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【発明の名称】 根茎作物収穫機
【発明者】 【氏名】山本 義昭

【要約】 【課題】畝面に育成されている根茎作物の茎葉部を挟持して斜め後上方に搬送する引抜き装置(5)の始端位置下方に、土壌を膨軟にする左右一対の掘取り刃(8)(8)を配設し、作物の引抜きを助ける際、圃場や作物の育成状態に合わせて適正に調整された深さで土壌を膨軟にする。

【解決手段】掘取り刃(8)(8)の土壌を膨軟にする深さを調整可能な構成とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 畝に育成されている根茎作物の茎葉部を挟持して斜め後上方に搬送する引抜き装置の始端位置下方に、土壌を膨軟にする左右一対の掘取り刃を配設した根茎作物収穫機において、掘取り刃は土壌を膨軟にする深さを調整可能な構成とすることを特徴とする根茎作物収穫機。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、玉葱や人参等根茎作物を掘取収穫する根茎作物収穫機に関する。
【0002】
【従来の技術】従来のものは、根茎作物の茎葉部を掬い上げ分け整える分草装置を備え、該分草装置の後方に引抜き装置及び掘取り刃を連設した根茎作物収穫機において、振動掘取り刃を装着した例が知られている。
【0003】ところが、この種の収穫機では引抜き装置の作用始端位置と掘取り刃の作用位置との相対位置が固定的なのが一般的であり、この場合、圃場条件や作物条件によって根茎作物の根の成育状態が異なる為、引抜き装置に掛かる負荷も変動し引抜き作用と合わせて茎葉部の挟持位置のバラツキを生じ、茎葉部の切断位置も一定せず作業上の不具合を生じ作業能率の低下を誘発する問題点が潜在している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は従来の技術においての前記不具合を解決するためになされたもので、圃場条件や作物条件による根茎作物の根の成育状態に対応して、引抜き装置の作用始端位置に対して掘取り刃の取付け位置を調節して、圃場を膨軟にする作用と引抜き作用のタイミングを適正に合わせることが出来る様に構成し、圃場膨軟作用の支援によって引抜き作用に掛かる負荷を一定にし、茎葉部の挟持位置を安定させ円滑なる収穫作業を可能にした構成を根茎作物収穫機にて提供する。
【0005】
【課題を解決するための手段】根茎作物の茎葉部を掬い上げ分け整える分草装置を備え、該分草装置の後方に引抜き装置及び掘取り刃を連設した根茎作物収穫機において、引抜き装置の始端位置に対して、掘取り刃の作用位置を前後調整可能な構成にして、引抜き装置の始端位置より前進又は後退した位置を掘取り刃の作用位置として選択可能にしたことによって、引抜き作用の開始時点に適合した掘取り刃の作用位置を根茎作物の成育状況により選択する事ができる様に構成した。
【0006】根茎作物の茎葉部を掬い上げ分け整える分草装置を備え、該分草装置の後方に引抜き装置及び掘取り刃を連設した根茎作物収穫機において、振動を付加し土壌を膨軟にする掘取り刃の振動支点と作用基点の相対位置を選択可能な取付け可変構造にし、圃場条件や作物の成育状況への適用範囲を広くした。
【0007】根茎作物の茎葉部を掬い上げ分け整える分草装置を備え、該分草装置の後方に引抜き装置及び掘取り刃を連設した根茎作物収穫機において、引抜き装置の始端位置に対して、掘取り刃の作用位置を先行させた位置構成にして、引抜き作用が働く時点では常に土壌は膨軟にされた状態になる様にした。
【0008】根茎作物の茎葉部を掬い上げ分け整える分草装置を備え、該分草装置の後方に引抜き装置及び掘取り刃を連設した根茎作物収穫機において、圃場や作物条件による茎葉部の成育状態で倒伏したり徒長した場合に、機体進行速度を遅くして作業しても、機体進行速度に同期化させて引抜き作用に追従した掘取り刃の土壌膨軟作用となる様に、引抜き装置の始端位置に対して、掘取り刃の作用位置を後退させ、茎葉部を引き起こし易くした構成にした。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明は根茎作物収穫機にて収穫作業を行う際、圃場条件や根茎作物の成育状況による根の成長状態に適合するように掘取り刃の取付位置を調整可能とし、引抜き作用と圃場膨軟作用のタイミングを合わせて掘取り作業を円滑にする様に構成した掘取り刃を玉葱収穫機にて提供するものである。
