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【発明の名称】 野菜収穫機
【発明者】 【氏名】渡邊 章人

【氏名】松井 幹夫

【要約】 【課題】マルチ栽培された野菜wであっても、それを地中から引き抜き茎葉部w1の下部を根部w2から切り離す処理を機械的に行わせる。

【解決手段】圃場に植生した野菜wの茎葉部w1を挟持して斜め後上方へ搬送すると共にこの搬送中に根部w2を地中から引き抜くものとした挟持搬送装置3と、このように引き抜かれた後の野菜wの茎葉部w1の下部を前記挟持搬送装置3による搬送中に縦軸20a回りへ回転されるカッタ20で上下に切り離すものとした茎葉切断装置4とを備えた野菜収穫機であって、前記縦軸20aを回転駆動するための駆動力がその入力軸102から縦軸20aまで同一平面上で伝動されるものとした伝動ケース101を前記挟持搬送装置3の下方に配設する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 圃場に植生した野菜(w)の茎葉部(w1)を挟持して斜め後上方へ搬送すると共にこの搬送中にその根部(w2)を地中から引き抜くものとした挟持搬送装置(3)と、このように引き抜かれた後の野菜(w)の茎葉部(w1)の下部を前記挟持搬送装置(3)による搬送中に縦軸(20a)回りへ回転されるカッタ(20)で上下に切り離すものとした茎葉切断装置(4)とを備えた野菜収穫機であって、前記縦軸(20a)を回転駆動するための駆動力がその入力軸(102)から縦軸(20a)まで同一平面上で伝動されるものとした伝動ケース(101)を前記挟持搬送装置(3)の下方に配設したことを特徴とする野菜収穫機。
【請求項2】 圃場に植生した野菜(w)の茎葉部(w1)を挟持して斜め後上方へ搬送すると共にこの搬送中にその根部(w2)を地中から引き抜くものとした挟持搬送装置(3)と、このように引き抜かれた後の野菜(w)の茎葉部(w1)の下部を前記挟持搬送装置(3)による搬送中に縦軸(20a)回りへ回転されるカッタ(20)で上下に切り離すものとした茎葉切断装置(4)とを備えた野菜収穫機であって、前記縦軸(20a)を回転駆動するための伝動ケース(101)を前記挟持搬送装置(3)の下方に配設し、この伝動ケース(101)内で、駆動力がスプロケット(103)(104)とチェーン(105)の組み合わせ、或いは平面配列された歯車列により伝動されることを特徴とする野菜収穫機。
【請求項3】 伝動ケース(101)の入力軸(102)及びその周辺を前記挟持搬送装置(3)により搬送される茎葉部(w1)の移動経路から外して位置させたことを特徴とする請求項1又は2記載の野菜収穫機。
【請求項4】 伝動ケース(101)の入力軸(102)箇所にベベルギヤケース(107)を組み付けたことを特徴とする請求項3記載の野菜収穫機。
【請求項5】 伝動ケース(101)の伝動方向を機体の前後方向に対し左右へ傾斜させたことを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載した野菜収穫機。
【請求項6】 伝動ケース(101)の茎葉接触範囲の前端部形状を前方へ向かう凸状に形成したことを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の野菜収穫機。
【請求項7】 伝動ケース(101)が、縦軸(20a)にスプロケット(103)を固定する一方、入力軸(102)にもスプロケット(104)を固定し、これらスプロケット(103)(104)間に無端状のチェーン(105)を掛け回してなるチェーン伝動ケースであることを特徴とする請求項1、3、4、5又は6の何れかに記載の野菜収穫機。
【請求項8】 挟持搬送装置(3)の下方に、この搬送装置(3)で搬送される茎葉部(w1)の下部に後向きの送り力を付与するための多数の突起(18a)を具備した茎葉下部補助送り装置(17)を設け、これら突起(18a)の移動経路よりも上方に伝動ケース(101)を、そして下方にカッタ(20)を位置させた構成を特徴とする請求項1〜7の何れかに記載の野菜収穫機。
【請求項9】 挟持搬送装置(3)による茎葉部(w1)の後向き搬送中、この茎葉部(w1)やその根部(w2)を後向き特定傾斜方向へ案内する茎葉誘導案内体(19)を茎葉下部補助送り装置(17)の下方に設けると共に伝動ケース(101)の高さを調整変更可能となし、この際、カッタ(20)が茎葉下部補助送り装置(17)の突起(18a)の移動経路の上側へも移動可能となされていることを特徴とする請求項8記載の野菜収穫機。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、マルチ栽培された玉葱や蕪等の根菜類でも収穫し得るものとした野菜収穫機に関する。
【0002】
【従来の技術】圃場に植生した野菜の茎葉部を挟持して斜め後上方へ搬送すると共にこの搬送中にその根部を地中から引き抜くものとした挟持搬送装置と、このように引き抜かれた後の野菜の茎葉部の下部を前記挟持搬送装置による搬送中に縦軸回りへ回転されるカッタで上下に切り離すものとした茎葉切断装置とを備えた野菜収穫機で、マルチフィルムで被われてない畝で栽培された、所謂、無マルチ栽培の玉葱等を収穫するものは存在している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】従来の収穫機では、マルチフィルムで被われた畝で栽培された、所謂、マルチ栽培の玉葱等を収穫することは予定していないのであり、この収穫機を使用してマルチ栽培された玉葱を収穫しようとすると、カッタの位置が高いため、玉葱を大きく上方へ吊り上げることが必要となるにも拘わらず、玉葱の根部はマルチフィルムで被われているために、このような吊り上げ処理は行えず、直ちにマルチフィルムが引起こし装置や掻込み装置等の各搬送部に巻き付く等して収穫不能に陥ってしまうのである。
