置する第1及び第2内方円弧部であって、前記第1及び第2外方円弧壁との共働下にそれぞれ刈り取った草の第1及び第2搬送空間を画する第1及び第2内方円弧部とを有し、第1及び第2搬送空間は、第1及び第2切削刃の回転方向後流側において合流して前記共通放出口に連通しており、前記第1及び第2外周円弧壁の円弧中心は、それぞれ、前記第1及び第2垂直回転軸の軸心と略同一に位置し、前記第1内方円弧部の円弧中心は、前記第1垂直回転軸を含み且つ前記共通垂直平面に直交する第1垂直平面より、前記共通放出口から離間した位置にあり、前記第2内方円弧部の円弧中心は、前記第2垂直回転軸を含み且つ前記共通垂直平面に直交する第2垂直平面より、前記共通放出口から離間した位置にあるモアケーシングを提供する。 【0014】好ましくは、前記共通放出口並びに前記第1及び第2内方円弧部の円弧中心は、前記共通垂直平面より前記第1及び第2切削刃の回転方向後流側に位置しているものとすることができる。 【0015】より好ましくは、前記第1搬送空間及び第2搬送空間は、それぞれ、前記第1切削刃及び第2切削刃の回転方向に沿って徐々に上方に拡径しているものとすることができる。 【0016】さらに、本発明は、前記目的を達成する為に、シャーシと、前記シャーシに支持された駆動源と、前記シャーシに支持された前輪と、前記シャーシに支持された駆動後輪と、草の放出開口がシャーシの幅方向範囲内に位置し且つ長手方向後方を向くように、前記前輪及び駆動後輪間において前記シャーシの下方に配設されたモア装置と、前記駆動後輪より前記シャーシの長手方向前方に備えられた分岐装置であって、一対の出力軸を有し、作動的に連結された前記駆動源からの駆動力を該一対の出力軸から分岐出力する分岐装置とを備え、前記駆動後輪は、互いに離間された一対の駆動車軸によって駆動されるように構成され、前記一対の後輪間に空間が形成されるように、前記一対の出力軸と前記一対の駆動車軸とがそれぞれ軸連結させられており、前記シャーシのうち前記後輪を支持する後輪支持部は、前記一対の駆動車軸をそれぞれ支持する一対の側壁と、該一対の側壁間に延びる上壁とを有し、前方及び後方が開口とされた中空箱形形状とされており、該後輪支持部は、前方開口が前記モア装置の放出開口に連通されるように、前記空間内に位置しているモアトラクタを提供する。 【0017】又、本発明は、前記目的を達成する為に、シャーシに配設された駆動源からの駆動力を、一対の駆動輪に伝達する車輌の走行系伝動構造であって、一対の出力軸を有し、作動的に連結された前記駆動源からの駆動力を該一対の出力軸を介して分岐出力する分岐装置とを備え、前記分岐装置は、前記一対の駆動輪より前記駆動源に近接されており、前記分岐装置の一対の出力軸と前記一対の駆動輪の入力部との間は、それぞれ、連動連結されている車輌の走行系伝動構造を提供する。 【0018】好ましくは、前記駆動輪は後輪であり、前記分岐装置は、シャーシの幅方向に沿って延びる一対の出力軸を有するデファレンシャルギア装置であり、前記一対の出力軸のシャーシ幅方向外方端部は、前記一対の駆動輪の入力部より、シャーシ幅方向中央寄りに位置しているものとすることができる。 【0019】より好ましくは、前記デファレンシャルギア装置の一対の出力軸と前記一対の駆動輪の入力部との間には、一対の走行系伝動軸が備えられており、前記走行系伝動軸と前記出力軸及び前記駆動輪の入力部との間はベベルギアによって連結されているものとすることができる。 【0020】 【発明の実施の形態】以下、本発明の一形態が適用されたモアトラクタ1について、添付図面を参照しつつ説明する。図1及び図2は、それぞれ、前記モアトラクタの伝動構造を模式的に示した概略側面図及び概略平面図である。 【0021】図1及び図2に示すように、モアトラクタ1は、シャーシ10と、前記シャーシに支持された駆動源20と、前記シャーシ10の前方及び後方にそれぞれ支持された一対の前輪30a,30b及び一対の後輪40a,40bと、前記前輪30及び後輪40間において前記シャーシ10の下方に配設されたモア装置50と、前記シャーシ10の後方に着脱自在に備えられた収集容器60とを備えている。なお、図1における符号90及び91は、それぞれ、ステアリング及びシートである。 【0022】前記モアトラクタ1は、センターディスチャージ方式を採用しており、スロア等の輸送機構やシャーシからはみ出す集草配管を不要とし、これにより、トラクタ自身の小型化及び低コスト化を図っている。