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【発明の名称】 草刈機の旋回機構
【発明者】 【氏名】松本 明広

【氏名】山崎 栄二

【氏名】保崎 元治

【要約】 【課題】畦の法面等の傾斜部分の草刈作業を行う場合等、旋回させるときにハンドルを回動する操作が煩雑であった。

【解決手段】原動機により駆動される刈取部と左右の走行車輪17を有し、操縦部3に設けた旋回レバー4の操作により左右の走行車輪の回転方向を変更して旋回するように構成した草刈機において、原動機からの動力が伝達される駆動軸110Mの両側に、クラッチを介して出力軸110L・110Rを設け、旋回レバーの操作によりクラッチを作動させて旋回内側の出力軸を逆転させるように構成し、原動機からの動力が伝達される駆動軸と平行に逆転駆動軸120を設け、該駆動軸と逆転駆動軸との間、及び、逆転軸と出力軸との間に、一方は同方向伝動手段、他方は逆転伝動手段を介装し、該同方向伝動手段と逆転伝動手段の間に、同方向回転と逆方向回転と中立を切り換えるクラッチを配置した。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 原動機により駆動される刈取部と左右の走行車輪を有し、操縦部に設けた旋回レバーの操作により左右の走行車輪の回転方向を変更して旋回するように構成した草刈機において、原動機からの動力が伝達される駆動軸の両側に、クラッチを介して出力軸を設け、旋回レバーの操作によりクラッチを作動させて旋回内側の出力軸を逆転させるように構成したことを特徴とする草刈機の旋回機構。
【請求項2】 原動機により駆動される刈取部と左右の走行車輪を有し、操縦部に設けた旋回レバーの操作により左右の走行車輪の回転方向を変更して旋回するように構成した草刈機において、原動機からの動力が伝達される駆動軸と平行に逆転駆動軸を設け、該駆動軸と逆転駆動軸との間、及び、逆転軸と出力軸との間に、一方は同方向伝動手段、他方は逆転伝動手段を介装し、該同方向伝動手段と逆転伝動手段の間に、同方向回転と逆方向回転と中立を切り換えるクラッチを配置したことを特徴とする草刈機の旋回機構。
【請求項3】 前記同方向回転と逆方向回転と中立を切り換えるクラッチを左右一対配置し、該左右のクラッチを操作するアームを連結杆で連結したことを特徴とする請求項2記載の草刈機の旋回機構。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、畦や農道等の草刈り作業を行う歩行型の草刈機に関するもので、特に、傾斜面の刈取作業に適した草刈機のハンドルの左右方向の回動操作を行う技術に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より畦や農道等の草刈り作業を行うために歩行型の草刈機が各種提案されている。例えば、特開平10−150824号や特開平10−210838号公報に開示されているように、従来の歩行型草刈機においては、走行輪の上方にエンジンとハンドルを配置し、この機体を操向操作するために設けられているハンドルは、左右方向及び上下方向に回動調整可能に構成されていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来技術において、作業工程の終端で草刈機を旋回させるためには、作業者がハンドルを握ったまま作業者自ら転回しつつ草刈機も旋回させて進行方向に向ける操作を必要としていた。特に、畦の法面等の傾斜部分の草刈作業を行う場合には、作業者が傾斜面でハンドルの角度を変更して旋回操作を行わなければならず、作業者が安定した状態で草刈作業を行うことが困難であり、作業能率の低下を招いている。このような問題点を解決するため、旋回時には機体本体に対してハンドルを左右上下とも自由回動状態とし、駆動車輪に作動するサイドクラッチ機構を用いて機体本体のみを旋回させる方法もあるが、ハンドルの左右方向と上下方向のロック解除もしくは旋回後の再ロックが同時に行われる機構を採用した場合、旋回動作もしくは進行方向の設定動作が操作者の意図するとおりとならない状態が生じていた。
【0004】
【課題を解決するための手段】以上が本発明の解決する課題であり、次に課題を解決するための手段を説明する。すなわち、請求項1記載の如く、原動機により駆動される刈取部と左右の走行車輪を有し、操縦部に設けた旋回レバーの操作により左右の走行車輪の回転方向を変更して旋回するように構成した草刈機において、原動機からの動力が伝達される駆動軸の両側に、クラッチを介して出力軸を設け、旋回レバーの操作によりクラッチを作動させて旋回内側の出力軸を逆転させるように構成した。
