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【発明の名称】 後進走行報知可能な移動農機
【発明者】 【氏名】江田 秀弥

【氏名】石橋 俊之

【要約】 【課題】走行機体の後進走行を報知する後進走行報知可能な移動農機を提供することを課題としている。

【解決手段】前進及び後進に走行方向が変更可能な走行機体2の後進走行及び後進走行可能状態を音響報知する後進報知音響手段が、少なくともホーン用のホーン音響手段により発音せしめられるホーンと異なる発音を出力せしめ、且つ作業走行時の後進走行及び後進走行可能状態時と非作業走行時の後進走行及び後進走行可能状態時とで異なる発音のパターンを出力せしめる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 前進及び後進に走行方向が変更可能な走行機体(2)を備えるとともに、後進走行及び後進走行可能状態を音響報知する後進報知音響手段とホーン用のホーン音響手段とを備え、圃場での作業走行と作業時以外の非作業走行とを行う移動農機において、上記後進報知音響手段が少なくともホーンと異なる発音を出力せしめ、且つ作業走行時の後進走行及び後進走行可能状態時と非作業走行時の後進走行及び後進走行可能状態時とで異なる発音のパターンを出力せしめる後進走行報知可能な移動農機。
【請求項2】 後進報知音響手段とホーン音響手段とが1個の音響発生手段からなる請求項1の後進走行報知可能な移動農機。
【請求項3】 音響の発音部(18)を走行機体(2)の前後方向の略中央部近傍又は後半部に、走行機体の側方側に向けて配置した請求項1又は2の後進走行報知可能な移動農機。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明はコンバイン等の後進走行報知可能な移動農機に関する。
【0002】
【従来の技術と発明が解決しようとする課題】従来前進及び後進に走行方向が変更可能な走行機体を備え、後進走行及び後進走行可能状態を音響報知する後進報知音響手段とホーン用のホーン音響手段とを備え、圃場での作業走行と作業時以外の非作業走行とを行うコンバイン等の移動農機が知られていが、一般的に後進報知音響手段とホーン音響手段とはそれぞれ独立した機構となっており、ホーンと後進報知音響手段のバックブザー等がそれぞれ設けられ、コスト高であるほか、バックブザーが比較的聞き取り難い場合があるという欠点があった。
【0003】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するための本発明の後進走行報知可能な移動農機は、前進及び後進に走行方向が変更可能な走行機体2を備えるとともに、後進走行及び後進走行可能状態を音響報知する後進報知音響手段とホーン用のホーン音響手段とを備え、圃場での作業走行と作業時以外の非作業走行とを行う移動農機において、上記後進報知音響手段が少なくともホーンと異なる発音を出力せしめ、且つ作業走行時の後進走行及び後進走行可能状態時と非作業走行時の後進走行及び後進走行可能状態時とで異なる発音のパターンを出力せしめることを第1の特徴としている。
【0004】また後進報知音響手段とホーン音響手段とが1個の(共通の)音響発生手段からなることを第2の特徴としている。
【0005】さらに音響の発音部18を走行機体2の前後方向の略中央部近傍又は後半部に、走行機体の側方側に向けて配置したことを第3の特徴としている。
【0006】
【発明の実施の形態】図1,図2は移動農機であるコンバインの平面及び側面図であり、クローラ式の走行装置1に走行機体2が支持せしめられており、従来同様該走行機体1の前方に前処理部3が昇降自在に支持されていると共に、後方側に脱穀部4が設けられており、前処理部3の後方には座席6を備えた運転席7が設けられている。そして該運転席7内には座席6の前方及び側方側にコンバインの操作部8が設けられており、オペレータが運転席7(座席6)に着座して操作部8を操作することでコンバインを操縦することが可能となっている。
【0007】例えば刈取穀稈のある圃場を前処理部4及び脱穀部3を作動させるとともに、前処理部3を下降させ、走行装置1により走行機体2を走行させることで、前処理部3により穀稈を刈り取り、この刈り取った穀稈を脱穀部4側に送り、脱穀部4で脱穀処理を行う作業走行や、前処理部3及び脱穀部4を停止又は前処理部3を停止(脱穀部4は作動)させた状態で、走行装置1により走行機体2を走行させる非作業走行等が可能となっている。
