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【発明の名称】 コンバインの穂先係止搬送装置
【発明者】 【氏名】村上 雅彦

【要約】 【課題】穂先係止搬送装置を備える搬送機構において搬送詰まりが発生した場合の詰まり穀稈の除去に要する手間を軽減できるようにする。

【解決手段】無端チェーン25に姿勢切り換え可能に取り付けられた各係止爪26が、その基端部に形成されたカム26Aと穀稈搬送経路の始端側に配設された姿勢切換部材27との接当で格納姿勢から穂先係止姿勢に切り換えられ、かつ、カム26Aと穀稈搬送経路に沿って配設されたガイドレール29との摺接で穂先係止姿勢に維持されるように構成したコンバインの穂先係止搬送装置において、各係止爪26の基端部に、カム26Aの突出方向と反対方向に向けて突出する突起26Bを形成するとともに、ガイドレール29の搬送方向終端箇所に、無端チェーン25を逆方向に周回させた際に、突起26Bとの接当で係止爪26を格納姿勢から穂先係止姿勢に切り換える接当部29aを形成した。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 搬送方向に周回駆動される無端チェーンに、複数の係止爪を、その先端側が前記無端チェーンから外方に向けて突出する穂先係止姿勢と、その先端側が周回方向上手側に位置する状態で前記無端チェーンに沿った格納姿勢とに姿勢切り換え可能に取り付けるとともに、各係止爪の基端部に、前記格納姿勢では前記無端チェーンの内方側に向けて突出する状態となるカムを形成して、各係止爪が、穀稈搬送経路の始端側に配設された姿勢切換部材と前記カムとの接当で前記格納姿勢から前記穂先係止姿勢に切り換えられ、かつ、穀稈搬送経路に沿って配設されたガイドレールと前記カムとの摺接で前記穂先係止姿勢に維持されるように構成したコンバインの穂先係止搬送装置であって、各係止爪の基端部に、前記カムの突出方向と反対方向に向けて突出する突起を形成するとともに、前記ガイドレールの搬送方向終端箇所に、前記無端チェーンを逆方向に周回させた際に、前記突起との接当で前記係止爪を前記格納姿勢から前記穂先係止姿勢に切り換える接当部を形成してあるコンバインの穂先係止搬送装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、搬送方向に周回駆動される無端チェーンに、複数の係止爪を、その先端側が前記無端チェーンから外方に向けて突出する穂先係止姿勢と、その先端側が周回方向上手側に位置する状態で前記無端チェーンに沿った格納姿勢とに姿勢切り換え可能に取り付けるとともに、各係止爪の基端部に、前記格納姿勢では前記無端チェーンの内方側に向けて突出する状態となるカムを形成して、各係止爪が、穀稈搬送経路の始端側に配設された姿勢切換部材と前記カムとの接当で前記格納姿勢から前記穂先係止姿勢に切り換えられ、かつ、穀稈搬送経路に沿って配設されたガイドレールと前記カムとの摺接で前記穂先係止姿勢に維持されるように構成したコンバインの穂先係止搬送装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、上記のようなコンバインの穂先係止搬送装置としては、例えば、特開平6−153661号公報で開示されているように、刈取穀稈の株元側を挟持搬送する株元挟持搬送装置と並設されることで刈取搬送部の縦搬送機構を構成するものなどがあり、このような穂先係止搬送装置においては、無端チェーンが搬送方向に周回駆動されると、各係止爪が、穀稈搬送経路の始端側ではそのカムが姿勢切換部材に接当することで格納姿勢から穂先係止姿勢に切り換えられ、穀稈搬送経路ではそのカムがガイドレールに摺接することで穂先係止姿勢に維持され、そのカムとガイドレールとの摺接が解除される穀稈搬送経路の終端側ではその自重などで穂先係止姿勢から格納姿勢に切り換わるようになっており、その結果、無端チェーンを逆方向に周回させようとすると、穀稈搬送経路の終端側で格納姿勢に切り換わった係止爪のカムがガイドレールの搬送方向終端部に引っ掛かるようになることから、逆方向に周回させることができないようになっていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】そのため、上記の従来技術においては、穂先係止搬送装置を備える搬送機構において搬送詰まりが発生した場合には、その搬送機構を逆転させることで詰まった穀稈を穀稈搬送経路の始端側に向けて逆向きに搬送するといったことが行えず、これによって、詰まった穀稈が搬送機構に強固に噛み込まれた詰まり位置に位置する状態のままでその詰まり穀稈の除去を行わなければならないようになっており、もって、詰まり穀稈の除去にかなりの手間を要するようになっていた。
