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【発明の名称】 コンバイン
【発明者】 【氏名】松沢 宏樹

【要約】 【課題】短稈刈取作業時の扱ぎ残しを防止する。

【解決手段】車速を増減する走行レバー操作手段と、エンジン回転数を目標回転数に上げ下げするアクセルレバー操作手段とを備えたコンバインであって、刈取作業時に短稈を検出したときは、上記走行レバーの操作により車速を減速する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 車速を増減する走行レバー操作手段と、エンジン回転数を目標回転数に上げ下げするアクセルレバー操作手段とを備えたコンバインにおいて、刈取作業時に短稈を検出したときは、前記走行レバーの操作により車速を減速することを特徴とするコンバイン。
【請求項2】 刈取作業時に短稈を検出したときは、前記走行レバー操作による車速減速とともに、刈取部及びフィードチェーンの搬送速度を減速することを特徴とする請求項1記載のコンバイン。
【請求項3】 エンジン回転数を目標回転数に上げ下げするアクセルレバー操作手段を備え、エンジンの回転数を定格回転に調整するべくアクセルレバーを自動調整するコンバインにおいて、刈取作業時に短稈を検出したときは、扱胴回転速度を増速することを特徴とするコンバイン。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、短稈刈取作業時の扱ぎ残しを防止できるようにしたコンバインに関するものである。
【0002】
【従来の技術】エンジン回転数を目標回転数に上げ下げするアクセルレバー操作手段と、車速を増減する走行レバー操作手段とを備えるとともに、走行レバー操作手段にアクセルレバー操作手段を連動させ、走行レバー操作手段を増速側に移動するとアクセルレバーもそれにつれてエンジン回転数を上げる方へ動かし、走行レバー操作手段を減速側に移動するとアクセルレバーもエンジン回転数を下げる方向へ動かすことにより、エンジンの回転数を定格に保つようにしたアクセル制御型のコンバインが知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、このような従来のコンバインの車速制御では、穀稈状態に関係なく一律エンジン回転を定格に保持するために、負荷状態に合わせて車速調整を行うが、短稈の場合は浅扱ぎぎみに脱穀部に搬送されると想定され、扱胴に接する機会が通常に比べれば少ないと考えられ、扱ぎ残しが多く発生する。本発明は、上記従来の問題を解決するためになされたものであって、その目的とするところは、短稈刈取作業時の扱ぎ残しを防止することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】かかる目的を達成するために、請求項1の発明は、車速を増減する走行レバー操作手段と、エンジン回転数を目標回転数に上げ下げするアクセルレバー操作手段とを備えたコンバインにおいて、刈取作業時に短稈を検出したときは、前記走行レバーの操作により車速を減速することを特徴とする。また、請求項2の発明は、請求項1において、刈取作業時に短稈を検出したときは、前記走行レバー操作による車速減速とともに、刈取部及びフィードチェーンの搬送速度を減速することを特徴とする。また、請求項3の発明は、エンジン回転数を目標回転数に上げ下げするアクセルレバー操作手段を備え、エンジンの回転数を定格回転に調整するべくアクセルレバーを自動調整するコンバインにおいて、刈取作業時に短稈を検出したときは、扱胴回転速度を増速することを特徴とする。
【0005】
【発明の実施の形態】以下に、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1は、本発明に係わるコンバインの一例を示す全体側面図である。本発明に係わるコンバインは、コンバインのクローラaと、クローラ駆動軸bと、刈取部cと、刈取った穀稈を搬送しながら脱穀機に供給するフィードチェーンdと、脱穀した穀物を貯留する穀物タンクeと、貯留した穀物を機外へ排出するオーガfとを有している。
