| 【発明の名称】 |
作業車の昇降制御装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】中 珠喜
【氏名】林 繁樹
【氏名】仲島 鉄弥
【氏名】富永 俊夫
【氏名】押谷 誠
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| 【要約】 |
【課題】作業装置が地面に接触したり、不必要な昇降作動が繰り返される等の不利を解消することが可能となる作業車の昇降制御装置を提供する。
【解決手段】作業装置の対地高さが目標対地高さになるように昇降操作手段CYを制御する制御手段102が備えられ、昇降制御を開始してから所定の初期作業終了条件が成立するまでの初期作業状態であれば検出処理周期内に対地高さセンサS1にて繰り返し検出した複数の検出対地高さのデータの中から初期作業用の選択条件に基づいて選択したデータを平均化処理し、通常作業状態であれば、複数のデータの中から通常作業用の選択条件に基づいて選択したデータを平均化処理して演算対地高さを求め、初期作業用の選択条件の方が、通常作業用の選択条件よりも、検出した複数の検出対地高さのデータのうちで平均化処理のために選択するデータの割合を指示する選択率を大に設定する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 作業装置を昇降操作する昇降操作手段と、前記作業装置の対地高さを対地高さセンサにて繰り返し検出するとともに、設定距離走行する間又は設定時間が経過する間の検出処理周期内に検出した複数の検出対地高さを平均化処理しながら前記作業装置の演算対地高さを求める高さ算出処理を繰り返し実行する対地高さ検出手段と、前記演算対地高さが目標対地高さになるように前記昇降操作手段を制御する昇降制御を実行する制御手段とが備えられている作業車の昇降制御装置であって、前記昇降制御を開始してから所定の初期作業終了条件が成立するまでの初期作業状態であるか、前記初期作業終了条件が成立した後の通常作業状態であるかを判別する作業状態判別手段が設けられ、前記対地高さ検出手段が、前記高さ算出処理において、前記作業状態判別手段により前記初期作業状態が判別されているときは、前記検出処理周期内に検出した複数の検出対地高さのデータの中から初期作業用の選択条件に基づいて選択したデータを平均化処理し、前記作業状態判別手段により前記通常作業状態が判別されているときは、前記検出処理周期内に検出した複数の検出対地高さのデータの中から通常作業用の選択条件に基づいて選択したデータを平均化処理するように構成され、前記初期作業用の選択条件及び前記通常作業用の選択条件には、前記検出処理周期内に検出した複数の検出対地高さのデータのうちで平均化処理のために選択するデータの割合を指示する選択率が、前記初期作業用の選択条件の方を前記通常作業用の選択条件の方よりも大にして設定されている作業車の昇降制御装置。 【請求項2】 前記初期作業用の選択条件が、前記検出処理周期内に検出した複数の検出対地高さのデータのうちで対地高さが小さい側であるデータを前記選択率にて選択するように設定され、前記通常作業用の選択条件が、前記検出処理周期内に検出した前記複数の検出対地高さのデータのうちで対地高さが中央側であるデータを前記選択率にて選択するように設定されている請求項1記載の作業車の昇降制御装置。 【請求項3】 前記対地高さ検出手段が、前記高さ算出処理における平均化処理として、前記検出処理周期内に検出した複数の検出対地高さを、前記初期作業状態においては前記初期作業用の選択条件に基づいてデータを選択して平均化処理し並びに前記通常作業状態においては前記通常作業用の選択条件に基づいてデータを選択して平均化処理する第1平均化処理と、その前記検出処理周期毎に、それ以前の設定複数回分の前記第1平均化処理にて求めた複数の平均値を対象として平均化処理する第2平均化処理とを実行して、その第2平均化処理により求めた平均値を演算対地高さとするように構成されている請求項1又は2記載の作業車の昇降制御装置。 【請求項4】 前記検出処理周期として、前記設定時間が経過する間として設定する低速走行用検出処理周期と、前記設定距離を走行する間として設定する高速走行用検出処理周期とが設けられ、前記対地高さ検出手段が、前記第1平均化処理において、車速が処理周期判別用の設定走行速度より低いときには前記低速走行用検出処理周期を基準にして平均化処理を実行し、車速が処理周期判別用の設定走行速度以上のときには高速走行用検出処理周期を基準にして平均化処理を実行するように構成されている請求項3記載の作業車の昇降制御装置。 【請求項5】 前記作業状態判別手段は、前記昇降制御が開始された後に、前記演算対地高さと前記目標対地高さとの偏差が設定許容範囲内に収まることが、前記初期作業終了条件として設定されている請求項1〜4のいずれか1項に記載の作業車の昇降制御装置。 【請求項6】 前記対地高さ検出手段は、前記対地高さセンサにて検出される検出対地高さのうち許容範囲を外れる異常値を除外した後の前記複数の検出対地高さのデータの中から、前記初期作業用の選択条件及び前記通常作業用の選択条件に基づいてデータを選択するように構成されている請求項1〜5のいずれか1項に記載の作業車の昇降制御装置。 【請求項7】 異常判別用設定距離を走行する間、又は、異常判別用設定時間が経過する間に、前記除外される検出値の発生頻度が設定値より大になると異常報知する警報手段が設けられている請求項6記載の作業車の昇降制御装置。 【請求項8】 前記昇降操作手段は、前記作業装置を走行機体に対して昇降操作するように構成され、前記作業装置の前記走行機体に対する高さを検出する対機体高さ検出手段が設けられ、前記制御手段は、前記対地高さ検出手段にて求められた前記演算対地高さと前記目標対地高さとの間に偏差がある場合には、前記演算対地高さを前記目標対地高さにするために前記走行機体に対して前記作業装置を昇降させる必要昇降量又は目標昇降位置を求める昇降量算出処理と、前記作業装置を現在高さから前記必要昇降量を昇降させるべく、又は、前記作業装置を前記目標昇降位置に昇降させるべく、前記対機体高さ検出手段の検出情報に基づいて前記昇降操作手段を作動させる対機体昇降処理とを繰り返し実行するように構成されている請求項1〜7のいずれか1項に記載の作業車の昇降制御装置。 【請求項9】 前記対地高さセンサが超音波式の対地高さセンサにて構成されている請求項1〜8のいずれか1項に記載の作業車の昇降制御装置。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、作業装置を昇降操作する昇降操作手段と、前記作業装置の対地高さを対地高さセンサにて繰り返し検出するとともに、設定距離走行する間に又は設定時間が経過する間に検出した複数の検出対地高さを平均化処理しながら前記作業装置の演算対地高さを求める高さ算出処理を繰り返し実行する対地高さ検出手段と、前記演算対地高さが目標対地高さになるように前記昇降操作手段を制御する昇降制御を実行する制御手段とが備えられている作業車の昇降制御装置に関する。 