【0004】本発明はこのような問題点に鑑みて創案したもので、即ち、マルチ栽培された玉葱等を大きく上昇させないでも茎葉部を切断できるものとなして、マルチ栽培された玉葱等の収穫にも対処し得るものとした野菜収穫機を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため、請求項1に記載した発明では、圃場に植生した野菜の茎葉部を挟持して斜め後上方へ搬送すると共にこの搬送中にその根部を地中から引き抜くものとした挟持搬送装置と、このように引き抜かれた後の野菜の茎葉部の下部を前記挟持搬送装置による搬送中に縦軸回りへ回転されるカッタで上下に切り離すものとした茎葉切断装置とを備えた野菜収穫機であって、前記縦軸を回転駆動するための駆動力がその入力軸から縦軸まで同一平面上で伝動されるものとした伝動ケースを前記挟持搬送装置の下方に配設した構成となす。
【0006】この発明によれば、伝動ケースがベベルギヤ等を内包しない構造の厚さが薄いものとなるため、挟持搬送装置の搬送経路の始端側下方で、比較的低い位置にカッタを位置させた状態でこれを縦軸回りに回転駆動することが可能となる。これにより、玉葱等の茎葉部は比較的低い位置で能率的に切断されるようになり、たとえマルチ栽培された玉葱等であっても、それを地中から引き抜いて茎葉部の下部を地上で根部から切り離す処理が機械的に行われるものとなる。また根部から切り離された茎葉部はカッタで切断された後にも挟持搬送装置により斜め後上方へ挟持搬送され、この搬送中、その茎葉部の下端部が伝動ケースと接触する傾向となってこの伝動ケースの上方を通過するが、本発明における伝動ケースは、その伝動すべき駆動力が立体状の伝動経路を経て伝動される形式のものに比べ、その厚さが薄くなされるものであるため、その茎葉部の接触した時の搬送抵抗となってその搬送姿勢が乱れる度合いが低減され、詰まり等が防止されるものとなる。
【0007】請求項2に記載した発明では、圃場に植生した野菜の茎葉部を挟持して斜め後上方へ搬送すると共にこの搬送中にその根部を地中から引き抜くものとした挟持搬送装置と、このように引き抜かれた後の野菜の茎葉部の下部を前記挟持搬送装置による搬送中に縦軸回りへ回転されるカッタで上下に切り離すものとした茎葉切断装置とを備えた野菜収穫機であって、前記縦軸を回転駆動するための伝動ケースを前記挟持搬送装置の下方に配設し、この伝動ケース内で、駆動力がスプロケットとチェーンの組み合わせ、或いは平面配列された歯車列により伝動される構成となす。
【0008】この発明によれば、スプロケットとチェーンの組み合わせ、或いは平面配列された歯車列が伝動ケース内において、これの伝動すべき駆動力をその入力軸から縦軸まで同一平面上で伝動させることを可能となすのであり、これにより請求項1に記載した発明と同様の効用が得られる。
【0009】上記した各発明は次のように具体化するのがよい。即ち、請求項3に記載したように、伝動ケースの入力軸及びその周辺を前記挟持搬送装置により搬送される茎葉部の移動経路から外して位置させる。これによれば、伝動ケースの入力軸箇所に高さの大きい伝動要素を配置しても、この伝動要素が挟持搬送装置で搬送される茎葉部と接触することが生じないものとなり、伝動系統構造の形成に際しての任意性が向上する。
【0010】また請求項4に記載したように、伝動ケースの入力軸箇所にベベルギヤケースを組み付ける。これによれば挟持搬送装置で搬送される茎葉部がベベルギヤケースに接触する現象は発生せず、しかもカッタの駆動力が横向き軸から入力軸に伝動されるものとなり、伝動系統構造の形成が容易となる。
【0011】また請求項5に記載したように、伝動ケースの伝動方向を機体の前後方向に対し左右へ傾斜させる。これによれば、伝動ケースの後端部が挟持搬送装置で搬送される茎葉部の移動経路から外れて位置された状態の下で、伝動ケースは後方側部位へ寄るに伴って、挟持搬送装置で搬送され根部から切り離された後の茎葉部の下端の移動経路が漸次上方へ逃げる傾向となり、これがために、茎葉部下端が伝動ケース上面に実際に接触する範囲が伝動ケースの伝動方向を真横に向けた場合に比べて少なくなり、伝動ケースと茎葉部の接触による茎葉部の乱れやこれに起因した詰まり等の発生が緩和されると共に、伝動ケースの後端部上方の空間の高さが比較的大となり、伝動系統構造の形成に際しての任意性が一層向上する。
【0012】また請求項6に記載したように、伝動ケースの茎葉接触範囲の前端部形状を前方へ向かう凸状に形成する。これによれば、挟持搬送装置で搬送される茎葉部がその搬送中に伝動ケースの茎葉接触範囲に衝突しても、茎葉部は茎葉接触範囲の前端部に案内されて左右に分離され、円滑にその後方へ搬送され、茎葉部と伝動ケースとの衝突による茎葉部の乱れ等は低減される。
【0013】また請求項7に記載したように、伝動ケースは、縦軸にスプロケットを固定する一方、入力軸にもスプロケットを固定し、これらスプロケット間に無端状のチェーンを掛け回してなるチェーン伝動ケースとなすのがよい。これによれば、伝動ケースが構造簡易且つ軽量で高さの低いものとなる。
【0014】また請求項8に記載したように、挟持搬送装置の下方に、この搬送装置で搬送される茎葉部の下部に後向きの送り力を付与するための多数の突起を具備した茎葉補助送り装置を設け、これら突起の移動経路よりも上方に伝動ケースを、そして下方にカッタを位置させた構成となす。これによれば、補助送り装置の突起がカッタに近接した状態となって茎葉部の切断位置の直近にその送り力を付与するものとなり、カッタによる切断が確実に行われるものとなる。