即ち、モアトラクタ1においては、前記モア装置50における草の放出開口がシャーシの幅方向範囲内に位置し且つシャーシの長手方向後方を向くように該モア装置50が配設されている。そして、該モア装置50によって刈り取られた草が前記一対の後輪40a,40b間を通って前記収集容器60に収容されるようになっている。従って、スロア等の輸送機構が不要となると共に、シャーシから集草配管がはみ出ることがなく、これにより、トラクタ自身の小型化及び低コスト化が可能となっている。 【0023】ここで、モアトラクタ1における駆動源から一対の駆動輪に至る走行系伝動構造について説明する。図3は、モアトラクタ1における走行系伝動構造を示す為に該モアトラクタ1の構成部品の一部を省略した概略平面図である。又、図4は、前記走行系伝動構造の一部詳細断面図である。なお、前記モアトラクタ1においては、図1〜図4に示すように、一対の後輪40a,40bが駆動輪とされている。 【0024】走行系伝動構造は、駆動輪となる一対の後輪40a,40bをそれぞれ回転駆動させる一対の駆動車軸41a,41bと、一対の出力軸71a,71bを有し、作動的に連結された前記駆動源20からの駆動力を該一対の出力軸71a,71bを介して分岐出力するデファレンシャルギア装置70とを備えている。 【0025】該デファレンシャルギア装置70は、前記一対の出力軸71a,71bがシャーシ10の幅方向に沿って互いに離間する方向に延び、且つ、該一対の出力軸71a,71bが一対の駆動車軸より駆動源20に近接するように、配設されている。なお、本実施の形態においては、駆動源20がシャーシ10の前方に配設され且つ後車軸40が駆動車軸とされている為、前記一対の出力軸71a,71bは、後車軸41a,41bよりシャーシの長手方向前方に位置している。 【0026】又、前記モアトラクタ1においては、図1〜図4に示すように、走行系伝動構造の一部として、前記駆動源20とデファレンシャルギア装置70との間に、HST92及びギア式トランスミッション93が介挿されている。即ち、デファレンシャルギア装置70は、HST92及びギア式トランスミッション93を介して、前記駆動源20に連結されるようになっている。 【0027】前記走行系伝動構造は、さらに、前記デファレンシャルギア装置70の一対の出力軸71a,71bと前記一対の駆動車軸41a,41bとをそれぞれ連結する一対の走行系伝動軸80a,80bを備えている。 【0028】前記走行系伝動構造は斯かる構成により以下の効果を奏する。即ち、シャーシの幅方向に沿って互いに離間する方向に延びる一対の出力軸71a,71bを介して駆動源20からの駆動力を分岐出力するデファレンシャルギア装置70が、該一対の出力軸71a,71bが駆動車軸となる後車軸41より前方に位置するように、配設されると共に、前記一対の出力軸71a,71bと前記一対の駆動車軸41a,41bとの間が軸連結されているので、走行駆動車軸への駆動力伝達を確実に行いつつ、一対の後車軸40a,40b間に自由空間を確保することができる。従って、モアトラクタ1においては、前記モア装置50から送出される草が、後車軸41によって妨げられることなく、収集容器60に収容され得る。 【0029】なお、本実施の形態においては、センターディスチャージ型のモアトラクタを例に説明した為、前記自由空間を草の搬送経路として利用しているが、該自由空間は所望により適宜利用される。即ち、高床方式のトラクタ等の他の車輌においては前記自由空間は、堀取作業装置等の設置空間として利用される。 【0030】さらに、本実施の形態においては、HST92,ギア式トランスミッション93及びデファレンシャルギア装置70を、シャーシの幅方向略中央において、シャーシの長手方向に沿って配設している。即ち、走行系伝動構造の構成要件のうち駆動力が分岐されるまでの構成要件を、シャーシの幅方向略中央に配設している。斯かるモアトラクタにおいては、シャーシの長手方向に沿って配設されたHST〜デファレンシャルギア装置の両側に運転者のステップ位置11a,11bを設けることができる(図3等参照)。従って、運転者のステップ位置11a,11bの垂直位置を下げることができ、これにより、車高を抑えて、車輌重心を下げると共に車輌のコンパクト化を図ることができる。 