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【発明の名称】 草刈機
【発明者】 【氏名】村川 正剛

【氏名】原田 選也

【氏名】黒原 一明

【氏名】山下 信行

【要約】 【課題】仕様の異なる草刈機を、部品管理や製作の容易化並びに製造コストの低減化を図りながら構成できるようにする。

【解決手段】走行機体Aの後部に、後車軸10を介して左右の後輪2に伝動する変速装置6,7を左右一側方に偏位させた状態で配設して、後車軸10を外囲する後車軸ケース13と変速装置6,7と左右他側方の後輪2との間に空間Sを形成し、走行機体AにリアディスチャージモーアBaを装備するとともにこのモーアBaから排出される刈草を後方に向けて案内するダクト4を空間Sに通すリアディスチャージ仕様と、走行機体AにサイドディスチャージモーアBbを装備するとともに空間Sに補助燃料タンク21を設置するサイドディスチャージ仕様とに仕様変更可能に構成した。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 走行機体の後部に、後車軸を介して左右の後輪に伝動する変速装置を左右一側方に偏位させた状態で配設して、前記後車軸を外囲する後車軸ケースと前記変速装置と左右他側方の後輪との間に空間を形成し、前記走行機体にリアディスチャージモーアを装備するとともに該モーアから排出される刈草を後方に向けて案内するダクトを前記空間に通すリアディスチャージ仕様と、前記走行機体にサイドディスチャージモーアを装備するとともに前記空間に補助燃料タンクを設置するサイドディスチャージ仕様とに仕様変更可能に構成してある草刈機。
【請求項2】 前記サイドディスチャージ仕様では、前記変速装置の上方に配備した燃料タンクを前記補助燃料タンクに連通接続するとともに、該補助燃料タンクからエンジンに燃料を供給するように構成してある請求項1記載の草刈機。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、走行機体の後部に変速装置を配設してある草刈機に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、上記のような草刈機としては、例えば、特開平11−89385号公報などで開示されているように、モーアの後部における左右中央側から排出される刈草を、走行機体の内部を通るように配設されたダクトを介して集草容器に回収するリアディスチャージ仕様のものと、特開平7−16013号公報などで開示されているように、モーアの左右一側端部から排出される刈草を、走行機体の横外側方を通るように配設されたダクトを介して集草容器に回収する、あるいは、特開平9−272348号公報などで開示されているように、モーアの左右一側端部から地面に向けて刈草を放出する、といった2形態のサイドディスチャージ仕様のものとがあり、リアディスチャージ仕様のものにおいては、走行機体の内部にダクトを通すための空間を確保する必要があることから、変速装置を走行機体の後部に左右一側方に偏位させた状態で配設し、又、サイドディスチャージ仕様のものにおいては、走行機体の内部にダクトを通すための空間を確保する必要がないことから、変速装置を走行機体の後部に左右中央に位置させた状態で配設するようにしていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の従来技術によると、リアディスチャージ仕様のものとサイドディスチャージ仕様のものとで変速装置の配設位置が異なることによって、変速装置としてそれらの仕様に応じた形状のものを用意する必要が生じるとともに、変速装置を支持する機体フレームや変速装置に連結される後車軸ケースなどの変速装置に関連する各部品として、それらの仕様に応じたそれぞれものを用意する必要があることから、部品管理や製作の容易化、並びに、製造コストの低減化を図る上で改善の余地があった。