【0015】さらに請求項9に記載したように、挟持搬送装置による茎葉部の後向き搬送中、この茎葉部やその根部を後向き特定傾斜方向へ案内する茎葉誘導案内体を茎葉補助送り装置の下方に設けると共に伝動ケースの高さを調整変更可能となし、この際、カッタが茎葉補助送り装置の突起の移動経路の上側にも移動可能となされた構成となす。これによれば、マルチ栽培された早生種の玉葱等を収穫する際には、その根部を被ったマルチフィルムは挟持搬送装置の茎葉部の挟持搬送作用により根部と一緒に比較的低い位置に持ち上げられ、続いて茎葉誘導案内体により後方へ案内され、この案内中には、挟持搬送装置の搬送作用との関係で茎葉部は緊張状態となされ、この緊張状態の下でカッタがその茎葉部を切り離なす。この際、早稲種の玉葱等は乾燥することなく出荷するためほぼ30mm程度の長さの茎葉部が根部側に残された状態となされる。そして、無マルチ栽培された玉葱等を収穫する際には、マルチフィルムが畝上に存在しないためこれの処理は行われないのであり、この点を除けば、マルチ栽培の玉葱等の処理に準じて処理される。この際、カッタによる切り離し後に根部側に残される茎葉部の長さはカッタの高さを調整することにより例えば30mm程度から200mm程度までの間の任意な大きさに調整されるようになる。ここで、長い茎葉部を根部側に残すのは茎葉部を介して掛け吊ることにより根部を乾燥させるためであり、この乾燥を行わない場合は根部側に残される茎葉部は短くなされる。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施例を説明する。図1は本発明に係る野菜収穫機の側面図、図2は前記収穫機の平面図、図3は前記収穫機の正面図、図4は前記収穫機の動力系統図、図5は前記収穫機の縦向き引起こし装置の下部を示す側面視作用説明図、図6は前記縦向き引起こし装置のタイン関連部に係り、Aは図5のx−x部を示す図で、BはAの側面図、図7は前記収穫機の側面視説明図、図8は前記収穫機の茎葉切断装置周辺を示す平面図、図9は前記収穫機の一部を示す正面図、図10は前記収穫機の中央のフィルム案内押さえ棒周辺を示す側面図、図11は前記収穫機の茎葉誘導案内体の周辺を示す平面図、図12は前記収穫機のフィルム案内押さえ棒の作用状況を示す正面図、図13は前記収穫機の切刃体の周辺を示す側面図、図14は前記収穫機の最右端側の縦向き引起こし装置やフィルム案内押さえ棒等を示す側面図、図15は前記収穫機によるマルチフィルムの処理状況を示す平面図である。
【0017】図1〜図3に示すように、本発明に係る野菜収穫機は分草装置1、掻込み装置2、挟持搬送装置3及び茎葉切断装置4を具備した野菜処理部Aと、この野菜処理部Aの各部を支持した走行車両部Bからなっている。
【0018】先ず、分草装置1について図1〜図6を参照して説明すると、次のとおりである。即ち、3つの縦向き引起こし装置5が機体左右方向の一定間隔配置で設けてある。各縦向き引起こし装置5は特定縦面上に沿わせた楕円軌道上を周回移動される無端状のチェーン6を備え、このチェーン6の一定間隔箇所のそれぞれに樹脂一体成形品となされたタイン7を結合リンク8及び支点軸9を介して起伏変位自在に装着したものとなされている。このチェーン6の上下部は装置フレーム5aに軸着されたスプロケット10a、10bに掛け回されている。
【0019】各タイン7は装置フレーム5aの後縁aをチェーン6と共に下降する期間中、倒伏姿勢となり、最下位置p近傍に達したとき、図示しないガイド部の案内作用で起立変位を開始し、最下位置pでは完全な起立姿勢となってスプロケット10b回りの円弧bを描いて前上方へ向けて移動され、続いてガイド部11の案内作用で起立姿勢を保持されつつ装置フレーム5aの前縁cに沿って斜め後上方へ移動され、最上位置近傍に達したとき、倒伏変位を開始し、スプロケット10a回りを移動しつつ完全な倒伏姿勢となった後、再び装置フレーム5aの後縁aに沿って下降するものとなされている。
【0020】各タイン7には弾性変形可能なようにゴム材若しくはゴム相当材で形成されたタインキャップ体12が延長状且つ外嵌状に係着してある。この際、タインキャップ体12の内面には2つの突起12a、12bが設けてあり、タインキャップ体12の係着状態では前記突起12a、12bがタイン7のリブ7a、7bに係止される。
【0021】図2に示すように、掻込み装置2は左右一対の横向き掻込み要部13、13からなるもので、各掻込み要部13の係止突起13aを掻込み装置2の先端部外方からこの装置2の中央箇所へ向けて周回移動させ、続いて斜め上方へ移動させることにより、縦向き引起こし装置5の引き起こした茎葉部w1をこの装置2の下部中央へ掻き込んで斜め上方へ押し上げる構成となしてある。
【0022】挟持搬送装置3は左右一対の横向き挟持搬送要部14、14を備えており、各引抜き搬送要部14は前後配置された一対のプーリに搬送ベルト15を掛け回して形成したものであり、この際、これら要部13、13の搬送ベルト15、15を対向状に配置して搬送ベルト15、15間を分草装置1の巾中央に合致させ、これを挟持搬送経路kとなすと共に、この搬送経路kで搬送ベルト15、15が後方へ移動するものとなす。
【0023】この挟持搬送装置3は、掻込み装置2の掻き込んだ茎葉部w1の比較的上部を挟持搬送経路kの搬送始端に受け取り、続いて搬送ベルト15で挟持して斜め後上方へ搬送し、この搬送過程で、図7等に示す掘起こし刃16がこの搬送に先行して膨軟とした畝U上の根部w2を土中から引き抜く構成となしてある。挟持搬送装置3の後部にはこの搬送装置3の搬送した茎葉部w1を受け継いで畝間溝n内へ落下させるものとした茎葉放出装置3aが設けてあり、また機体特定位置にはこの茎葉放出装置3aから放出された茎葉部w1を地面に導くためのゴム板等からなる茎葉放出ガイド3bが吊設されている。
