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【発明の名称】 茶畝跨走型茶刈機における茶葉収容装置
【発明者】 【氏名】山田 健二

【要約】 【課題】操縦席の後方に大容量のコンテナを具えた乗用タイプの茶畝跨走型茶刈機において、操縦者が充分に後方視界を確保できるようにした新規な茶葉収容装置を提供する。

【解決手段】本発明の茶畝跨走型茶刈機における茶葉収容装置は、茶畝を跨いで走行する走行機体2に対して、刈刃を具えた茶刈機体3を取り付けて、茶葉の摘採や枝幹の剪除等を行った後、この刈取茶Aを茶刈機後方のコンテナ型収容部6に送るようにした乗用タイプの茶刈機において、コンテナ型収容部6に操縦者からの後方視界を確保するように開放空間46を形成したことを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 茶畝を跨いで走行する走行機体に対して、刈刃を具えた茶刈機体を取り付けて、茶葉の摘採や枝幹の剪除等を行った後、この刈取茶を茶刈機後方のコンテナ型収容部に送るようにした乗用タイプの茶刈機において、前記コンテナ型収容部は、操縦者からの後方視界を確保するように構成されることを特徴とする茶畝跨走型茶刈機における茶葉収容装置。
【請求項2】 前記コンテナ型収容部には、操縦者からの後方視界を確保する開放空間が形成されることを特徴とする請求項1記載の茶畝跨走型茶刈機における茶葉収容装置。
【請求項3】 前記コンテナ型収容部には、操縦者からの後方視界を確保する後写鏡が設けられることを特徴とする請求項1または2記載の茶畝跨走型茶刈機における茶葉収容装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は刈取茶を収容するコンテナを後方に設けた茶畝跨走型茶刈機に関するものであって、特に茶刈機を操縦する作業者からの後方視界を充分に確保できる新規な茶葉収容装置に係るものである。
【0002】
【発明の背景】茶畝を跨いで走行しながら茶刈作業を行う茶畝跨走型茶葉摘採機等が普及してきており、このような装置によって、茶刈作業の省力化と能率化が図られている。このうち比較的大規模な茶園に適用されるものとして、作業者が茶刈機に直接乗って茶刈作業を行う、いわゆる乗用タイプと呼ばれるものがある。そして近時、このような乗用タイプの茶刈機は、更なる省力化、能率化等を達成するため、一度に大量の刈取茶を収容するとともに収容した刈取茶をトラックに排出するコンテナ型収容部を茶刈機後方に具えたものが開発されてきている。
【0003】しかしながらこのような乗用タイプの茶刈機においても以下に示すような問題が残されていた。すなわちこの種の茶刈機は、大容量のコンテナを操縦席の後方に具えるため、例えば枕地等で茶刈機を旋回させたい場合や、後方に停車したトラックに刈取茶を移載する場合などの後方を見ながら作業を行いたいときに、コンテナによって後方視界が確保しにくいという問題があった。もちろん後方側のコンテナ付近に操縦者とは別の作業者を置くことで、このような問題は解決できるものの、当初の目的である省力化を達成するものではなく、根本的な解決方法とは言えなかった。因みに本出願人は、特願平10−231384号「茶畝跨走型茶葉摘採機における茶葉収容構造」において、保持枠に複数の収葉袋を取り付け、ここを収容部とした機種において、すでに後方視界を確保する技術思想について、開示している。しかしながらこれは、専ら摘採機体後方から収容部上方まで茶葉を移送する中継移送装置についてのものであった。
【0004】
