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【発明の名称】 野菜収穫機と、これに装着されるタインキャップ体
【発明者】 【氏名】渡邊 章人

【氏名】松井 幹夫

【要約】 【課題】マルチ栽培された野菜w等の茎葉部w1をマルチフィルムmを破ることなく確実且つ能率的に分草する。

【解決手段】最下位置で前向き上方へ移動し、続いて斜め後上がり方向へ移動することを適当間隔毎に繰り返して行うものとした多数のタイン7を有する縦向き引起こし装置5を備え、機体進行中、これらタイン7が圃場に植生している野菜wの茎葉部w1を斜め後上方へ掻き上げるように作動する野菜収穫機において、前記タイン7のそれぞれの先部を弾性変形可能に形成し、各タイン7の最下位置近傍でその先部が地面を押さえて移動する構成となす。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 最下位置で前向き上方へ移動し、続いて斜め後上がり方向へ移動することを適当間隔毎に繰り返して行うものとした多数のタイン(7)を有する縦向き引起こし装置(5)を備え、機体進行中、これらタイン(7)が圃場に植生している野菜(w)の茎葉部(w1)を斜め後上方へ掻き上げるように作動する野菜収穫機において、前記タイン(7)のそれぞれの先部をゴム材若しくはゴム相当材或いはバネ材若しくはバネ材組付け品で形成して弾性変形による折れ曲がり可能になしたことを特徴とする野菜収穫機。
【請求項2】 最下位置で前向き上方へ移動し、続いて斜め後上がり方向へ移動することを適当間隔毎に繰り返して行うものとした多数のタイン(7)を有する縦向き引起こし装置(5)を機体左右方向の複数列に並設すると共に、機体を走行させるための走行車輪(27)を備えた野菜収穫機において、前記タイン(7)のそれぞれの先部をゴム材若しくはゴム相当材からなる弾性材で形成してその曲がり部を先方に向かうほど曲がり易くなしたことを特徴とする野菜収穫機。
【請求項3】 最下位置で前向き上方へ移動し、続いて斜め後上がり方向へ移動することを適当間隔毎に繰り返して行うものとした多数のタイン(7)を有する縦向き引起こし装置(5)を備え、機体進行中、これらタイン(7)が圃場に植生している野菜(w)の茎葉部(w1)を斜め後上方へ掻き上げるように作動する野菜収穫機において、前記タイン(7)の先部に弾性変形可能なタインキャップ体(12)を延長状に係着したことを特徴とする野菜収穫機。
【請求項4】 タインキャップ体(12)がゴム若しくはゴム相当材で形成されていることを特徴とする請求項3記載の野菜収穫機。
【請求項5】 タインキャップ体(12)が先方に向かうほど曲がり易くなされていることを特徴とする請求項3又は4記載の野菜収穫機。
【請求項6】 タインキャップ体(12)が中空状に形成されていることを特徴とする請求項3〜5の何れかに記載の野菜収穫機。
【請求項7】 多数のタイン(7)のそれぞれにタインキャップ体(12)を係着し、或いは多数のタイン(7)の一個置き若しくは複数個置きにタインキャップ体(12)を係着したことを特徴とする請求項3〜6の何れかに記載の野菜収穫機。
【請求項8】 多数のタイン(7)に係着されたタインキャップ体(12)が長短に変化されていることを特徴とする請求項3〜7の何れかに記載の野菜収穫機。
【請求項9】 多数のタイン(7)に係着されたタインキャップ体(12)が比較的硬いものと比較的軟らかいものとの配列となされていることを特徴とする請求項3〜8の何れかに記載の野菜収穫機。
【請求項10】 タインキャップ体(12)の内面に突起(12a)(12b)を設け、タインキャップ体(12)の係着状態の下で、前記突起(12a)(12b)がタイン(7)のリブ(7a)(7b)に係止されることを特徴とする請求項3〜9の何れかに記載の野菜収穫機。