【0024】搬送ベルト15、15の下方には図3、図7、図8、図9及び図11に示すように茎葉下部補助送り装置17が設けてある。この下部補助送り装置17は左右一対の下部送り要部17a、17aからなり、これの送り方向の上り傾斜は挟持搬送装置3のそれよりも緩やかになすと共に、前後一対の端部プーリに多数の突起18aの列設された無端状の下部送りベルト18を掛け回して形成する。この際、一対の下部送りベルト18、18は対向させ、これらベルト18、18間を茎葉下部の送り経路k1となすと共に、この送り経路k1でこれらベルト18、18が後方へ移動するものとなす。
【0025】図2,図3、図7、図8及び、図9〜図12等に示すように、茎葉切断装置4は挟持搬送装置3の前部下方で茎葉下部補助送り装置17の下側近傍に設けてあって、茎葉下部補助送り装置17に概ね沿わせた茎葉誘導案内体19と、この茎葉誘導案内体19の後部上側に水平向きに装着したカッタ20とを備えてなる。
【0026】この際、茎葉誘導案内体19は隣接した左右の野菜条列R1、R2の茎葉部w1、w1が上下方向へ通過するようになされ且つその根部w2、w2が上方へ通り抜けることのできない程度の巾を有する二つの誘導案内路19b、19bを形成したものとなすのであって、さらに具体的には一枚の板部材に左右一対の切欠溝km、kmを平面視後拡がりのハ字状配置に形成し、これら切欠溝km、kmの左右側縁近傍の板部材下面箇所に合成樹脂材又はその相当品からなる摺らし板19a、19a、19a(図11中に仮想線の斜線で示す)を付設した構成となす。
【0027】この際、各誘導案内路19bの巾b1は凡そ25mm〜40mm程度となす。この巾b2が小さすぎると、茎葉部w1の後方への円滑な案内作用が得られず、逆に広すぎると、正確な案内作用が得らず過度は根部の持ち上がりが生じるのである。
【0028】また左右一対の各誘導案内路19b、19bの左右の前後向き側縁のうち他方の誘導案内路19bの存在する側である前後向き側縁b2、b2間の誘導案内路19b、19b前端位置での距離L3は実際上30mm〜40mm程度となされる。一方、左右一対の各誘導案内路19b、19bのカッタ20の切断位置での巾b1中心間距離L2は凡そ100mm〜130mm程度となされる。
【0029】カッタ20は外周縁に鋸刃を形成された円盤刃となすと共に、縦軸20a回りの矢印方向sへ回転駆動され、前記誘導案内路19b、19bの最後部へ向かう茎葉部w1をその下部で根部w2から切り離すものとなす。
【0030】このカッタ20はこれの支持位置を機体に対し斜め後上方へ位置変更操作し得るものとした図11に示す支持手段100を介して固定され、この支持手段100の位置変更操作によりその高さを変化させて茎葉部w1の切断高さ位置を調整するものとなされている。この際、カッタ20は図10にその一部を示すように茎葉補助送り装置17の突起18aの移動経路の上側にも移動可能となすのであって、例えば、支持手段100を機体から分離させて行うか、カッタ20を縦軸20aから取り外す等して移動させるようになす。
【0031】カッタ20の高さは例えば、玉葱wが早生種の場合は根部w2側に2.5cm〜3.5cm程度の長さの茎葉部w1が残るように決定され、また玉葱wを掛け吊り貯蔵するときは20cm程度の茎葉部w1が根部w2側に残るように決定され、またコンテナ貯蔵するときは8cm〜10cm程度の茎葉部w1が根部w2側に残るように決定される。
【0032】さらに、平面視で一つの誘導案内路19bの巾b1内に位置するカッタ20部分の外周縁の回転方向が斜め後方へ向かうものとなるそのカッタ20部分に対応した誘導案内路19bの上側箇所でカッタ20の近傍となる箇所には、この案内路19bに案内された茎葉部w1をその切断時に受け止めるための茎葉受け部材ksを設ける。図示例ではこの茎葉受け部材ksは支持部ks1を介して茎葉誘導案内体19と同体状にボルト固定されている。
【0033】上記縦軸20aは挟持搬送装置3の下方に配置された伝動ケース101の前部に回転自在に装着されており、この伝動ケース101の後部には入力軸102が回転自在に装着されている。この伝動ケース101は縦軸20aを回転駆動するための駆動力をその入力軸102から縦軸20aまで同一平面上で伝動するチェーン伝動ケースとなされるのであって、具体的には、縦軸20aにスプロケット103を固定する一方、入力軸102にもスプロケット104を固定し、これらスプロケット103、104間に無端状のチェーン105を掛け回してなる。このチェーン伝動ケース101は平面配列される歯車列を内包させ、この歯車列により動力が同一平面上を伝動されるものとした歯車伝動ケースで置き換えても差し支えないものである。
【0034】そして、このチェーン伝動ケース101は平面視形状を概ね長方形となされてあって、挟持搬送装置3の下方で茎葉下部補助送り装置17の突起18aの移動経路の終端上側箇所に、その伝動方向が機体の前後方向に対し左右へ傾斜した状態となるように配置し、且つ、この伝動ケース101の入力軸102及びその周辺を前記挟持搬送装置3により搬送される茎葉部w1の移動経路106から外して位置させてある。
【0035】この際、平面視において茎葉部w1の移動経路106(図11参照)とチェーン伝動ケース101とが重なり合う範囲である茎葉接触範囲(茎葉部と接触する可能性のある範囲という意味である)の前端部形状を前方へ向かう凸状に形成する。図11において茎葉接触範囲の前端部は円弧面部u1とこれに連続した垂直平面部u2とで形成され、前方から後方へ搬送される茎葉部w1の下部がここに衝突して接触しても左右に分離されつつ円滑に後方へ滑り移動されるようになされている。
【0036】上記伝動ケース101の入力軸102箇所にはベベルギヤケース107が上方へ凸状となるようにボルト固定してあり、このケース107には横向き軸108を回転自在に装着し、この横向き軸108と入力軸102とを連動連結させるためのベベルギヤ109を内包させている。ベベルギヤケース107の外面にはカッタ20及び伝動ケース101を機体に支持させるため前記支持手段100が固定されており、この支持手段100が挟持搬送装置3の装置フレームに斜め後上方への移動操作可能にボルト固定されている。
