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【発明の名称】 茶園管理機
【発明者】 【氏名】松村 鋼司

【氏名】湯沢 栄晃

【要約】 【課題】コスト上昇を招くことなく異なる作業内容への切り換えを容易に行える構成を備えた茶園管理機を提供する。

【解決手段】茶樹畝を跨いでその両側の畝間を走行する車体本体2に、茶樹畝上面に臨む摘採装置4を備えた茶園管理機において、上記摘採装置4は、着脱可能に設けられた刈り取り用刃43を備えており、該刈り取り用刃43が摘採用、剪枝用若しくは剪定用のもののいずれかに交換可能とされている特徴している。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 茶樹畝を跨いでその両側の畝間を走行する車体本体に、茶樹畝上面に臨む摘採装置を備えた茶園管理機において、上記摘採装置は、着脱可能に設けられた刈り取り用刃を備えており、該刈り取り用刃が摘採用、剪枝用若しくは剪定用のもののいずれかに交換可能とされていることを特徴とする茶園管理機。
【請求項2】 上記刈り取り用刃は、車体本体側の下部幅方向に架設されたサッシ部材により上記幅方向に沿って摺動可能に支持され、該サッシ部材とともに若しくは単独で上記摘採装置から取り外されることにより異なる用途の刃に置き換え可能であることを特徴とする請求項1記載の茶園管理機。
【請求項3】 上記サッシ部材は、架設方向一方側に上記摘採装置の支持部に対面可能な支持片部を有し、架設方向他方側に上記刈り取り刃の摺動起動部を有し、架設方向で少なくとも支持片部および摺動起動部が上記摘採装置側に着脱可能な構成とされていることを特徴とする請求項1または2記載の茶園管理機。
【請求項4】 上記刈り取り刃の摺動起動部は、上記車体本体側に支持されている駆動源の駆動伝達部に対して着脱可能に設けられ、上記車体本体から取り外される際に上記駆動伝達部から離脱する構成とされていることを特徴とする請求項3記載の茶園管理機。
【請求項5】 上記サッシ部材は、上記刈り取り刃と対向する面が該刈り取り刃の摺動ガイド面とされていることを特徴とする請求項3記載の茶園管理機。
【請求項6】 茶樹畝を跨いでその両側の畝間を走行する車体本体に、茶樹畝上面に臨むように昇降可能な摘採装置を備えた茶園管理機において、上記車体本体の後部には、上記摘採装置により摘採された茶葉を収容する昇降可能若しくは定位置に設置可能な収容手段と、該収容手段の下位に設置されて上記摘採装置による茶葉摘採作業以外の用途に用いられる剪枝用若しくは剪定用の刃が備えられ、上記収容手段が上昇位置にあるときに上記摘採作業以外に用いられる刃が稼働状態に設定可能であることを特徴とする茶園管理機。
【請求項7】 上記刈り取り刃の近傍には、刈り取り物を茶畝以外の場所に吹き飛ばす手段が設けられ、該吹き飛ばし手段には、上記車体本体に設けられて上記摘採装置により摘採された茶葉を吹き飛ばすための送風機と連通可能な構成が備えられていることを特徴とする請求項6記載の茶園管理機。
【請求項8】 上記刈り取り刃は、上記摘採装置用として設けられている昇降装置により昇降可能に設けられていることを特徴とする請求項6または7記載の茶園管理機。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、茶樹園において各茶樹畝を跨いでその両側の畝間を走行しつつ茶葉の摘採作業や剪枝や剪定作業等の茶園管理作業が行える茶園管理機に関し、さらに詳しくは、茶園管理の作業内容に適用される刈り取り刃の交換構造に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、作業者の高齢化に伴い、茶園を管理する様々な機械の自動化及び作業負担の軽減が急務とされてきている。これらの、要望に答えるべく、例えば乗用型の茶葉摘採機が提案されている。上記乗用型の茶葉摘採機は、茶畝を跨いでその両側の畝間を自走できるクローラ装置を備えた車体本体と、大型の送風装置と、茶樹畝の上面全面に臨むバリカン式の摘採装置と、摘採された茶葉を送風装置からの送風により収容袋に収容するためのダクトとを備え、摘採茶葉を送風装置により圧送してダクト内を上昇させ、空気と茶葉とを分離したうえで収容装置に装備されている収容袋内に導入するようになっている。