【0005】また、請求項2記載の如く、原動機により駆動される刈取部と左右の走行車輪を有し、操縦部に設けた旋回レバーの操作により左右の走行車輪の回転方向を変更して旋回するように構成した草刈機において、原動機からの動力が伝達される駆動軸と平行に逆転駆動軸を設け、該駆動軸と逆転駆動軸との間、及び、逆転軸と出力軸との間に、一方は同方向伝動手段、他方は逆転伝動手段を介装し、該同方向伝動手段と逆転伝動手段の間に、同方向回転と逆方向回転と中立を切り換えるクラッチを配置した。また、請求項3記載の如く、前記同方向回転と逆方向回転と中立を切り換えるクラッチを左右一対配置し、該左右のクラッチを操作するアームを連結杆で連結した。
【0006】
【発明の実施の形態】次に本発明の実施の形態を添付の図面を用いて説明する。図1は草刈機の全体側面図、図2は同じく平面図、図3は刈取部の正面図、図4は尾輪の回動構成を示す草刈機の平面図、図5はハンドル杆の取付部付近の構成を示す草刈機の部分平面図、図6は左右スライダの接続状態を示すミッションケース内の平面断面図、図7は左スライダの接続状態を示すミッションケース内の部分平面断面図、図8は同じく左旋回時における接続状態を示すミッションケース内の部分平面断面図、図9は左右スライダの切断状態を示すミッションケース内の平面断面図、図10は左スライダの切断状態を示すミッションケース内の平面断面図、図11はハンドル杆の取付部の側面図、図12は同じく平面図、図13はハンドル杆の取付部の平面図一部断面図、図14は旋回前におけるハンドル杆の取付部付近の平面図、図15は右旋回時におけるハンドル杆の取付部付近の平面図、図16はハンドル回転軸のスライダの構成を示すミッションケース内の側面断面図、図17はハンドル杆取付部付近に構成されたハンドル回動機構の安全装置の働きを示す平面断面図、図18は傾斜面での操作方法を示す草刈機の側面図、図19は同じく正面図である。
【0007】まず、草刈機1の全体概略構成について説明する。図1乃び図3に示すように、草刈機1の本機はミッションケース10上に原動機となるエンジン11またはモーターが配置され、該ミッションケース10は左右両側方に延出されている。ミッションケース10の左右中途部より下方に刈刃駆動軸12L・12Rを突出して刈刃13L・13Rをそれぞれ固定し、該刈刃13L・13Rの上方及び側方を刈刃カバー14にて覆って刈取部を構成している。
【0008】また、図2に示すように、前記ミッションケース10の両側にパイプ状の車軸ケース15L・15Rを形成し、該車軸ケース15L・15Rの外側に走行ケース16L・16Rの上部を固設し、該走行ケース16L・16Rを後下方へ突出している。図3及び図6に示すように、該走行ケース16L・16Rの下部に左右それぞれ車軸160L・160Rを横架し、該車軸160L・160Rにはチェーン163L・163R等を介して動力を伝達できるようにし、該車軸160L・160R上にそれぞれパイプ状の車輪17L・17Rを固設し、該車輪17L・17Rにはピン状のラグが半径方向に多数突出されている。
【0009】このようにして、前記エンジン11の出力軸がミッションケース10内に挿入されて、ミッションケース10内で変速されて、刈刃13L・13R及び車輪17L・17Rが駆動される構成とし、また、ミッションケース10内には操向切替手段として後述するスライダ112L・112R・122L・122Rを内装し、旋回操作レバー4の操作でスライダ112L・112R・122L・122Rの何れかを摺動させて、動力を断接して左右にハンドル30を回動させて旋回できるようにしている。
【0010】また、図2及び図4に示すように、前記ミッションケース10の左右両側前部に尾輪ロック機構20L・20Rが設けられ、該尾輪ロック機構20L・20Rよりアーム21L・21Rが左右回動可能に前方へ突出され、該アーム21L・21R前端にキャスター式の尾輪22L・22Rが装着されている。こうして、作業時には尾輪22L・22Rを装着したアーム21L・21Rを前方へ回動してロックし、移動時にはアーム21L・21Rを後方へ回動して移動を容易としている。そして、図1に示すように、前記ミッションケース10の左右中央より後方にハンドルベース23が突出され、該ハンドルベース23上にハンドル杆31が上下回動可能、且つ、左右回動可能に取り付けられる。該ハンドル杆31の後部に操作部3を設け、各種操作レバーを配置している。