【0037】一方、図3に示すように機体の進行方向右側部には前後方向の伸縮変形可能となされたカッタ駆動用前後向きケース110が装設してあり、この前後向きケース110の前部に横向き軸111を回転自在に装着し、且つ、この横向き軸111と、ベベルギヤケース107側の横向き軸108とを一対のユニバーサルジョイント112、113及び中間軸114で連動連結している。これにより、カッタ駆動用前後向きケース110の横向き軸111の回転が、任意の高さに位置変更された後のカッタ20に支障なく伝達されるようになる。
【0038】前記掘起こし刃16は土中を進むものとした水平状の刃部16aとこの刃部16aを支持する縦向きアーム部16bとを備えたもので、挟持搬送装置3の搬送始端下方にその刃部16aが位置するように配置され、縦向きアーム部16bの長さ途中を横向き軸21を介して機体の固定部22に支持させてある。この掘起こし刃16は動力により横向き軸21回りへ揺動される構成となし、また縦向きアーム部16bは収穫中の野菜wの条列R1、R2とこれらの条列に隣接した未収穫野菜wの条列R3との間に位置されると共に、刃部16aは収穫中の2条分の野菜wの条列R1、R2の下方の土を同時に膨軟化させるものとなす。
【0039】堀起こし刃16に関連させて切刃体23を設けるのであって、具体的には、図13等に示すように、縦向きアーム部16bの一部で前記横向き軸21よりも下方箇所に前向き支持板115を固定し、この支持板115から斜め後方へアーム板116を延出させてこれの前端部を前向き支持板115に上下揺動自在に軸着し、このアーム板116の後端部に円盤状の切刃体23を回転自在に軸着すると共に、アーム板116を下方へ付勢するためのスプリング117を係着し、さらにアーム板116が特定位置より下方へ揺動するのを規制するためのストッパ118を前向き支持板115に突設している。この際、切刃体23の外周囲は先鋭状の鋸刃となされる。この切刃体23は機体の進行に伴って前向き支持板115及びアーム板116を介して前方下方へ引き移動され、且つ堀起こし刃16の前後上下の揺動に連動して前後上下に揺動され畝Uを被ったマルチフィルムmをその巾中央で円滑に切断するものなる。
【0040】図1〜図3、図8、図10、図11、図12、図14及び図15に示すように上記分草装置1の各縦向き引起こし装置5の下端部近傍には畝Uを被ったマルチフィルムmを案内し押さえるためのフィルム案内押さえ棒24a、24b、24cが設けてある。これらフィルム案内押さえ棒24a、24b、24cは収穫している野菜条列R1、R2の左右両側部の畝Uを被っているマルチフィルムm部分を各縦向き引起こし装置5の下端部から挟持搬送装置3の茎葉挟持開始位置までの間でのみ地面に近接させるように押圧するものとなしてある。
【0041】左右端側のフィルム案内押さえ棒24a、24bは左右対称構造になしてあって、最右端側のものについて説明すると、図14に示すように縦向き引起こし装置5の装置フレーム5aに縦向き支持板eを長孔と固定ボルトにより高さ変更調整自在に固定し、この支持板eの下端部からフィルム案内押さえ棒24aを後方へ向けて延出させている。図14中、仮想線kaは縦向き支持板eの位置をその長孔の範囲内で下方へ移動させてフィルム案内押さえ棒24aの高さを下げた状態を示す。
【0042】フィルム案内押さえ棒24a、24bは機体進行中にマルチフィルムmを円滑にこれの後部下面側へ案内させるため前部を前上がりの円弧状部g1となし、且つ、タイン7及びタインキャップ12による茎葉部w1の掬い上げを安定的となすため、この円弧状部g1を、タインキャップ12の先部がマルチフィルムmを下方へ押圧する範囲近傍に位置させると共に、最下部g2をなす直状部を、タインキャップ12の先部がマルチフィルムmの押圧を開始する箇所に位置させている。そして、左右何れのフィルム案内押さえ棒24a、24bの後端部g3もマルチフィルムmとの局部的な接触を避けるため後方へ向け反り上げるようになされている。この際、フィルム案内押さえ棒24aの後端は挟持搬送装置3の茎葉挟持開始位置よりも前方でしかも切刃体23の前縁の側方近傍に位置させて切刃体23によるマルチフィルムmの分断を的確に行えるようになし、またフィルム案内押さえ棒24bの後端は挟持搬送装置3の茎葉挟持開始位置よりも前方であればよいのであるが、構造の対称性を確保するためフィルム案内押さえ棒24aの後端と同一の前後位置となす。
【0043】中央のフィルム案内押さえ棒24cは茎葉下部分草部材と兼用するもので、図10に示すように縦向き引起こし装置5の装置フレーム5aに縦向き支持板e1をボルトにより固定し、この支持板e1の下端部から後方へ向けて延出させ、その後端を茎葉誘導案内体19の左右の誘導案内路19b、19bの前端の相互間部位p1にボルト固定している。このフィルム案内押さえ棒24cは前記フィルム案内押さえ棒24aの場合に準じてマルチフィルムmを地面に近接させるように押さえる最下部gk2と、この最下部gk2の前方に連続して形成された前上がり状の円弧状部gk1と、さらに最下部gk2の後方に連続して最下部gk2と概略同一高さで後方へ向かわせた最下部延長部g4と、最下部gk2又は最下部延長部g4の長さ途中から斜め後上方へ向かうものとした傾斜部gk3とを備えたものとなされる。そして、主要棒部材hの長さ途中からは横側分岐棒g5を斜め後下方且つ横方へ向かわせ続いて最下部gk2と概略同一高さで後方へ向かわせている。この際、円弧状部gk1、最下部gk2、最下部延長部g4及び横側分岐棒g5が主にフィルム案内押さえ機能を発揮し、また傾斜部gk3が主に茎葉下部分草機能を発揮する。