【請求項11】 圃場に植生している野菜(w)の茎葉部(w1)を掻き上げるように作動するタイン(7)に延長状に係着されるものであって、ゴム材若しくはゴム相当材からなり、茎葉部(w1)を掻き上げるための作動力による弾性的な折れ曲がり可能に形成されていることを特徴とする野菜収穫機に装着されるタインキャップ体。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、圃場で玉葱や蕪等の根菜類を収穫するものとした野菜収穫機と、これに装着されるタインキャップ体に関する。
【0002】
【従来の技術】最下位置で前向き上方へ回行移動し、続いて斜め後上がり方向へ移動することを適当間隔毎に繰り返して行うものとした多数の係止突起(タイン)を備えた縦向き引起こし装置を機体左右方向の複数列に並設し、機体進行中、これらタインが畝に条植された野菜の茎葉部を斜め後上方へ掻き上げて分草し引き起こすように作動する野菜収穫機であって、マルチフィルムで被ってない畝に条植され栽培された、所謂、無マルチ栽培の玉葱等を収穫するものは存在している。
【0003】この収穫機では、各縦向き引起こし装置の下端部から斜め前下方へ向け棒状デバイダが延出されているのであり、このデバイダは収穫作業中、先端部が地面に軽く接した状態で前進移動され、この移動の過程で、地面に倒伏した野菜の茎葉部を掬い上げて縦向き引起こし装置の引起こし部へ送り込むように作用する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】マルチフィルムで被った畝で栽培された、所謂、マルチ栽培の玉葱等を従来の野菜収穫機で収穫すると、棒状デバイダの先端が機体進行中の上下揺動等によりマルチフィルムに引っ掛かったり突き刺さったりしてこれを破くのであり、このような事態が生じると、マルチフィルムが機体に絡み付く等して機体各部の円滑な作動を妨げ、収穫作業が行えなくなる。また従来の野菜収穫機で無マルチ栽培された玉葱等を収穫する場合であっても、茎葉部の倒伏状況によってはこれを確実に引き起こすことのできないことがある。
【0005】本発明は、このような実状に鑑みて創案されたもので、先ず第一にマルチ栽培された野菜の収穫においてマルチフィルムを破くことなく野菜の茎葉を確実に引き起こすことができるようになし、第二に無マルチ栽培の野菜の茎葉部を従来よりも確実に引き起こすことのできるようになした野菜収穫機を提供するほか、野菜収穫機に装着されるタインキャップ体を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため、請求項1に記載した発明では、最下位置で前向き上方へ移動し、続いて斜め後上がり方向へ移動することを適当間隔毎に繰り返して行うものとした多数のタイン7を有する縦向き引起こし装置5を備え、機体進行中、これらタイン7が圃場に植生している野菜wの茎葉部w1を斜め後上方へ掻き上げるように作動する野菜収穫機において、前記タイン7のそれぞれの先部をゴム材若しくはゴム相当材或いはバネ材若しくはバネ材組付け品で形成して弾性変形による折れ曲がり可能になす。ここに、ゴム相当品は合成樹脂等、ゴム以外の素材も含むものである。
【0007】この発明によれば、タイン7が先部で地面を押さえた状態で前向き上方へ向け移動することを機体の進行中に繰り返し行うものとなり、この際、タイン7先部はその弾性により地面に対する円滑な移動の得られる側へ折れ曲がって常に地面を適当に押圧するように作動するため、地面上に倒伏した茎葉部w1は確実に掬い上げられ引き起こされる。また何らかの事情で、たとえ一つのタイン7が確実に引き起こすことのできない茎葉部w1が生じても、後続して作用するタイン7がその茎葉部w1を再度掬い上げ引き起こすように作用し、従来よりも確実な引き起こし作用が得られる。このようなタイン7の掬い上げ引起こし作用はマルチ栽培された野菜wの茎葉部w1に対しても同様に得られるのであり、この際、タイン7はマルチフィルムmを押し下げるように作用するが先部が適当に折れ曲がるため破くことのない状態でその上面を摺動するものとなる。