【0011】次に草刈機1の左右旋回に係る動力伝達構成について説明する。図2及び図5に示すように、前記操作部3はハンドル30、レバー板33等により構成されている。ハンドル30はパイプを「0」字状に曲げた形状で、該ハンドル30をハンドル杆31後端部に横設する。前記ハンドル30において、その前部パイプ部にはハンドル上下レバー5を取り付け、また、その後部パイプ部にはグリップアクセル6を横設し、そして、前後両パイプ部の左右中央をレバー板33で架設し、該レバー板33に旋回操作レバー4、ストップスイッチ7等を配置する。前記旋回操作レバー4は、図5に示す平面視、E型のレバーガイド40に挿入され、該レバーガイド40の左右後端位置及び中央後端位置をそれぞれ左旋回操作位置40L、右旋回操作位置40R、ニュートラル(中立)位置40Nとする。尚、ニュートラル位置40Nは左右旋回操作位置40L・40Rよりも前方に配置され、また、該旋回操作レバー4を図示せぬバネで下方向に引っ張り、該バネの弾性により支点越えの原理を利用して、ニュートラル位置40Nと左右旋回操作位置40L・40Rと直進位置(前方へ倒した位置)に保持できるようにしている。
【0012】また、前記ハンドル杆31の前下方は、図5に示すように、連結杆101が横架され、該連結杆101の両端に左右シフタ102L・102Rを配設する。該シフタ102L・102Rは、平板状のプレートを、「へ」字状に形成し、その中央部を回動支点軸103L・103R上に固定する。そして、シフタ102Lの前端と旋回ワイヤ41Lとはバネ42Lを介して連結し、シフタ102Rの後端と旋回ワイヤ41Rとはバネ42Rを介して連結する。また、両旋回ワイヤ41L・41Rの他端には図示しないアームと連結して前記旋回操作レバー4と係合可能とする。前記シフタ102Lの後端とシフタ102Rの右端にそれぞれバネ43L・43Rに係止して旋回操作レバー4を直進位置方向に回動するように付勢している。
【0013】尚、両シフタ102L・102Rの後部には左右方向に長孔102b・102bが開口され、また、連結杆101の左右両端には下方に向けて図示せぬ凸部を設け、該凸部を該長孔102b・102bに嵌め込んでシフタ102L・102Rの回転範囲を規制している。つまり、後述するように、左右一側へ旋回するときに、一方のシフタ102が回動されたときに、他方のシフタ102は長孔102b・102bによって許容されて回動しないが、万一、シフタ102L・102Rの両方が回動されるようなことが生じたときは、中立位置までは回動できるが、それ以上は連結杆101が長孔102b・102bの端部に当たって回動が規制されて、一つの出力に対して正逆両方の駆動力が伝えられて、ギアやスプロケット等が破損しないように規制しているのである。
【0014】前記ミッションケース10内は図6に示すように、前記シフタ102L・102Rの下方の回動支点軸103L・103Rにはそれぞれシフタフォーク104L・104Rが固設され、該シフタフォーク104L(104R)とシフタ102L(102R)とは回動支点軸103L(103R)を中心に一体的に回動するようにしている。そして、シフタフォーク104L・104Rの前部下方には入力軸110を左右方向に横設し、該シフタフォーク104L・104Rの後部下方には逆回転駆動軸120を左右方向に横設し、入力軸110と逆回転駆動軸120が平行に配置される。また、両シフタフォーク104L・104Rの前後には、下方に向けてフォーク部104a・104bを突設する。
【0015】前記入力軸110は、左出力軸110Lと駆動軸110Mと右出力軸110Rとを同一軸心上に配置してそれぞれ回転自在に支持し、該駆動軸110Mの両端上にはスライダ112L・112Rをスプライン嵌合して配設し、該スライダ112L・112Rを左または右に摺動させることによって、左出力軸110Lと駆動軸110M、または、右出力軸110Rと駆動軸110Mとを連動連結可能して、左右のサイドクラッチを構成している。
【0016】すなわち、図6及び図7に示すように、前記スライダ112L・112Rは、スプライン溝内周部に有する円筒とし、外周に嵌合溝部を設けて前記シフタフォーク104L(104R)のフォーク部104aを嵌合させる。そして、スライダ112Lの右端及びスライダ112Rの左端にはそれぞれ爪状のクラッチ歯112c・112c・・・を設けている。一方、前記駆動軸110Mの左右両端部には左右方向に向けてスプライン110aが刻設され、該スプライン110aの延長上に、左出力軸110Lの右端部にはスプライン110cを、右出力軸110Rの左端部にはスプライン110dを刻設する。こうして、該スプライン溝とスプライン110a・110a・・・、または、スプライン110c(110d)とスプライン嵌合するようにしている。
