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【発明の名称】 刈取収穫機の刈取昇降制御装置
【発明者】 【氏名】高崎 和也

【氏名】中 珠喜

【要約】 【課題】圃場の硬軟度合いの違い等にかかわらず、分草具を刈取作業に適した高さに位置させて、刈取部の昇降操作が頻繁に繰り返される等の不都合を生じるおそれが少ない状態で、良好な刈取作業を実行することが可能となる刈取収穫機の刈取昇降制御装置を提供する。

【解決手段】茎稈を分草案内する分草具6を先端下部に備えた刈取部2が油圧シリンダCYにて走行機体Vに対して昇降操作自在に設けられ、分草具6が地面に接する接地状態であることを検出する接地検出センサS4が設けられ、油圧シリンダCYの作動を制御する昇降制御手段が、刈取部2を非作業用位置から刈取作業位置に下降させるための下降指令が指令されると、刈取部2を接地検出センサS4にて接地状態が検出されるまで下降させ、引続き、刈高さ設定用の設定量を上昇させて停止させる刈高さ設定処理を実行するように構成されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 植えられた茎稈を分草案内する分草具を先端下部に備えた刈取部が、昇降操作手段によって走行機体に対して昇降操作自在に設けられ、前記昇降操作手段の作動を制御する昇降制御手段が設けられた刈取収穫機の刈取昇降制御装置であって、前記分草具が地面に接する接地状態であることを検出する接地状態検出手段が設けられ、前記昇降制御手段が、前記刈取部を非作業用位置から刈取作業位置に下降させるための刈高さ設定用の下降指令が指令されると、前記刈取部を前記接地状態検出手段にて前記接地状態が検出されるまで下降させ、引続き、前記刈取部を刈高さ設定用の設定量を上昇させて停止させる刈高さ設定処理を実行するように構成されている刈取収穫機の刈取昇降制御装置。
【請求項2】 前記刈高さ設定用の設定量を変更調節する手動操作式の調節手段が設けられている請求項1記載の刈取収穫機の刈取昇降制御装置。
【請求項3】 前記昇降制御手段が、前記刈高さ設定処理を実行した後に、前記接地状態検出手段にて前記接地状態が検出されると、前記刈取部を前記刈高さ設定用の設定量よりも小さい突っ込み回避用の設定量を上昇させる強制上昇制御を実行するように構成されている請求項1又は2記載の刈取収穫機の刈取昇降制御装置。
【請求項4】 前記昇降制御手段が、前記刈取部を前記刈取作業位置から前記非作業用位置に上昇させるための非作業切換用の上昇指令が指令されると、前記刈取部を前記非作業用位置に上昇させるように構成されている請求項1〜3のいずれか1項に記載の刈取収穫機の刈取昇降制御装置。
【請求項5】 前記刈取部の前記走行機体に対する昇降位置を検出する昇降位置検出手段が設けられ、前記昇降制御手段が、前記刈高さ設定処理において、前記昇降位置検出手段の検出情報に基づいて、前記刈取部を前記刈高さ設定用の設定量を上昇させるように構成されている請求項1〜4のいずれか1項に記載の刈取収穫機の刈取昇降制御装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、植えられた茎稈を分草案内する分草具を先端下部に備えた刈取部が、昇降操作手段によって走行機体に対して昇降操作自在に設けられ、前記昇降操作手段の作動を制御する昇降制御手段が設けられた刈取収穫機の刈取昇降制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】上記構成の刈取収穫機の刈取昇降制御装置において、従来では、第1の従来技術として、例えば特開昭64−30507号公報に示されるように、超音波センサにて検出される刈取部の対地高さが、刈高さ設定器にて設定される設定対地高さに維持されるように昇降操作手段としての油圧シリンダの作動を制御する構成があるが、このように超音波センサを用いて対地高さを検出する構成では、発信器より発信された超音波が地面での反射でなく受信器にて直接受信されることによる誤検出を回避するために、検出対象距離が極短い場合には検出信号を無視する構成となっているため、前記設定対地高さを低い値に設定して、例えば、倒伏している茎稈と地面との間に入り込ませるように前記分草具を低い位置に維持しながら刈取作業を行うような場合には、対地高さの検出が適正に行えないおそれがあった。
【0003】又、別の第2の従来技術として、例えば特開昭54−111434号公報に示されるように、昇降操作手段としての流体圧利用の油圧シリンダとそれに接続させたアキュムレータとの内部圧力のバランスにより、刈取部に設けられた接地部が地面に接触する状態の高さに維持されるように刈取部の高さを位置保持するように構成したものもあるが、この構成によれば、前記分草具を極力低い位置にさせて地面に追従させながら刈取作業を行うことはできるものの、圃場には細かな凹凸が存在しているのでこれらの凹凸により接地圧が変動して刈取部の昇降操作が頻繁に繰り返されることがあり、そのことに起因して走行機体が振動して乗り心地が悪化する等の不利がある。