【0044】上記フィルム案内押さえ棒24a、24b、24cのそれぞれの縦向き支持板e、e1にはその対応する円弧状部g1、gk1に関連させて図9、図10に示すような円形フィルム案内体241を横向き軸242回りの回転自在に設け、この円形フィルム案内体241が機体の進行中に円弧状部g1、gk1に先んじてマルチフィルムmに接して回転しつつこれを下方へ押さえ込むようになしてある。この円形フィルム案内体241は必ず設けなければならないものではなく省略しても差し支えないものである。
【0045】図7、図8及び図15に示すように、茎葉切断装置4の後方にはマルチ集束機構が形成してある。このマルチ集束機構は走行車両部Bの左側部分に装着された三角枠状の集束ロッド25と、このロッド25より後方で茎葉切断装置4の真後ろの特定位置に設けられた集束ローラ26とを備えている。
【0046】集束ロッド25は機体の進行中、これの対応する畝肩部を被覆したマルチフィルムmと畝肩部をなす土面との間に進入してマルチフィルムmを連続的に畝肩部から剥がすものであり、また集束ローラ26は集束ロッド25で剥がされ切刃体23で巾方向を二分されたマルチフィルムmをその巾が漸次狭まるように支持し機体の進行に伴って後方へ狭巾状となして送り出し、収穫跡の畝U上に降下させるものである。
【0047】図1〜図3に示すように、走行車両部Bは左右一対の走行車輪27、27、これに支持される車両フレーム22、この車両フレーム22の前部を支持するためのゲージ輪28、車両フレーム22の後部に固定されたエンジン29、及び、エンジン29の後方へ張り出させた操縦ハンドル30を備えている。
【0048】エンジン29の下部寄り側部にミッション31が設けられ、このミッション31及びエンジン29の下側に左右向きの伝動ケース32が設けられている。この際、伝動ケース32のゲージ輪28側でない側の一部箇所を左右方向の伸縮可能部33となし、この伸縮可能部33を伸縮させるための操作機構34を設ける。そして、伝動ケース32の両端部にはファイナルケース35、35が設けてあり、このファイナルケース35の先端部に走行車輪27、27が装着されている。
【0049】ゲージ輪28は車両フレーム22と同体に固定された傾斜状支持筒部36の下端に回転自在に軸着されており、傾斜状支持筒部36の上部と操縦ハンドル30との間に回転操作ハンドル37が架設されている。このハンドル37の回転操作により傾斜状支持筒部36の長さが変化して、車両フレーム22に対するゲージ輪28の高さが変化されるものとなされている。
【0050】エンジン29の動力伝達系統は次のようになされている。即ち、図4に示すように、エンジン29の回転をミッション31に伝達させ、次にミッション31から左右向きの伝動ケース32、ファイナルケース35、35及び操向クラッチ38、38を経て走行車輪27、27に伝達させる。
【0051】ミッション31内の前部では前後向きの作業出力軸39とエンジン29動力の伝動系統とを結合させる。そして作業出力軸39にはベベルギヤ40を介して横向き駆動軸41を連動連結させる。
【0052】上記横向き駆動軸41の右端部にはクランク42を形成する。また横向き駆動軸41の中央にはウオーム43を設け、これに噛み合わさせたウオームホイール44を介して、横向き駆動軸41と挟持搬送装置3用の駆動軸45とを連動連結させる。
【0053】この駆動軸45は各挟持搬送要部14の後側のプーリの中心軸46、46にチェーン伝動機構等を介して結合させ、また中心軸46の回転が搬送ベルト15を介して伝達される前側のプーリの中心軸47を、掻込み装置2と茎葉下部補助送り装置17のそれぞれの後側のプーリの中心軸48、48に連動連結させる。
【0054】横向き駆動軸41の右端部からは前後向き伝動筒ケース49を延出させ、この伝動筒ケース49内の前後向き駆動軸50の後端と前記横向き駆動軸41をベベルギヤ51を介して結合させ、また前後向き駆動軸41の前端と、縦向き引起こし装置5のタイン7を作動させるための上部スプロケット軸52とをベベルギヤ53を介して結合させる。
【0055】また横向き駆動軸41のクランク42に前後向き連結ロッド54の一端を結合させると共に、このロッド54の他端を掘起こし刃16の縦向き支持アーム部16bの上端に結合させ、クランク42による連結ロッド54の前後変位が掘起こし刃16に伝達されるようになす。
【0056】さらに横向き駆動軸41の適当箇所にベベルギヤ55を設け、このベベルギヤ55からスプライン結合による伸縮可能な前後向き回転軸56を延出させ、この回転軸56にベベルギヤ119を介して横向き軸111を連動連結させ、さらにこの横向き軸111をユニバーサルジョイント112、スプライン結合による伸縮自在な中間軸114、ユニバーサルジョイント113、横向き軸108、ベベルギヤケース107及び伝動ケース101を介してカッタ20に連動連結させる。この際、前後向き回転軸56は図3等に示すカッタ駆動前後向きケース110に内包され、また横向き軸111、ユニバーサルジョイント112、中間軸114、ユニバーサルジョイント113は図3に一部が示された折れ曲がり変形可能なケース120により包囲される。
【0057】次に、上記のように構成した収穫機を使用して、マルチフィルムmで被われた畝U上に植生した野菜wの一種である玉葱を収穫する際の作動について説明する。図1〜図3に示すように機体を畝Uの長手方向に沿わせ、左右の走行車輪27、27を一つの畝Uの左右の畝間溝nに位置させ、機体が畝Uを跨いだ状態とする。次に必要に応じて回転操作ハンドル37を回転操作してゲージ輪28を機体に対し上方へ変位させ、分草装置1、掻込み装置2、掘起こし刃16、切刃体23、円盤カッタ20及び挟持搬送装置3を玉葱wの収穫処理に最適な高さとする。これにより、フィルム案内押さえ棒24a、24b、24cは収穫すべき2条分の野菜条列R1、R2の左右両側に位置し、縦向き引起こし装置5の下端部から挟持搬送装置3の茎葉挟持開始位置までの間で畝Uを被ったマルチフィルムmをその最下部g2、gk2で地面に近接させるように押さえ付けた状態となる。また各縦向き引起こし装置5のタイン7及びタインキャップ体12はその移動軌跡の最下位置で畝Uを被ったマルチフィルムm上面に接し地面を押圧する状態となる。