【0017】前記駆動軸110Mにおいて、スライダ112Lの右側方にはスプロケット113を周設し、該スプロケット113の右側方にはウォームホィール118を周設し、また、スライダ112R左側方にはギア114を周設する。尚、該スプロケット113の基部113b、ギア114の基部114bと駆動軸110Mとの間は遊嵌状態とし、また、該スプロケット113の基部113bの左端には、爪状のクラッチ歯113c・113c・・・を凸設し、該クラッチ歯113c・113c・・・と前記スライダ112Lのクラッチ歯112c・112c・・・とを対向させて配置する。また、同様の構成で、該ギア114の基部114bの右端に爪状のクラッチ歯114c・114c・・・を凸設し、該クラッチ歯114c・114c・・・と前記スライダ112Rのクラッチ歯112c・112c・・・とを対向させて配置する。前記駆動軸110M上にはウォームホィール118が固設され、また、前記エンジン11の出力軸が下方に延設されてミッションケース10内に挿入され、該出力軸上にウォーム119が固設され、該ウォーム119がウォームホィール118と噛合してへエンジン11からの動力が伝達される構成としている。
【0018】そして、左出力軸110Lにおいて、その左端部に駆動スプロケット161Lを周設し、その右端部にギア115を周設する。また、右出力軸110Rにおいては、その左端部にはスプロケット116Lを周設し、その右端部には駆動スプロケット161Rを周設する。
【0019】また、前記逆回転駆動軸120の左右両端部にはそれぞれスライダ122L・122Rを配設する。該スライダ122L・122Rは、円筒状として外周上に嵌合溝部を形成し、該嵌合溝部に前記シフタフォーク104L(104R)のフォーク部104aを嵌合させる。また、スライダ122Lの左端及びスライダ122Rの右端にはそれぞれ爪状のクラッチ歯122c・122c・・・を凸設し、また、その内周面には左右方向に向けて図示せぬスプライン溝が刻設されている。
【0020】一方、該逆回転駆動軸120の左右両端部には左右方向に向けてスプライン120aが刻設され、前記スライダ122L(122R)の内歯は該スプライン120aとスプライン嵌合し、こうして、該スライダ122L(122R)は左右方向に摺動自在に構成されている。そして、逆回転駆動軸120の左端にはギア125を周設し、逆回転駆動軸120の右端にはスプロケット126を周設する。尚、該ギア125の基部125b、スプロケット126の基部126bと逆回転駆動軸120との間は遊嵌状態とし、また、該ギア125の基部125bの右端には、爪状のクラッチ歯125c・125c・・・を設け、該クラッチ歯125c・125c・・・と前記スライダ122Lのクラッチ歯122c・122c・・・とを対向させて配置する。また、同様の構成で、該スプロケット126の基部126bの左端に爪状のクラッチ歯126c・126c・・・を設け、該クラッチ歯126c・126c・・・と前記スライダ122Rのクラッチ歯122c・122c・・・とを対向させて配置する。そして、該ギア125と前記ギア115とを噛合させ逆転伝動手段とし、該スプロケット126と前記スプロケット116とをチェーン136により巻回して同方向伝動手段としている。
【0021】前記逆回転駆動軸120において、スライダ122Lの右側方にはスプロケット123を周設し、スライダ122Rの左側方にはギア124を周設し、該ギア124の左側方にはウォーム129を周設する。このとき、該スプロケット123と前記スプロケット113とをチェーン133により巻回して同方向伝動手段とし、また、該ギア124は前記ギア114と噛合して逆転伝動手段とする。上述のように、同方向伝動手段と逆転伝動手段の間にスライダ112・122とシフタフォーク104、つまり、クラッチが位置して、逆回転駆動軸120と入力軸110との間にシフタフォーク104の中央に設けた回動支点軸103が位置し、スライダ112とスライダ122を互いに逆方向に摺動させるように構成して、コンパクトに配置した構成としている。また、ハンドル回転軸31aにウォームホィール128を周設し、該ウォームホィール128が逆回転駆動軸120上に設けたウォーム129と噛合する構成としている。
【0022】このとき、前記車軸ケース15L・15Rは該ウォームホィール128の後方位置に横設され、該車軸ケース15L・15R内には車軸160L・160Rを横架し、該車軸160L・160R上にそれぞれパイプ状の車輪17L・17Rを固設する。該車軸160Lの左端及び車軸160Rの右端にはスプロケット162L・162Rを周設し、チェーンに163Lにより該スプロケット162Lと前記駆動スプロケット161Lとを巻回し、また、チェーンに163Rにより該スプロケット162Rと前記駆動スプロケット161Rとを巻回し、それぞれ前記走行ケース16L・16R内に収納する。