【0004】そこで、上記したような不都合を回避することが可能な構成である第3の従来技術として、例えば特開平1−181720号公報に示される構成のものがあった。つまり、刈取部の対地高さを検出する対地高さ検出用センサとは別に刈取部の走行機体に対する昇降位置を検出する昇降位置検出用センサを備えて、前記対地高さ検出用センサの検出値が設定対地高さに維持されるように昇降操作手段を制御する自動昇降制御を実行する状態と、前記昇降位置検出用センサの検出値、つまり、刈取部の走行機体に対する昇降位置を、ポテンショメータにて作業者が設定した設定値に維持させる一定刈高さ制御を実行する状態とに切り換え可能に構成するとともに、分草具の接地状態を検出する接地状態検出手段を備えて、この接地状態検出手段が接地状態を検出すると、上記したような各制御に優先して、接地状態を検出しなくなるまで刈取部を上昇させて分草具の土中への突っ込みを回避させる強制上昇操作を実行する構成となっている。
【0005】この構成によれば、前記ポテンショメータにて前記設定値が適切な値に設定されていれば、前記一定刈高さ制御を実行することで、例えば、倒伏している茎稈と地面との間に入り込ませるように前記分草具を低い位置に維持しながら刈取作業を行うような場合であっても、圃場の細かな凹凸に影響を受けることなく、刈取部の昇降操作が頻繁に行われる等の不利のない状態で刈取作業を実行することが可能となる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記第3の従来技術においても、次のような不利な面があり未だ改善の余地があった。
【0007】上記刈取収穫機にて刈取作業が行われる圃場は、走行機体があまり沈み込まないような硬い地面であったり、走行機体が大きく沈み込むような軟弱な地面であったりする等、圃場毎に硬軟度合いが異なることがある。しかし、上記第3の従来技術によれば、作業者が人為操作にて前記ポテンショメータを操作して前記設定値を設定する構成であるから、ある圃場での刈取作業を実行するときに、前記設定値が常に適正なものとして設定されていないことも考えられる。例えば、圃場が軟かい地面であって走行機体の沈み込みが大であるにもかかわらず前記設定値が低すぎる場合には、刈取作業を実行するに伴って、刈取部が頻繁に接地状態を繰り返して前記強制上昇操作を繰り返し実行してしまうおそれがある。又、それとは逆に、圃場が硬い地面であって走行機体の沈み込みが少ないにもかかわらず沈み込みを考慮して前記設定値が高すぎる場合には、刈取高さが所望の値よりも高くなり過ぎるおそれがある。
【0008】本発明はかかる点に着目してなされたものであり、その目的は、圃場の硬軟度合いの違い等にかかわらず、刈取部の昇降操作が頻繁に繰り返される等の不都合を生じるおそれが少ない状態で、分草具を刈取作業に適した高さに位置させて、所望の刈高さで良好な刈取作業を実行することが可能となる刈取収穫機の刈取昇降制御装置を提供する点にある。
【0009】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の特徴構成によれば、植えられた茎稈を分草案内する分草具を先端下部に備えた刈取部が、昇降操作手段によって走行機体に対して昇降操作自在に設けられ、前記昇降操作手段の作動を制御する昇降制御手段が設けられた刈取収穫機の刈取昇降制御装置において、前記分草具が地面に接する接地状態であることを検出する接地状態検出手段が設けられ、前記昇降制御手段が、前記刈取部を非作業用位置から刈取作業位置に下降させるための刈高さ設定用の下降指令が指令されると、前記刈取部を前記接地状態検出手段にて前記接地状態が検出されるまで下降させ、引続き、前記刈取部を刈高さ設定用の設定量を上昇させて停止させる刈高さ設定処理を実行するように構成されている。
【0010】前記刈高さ設定用の下降指令が指令されると前記昇降制御手段が刈高さ設定処理を実行するのである。つまり、前記昇降制御手段は、前記接地状態検出手段にて分草具が地面に接する接地状態が検出されるまで刈取部を下降させ、それに引き続いて、刈取部を前記接地状態が検出された位置から刈高さ設定用の設定量を上昇させて停止させる。このような刈高さ設定処理を実行することにより、例えば、路上走行や枕地での旋回走行のために刈取部を高い位置に上昇させた非作業用位置から刈取作業を行うための刈取作業位置に下降させることができるのである。そして、その後、刈取部が前記刈取作業位置に停止した状態で刈取作業を実行することにより一定した刈高さで刈取作業を行うことが可能となる。