【0010】
【実施例】以下、本発明の一実施例について図面を参照し記述する。図1は本発明の要部に係わる掘取り刃と引抜き装置の側面図で、掘取り刃と引抜き装置との側面相対取付位置を示したものである。又図2は本発明の要部に係わる掘取り刃と分草装置及びゲ−ジ輪の相対位置を側面視したものである。図3は本発明に係わる実施例である玉葱収穫機の全体側面図であり、図4は同全体前面図である。図5は掘取へら付き掘取り刃の構成を示した前面図であり、図6は同側面視図である。
【0011】まず、実施例としての玉葱収穫機の全体構成について、図3及び図4を参照して説明すると、(1)は機体の最前部に装着されている分草装置で、左右方向の一定間隔毎に複数個設けた縦廻し形の分草体(1b)(1b)・・で構成され、該分草体(1b)は駆動スプロケットと従動プ−リに巻掛けられ周回する引起タイン(1a)付きチェンと分草体(1b)の先端に固設された分草棒(1c)及び分草板(1d)からなり、機体の進行中斜め上方(U1)へ移動される引起タイン(1a)により玉葱などの作物の茎葉部を掻き分けて引き起こすように構成されている。
【0012】各分草体(1b)の先端に固設された分草棒(1c)は斜め前方下向きへ延出されていて、該分草棒(1c)は機体の進行中、作物の茎葉部を掬い分けるものである。そして分草板(1d)がゲ−ジ輪(29)側の分草棒(1c)横方に固着され、ゲ−ジ輪(29)の前方に配設されていて、ゲ−ジ輪(29)による茎葉部の捲き込みを回避している。
【0013】(3)は突起付きベルト(4)を巻掛けて成る掻込み搬送体(3a)(3b)を左右一対に対峙構成した掻込み装置で、各突起付きベルト(4)を掻込み装置(3)の先端部外方から中央箇所へ向けて周回移動させ、続いて斜め上後方へ直線移動させることにより、分草装置(1)が引き起こした作物の茎葉部を該掻込み装置(3)の下部中央へ掻き込んで斜め上方(U2)へ押し上げるように構成されている。
【0014】(5)は無端帯搬送ベルト(6)と複数個のプ−リ(7a)(7b)を内蔵し構成された引抜き搬送体(5a)(5b)を左右一対に対峙構成した引抜き装置である。一対の無端帯搬送ベルト(6)(6)は対向して、相互の間を引抜き搬送経路(H)として茎葉部を挟持搬送するのである。
【0015】即ち、この引抜き装置(5)は掻込み装置(3)の掻き込んだ茎葉部の比較的上部を引抜き搬送経路(H)の搬送始端部で受け継ぎ、該引抜き装置(5)で挟持して斜め上後方(U3)へ搬送するが、この搬送過程で該引抜き装置(5)の下方に配設した左右一対の堀取り刃(8)(8)の振動作用によって膨軟になった畝面から作物を機体の前進に伴い引抜き、後方斜め上方に搬送するように構成されている。
【0016】本発明の要部である堀取り刃(8)(8)の取付け構成を図1及び図2を参照しながら記述する。堀取り刃(8)は揺動ア−ム(18)によって振動が付加されるが、該堀取り刃(8)は振動支点(ハ)で取付板を介してフレ−ム(19)に枢着され、作用基点(イ)又は(ロ)で揺動ア−ム(18)に枢着し接続している。この場合作用基点(イ)又は(ロ)のどちらを選択するかによって堀取り刃(8)の刃先部の作用位置(ホ)又は(ヘ)は前後し引抜き装置(5)の始端位置(ニ)との相対位置を可変して、圃場条件や作物条件によって根の成育状態に差異を生じても支障のない様に調節して、引抜き装置(5)による引抜き作用と堀取り刃(8)による土壌膨軟作用のタイミングを適合させる事が出来る様に構成されている。
【0017】更に、堀取り刃(8)は正面鉤型をして刃先部は略水平に土壌に当接し根部の周辺を膨軟にするが、図5〜6に示す様に該堀取り刃(8)の鉤型をした刃先部には堀取へら(10)が固着され、該堀取へら(10)はフォ−ク状に成形され各フォ−クの背部は断面にて鋭角状になり土壌への進入時の食い込みを良くしている。同時に堀取り刃(8)と一体的に振動して根菜部をすくい上げ引抜き作用を支援し、合わせて根部に付着した土塊を振るい落とす効果を有する。