【0002】 【従来の技術】上記構成の作業車の昇降制御装置において、従来では、例えば、特開昭59−132812号公報に示されるように、作業車の一例として、コンバインの走行機体に対して昇降自在な作業装置としての刈取処理部を、昇降操作手段としての油圧シリンダにて昇降操作自在に構成するとともに、対地高さセンサにて検出される刈取処理部の対地高さが目標対地高さになるように油圧シリンダの作動を制御する構成として、対地高さセンサにて設定周期毎に作業装置の対地高さを繰り返し検出するとともに、検出回数が設定回数に達すると、即ち、設定時間が経過すると、その間で検出された複数の検出値の全てのものを平均化処理して、演算対地高さを求めるように構成されていた(以下、第1の従来技術という)。 【0003】又、特開平6−319335号公報に示されるように構成したものもあった。つまり、作業車の一例であるコンバインの走行機体に対して昇降自在な作業装置としての刈取処理部を、昇降操作手段としての油圧シリンダにて昇降操作自在に構成するとともに、対地高さセンサにて検出される刈取処理部の対地高さが目標対地高さになるように油圧シリンダの作動を制御する構成は、上記第1の従来技術と同じであるが、前記対地高さの検出処理が次のように行われる構成となっている。即ち、刈取搬送穀稈の存否に基づいて、刈取作業状態であるか非作業状態であるかを検出する株元センサが設けられるとともに、対地高さセンサが設定周期(20msec)毎に対地高さを繰り返し検出するように構成されるとともに、昇降制御を開始してから非作業状態が検出されている間、及び、刈取作業状態に切り換わってから設定時間(4秒間)が経過するまでの間は、設定時間(100msec)経過する間に対地高さセンサにて検出された全ての検出値(5個)を平均処理してその平均値を前記演算対地高さとして求める構成となっており、刈取作業状態に切り換わってから設定時間(4秒間)が経過した後においては、走行機体の走行距離が5cmになる毎にその間で検出される複数の検出値の全てデータを平均化処理して、その結果に基づいて前記演算対地高さを求める構成となっていた。(以下、第2の従来技術という) 【0004】つまり、従来では、設定距離走行する間又は設定時間が経過する間の検出処理周期内に対地高さセンサにて繰り返し検出される複数の検出対地高さの全てのデータを用いて平均化処理しながら演算対地高さを求める構成となっていた。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】コンバイン等の作業車が走行する作業地では、複数の作業行程を順次走行しながら作業を実行することになるが、車体の旋回走行が行われる枕地やその近くにおいては、車体の旋回動作に起因して地面が荒らされ、地面の局所的に突出している凸部や局所的に凹んでいる凹部が多く存在しているおそれがある。一方、作業地の中央側箇所等、つまり、枕地から作業行程における作業走行がある程度進行した後における走行箇所においては、地面は全体的には比較的安定した平面になっているが、細かな凸部や凹部も少なからず存在する。 【0006】しかし、上記従来構成においては、上記したように対地高さセンサにて繰り返し検出される複数の検出対地高さの全てのデータを用いて平均化処理しながら演算対地高さを求めることから、その検出データの中には、上記したような凸部や凹部での対地高さを検出したデータも存在することがある。このような凸部や凹部での検出データは、その他の平均的な対地高さを検出している検出データとは大きく差異がある特異的なデータである。そして、このような特異的なデータの存在によって、上記したように平均処理されて求められる演算対地高さが実際の対地高さよりも高い目の値として検出されたり、低い目の値として検出されてしまうことがある。 【0007】従って、上記従来技術の構成によれば、枕地で車体を旋回走行させて次回の作業行程での作業走行を開始させるような場合に、その作業行程での作業走行を開始して少し走行するまでの間においては、枕地に近い箇所では地面が荒れて大き目の凹凸が存在しているおそれがあるから、このような凹凸に起因して検出される上記したような特異的なデータによる昇降制御を自在する結果、作業装置が誤って地面に接触して損傷を受けたりする等のおそれがあった。又、枕地から作業行程における作業走行がある程度進行した後においては、地面は比較的安定した平面になっているにもかかわらず、上記したような凹凸に起因して検出される特異的なデータの影響で不必要な昇降作動が繰り返されて車体がふらつく等、円滑な昇降制御が行えないものとなっていた。 【0008】本発明はかかる点に着目してなされたものであり、その目的は、作業行程での作業走行を開始して少し走行するまでの間において、作業装置が地面に接触したり、作業行程における作業走行がある程度進行した後において、不必要な昇降作動が繰り返される等の従来技術の不利を解消することが可能となる作業車の昇降制御装置を提供する点にある。 【0009】 【課題を解決するための手段】請求項1に記載の特徴構成によれば、作業装置を昇降操作する昇降操作手段と、前記作業装置の対地高さを対地高さセンサにて繰り返し検出するとともに、設定距離走行する間又は設定時間が経過する間の検出処理周期内に検出した複数の検出対地高さを平均化処理しながら前記作業装置の演算対地高さを求める高さ算出処理を繰り返し実行する対地高さ検出手段と、前記演算対地高さが目標対地高さになるように前記昇降操作手段を制御する昇降制御を実行する制御手段とが備えられている作業車の昇降制御装置において、前記昇降制御を開始してから所定の初期作業終了条件が成立するまでの初期作業状態であるか、前記初期作業終了条件が成立した後の通常作業状態であるかを判別する作業状態判別手段が設けられ、前記対地高さ検出手段が、前記高さ算出処理において、前記作業状態判別手段により前記初期作業状態が判別されているときは、前記検出処理周期内に検出した複数の検出対地高さのデータの中から初期作業用の選択条件に基づいて選択したデータを平均化処理し、前記作業状態判別手段により前記通常作業状態が判別されているときは、前記検出処理周期内に検出した複数の検出対地高さのデータの中から通常作業用の選択条件に基づいて選択したデータを平均化処理するように構成され、前記初期作業用の選択条件及び前記通常作業用の選択条件には、前記検出処理周期内に検出した複数の検出対地高さのデータのうちで平均化処理のために選択するデータの割合を指示する選択率が、前記初期作業用の選択条件の方を前記通常作業用の選択条件の方よりも大にして設定されている。 【0010】作業状態判別手段により前記初期作業状態が判別されているときは、検出処理周期内に検出した複数の検出対地高さのデータの中から初期作業用の選択条件に基づいて選択したデータを平均化処理する。又、通常作業状態が判別されているときは、検出処理周期内に検出した複数の検出対地高さのデータの中から通常作業用の選択条件に基づいて選択したデータを平均化処理する。このように、検出処理周期内に検出した複数の検出対地高さのデータの全てを用いて平均化処理するのではなく、そのうちの選択したデータに基づいて平均化処理するのである。そして、前記複数の検出対地高さのデータのうちで平均化処理のために選択するデータの割合を指示する選択率が、初期作業用の選択条件の方を通常作業用の選択条件の方よりも大にして設定されているので、初期作業状態においては、大きい選択率でデータが選択されることになり、通常作業状態においては小さい選択率でデータが選択される。 