このような構成を備えた乗用型茶葉摘採機は、極端な傾斜地でない限り、茶畝内に乗り入れて摘採作業を行うことができる。また、上述した摘採機には、上記乗用車体に乗員席を設けない構造の車体本体に上述した摘採装置をはじめとする摘採作業に必要な部材を搭載して作業者がその車体本体の後ろについて歩きながら摘採作業を行う歩行型の摘採機もある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記構成を備えた乗用型あるいは歩行型の茶葉摘採機においては、茶葉の摘採作業だけでなく、他の刈り取り作業の一つである剪枝作業にも使用できることが兼用作業機械として効率を良くする点で好ましい。しかし、例えば、摘採面より3〜5cm程度の部分を刈り取る作業である軽剪枝作業を茶葉摘採に用いたバリカン刃によって実行しようとすると、摘採時と違って枝を刈り取る関係上、バリカン刃への負荷が大きくなり、結果として、そのバリカン刃では強度不足に陥ってしまい、所望の作業を実行できない場合がある。そこで、従来では、枝を刈り取る際の強度を有する刃を備えた専用の剪枝機を準備する必要がある。しかし、専用の剪枝機においても摘採装置と同様な構造であることからコストが嵩み、簡単に導入することが困難な場合がある。しかも、専用の剪枝機機自体も大型なものである関係上、機械の交換が大変であった。
【0004】さらに、剪枝作業には、上述した軽剪枝作業と違って、茶樹の摘採面より10〜20cm程度の深さの部分を刈り取る深刈り作業があり、この作業においては、軽剪枝作業に比べて剪定刃に作用する負荷がさらに強大となる。このため、深刈りに必要な強度を有する刃を交換して取り付けることも考えられるが、この場合には次のような新たな問題が生じる。すなわち、一般に、この種の摘採機には、摘採した茶葉を収容するためのコンテナが車体本体の後部に配置されていることが多い。従って、コンテナ分だけ車体本体の前後方向の長さが長くなり、このようなコンテナの後部に深刈り用の剪枝機を配置すればさらに旋回時での旋回スペースが大きく必要となる。このため、狭い枕地での旋回が難しくなることもある。
【0005】本発明の第1の目的は、上記従来の茶園管理作業における問題に鑑み、コスト上昇を招くことなく異なる作業内容への切り換えを容易に行える構成を備えた茶園管理機を提供することにある。
【0006】本発明の第2の目的は、摘採茶葉の収容部を装備している車体本体に対して異なる作業に対応した刈り取り刃を取り付けたとしても、収容部の存在によって車体本体の旋回性能が悪化したりあるいは取り付け作業性が悪化するのを防止できる構成を備えた茶園管理機を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するため、請求項1記載の発明は、茶樹畝を跨いでその両側の畝間を走行する車体本体に、茶樹畝上面に臨む摘採装置を備えた茶園管理機において、上記摘採装置は、着脱可能に設けられた刈り取り用刃を備えており、該刈り取り用刃が摘採用、剪枝用若しくは剪定用のもののいずれかに交換可能とされていることを特徴している。
【0008】請求項2記載の発明は、上記刈り取り用刃は、車体本体側の下部幅方向に架設されたサッシ部材により上記幅方向に沿って摺動可能に支持され、該サッシ部材とともに若しくは単独で上記摘採装置から取り外されることにより異なる用途の刃に置き換え可能であることを特徴としている。
【0009】請求項4記載の発明は、上記刈り取り刃の摺動起動部は、上記車体本体側に支持されている駆動源の駆動伝達部に対して着脱可能に設けられ、上記車体本体から取り外される際に上記駆動伝達部から離脱する構成とされていることを特徴としている。
【0010】請求項5記載の発明は、上記サッシ部材は、上記刈り取り刃と対向する面が該刈り取り刃の摺動ガイド面とされていることを特徴としている。