【0018】引抜き装置(5)の下方には下部搬送装置(9)が設けてあり、該下部搬送装置(9)は左右一対の下部搬送体(9a)(9b)からなり、該一対の下部搬送体(9a)(9b)の前後傾斜は引抜き装置(5)のそれよりも緩やかにしてある。左右下部搬送体(9a)(9b)は前後一対のプ−リに各々下部搬送ベルトを巻掛けて形成し、これら下部搬送ベルトは互いに対向し、相互の間を茎葉部の下部搬送経路として茎葉部を挟持搬送するのである。更にこれら前処理部は車軸(A)を回動支点として、一体的に上下回動自在に構成されている。
【0019】図3〜図4に示すように、(26)は機体に装着された2個構成の走行車輪で、(27)は引抜き装置(5)を駆動する駆動軸を軸支した駆動ケ−スであり、(29)は機体の前部を適当高さに保持する為のゲ−ジ輪で、(30)は該ゲ−ジ輪(29)を機体に対し上下変位させる為のゲ−ジ輪調節ハンドルである。
【0020】更に、分草装置(1)は複数個の縦廻し分草体(1b)(1b)・・で構成されているが、各分草体(1b)(1b)・・の駆動系は一本の引起駆動軸に集約され伝動筒(2)に内蔵されていて、該分草装置(1)は固設した取付フレ−ムに伸縮可能に構成した前処理部高さ調節装置(37)を外筒と連結板を介して付設固着して、ゲ−ジ輪調節ハンドル(30)により任意に地上高を適正なる高さに調節する事が出来る。
【0021】更に、ゲ−ジ輪(29)の接地点を支点として、上下調節する前処理部高さ調節装置(37)の伸縮部である支持筒の外筒と分草装置(1)に固着された取付フレ−ムを連結板及び取付金によって連結固着する事により、内筒の作動ストロ−クを有効に活用する事ができる様にした。
【0022】また、側面視にて分草装置(1)の先端と引抜き装置(5)の作用始端位置での垂直方向の間で、分草装置(1)に前処理部高さ調節装置(37)を連結するように連結箇所を設定して、車軸(A)を支点として回動する前処理部を上下調節する時、高さ調節装置(37)における垂直変位量より引抜き装置(5)の上下変位量を小さくし、実作業で分草装置(1)の先端を基準に上下調節をやっても、引抜き装置(5)の上下変位量への影響を小さくする様にし、収穫作物の成育状態に左右されることなく、略定位置で茎葉部を挟持し引抜作用を行い、後行程での作業を円滑にする様に構成してある。
【0023】エンジン(E)に直結した走行伝動装置(33)の前部に連設された出力ケ−スには出力軸が内蔵され、該出力軸に連動し駆動ケ−ス(27)に内蔵された引抜き装置(5)の駆動軸は、左右上プ−リ(7a)(7a)を介して引抜き装置(5)を駆動し、引抜き装置(5)の左右下プ−リ(7b)(7b)のプ−リ軸に連結された左右チェン伝動部(28)(28)を介して左右一対の掻込み装置(3)の駆動と同じく対を成す下部搬送装置(9)の駆動に分岐し各前処理装置を駆動するように構成されている。(31)は操縦ハンドルであり、(32)は茎葉排出装置である。
【0024】以下、上記の様に構成した玉葱収穫機で玉葱を収穫する際の作動を説明する。図3〜4に示す様に畝(W)に沿わせて機体を走行させると、畝面に育成されている玉葱の茎葉部を分草棒(1c)が掬い上げるが、この時、分草装置(1)の地上高を適正なる高さに調節する為に、調節ハンドル(30)を廻して、ゲ−ジ輪(29)を支点に高さ調節装置(37)の伸縮調整をやり、玉葱の成育状況や茎葉部の状態及び畝高さに適合させて分草装置(1)の地上高を調節し、該分草装置(1)の作動により引起タイン(1a)が斜め上方(U1)へ移動し茎葉部を掻き分け引起していき、掻込み装置(3)に受け継ぐ、引続き突起付きベルト(4)が斜め上後方(U2)へ移動しながら茎葉部を引抜き装置(5)の始端部に掻き込んでいくが、この行程に合わせて掘取り刃(8)(8)は畝面を適正に調整された深さで膨軟にすると同時に引抜き装置(5)は茎葉部の比較的上部を挟持して玉葱を引抜き、後方の斜め上方(U3)へ搬送する。