【0004】本発明の目的は、穂先係止搬送装置を備える搬送機構において搬送詰まりが発生した場合の詰まり穀稈の除去に要する手間を軽減できるようにすることにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】〔構成〕上記目的を達成するため、本発明では、搬送方向に周回駆動される無端チェーンに、複数の係止爪を、その先端側が前記無端チェーンから外方に向けて突出する穂先係止姿勢と、その先端側が周回方向上手側に位置する状態で前記無端チェーンに沿った格納姿勢とに姿勢切り換え可能に取り付けるとともに、各係止爪の基端部に、前記格納姿勢では前記無端チェーンの内方側に向けて突出する状態となるカムを形成して、各係止爪が、穀稈搬送経路の始端側に配設された姿勢切換部材と前記カムとの接当で前記格納姿勢から前記穂先係止姿勢に切り換えられ、かつ、穀稈搬送経路に沿って配設されたガイドレールと前記カムとの摺接で前記穂先係止姿勢に維持されるように構成したコンバインの穂先係止搬送装置において、各係止爪の基端部に、前記カムの突出方向と反対方向に向けて突出する突起を形成するとともに、前記ガイドレールの搬送方向終端箇所に、前記無端チェーンを逆方向に周回させた際に、前記突起との接当で前記係止爪を前記格納姿勢から前記穂先係止姿勢に切り換える接当部を形成した。
【0006】〔作用〕本発明によると、穂先係止搬送装置の無端チェーンを逆方向に周回させると、穂先係止搬送装置の各係止爪は、穀稈搬送経路の終端側では、格納姿勢に切り換わった係止爪の突起がガイドレールの接当部に接当することで格納姿勢から穂先係止姿勢に切り換えられるようになることから、無端チェーンを逆方向に周回させても、穀稈搬送経路の終端側において係止爪のカムがガイドレールの搬送方向終端部に引っ掛かる不都合を招くことなく、スムーズに各係止爪をガイドレール上に移動させることができるようになる。
【0007】つまり、穂先係止搬送装置を逆方向に周回させることができるようになり、その結果、穂先係止搬送装置を備える搬送機構において搬送詰まりが発生した場合には、その搬送機構を逆転させることで、詰まった穀稈を搬送機構に強固に噛み込まれた詰まり位置から穀稈搬送経路の始端側に向けて逆向きに搬送することができ、それによって、詰まった穀稈の搬送機構への噛み込みを弱めることや噛み込みを解除することができるので、詰まり穀稈の除去に要する手間を大幅に軽減することができるようになる。
【0008】〔効果〕従って、穂先係止搬送装置を備える搬送機構において搬送詰まりが発生した場合の詰まり穀稈の除去に要する手間を大幅に軽減できるようになった。
【0009】
【発明の実施の形態】図1には自脱型コンバインの全体側面が示されており、このコンバインは、左右一対のクローラ式走行装置1で走行する走行機体2の前部に、4条分の植立穀稈を刈り取って後方に向けて搬送する刈取搬送部3を左右向きの軸芯P1周りに昇降揺動可能に連結し、走行機体2に、刈取搬送部3から受け取った刈取穀稈をフィードチェーン4Aで挟持搬送しながら、その穂先側に対して脱穀処理を施すとともに脱穀処理後の処理物に対して選別処理を施す脱穀装置4や、選別処理後の穀粒を貯留する穀粒タンク5などを搭載し、脱穀装置4の後部に、脱穀処理後の排ワラをフィードチェーン4Aから受け取って後方に向けて搬送する排ワラ搬送機構6を配設するとともに、排ワラ搬送機構6で搬送された排ワラを機外に放出する排ワラ処理部7を連結し、穀粒タンク5に、その内部の貯留穀粒を機外に排出するスクリュー搬送式の穀粒排出装置8を装備することによって構成されている。
【0010】図2に示すように、左右一対のクローラ式走行装置1には、走行機体2に搭載されたエンジン9からの動力が、走行クラッチ10、ベルト式無段変速装置11、及びギヤ式変速装置12に内装された副変速機構12Aなどを介して伝達され、刈取搬送部3には、ベルト式無段変速装置11による変速後の動力がギヤ式変速装置12に内装された刈取搬送用の正逆転切換機構12B及び刈取クラッチ14を介して伝達され、脱穀装置4には、エンジン9からの動力が脱穀クラッチ15を介して伝達され、排ワラ搬送機構6及び排ワラ処理部7には、脱穀装置4を経由したエンジン9からの動力が伝達され、穀粒排出装置8には、エンジン9からの動力が排出クラッチ16を介して伝達されるようになっている。ちなみに、排ワラ搬送機構6は、排ワラの株元側を挟持して搬送する株元挟持搬送装置6Aと排ワラの穂先側を係止して搬送する穂先係止搬送装置6Bとから構成されている。