【0008】このとき上記操作部8として、運転席7の側方に走行機体2(コンバイン)の走行速度及び走行方向(前進又は後進)を設定変更(変速)する主変速レバー9がレバーガイド11にガイドされて前後及び左右揺動自在に設けられており、主変速レバー9をレバーガイド11に沿って揺動させることで走行機体2を変速して走行させることが可能となっている。
【0009】また操作部8として前処理部3の作動を入切り操作する刈取クラッチレバー12と脱穀部4の作動を入切り操作する作業機クラッチレバー13とが設けられており、両クラッチレバー12,13により前処理部3と脱穀部4の作動を入切りすることが可能となっている。なお刈取クラッチレバー12と作業機クラッチレバー13とは連係動作するように構成されており、少なくとも脱穀部4が停止した状態(作業機クラッチレバー13が切り状態)では前処理部3が作動しない(刈取クラッチレバー12が入り作動しない)ように構成されている。
【0010】一方主変速レバー9によりコンバイン(走行機体2)は、走行方向を前進又は後進(バック)に切換え変更可能であるが、これは旋回等のために走行機体2をバック(後進)させる必要があるためであり、前処理部3や脱穀部4を作動させたままの作業走行時のバック走行や前処理部3又は脱穀部4を停止させた非作業走行時のバック走行等が可能となっている。
【0011】このため主変速レバー9は従来公知のように前後揺動により走行機体2の前進走行速度を変速せしめる揺動範囲(前進変速範囲)と、前後揺動により走行機体2の後進走行速度を変速せしめる揺動範囲(後進変速範囲)と、左右揺動によりニュートラルを保つ揺動範囲(ニュートラル揺動範囲)とを備えており、前進変速範囲は前方への揺動にしたがって走行速度が上昇し、後進変速範囲は後方への揺動に従って走行速度が上昇するように設定されている。
【0012】そして前進変速範囲の最後端部と後進変速範囲の最前端部は走行速度が0(ニュートラル)となるように設定されており、ニュートラル揺動範囲は前進変速範囲の最後端部と後進変速範囲の最前端部との間を揺動(左右揺動)範囲としている。すなわち前進状態の走行機体2を後進に変更する場合は、主変速レバー9をいったん前進揺動範囲の最後端部に位置させ、ニュートラル状態として走行機体2を停止させ、その後ニュートラル揺動範囲を揺動させて主変速レバー9を後進変速範囲の最前端部のニュートラル位置に配し、後進揺動範囲を後方に揺動させることで行われる。
【0013】なおレバーガイド11は主変速レバー9の前進変速範囲の揺動をガイドする前後方向の前進ガイド部11Fと、主変速レバー9の後進変速範囲の揺動をガイドする前後方向の後進ガイド部11Bと、前進ガイド部11Fの後端部分(前進ニュートラルポジション)と後進ガイド部11Bの前端部分(後進ニュートラルポジション)とを左右方向に連結して主変速レバー9のニュートラル揺動範囲の揺動をガイドするニュートラルガイド部11Nとを備えている。
【0014】これにより主変速レバー9をレバーガイド11の各ガイド部11F,11B,11Nに沿って揺動させることで、前進変速範囲,ニュートラル揺動範囲,後進変速範囲を安定して容易に揺動させることができ、変速操作を容易に行うことが可能となっている。
【0015】またレバーガイド11側には主変速レバー9を後進ガイド部11Bに位置させ、走行機体2が後進可能な状態となるとONとなり、後進走行中常時ON状態を継続するバックスイッチ(バックSW)が設けられており、すなわち走行機体2が後進走行状態及び後進走行可能状態となるとバックSWがONとなる。
【0016】一方上記コンバインには図3に示されるように、コンバインの作動等を電子制御するためのマイコンユニット16等からなる制御部17が設けられており、該制御部17により扱ぎ深さ等が自動制御されるように構成されている。このとき上記マイコンユニット16の出力にはホーン音を出力する発音部であるスピーカ18が接続されていると共に、入力にはホーンスイッチ(ホーンSW)19が接続されており、ホーンSW19をONにすると、マイコンユニット16内に設けられ、ホーン用の音を発生せしめる音響発生部(音響発生回路)によりホーン用の音(音響)を生成せしめ、スピーカ18から出力せしめるように構成されている。
【0017】このときマイコンユニット16内にはホーンSW19がONとなると、ホーンSW19がONとなっている間継続してスピーカ18からホーン音を出力せしめるように音響発生部(マイコンユニット16)を作動させるソフトウエア又はハードウエア等からなるホーン音制御手段が設けられており、つまりホーンSW19,ホーン御制御手段,音響発生部,スピーカ18によりホーン音響手段が形成せしめられている。