【0011】従って、例えば、車体を枕地で旋回させた後、次回の作業行程での作業を開始させるような場合に、その作業行程での作業走行を開始した後において、枕地に近い箇所では地面が荒れて凹凸が多く存在しているおそれがあるが、このような初期作業状態では、初期作業用の選択条件に基づいて大きい選択率でデータが選択して平均化処理することで、地面の局所的に突出している凸部や局所的に凹んでいる凹部での対地高さを検出した特異的なデータを除外して、平均的な対地高さデータを用いて平均化処理しながら演算対地高さを求めることができ、しかも、その他のデータをできるだけ多く選択することによって、特異的なデータの影響を少なくしながらも、対地高さの変動に対してはできるだけ追従性をよくして、作業装置が誤って地面に接触する等の不利を回避しやすいものとなる。 【0012】又、作業行程における作業走行がある程度進行した後の通常作業状態においては、地面は比較的安定した平面になっているので、通常作業用の選択条件に基づいて小さい選択率でデータを選択して平均化処理を実行して演算対地高さを求めることで、細かな凹凸等による特異的なデータの影響をできるだけ少ないものにして不必要に昇降作動が繰り返されることを回避しやすいものとなる。 【0013】このようにして、作業行程での作業走行を開始して少し走行するまでの間において作業装置が地面に接触したり、作業行程における作業走行がある程度進行した後において不必要な昇降作動が繰り返される等の従来技術の不利を解消することが可能となる作業車の昇降制御装置を提供できるに至った。 【0014】請求項2に記載の特徴構成によれば、請求項1において、前記初期作業用の選択条件が、前記検出処理周期内に検出した複数の検出対地高さのデータのうちで対地高さが小さい側であるデータを前記選択率にて選択するように設定され、前記通常作業用の選択条件が、前記検出処理周期内に検出した前記複数の検出対地高さのデータのうちで対地高さが中央側であるデータを前記選択率にて選択するように設定されている。 【0015】従って、初期作業状態では、対地高さが小さい側であるデータを前記選択率にて選択することによって、対地高さが大きい側であるデータ、特に、局部的な凹み部分に対応する対地高さデータ等のように、平均処理されることで演算対地高さが実際の高さよりも低い目の平均値になるような特異的なデータが除外されることで、このような特異なデータに起因して、作業装置が低い目に昇降制御されることで作業装置が地面に接触する等の不利を回避しやすいものにできる。又、通常作業状態では、対地高さが中央側であるデータを前記選択率にて選択することにより、対地高さが大きい側であるデータ及び対地高さが小さい側であるデータ、特に、局部的な凸部や凹み部分に対応する対地高さデータ等のように、平均処理されることで演算対地高さが実際の高さよりも高い目の平均値になったり、低い目の平均値になる要因となる特異的なデータが除外されることで、このような特異なデータに起因して、不必要に昇降作動が繰り返されることを回避しやすいものにできる。 【0016】請求項3に記載の特徴構成によれば、請求項1又は2において、前記対地高さ検出手段が、前記高さ算出処理における平均化処理として、前記検出処理周期内に検出した複数の検出対地高さを、前記初期作業状態においては前記初期作業用の選択条件に基づいてデータを選択して平均化処理し並びに前記通常作業状態においては前記通常作業用の選択条件に基づいてデータを選択して平均化処理する第1平均化処理と、その前記検出処理周期毎に、それ以前の設定複数回分の前記第1平均化処理にて求めた複数の平均値を対象として平均化処理する第2平均化処理とを実行して、その第2平均化処理により求めた平均値を演算対地高さとするように構成されている。 【0017】つまり、前記平均化処理として、前記検出処理周期内に検出した複数の検出対地高さを平均化処理する第1平均化処理と、設定複数回分の前記第1平均化処理にて求めた複数の平均値を対象として平均化処理する第2平均化処理とを実行する構成としている。そして、第1平均化処理において、上記したような各選択条件に基づいてデータを選択して平均化するとともに、更に、この平均値を第2平均化処理することで、より確実に、初期作業状態では作業装置が誤って地面に接触したり地面を荒らしたりする等の不利を回避しやすく、通常作業状態においては不必要に昇降作動が繰り返されることを回避しやすいものにできる。しかも、例えば、前記検出処理周期の設定複数回分の期間にわたって、繰り返し検出される検出対地高さをすべて記憶しておいて、それらの平均値を求めるような構成とすることも考えられるが、このように構成した場合には、記憶容量が大きな記憶手段が必要となるが、上記したような2段階の平均処理を実行することで、平均化処理すべき期間が長い場合であっても、記憶手段の容量を少ないもので済ませることができる利点がある。 【0018】請求項4に記載の特徴構成によれば、請求項3において、前記検出処理周期として、前記設定時間が経過する間として設定する低速走行用検出処理周期と、前記設定距離を走行する間として設定する高速走行用検出処理周期とが設けられ、前記対地高さ検出手段が、前記第1平均化処理において、車速が処理周期判別用の設定走行速度より低いときには前記低速走行用検出処理周期を基準にして平均化処理を実行し、車速が処理周期判別用の設定走行速度以上のときには高速走行用検出処理周期を基準にして平均化処理を実行するように構成されている。 【0019】例えば、車体が設定距離走行するまでの間を、前記検出処理周期として設定し、仮に、対地高さセンサにて繰り返し対地高さを検出する周期を一定周期とすると、車速が非常に低い状態で走行している場合には、車体が設定距離走行するまでの間に対地高さセンサにて繰り返し検出される対地高さの検出データが非常に多くなるので大容量の記憶手段が必要となる。又、設定時間が経過するまでの間を、前記検出処理周期として設定した場合には、車体が低速で走行している場合には、短い走行距離毎に演算対地高さが求められ、地面の変化に追従しながら昇降制御を行えるが、車速が高速になると、演算対地高さが求められるまでの走行距離が長くなり、地面に変化に対する追従性が低いものとなる不利がある。そこで、車速が処理周期判別用の設定走行速度より低いときには設定時間が経過する間として設定する低速走行用検出処理周期を基準にして平均化処理を実行し、車速が処理周期判別用の設定走行速度以上のときには設定距離を走行する間として設定する高速走行用検出処理周期を基準にして平均化処理を実行するように構成することで、車速が高速であるときにおける地面に変化に対する追従性を低下させずに、車速が非常に低い状態で走行している場合でも大容量の記憶手段を必要としない状態で平均化処理を実行することができる。 【0020】請求項5に記載の特徴構成によれば、請求項1〜4のいずれかにおいて、前記作業状態判別手段は、前記昇降制御が開始された後に、前記演算対地高さと前記目標対地高さとの偏差が設定許容範囲内に収まることが、前記初期作業終了条件として設定されている。 【0021】従って、昇降制御が開始された後に、演算対地高さと目標対地高さとの偏差が設定許容範囲内に収まって収束するまでは、初期作業用の選択条件に基づいて大きい選択率でデータが選択して平均化処理することで、対地高さの変動に対してはできるだけ追従性をよくして、作業装置が誤って地面に接触したり、地面を荒らしたりする等の不利を回避しやすいものとなる。