【0011】従って、刈取作業を開始するために、刈取部を非作業用位置から刈取作業位置に下降させるための下降指令が指令されるに伴って、常に、刈取部が地面から刈高さ設定用の設定量だけ上昇した位置が刈取作業位置として設定されることになるから、例えば、圃場の硬軟度合いの違いにかかわらず、分草具の地面に対する高さが常に設定高さになる状態で刈取作業を実行することが可能となる。
【0012】その結果、圃場の硬軟度合いの違い等にかかわらず、地面に近い低い位置であっても、分草具を刈取作業に適した高さに位置させた状態で、一定した刈高さで刈取作業を行うことが可能であるから、刈取部の昇降操作が頻繁に繰り返される等の不都合を生じるおそれが少ない状態で、所望の刈高さにて良好な刈取作業を実行することが可能となる刈取収穫機の刈取昇降制御装置を提供できるに至った。
【0013】請求項2に記載の特徴構成によれば、請求項1において、前記刈高さ設定用の設定量を変更調節する手動操作式の調節手段が設けられているので、この手動操作式の調節手段を操作して、前記刈高さ設定用の設定量を変更調節することにより、分草具の高さをそのときの作業状況に適した高さに設定することができ、作業条件が異なる場合であっても適応することが可能で、常に良好な刈取作業を実行することが可能となる。
【0014】請求項3に記載の特徴構成によれば、請求項1又は2において、前記昇降制御手段が、前記刈高さ設定処理を実行した後に、前記接地状態検出手段にて前記接地状態が検出されると、前記刈取部を前記刈高さ設定用の設定量よりも小さい突っ込み回避用の設定量を上昇させる強制上昇制御を実行するように構成されている。
【0015】圃場面には細かな凹凸が存在しているので、前記刈高さ設定処理を実行した後において刈取部が前記刈取作業位置に停止した状態で刈取作業を実行しているときに、例えば、分草具が圃場面の凸部に接触して前記接地状態検出手段にて接地状態が検出されることがあるが、このような接地状態が検出されると、刈取部を前記刈高さ設定用の設定量よりも小さい突っ込み回避用の設定量を上昇させることにより、刈高さを大きく変化させることなく分草具が土中に突っ込むことを回避させながら、良好な刈取作業を継続して実行することが可能となる。
【0016】請求項4に記載の特徴構成によれば、請求項1〜3のいずれかにおいて、前記昇降制御手段が、前記刈取部を前記刈取作業位置から前記非作業用位置に上昇させるための非作業切換用の上昇指令が指令されると、前記刈取部を前記非作業用位置に上昇させるように構成されている。
【0017】従って、例えば、一つの作業行程での刈取作業が終了したのちに、非作業切換用の上昇指令が指令されると、前記刈取部が前記刈取作業位置から前記非作業用位置に上昇することになり、手動操作にて上昇が指令されている間だけ刈取部の上昇が行われるような構成に比べて、操作の煩わしさがなく、速やかに次工程に向けての走行機体の旋回走行等に移行することができる。
【0018】請求項5に記載の特徴構成によれば、請求項1〜4のいずれかにおいて、前記刈取部の前記走行機体に対する昇降位置を検出する昇降位置検出手段が設けられ、前記昇降制御手段が、前記刈高さ設定処理において、前記昇降位置検出手段の検出情報に基づいて、前記刈取部を前記刈高さ設定用の設定量を上昇させるように構成されている。
【0019】前記刈高さ設定処理において、昇降位置検出手段の検出情報に基づいて、刈取部を走行機体に対して、その昇降位置から前記刈高さ設定用の設定量を上昇させた位置に上昇させるべく前記昇降操作手段を作動させるのである。つまり、刈取部の地面との間の距離ではなく、走行機体に対する昇降位置を検出しながら、刈取部の先端下部に備えられた分草具が実際に接地した位置から設定量上昇するように刈取部を上昇操作させるので、走行機体との間の昇降位置の検出情報に基づいて、確実に刈取部を設定量上昇させることが可能となる。又、例えば、刈高さ設定処理として、設定時間が経過する間だけ刈取部を上昇させる構成も考えられるが、この場合には、昇降操作手段の動作条件の違い等に起因して実際の刈取部の上昇量が変化するおそれがあるがが、上記構成によればこのようなことがなく、確実に、過不足が生じることのない状態で、刈取部の対地高さを適正な上昇量だけ確実に上昇させることが可能となる。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る刈取収穫機について図面に基づいて説明する。図1に刈取収穫機としてのコンバインの前部側の側面図が示されている。このコンバインは、左右一対のクローラ走行装置1L、1Rを備え走行可能に構成された走行機体Vの前部に、植立穀稈を刈り取り、刈取穀稈を後方に向けて搬送する刈取部2が昇降自在に備えられ、走行機体Vの後部側に、刈取穀稈を脱穀処理する脱穀装置3、脱穀された穀粒を貯留するグレンタンク、搭乗運転部5等を備えて構成される。