【開発を試みた技術的課題】本発明はこのような背景を認識してなされたものであって、操縦席の後方に大容量のコンテナを具えた乗用タイプの茶畝跨走型茶刈機においても、操縦者が充分に後方視界を確保できるようにした新規な茶葉収容装置の開発を試みたものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】すなわち請求項1記載の茶畝跨走型茶刈機における茶葉収容装置は、茶畝を跨いで走行する走行機体に対して、刈刃を具えた茶刈機体を取り付けて、茶葉の摘採や枝幹の剪除等を行った後、この刈取茶を茶刈機後方のコンテナ型収容部に送るようにした乗用タイプの茶刈機において、前記コンテナ型収容部は、操縦者からの後方視界を確保するように構成されることを特徴として成るものである。この発明によれば、例えば枕地等で茶刈機を旋回させたい場合や、後方に停車したトラックに刈取茶を移載する場合などに後方視界を充分確保でき、円滑且つ効率的に作業が行える。
【0006】また請求項2記載の茶畝跨走型茶刈機における茶葉収容装置は、前記請求項1記載の要件に加え、前記コンテナ型収容部には、操縦者からの後方視界を確保する開放空間が形成されることを特徴として成るものである。この発明によれば、コンテナ型収容部に、操縦者からの後方視界を確保する開放空間が形成され、より確実に後方視界を充分確保できる。
【0007】更にまた請求項3記載の茶畝跨走型茶刈機における茶葉収容装置は、前記請求項1または2記載の要件に加え、前記コンテナ型収容部には、操縦者からの後方視界を確保する後写鏡が設けられることを特徴として成るものである。この発明によれば、比較的開放空間を小さく形成した場合であっても、茶刈機の後方を広域に確認できる。
【0008】
【発明の実施の形態】以下本発明を図示の実施の形態に基づいて説明する。まず本発明の茶畝跨走型茶刈機1は、一例として図1、2に示すように茶畝T上を跨ぐように走行する走行機体2と、この走行機体2によって支持される茶刈機体3と、この茶刈機体3の後方に設けられるコンテナ4と、茶刈機体3からコンテナ4まで刈取茶Aを移送する中継移送装置5とを具えて成るものである。なお本明細書に記載する「コンテナ型収容部」とは、コンテナ4を主要部材とし、実質的に刈取茶Aの収容に関与する部材を総称するものであって、その詳細については後述する。また茶刈機体3とは、茶葉の摘採を行う摘採機体と、樹形を整え樹勢の回復を図るため枝幹を剪除する剪枝機体とを総称するものであり、本明細書中に記載する「刈取茶」とは、摘採された茶葉や剪除された枝幹等を示すものである。以下各構成部について説明する。
【0009】まず走行機体2について説明する。この走行機体2は一例として図1、2に示すように茶畝Tを跨ぐように概ね門形状に形成されたフレーム部21を骨格部材とし、このフレーム部21に対し下方にクローラ22を設けるとともに、このクローラ22の上方に茶刈機体3が取り付けられる。そしてクローラ22や茶刈機体3を操作するためのコントロールユニット23、クローラ22や中継移送装置5のファン等を駆動させるためのエンジンユニット24、茶刈機体3及び中継移送装置5等の昇降に関与するスライダやウインチ、作業者が座る操縦者用シート25等がフレーム部21に設けられる。
【0010】次に茶刈機体3について説明する。茶刈機体3は、茶葉の摘採や枝幹の剪除を行うものであり、上述したように摘採機体や剪枝機体などが適用されるがここではその一例である摘採機体30について簡単に説明する。摘採機体30は、いわゆる全面刈りタイプのものであって、上方に平行に二本の摘採機フレームパイプ31を配設するとともに、その下方に茶畝T上面の円弧に沿うような摘採機フレーム基板32をほぼ平行に設け、更に摘採機フレームパイプ31に摘採機エンジン33を搭載する。そしてこの摘採機エンジン33によって一例としてバリカン刃を適用した刈刃34が駆動されるとともに、摘採機エンジン33の下方に一体的に組み付けたファンからの送風を摘採機フレーム基板32上に吹き出すための送風ダクト35を刈刃34の斜め上前方に配設する。なお刈刃34は、摘採機フレーム基板32の前方ほぼ延長上に設けられる。