【0008】請求項2に記載した発明では、最下位置で前向き上方へ移動し、続いて斜め後上がり方向へ移動することを適当間隔毎に繰り返して行うものとした多数のタイン7を有する縦向き引起こし装置5を機体左右方向の複数列に並設すると共に、機体を走行させるための走行車輪27を備えた野菜収穫機において、前記タイン7のそれぞれの先部をゴム材若しくはゴム相当材からなる弾性材で形成してその曲がり部を先方に向かうほど曲がり易くなす。この曲がり部はタイン先部の範囲内で曲がりの生じる部分のことで、その位置は特に限定するものではないのであって、例えば、タイン先部の根本寄り位置であっても或いは先端寄り位置であっても差し支えない。
【0009】この発明によれば、前記最下位置近傍で各タイン7の先部が地面を押さえたとき、その曲がり部が無理なく連続的に曲がり、各タイン7は倒伏した茎葉部w1を効果的に掬い上げ引き起こすものとなる。
【0010】請求項3に記載した発明では、最下位置で前向き上方へ移動し、続いて斜め後上がり方向へ移動することを適当間隔毎に繰り返して行うものとした多数のタイン7を有する縦向き引起こし装置5を備え、機体進行中、これらタイン7が圃場に植生している野菜wの茎葉部w1を斜め後上方へ掻き上げるように作動する野菜収穫機において、前記タイン7の先部に弾性変形可能なタインキャップ体12を延長状に係着する。
【0011】この発明によれば、前記最下位置近傍で各タイン7に係着されたタインキャップ体12が地面を押さえるように作動するものとなって、請求項1に記載した発明に準じた作用が得られる。タインキャップ体12をタイン7に係着する構成はタイン7を単一構造としてその先部を弾性変形可能となす構造よりも容易且つ安価に形成でき、しかも従来の野菜収穫機の構造変更をしなくてもタイン7先部を弾性変形可能となす。
【0012】この請求項3に記載した発明は次のように具体化することができる。即ち、請求項4に記載したように、タインキャップ体12がゴム若しくはゴム相当材で形成された構成となす。これによれば、茎葉部w1を掬い上げ引き起こす作用が確実且つ安価に得られるものとなる。
【0013】請求項5に記載したように、タインキャップ体12が先方に向かうほど曲がり易くなされた構成となす。これによれば、タインキャップ体12が接地した状態で移動するとき連続的に曲がって茎葉部w1を効果的に掬い上げ引き起こすものとなる。
【0014】請求項6に記載したように、タインキャップ体12が中空状に形成された構成となす。これによれば、タインキャップ体12が曲がり易くなってマルチフィルムmの破損の防止に有効となる。
【0015】請求項7に記載したように、多数のタイン7のそれぞれにタインキャップ体12を係着し、或いは多数のタイン7の一個置き若しくは複数個置きにタインキャップ体12を係着した構成となす。これによれば、タインキャップ体12による茎葉部w1の掬い上げや引起こしの作用の強弱が適当に調整されるものとなる。
【0016】請求項8に記載したように、多数のタイン7に係着されたタインキャップ体12が長短に変化されている構成となす。これによれば、タインキャップ体12による茎葉部w1の掬い上げや引起こしの作用の強弱が適当に調整されるほか、キャップ体12による茎葉部w1の掬い上げや引起こしの作用の及ぶ範囲が大小に調整されるものとなる。
【0017】請求項9に記載したように、多数のタイン7に係着されたタインキャップ体12が比較的硬いものと比較的軟らかいものとの配列となされている構成となす。これによれば、タインキャップ体12による茎葉部w1の掬い上げや引起こしの作用の強弱が適当に調整されるものとなる。
【0018】請求項10に記載したように、タインキャップ体12の内面に突起12a、12bを設け、タインキャップ体12の係着状態の下で、前記突起12a、12bがタイン7のリブ7a、7bに係止される構成となす。これによれば、タインキャップ体12がタイン7に簡便に係着され強力に係止されるものとなる。