【0006】図2は、本発明に係わるコンバインの運転席のスイッチ配置図である。走行レバー(以下、HSTレバーと称する)1は、前後に傾動して車速を増減するもので、図の中立(ニュートラル)位置から前方に倒すと前進方向に増速し、後方に倒すと後進方向に増速する。そして、前進あるいは後進位置から中立位置方向に戻すと減速し、中立位置で機体が停止する。アクセルレバー2は、前後に傾動してスロットルを開閉することによりエンジン回転数を上げ下げするもので、後方に倒すとスロットルが開いてエンジン回転数を上げ、前方に倒すとスロットルが閉じてエンジン回転数を下げる。
【0007】そして、本発明に係わるコンバインは、車速を増減するHSTレバー1にエンジン回転数を上げ下げするアクセルレバー2を連動させ、エンジンの回転数を定格に保つようにしたアクセル自動制御装置を備えている。
【0008】前述したように、本発明に係るコンバインは、刈取作業時に短稈を検出したときは、前記HSTレバー1の操作により車速を減速することを特徴とするものである。また、短稈を検出したとき、前記HSTレバー1の操作による車速減速とともに、刈取部c及びフィードチェーンdの搬送速度を減速することを特徴とするものである。
【0009】図3はコンバインの刈取部cの内部構造を示す図、図4はコンバインの運転席の内部構造を示す図、図5はHSTレバーの駆動関係を示す斜視図である。図3に示すように、刈取部cの先端付近の所定位置に穀稈センサ3を配置するとともに、その上流側の所定位置の2箇所に短稈センサ4を配置している。また、図4及び図5に示すように、HSTレバーモータ5の駆動により、該モータ5の出力軸と係合しているHSTレバー1を前後に傾動させる。HSTレバー1の操作により、変速機6を介して伝動機構(ミッション)7へと伝達し、車速を増減速できるように構成されている。
【0010】図6は本発明に係るコンバインの車速制御のフローチャートである。このフローに従い処理を開始すると、エンジン回転が500rpm以上で回転している場合であって、脱穀レバーが入りの状態で、穀稈センサ3がオン、短稈センサ4がオフの時は、短稈の刈取作業を行っているものと判断し(ステップ1〜4)、このときのHSTレバー1のポジションが所定の増速側位置にあるかどうかをポジションセンサで検出する(ステップ5)。このときHSTレバー1が増速側位置にある場合は、車速を減速するべくHST減速出力要求を行う(ステップ6)。この出力要求により、HSTレバーモータ5を駆動してHSTレバー1を減速側に傾け、車速を減速する。
【0011】また、上記のHSTレバー1による減速と共に、刈取部cの搬送速度及びフィードチェーンdの搬送速度を減速することにより、稈の扱胴との接触時間を長くして扱ぎ残しを減少させることが可能となる。
【0012】一方、短稈刈取作業時は、扱胴回転速度を増速することでも、稈の扱胴との接触をより多くして扱ぎ残しを減少させることができる。扱胴の回転速度を速くする方法としては、アクセルレバー2を自動操作してエンジン回転を定格より増加させエンジン回転数自体を上げるようにする方法がある。このとき、フィードチェーンdの搬送速度が同時に速くならないように、例えばベルコン、割りプーリ等の変速装置によってフィードチェーンdの搬送速度を落とすようにする。
【0013】図7はこのようなアクセル制御のフローチャートである。このフローに従い処理を開始すると、脱穀レバー及びアクセル自動制御(IQアクセル)スイッチが入りの状態で、穀稈センサ3がオンで、短稈センサ4がオフの時は、短稈の刈取作業を行っているものと判断し(ステップ7〜10)、このときのエンジン回転が定格+100rpmよりも小さいかどうかをエンジン回転センサで検出する(ステップ11)。このときエンジン回転が定格よりも低ければアクセル開の出力要求を行う(ステップ12)。この出力要求により、アクセルレバー2を自動操作してエンジン回転を定格よりも上げることで、扱胴の回転速度を増速する。なお、扱胴回転速度を増速する手段は、上述のエンジン回転を上げることによる方法に限定されるわけではない。