【0011】次に本発明の特徴的構成を有するコンテナ4について説明する。このものは、一例として350kg程度の大量の刈取茶Aを収容し得るような概ね箱状に形成されたものであって、図1、2に示すようにコンテナ周囲を形成するコンテナ本体41と、刈取茶Aを載置する載置体42とを具えて成るものである。コンテナ本体41は、通気性を確保する目的から一例としてフレーム43を骨組みとし、この内側にネット44を張設して成るものであるが、この他にも例えば複数の通気孔を穿設した金属パネル等を適用することも可能である。また載置体42は、一例としてベルトコンベヤ45が適用される。
【0012】なおコンテナ4に収容された刈取茶Aは、最終的にトラックに移載されるものであって、このための排出口Eを形成するにあたっては、種々の手法が可能であり一例として図2に併せて示すように、コンテナ4を上昇させた後、コンテナ本体41のみを後方にスライドさせて排出口Eを開口する形態が採り得る。ここで上記載置体42としてベルトコンベヤ45を適用したのは、排出口Eが比較的小さい場合であっても、ベルトコンベヤ45を駆動させることにより効率的に刈取茶Aの排出が行えるためである。このように載置体42は、刈取茶Aの排出態様によって異なるものであって、例えばコンテナ4を単に上昇させた後、トラックがその下方に入り込んでから、コンテナ底部を開放して刈取茶Aを落下させるような形態を採る場合には、載置体42としては、単なる観音開き状に構成されたものが適用される。
【0013】更に本発明においては、茶刈機を操作する操縦者からの後方視界を充分確保するように、このコンテナ本体41を構成するものであって、一例として図3(a)(b)に示すように背面から視てV字状、U字状等適宜の開放空間46を有するように形成される。但しこの開放空間46は、必ずしもこのような形態に限らず、図3(c)に示すように、コンテナ4を茶刈機の左右に完全に分割するよう形成し、その間を開放空間46としても構わない。なおこれらは、主に茶刈機の中央部分に開放空間46を形成するようにしたものであるが、図4(a)に示すように操縦者用シート25の設置場所(本図では茶刈機の右側)に応じて、シート後方の片側のみに開放空間46を形成してもよい。この場合、開放空間46は必ずしもV字状等の切り欠き状に形成する必要はなく、操縦者側のコンテナ4を全体的に一段下げ、ここを開放空間46とする構造が採り得る。更にまた図4(b)に示すようにコンテナ4を透明な樹脂部材等で構成した、いわゆるスケルトン構造によって、後方視界を確保することも可能であり、この場合には、特に開放空間46を形成する必要はない。
【0014】なお開放空間46を大きく形成する程、操縦者からの後方視界は、より確実に確保できるが、このことは一方でコンテナ4の容量を減少させるという欠点も併せ持っている。このためできる限り開放空間46を小さく形成しながらも、後方視界は確実に確保したい、という二律背反的な要求が生じてくる。このような場合には、一例として図2に併せて示すように開放空間46に、茶刈機の後方を広域に確認できる後写鏡Mを設置することが可能である。因みに後写鏡Mを付設した場合における操縦者の視線を図2中に破線で示す。
【0015】次に中継移送装置5について説明する。このものは、茶刈機体3によって刈り取られた刈取茶Aをコンテナ本体41の上部受け入れ口に案内するものであり、一例として図1、2に示すように吹き上げファン51と、送風ダクト52と、移送路53と、吐出案内部54とを具えて成るものである。吹き上げファン51は、一例として走行機体2の上部左右に二基設けられ、クローラ22の駆動源であるエンジンユニット24によって駆動され、送風ダクト52内に風を送るものである。送風ダクト52は、吹き上げファン51から送り出された風が、茶刈機の側部を回り込むようにして、茶刈機体3の送風ダクト35から送り出された移送風と合流するように形成されるものであって、合流後、刈取茶Aを傾斜状態に設けられた移送路53内を上昇移送させるものである。そしてこの送風ダクト52は、一例として側傍部分が二重に構成され、茶刈機体3の昇降に伴い伸縮自在に設定されるものであり、吹き上げファン51のみが、茶刈機体3の昇降にかかわらず、常時走行機体2上に固定される。