【0019】そして、請求項11に記載したタインキャップ体12は、圃場に植生している野菜wの茎葉部w1を掻き上げるように作動するタイン7に延長状に係着されるものであって、ゴム材若しくはゴム相当材からなり、茎葉部w1を掻き上げるための作動力による弾性的な折れ曲がり可能に形成された構成となす。これによれば、上記した茎葉部w1の掬い上げ引起こしの作用が得られるほか、さらに発展的な使途を生じさせるものとなる。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施例を説明する。図1は本発明に係る野菜収穫機の側面図、図2は前記収穫機の平面図、図3は前記収穫機の正面図、図4は前記収穫機の動力系統図、図5は前記収穫機の縦向き引起こし装置の下部を示す側面視作用説明図、図6は前記縦向き引起こし装置のタイン関連部に係り、Aは図5のx−x部を示す図で、BはAの側面図、図7は前記収穫機の側面視説明図、図8は前記収穫機の茎葉切断装置周辺を示す平面図、図9は前記収穫機によるマルチフィルムの処理状況を示す平面図である。
【0021】図1〜図3に示すように、本発明に係る野菜収穫機は分草装置1、掻込み装置2、挟持搬送装置3及び茎葉切断装置4を具備した野菜処理部Aと、この野菜処理部Aの各部を支持した走行車両部Bからなっている。
【0022】先ず、分草装置1について図1〜図6を参照して説明すると、次のとおりである。即ち、3つの縦向き引起こし装置5が機体左右方向の一定間隔配置で設けてある。各縦向き引起こし装置5は特定縦面上に沿わせた楕円軌道上を周回移動される無端状のチェーン6を備え、このチェーン6の一定間隔箇所のそれぞれに樹脂一体成形品となされたタイン7を結合リンク8及び支点軸9を介して起伏変位自在に装着したものとなされている。チェーン6の上下部は装置フレーム5aに軸着されたスプロケット10a、10bに掛け回されている。
【0023】各タイン7は装置フレーム5aの後縁aをチェーン6と共に下降する期間中、倒伏姿勢となり、最下位置p近傍に達したとき、図示しないガイド部の案内作用で起立変位を開始し、最下位置pでは完全な起立姿勢となってスプロケット10b回りの円弧bを描いて前上方へ向けて移動され、続いてガイド部11の案内作用で起立姿勢を保持されつつ装置フレーム5aの前縁cに沿って斜め後上方へ移動され、最上位置近傍に達したとき、倒伏変位を開始し、スプロケット10a回りを移動しつつ完全な倒伏姿勢となった後、再び装置フレーム5aの後縁aに沿って下降するものとなされている。
【0024】各タイン7には弾性変形可能なようにゴム材若しくはゴム相当材で形成されたタインキャップ体12が延長状且つ外嵌状に係着してある。この際、タインキャップ体12は中空状となされ先方に向かうほど折れ曲がり易くなされる。そして、タインキャップ体12の内面には2つの突起12a、12bが設けてあり、タインキャップ体12の係着状態では前記突起12a、12bがタイン7のリブ7a、7bに係止される。
【0025】本例では全てのタイン7にタインキャップ体12を係着し、しかも何れのタインキャップ体12も同一大きさとなされているが、これに限定するものではなく、例えば、多数のタイン7の一個置き若しくは複数個置きにタインキャップ体12を係着したり、また多数のタインキャップ体12を長短に変化させて配置したり、また多数のタインキャップ体12を比較的硬いものと比較的軟らかいものとの複数種類となして配列することも差し支えない。
【0026】図2に示すように、掻込み装置2は左右一対の横向き掻込み要部13、13からなるもので、各掻込み要部13の係止突起13aを掻込み装置2の先端部外方から中央個所へ向けて周回移動させ、続いて斜め上方へ移動させることにより、縦向き引起こし装置5の引き起こした茎葉部w1を下部中央へ掻き込んで斜め上方へ押し上げる構成となしてある。
【0027】挟持搬送装置3は左右一対の横向き挟持搬送要部14、14を備えている。各引抜き搬送要部14は前後配置された一対のプーリに搬送ベルト15を掛け回して形成したものであり、この際、これら要部13、13の搬送ベルト15、15を対向状に配置して搬送ベルト15、15間を挟持搬送経路kとなし、この搬送経路kで搬送ベルト15,15が後方へ移動するものとなす。
【0028】この挟持搬送装置3は、掻込み装置2の掻き込んだ茎葉部w1の比較的上部を挟持搬送経路kの搬送始端に受け取り、続いて搬送ベルト15で挟持して斜め後上方へ搬送し、この搬送過程で、図7等に示す掘起こし刃16が先行して膨軟とした畝上の根部w2を土中から引き抜く構成となしてある。挟持搬送装置3の後部にはこの搬送装置3の搬送した茎葉部w1を受け継いで畝間溝n内へ落下させるものとした茎葉放出装置3aが設けてあり、また機体固定部にはこの茎葉表出装置3aから放出された茎葉部w1を地面に導くためのゴム板からなる茎葉放出ガイドが吊設されている。