【0014】次に、本発明に関連して、緊急停止スイッチが入力された時はアクセル自動制御を停止する制御機能を備えたコンバインについて説明する。図8はこのような制御のフローチャートである。エンジンが作動中(エンジン回転が500rpm以上)で、アクセル自動制御スイッチが入っているとき、何らかの緊急事態発生により機体側面に設置した緊急停止スイッチ8(図1参照)がオンされた場合は(ステップ13〜15)、そのときにアクセル自動開出力要求がされているときはその出力要求をリセットし、アクセル自動開出力要求がされているときはその出力要求をリセットして(ステップ16〜19)、アクセル自動制御による出力を停止させる。
【0015】このように緊急時にアクセル自動制御を停止させることで、エンジン急停止を阻害させないようにして危険状態を回避するとともに、燃料の無駄な使用が抑えられる。
【0016】次に、本発明に関連して、緊急停止スイッチが入力された時はアクセル自動制御によりアクセルレバー2を全閉に位置づける制御機能を備えたコンバインについて説明する。図9はこのような制御のフローチャートである。エンジンが作動中(エンジン回転が500rpm以上)で、アクセル自動制御スイッチが入っているとき、何らかの緊急事態発生により機体側面に設置した緊急停止スイッチ8(図1参照)がオンされた場合は(ステップ20〜22)、そのときにアクセルレバー2が全閉に位置づけられているかどうかを判定する(ステップ23)。全閉に位置づけられていない場合は、アクセル自動閉出力要求をセットして(ステップ24)、アクセルレバー2を全閉位置まで操作する。
【0017】このように緊急時にアクセルを全閉に位置づけることで、エンジン急停止を阻害させないようにして危険状態を回避するとともに、燃料の無駄な使用が抑えられる。
【0018】次に、本発明に関連して、コンバインの旋回制御について説明する。前述の図2において、パワステレバー9は、前後左右に傾動して刈取部cの上げ下げと機体の旋回を操作するもので、中立位置から後方に倒すと刈取部cが上昇し、前方に倒すと刈取部cが下降する。また、左側に倒すと機体が左旋回し、右側に倒すと右旋回する。また、旋回設定レバー10は、旋回モードを切換えるためのもので、前方に倒すとスピンターン、後方に倒すとマイルドターンが選択される。
【0019】ところで、スピンターンは走行負荷が高いので、そのまますぐにスピンターンを始めるとエンジンの回転が落ちて、脱穀作業中の場合は選別性能が悪くなる。また、脱穀作業中のような高負荷時の旋回は、旋回側のサイドクラッチの解除に時間を要し、そのまま旋回切換出力を行うと、サイドクラッチと切換クラッチの両方が同時に継がる状態が起こり、旋回不能となる場合がある。
【0020】そこで、上記の場合、いわゆるブレーキターンからスピンターンへ切り換わる時間を長くし(つまりタイミングを遅らせて)、トランスミッションの負荷を軽くするようにする。すなわち、旋回設定レバー10が旋回位置(スピン又はマイルド)にある時、パワステレバー9の左・右操作に連動して、操行側の車輪を逆転させることで旋回する機能を有する場合、旋回設定レバー10が旋回位置で、パワステレバー9が旋回切換出力位置にある時、脱穀レバーが入りであれば、高負荷作業中と判断し、旋回切換出力を所定時間遅延させて行う。
【0021】図10はこのような制御のフローチャートである。車速が0.1m/s以上の走行時、旋回設定レバー10が旋回位置で、パワステレバー9が旋回切換出力位置にある時、脱穀レバーが入りであれば、高負荷作業中と判断する(ステップ30〜33)。このとき、パワステレバー9が中立位置あるいはブレーキ位置にあれば、左右旋回切換出力のディレータイマをセットし(ステップ36)、所定時間を遅延させ、タイマアップした後、旋回切換出力を行う(ステップ37、38)。
【0022】図11はパワステ操作の概要を示す図である。旋回機能は、ブレーキ(操行側逆転しない、通常の方向変化、サイドクラッチのみ)、マイルド(操行側逆転、旋回切換クラッチにて)、スピン(操行側逆転、旋回切換クラッチにて)のモードがあり、これらのモードは旋回設定レバー10によって選択される。そして、スピン又はマイルドモード時は、同図に示すように、パワステの左右の傾き角でその動作が開始される。パワステがそれぞれその操作角度にないときはブレーキモード時と同じ動作となる。