【0023】次に上記構成における左右旋回操作について説明する。図5において、例えば、草刈機1を左旋回させるときには、旋回操作レバー4を左旋回操作位置40Lに回動操作する。このとき、旋回ワイヤ41Lは後方へ引っ張られ、また、該旋回ワイヤ41Lはバネ42Lを介してシフタ102Lを引っ張り、該シフタ102Lは図5における平面視、時計回りに回動する。これに連動して、図7に示すシフタフォーク104Lも時計回りに回動し、その結果、図8に示すように、スライダ112Lはフォーク部104aを介して右方向へ摺動し、一方、スライダ122Lはフォーク部104bを介して左方向へ摺動する。こうして、左出力軸110Lのスプライン110cと駆動軸110Mのスプライン110aとはスライダ112Lの内歯により結合されていた状態から分断されるとともに、該スライダ112Lのクラッチ歯112c・112c・・・とスプロケット基部113bのクラッチ歯113c・113c・・・とが噛合する。その結果、駆動軸110Mの回転動力は直接左出力軸110Lへは伝わらず、また、スライダ112Lとスプロケット113とは一体的に回転し始める。同時に、スライダ122Lのクラッチ歯122c・122c・・・とギア基部125bのクラッチ歯125c・125c・・・とが噛合し、該スライダ122Lとギア125も一体的に回転し始める。
【0024】こうして、エンジン11からの動力は、図6乃び図8に示すように、ウォーム119→ウォームホィール118→駆動軸110M→スライダ112L→スプロケット113→チェーン133→スプロケット123→逆回転駆動軸120→スライダ122L→ギア125→ギア115→左出力軸110L→スプロケット161L→チェーン163L→スプロケット162L→車軸160L→左車輪17Lへと伝わる。尚、ギア115・125の噛合により駆動軸110Mと左出力軸110Lとの回転方向は逆回転駆動軸120を介して反転し、よって、駆動軸110Mから右車輪17Rへはそのまま正回転(前進方向の回転)が伝達される一方、左車輪17Lへは逆回転(後進方向の回転)が伝達されて左旋回をスムースに行なえ、オペレータは容易に草刈機1を旋回することができるのである。
【0025】また、逆回転駆動軸120からの動力は、逆回転駆動軸120→ウォーム129→ウォームホィール128→ハンドル回転軸31a→ハンドル30へと伝わり、該ウォーム129とウォームホィール128とで回転速度は減速し、このため、該ハンドル30にはゆっくりとした回転力が働くのである。こうして、強制的にハンドル30を左方向(図における時計方向)に回動し、オペレータはその場にいて本体のみ旋回させることができるのである。
【0026】また、逆に草刈機1を右旋回させるときには、図5に示す旋回操作レバー4を右旋回操作位置40Rに投入する。このとき、旋回ワイヤ41Rは後方へ引っ張られ、また、該旋回ワイヤ41Rはバネ42Rを介してシフタ102Rを引っ張り、該シフタ102Rは図5における平面視、反時計回りに回動する。連動して、図6に示すシフタフォーク104Rも反時計回りに回動し、その結果、スライダ112Rはフォーク部104aを介して左方向へ摺動し、一方、スライダ122Rはフォーク部104bを介して右方向へ摺動する。こうして、右出力軸110Rのスプライン110dと駆動軸110Mのスプライン110aとはスライダ112Rの内歯により結合されていた状態から分断されるとともに、該スライダ112Rのクラッチ歯112c・112c・・・とギア基部114bのクラッチ歯114c・114c・・・とが噛合する。その結果、駆動軸110Mの回転動力は直接右出力軸110Rへは伝わらず、また、スライダ112Rとギア114とは一体的に回転し始める。同時に、スライダ122Rのクラッチ歯122c・122c・・・とスプロケット基部126bのクラッチ歯126c・126c・・・とが噛合し、該スライダ122Rとスプロケット126も一体的に回転し始める。
【0027】こうして、エンジン11からの動力は、ウォーム119→ウォームホィール118→駆動軸110M→スライダ112R→ギア114→ギア124→逆回転駆動軸120→スライダ122R→スプロケット126→チェーン136→スプロケット116→右出力軸110R→スプロケット161R→チェーン163R→スプロケット162R→車軸160R→右車輪17Rへと伝わる。尚、ギア114・124の噛合により駆動軸110Mと右出力軸110Rとの回転方向は逆回転駆動軸120を介して反転し、よって、駆動軸110Mから左車輪17Lへはそのまま正回転(前進方向の回転)が伝達される一方、右車輪17Rへは逆回転(後進方向の回転)が伝達されて右旋回をスムースに行なえ、オペレータは容易に草刈機1を旋回することができるのである。