【0018】また上記マイコンユニット16には前述のバックSW21と、作業機クラッチレバー13の入切りを検知する作業機クラッチSW22とが接続されており、前述のように走行機体2が後進可能状態となると、後述するように前述の音響発生部によりバック走行の警報音をホーン音から生成してスピーカ18から出力せしめるソフトウエア又はハードウエア等からなるバック音制御手段が設けられており、つまりバックSW21,作業機クラッチSW22,バック音御制御手段,音響発生部,スピーカ18により後進報知音響手段が形成せしめられている。
【0019】なお上記スピーカ18は走行機体2の略中央部近傍又は後半部に、走行機体2の側方側に向けて配置されており、発生される音(ホーン音やバック走行の警報音)が走行機体2の近傍にいる者等に比較的容易に届き、且つ作業者側には耳障りになることがないように設定されている。
【0020】また前述の作業機クラッチSW22は作業機クラッチレバー13が入り状態となるとONとなり、切り状態となるとOFFとなるように設定されており、すなわち作業機クラッチSW22がONとなると、コンバインの作業機である前処理部3と脱穀部4のうち、少なくとも脱穀部4が作動しているため、コンバインが作業状態であり、作業機クラッチSW22がOFFとなると、脱穀部4が停止しているため、前処理部3と脱穀部4が共に停止しており、コンバインは非作業状態であると判断することができる構造となっている。
【0021】次に上記バック音御制御手段の作動フローを図4のフローチャートに従って説明する。なおバック走行の警報音は図5(a),(b)に示されるようにホーン音を所定時間鳴らし、その後所定時間停止させるパターンをホーンの1周期として、前記パターンを走行機体2がバック(後進)走行時及びバック(後進)走行可能な状態にある時に繰り返すことで生成されるホーンの断続音として設定されている。
【0022】図4に示されるようにバック音制御手段は、まずステップS1においてバックSW21のON,OFFをチェックし、ONの場合はステップS2に進み、ステップS2においてホーンの1周期が完了したか否かをチェックする。そしてステップS2のチェックでホーンの1周期が完了している場合は、ステップS3に進み作業機クラッチSW22のON,OFFをチェックする。
【0023】そしてステップS3のチェックでON(つまりバックSWがONの状態で脱穀部4又は脱穀部4と前処理部3が動作している状態)の場合は、コンバインが作業状態でバック(後進)動作中又はバック(後進)開始が可能な状態と判断し、ステップS4に進み、図5(a)に示されるように作業時バック警報用のホーンの1周期における1周期の長さとオンタイム(1周期内におけるホーンを鳴らす時間)をセットして1周期分のホーンの作動を開始させ、フローをリターンする。つまりオンタイムと1周期長をセットすることで、オンタイムとオフタイム(1周期内におけるホーンを停止する時間)がセットされる。
【0024】またステップS3のチェックでOFF(つまりバックSW21がONの状態で脱穀部4又は脱穀部4と前処理部3が停止状態)の場合は、コンバインが非作業状態でバック動作中又はバック開始が可能な状態であると判断し、ステップS5に進み、図5(b)に示されるように非作業時バック警報用のホーンの1周期における1周期の長さとオンタイムをセットして1周期分のホーンの作動を開始させ、フローをリターンする。
【0025】一方ステップS2のチェックでホーンの1周期が完了していない場合は、ステップS6に進みホーンのオンタイムが終了しているか否か、すなわちホーンが鳴っているか否かをチェックし、オンタイムが終了していない場合、すなわちホーンが鳴っている場合は、ホーンON(作動)を継続させフローをリターンする。またステップS1でバックSW19がOFFの場合及びステップS6でホーンオンタイムが終了している場合、すなわちホーンが鳴っていない場合は、フローをリターンする。
【0026】なお作業時バック警報用のホーンの1周期におけるオンタイム(図5(a)のオンタイム)と非作業時バック警報用のホーンの1周期におけるオンタイム(図5(b)のオンタイム)、又は作業時バック警報用のホーンの1周期における1周期の長さ(図5(a)の1周期の長さ)と非作業時バック警報用のホーンの1周期における1周期の長さ(図5(b)の1周期の長さ)のいずれか一方(オンタイム又は1周期長)又は両方(オンタイム及び1周期長)は異なった長さに設定されるように構成されている。
【0027】またホーン制御手段は、バック音制御手段より優先して作動せしめられるように設定されており、ホーンSW19をONとすると上記バック音制御手段のフローにかかわらず(無関係に)ホーンが作動(ホーン音出力)させられる。