【0021】刈取部2は、複数の植立茎稈のうち刈取条数分の刈取対象条の植立穀稈を振り分け分草する4個の分草具6、植立穀稈を立姿勢に引起す引起し装置7、引起された穀稈の株元側を切断するバリカン型刈取装置8、刈取られた穀稈を徐々に横倒れ姿勢に姿勢変更させながら後方に搬送する縦搬送装置9等で構成され、機体に対して横軸芯X1周りで昇降揺動自在に枢支されている。そして、この刈取部2は、昇降操作手段としての油圧シリンダCYの伸縮操作により駆動昇降されるように構成されている。
【0022】前記縦搬送装置9の搬送入口部には、刈取穀稈が存在するか否かを検出することで、刈取部2が刈取作業状態であるか否かを判別するための株元センサS0が備えられ、例えば、複数の分草具のうちの車体横幅方向の左端側に位置する分草具6の車体後方側には、分草具6が地面に接する接地状態であるか否かを検出する接地状態検出手段としての後述するような接地検出センサS4が備えられている。つまり、前記分草具6が適正分草位置に弾性支持されて、単独で上昇側に変位自在に構成されるとともに、その分草具6が前記適正分草位置から上昇変位したことを前記接地検出センサS4により前記接地状態として検出するように構成されている。又、前記分草具を前記適正分草位置に弾性支持する支持手段が、その弾性支持力を変更調節自在に設けられている。
【0023】詳述すると、図3、図4に示すように、前記分草具6が適正分草位置になるように位置保持される状態で、且つ、前記適正分草位置から分草具6が上方に向けて後退変位可能な状態で、刈取フレーム12に対して回動自在に前記分草具6を弾性支持する前記支持手段としての弾性支持機構DKが設けられている。前記弾性支持機構DKは、断面が略コの字形であって且つ開口部分が下側に向く状態で設けられる係合支持部21a、及び、この係合支持部21aから車体前方側に向けて延設した縦板部21bとを備える支持部本体21と、後部側に枢支ボス部22が形成され且つ前記支持部本体21の係合支持部21aの上部側内面に接当する状態でスポット溶接される枢支用部材23とを備えて構成されている。そして、前記枢支用部材23における枢支ボス部22が刈取フレーム12に溶接固定された支持ブラケット24に横向きの枢支ピン25にて連結されている。又、支持部本体21の前端部には、分草具6の後面側に一体的に連結された連結板26がボルト連結され、分草具6が支持部本体21に一体的に連結される。従って、前記分草具6が、刈取フレーム12に対して枢支ピン25の軸芯X2周りで上下回動自在に枢支連結される構成となっている。
【0024】前記係合支持部21aは、刈取フレーム12に対して上方側から覆う状態で受け止め支持されるとともに、コイルバネ27により下方側に回動付勢される構成としている。つまり、係合支持部21aに形成される挿通孔28を通過する状態で刈取フレーム12に螺合する調節ボルト29にコイルバネ27が外嵌装着されており、このコイルバネ27により係合支持部21aが下方側に弾性付勢される構成となっている。係合支持部21aは刈取フレーム12に固定された受け止め部12aにて受け止め規制されるので、その受け止められる状態で位置規制され、このとき前記分草具6が適正分草位置になる状態で位置保持されることになる。前記調節ボルト29を人為操作にて回動操作することで、前記コイルバネ27による分草具6の下方側への弾性付勢力を変更調節することができるようになっている。例えば、圃場の硬軟度合い等に応じて弾性付勢力を変更調節することができる。
【0025】そして、前記弾性支持機構DKよりも機体後方側箇所において、引起し装置7を支持するために刈取フレーム12から固定延設された縦フレーム30に、ブラケット31を介して、前記接地状態検出手段としての接地検出センサS4が位置固定状態で取付け支持されている。この接地検出センサS4は、その検出作動片32が、下方側に向けて突出付勢されるとともに、上下方向に変位可能な状態で設置され、検出作動片32が下方側に向けて突出している状態ではオン状態となり、検出作動片32が上方側に押し操作されるとオフ状態となるスイッチとして構成されている。又、前記枢支用部材23には、前記検出作動片32に作用する接触部33が、回動軸芯X2よりも後方側に向けて延出する状態で一体的に設けられている。