【0029】搬送ベルト15、15の下方には図7及び図8に示すように茎葉下部補助送り装置17が設けてある。この下部補助送り装置17は左右一対の下部送り要部17a、17aからなり、これの送り方向の上り傾斜は挟持搬送装置3のそれよりも緩やかになすと共に、前後一対の端部プーリに多数の突起の列設された無端状の下部送りベルト18を掛け回して形成する。この際、一対の下部送りベルト18、18は対向させ、これらベルト18、18間を茎葉下部の送り経路k1となすと共に、この送り経路k1でこれらベルト18、18が後方へ移動するものとなす。
【0030】図3、図7及び図8等に示すように、茎葉切断装置4は挟持搬送装置3の前部下方で茎葉下部補助送り装置17の下側近傍に設けてあって、茎葉下部補助送り装置17に概ね沿わせ下面に摺らし板19aを止着した茎葉下部案内板19と、この茎葉下部案内板19の後部上側に水平向きに装着した円盤カッタ20とを備えてなる。
【0031】この際、茎葉下部案内板19は隣接した野菜の条列の茎葉部w1が上下方向へ通過するようになされ且つその根部w2が上方へ通り抜けることのできない程度の巾を有する二つの誘導案内路19b、19bを形成したものとなし、また円盤カッタ20はその位置を斜め後上方へ移動させ得るものとした図示しない支持手段を介して固定させると共に回転駆動されることにより前記誘導案内路19bの最後部へ向かう茎葉部w1を根部w2から切り離すものとなす。
【0032】前記掘起こし刃16は土中を前方へ切り進むものとした水平状の刃部16aとこの刃部16aを支持する縦向きアーム部16bとを備えたもので、挟持搬送装置3の搬送始端下方にその刃部16aが位置するように配置され、縦向きアーム部16bの長さ途中を横向き軸21を介して機体固定部(車両フレーム22)に支持させてある。この掘起こし刃16は動力により横向き軸21回りへ揺動される構成となし、また縦向きアーム部16bは収穫中の野菜wの条列R1、R2とこれらの条列に隣接した未収穫野菜wの条列R3との間に位置させるものとなす。
【0033】上記縦向きアーム部16bの一部で前記横向き軸21よりも下方箇所には図示しない支持手段を形成し、この支持手段を介して円盤刃23が側面を前後方向の縦向きとなされて回転自在に装着されている。この円盤刃23は外周囲を先鋭状の鋸刃となすのがよい。
【0034】上記分草装置1の各縦向き引起こし装置5の下端部近傍には畝Uを被ったマルチフィルムmを案内し押さえるためのフィルム案内押さえ棒24a、24b、24cが設けてある。左右端の縦向き引起こし装置5の下端に固定されたフィルム案内押さえ棒24a、24bは前方へ向けて円弧状に反り上がった形状で比較的短いものとなされており、また中央の縦向き引起こし装置5の下端に固定されたフィルム案内押さえ棒24cはその後端を茎葉下部案内板19の前端部に固定させてあって、前半部は他のものに準じた形態となし、後半部は茎葉下部案内板19の前端部に向け漸次上昇させた部分を形成する一方で、この案内押さえ棒24cの最下部をそのまま後方へ延長させた前後向き水平部分dを形成し、この前後向き水平部分dにその近傍に存在するマルチフィルムm部分を地面に近づけるように案内させ、これによりマルチフィルムmが意図しない箇所へ食い込むのを阻止する構成となす。
【0035】茎葉切断装置4の後方にはマルチ集束機構が形成してある。このマルチ集束機構は走行車両部Bの左側部分に装着された三角枠状の集束ロッド25と、このロッド25より後方で茎葉切断装置4の真後ろに設けられた集束ローラ26とを備えている。図9に示すように、集束ロッド25は機体の進行中、これの対応する畝肩部を被覆したマルチフィルムmと畝肩部をなす土面との間に進入してマルチフィルムmを連続的に畝肩部から剥がすものであり、また集束ローラ26は集束ロッド25で剥がされ円盤刃23で巾方向を二分されたマルチフィルムmをその巾が漸次狭まるように支持し機体の進行に伴って後方へ狭巾状になして送り出し収穫跡の畝U上に位置させるものである。