【0004】本発明の目的は、仕様の異なる草刈機を、部品管理や製作の容易化並びに製造コストの低減化を図りながら構成できるようにすることにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】〔構成〕上記目的を解決するため、本発明のうちの請求項1記載の発明では、走行機体の後部に、後車軸を介して左右の後輪に伝動する変速装置を左右一側方に偏位させた状態で配設して、前記後車軸を外囲する後車軸ケースと前記変速装置と左右他側方の後輪との間に空間を形成し、前記走行機体にリアディスチャージモーアを装備するとともに該モーアから排出される刈草を後方に向けて案内するダクトを前記空間に通すリアディスチャージ仕様と、前記走行機体にサイドディスチャージモーアを装備するとともに前記空間に補助燃料タンクを設置するサイドディスチャージ仕様とに仕様変更可能に構成した。
【0006】〔作用〕上記請求項1記載の発明によると、リアディスチャージ仕様のものとサイドディスチャージ仕様のものとのいずれにおいても、変速装置を走行機体の後部に左右一側方に偏位させた状態で配設することから、それらの仕様の違いに係わらず、変速装置、及び、変速装置を支持する機体フレームや変速装置に連結される後車軸ケースなどの変速装置に関連する各部品として、同じものを使用することができるようになる。つまり、リアディスチャージ仕様のものとサイドディスチャージ仕様のものとを構成する上において、変速装置やそれに関する各部品の兼用化を大幅に図れるようになり、もって、部品管理や製作の容易化、並びに、製造コストの低減化を図れるようになる。
【0007】そして、変速装置を走行機体の後部に左右一側方に偏位させた状態で配設することによって、後車軸ケースと変速装置と左右他側方の後輪との間に形成される空間を、リアディスチャージ仕様では走行機体の内部に刈草案内用のダクトを通すために有効利用し、又、サイドディスチャージ仕様では補助燃料タンクを設置することで有効利用していることから、リアディスチャージ仕様においては、走行機体の内部におけるダクトの配設を容易にすることができ、又、サイドディスチャージ仕様においては、機体の大型化を招くことなく燃料タンク全体としての大容量化を図れるようになる。
【0008】しかも、サイドディスチャージ仕様においては、前記空間に補助燃料タンクを設置することから、補助燃料タンクに対する他物の接触を、後車軸ケース、変速装置、及び左右他側方の後輪にて抑制できる利点をも有するようになる。
〔効果〕従って、リアディスチャージ仕様とサイドディスチャージ仕様の草刈機を、機体の兼用化によって部品管理や製作の容易化並びに製造コストの低減化を図りながら構成できる上に、サイドディスチャージ仕様においては、補助燃料タンクに対する他物の接触を抑制しながら機体の大型化を招くことなく燃料タンク全体の大容量化を図れるようになった。
【0009】〔構成〕本発明のうちの請求項2記載の発明では、上記請求項1記載の発明において、前記サイドディスチャージ仕様では、前記変速装置の上方に配備した燃料タンクを前記補助燃料タンクに連通接続するとともに、該補助燃料タンクからエンジンに燃料を供給するように構成した。
【0010】〔作用〕上記請求項2記載の発明によると、変速装置の上方に配備したことで前記空間に配設される補助燃料タンクよりも上方に位置する燃料タンクを補助燃料タンクに連通接続するとともに、下方の補助燃料タンクからエンジンに燃料を供給するようにしていることから、上方の燃料タンクからエンジンに燃料を供給する場合のように、下方の補助燃料タンクから上方の燃料タンクに向けて燃料を圧送するフィードポンプなどを設けなくても、両タンク内の燃料をエンジンに供給することができるようになる。
【0011】〔効果〕従って、サイドディスチャージ仕様での燃料供給構造の簡素化を図れるようになった。
【0012】
【発明の実施の形態】図1〜6には草刈機が示されており、この草刈機は、左右一対の前輪1と後輪2とを備えた走行機体Aの下腹部に、昇降リンク機構3を介してモーアBを昇降可能に吊り下げ装備するとともに、走行機体Aの後部に、モーアBから排出される刈草をダクト4を介して集草する集草容器Cを連結装備することによってミッドマウント型式に構成されている。