【0026】前記接触部33は、図4に示すように、分草具6が前記適正分草位置に位置している状態では、検出作動片32に接当作用してこれを押し操作して接地検出センサS4をオフ状態に維持する。又、分草具6が接地することにより適正分草位置から上昇変位して前記軸芯X2周りで回動すると、図5に示すように、接触部33は下方に回動して検出作動片32の押し操作を解除して接地検出センサS4をオン状態に切り換えるのである。このようにして分草具6の接地状態を検出することができるようになっている。
【0027】次に、刈取部2を昇降操作するための制御構成について説明する。図2に示すように、前記油圧シリンダCYは単動型シリンダで構成され、搭載されるエンジンにて駆動される油圧ポンプPから油圧シリンダCYに対する圧油供給路18の途中に、油圧シリンダCYに対する作動油の供給状態を、圧油供給による上昇位置、中立停止位置、その他の油圧装置への供給位置の夫々に切り換える3位置切り換え式で且つ電磁操作式の上昇制御弁V1が備えられている。そして、圧油供給路18の途中から並列状態で分岐されるドレン油路19に、圧油を通過させるオリフィス20と、圧油を排出させる排出位置及び圧油排出を停止させる停止位置に切り換える2位置切換え式の下降制御弁V2とが備えられている。そして、上昇制御弁V1及び下降制御弁V2夫々は、マイクロコンピュータを備えて構成される昇降制御手段の一例としての制御装置14により切り換え制御する構成となっている。
【0028】そして、この油圧シリンダCYは操作速度を変更調節することができるように構成されている。つまり、上昇制御弁V1を上昇位置に切り換えた状態で、下降制御弁V2を停止位置に切り換えると高速上昇速度になり、下降制御弁V2を排出位置に切り換えると低速上昇速度になり、下降制御弁V2の駆動状態を排出位置と停止位置との2位置の状態を短時間毎に繰り返す、所謂、デューティ制御を実行して、デューティ比を変更調節することにより中間の上昇速度にて適宜変更調節することができる。又、上昇制御弁V1を中立停止位置に切り換えた状態で、下降制御弁V2を停止位置に切り換えると昇降停止状態となり、下降制御弁V2を排出位置に切り換えると高速下降速度になり、下降制御弁V2に対して上記デューティ制御を実行してデューティ比を変更調節することにより中間の下降速度にて適宜変更調節することができる。従って、油圧シリンダCYは、上昇操作及び下降操作夫々において操作速度を変更調節することができる。
【0029】搭乗運転部5には、後述するような刈高さ設定処理を実行するとともに、その後、上昇指令があるまで、前記刈高さ設定処理にて設定された刈高さを維持する刈高さ制御を実行するオン状態と刈高さ制御を実行しないオフ状態とに切換え自在な刈高さ制御入切スイッチSW3、上記刈高さ設定処理において刈高さ設定用の設定量を変更調節する手動操作式の調節手段としてのポテンショメータ式の刈高さ設定器15、後述するような刈取部2の強制上昇処理を実行するオン状態と処理を実行しないオフ状態とに切換え自在な強制上昇入切スイッチSW5、手動操作に基づいて刈取部2を昇降操作させるための昇降レバー16、この昇降レバー16を中立位置から上昇位置に操作するとオンする上昇スイッチSW1、昇降レバー16を下降位置に操作するとオンする下降スイッチSW2、昇降レバー16における握り部16aの上部に位置して親指にて押し操作され、押し操作している間だけオンする昇降指令スイッチSW4の夫々が設けられ、上記各スイッチSW1〜SW5の検出情報の情報は制御装置14に入力されるように構成されている。又、株元センサS0並びに前記接地検出センサS4の検出結果も制御装置14に入力されるようになっている。
【0030】刈取部2の機体に対する回動支点部に、刈取部2の走行機体に対する昇降位置を検出する昇降位置検出手段としてのポテンショメータ形式の対機体高さセンサS3が設けられ、この対機体高さセンサS3の検出情報も制御装置14に入力される構成となっている。
【0031】前記制御装置14は、刈高さ制御入切スイッチSW3がオン状態に操作されていれば前記刈高さ制御を実行するように構成されているが、例えば、刈取作業の開始時や終了時等において、前記昇降レバー16が操作されて上昇スイッチSW1又は下降スイッチSW2がオン操作されることによる手動昇降指令、又は、前記昇降指令スイッチSW4を押し操作することによる手動昇降指令があれば、これらの手動昇降指令に基づく昇降操作を上記したような刈高さ制御に優先して実行するように構成されている。つまり、前記昇降レバー16の操作に基づいて、上昇スイッチSW1がオンすると、その上昇スイッチSW1がオンしている間、刈取部を上昇させるべく油圧シリンダCYを上昇作動させ、下降スイッチSW2がオンすると、その下降スイッチSW2がオンしている間、刈取部2を下降させるべく油圧シリンダを下降作動させるのである。又、前記昇降指令スイッチSW4を押し操作する毎に、刈取部2を刈取作業のための低い位置と大きく上昇する非作業位置とにわたって交互に昇降させることができるようになっている。