【0036】走行車両部Bは左右一対の走行車輪27、27、これに支持される車両フレーム22、この車両フレーム22の前部を支持するためのゲージ輪28、車両フレーム22の後部に固定されたエンジン29、及び、エンジン29の後方へ張り出させた操縦ハンドル30を備えている。
【0037】エンジン29の下部寄り側部にミッション31が設けられ、このミッション31及びエンジン29の下側に左右向きの伝動ケース32が設けられている。この際、伝動ケース32のゲージ輪28側でない側の一部箇所を左右方向の伸縮可能部33となし、この伸縮可能部33を伸縮させるための操作機構34を設ける。そして、伝動ケース32の両端部にはファイナルケース35、35が設けてあり、このファイナルケース35の先端部に走行車輪27、27が装着されている。
【0038】ゲージ輪28は車両フレーム22と同体に固定された傾斜状支持筒部36の下端に回転自在に軸着されており、傾斜状支持筒部36の上部と操縦ハンドル30との間に回転操作ハンドル37が架設されている。このハンドル37の回転操作により傾斜状支持筒部36の長さが変化して、車両フレーム22に対するゲージ輪28の高さが変化されるものとなされている。
【0039】エンジン29の動力伝達系統は次のようになされている。即ち、図4に示すように、エンジン29の回転をミッション31に伝達させ、次にミッション31から左右向きの伝動ケース32、ファイナルケース35、35及び操向クラッチ38、38を経て走行車輪27、27に伝達させる。
【0040】ミッション31内の前部では前後向きの作業出力軸39とエンジン29動力の伝動系統とを結合させる。そして作業出力軸39にはベベルギヤ40を介して横向き駆動軸41を連動連結させる。
【0041】上記横向き駆動軸41の右端部にはクランク42を形成する。また横向き駆動軸41の中央にはウオーム43を設け、これに噛み合わさせたウオームホイール44を介して、横向き駆動軸41と挟持搬送装置3用の駆動軸45とを連動連結させる。
【0042】この駆動軸45は各挟持搬送要部14の後側のプーリの中心軸46、46にチェーン伝動機構等を介して結合させ、また中心軸46の回転が搬送ベルト15を経て伝達されるものとした前側のプーリの中心軸47を、掻込み装置2と茎葉下部補助送り装置17のそれぞれにおける後側のプーリの中心軸48、48に連動連結させる。
【0043】横向き駆動軸41の右端部からは前後向き伝動筒ケース49を延出させ、この伝動筒ケース49内の前後向き駆動軸50の後端と前記横向き駆動軸41をベベルギヤ51を介して結合させ、また前後向き駆動軸41の前端と、縦向き引起こし装置5のタイン7を作動させるための上部スプロケット軸52とをベベルギヤ53を介して結合させる。
【0044】また横向き駆動軸41のクランク42に前後向き連結ロッド54の一端を結合させると共に、このロッド54の他端を掘起こし刃16の縦向き支持アーム部16bの上端に結合させ、クランク42による連結ロッド54の前後変位が掘起こし刃16に伝達されるようになす。
【0045】さらに横向き駆動軸41の適当箇所にベベルギヤ55を設け、このベベルギヤ55からスプライン結合による伸縮可能な前後向き回転軸56を延出させ、この回転軸56をユニバーサルジョイントによる折れ曲がり変位可能でしかもスプライン結合による伸縮可能となされた伝動軸57や、適宜な伝動ケース58を介して円盤カッタ20の回転中心軸に連動連結させる。ここに、前後向き回転軸56は機体の左右何れの側に設けても差し支えないものである。
【0046】次に、上記のように構成した収穫機を使用して、マルチフィルムmで被われた畝U上に植生した野菜wの一種である玉葱を収穫する際の作動について説明する。図1〜図3に示すように機体を畝Uの長手方向に沿わせ、左右の走行車輪27、27を一つの畝Uの左右の畝間溝nに位置させ、機体が畝Uを跨いだ状態とする。次に必要に応じて回転操作ハンドル37を回転操作してゲージ輪28を機体に対し上方へ変位させ、分草装置1、掻込み装置2、掘起こし刃16、円盤刃23、円盤カッタ20及び挟持搬送装置3を玉葱wの収穫処理に最適な高さとする。これにより、縦向き引起こし装置5のタイン7及びタインキャップ体12はその最下位置で畝Uを被ったマルチフィルムm上面に接して地面を押圧する状態となる。