【0028】但し、左旋回時には、駆動軸110Mからスプロケット113・123を介して逆回転駆動軸120へと動力が伝達されるため、駆動軸110Mと逆回転駆動軸120とは同方向に回転し、一方、右旋回時には、駆動軸110Mからギア114・124を介して逆回転駆動軸120へと動力が伝達されるため、駆動軸110Mと逆回転駆動軸120とは逆方向に回転しており、すなわち、左旋回時における逆回転駆動軸120の回転方向と右旋回時における逆回転駆動軸120の回転方向とは逆回転となるのである。
【0029】また、逆回転駆動軸120からは前記左旋回時における回転とは逆方向の回転が、逆回転駆動軸120→ウォーム129→ウォームホィール128→ハンドル回転軸31a→ハンドル30へと伝わり、該ウォーム129とウォームホィール128とで回転速度は減速し、このため、該ハンドル30にはゆっくりとした回転力が働くのである。こうして、強制的にハンドル30を右方向(図における反時計方向)に回動し、オペレータは軽々とハンドル30を切ることができるのである。尚、前記ハンドル30の回動は、バッテリ、電動モータ等によるパワーステアリングとして構成してもよい。
【0030】また、図5に示す前記旋回操作レバー4をニュートラル位置40Nに投入したときには、両旋回ワイヤ41L・41Rは後方途中位置へ引っ張られ、また、該旋回ワイヤ41Lはシフタ102Lをわずかに引っ張り、該シフタ102Lは図5における平面視、時計回りに回動する一方、該旋回ワイヤ41Rはシフタ102Rもわずかに引っ張り、該シフタ102Rは反時計回りに回動する。この動きに連動して、図9及び図10に示すように、シフタフォーク104Lは時計回りに回動し、シフタフォーク104Rは反時計回りに回動して前後方向をむいた状態となる。こうして、スライダ112Lはやや右方向へ摺動し、一方、スライダ122Lはやや左方向へ摺動し、また、スライダ112Rはやや左方向へ摺動し、一方、スライダ122Rはやや右方向へ摺動する。このとき、左出力軸110Lのスプライン110cと駆動軸110Mのスプライン110aとはスライダ112Lの内歯により結合され状態から分断され、また、右出力軸110Rのスプライン110dと駆動軸110Mのスプライン110aとはスライダ112Rの内歯により結合された状態から分断される。
【0031】このとき、スライダ112Lのクラッチ歯112c・112c・・・はスプロケット基部113bのクラッチ歯113c・113c・・・と、スライダ122Lのクラッチ歯122c・122c・・・はギア基部125bのクラッチ歯125c・125c・・・と、スライダ112Rのクラッチ歯112c・112c・・・はギア基部114bのクラッチ歯114c・114c・・・と、スライダ122Rのクラッチ歯122c・122c・・・はスプロケット基部126bのクラッチ歯126c・126c・・・と、それぞれ噛み合わないようにして、レバーガイド40のニュートラル位置40Nの位置決めをしている。さらに、このとき、連結杆101両端の凸部がそれぞれの長孔102b・102bに挿入されているので、両側のシフタ102L・102Rが互いに開こうとしても長孔102bで規制されて、同時に動力を断つことはできるが、噛み合って両方を駆動して破損しないようにしている。
【0032】よって、駆動軸110Mの回転動力は左出力軸110L、右出力軸110R及び逆回転駆動軸120へは伝わらず、両車輪17L・17Rへの動力が切断されてフリーな状態となり、また、ハンドル30にも強制回転が働かず、オペレータは所望の方向に草刈機1を旋回させることができるのである。
【0033】次にハンドル30の左右旋回に係る安全機構について説明する。図1及び図11に示すように、前記ハンドルベース23上にハンドル基部24を配設し、該ハンドル基部24よりハンドルカバー32を固設する。ハンドルカバー32は前記ハンドル回転軸31aを中心に左右回動可能に構成され、また、図11乃至図13に示すように、ハンドルカバー32にはハンドル杆31下部が嵌挿され、該ハンドルカバー32の両側面とハンドル杆31下端部とをボルト34とナット35とで締結し、該ハンドル杆31を上下回動可能に構成している。
【0034】前記ハンドル基部24上の前端両側部にその先端を下方に向けて「L」字状のローラシャフト37L・37Rを配設し、該ローラシャフト37L・37Rの先端部には軸心を上下方向に向けて第一当接体となるローラ38L・38Rを回転自在に設ける。該ローラ38L・38Rのやや後方、該ハンドル基部24の両側部には下方に向けて第二当接体となるプレート39L・39Rを凸設し、後述する回動限界位置の手前近傍位置となるように設定している。該プレート39L(39R)の下面と後面との間を面取りし、傾斜面39aを形成している。