そして、演算対地高さと前記目標対地高さとの偏差が設定許容範囲内に収まると、通常作業用の選択条件に基づいて小さい選択率でデータを選択して平均化処理することで、細かな凹凸等による特異的なデータの影響をできるだけ少ないものにして不必要に昇降作動が繰り返されることを回避しやすいものとなる。このように、偏差が設定許容範囲内に収まって収束することを初期作業終了条件としたので、例えば、上記第2の従来技術のように作業開始してから設定時間(4秒間)が経過することを条件とした場合であれば、地面が広い領域にわたり地面が荒れている場合には設定時間が経過した後も地面が荒れていることが考えられ、作業装置が地面に接触するおそれが大となるが、偏差が設定許容範囲内に収まって収束することを条件とするからこのような不利がなく、作業装置が地面に接触する等の不利を回避しやすいものとなる。 【0022】請求項6に記載の特徴構成によれば、請求項1〜5のいずれかにおいて、前記対地高さ検出手段は、前記対地高さセンサにて検出される検出対地高さのうち許容範囲を外れる異常値を除外した後の前記複数の検出対地高さのデータの中から、前記初期作業用の選択条件及び前記通常作業用の選択条件に基づいてデータを選択するように構成されている。 【0023】上記したような許容範囲を外れる異常値は、正常な検出動作を実行している場合には検出することが無い異常なデータであり、例えば、対地高さ、つまり、地面までの高さではなく、藁屑や雑草等による誤検出や高さ検出センサ自身の故障により生じるものと考えることができるものであるから、このような異常値を、データ選別対象から除外することで対地高さの検出精度を向上することができる。 【0024】請求項7に記載の特徴構成によれば、請求項6において、異常判別用設定距離を走行する間、又は、異常判別用設定時間が経過する間に、前記除外される検出値の発生頻度が設定値より大になると異常報知する警報手段が設けられている。 【0025】前記異常判別用設定距離を走行する間、又は、異常判別用設定時間が経過する間に、異常値が設定値を越える頻度で発生する場合には、対地高さが精度よく検出できないおそれが大となるから、このような場合には警報手段にて異常報知することで作業者に知らせることで、迅速にその後の対策を講じることが可能となる。 【0026】請求項8に記載の特徴構成によれば、請求項1〜7のいずれかにおいて、前記昇降操作手段は、前記作業装置を走行機体に対して昇降操作するように構成され、前記作業装置の前記走行機体に対する高さを検出する対機体高さ検出手段が設けられ、前記制御手段は、前記対地高さ検出手段にて求められた前記演算対地高さと前記目標対地高さとの間に偏差がある場合には、前記演算対地高さを前記目標対地高さにするために前記走行機体に対して前記作業装置を昇降させる必要昇降量又は目標昇降位置を求める昇降量算出処理と、前記作業装置を現在高さから前記必要昇降量を昇降させるべく、又は、前記作業装置を前記目標昇降位置に昇降させるべく、前記対機体高さ検出手段の検出情報に基づいて前記昇降操作手段を作動させる対機体昇降処理とを繰り返し実行するように構成されている。 【0027】従って、制御手段は、対地高さ検出手段にて検出される作業装置の対地高さと目標対地高さとの間に偏差がある場合には、検出対地高さを目標対地高さにするために走行機体に対して作業装置を昇降させる必要昇降量、又は、検出対地高さを目標対地高さにするための走行機体に対する作業装置の目標昇降位置を求める。次に、対機体高さ検出手段の検出情報に基づいて、作業装置を現在高さから前記必要昇降量を昇降させるべく昇降操作手段を作動させるか、又は、作業装置を前記目標昇降位置に昇降させるべく昇降操作手段を作動させる対機体昇降処理を実行する。つまり、対機体高さ検出手段の検出情報をフィードバック情報として用いて、実際の作業装置の対機体高さが必要昇降量に対応する高さ、又は、目標昇降位置になっているか否かを判断しながら、昇降操作手段を制御することになる。そして、上記したような昇降量算出処理と対機体昇降処理とを繰り返し実行することになる。その結果、設定時間経過する毎に又は設定距離走行する毎に対地高さを検出する対地高さ検出手段によって、対地高さの検出対象となる走行面の細かな凹凸又は藁屑や雑草等に起因して対地高さのバラツキが生じることを極力少なくする状態で、作業装置の実際の対地高さを適正に検出しながら、このような対地高さの情報に比べて時間遅れ等の生じにくい状態で検出し易い対機体高さの情報をフィードバック情報として用いて、昇降操作手段の制御を実行することにより、従来のように、対地高さ検出手段のように検出されるまでに時間遅れが生じることがなく、このような時間遅れ等に起因して昇降操作手段がオーバーシュートして作業装置の昇降操作が頻繁に繰り返される等のおそれの少ない安定した状態で昇降制御を行うことが可能となる。 【0028】請求項9に記載の特徴構成によれば、請求項1〜8のいずれかにおいて、前記対地高さセンサが超音波式の対地高さセンサにて構成されている。 【0029】前記対地高さセンサとして、例えば、接地追従しながら上下動する接触片を備えてその接触片の上下動量をポテンショメータにて検出するような構成の接地式センサを備えて構成することも考えられる。しかし、対地高さの検出対象である圃場には藁屑や雑草等が存在するおそれがあり、上記したような接地式センサであれば、接触片に藁屑や雑草等が引っ掛かり堆積して、短期間で使用できない状態になってしまう等の不利があるが、超音波式の対地高さセンサを用いることによって、このような不利を招くことなく長期にわたり良好に対地高さ検出を行うことができる。 【0030】 【発明の実施の形態】以下、本発明に係る作業車の昇降制御装置について図面に基づいて説明する。図1に作業車としてのコンバインの前部が示されている。このコンバインは、左右一対のクローラ走行装置1L、1Rを備えて走行可能に構成された走行機体Vの前部に、植立穀稈を刈り取り刈取穀稈を後方に向けて搬送する作業装置としての刈取処理部2が昇降自在に備えられ、走行機体Vの後部側に、刈取穀稈を脱穀処理する脱穀装置3、脱穀された穀粒を貯留するグレンタンク4、搭乗運転部5等を備えて構成される。 【0031】刈取処理部2は、刈取対象条の植立穀稈を振り分け分草する分草具6、植立穀稈を立姿勢に引起す引起し装置7、引起された穀稈の株元側を切断するバリカン型刈取装置8、刈取られた穀稈を徐々に横倒れ姿勢に姿勢変更させながら、後方に搬送する縦搬送装置9等で構成され、機体に対して横軸芯X周りで昇降揺動自在に枢支されている。そして、この刈取処理部2は、昇降操作手段としての油圧シリンダCYの伸縮操作により駆動昇降されるように構成されている。 【0032】前記縦搬送装置9の搬送入口部には、刈取穀稈が存在するか否かを検出することで、刈取処理部2が刈取作業状態であるか否かを判別するための株元センサS0が備えられている。又、分草具6の後方側箇所に、対地高さを検出する超音波センサS1が備えられている。