【0011】請求項6記載の発明は、茶樹畝を跨いでその両側の畝間を走行する車体本体に、茶樹畝上面に臨むように昇降可能な摘採装置を備えた茶園管理機において、上記車体本体の後部には、上記摘採装置により摘採された茶葉を収容する昇降可能若しくは定位置に設置可能な収容手段と、該収容手段の下位に設置されて上記摘採装置による茶葉摘採作業以外の用途に用いられる剪枝用若しくは剪定用の刃が備えられ、上記収容手段が上昇位置にあるときに上記摘採作業以外に用いられる刃が稼働状態に設定可能であることを特徴としている。
【0012】請求項7記載の発明は、上記刈り取り刃の近傍には、刈り取り物を茶畝以外の場所に吹き飛ばす手段が設けられ、該吹き飛ばし手段には、上記車体本体に設けられて上記摘採装置により摘採された茶葉を吹き飛ばすための送風機と連通可能な構成が備えられていることを特徴としている。
【0013】請求項8記載の発明は、上記刈り取り刃は、上記摘採装置用として設けられている昇降装置により昇降可能に設けられていることを特徴としている。
【0014】
【作用】請求項1乃至5記載の発明では、茶園管理作業の内容に応じた刈り取り刃を車体本体に設置することができる。これにより、摘採作業以外の作業においてその作業内容に応じた機械を準備する必要がなくなる。特に、請求項2乃至4記載の発明では、刈り取り刃が摺動可能に支持されているサッシ部材をこれが取り付けられる摘採装置に対して着脱するだけでよく、しかもこのサッシ部材の取り外しに際しては刈り取り刃の摺動起動部も車体本体側の駆動源から分離させることができるので、大がかりな交換作業を要することがない。さらに、請求項5記載の発明では、サッシ部材が刈り取り刃の摺動ガイド面を備えているので、これとともに刈り取り刃を交換することができ、交換される刈り取り刃毎にガイド面を準備する必要もなくなる。
【0015】請求項6乃至8記載の発明では、車体本体後部に摘採茶葉の収容手段を設けた構成を対象とした場合にその収容手段の下位に摘採作業とは異なる作業を実施する剪枝用あるいは剪定用の刃を設置することにより、同一の車体本体で異なる作業を実行することができる。特に、作業内容によっては刈り取られたが屑が茶畝上面に散乱するのを防ぐことができ、しかも、刈り取られた屑が吹き飛ばされることにより茶樹上面から排除できるので、摘採作業の際に屑により摘採刃が欠損するようなことがない。また、刈り取られた屑を排除するために用いられる吹き飛ばし手段が摘採装置に用いられる送風機に連通する構成であるので、特別な構造を新設する必要がなく、異なる作用を実行する際の設備コストを低減できる。
【0016】
【実施例】以下、図示実施例により本発明の詳細を説明する。図1〜図3は本発明に係る茶園管理機の一実施形態を示した図であり、本実施例では、茶葉摘採機を茶園管理機として用いる場合を対象としている。図1に示される茶葉摘採機1は、車体本体2と、走行手段3と、摘採装置4と、送風手段5と、茶葉収容手段6等とを備えて構成されている。以下、各部について説明する。
【0017】図1に示されるように、車体本体2は、車体本体の構造材となる門型のフレーム20と、フレーム20の前側上部に取り付けられた乗車板22等とを具備している。フレーム20は、複数の縦フレーム20Aが立設されているとともに、縦部材20A間には横フレームが架け渡されることにより、門型形状に形成されている。
【0018】乗車板22は、エンジンの重量等に対して十分な剛性を有する板材であり、左右前部の縦フレーム20Aの上部の間に取り付けられている。乗車板22には、走行手段3の駆動源であるエンジン24と、燃料タンク26とが設置されている。さらに、乗車板22には、図示しない操縦席が設けられているとともに、各種の操縦装置を備えた操縦部28が配設されている。
【0019】左右の縦フレーム20Aの下部には、走行手段3が配設されており、この走行手段3は、駆動輪32と従動輪31とを有するとともに、これらの間にはゴムクローラ33が掛け回されている。駆動輪32と従動輪31との間には補強フレーム34が連結され、この補強フレーム34には複数の転輪35が枢着されており、ゴムクローラ33を案内支持するようになっている。図1に示されるように、走行手段3は、エンジン24の出力軸に連結されている油圧ポンプ36によって駆動輪32の回転・停止に必要な油圧が図示しない制御回路の指示信号に基づいて供給され、前進、後進、操舵制御を行う。