【0011】図1及び図3に示すように、刈取搬送部3は、植立穀稈の株元側に作用して分草する5つの分草具17、分草された植立穀稈の穂先側を係止して後上方向に向けて引き起こし搬送する4基の引起装置18、引き起こされた植立穀稈の株元側を切断するバリカン形式の刈取装置19、刈り取られた穀稈を左右の合流箇所に向けて掻き込み搬送する左右一対の掻込搬送装置20、左右の合流箇所に搬送された刈取穀稈を中央の合流箇所で合流させるとともに起立姿勢から横倒れ姿勢に徐々に姿勢変更しながら脱穀装置4に向けて搬送する縦搬送機構21、及び、それらを支持する刈取フレーム22、などによって4条分の刈り取り搬送を行うように構成されている。刈取搬送部3に入力された動力は、刈取フレーム22に内装された図外の伝動系を介して刈取装置19、左右の掻込搬送装置20、及び縦搬送機構21に伝達され、各引起装置18には、前記伝動系と高低2段に切り換え可能なギヤ式変速機構13を介して伝達されるようになっている。
【0012】縦搬送機構21は、左右の合流箇所に搬送された刈取穀稈の株元側を挟持して中央の合流箇所に向けて搬送する左右の第1株元挟持搬送装置21A、中央の合流箇所に搬送された刈取穀稈の株元側を挟持して脱穀装置4のフィードチェーン4Aに向けて搬送する第2株元挟持搬送装置21B、第2株元挟持搬送装置21Bで搬送された刈取穀稈の株元を挟持してフィードチェーン4Aに供給する第3株元挟持搬送装置21C、及び、左右の合流箇所に搬送された刈取穀稈の穂先側を係止して脱穀装置4に向けて搬送する左右の穂先係止搬送装置21D、などによって構成されている。
【0013】図3に示すように、左右の第1株元挟持搬送装置21A、第2株元挟持搬送装置21B、及び第3株元挟持搬送装置21Cは、刈取フレーム22に周回駆動可能に支持された突起付き無端チェーン23と、突起付き無端チェーン23側にバネ付勢された挟持レール24とで、刈取穀稈を挟持搬送するように構成されている。
【0014】図3〜7に示すように、左右の穂先係止搬送装置21Dは、刈取フレーム22に周回駆動可能に支持された無端チェーン25に、その周回方向に所定間隔を隔てる状態で、複数の係止爪26を、その先端側が無端チェーン25から外方に向けて突出する穂先係止姿勢と、その先端側が周回方向上手側に位置する状態で無端チェーン25に沿った格納姿勢とに姿勢切り換え可能に取り付け、係止爪26を格納姿勢から穂先係止姿勢に切り換える円筒状の姿勢切換部材27を、その穀稈搬送経路の始端位置に配設された従動スプロケット28に装備し、係止爪26を穂先係止姿勢に維持するガイドレール29を穀稈搬送経路に沿って配設することで、刈取穀稈を係止搬送するように構成されている。
【0015】図4〜8に示すように、各係止爪26には、その基端部に、格納姿勢では無端チェーン25の内方側に向けて突出する状態となる一対のカム26Aと、カム26Aの突出方向と反対方向(格納姿勢においては無端チェーン25の外方側)に向けて突出する単一の突起26Bとが一体形成された樹脂製で、無端チェーン25に両持ち支持される両持ちタイプのものが採用されている。一方、ガイドレール29には、各係止爪26における一対のカム26Aの爪側端面26aに摺接する一対の第1ガイド部29Aと、一対のカム26Aの反爪側端面26bに摺接する一対の第2ガイド部29Bとが備えられ、それらのガイド部29A,29Bのうち、突起26Bを有するカム26Aの爪側端面26aに摺接する一方の第1ガイド部29Aは、他のガイド部29A,29Bよりも穀稈搬送経路終端側に延出され、その搬送方向終端箇所となる延出端に、係止爪26の突起26Bに接当可能な接当部29aが形成されている。