この超音波センサS1は、図2にも示すように、分草具6や引起し装置7等を支持するために走行機体側から延設された刈取フレーム12に装着され、下方側に向けて超音波を発信する超音波発信器10と、地面にて反射された超音波を受信する超音波受信器11とで構成され、超音波発信器10が超音波を発信してから、地面にて反射してくる反射波を超音波受信器11が受信するまでの経過時間を計測することで、対地高さを検出するように非接触式に構成されている。説明を加えると、超音波の受信の判別には、受信強度が設定強度(閾値)よりも大であることを条件として「受信」と判別するようになっており、そして、受信器11が発信器10からの直接波を受信することによる誤検出を回避する等の目的のために、前記設定強度は、発信直後の所定時間が経過するまでは最大値に近い大きな値に設定されており、その後の時間経過に伴って漸減するように構成されている。従って、超音波センサS1においては、超音波の反射対象物が非常に遠方にあるときや、極端に近くにある場合には、「受信」と判別されない構成となっている。尚、この超音波センサは、20ms(設定サンプリング周期)毎に刈取処理部2の対地高さの検出値を出力するように構成されている。 【0033】図3に示すように、前記油圧シリンダCYは単動型シリンダで構成され、油圧シリンダCYに対する作動油の供給状態を、圧油供給による上昇位置、中立停止位置、その他への油圧装置への供給位置の夫々に切り換える3位置切り換え式の電磁操作式の上昇制御弁V1が備えられ、又、油圧ポンプPから油圧シリンダCYに対する圧油供給路18の途中から並列状態で分岐される一対のドレン油路19に、圧油を通過させるオリフィス20と、圧油を排出させる排出位置及び圧油排出を停止させる停止位置に切り換える2位置切換え式の下降制御弁V2とが備えられている。そして、上昇制御弁V1及び下降制御弁V2夫々は、マイクロコンピュータを備えて構成される制御手段の一例としての制御装置14により切り換え制御する構成となっている。 【0034】そして、この油圧シリンダCYは操作速度を変更調節することができるように構成されている。つまり、上昇制御弁V1を上昇位置に切り換えた状態で、下降制御弁V2を停止位置に切り換えると高速上昇速度になり、下降制御弁V2を排出位置に切り換えると低速上昇速度になり、下降制御弁V2の駆動状態を排出位置と停止位置との2位置の状態を短時間毎に繰り返す、所謂、デューティ制御を実行して、デューティ比を変更調節することにより中間の上昇速度にて適宜変更調節することができる。又、上昇制御弁V1を中立停止位置に切り換えた状態で、下降制御弁V2を停止位置に切り換えると昇降停止状態となり、下降制御弁V2を排出位置に切り換えると高速下降速度になり、下降制御弁V2を上記デューティ制御を実行して、デューティ比を変更調節することにより中間の下降速度にて適宜変更調節することができる。従って、油圧シリンダCYは、上昇操作及び下降操作夫々において操作速度を変更調節することができる。 【0035】搭乗運転部5には、後述するような刈取処理部の昇降制御を実行するオン状態と制御を実行しないオフ状態とに切換え自在な自動入切スイッチSW3、刈取作業中における刈取処理部2の設定高さを設定する刈高さ設定器15、手動操作に基づいて、刈取処理部2を昇降操作させるための昇降レバー16、この昇降レバー16を中立位置から上昇位置に操作するとオンする上昇スイッチSW1、昇降レバー16を下降位置に操作するとオンする下降スイッチSW2、昇降レバー16における握り部16aの上部に位置して親指にて押し操作される自動昇降スイッチSW4夫々が設けられ、図2に示すように、上記各スイッチSW1,SW2,SW3,SW4の検出情報、及び、刈高さ設定器15の情報は制御装置14に入力されるように構成されている。又、株元スイッチS0の検出結果も制御装置14に入力されるようになっている。 【0036】刈取処理部2の機体に対する枢支部に、刈取処理部2の機体に対する高さを検出する対機体高さ検出手段としてのポテンショメータ形式の対機体高さセンサS3が設けられ、この対機体高さセンサS3の検出情報も制御装置14に入力される構成となっている。又、クローラ走行装置1L,1Rへの走行駆動系に、走行出力軸の回転数を検出する回転数センサS2が備えられ、制御装置14はこの回転数情報に基づいて、現在の走行車速及び走行距離を演算にて求めるように構成されている。従って、回転数センサS2が車体の車速検出手段を構成することになる。 【0037】前記制御装置14は、自動入切スイッチSW3のON操作に伴って、前述の超音波センサの検出情報に基づいて、刈取処理部2の対地高さが刈高さ設定器15にて設定された目標対地高さになるように、油圧シリンダCYを制御する昇降制御を実行可能なオン状態に切り換わるように構成されている。尚、刈取作業の開始時や終了時等において、刈取処理部2を昇降レバー16の指令に基づいて優先して昇降させるべく昇降レバー16の指令があれば、昇降レバー16の指令に基づく手動昇降操作が自動昇降に優先して実行するように構成されており、さらには、前記自動昇降スイッチSW4を押し操作することによって、刈取処理部2を刈取作業用の低い位置と最大上昇位置に近い高い位置とにわたって交互に昇降させることができるようになっている。つまり、刈取処理部2が対機体高さセンサS3の検出値により刈取作業用の低い位置にあることが検出されているときに自動昇降スイッチSW4が押し操作(上昇指令が指令)されると、刈取処理部2を最大上昇位置に近い高さにまで自動で上昇操作させ、且つ、刈取処理部2が対機体高さセンサS3の検出値により高い位置にあることが検出されているときに自動昇降スイッチSW4が押し操作(下降指令が指令)されると、刈取処理部2を刈取作業用の低い位置にまで下降操作させるようになっている。又、自動入切スイッチSW3がオンに設定されている状態で前記下降指令が指令されると、超音波センサS1の検出情報に基づく昇降制御に移行するようになっている。 【0038】次に、刈取処理部2の昇降制御について説明する。前記制御装置14は、平均処理タイミング毎に、その間に超音波センサS1より出力された複数の対地高さの検出値の平均値を求める第1平均化処理を実行するとともに、それ以前の設定複数回分の前記第1平均化処理にて求めた複数の平均値、即ち、後述するように設定される信号処理区間Liを走行する間に得られた複数の平均値(第1平均値)を対象として平均化処理して演算対地高さとしての区間平均値を求める第2平均化処理を実行するように構成されている。そして、第1平均化処理を実行する場合における前記平均処理タイミングとしては、例えば、車速が処理周期判別用の設定走行速度の一例である0.25m/sより低い場合には、超音波センサS1により設定サンプリング周期毎に出力される対地高さの検出値のデータ数が10個になる毎に、即ち、低速走行用検出処理周期として設定される設定時間としての200msが経過する毎に、前記平均化処理を実行するようになっており、車速が0.25m/s以上であれば、走行距離が高速走行用検出処理周期として設定される設定距離としての5cmに達する毎に前記平均化処理を実行するようになっている。 