【0020】図2、図3および図5に示されるように、摘採装置4には、車体本体2の下部幅方向に延設された支持フレーム41,41の両端部に、後述するサッシ部材43Aの支持部をなす1対の側板42(便宜上、正面から見て左側に位置する側板、図5に示すように符号42’で示してある)が下方に向けて積極形成されており、この側板42(図3参照),42’(図5参照)の下部前側に、所定の曲率のバリカン刃からなる刈り取り刃の一つである摘採用の刈り刃43が、側板42,42’間に架設されたサッシ43Aによって横方向に摺動自在に支持されて往復動するようになっている。摘採装置4の左右方向の一方側には、油圧ポンプ36による油圧制御により回転駆動される摺動用駆動源をなす油圧モータ44が配設されており、油圧モータ44の駆動力が摺動起動部45を介して刈り刃43を往復動させる際の動力として伝達されるようになっている。
【0021】また、摘採装置4は、車体本体2の中央に位置する水平フレーム20Bの下面に取り付けられたシリンダ等によって構成された昇降手段46の下端に対して支持フレーム41が接続され、シリンダ駆動によって摘採装置4全体を昇降させることが可能となっている。これにより、刈り刃43を茶葉の成長度合いに合わせて最適な摘採高さに固定することができる。昇降手段46による摘採装置4の昇降は、車体本体2の後部に位置するフレーム20Aと水平フレーム20Bに設けられている昇降フレーム100とにおいて摺動可能に支持されている昇降体101,101’によってガイドされるようになっている。側板42の前部には、茶葉を刈り刃43まで導くためのガイド片47が前方側へ突出して設けられている。
【0022】摘採装置4には、摘採された茶葉を茶葉収容手段6に向けて吹き飛ばすための送風手段5が設けられている。図1に示されるように、送風手段5は、送風機51と、送風管52と、ノズル53等とを備えて構成されている。送風機51は、ほぼ車体中央部に配置され、乗車板22に立設された支持枠25によって所定の高さ位置に支持されている。
【0023】送風機51は、ルーツファンによって構成されており、その回転軸に固着された従動プーリ51Aとエンジン24の出力軸に取り付けられた駆動プーリ24Aとの間に掛け回されたベルト51Bを介して回転駆動されるようになっている。左右2本の送風管52A,52Bは、送風機51の左右に分割された2つの吹き出し口58A,58Bに、それぞれ接続されている。送風管52A,52Bは、摘採装置4が上下動した場合に、送風機51の高さ位置の変化を吸収できるように、中間で複数のパイプに分割されており、その分割されたパイプ同士を相互に嵌挿することにより伸縮可能になっている。
【0024】図1に示されるように、送風管52A,52Bは、摘採装置4の上方で車体のほぼ中央位置を境に屈曲させられて左右に振り分けられ、刈り刃43の曲率とほぼ同様な曲率で緩やかにカーブしている。送風管52A,52Bの刈り刃43に沿った部分は可撓性を有しており、ある程度の屈曲が可能となっている。ノズル53は、送風管52A,52Bの刈り刃43の幅方向に沿った下面に、複数取り付けられており、その先端は刈り刃43に向かって開口して、圧力風を吹き付けることができるようになっている。
【0025】図3に示されるように、送風管52A,52Bの左右の端部には、送風管ステー54が取り付けられている。この送風管ステー54には、複数の丸孔55が前後方向に等間隔で穿設されており、これらの丸孔55のうち、所望の孔を選択した後、先端にネジ部を有するノブ56を挿入し、側板42に穿設された長孔42A,42Bに沿って移動させながら、側板42の裏面側からナット等で固定すれば、送風管ステー54を所望の高さ位置で固定することができる。さらに、丸孔55のうち、後側に穿設されている丸孔55を選択して長孔42A,42Bに固定すれば、送風管ステー54を所定の範囲で前後動させることができる。