【0023】また、図12の制御フローチャートは、上述の図10のフローチャートと同様であるが、走行時、旋回設定レバー10が旋回位置で、パワステレバー9が旋回切換出力位置にある時、穀物タンクe内に設置した籾センサが4段目以上反応していれば(ステップ39)、高負荷作業中と判断し、そのときは、旋回切換出力を所定時間遅らせて行うものである。
【0024】また、たとえば条の端に来たとき穀稈センサ3(図3参照)がオンからオフに切換わり刈取終了を検出した場合、それより所定時間内は刈取った稈の脱穀作業中で高負荷状態であるから、スピンターンへの移行を遅らせる必要がある。図13はこのような場合の制御フローチャートを示しており、走行時、旋回設定レバー10が旋回位置で、穀稈センサ3がオンからオフに切換わったときは、それから走行距離が所定距離以内ならば(ステップ40、41、42)、高負荷作業中と判断し、そのときは、旋回切換出力を所定時間遅らせて行うものである。
【0025】また、図14の制御フローチャートは、走行時、旋回設定レバー10が旋回位置で、パワステレバー9が旋回切換出力位置にある時、傾斜センサが所定値以上傾斜していることを検出したときは(ステップ43)、高負荷作業中と判断し、そのときは、旋回切換出力を所定時間遅らせて行うものである。
【0026】また、図15の制御フローチャートは、走行時、旋回設定レバー10が旋回位置で、パワステレバー9が旋回切換出力位置にある時、アクセルレバーが定格位置以上の開方向に位置づけられているにも拘わらず、エンジン回転が定格回転数を下回っていることを検出したときは(ステップ44、45)、高負荷作業中と判断し、そのときは、旋回切換出力を所定時間遅らせて行うものである。
【0027】また、図16は、旋回モードがスピン/マイルド時で、走行中パワステレバーをマイルド域まで操作したらアクセルレバーを全開に位置づけるようにする制御のフローチャートである。すなわち、エンジン回転が500rpm以上で、脱穀レバー及びアクセル自動制御スイッチが入りで、旋回設定レバー10が旋回位置にあり、パワステレバー9が旋回切換出力位置にある時(ステップ51〜55)、アクセルレバー2が全開に位置付けられていない場合は、アクセル開出力操作を行って(ステップ56、57)、アクセルを全開に位置付ける。
【0028】旋回操作時はエンジンに大きな負荷がかかるため、脱穀作業中であれば、旋回中に脱穀性能が低下してしまう。上述のように、旋回設定レバー10が旋回位置にあり、パワステレバー9が旋回切換出力位置にある時は、アクセルレバー2を全開に位置付けるべくアクセルの自動開操作を行い、パワステの操作角度が旋回範囲から外れた時点でエンジン回転が定格となるようアクセルレバー2を自動開閉することにより、旋回時のエンジン回転を保ち、脱穀性能の低下を防ぐことができる。
【0029】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明のコンバインによれば、刈取作業時に短稈を検出したときは車速を減速するので、短稈の扱ぎ残しを防止できる。また、刈取作業時に短稈を検出したとき、車速の減速とともに刈取部及びフィードチェーンの搬送速度を減速することにより、稈の扱胴との接触時間をより長くして、短稈の扱ぎ残しをより確実に防止できる。また、刈取作業時に短稈を検出したとき、扱胴の回転速度を増速することにより、稈の扱胴との接触機会をより多くして、短稈の扱ぎ残しを防止できる。
【出願人】 【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
【出願日】 平成12年1月12日(2000.1.12)
【代理人】 【識別番号】100077779
【弁理士】
【氏名又は名称】牧 哲郎 (外3名)
【公開番号】 特開2001−190135(P2001−190135A)
【公開日】 平成13年7月17日(2001.7.17)
【出願番号】 特願2000−3853(P2000−3853)