つまり、刈取部2が対機体高さセンサS3の検出値により刈取作業用の低い位置にあることが検出されているときに昇降指令スイッチSW4が押し操作(上昇指令が指令)されると、制御装置14は、刈取部2を非作業位置に自動で上昇操作させ、且つ、刈取部2が対機体高さセンサS3の検出値により非作業位置にあることが検出されているときに昇降指令スイッチSW4が押し操作(下降指令が指令)されると、刈取部2を刈取作業用の低い位置に下降させるようになっている。従って、前記昇降指令スイッチSW4による前記上昇指令が、刈取部2を刈取作業位置から非作業用位置に上昇させるための非作業切換用の上昇指令に対応することになる。
【0032】次に、前記刈高さ制御について説明する。前記制御装置14は、刈高さ制御入切スイッチSW3がオンに設定されている状態で、前記昇降指令スイッチSW4による前記下降指令が指令されると、刈取部を接地検出センサS4にて前記接地状態が検出されるまで下降させ、引続き、刈取部2を刈高さ設定用の設定量を上昇させて停止させる刈高さ設定処理を実行するとともに、その後は、前記上昇スイッチSW2がオン操作されることによる上昇指令や前記昇降指令スイッチSW4による前記上昇指令が指令されるまで、刈取部2の昇降位置を前記刈高さ設定処理にて設定された位置に維持するのである。例えば、枕地での旋回作業の後、刈取対象となる植立茎稈列に対する刈取作業を開始するために非作業位置に上昇している刈取部を下降させるときに、前記刈高さ設定処理を実行し、刈取部2の昇降位置を前記刈高さ設定処理にて設定された位置に維持した状態で、その茎稈列に対する刈取作業を実行するのである。尚、前記刈高さ設定用の設定量は、作業者が前記刈高さ設定器15を操作して適宜変更調節して設定されることになる。そして、前記昇降指令スイッチSW4による前記下降指令が、前記刈取部2を非作業用位置から刈取作業位置に下降させるための刈高さ設定用の下降指令に対応することになる。
【0033】そして、前記制御装置14は、前記刈高さ設定処理を実行した後において、強制上昇入切スイッチSW5がオン状態に操作されていれば、接地検出センサS4にて接地状態が検出されると、刈取部2を走行機体に対して接地状態が検出された昇降位置から突っ込み回避用の設定量を上昇させるべく、対機体高さセンサS3の検出情報に基づいて油圧シリンダCYを作動させる強制上昇制御を実行するように構成され、強制上昇入切スイッチSW5がオフ状態に操作されていれば、このような強制上昇制御は実行しないように構成されている。
【0034】次に、制御装置14の刈取部昇降用の制御動作について、図6、図7のフローチャートに基づいて説明する。前記昇降レバー16が操作されて、上昇スイッチSW1がオンすることにより手動で上昇が指令されると、後述するような刈高さ設定用フラグFを「0」にリセットして、上昇スイッチSW1がオンしている間、刈取部2を上昇させるべく、油圧シリンダCYを上昇操作させる(ステップ1,2,3)。前記昇降レバー16が操作されて、下降スイッチSW2がオンすることにより手動で下降が指令されると、下降スイッチSW2がオンしている間、油圧シリンダCYを下降操作させて刈取部2を下降させるが、その途中で接地検出センサS4にて接地が検出されると下降操作を停止させる(ステップ4〜7)。
【0035】上昇スイッチSW1及び下降スイッチSW2のいずれも操作されていないときに、昇降指令スイッチSW4が押し操作されると、そのときの刈取部2の昇降位置が対機体高さセンサS3の検出値により刈取作業用の低い位置にあることが検出されていれば、刈高さ設定用フラグFを「0」にリセットして、刈取部が最大上昇位置に近い高い位置である非作業位置に上昇して停止するまで、刈取部2を上昇させるべく油圧シリンダCYを自動上昇操作させる(ステップ8〜13,20,21)。
【0036】そして、昇降指令スイッチSW4が押し操作されたときの刈取部2の昇降位置が、対機体高さセンサS3の検出値により前記非作業用位置にあることが検出され、刈高さ制御入切スイッチSW3がオン状態に操作されていれば、後述するような刈高さ設定処理を実行し(ステップ14〜16)、刈高さ制御入切スイッチSW3がオン状態でなければ刈高さ設定処理を実行することなく、刈取部2を前回の刈高さ設定処理にて設定された設定刈高さに下降して停止するまで、油圧シリンダCYを自動下降操作させる(ステップ17〜19,20,21)。