【0031】次に、モア装置50から収集容器60への草の搬送経路について詳細に説明する。前述のように、モアトラクタ1においては、一対の後輪間における自由空間が草の搬送経路の一部を形成している。具体的には、前記自由空間に、シャーシ10の一部をなす後輪支持部12が配されており、該後輪支持部12が草の搬送経路の一部を形成するようになっている。 【0032】図5(a)〜(c)は、それぞれ、前記後輪支持部12の正面図、側面図及び背面図である。図4に示すように、前記後輪支持部12は、前記一対の駆動車軸(本実施の形態においては後車軸41a,41b)をそれぞれ支持する一対の側壁12a,12aと、該一対の側壁12a,12a間に延びる上壁12b及び底壁12cとを有し、前方及び後方が開口とされた中空箱形形状とされている。 【0033】そして、図1等の示されるように、後輪支持部12は、前方開口がモア装置50の放出開口に連通され、且つ、後方開口が収集容器60に連通されるようになっている。このように、前記モアトラクタ1においては、シャーシ10の一部をなす後輪支持部12によって駆動車軸である後車軸41a,41bを支持すると共に、該後輪支持部12を前後に開口する中空形状としたので、後車軸41a,41bを安定的に支持しつつ、モア装置50から収集容器60への搬送経路を形成することができる。 【0034】なお、好ましくは、前記後輪支持部12の後端部近傍にシャーシ幅方向に沿った枢支軸12dを設け、前記底壁12cを該枢支軸12d回りに揺動可能に構成することができる。このように構成することによって、モア装置50から送出される草が後輪支持部12内に滞留した場合に、該滞留した草を容易に収集容器60へ移送させることができる。 【0035】次に、前記モア装置50について説明する。図6は、モア装置50付近を示す平面図であり、図1におけるA−A線に沿って視た図である。又、図7は、図6における一部詳細断面図である。さらに、図8(a)及び(b)は、それぞれ、前記モア装置50におけるモアケーシングの側面図及び底面図であり、図9は、図8(b)におけるB−B線矢視図である。 【0036】前記モア装置50は、互いに平行に配設された第1及び第2の垂直回転軸51a,51bと、該第1及び第2垂直回転軸51a,51bによって反対方向に回転駆動される第1及び第2切削刃52a,52bと、該第1及び第2切削刃52a,52bの回転軌道52a′,52b′を囲繞すると共に、刈り取られた草の共通放出口50aが、前記第1及び第2垂直回転軸51a,51b間において、該第1及び第2垂直回転軸51a,51bを含むと共通垂直平面150に直交する方向に開くように形成されたモアケーシング53とを備えている。 【0037】図6及び図7に示すように、本実施の形態においては、前記第1及び第2垂直回転軸51a,51bがシャーシ幅方向に沿って配設されており、従って、モアケーシング53の放出開口50aはシャーシの長手方向後方に開いている。なお、本実施の形態においては、モア装置50のシャーシ幅方向長さを短縮させるべく、前記第1及び第2切削刃52a,52bは、互いの回転軌道52a′,52b′一部がオーバーラップするようになっている。従って、第1及び第2切削刃52a,52bの接触を防止すべく、前記第1及び第2垂直回転軸51a,51bは同期回転させられる。なお、図6及び図8(b)中の矢印は、第1及び第2切削刃52a,52bの回転方向である。 【0038】前記モアケーシング53は、前記第1及び第2切削刃52a,52bの上方に位置し、前記第1及び第2垂直回転軸51a,51b支持する上壁54と、前記第1及び第2切削刃52a,52bの回転軌道をそれぞれ囲繞するように、前記上壁から下方に延びる第1及び第2の外周円弧壁55a,55bと、前記第1及び第2外周円弧壁55a,55bよりそれぞれ径方向内方において垂直方向に延びる第1及び第2内方円弧部56a,56bとを備えている。 【0039】前記第1内方円弧部56a及び第1外方円弧壁55aは、第1切削刃52aによって刈り取られた草を前記放出開口50aに案内する第1搬送空間57aを形成している。他方、前記第2内方円弧部56b及び第2外方円弧壁55bは、第2切削刃52bによって刈り取られた草を前記放出開口50aに案内する第2搬送空間57bを形成している。