【0026】即ち、送風管ステー54は、長孔42A,42Bの縦方向の長さL1分だけ上下方向の位置調整が可能であり、又、丸孔55の幅L2分だけ前後方向の位置調整が可能である。このため、送風管ステー54の位置を調整することにより、送風管ステー54に取り付けられている送風管52A,52B、つまり、刈り刃43に向かって開口しているノズル53の位置を微調整することができ、茶葉の成育状態に合わせて、最適な方向で圧力風を吹き付けることが可能となる。
【0027】図4は摘採装置4の中央部を示す側面図である。図4に示されるように、摘採装置4中央部の中枠48の水平部48Aには、送風管52A,52Bが、これの外周面を固定する固定金具57及びステー59を介して取り付けられている。この固定金具57はクランプレバー57Aを有し、このクランプレバー57Aを緩めることにより、送風管52Bの固定を解除することができ、送風管52Bの高さ位置を変更できるようになっている。また、ステー59は、中枠48の水平部48Aに対して前後方向に公知の手段により移動可能である。したがって、ノズル53の位置を所定の範囲で前後及び上下方向に移動することができるようになる。更に、中枠48には、モータ49が積載されており、このモータ49によって茶葉の摘採時に中枠48の前方に滞留する茶葉に対して可動板50を振動させることにより、左右に振り分ける。
【0028】上述した摘採装置4は、これに装備されている刈り取り刃の一つである摘採刃となる刈り刃43が着脱可能に設けられており、作業内容に応じて刈り取り刃を交換できるようになっている、以下、そのための構成を説明する。図3において、摘採装置4側で刈り刃43の支持部をなす側板42に対し、サッシ部材43Aの架設方向一方側に位置するコーナ支持片部43A1が複数のボルト60を締結されることでコーナー支持片部43A1に対面する一体化されている。
【0029】サッシ部材43Aの延設方向他方端に位置する摺動起動部45は、図6に示すように、入力軸45Aに対してスプライン結合が可能な継ぎ手部材161を介して油圧モータ44側の駆動伝達部に相当する出力軸44Aと連動可能に連結されており、継ぎ手部材161の位置で入力軸45Aが油圧モータ44の出力軸44Aに対して接離できるようになっている。摺動起動部45の入力軸45Aには、位相を異ならせて刈り刃43を相対方向に往復動させるためのクランクカム45B、45Cが一体化されている。油圧モータ44側の出力軸44Aおよび摺動起動部45側の入力軸45Aは、これら各軸を内部に配置可能な空間を有するケーシング44Bおよび45D内に収容されている。摺動起動部45側のケーシング45Dは、図5に示すように箱状をなし、その上面が油圧モータ44側のケーシング44Bに設けられているフランジ部44D1に対してボルト62で締結されることにより一体化される。ケーシング同士が一体化されることにより、内部では油圧モータ44側の出力軸44Aと摺動起動部45側の入力軸45Aとが、図6に示すように継ぎ手部材161を介して連結される。これにより、油圧モータ44の回転が摺動起動部45に伝達されて刈り刃43互いに相対する方向に往復動できる。
【0030】摺動起動部45側のケーシング45Dの一部には、図5に示すように、ブラケット45D1が形成されており、このブラケット45D1が摘採装置4で対面している側板42’に対してボルト62’を介して締結されることにより摺動起動部45が摘採装置4側に一体化される。
【0031】さらに、中枠48に対してサッシ部材43Aは、図4に示すように、その下面側から挿通されるボルト63により締結されることにより中枠48を介してサッシ部材43Aが摘採装置4側に取り付けられている。また、図4においてサッシ部材43Aにおける刈り刃43に対向する面は、刈り刃43が直接対向した状態でボルト64を介して取り付けられるガイド面とされ、さらにボルト64は、刈り刃43において摺動方向に沿って形成されている長孔(図示されず)内に挿通されて刈り刃43の往復動を許容しながら脱落を防止している。