【0039】昇降制御を開始してから所定の初期作業終了条件が成立するまでの初期作業状態であるか、前記初期作業終了条件が成立した後の通常作業状態であるかを判別する作業状態判別手段が設けられ、前記第1平均化処理において、前記作業状態判別手段により前記初期作業状態が判別されているときは、前記検出処理周期内に検出した複数の検出対地高さのデータの中から初期作業用の選択条件に基づいて選択したデータを平均化処理し、前記作業状態判別手段により前記通常作業状態が判別されているときは、前記検出処理周期内に検出した複数の検出対地高さのデータの中から通常作業用の選択条件に基づいて選択したデータを平均化処理するように構成され、前記初期作業用の選択条件及び前記通常作業用の選択条件には、前記検出処理周期内に検出した複数の検出対地高さのデータのうちで平均化処理のために選択するデータの割合を指示する選択率が、前記初期作業用の選択条件の方を前記通常作業用の選択条件の方よりも大にして設定されている。 【0040】ここで、上記初期作業状態とは、昇降制御が開始されてから刈取処理部2が作業行程での作業を開始する前、及び、刈取処理部2が作業行程での作業を開始してから、昇降制御における偏差が設定許容範囲(不感帯)内にあって対地高さが目標位置に収束していることが始めて判別されるまでの間の状態をいう。具体的には、昇降制御が開始されて刈取処理部2が刈取作業用の低い位置にあることが検出されているときに、株元センサS0がOFF状態(非作業状態)にある間、及び、OFF状態からON状態(作業状態)に切り換わったことを検出した後に、後述するように昇降制御における偏差が設定許容範囲内に始めて収束するまでの状態をいう。又、上記通常作業状態とは、刈取処理部2が作業行程での作業を開始してから、昇降制御における偏差が設定許容範囲内にあって対地高さが目標位置に収束していることが始めて判別された時点よりも後の状態をいう。従って、株元センサS0や制御装置14による判別処理手順等によって作業状態判別手段101が構成されることになる。 【0041】上記初期作業用の選択条件は、対象となる複数のデータのうちで対地高さが小さい側であるデータを、大きい選択率、具体的には、複数のデータのうちで平均化処理のために選択するデータの割合として90パーセントを指示する選択率にて選択することである。又、上記通常作業用の選択状態は、対象となる複数のデータのうちで対地高さが中央側であるデータを小さい選択率、具体的には、複数のデータのうちで平均化処理のために選択するデータの割合として60パーセントを指示する選択率にて選択することである。 【0042】又、超音波センサにて検出される検出対地高さのうち許容範囲を外れるような異常値を予め除外した後の複数のデータの中から、上記したような選択条件に基づいてデータを選択するように構成されており、異常判別用設定距離を走行する間に前記除外される検出値の発生頻度が設定値より大になると警報手段としての報知ランプ21にて異常報知する構成としている。 【0043】そして、制御装置14は、前記区間平均値と刈高さ設定器15にて設定された目標対地高さとの間に偏差がある場合には、検出対地高さを目標対地高さにするために走行機体Vに対して刈取処理部2を昇降させるための目標昇降位置を求める昇降量算出処理と、対機体高さセンサS3の検出情報に基づいて刈取処理部2を目標昇降位置に昇降させるべく油圧シリンダCYを作動させる対機体昇降処理とを繰り返し実行するように構成されている。しかも、前記対機体昇降処理を実行するときに、刈取処理部2の現在位置が目標昇降位置から離れているほど操作速度を大にさせる状態で、且つ、刈始め状態であるときは、刈始め状態が終了した刈取作業中に比べて、目標昇降位置からの離れ量が同じときの前記操作速度を大にさせた状態で、油圧シリンダCYを制御するように構成されている。 【0044】以下、図4、図5、図6に示す制御フローチャートに基づいて、制御装置14の昇降制御動作について詳述する。尚、上記したように自動入切スイッチSW3がONされている状態で前記自動昇降スイッチSW4による下降指令が指令されると、この昇降制御が実行されるようになっている。そして、制御が開始されると前記超音波センサS1による検出作動が開始される。この超音波センサS1は、20msec毎に超音波を発信して、地面にて反射してきた反射波を受信することにより、その発信から受信までの時間を対地高さデータに換算して制御装置14に出力する。 【0045】制御装置14は、超音波センサS1からの高さ検出信号が出力されていれば、超音波センサS1からの信号を受信する(ステップS0,S1)。検出対地高さデータが200mm以下の値であれば異常値であると判断して、エラー処理を実行し、200mmを越えていれば、メモリにデータを記憶させる(ステップ1〜3)。このとき、異常であればカウンタのカウント値αをカウントアップして、走行機体が1m(異常判別用距離)走行する間にカウント値αが設定回数α0を越えると、超音波センサS1の検出作動が異常であるとして、搭乗運転部5に設けられる報知ランプ21にて報知するようにしている(ステップ4〜7)。尚、超音波センサS1からの高さ検出信号の出力がない場合であっても、後述するような油圧シリンダCYに対する昇降用の制御情報が出力されている状態であれば、このような油圧シリンダCYに対する昇降用の制御情報の出力を優先して実行する(ステップ8)。 【0046】上記したように検出対地高さデータが200mm以下の値であれば異常値であると判断するのは、超音波センサS1は、図2に示すように、刈取処理部2における刈取フレーム12に連設される分草具フレーム17の下端位置よりも所定高さH(200mmよりも少し大きい値)だけ上方側に位置する状態で刈取フレーム12に取付け支持される構成となっている。従って、分草具フレーム17の下端位置が地面に接当する状態まで刈取処理部2が下降したときに対地高さの検出値は200mmより少し大きい値となるが、それよりも刈取処理部2が下方に下がることは無いので、検出対地高さが200mm以下の値であれば異常値であると判断するのである。 【0047】その後、上記したような平均処理タイミングに達する毎に、検出値の平均化処理を実行することになるが、平均処理タイミングに達するまでの間に、後述するような油圧シリンダCYに対する昇降用の制御情報が出力されている状態であれば、その制御情報の出力を優先して実行する(ステップ8) 平均処理タイミングに達すると、具体的には、車速が0.25m/sより低速であれば200ms経過する毎に、つまり、超音波センサS1による検出値のデータ数が10個になる毎に、又、車速が0.25m/s以上であれば走行距離が5cmに達する毎に、その間、つまり、前回の平均処理タイミングから今回の平均処理タイミングに至るまでの周期(これが、検出処理周期に相当する)内に検出された複数の検出値についての平均化処理を実行するが、そのとき、前記初期作業状態であることが判別されているときは、複数の検出値のうち、対地高さが小さい側であるデータを大きい選択率(90パーセント)で選択したデータを用いて平均化処理し、前記通常作業状態であることが判別されているときは、複数の検出値のうちで対地高さが中央側であるデータを小さい選択率(60パーセント)で選択したデータを用いて平均化処理する(ステップ9〜14)。 【0048】尚、初期作業状態とは、上記したように、昇降制御が開始されて刈取処理部2が刈取作業用の低い位置にあることが検出されているときに、株元センサS0がOFF状態にある間、及び、OFF状態からON状態に切り換わったことを検出した後に、昇降制御における偏差が設定許容範囲内に始めて収束する(これが、初期作業終了条件に相当する)までの状態であり、通常作業状態とは、この初期作業状態が終了した後の状態である。 