【0058】この後、各部を作動状態として機体を走行させる。機体の前進時、フィルム案内押さえ棒24a、24b、24cはマルチフィルムm上を前進するのであって、この進行中、各縦向き引起こし装置5の下端部から挟持搬送装置3の茎葉挟持開始位置までの間で畝Uを被ったマルチフィルムm部分を常に安定的に地面に近接させる。この一方では各縦向き引起こし装置5のタイン7及びタインキャップ体12がその移動軌跡の最下位置近傍に達し次々と起立姿勢となってフィルム案内押さえ棒24a、24b、24cの最下部g1、gk1で地面に近接された状態のマルチフィルムm部分を押圧しつつ前上方へ回行移動する。この際、タインキャップ体12は地面からの反力で図5等に示すように後方へ折れ曲がり、マルチフィルムm上面を滑り移動し、この移動中にマルチフィルムm上に倒伏している2条分の野菜条列R1、R2の茎葉部w1を確実に掬い上げる。この後はタイン7及びタインキャップ体12が掬い上げた茎葉部w1を斜め後上方へ引き上げるように作用し、これにより各野菜条列R1、R2の茎葉部w1は隣接する玉葱w条列の茎葉部w1との絡みを分離されつつ引き起こされる。
【0059】このように処理された茎葉部w1は機体の進行により掻込み装置2に到達するのであり、掻込み装置2は2条分の野菜条列R1、R2の茎葉部w1を挟持搬送装置3の茎葉挟持開始位置に送り込む。挟持搬送装置3はその送り込まれた2条分の茎葉部w1を茎葉挟持開始位置で同時に挟持し、続いて斜め後上方へ挟持搬送するものとなる。
【0060】一方では、切刃体23が掘起こし刃16の揺動に連動して前後及び上下へ揺動されつつ前方へ引き移動され、土との摩擦で回転し、マルチフィルムmの巾中央を切り離し図15に示すようにそれを左右に二分する。
【0061】掘起こし刃16は切刃体23で切り離されたマルチフィルムm部分に形成された開口から土中に進入した状態となり、その刃部16aが収穫中の2条列R1、R2分の玉葱wの根部w2の下方を前後及び上下へ揺動されつつ前進され2条分の根部w2周辺の土を膨軟となす。この際、掘起こし刃16の縦向きアーム部16bは先に切刃体23で形成されたマルチフィルムmの開口内に位置しているためマルチフィルムmと強く接触することなく、マルチフィルムmの後処理を困難になすようなマルチフィルムmの変形を生じさせるものとならない。
【0062】挟持搬送装置3による茎葉部w1の挟持搬送が進行するに伴って、茎葉部w1は漸次上昇され、その根部w2に上方への引張力が作用し、根部w2は土中から徐々に上昇される。この際、マルチフィルムmは根部w2と共に地上に引き上げられるのであり、この根部w2の引上げ初期ではマルチフィルムmは図12に示すようにフィルム案内押さえ棒24a、24b、24cで三カ所を地面に近接された状態に保持され、また根部w2の引上げ後期ではこの根部w2の左右のマルチフィルムm部分はもはや左右端側や中央のフィルム案内押さえ棒24a、24b、24cと接触していないため、これら押さえ棒24a、24b、24cによる過度な拘束は受けず、根部w2は円滑に引き上げられて地中から抜き上げられる。この抜き上げ中、中央のフィルム案内押さえ棒24cの傾斜部gk3は茎葉下部分草部材としての機能を奏するのであって、即ち、収穫中の2条列R1、R2の玉葱wを各条列R1、R2に分別した左右配置に保持する。
【0063】この後、さらに挟持搬送装置3による茎葉部w2の挟持搬送が進行すると、収穫中の各条列R1、R2の根部w2は茎葉誘導案内体19の下面に各条列R1、R2に分別された状態で到達し、茎葉下部補助送り装置17から茎葉部w1下部に付与される後方送り力で後方移動を補助されつつ、その対応する各誘導案内路19bを通じて円盤カッタ20へ向け移動される。
【0064】各条列R1、R2の根部w2が茎葉誘導案内体19に達した後にもその茎葉部w1は挟持搬送装置3により斜め後上方へ搬送されるようになり、この際、各条列R1、R2の根部w2は茎葉誘導案内体19よりも上方へ移動するのをこの茎葉誘導案内体19のそれら根部w2に対応した誘導案内路19bで規制されるため、各条列R1、R2の茎葉部w1は緊張状態となって円盤カッタ20に達する。
【0065】このような誘導案内路19b、19b内での玉葱wの移動中、玉葱wの根部w2の上面は摺らし板19aに圧接されるが摺らし板19aの低摩擦性や良撓み性により玉葱wが損傷することは抑制されるのであり、また左右の誘導案内路19b、19bが後方へ向かうに伴って漸次左右へ離反するため茎葉部w1、w1の後方移動に幾分大きな抵抗が作用するが、茎葉下部補助送り装置17がその茎葉部w1、w1に後方送り力を付与するため茎葉部w1、w1は確実に且つ適正な速度で後方移動される。
【0066】誘導案内路19b、19b内を移動される茎葉部w1、w1がカッタ20に達した後は、その茎葉部w1、w1はカッタ20の外周縁の鋸刃で茎葉部w1下部を切断され根部w2から分離される。この際、機体左側の誘導案内路19b内の茎葉部w1はカッタ20の回転方向との関連からカッタ20による切断の際に茎葉下部補助送り装置17の送り方向へ逃げるようになって切断され難い状態になろうとするが、茎葉受け部材ksがこの茎葉部w1の逃げを阻止するように受け止めるため、効率的に切断されるものとなる。