なお、前記第1及び第2搬送空間57a,57bは、図8(b)に良く示されるように、第1及び第2切削刃52a,52bの回転方向後流側において合流し、その後、前記放出開口50aに連通するようになっている。 【0040】図8(b)に示すように、前記第1及び第2外周円弧壁55a,55bの円弧中心55A,55Bは、それぞれ、前記第1及び第2垂直回転軸51a,51bの軸心と略同一に位置されている。 【0041】一方、前記第1内方円弧部56aの円弧中心56Aは、前記第1垂直回転軸51aを含み且つ前記共通垂直平面150に直交する第1垂直平面151より幅方向外方、即ち、第1垂直平面151より前記共通放出口50aから離間した位置に配置されている。 【0042】同様に、前記第2内方円弧部56bの円弧中心56Bは、前記第2垂直回転軸51bを含み且つ前記共通垂直平面150に直交する第2垂直平面152より幅方向外方、即ち、第2垂直平面152より前記共通放出口50aから離間した位置に配設されている。 【0043】このように、第1及び第2内方円弧部56a,56bの円弧中心56A,56Bを、対応する外方円弧壁55a,55bの円弧中心55A,55Bから幅方向外方へ偏心させることによって、第1及び第2搬送空間57a,57bの水平方向幅を切削刃の回転方向に沿って徐々に拡径させることができる。即ち、図6(b)に示すように、斯かる構成によって、第1搬送空間57a及び第2搬送空間57bは、基端側から切削刃の回転方向後流へ向かって徐々に断面積が拡大して行き、そして両搬送空間が合流してから放出開口50aに連通されるようになっている。従って、第1及び第2切削刃52a,52bによって刈り取られた草をスムースに放出開口から放出することが可能となっている。 【0044】好ましくは、図8(b)に示すように、前記第1及び第2内方円弧部56a,56bの円弧中心56A,56Bを前記共通垂直平面150より後方側に配設させることができる。このように構成することによって、第1及び第2搬送経路57a,57bの断面積を基端側から切削刃の回転方向後流側に向かって徐々に拡大させつつ、第1及び第2内方円弧部56a,56bの基端側開始点を、前記共通垂直平面150より後方側に配置させることが可能となる。従って、第1及び第2搬送経路57a,57bの周方向長を長くすることが可能となり、第1及び第2切削刃52a,52bによって刈り取られた草をよりスムースに放出開口50aから放出することが可能となる。 【0045】さらに好ましくは、上壁54のうち,第1及び第2搬送空間57a,57bに対応する部分を、基端側から上方に徐々に拡径させることができる(図8(a)及び図9等参照)。このように構成することによって、第1及び第2搬送経路57a,57bの基端側から後流側への断面積の拡大率を大きくすることができ、草の搬送をよりスムースに行うことが可能となる。 【0046】なお、本実施の形態においては、内方円弧部を上壁から下方へ延在させるように構成したが、これに代えて、図10に示すように、上壁の一部が内方円弧部を形成するように上壁を成形することも可能である。 【0047】次に、駆動源20からモア装置50への駆動力伝動構造について、図1,図6及び図7を参照しつつ説明する。前記モアトラクタ1におけるモア装置駆動力伝動構造は、前記駆動源20に作動的に連結されたモア装置用主駆動軸101と、該主駆動軸101と前記モア装置50における第1及び第2垂直回転軸51a,51bのそれぞれとを連結する第1及び第2伝動軸102a,102bとを備えている。 【0048】図1,図6及び図7に示すように、前記主駆動軸101は、前端部が、シャーシ10の前方の配設された駆動源20にプーリー等の適宜の動力伝達機構を介して作動的に連結されており、シャーシ20の長手方向前方から後方へ向かって駆動力を伝達するようになっている。 【0049】さらに、前記主駆動軸101は、後端部が前記第1及び第2垂直回転軸51a,51bよりシャーシの長手方向前方に位置するように配設されている。本実施の形態においては、前記モアケーシング53の上面に分岐装置110を設け、該分岐装置110に前記主駆動軸101の後端部を支持させている。なお、前記分岐装置110は、モアケーシング53の第1及び第2外方円弧壁53a,53bの合流点55X近傍又は該合流点55Xより前方に設けることが好ましい。このように配置させることによって、該分岐装置110が、モアケーシング53の上壁54における第1及び第2搬送経路57a,57bに対応する部分を上方に拡径させた場合の妨げとなることが防止される。 