【0035】図11及び図13に示すように、ハンドル基部24の後部下方には左右解除プレート80L・80Rを配設する。該解除プレート80L(80R)は、平面視、「へ」字状に形成され、両解除プレート80L・80Rを左右対称に配置して交差させ、両解除プレート80L・80Rの中央位置付近とミッションケース10上面に立設した回動支点軸81で枢支する。こうして、両解除プレート80L・80Rを平面視で鋏状に配置し、左解除プレート80Lの後部をアウターワイヤー82Eと連結し、右解除プレート80Rの後部にはインナーワイヤー82Iと連結し、該インナーワイヤー82Iをアウターワイヤー82E内に挿通し、内外二重構造の旋回戻しワイヤー82を構成し、該旋回戻しワイヤー82の他端は前記旋回操作レバー4と連結されて、後述するように、非旋回側に回動するように配置さている。
【0036】前記回動支点軸81の前方にはミッションケース内よりシフタシャフト83を突出させ、該シフタシャフト83上面の前後中央には左右方向に向けて溝部を凹設し、該溝部に軸心を架橋してローラ84を配設する。また、前記シフタシャフト83の後面と旋回解除レバー8の右端とをボルト85とナット86により締結し、そして、図1及び図14に示すように、該旋回解除レバー8の把手部8aを左方に向けて突出させる。こうして、旋回解除レバー8の長手方向中間位置8bを回動支点を設けて上下回動可能な構成にする。また、図13に示すように、シフタシャフト83の左右両側方にはミッションケース10上面よりハンドル30の回動限界位置を設定するストッパピン89L・89Rを突設している。
【0037】図16に示すように、ミッションケース10内では、前記シフタシャフト83はシフタフォーク88と連結されている。そして、図6及び図16に示すように、前記ウォームホィール128の下方にはハンドル回転軸31aにスライダ87を周設する。該スライダ87は、円筒両端間の円周面に溝部87bを凹設し、該溝部87bに前記シフタフォーク88を遊嵌させ、また、該スライダ87の上面には、爪状のクラッチ歯87c・87c・・・を凸設する。そして、スライダ87の内周面にはスプライン溝が上下方向に刻設され、ハンドル回転軸31aにはスプライン31bを刻設し、シフタフォーク88を昇降させることにより、該スプライン31bに沿ってスライダ87を摺動させることができるのである。
【0038】このとき、前記ウォームホィール128はハンドル回転軸31aに対して回転自在に遊嵌し、該ウォームホィール128の下面には爪状のクラッチ歯128c・128c・・・を凸設する。通常は、該クラッチ歯128c・128c・・・と前記スライダ87のクラッチ歯87c・87c・・・とは噛合するように位置決めをし(バネ等で付勢し)ている。こうしてハンドル回動クラッチをハンドル回転軸31a上に構成している。そして、前記逆回転駆動軸120上に設けたウォーム129からの動力がウォームホィール128に伝えられ、該ウォームホィール128とスライダ87とは一体的に回転し、該動力をハンドル回転軸31aに伝達してハンドル30を回動できるようにしている。
【0039】このような構成で、例えば、図5に示す前記旋回操作レバー4を右旋回操作位置40Rに投入すると、図14と図15に示すように、草刈機1は右旋回するとともに、ハンドル杆31にも緩やかな左旋回力が働き、ハンドルカバー32前端左側部のローラ38Lが解除プレート80Lと当接する。そして、該ローラ38Lは該解除プレート80Lを後方へ押し、その結果、図17(a)に示すように、解除プレート80Lは回動支点軸81を中心に反時計回りに回動し、旋回戻しワイヤー82(アウターワイヤー82E)を斜前方に引っ張るのである。また、該旋回戻しワイヤー82により右旋回操作位置40Rに投入された旋回操作レバー4は前方に引っ張られ、支点越えして元位置に復帰するのである。
【0040】こうして旋回操作レバー4が非旋回位置に戻ることによって、シフターフォーク104L・104Rが元の位置に戻されて、逆回転駆動軸120への動力は断たれて旋回しなくなるのであるが、スライダやワイヤーが引っ掛かったり、慣性力等の原因で、意図せずさらに草刈機1が右旋回すると、図17(b)に示すように、ハンドル基部24左側方のプレート39Lの傾斜面39a(図11参照)がローラ84に当接して該ローラ84及びシフタシャフト83を下方へ押し込む。すると、図16に示すように、シフタフォーク88を介してスライダ87を押し下げ、ハンドル回転軸31aに伝達される回転動力を切断する。こうして、ハンドル杆31の回転を止めることができ、ハンドルに作業者が振り回されることを防止でき、操作部3での操作ができるようになり、ストップスイッチ等の操作ができる。なおこのとき、図1に示す前記旋回解除レバー8を引き上げ、強制的にシフタシャフト83を押し下げ、ハンドル回転軸31aに伝達される回転動力を切断することもできる。