【0047】この後、各部を作動状態として機体を走行させる。機体の前進時、各縦向き引起こし装置5のタイン7及びタインキャップ体12は次々とその最下位置に達し起立姿勢となってマルチフィルムmを押圧しつつ前上方へ移動する。この際、タインキャップ体12は地面からの反力で図5等に示すように後方へ折れ曲がり、マルチフィルムm上面を円滑に滑り移動し、この移動中にマルチフィルムm上に倒伏している茎葉部w1を確実に掬い上げる。この後はタイン7及びタインキャップ体12が掬い上げた茎葉部w1を斜め後上方へ引き上げるように作用し、これにより茎葉部w1は隣接する玉葱w条列の茎葉部w1との絡みを分離されつつ引き起こされる。
【0048】このように処理された茎葉部w1は機体の進行により掻込み装置2に到達するのであり、掻込み装置2はこの茎葉部w1を挟持搬送装置3の挟持搬送始端近傍に送り込む。挟持搬送装置3はその送り込まれた茎葉部w1を挟持搬送始端で挟持し、続いて斜め後上方へ搬送するものとなる。
【0049】一方では、円盤刃23が掘起こし刃16により前後及び上下揺動されて前方へ押され、土との摩擦で回転し、マルチフィルムmを切り離して図9に示すように左右に二分する。
【0050】掘起こし刃16は円盤刃23で切り離されたマルチフィルムm部分に形成された開口から土中に進入した状態となり、その水平刃部16aが収穫中の2条列R1、R2分の玉葱wの根部w2の下方を前後及び上下揺振動しつつ切り進み根部w2周辺の土を膨軟となす。この際、掘起こし刃16の縦向きアーム部16bの前方に円盤刃23が存在するため、縦向きアーム部16bは円盤刃23により切断されたマルチフィルムm部分の開口内にマルチフィルムmと強く接触することなく位置することができ、マルチフィルムmの後処理を困難になすようなマルチフィルムの変形を生じさせるものとならない。
【0051】挟持搬送装置3による茎葉部w1の挟持搬送が進行するに伴って、茎葉部w1は漸次上昇され、その根部w2に上方への引張力が作用し、根部w2は土中から引き抜かれるのであり、この後、さらに挟持搬送装置3による茎葉部w2の挟持搬送が進行すると、収穫中の各条列の根部w2は茎葉下部案内板19の下面に達し、茎葉下部補助送り装置17から茎葉部w1下部に付与される送り力にその後方移動を補助されつつ、その誘導案内路19bを通じて円盤カッタ20へ向け搬送される。
【0052】根部w2が茎葉下部案内板19に達した後にもその茎葉部w1は挟持搬送装置3により斜め後上方へ搬送されるようになり、この際、根部w2は茎葉下部案内板19よりも上方へ移動するのをこの茎葉下部案内板19の誘導案内路19bで規制されるため、その茎葉部w1は緊張状態となって円盤カッタ20に達し、ここで茎葉部w1は回転駆動される円盤カッタ20により根部w2から切り離される。
【0053】このような根部w2の処理中、畝Uを被ったマルチフィルムmは根部w2の上側に存在するのであり、従って根部w2が機体後方へ搬送される程、マルチフィルムmは根部w2と一緒に漸次高く持ち上げられるようになる。このように持ち上げられたマルチフィルムmはフィルム案内押さえ棒24a、24b、24cが適当に地面上に押さえ付けるため、分草処理や搬送処理等がマルチフィルムmにより損なわれることは生じない。
【0054】円盤カッタ20で茎葉部w1を切り離され自由状態となった根部w2は直ちに畝U上に落下するのであり、一方、根部w2から分離されたマルチフィルムmは図9に示すように集束ロッド25で畝肩部や畝間溝nから剥ぎ取られ集束ローラ26に案内されつつ収穫跡の畝U上に放置される。なお、集束ロッド25は作業開始時に畝肩部とこれを被ったマルチフィルムmとの間に手作業により位置させておくようにする。