【0050】前記第1及び第2伝動軸102a,102bは、伝動方向に沿って視た場合に互いに反対方向に同期回転するように、前記主駆動軸に連結されている。本実施の形態においては、前記主駆動軸101の後端部に駆動側ベベルギア103を相対回転不能に支持させ、他方、第1及び第2伝動軸102a,102bの前端部にそれぞれ前記駆動側ベベルギア103に噛合する第1及び第2従動側ベベルギア104a,104bを相対回転不能に支持させており、これにより、第1及び第2伝動軸102a,102bが反対方向に同期回転するようになっている。 【0051】このように、本実施の形態においては、前記主駆動軸101と第1及び第2垂直回転軸51a,51bとの間を軸伝動させているので、確実に且つ効率良く第1及び第2垂直回転軸51a,51bの回転制御を行うことができる。 【0052】即ち、駆動源に作動的に連結された主駆動軸と第1及び第2垂直回転軸との間をプーリー及びベルトを介して連結させると、該ベルトの張力調整が必要となり、構成が複雑となると共に煩雑なメンテナンスが必要となるという問題が生じる。さらに、ベルトの滑り等が生じ易いという問題もある。 【0053】これに対し、本実施の形態においては、主駆動軸101と第1及び第2垂直回転軸51a,51bとの間を軸連結させているので、確実に且つ効率良く第1及び第2垂直回転軸を同期回転させることができる。 【0054】 【発明の効果】本発明に係るモア伝動構造によれば、駆動源に作動的に連結されたモア装置用主駆動軸と、モア装置における複数の回転軸との間を軸連結するようにしたので、主駆動軸とモア装置回転軸との間の伝動を確実に且つ効率良く行うことができる。 【0055】又、本発明に係るモアケーシングによれば、切削刃によって刈り取られた草の搬送経路内方端を画する内方円弧部の中心を、前記搬送経路外方端を画する外周円弧壁の中心に対して、モアケーシングの幅方向外方且つ切削刃の回転方向に偏心させるように構成したので、前記搬送経路を切削刃の回転方向に従って徐々に水平方向に拡径させることができ、これにより、草の放出を効率良く行うことができる。 【0056】又、本発明に係るモアトラクタによれば、駆動輪となる一対の後輪を互いに離間された一対の後車軸によって駆動すると共に、シャーシのうち前記後輪を支持する後輪支持部を、前記一対の後車軸を支持する一対の側壁と、該一対の側壁間に延びる上壁とを有し、前方及び後方が開口とされた中空箱形形状としたので、一対の後輪間に自由空間を形成しつつ、該一対の後輪を安定的に支持することができる。 【0057】さらに、本発明に係る走行系伝動構造によれば、作動的に連結された駆動源からの駆動力を一対の出力軸を介して分岐出力する分岐装置を、一対の駆動輪の入力部より、駆動源に近接して配置させ、さらに、前記分岐装置の一対の出力軸と前記一対の駆動輪の入力部とを連動連結させるように構成したので、前記駆動輪への伝動効率を維持しつつ、一対の駆動輪間に自由空間を確保することができる。従って、例えば、ミッドマウントモアトラクタ等に斯かる走行系伝動構造を適用すれば、駆動輪への伝動効率を維持しつつ、一対の駆動輪間に刈芝の十分な放出空間を確保できる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000005164 【氏名又は名称】セイレイ工業株式会社
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| 【出願日】 |
平成12年5月22日(2000.5.22) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100074332 【弁理士】 【氏名又は名称】藤本 昇 (外1名)
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| 【公開番号】 |
特開2001−327211(P2001−327211A) |
| 【公開日】 |
平成13年11月27日(2001.11.27) |
| 【出願番号】 |
特願2000−150137(P2000−150137) |
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