【0032】本実施例は以上のような構成であるから、茶葉摘採時に使用された刈り刃43を軽剪枝作業のための剪枝刃と交換することができる。すなわち、少なくとも、サッシ部材43Aが摘採装置4の支持部をなす側板42,42’から取り外され、本実施例では、これに加えて、中枠48に対してもサッシ部材43Aが取り外される。この場合には、刈り刃43を支持しているサッシ部材43Aと側板42,42’とを締結しているボルト60,62’(図3,図5参照)がその締結をそれぞれ解除され、さらに、サッシ部材43Aの中央部と中枠48とを締結しているボルト63(図4参照)が締結を解除され、加えて、摺動起動部45側のケーシング45Dと油圧モータ44側のケーシング44Bのフランジ部とを締結しているボルト62が締結を解除されることにより、サッシ部材43Aは、摘採装置4側から取り外される。図7は、摘採装置4側から取り外されたサッシ部材43Aを示しており、図7(A)において、サッシ部材43Aが取り外される際には、上述したように、架設方向一方に位置する側板42’に対してボルト60が取り外され、架設方向他方に位置する側板42およびケーシング44Bに対してボルト62,62’が取り外され、さらに、架設方向中央に位置する中枠48に対してボルト63が取り外されることにより摘採装置4から取り外される。図7(B)に示すように、サッシ部材43Aに対してコーナ支持片部43A1および摺動起動部45を分割することができ、組立時には、サッシ部材43Aの架設方向両側にコーナ支持片部43A1,摺動起動部45が図示しない締結部材により一体化されるようになっている。図8は、摘採装置4からサッシ部材43Aが取り外される状態を示しており、上の図面において摘採装置4に一体化されていたサッシ部材43Aおよびこれに支持されている刈り刃43は、下の図に示すように摘採装置4から分離される。
【0033】一方、摘採用の刈り刃43が取り除かれた後には、図示しないが、作業内容、例えば、軽剪枝用あるいは剪定用の刈り取り刃が刈り刃43の取り外し手順と逆の手順により側板42,42’および中枠48にそれぞれ取り付けられる。これにより、摘採装置4を摘採作業とこれ以外の作業とに兼用することができるので、改めて異なる作業のために専用の剪枝機や剪定機を準備する必要がない。
【0034】次に、本発明の別実施例を説明する。図9は、車体本体の後部に設けられている茶葉収容手段6と同じ側の下位に深刈り用の剪枝刃を設けたことを特徴としている。なお図9における説明において、図1乃至図8に示したものと同じ部材については同符号により示してある。図9において車体本体2の後部に設けられている茶葉収容手段6は、ノズル53によって吹き飛ばされた摘採茶葉を搬送する搬送ダクト71に連通可能な茶葉分離部を備えたコンテナ110を主要部として備えている。コンテナ110は、後述する機構により昇降できるようになっている。すなわち、摘採装置4の昇降駆動源として用いられる昇降手段46の昇降動作に連動する昇降体101,101’には、コンテナ110の側部に位置する底枠111が固定され、この底枠111が昇降体101、101’の昇降動作に応じて昇降できるようになっている。上記底枠111の上面には、コンテナ110の側部に対向して位置する側枠112,112’の下端がそれぞれ固定されており、各側枠112,112’の上面には上枠113が固定されている。
【0035】一方、上枠113の近傍には、側枠112,112’間に橋渡された補助枠114’が設けられており、この補助枠114’および上記上枠113には、コンテナ110に一端が連結された平行リンクレバー114,115の端部がヒンジ結合されている。平行リンクレバー114および115は、補助枠114’および上枠113からコンテナ110に向け延長されている一部が屈曲点とされ、その屈曲点をはさんで位置する両レバー間に各端部がヒンジ結合されている図示しない鎹(かすがい)レバーを備えている。このため、平行リンクレバー114,115は、屈曲点を支点として図2に示すような折り畳まれた状態と、図9に示すように略90°の屈曲角度を以て跳ね上げられた状態とに切り換えられるようになっている。図2に示す折り畳み状態ではコンテナー110が搬送用ダクト71と茶葉分離体110Aとが連通して摘採茶葉を導入できるようになっており、また図9に示す跳ね上げ状態では、搬送用ダクト71の末端から茶葉分離体110Aが離れてコンナ110が、例えば、茶葉搬送手段であるトラック(図示されず)の上位に位置する高さに移動するようになっている。