【0037】次に、図8に示すフローチャートに基づいて刈高さ設定処理について説明する。前記刈取部2を非作業用位置から接地検出センサにて接地が検出されるまで下降させるべく油圧シリンダCYを自動下降操作させ、接地検出センサS4にて接地が検出されると、自動下降操作を停止させる(ステップ151,152,153)。そして、前記対機体高さセンサS3の検出情報に基づいて、接地が検出されたときの刈取部2の走行機体Vに対する接地時対機体高さH0を検出し、その接地時対機体高さH0に刈高さ設定器15にて設定された刈高さ設定用の設定量としての上昇操作量ΔHを加算した対機体高さを上昇目標位置H1として設定する(ステップ154)。次に、前記対機体高さセンサS3にて逐次検出される検出対機体高さHxが、上記したように設定された上昇目標位置H1に達するまで、油圧シリンダCYを作動させて刈取部2を上昇させる上昇操作を実行し、前記検出対機体高さHxが上昇目標位置H1に達すると上昇操作を停止する(ステップ155,156,157)。このときの刈取部2の高さが設定刈高さに対応する。このような刈高さ設定処理を実行した後は、刈高さ設定用フラグを「1」にセットする(ステップ16)。
【0038】上記したような刈高さ設定処理を実行して刈高さ設定用フラグを「1」にセットした後においては、上記したような手動による昇降指令がなければ、刈取部2の昇降位置が前記設定刈高さに維持される状態で刈取作業を実行することになる(ステップ22,23)。又、このように、刈取部2を設定刈高さに維持しながら刈取作業を行っているときに、強制上昇入切スイッチSW5がオン状態に操作されており、且つ、接地検出センサS4にて接地状態が検出されると、刈取部2を走行機体Vに対して接地状態が検出された昇降位置から突っ込み回避用の設定量を上昇させるべく、対機体高さセンサS3の検出情報に基づいて油圧シリンダCYを作動させる強制上昇制御を実行する(ステップ24,25,26)。この強制上昇制御を実行した後は、刈取部2の刈高さは強制上昇された位置が維持されることになる。尚、突っ込み回避用の設定量は、刈高さ設定用の設定量である上昇操作量ΔHよりも小さい値に設定され、刈高さが大きく変化しない状態で、分草具6が土中に突っ込むことを有効に回避させることができるようにしている。上記したように刈高さ設定用フラグが「1」にセットされている状態が刈高さ制御に対応することになり、例えば、ある茎稈列での刈取作業が終了して、昇降レバー16による上昇指令あるいは昇降指令スイッチSW4による上昇指令があれば、刈高さ設定用フラグが「0」にリセットされる。
【0039】従って、上記構成の刈取収穫機により前記刈高さ制御を利用して刈取作業を実行する場合には、刈取作業を開始するときに前記刈高さ制御入切スイッチSW3をオン状態に切り換え操作しておき、刈取対象となる植立茎稈列の始端部において、刈取作業を開始するために、前記昇降指令スイッチSW4による前記下降指令を指令する毎に上記した刈高さ設定処理が実行されるから、それにより設定された設定刈高さで刈取作業を実行することで、所望の刈高さでの刈取作業を実行することができる。そして、その植立茎稈列の終端部にて昇降レバー16による上昇指令あるいは昇降指令スイッチSW4による上昇指令を指令すると、刈高さ設定用フラグが「0」にリセットされ、刈高さ制御が解除される。
【0040】〔別実施形態〕以下、別実施形態を列記する。
【0041】(1)上記実施形態では、前記刈高さ設定用の下降指令として、前記昇降指令スイッチSW4による下降指令があったときに前記刈高さ設定処理を実行する構成としたが、このような構成に限らず、例えば、刈取部が非作業位置にある状態から下降スイッチSW2がオン操作され続けて接地するような場合にも、前記刈高さ設定処理を実行する構成としてもよい。
【0042】(2)上記実施形態では、各植立茎稈列における作業を開始する毎に、前記刈高さ設定処理を実行する構成としたが、このような構成に代えて、次のように構成してもよい。例えば、押し操作している間だけ、制御装置を刈高さ設定処理を実行可能なモードに切り換える押し操作式の操作具を備えて、例えば、ある圃場での刈取作業を開始する時に、その操作具を押し操作しながら前記昇降指令スイッチSW4による下降指令を指令することで、前記刈高さ設定処理を実行する。その後は、前記操作具を操作せずに前記昇降指令スイッチSW4による下降指令を指令する毎に、刈取部が設定された刈高さに自動下降してその位置で維持されるように構成してもよい。このように構成しておくと、各植立茎稈列での作業毎に、その都度、前記刈高さ設定処理を実行する煩わしさがなく作業能率が向上する。例えば、土壌が硬くて機体の沈み込みが少なく、凹凸も少ない安定した圃場で作業する場合には、このような構成で対応することが可能である。
【0043】(3)上記実施形態では、前記刈高さ設定処理を実行した後に前記強制上昇制御が実行されると、その強制上昇操作が行われた昇降位置で刈取部が維持される構成としたが、このような構成に限らず、前記強制上昇制御を実行して土中への突っ込みを回避させた後に、強制上昇制御をする前に設定されていた設定刈高さに復帰させる構成としてもよい。