【0067】上記した茎葉切断装置4による根部w2の処理中、畝Uを被ったマルチフィルムmは根部w2の上側に存在し、根部w2が機体後方へ搬送される程、根部w2と一緒に漸次高く持ち上げられるようになる。このようにして円盤カッタ20位置の近傍に持ち上げられたマルチフィルムm部分はこれよりも前方でフィルム案内押さえ棒24a、24b、24cが適当に地面上に押さえ付けるため、挟持搬送装置3や茎葉誘導案内体19や茎葉下部補助送り装置17等に絡み付くものとならなない。
【0068】円盤カッタ20で茎葉部w1を切り離され自由状態となった根部w2は直ちに畝U上に落下するのであり、一方、根部w2から分離されたマルチフィルムmは図15に示すように集束ロッド25で畝肩部や畝間溝nから剥ぎ取られ集束ローラ26に案内されつつ収穫跡の畝U上に放置される。なお、集束ロッド25は収穫作業開始時に手作業により畝肩部とこれを被ったマルチフィルムmとの間に位置させておく。
【0069】他方、円盤カッタ20で根部から切り離された茎葉部w1は挟持搬送装置3によりさらに斜め後上方へ搬送される。この搬送中、茎葉部w1の下部は伝動ケース101の前端部に衝突するが、その前端部は凸状であるため、その衝突の衝撃は緩和され搬送乱れは最小限に抑えられ、衝突後の茎葉部w1は円滑に後方へ案内され、やがて伝動ケース101の茎葉接触範囲から離れるものとなる。この際、伝動ケース101は厚さの薄いものとなされていることにより、茎葉部w1の下端と伝動ケース101との上下方向の接触範囲は小さいものであり、それらの衝突による抵抗は重要なものとならない。
【0070】畝U上の2条分の条列R1、R2の玉葱wが上記のように収穫処理された後は、機体を180度転向させて前とは反対向きに進行させて畝U上の残りの2条分の条列R3、R4の玉葱wを同様に収穫処理する。こうして収穫処理が終了した後、作業者は手作業によりマルチフィルムmを除去し、根部W2を拾い集める。
【0071】上記使用例では、マルチ栽培された玉葱Wを収穫する場合について説明したが、これに限定するものではなく、無マルチ栽培された玉葱w等であっても収穫することができる。この際、必要であればタインキャップ体12をタイン7から外すと共に各縦向き引起こし装置5の下部から従来同様に斜め前下方へ向け棒条のデバイダを延出させ、このデバイダにより、倒伏した茎葉部w1を掬い上げて縦向き引き起こし装置5へ送り込ませるようにする。
【0072】またカッタ20は上記図示例では根部w2から凡そ3cm程度の位置を切断するようになしているが、根部w2から8cm程度の位置或いは20cm程度の位置を切断する必要があるときは、支持手段100を移動操作して、カッタ20を茎葉下部補助送り装置17の突起18aの移動経路の上側に位置させ、適当にその上下位置を調整する。
【0073】
【発明の効果】上記した本発明によれば、次のような効果が得られる。即ち、請求項1に記載したものによれば、伝動ケースの厚さを薄くなしてカッタを低い位置で回転駆動することが可能となり、これにより玉葱等の茎葉部の切断において玉葱等を高く持ち上げる必要がなくなり、マルチ栽培された玉葱等であっても、それを地中から引き抜き続いて地上で茎葉部の下部を根部から切り離す処理を機械的に行わせることができる。また伝動ケースの厚さを薄くなして、根部から切り離された茎葉部と伝動ケースとの衝突範囲を小さくなすことにより、これらの衝突のときの茎葉部の搬送乱れや各部への詰まりを低減させ、作動の円滑性を向上させることができる。
【0074】請求項2に記載した発明によれば、スプロケットとチェーンの組み合わせ、或いは平面配列される歯車列により、これの伝動すべき駆動力をその入力軸から縦軸まで同一平面上で伝動させることができるため伝動ケースの厚さが薄くなり、これにより請求項1に記載した発明と同様の効果を得ることができる。
【0075】請求項3に記載した発明によれば、伝動ケースの入力軸箇所に高さの大きな空間を形成させ、この空間に適宜な伝動構造を配置することにより伝動系統構造を種々に形成することが可能となり、伝動系統構造の形成に際しての任意性を向上させることができる。
【0076】請求項4に記載した発明によれば、ベベルギヤケースを挟持搬送装置で搬送される茎葉部と衝突しないものとなすことができ、また駆動力を横向きの回転伝動軸からベベルギヤケースを介して入力軸に伝動させてカッタを駆動させることができ、伝動系統構造の形成が容易に行えるようになる。
【0077】請求項5に記載した発明によれば、伝動ケースと茎葉部との接触範囲を少なくなして、それらの接触による衝撃性を緩和させることができると共に、伝動ケースの後端部上方の空間の高さを大となして、伝動系統形成の任意性を一層向上させることができる。
【0078】請求項6に記載した発明によれば、茎葉接触範囲の前端部に茎葉部を非衝撃的に受け止めさせて、茎葉部と伝動ケースとの衝突による衝撃を低減させることができる。
【0079】請求項7に記載した発明によれば、伝動ケースを構造簡易且つ軽量で厚さの薄いものとなすことができる。
【0080】請求項8に記載した発明によれば、補助送り装置の突起に茎葉部の切断位置の直近に送り力を付与させて、カッタによる切断を確実に行わせることができる。
【0081】請求項9に記載した発明によれば、マルチ栽培された玉葱等を収穫することができると共に無マルチ栽培された玉葱等も収穫することができ、またカッタによる茎葉部の切り離し後に根部側に残される茎葉部の長さを、カッタの高さを調整することにより例えば30mm程度から200mm程度までの間の任意な大きさに調整することができる。
【出願人】 【識別番号】000005164
【氏名又は名称】セイレイ工業株式会社
【出願日】 平成12年1月17日(2000.1.17)
【代理人】
【公開番号】 特開2001−197815(P2001−197815A)
【公開日】 平成13年7月24日(2001.7.24)
【出願番号】 特願2000−7591(P2000−7591)