【0036】平行リンクレバー114、115のうちで、折り畳まれた状態の時に下方に位置する平行リンクレバー114には、図9に示すようにシリンダ装置116のロッドが連結されており、シリンダ装置116は、シリンダ部が車体本体側の不動部に取り付けられている。このため、平行リンクレバー114,115が折り畳まれた状態の時にはシリンダ装置116がロッドを収縮させ、この状態においてシリンダ装置116がロッドを伸長させると、下方に位置する平行リンクレバー114が跳ね上げられてコンテナ110が斜め上方に移動させられ、今ひとつの平行リンクレバー115によりコンテナ110が上昇前のときと同じ姿勢を維持されるようになっている。
【0037】コンテナ110には、底部に観音扉110B、110B’が設けられており、この観音扉110B、110B’は、自由端側に一端が連結されているチェーン110C、110C’によって開閉されるようになっている。チェーン110C、110C’は、その他端が複数の転輪を迂回されてシリンダ117のロッドに連結されており、シリンダ117の伸縮動作に連動して牽引および繰り出し動作を行えるようになっている。このため、チェーン110C、110C’が牽引されると観音扉110B、110B’が閉じられ、繰り出されると観音扉110B、110B’が開放されて観音扉110B、110B’農地側に集積された茶葉が落下するようになっている。
【0038】一方、上記コンテナ110の下位には、深刈り作業用の剪枝装置120が設けられている。剪枝装置120は、後部側に位置する昇降体101’に対して着脱可能なステー部材121を介して、詳細を示さないが、摘採装置4と同様に、茶畝の幅方向に沿って架設されたサッシ部材に摺動可能に支持されて摘採用とは異なる作業である剪枝用の刃部材(以下、剪枝刃という)123が昇降可能かつ懸垂状態で支持されている。車体本体2の後部でのステー部材121の張り出し長さを調整することでこのステー部材121からの懸垂支持高さを変化させることができ、これにより、剪定装置120が走行装置3の上面よりも下方に位置させることも可能となる。剪枝刃123は、油圧モータ122によって茶畝の幅方向に往復動可能に設けられており、近傍には、刈り取られた枝を茶畝両側の畝間に導くための安定ガイド部材124が配置されている。
【0039】剪枝刃123をはさんで安定ガイド部材124と反対側の位置には、剪枝刃123により刈り取られた枝葉を吹き飛ばすための構成が設けられている。すなわち、送風管52A、52Bと剪枝装置120との間には、送風管52A、52B側に一端が連結可能であって、他端が剪枝装置120の剪枝刃123近傍に位置決めされる蛇腹状の送風ダクト125が設けられるようになっている。送風ダクト125は、剪枝装置120が稼働する場合にのみ送風管52A、52Bと連結できるように送風管52A、52Bに対して着脱することができるようになっている。送風管52A、52Bに送風ダクト125が連結される場合には、車体本体2の前部に位置する摘採装置4への送風は行われない。
【0040】本実施例は以上のような構成であるから、コンテナ110の下位に摘採作業とは異なる作業内容である剪枝作業に用いられる剪枝刃123を設けることにより、コンテナ110の後部に剪枝刃123を設ける場合と違って、前後方向での長さを短くすることができる。さらに、剪枝刃123を稼働させる際にはコンテナ110を上昇させることによりコンテナ110が占める後部長さを短くした状態で車体本体2を移動させることができる。つまり、深刈り作業を行う場合には、コンテナ110が上昇態位に設定される。コンテナ110の上昇時にはシリンダ装置116のロッドが伸長される。コンテナ110が上昇すると、走行体後部までの前後方向での長さが短くできるので、旋回半径を小さくすることができる。これにより、枕地での旋回性能を向上させることができる。一方、剪定装置120は、深刈り作業時にステー部材121を昇降体101’に装着したうえで、そのステー部材121の端部に懸垂支持される。剪定装置120の高さ方向の位置は、昇降体101,101’を移動させることで調整することができるので、深刈りに必要な高さに位置決めされる。