【0049】具体的な数値を用いて説明すると、初期作業状態であれば、例えば車速が0.25m/sより低ければデータの個数が設定個数としての10個であり、そのデータのうちの対地高さが大側のデータ1個を除く9個(90パーセント)の平均化処理を行うことになる。又、車速が0.25m/s以上であれば、5cm走行する間に計測された複数のデータのうち小さい側である90パーセントのデータを平均化処理することになる。通常作業状態においては、車速が0.25m/s以上になっているのが一般的であり、例えば、車速が0.5m/sであれば、5cm走行間のデータの個数が5個となるが、そのうち最大対地高さのデータ1個と、最小対地高さのデータ1個とを除いた中央側の残り3個(60パーセント)のデータの平均化処理を行うことになる。尚、初期作業状態の低速走行のとき、データ数が10個になるのは、メモリバッファ数が10個であり、この記憶容量にて制限されるからである。 【0050】そして、このような初期作業状態においては、上記したような区間平均値を求めるための信号処理区間Liを20cmに設定するようにしている(ステップ15)。初期作業状態では、圃場が荒れていることが多く、短い間隔で敏感に対地高さを検出して昇降制御するようにして、刈取処理部2が地面に接触する等の不利を回避するようにしている。又、通常作業状態であれば、区間平均値を求めるための信号処理区間Liを初期作業状態のときに比べて長くするように変更設定するようにしている(ステップ16)。この区間変更処理の具体的な処理については後述する。 【0051】次に、走行機体が信号処理区間Liを走行する間に求められた複数の平均値を平均化処理して検出対地高さとしての区間平均を求める(ステップ17,18)。この平均化処理は、上記したような平均処理タイミングになる毎に、その時点より過去の信号処理区間Li走行する間における平均値であり、平均処理タイミング毎に移動平均を求める処理として実行される。つまり、車速が0.25m/s以下であれば検出データ数が10個になる毎に、又、車速が0.25m/sを越えていれば5cm走行する毎に演算対地高さが求められることになる。そして、この演算対地高さと刈高さ設定器15にて設定された目標対地高さとの間の偏差(高さ偏差Δh)を求める(ステップ19)。ここで、油圧シリンダCYに対する昇降用の制御情報が出力されている状態であれば、このような油圧シリンダCYに対する昇降用の制御情報の出力を優先して実行するようにして、対機体昇降処理が終了した後に、前記昇降量算出処理を実行するように構成されている(ステップ20)。そして、対機体昇降処理が終了して昇降用の制御情報が出力されていなければ、高さ偏差Δhを、刈取処理部2の対機体高さの情報としての位置偏差Δrに換算して(ステップ21)、検出対地高さを目標対地高さにするために、走行機体Vに対して刈取処理部2を昇降させるための昇降用目標位置を求める(ステップ22)。 【0052】このように求められた位置偏差Δr(目標昇降位置の情報)に基づいて、偏差があれば、油圧シリンダCYを作動させる対機体昇降処理を実行することになるが、このとき、刈取処理部2の現在位置が目標昇降位置から離れているほど、操作速度を大にする状態で、且つ、目標昇降位置からの離れ量が同じときの前記操作速度を、前記初期作業状態が判別されているときの方が、通常作業状態が判別されているときに比べて、大にする状態で、油圧シリンダCYを制御するように構成されている。 【0053】つまり、図7に示すように、前記位置偏差Δrの大きさに対する制御出力、具体的には、油圧シリンダに対する圧油供給量の変化特性として、位置偏差Δrの大きさに対して制御出力が直線的に変化するもので、その傾斜状態が互いに異なる2種類が予め用意されており、上記初期作業状態が判別されているときは、目標昇降位置からの離れ量が同じときの操作速度が大である特性ラインQ1を選択し、通常作業状態が判別されていないときは、上記操作速度が小である特性ラインQ2を選択するようになっている(ステップ23,24,25)。 【0054】そして、対地高さセンサS3の検出値によって刈取処理部2の現在位置を検出しながら、位置偏差Δrの情報と選択された制御特性(特性ライン)に基づいて制御出力を決定し、刈取処理部2が上記目標位置に到達するまで油圧シリンダCYによる刈取処理部2の昇降作動を行う(ステップ26,27,28)。このとき、図7の特性から明らかなように、刈取処理部2の位置が目標昇降位置に近づいてくるほど油圧シリンダCYによる操作速度が直線的に小になるように変化するので、停止時のショックが少ないものとなる。しかも、刈取処理部2の位置が目標昇降位置に到達して対機体昇降処理が終了した後に、前記昇降量算出処理を実行するように構成され、昇降操作を実行している途中で、再度、昇降量算出処理を実行することで、頻繁な昇降作動を繰り返すことを回避している。対地高さセンサS3の検出値によって刈取処理部2の現在位置が前記目標位置に到達すると、昇降作動を停止させる(ステップ29)。 【0055】刈取作業が継続されるに伴って上記したような昇降制御が実行される結果、刈取処理部2の対地高さが目標昇降位置に対する設定許容範囲(不感帯)内に収束して、安定した状態となってくるが、前記制御装置14は、このような収束状態に達したのちは、上記した区間平均値を求めるための信号処理区間Liを、予め設定した設定範囲を越えない範囲内で、現在値よりも設定量長くさせる漸増処理を繰り返して実行するように構成され、刈取処理部2の対地高さが目標対地高さに対する制御不感帯から外れて、油圧シリンダCYによる昇降作動が行われる制御出力状態においては、信号処理区間Liを設定範囲の下限値としての初期値(20cm)に変更設定するように構成されている。 【0056】この区間変更処理は、ステップ16にて実行されるが、具体的には図6に示すように制御を実行する。つまり、前記対機体昇降処理が終了した後に、次回の昇降量算出処理を実行する際に、偏差が設定許容範囲(不感帯)内にあれば、目標位置に収束していると判断し、信号処理区間Liを現在値よりも設定量(5cm)だけ長くさせる(ステップ160,161)。但し、信号処理区間Liが60cmを越える場合には、信号処理区間Liを60cmに設定する(ステップ162,163)。つまり、最大値が60cmとなる。尚、偏差が設定許容範囲(不感帯)内から外れて目標位置に収束していなければ、信号処理区間Liを20cmに設定する(ステップ164)。従って、収束状態であれば、信号処理区間Liは、20cm(最小値)〜60cm(最大値)の間(設定範囲)で5cmづつ漸増するように変更調節されることになり、偏差が発生すると、すぐに最小値(20cm)に変更するようになっている。 【0057】この構成においては、超音波センサS1と制御装置14による対地高さの検出処理構成とにより、設定時間経過する毎に又は設定距離走行する毎に前記刈取処理部の対地高さの検出値を出力する対地高さ検出手段100が構成されることになる。又、制御装置14により、刈取処理部2(作業装置)の対地高さが目標対地高さになるように油圧シリンダCY(昇降操作手段)を制御する制御手段102が構成されることになる。 