【0025】こうして搬送される玉葱の茎葉部は下部搬送装置(9)の搬送始端部に供給され、この後は下部搬送ベルトがこの茎葉部の下部を挟持し、略水平方向の後部へ搬送するのである。
【0026】引抜き装置(5)と下部搬送装置(9)とによる搬送中、引抜き装置(5)は茎葉部を上方へ引張し、一方では下部搬送装置(9)が下部搬送ベルトを介して玉部を係止してその上昇を阻止する。従って、下部搬送ベルトは茎葉部の首部を挟持しつつ後方へ移動させ、また引抜き装置(5)は下部搬送装置(9)との間に位置した茎葉部に引上げ力を付与してこれを緊張状態にするのである。
【0027】こうして下部搬送装置(9)等による茎葉部の搬送が進行すると、この搬送過程で、切断装置が茎葉部を一定高さに調節した位置で切断し、このように処理された玉葱は下部搬送装置(9)によって機体後方に放出される。このような作動は機体の進行中に引き抜かれた各玉葱について連続的に行われるのである。
【0028】また切断装置で切り離された茎葉部の先部は、引抜き装置(5)により更に上方へ搬送された後、茎葉排出装置(32)により横方へ搬送され、機体側方へ落下されるのである。
【0029】
【発明の効果】本発明は、以上説明したような形態で実施され、以下に記述されるような効果を奏する。
【0030】根茎作物の茎葉部を掬い上げ分け整える分草装置を備え、該分草装置の後方に引抜き装置及び掘取り刃を連設した根茎作物収穫機において、引抜き装置の始端位置に対して、掘取り刃の作用位置を前後調整可能な構成にして、引抜き装置の始端位置より前進又は後退した位置を掘取り刃の作用位置として選択可能にしたことによって、引抜き作用の開始時点に適合した掘取り刃の作用位置を根茎作物の成育状況により選択する事ができる様に構成したので、圃場条件により根茎作物の根部の成育状況に差異が生じて根毛部に土塊の付着が増大しても、掘取り刃の作用位置を前進させ引抜き作用を支援する事ができ、引抜き時の茎葉部の挟持位置を安定させ後作業を円滑にする事が出来る。
【0031】根茎作物の茎葉部を掬い上げ分け整える分草装置を備え、該分草装置の後方に引抜き装置及び掘取り刃を連設した根茎作物収穫機において、振動を付加し土壌を膨軟にする掘取り刃の振動支点と作用基点の相対位置が選択可能な取付け可変構造にしたので、圃場条件や根茎作物の成育状況により掘取り刃の刃先部を前後に可変調節して、引抜き装置の始端位置に対して適合した掘取り刃の作用位置が設定でき、引抜き作用を容易にし安定した収穫作業が出来る様になった。
【0032】根茎作物の茎葉部を掬い上げ分け整える分草装置を備え、該分草装置の後方に引抜き装置及び掘取り刃を連設した根茎作物収穫機において、引抜き装置の始端部に対して、掘取り刃の作用位置を先行させた位置構成にして、引抜き作用が働く時点では常に土壌は膨軟にされた状態になる様にしたので、引抜き作用に掛かる負荷が安定し、圃場条件や根茎作物の成育状況に対して適用範囲を広くすることが出来た。
【0033】根茎作物の茎葉部を掬い上げ分け整える分草装置を備え、該分草装置の後方に引抜き装置及び掘取り刃を連設した根茎作物収穫機において、機体進行速度を遅くして作業しても、機体進行速度に同期化させて引抜き作用に追従した掘取り刃の土壌膨軟作用となる様に、引抜き装置の始端位置に対して、掘取り刃の作用位置を後退させたので、圃場や作物条件による茎葉部の成育状態で倒伏したり徒長した茎葉部に対応して機体進行速度を遅くした場合に、引抜き作用の速度が相対的に早くなっても、土壌抵抗により先ず茎葉部が引張られてから掘取り刃の土壌膨軟作用が働き、茎葉部の引起こしを容易にし掘取り作業の乱れを防止することが出来る。
【出願人】 【識別番号】000005164
【氏名又は名称】セイレイ工業株式会社
【出願日】 平成10年8月20日(1998.8.20)
【代理人】 【識別番号】100062270
【弁理士】
【氏名又は名称】藤原 忠治
【公開番号】 特開2001−178227(P2001−178227A)
【公開日】 平成13年7月3日(2001.7.3)
【出願番号】 特願2000−357945(P2000−357945)