【0013】走行機体Aは、その前部に搭載されたエンジン5、機体後部に配備された静油圧式無段変速装置6、静油圧式無段変速装置6の後部に連設されたギヤ式変速装置7、及び、ギヤ式変速装置7の左右に配設された減速装置8、などによって構成されており、エンジン5からの走行用の動力を、伝動軸9を介して静油圧式無段変速装置6に伝達するとともに静油圧式無段変速装置6にて変速し、その変速後の動力をギヤ式変速装置7にて減速し、その減速後の動力を、ギヤ式変速装置7の後端下部に配備した差動機構7Aから左右の後車軸10を介して左右の減速装置8に伝達し、左右の減速装置8にて更に減速した動力を、左右の後輪伝動軸11を介して左右の後輪2に伝達するようになっている。
【0014】走行機体Aにおいて、左側の後輪2を支持する左側の減速装置8は、その右側面上部が左側の機体フレーム12に連結されるとともに、その右側面下部にギヤ式変速装置7が直結されている。右側の後輪2を支持する右側の減速装置8は、その左側面上部が右側の機体フレーム12に連結されるとともに、その左側面下部に、右側の後車軸10を外囲する後車軸ケース13を介してギヤ式変速装置7が連結されている。つまり、この構成によって、静油圧式無段変速装置6とギヤ式変速装置7とを走行機体Aの後部において左側に偏位した状態で配設するようにしているのであり、これによって、それらの両変速装置6,7と後車軸ケース13と右側の後輪2との間に比較的大きい空間Sを形成できるようになっている。
【0015】尚、図1、図3、図4及び図6に示す符号14は、静油圧式無段変速装置6及びギヤ式変速装置7の上方に、左右の後輪2の上方を覆うリアフェンダ15の下面に沿って配設された燃料タンクである。
【0016】モーアBには、その後部の左右中央側から刈草を排出するリアディスチャージモーアBa(図1及び図2参照)と、その左右一側端部から刈草を排出するサイドディスチャージモーアBb(図4及び図5参照)とがあり、図1及び図2に示すように、走行機体AにリアディスチャージモーアBaを装備することによってリアディスチャージ仕様の草刈機を構成することができ、又、図4及び図5に示すように、走行機体AにサイドディスチャージモーアBbを装備することによってサイドディスチャージ仕様の草刈機を構成することができるようになっている。
【0017】尚、図1、図2、図4及び図5に示すように、モーアBは、エンジン5からの作業用の動力が、ベルトテンション式の作業クラッチ16及び伝動軸17を介して、ハウジング18の上部に配設されたベルト式伝動機構19に伝達されることで、ハウジング18内に並設された各ブレード20が縦軸心P周りに回転するようになっている。
【0018】図1〜3に示すように、リアディスチャージ仕様の草刈機を構成する場合には、走行機体Aに、刈草を後部の左右中央側から排出するリアディスチャージモーアBaを装備することから、リアディスチャージモーアBaから排出された刈草を後方の集草容器Cに案内するダクト4を走行機体Aの内部に通す必要が生じるようになる。そこで、リアディスチャージ仕様においては、前記空間Sをダクト配設空間として有効利用するのであり、これによって、機体の大型化を招くことなく容易にダクト4を走行機体Aの内部に通すことができるようになっている。ちなみに、リアディスチャージ仕様では、集草容器Cとして、その前面にダクト接続用の開口を備えたリアディスチャージ用の集草容器Caが採用されている。
【0019】図4〜6に示すように、サイドディスチャージ仕様の草刈機を構成する場合には、走行機体Aに、刈草を左右一側端部から排出するサイドディスチャージモーアBbを装備することから、サイドディスチャージモーアBbから排出された刈草を後方の集草容器Cに案内するダクト4が走行機体Aの横外側方を通るようになり、これによって、前記空間Sがダクト配設空間として使用されないようになる。そこで、サイドディスチャージ仕様においては、前記空間Sを補助燃料タンク21の配設空間として有効利用するのであり、これによって、機体の大型化を招くことなく燃料タンク全体としての大容量化を図れるようになっている。尚、図4〜6に示す符号22は、前記空間Sに補助燃料タンク21を安定した状態で配設するために、後車軸ケース13に載置された状態でギヤ式変速装置7及び機体フレーム12などに連結固定された載置台であり、この載置台22に補助燃料タンク21が載置支持されるようになっている。ちなみに、サイドディスチャージ仕様では、集草容器Cとして、その左右一側面にダクト接続用の開口を備えたサイドディスチャージ用の集草容器Cbが採用されている。