【0016】以上の構成から、左右の穂先係止搬送装置21Dは、無端チェーン25が搬送方向に周回駆動されると、各係止爪26が、その穀稈搬送経路の始端位置ではカム26Aが姿勢切換部材27に接当することで格納姿勢から穂先係止姿勢に切り換えられ、その穀稈搬送経路ではカム26Aがガイドレール29に摺接することで穂先係止姿勢に維持され、カム26Aとガイドレール29との摺接が解除される穀稈搬送経路の終端側ではその自重などで穂先係止姿勢から格納姿勢に切り換わるようになっている。又、無端チェーン25を逆方向に周回させると、各係止爪26が、その穀稈搬送経路の終端位置では、格納姿勢に切り換わった係止爪26の突起26Bがガイドレール29の接当部29aに接当することで、格納姿勢から穂先係止姿勢に切り換えられるようになっており、これによって、無端チェーン25を逆方向に周回させても、穀稈搬送経路の終端側において係止爪26のカム26Aがガイドレール29の搬送方向終端部に引っ掛かる不都合を招くことなく、各係止爪26をガイドレール29上にスムーズに移動させることができるようになっている。
【0017】つまり、穂先係止搬送装置21Dを逆方向に周回させることができるようになっており、これによって、例えば、穀稈合流箇所から各株元挟持搬送装置21A〜21Cの突起付き無端チェーン23と挾持レール24との間に大量の刈取穀稈が一挙に供給されることなどに起因した搬送詰まりが縦搬送機構21において発生した場合には、ギヤ式変速機構13を中立位置に操作して各引起装置18への伝動を遮断した後に刈取搬送用の正逆転切換機構12Bを逆転伝動状態に切り換えて刈取搬送部3を逆転駆動させることで、詰まった穀稈を強固に噛み込まれた詰まり位置から各株元挟持搬送装置21A〜21Cの非挟持位置である穀稈搬送経路始端側の合流箇所に向けて逆向きに搬送することができて、詰まった穀稈の突起付き無端チェーン23と挾持レール24との間での噛み込みを弱めることや噛み込みを解除することができるので、詰まり穀稈の除去に要する手間を大幅に軽減できるようになっている。
【0018】〔別実施形態〕以下、本発明の別実施形態を列記する。
■ コンバインとしては、2条又は3条の刈り取りあるいは5条以上の刈り取りを行うように構成されたものであってもよく、又、ベルト式無断変速装置12の代わりに静油圧式無段変速装置が装備されたものであってもよい。
■ 刈取搬送部3又は縦搬送機構21を手動で逆転させるように構成してもよい。
■ 上記実施形態では、本発明を縦搬送機構21の穂先係止搬送装置21Dに適用したものを例示したが、本発明を、穀稈の穂先側を係止搬送する引起装置18や排ワラ搬送機構6の穂先係止搬送装置6Bに適用するようにしてもよい。
■ 各係止爪26として、本来より一対のカム26Aを備える従来の係止爪に突起26Bを後付けして構成したものを採用するようにしてもよい。その構成としては、例えば図9に示すように、従来の係止爪における一方のカム26Aの幅方向の外側面に、カム26Aの突出方向と反対方向に向けて突出する突起26Bを取り付けることなどが考えられる。尚、この構成の係止爪26を採用する場合には、同図に示すように、突起26Bが取り付けられたカム26Aに摺接する第1ガイド部29Aと第2ガイド部29Bとを幅広に形成するとともに、その第1ガイド部29Aにおける突起26Bとの摺接部を、その第1ガイド部29Aにおけるカム26Aとの摺接部及び他のガイド部29A,29Bよりも穀稈搬送経路終端側に延出し、その搬送方向終端箇所となる延出端に、係止爪26の突起26Bに接当可能な接当部29aを形成するようにすればよい。
■ 係止爪26としては、図9で例示した形状で一対のカム26Aと突起26Bとが一体形成されたものであってもよい。
■ 係止爪26に一対の突起26Bを形成し、かつ、ガイドレール29における一対の第1ガイド部29Aを、第2ガイド部29Bよりも穀稈搬送経路終端側に延出して、それらの延出端に、係止爪26の各突起26Bに接当可能な接当部29aを形成するようにしてもよい。
■ 係止爪26としては、無端チェーン25に片持ち支持される片持ちタイプのものであってもよい。
【出願人】 【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
【出願日】 平成12年3月14日(2000.3.14)
【代理人】 【識別番号】100107308
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 修一郎
【公開番号】 特開2001−251933(P2001−251933A)
【公開日】 平成13年9月18日(2001.9.18)
【出願番号】 特願2000−70005(P2000−70005)