【0058】尚、上記初期作業用の選択条件として、平均化処理のために選択するデータの割合として90パーセントを指示するようにして、上記通常作業用の選択状態として、平均化処理のために選択するデータの割合として60パーセントを指示するようにしたが、このような数値は例示であり、これらの値に限定されるものではなく異なる割合に設定してもよい。 【0059】〔別実施形態〕次に別実施形態について説明する。 【0060】(1)上記実施形態では、前記初期作業用の選択条件が、前記検出処理周期内に検出した複数の検出対地高さのデータのうちで対地高さが小さい側であるデータを前記選択率にて選択するように設定され、前記通常作業用の選択条件が、前記検出処理周期内に検出した前記複数の検出対地高さのデータのうちで対地高さが中央側であるデータを前記選択率にて選択するように設定される構成としたが、このような構成に限らず、次のように構成するものでもよい。 ■ 前記初期作業用の選択条件が、前記検出処理周期内に検出した複数の検出対地高さのデータのうちで対地高さが大きい側であるデータを前記選択率にて選択する構成。 ■ 前記初期作業用の選択条件が、前記検出処理周期内に検出した複数の検出対地高さのデータのうちで対地高さが中央側であるデータを前記選択率にて選択する構成。 ■ 前記通常作業用の選択条件が、前記検出処理周期内に検出した前記複数の検出対地高さのデータのうちで対地高さが、それらの全てのデータの平均値に近いものから順番に前記選択率にて選択する構成。 ■ 前記通常作業用の選択条件が、前記検出処理周期内に検出した前記複数の検出対地高さのデータのうちで対地高さが大きい側であるデータを前記選択率にて選択する構成。 ■ 前記通常作業用の選択条件が、前記検出処理周期内に検出した前記複数の検出対地高さのデータのうちで対地高さが小さい側であるデータを前記選択率にて選択する構成。 【0061】(2)上記実施形態では、前記第1平均化処理において、車速が処理周期判別用の設定走行速度(0.25m/s)より低いときには低速走行用検出処理周期(200msec)を基準にして平均化処理を実行し、車速が処理周期判別用の設定走行速度以上のときには高速走行用検出処理周期(5cm)を基準にして平均化処理を実行するように構成したが、本発明はこのような構成に限らず、前記検出処理周期としては、車速にかかわらず予め設定した設定距離を走行する間として設定してもよく、又、車速にかかわらず予め設定した設定時間が経過するまでの間として設定してもよい。 【0062】(3)上記実施形態では、前記高さ算出処理における平均化処理として、前記第1平均化処理と前記第2平均化処理とを実行して、その第2平均化処理により求めた平均値を演算対地高さとするように構成して、第1平均化処理において、上記各選択条件に基づいてデータを選択して平均化処理する構成としたが、このような構成に代えて次のように構成してもよい。上記第2平均化処理を実行することなく、第1平均化処理で求められた平均値を演算対地高さとして昇降制御を実行する構成としてもよい。この場合には、【0063】(4)上記実施形態では、上記初期作業終了条件として、刈取処理部2が作業行程での作業を開始してから、昇降制御における偏差が設定許容範囲(不感帯)内にあって対地高さが目標位置に収束していることを条件としたが、このような構成に限らず、作業装置が作業行程での作業を開始してから、設定時間が経過するか、又は、設定距離走行したことを条件としてもよい。 【0064】(5)上記実施形態では、作業装置(刈取処理部)の位置が前記目標昇降位置から離れているほど前記操作速度を大にするための構成として、前記位置偏差Δrの大きさに対する昇降操作手段に対する制御出力の変化特性が直線的に変化するものを例示したが、このようなものに限らず、例えば、図8の特性ラインQ1’,Q2’に示すように、位置偏差Δrの大きさに対して制御出力が曲線的に変化し、かつ、位置偏差Δrの大きさが大であるほど、位置偏差Δrの単位変化量に対する制御出力の変化量、即ち、変化特性の傾斜角度が大となるような変化特性を用いてもよい。 【0065】(6)上記実施形態では、前記対機体昇降処理が終了した後に、前記昇降量算出処理を実行するように構成したが、このような構成に限らず、例えば図9に示すように、上記実施形態におけるステップ20を省略して、前記対機体昇降処理が終了していなくても、前記平均処理タイミングになる毎に前記昇降量算出処理を実行する構成として、その新たな情報に基づいて対機体昇降処理を実行する構成としてもよい。 【0066】(7)上記実施形態では、前記昇降量算出処理として、前記演算対地高さを前記目標対地高さにするために走行機体に対して刈取処理部を昇降させる目標昇降位置を求め、前記対機体昇降処理として、刈取処理部を目標昇降位置に昇降させるべく昇降操作手段を作動させるようにしたが、このような構成に代えて、前記演算対地高さを前記目標対地高さにするために走行機体に対して刈取処理部を昇降させる必要昇降量を求める構成として、前記刈取処理部を現在高さから前記必要昇降量を昇降させるべく前記昇降操作手段を作動させるようにしてもよい。 【0067】(8)上記実施形態では、前記対地高さセンサとして、設定サンプリング周期(20ms)毎に刈取処理部の対地高さの検出値を出力する超音波式の対地高さセンサを例示したが、このような構成に限らず、設定サンプリング周期毎に刈取処理部の対地高さを検出するとともに、設定時間経過する毎に又は設定距離走行する毎に、上記検出値の平均化処理を実行して、その平均値を制御装置に出力するような対地高さセンサにて構成してもよい。又、前記対地高さ検出手段として、このような超音波式のセンサに代えて、接地追従しながら作業装置に対して上下動自在な接触片と、この接触片の上下動量を検出する昇降量検出手段とを備えて前記上下動量に基づいて対地高さを検出する接地式センサを備える構成として、設定時間経過する毎に又は設定距離走行する毎に、その間に検出された検出値を平均化処理して対地高さの検出値を出力するように構成してもよい。 【0068】(9)上記実施形態では、作業車としてコンバインを例示したが、本発明はコンバインに限らず、例えば、コンバイン以外のイグサ収穫機や苗移植機、作業機付きのトラクタ等、作業装置を昇降自在に備えた各種の作業車に適用できる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000001052 【氏名又は名称】株式会社クボタ
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| 【出願日】 |
平成11年11月5日(1999.11.5) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100107308 【弁理士】 【氏名又は名称】北村 修一郎
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| 【公開番号】 |
特開2001−128526(P2001−128526A) |
| 【公開日】 |
平成13年5月15日(2001.5.15) |
| 【出願番号】 |
特願平11−315047 |
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