【0028】これにより主変速レバー9を後進変速範囲(後進ガイド部11B内)に位置させ、コンバインを後進させる(主変速レバー9を後進変速範囲におけるニュートラル部分以外に位置させる)、又は後進開始可能な状態に切り換える(主変速レバー9を後進変速範囲におけるニュートラル部分に位置させる)と、作業機である前処理部3又は脱穀部4を作動させた状態では、作業状態でのバックと判断され、ステップS4(図5(a))で設定されたホーンの周期とオンタイム時間で、主変速レバー9が後進変速範囲内に位置している間、ホーン音が断続して発音せしめられ、作業機を停止させた状態では、非作業状態でのバックと判断され、ステップS5(図5(b))で設定されたホーンの周期とオンタイム時間で、主変速レバー9が後進変速範囲内に位置している間、ホーン音が断続して発音せしめられる。
【0029】つまり作業状態でのバック(後進)時と非作業状態でのバック(後進)時とでは異なる発音のパターンでホーン音がスピーカ18から出力せしめられ、このとき両バック時のホーン音(バック走行の警報音)は断続音であるため、通常のホーン音(ホーンSW19がONの状態で連続(継続)して鳴る)とも異なる。このためホーン作動時,作業時の後進走行及び後進走行可能状態時,非作業時の後進走行及び後進走行可能状態時の各状態において、それぞれ異なるパターンのホーン音(後進警報音又は通常のホーン)の発音がスピーカ18から出力され、作業者及びコンバイン周辺の人等がコンバインの作動状態を容易に把握することができる。
【0030】また後進報知音響手段とホーン音響手段とが1個の共通の音響発生手段(マイコンユニット16内の音響発生部)から構成されるため、ホーンを鳴らすための音響システムが簡単でシンプルとなり、マイコンユニット16内の制御部(バック音制御部とホーン制御部)により作動を切り換えることで複数のパターンの制御も容易に行うこともできる。
【0031】特に非作業状態でのバック時のオンタイムより作業状態でのバック時のオンタイムを長くすることで、作業機の作動中の音が発生している場合でも作業状態でのバック時の警報音をより明瞭に聞き分けることができる。
【0032】なお前述のようにスピーカ18が走行機体2の前後方向の略中央部近傍又は後半部に、走行機体の側方側に向けて配置されているため、作業者側には比較的耳障りになることなく、且つコンバイン周辺の人には比較的容易にスピーカ18からの出力音(ホーン音)が届くため、作業者及びコンバイン周辺の人等がコンバインの作動状態を特に容易に把握することができる。
【0033】また上記実施形態においては、主変速レバー9を後進変速範囲に位置させることでバック走行の警報音が発せられる構造となっているが、例えばバックSW21を主変速レバー9が後進変速範囲におけるニュートラル部分以外に位置し、走行機体2が後進可能な状態で停止しているのではなく、実際に後進状態にある場合にONとなるようにレバーガイド11側に設けることにより、走行機体2が後進動作しているときにのみバック走行の警報音が発音されるように構成することができる。
【0034】これにより上記実施形態同様の効果を得ることができるほか、必要以上にバック走行の警報音が発せられることがないという利点も得ることができる。
【0035】
【発明の効果】以上のように構成される本発明の構造によれば、ホーン作動時,作業走行時の後進走行及び後進走行可能状態時,非作業走行時の後進走行及び後進走行可能状態時の各状態において、それぞれ異なるパターンの発音が出力されるため、作業者及び移動農機周辺の人等が移動農機の作動状態を容易に把握することができるという効果がある。
【0036】特に後進報知音響手段とホーン音響手段とが1個の音響発生手段から構成される場合、音響システムが簡単でシンプルとなる利点があり、またスピーカ等の音響の発音部を走行機体の前後方向の略中央部近傍又は後半部に、走行機体の側方側に向けて配置することで、作業者側には比較的耳障りになることなく、且つ移動農機周辺の人には比較的容易に出力音を届かせることができるという効果もある。
【出願人】 【識別番号】000001878
【氏名又は名称】三菱農機株式会社
【出願日】 平成12年5月8日(2000.5.8)
【代理人】 【識別番号】100081673
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 誠
【公開番号】 特開2001−314114(P2001−314114A)
【公開日】 平成13年11月13日(2001.11.13)
【出願番号】 特願2000−134948(P2000−134948)