【0020】以上、要するに、リアディスチャージ仕様とサイドディスチャージ仕様のいずれの草刈機を構成する場合においても、静油圧式無段変速装置6及びギヤ式変速装置7を機体後部に左側方に偏位させた状態で配設した走行機体Aを使用することから、それらの仕様の違いに応じて、静油圧式無段変速装置6及びギヤ式変速装置7の配置を異ならせた走行機体Aを使用する場合に比較して、静油圧式無段変速装置6やギヤ式変速装置7、及び、それらに連結される後車軸ケース13などの各部品の兼用化を大幅に図れるようになり、もって、部品管理や製作の容易化、並びに、製造コストの低減化を図れるようになっている。
【0021】図4及び図6に示すように、サイドディスチャージ仕様においては、静油圧式無段変速装置6及びギヤ式変速装置7の上方に配備した燃料タンク14の底部を、前記空間Sに配設することによって燃料タンク14の下方に位置するようになる補助燃料タンク21の上部に連通接続するとともに、補助燃料タンク21の底部からエンジン5に燃料を供給するように構成しているのであり、これによって、燃料タンク14からエンジン5に燃料を供給するリアディスチャージ仕様での燃料供給構造をそのまま流用する場合に必要となる、下方の補助燃料タンク21から上方の燃料タンク14に向けて燃料を圧送するフィードポンプなどを設けなくても、両燃料タンク14,21内の燃料をエンジン5に供給できるようになっている。
【0022】図1、図3、図4、図6及び図7に示すように、リアフェンダ15の左右中央部には、その強度の向上を図るために、上方に向けて突出する膨出部15Aがリアフェンダ15の前端から後端に亘る状態に形成されており、この膨出部15Aの裏面には、膨出部15Aとの間に風路Rを形成するように下方向きに膨出形成された補強部材23が接合されている。リアフェンダ15の前端に接続される操縦パネル24の裏面には、風路Rをエンジン5の後方に立設されたラジエータ25の後方まで延長する風路形成部材26が接合されている。そして、この構成から、エンジン5とラジエータ25との間に配設された冷却ファン27を作動させると、エンジン5やモーアBから離れた位置であるリアフェンダ15の後端内部に形成された外気取入口Raから外気を取り入れることができるとともに、その外気を冷却風としてラジエータ25及びエンジン5に風路Rを介して供給できるようになっており、その結果、エンジン5と操縦部との間に位置し、かつ、モーアBの近くに位置する操縦パネル24に外気取入口を形成した場合に生じる、その外気取入口から洩れ出すエンジン音による操縦部での作業環境の悪化や、その外気取入口にモーアBから洩れ出した刈草が貼り付くことに起因したオーバーヒートの発生を回避あるいは抑制できるようになっている。
【0023】〔別実施形態〕以下、本発明の別実施形態を列記する。
■ 草刈機としては、フロントモーア型式に構成されたものであってもよい。
■ 静油圧式無段変速装置6及びギヤ式変速装置7を、走行機体Aの後部に、右側方に偏位させた状態で配設するようにしてもよい。
■ サイドディスチャージ仕様においては、下方の補助燃料タンク21から上方の燃料タンク14に向けて燃料を圧送するフィードポンプなどを設けて、燃料タンク14からエンジン5に燃料を供給するリアディスチャージ仕様での燃料供給構造をそのまま流用するようにしてもよい。
■ サイドディスチャージ仕様においては、燃料タンク14として、補助燃料タンク21が一体形成されたものを採用するようにしてもよい。
■ サイドディスチャージ仕様においては、ダクト4及び集草容器Cbを備えずに、サイドディスチャージモーアBbの左右一側端部から地面に向けて刈草を放出するように構成してもよい。
【出願人】 【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
【出願日】 平成11年9月22日(1999.9.22)
【代理人】 【識別番号】100107308
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 修一郎
【公開番号】 特開2001−86831(P2001−86831A)
【公開日】 平成13年4月3日(2001.4.3)
【出願番号】 特願平11−268443