これにより、車体本体2の後部に剪定装置120を装備した場合でも、コンテナ110によってその設置個所を邪魔されることがない。この結果、コンテナ110に比較してその設置スペースが小さい剪定装置120を取り付けた場合でも、コンテナ110を上昇させることによる良好な旋回特性を確保することができる。さらに、剪定装置120が設置された場合には、既存の送風管52A、52Bに対して送風ダクト125を連結するだけで刈り取られた枝葉を吹き飛ばせるようになる。この結果、既存の摘採装置4の設置個所以外に摘採構造を付設した場合でも新たな吹き飛ばし手段を設ける必要がない。
【0041】剪定装置120は、深刈り作業を対象としており、深刈り作業が茶葉摘採面よりも深い位置で茶樹を刈り取ることになる。このため、例えば、予め車体本体2の後部に取り付けておき、車体本体2の前部には刈り刃43あるいは軽剪枝作業用の剪枝刃を取り付けることで、深刈り作業を定期採草地4に取り付けられた刃の形式を用いた作業と連続して実行することができる。これにより、管理作業の時間を短縮することができる。なお、上記実施例では、車体本体2の後部に設けられる摘採刃として、深刈り作業用の剪枝刃を選択したが、これに限らず、車体前部には摘採刃としての刈り刃43を、そして車体後部には深刈り作業用に代えて、軽剪枝作業用の剪枝刃をそれぞれ取り付けて摘採作業に連続して軽剪枝作業を実行することも可能である。また、摘採装置4側で刈り刃43と軽剪枝作業用の剪枝葉とを交換できるようにしてもよい。
【0042】上記実施例では昇降可能なコンテナ110を茶葉収容手段として説明したが、本発明ではこれに限らず、所定位置に予め設置される茶袋に対して摘採茶葉を収容できるようにした収容手段を備えた摘採機を対象としてその収容手段の下位に摘採作業以外の剪枝用あるいは剪定用の刃部を取り付けるようにすることも可能である。さらに、車体本体の構造として操縦席や座席のない構造とし、作業者がその車体本体の後方について操縦するようにした歩行型の摘採機とすることも可能である。
【0043】
【発明の効果】請求項1乃至5記載の発明によれば、茶園管理作業の内容に応じた刈り取り刃を車体本体に設置することができる。これにより、摘採作業以外の作業においてその作業内容に応じた機械を準備する必要がなくなる。特に、請求項2乃至4記載の発明では、刈り取り刃が摺動可能に支持されているサッシ部材を車体本体に対して着脱するだけでよく、しかもこのサッシ部材の取り外しに際しては刈り取り刃の摺動起動部も車体本体側の駆動源から分離させることができるので、大がかりな交換作業を要することがない。さらに、請求項5記載の発明では、サッシ部材が刈り取り刃の摺動ガイド面を備えているので、これとともに刈り取り刃を交換することができ、交換される刈り取り刃毎にガイド面を準備する必要もなくなる。これにより異なる作業内容を実行する際の設備コストを上昇させないようにすることが可能となる。
【0044】請求項6乃至8記載の発明によれば、車体本体後部に摘採茶葉の収容手段を設けた構成を対象とした場合にその収容手段の下位に摘採作業とは異なる作業を実施する刈り取り刃を設置することにより、同一の車体本体で異なる作業を実行することができる。特に、作業内容によっては刈り取られたが屑が茶畝上面に散乱するのを防ぐことができ、しかも、刈り取られた屑が吹き飛ばされることにより茶樹上面から確実に排除することができ摘採の際に屑によって摘採刃が損傷を受けることをなくすことができる。また、刈り取られた屑を排除するために落居ら得る吹き飛ばし手段が摘採装置に摘採装置に用いられる送風機に連通する構成であるので、特別な構造を新設する必要がなく、異なる作用を実行する際の設備コストを低減できる。
【出願人】 【識別番号】000250270
【氏名又は名称】落合刃物工業株式会社
【出願日】 平成11年12月16日(1999.12.16)
【代理人】 【識別番号】100063565
【弁理士】
【氏名又は名称】小橋 信淳
【公開番号】 特開2001−169637(P2001−169637A)
【公開日】 平成13年6月26日(2001.6.26)
【出願番号】 特願平11−356860