【0044】(4)上記実施形態では、前記刈高さ設定処理において、対機体高さセンサS3(昇降位置検出手段)の検出値Hxが前記上昇目標位置H1になるように油圧シリンダ(昇降操作手段)の作動を制御して、前記刈取部を前記刈高さ設定用の設定量を上昇させるように構成したが、このような構成に限らず、昇降操作手段の昇降操作速度を常に一定になるように速度制御しながら、設定時間だけ昇降操作手段を上昇作動させることにより、前記刈取部を前記刈高さ設定用の設定量を上昇させるように構成してもよい。又、昇降操作手段としては、油圧シリンダに限らず電動シリンダ等その他のアクチュエータを用いてもよい。
【0045】(5)上記実施形態では、前記分草具を前記適正分草位置に弾性支持する支持手段(弾性支持機構)が、その弾性支持力を変更調節自在に設けられる構成を例示したが、このような構成に限らず、常に一定の弾性支持力にて弾性支持する構成であってもよい。
【0046】(6)上記実施形態では、前記分草具が適正分草位置に弾性支持されて、単独で上昇側に変位自在に構成され、前記接地状態検出手段が、前記分草具が前記適正分草位置から上昇変位したことを前記接地状態として検出する構成を例示したが、このような構成に限らず、次のように構成するものでもよい。
【0047】例えば、図9〜図15に示すように、分草具6は、刈取フレーム12に位置固定状態で一体的に連結される構成として、下端位置が分草具6の下端位置よりもすこしだけ下方側に突出する待機姿勢に弾性支持されるとともに、単独で上昇側に変位自在な専用の接地検出体40が設けられ、この接地検出体40が接地して前記待機姿勢から上昇変位することで、前記実施形態における前記接地検出センサと同様な接地検出センサS4が設けられ、前記接地状態として検出するように構成されるものであってもよい。但し、接地検出センサS4のオン又はオフに対する接地状態の条件判別は上記実施形態とは逆になっている。前記接地検出体40は、図12に示すように揺動アーム41にて機体後方側の横軸芯X3周りで上下揺動自在に刈取フレーム12に支持され、上記実施形態の弾性支持機構と同様に、図13に示すようにコイルバネ42により下方側に弾性付勢されるとともに、図14に示すように揺動アーム41が上下方向に挿通するネジの頭部とナットとによって構成される接当規制部44にて、前記待機姿勢でそれ以上の下方側への回動が規制され、且つ、接地状態によって上方に単独で上昇変位可能に設けられている。尚、図15に示すように、接地検出体40には刈取フレーム12の左右両側に摺接して横方向への移動を規制しながら昇降するようにして構成されている。そして、図10に示すように、接地検出体40が接地状態によって上方に上昇変位すると、接地検出センサS4がオン状態に切り換わるようになっている。
【0048】(7)上記実施形態では、左端側の分草具に対応させて接地検出センサが設けられる構成を例示したが、このような構成に限らず、右側分草具の接地状態を検出する構成や、中央側に位置する分草具の接地状態を検出する構成、あるいは、左右両側分草具あるいは3個以上の分草具の接地状態をすべて検出して、いずれか一つの分草具の接地状態が検出されると接地状態として判別する構成としてもよい。
【0049】(8)上記実施形態では、接地状態検出手段として、分草具が接地すると、オフ状態からオン状態に切り換わるスイッチ式の接地検出センサS4にて構成するものを例示したが、このような構成に代えて、前記分草具6や上記(6)の実施形態における接地検出体40等の、分草具の上昇変位に伴う上昇操作量を検出するポテンショメータを備えて、前記上昇操作量が設定値を越えると接地状態であると判別するような構成としてもよい。
【0050】(9)上記実施形態では、前記強制上昇制御として、前記接地状態検出手段にて前記接地状態が検出されるに伴って前記刈取部が設定量上昇するまで刈取部を上昇させる構成としたが、このような構成に代えて、前記接地状態検出手段にて前記接地状態が検出されるに伴って設定時間が経過するまで刈取部を上昇させる構成としてもよい。
【出願人】 【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
【出願日】 平成12年1月14日(2000.1.14)
【代理人】 【識別番号】100107308
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 修一郎
【公開番号】 特開2001−190115(P2001−190115A)
【公開日】 平成13年7月17日(2001.7.17)
【出願番号】 特願2000−6459(P2000−6459)