【0055】畝U上の2条R1、R2の玉葱wが収穫処理された後は、機体を反対向きに進行させて畝U上の残りの2条R3、R4の玉葱wを収穫する。こうして収穫処理が終了した後は、作業者はマルチフィルムmを除去し根部W2を収拾する。
【0056】上記実施例では、タイン7にタインキャップ体12を係着してタイン7の先部延長箇所を弾性変形可能となしたが、これに代えて、タイン7を長めとなしてその先部のみを弾性変形可能となすことも差し支えない。この場合にも、タイン7の曲がり箇所は先方になる程、曲がり易くなすのがよい。またタイン7からその先部を切り除いてなるタイン本体部の先側端部に適度な弾性のバネ材をタイン先部として延長状に固定するとも可能であり、或いは、前記タイン本体部の先側端部に硬質な樹脂材からなる先部材を延長状に配置し、この先部材をタイン本体部にバネ材を介して折れ曲がり可能に結合することも差し支えないのであり、この際、硬質な樹脂製の先部材及びバネ材がバネ組付け品をなすものである。
【0057】
【発明の効果】上記した本発明によれば、次のような効果が得られる。即ち、請求項1に記載したものによれば、マルチ栽培された野菜を収穫する際、機体がたとえ上下左右に揺動してもタインの先部はその最下位置近傍でその曲がり度合いを変化されて、地面を被覆したマルチフィルムの上面をその弾性により常に安定的に押圧するものとなり、しかもタインの先部は後向きへ折れ曲がるためその移動中にマルチフィルムに引っ掛かることの生じないものとなり、従ってマルチ栽培された玉葱等の茎葉部をマルチフィルムを破ることなく確実且つ能率的に分草することができるものであり、またタインの分草性能が著しく向上するため、従来のような縦向き引起こし装置の下端部から前方へ張り出させる棒状デバイダ、即ち図1に仮想線ka1で示すようなデバイダは設けなくても済むものとなる。また露地栽培された玉葱等であってもその茎葉部を従来よりも確実に掬い上げ引き起こすことのできるものである。
【0058】請求項2に記載した発明によれば、タイン先部が連続的に折れ曲がるようになって、倒伏した茎葉部を効果的に掬い上げ引き起こすことのできるものである。
【0059】請求項3に記載した発明によれば、構造的な観点から容易且つ安価に製造できる構造となり、しかも従来の野菜収穫機の構造変更をしなくても請求項1記載の発明と同様な効果を得ることができるものである。この場合にもタインキャップ体によりタインの分草性能が著しく向上するため、従来のような棒状デバイダは設けなくても済むものとなる。
【0060】請求項4に記載した発明によれば、材料的な観点から、茎葉部を掬い上げ引き起こす作用を確実且つ安価に得ることのできるものとなる。
【0061】請求項5に記載した発明によれば、タインキャップ体を連続的に曲がるものとなして、茎葉部を効果的に掬い上げ引き起こさせることのできるものである。
【0062】請求項6に記載した発明によれば、マルチフィルムの破損を簡易且つ経済的に防止することができるものである。
【0063】請求項7に記載した発明によれば、タインキャップ体による茎葉部の掬い上げや引起こしの作用の強弱を適当に調整することができる。
【0064】請求項8に記載した発明によれば、タインキャップ体による茎葉部の掬い上げや引起こしの作用の強弱を適当に調整できるほか、キャップ体による茎葉部の掬い上げや引起こしの作用の及ぶ範囲を大小に調整することができるものである。
【0065】請求項9に記載した発明によれば、タインキャップ体による茎葉部の掬い上げや引起こしの作用の強弱を材料の硬軟により適当に調整することができるものである。
【0066】請求項10に記載した発明によれば、タインキャップ体をタインに強力に係止させて確実且つ安定的に機能させることができるものである。請求項11に記載した発明によれば、簡易に持ち運びでき、装着できるものである。
【出願人】 【識別番号】000005164
【氏名又は名称】セイレイ工業株式会社
【出願日】 平成12年1月17日(2000.1.17)
【代理人】
【公開番号】 特開2001−190110(P2001−190110A)
【公開日】 平成13年7月17日(2001.7.17)
【出願番号】 特願2000−7588(P2000−7588)