【0041】この状態から更に草刈機1が右旋回を続けるようであれば、図17(c)に示すように、ハンドル基部24の左側面24Lがミッションケース10に溶接固定されたストッパーピン89Lと当接し、草刈機1はこれ以上、ハンドル30が回転しないように構成している。こうして三段階で旋回を停止できるようにして安全性の向上を図っている。
【0042】また逆に、図5に示す前記旋回操作レバー4を左旋回操作位置40Lに投入すると、前記と左右逆方向に回動して、前記同様に作用して三段階で旋回を停止できるようにして、草刈機1本体が旋回し過ぎることを防いでいる。
【0043】次に、草刈機1の旋回方法について説明する。図5、図18及び図19に示すように、旋回位置Aにおいて、まず、オペレータはグリップアクセル6を手放して元位置に戻し、一旦、出力回転数を落とす。そして、ハンドル上下レバー5を握ってレバーロックをし、ハンドル30を上下回動自在な状態とし、尚、ハンドル30の上下回動にはデテント感を残しているため、該ハンドル30はハンドルカバー32に引っ掛かり、自重で倒れないである。
【0044】そうして、グリップアクセル6を軽く回してエンジン11を吹かせながら、旋回操作レバー4を所望の旋回方向に支点越えするまで引くと、一方の車輪17L(または17R)は逆回転(後進方向の回転)し始め、ハンドル30にもまた強制的な回動力が働き、草刈機1は旋回位置Aから旋回位置Bを経て旋回位置Cへと旋回する。こうして、草刈機1が旋回すると、旋回位置Cで前記安全機構が働き、旋回操作レバー4は旋回戻しワイヤー82に引っ張られて元位置に復帰し、両車輪17L・17Rは再び同方向(前進方向)に回転し始めるのである。
【0045】尚、機体旋回時にはハンドル30高さが微妙に上下し、オペレータはデテント感で感触を測りながら所望の高さにハンドル30を合わせ、再度、ハンドル上下レバー5を握ってレバーロックを解除し、ハンドル30高さを固定する。こうして、グリップアクセル6をさらに回して出力回転数を上げ、再び、刈刃13L・13Rを駆動して、作業を始めるのである。
【0046】
【発明の効果】本発明は以上の如く構成したので、以下のような効果を奏ずるものである。すなわち、請求項1の如く、原動機により駆動される刈取部と左右の走行車輪を有し、操縦部に設けた旋回レバーの操作により左右の走行車輪の回転方向を変更して旋回するように構成した草刈機において、原動機からの動力が伝達される駆動軸の両側に、クラッチを介して出力軸を設け、旋回レバーの操作によりクラッチを作動させて旋回内側の出力軸を逆転させるように構成したので、草刈機本体をその場で旋回させることができるようになり、作業場の終端における旋回面積を小さくすることができるようになり、刈り残し面積も小さくすることができ、旋回に要する時間も短くでき、作業効率を向上することができる。
【0047】また、請求項2の如く、原動機により駆動される刈取部と左右の走行車輪を有し、操縦部に設けた旋回レバーの操作により左右の走行車輪の回転方向を変更して旋回するように構成した草刈機において、原動機からの動力が伝達される駆動軸と平行に逆転駆動軸を設け、該駆動軸と逆転駆動軸との間、及び、逆転軸と出力軸との間に、一方は同方向伝動手段、他方は逆転伝動手段を介装し、該同方向伝動手段と逆転伝動手段の間に、同方向回転と逆方向回転と中立を切り換えるクラッチを配置したので、二つの軸の間でクラッチを構成できて、コンパクトな構成とすることができる。更に、同方向伝動手段と逆転伝動手段の間にクラッチが配置されるので、正転、逆転、中立の切替構成もコンパクトに構成できる。そして、同方向に回転させることで直進ができ、左右一側を逆方向に回転させることで旋回ができる。また、中立とすることで、原動機の動力を必要とせず、任意に車輪を回転させて所望の位置に容易に移動できる。
【0048】また、請求項3の如く、前記同方向回転と逆方向回転と中立を切り換えるクラッチを左右一対配置し、該左右のクラッチを操作するアームを連結杆で連結したので、該連結杆が規制体となり、一つの出力軸に同時に正転駆動力と逆転駆動力伝えるように切り換えることを防止でき、クラッチを傷めることがない。
【出願人】 【識別番号】000198330
【氏名又は名称】石川島芝浦機械株式会社
【出願日】 平成12年4月4日(2000.4.4)
【代理人】 【識別番号】100080621
【弁理士】
【氏名又は名称】矢野 寿一郎
【公開番号】 特開2001−275442(P2001−275442A)
【公開日】 平成13年10月9日(2001.10.9)
【出願番号】 特願2000−102136(P2000−102136)