【0016】移送路53は、刈取茶Aを上昇移送するものであって、内面には移送中の刈取茶Aの張り付き防止あるいは移送抵抗の軽減を図るためにメッキあるいはトリテトラフッ化エチレン(商品名テフロン:デュポン社の登録商標)のコーティング等の処理が施される。吐出案内部54は、移送路53から吐き出された刈取茶Aをコンテナ4内に案内するためのものであって、この実施の形態では、コンテナ4の受け入れ口に一体的に取り付けられるものである。以上述べたように中継移送装置5は、刈取茶Aを茶刈機体3からコンテナ4まで上昇移送する作用を主に担うものであるが、この移送作用を補助したい場合には、移送路53の傾斜部上方あるいは下方に補助ファンを設けることが可能であるし、逆に茶刈機体3の移送風のみでも移送路53内を上昇移送させることができれば吹き上げファン51をあえて駆動する必要はない。
【0017】なお中継移送装置5の移送路53及び吐出案内部54も、コンテナ本体41と同様に、後方視界を確保するように形成されるものであって、例えば前記図3(a)に示したように、コンテナ本体41が背面視V字状に形成されていれば移送路53も当然、この開放空間46を確保するよう背面視V字状に形成され、また吐出案内部54も、左右に分離形成される。このようにコンテナ4を主要部材とし、移送路53及び吐出案内部54等を含めた、実質的に刈取茶Aの収容に関する部材をコンテナ型収容部6と総称する。繰り返しになるが、本発明の茶葉収容装置は、このコンテナ型収容部6を、後方視界を確保するように構成したことを大きな特徴とするものである。
【0018】更に本発明では、刈取茶Aを収容するものが、大容量のコンテナ4であることに因み、刈取茶Aのトラックへの排出にあたっては、コンテナ4の昇降等を担うコンテナ移動装置7が別途付設される。このものは、一例として吐出案内部54とともにコンテナ4を茶刈機本体から切り離し、トラック荷台上方の作用位置まで上昇させる昇降体71と、次いでこの状態からコンテナ本体41のみを後方にスライドさせ、刈取茶Aを排出するスライド体72とを具えて成るものである。なおこのような刈取茶Aの排出すなわち荷捌きに関する装置、並びにその作動態様等については、ここでは省略し、本出願人の出願に係る、特願平11−272267号「茶畝跨走型茶刈機における刈取茶の荷捌き装置」を援用する。
【0019】以上のように構成された茶畝跨走型茶刈機1は、操縦者の後方視界を充分に確保するように、コンテナ型収容部6が構成されているため、茶刈機を後退させたい場合や旋回させたい場合など、目的とするトラックや障害物となる柵などが察知しやすく、茶刈機の取りまわし性を格段に向上させ得るものである。
【0020】
【発明の効果】本発明によれば、例えば枕地等で茶刈機を旋回させたい場合や、後方に停車したトラックに刈取茶Aを排出する場合などに後方視界を充分確保でき、円滑且つ効率的に作業が行える。またコンテナ型収容部6に開放空間46を形成した場合には、より確実に後方視界を充分確保でき、茶刈機がより操縦しやすくなる。更に開放空間46に後写鏡Mを取り付けた場合には、開放空間46を比較的小さく形成できるため、コンテナ4の容量を大幅に減少させることなく、充分な後方視界が確保できる。
【出願人】 【識別番号】000104386
【氏名又は名称】カワサキ技研株式会社
【出願日】 平成11年10月29日(1999.10.29)
【代理人】 【識別番号】100086438
【弁理士】
【氏名又は名称】東山 喬彦
【公開番号】 特開2001−120037(P2001−120037A)
【公開日】 平成13年5月8日(2001.5.8)
【出願番号】 特願平11−309867