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【発明の名称】 農作業機における制御装置
【発明者】 【氏名】水倉 泰治

【氏名】中川 渉

【氏名】小山 智弘

【要約】 【課題】CANコントローラユニットシステムにおいて、CAN通信不安定になったとき出力系外部機器の誤作動を無くする。

【解決手段】CANコントローラユニット間をCAN通信バスにより接続し、CANコントローラ部を介してCAN通信を実行する(S3)。エラーステート状態を監視し(S4〜S7)、エラーパッシブステートであると判断されたときには(S9)、そのCANコントローラユニットから、他のCANコントローラユニットに接続されている出力系外部機器の出力を禁止すべく制御データを送信する(S11)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 農作業機における走行部、作業部、操作部等に設けたセンサ、設定器等の入力系外部機器と、アクチュエータ等の出力系外部機器と、前記各入力系外部機器又は出力系外部機器のいずれか一方もしくは双方との制御信号を授受して制御する3つ以上のCANコントローラユニットと、各CANコントローラユニット間を接続するCAN通信バスとを具えて、CANコントローラユニットの相互に制御データを転送して制御を実行するようにした農作業機における制御装置において、各CANコントローラユニットには、CAN通信による送信エラーカウンタと、受信エラーカウンタとを備え、送信エラーカウンタ値または受信エラーカウンタ値が所定値より大きくなって、エラーパッシブステートになったときには、CANコントローラユニットは受信した制御データによる出力系外部機器の作動を禁止し、且つCAN通信による出力系外部機器に対する出力用の制御データの送信も禁止するように制御することを特徴とする農作業機における制御装置。
【請求項2】 受信側のCANコントローラユニットは、自己完結型制御データによる出力制御については、その制御を続行することを特徴とする請求項1に記載の農作業機における制御装置。
【請求項3】 前記送信エラーカウンタ値または受信エラーカウンタ値が所定値のうちの第1値より小さいエラーアクティブステートと、前記第1値より大きく且つ第2値より小さいエラーパッシブステートとの間は、前記第1値の大小に応じてステートを遷移するように構成し、エラーアクティブステートに遷移したときには、CAN受信による出力系外部機器に対する制御データの出力の禁止を解除するように制御することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の農作業機における制御装置。
【請求項4】 農作業機における走行部、作業部、操作部等に設けたセンサ、設定器等の入力系外部機器と、アクチュエータ等の出力系外部機器と、前記各入力系外部機器又は出力系外部機器のいずれか一方もしくは双方との制御信号を授受して制御する3つ以上のCANコントローラユニットと、各CANコントローラユニット間を接続するCAN通信バスとを具えて、CANコントローラユニットの相互に制御データを転送して制御を実行するようにした農作業機における制御装置において、各CANコントローラユニットには、CAN通信による送信エラーカウンタと、受信エラーカウンタとを備え、制御プログラムソフトが搭載されたCANコントローラユニットを主コントローラユニットと位置ずけし、前記制御プログラムソフトにより作動する出力系外部機器が接続されたCANコントローラユニットを従属コントローラユニットと見なし、各CANコントローラユニットには、CAN通信による送信エラーカウンタと、受信エラーカウンタとを備える一方、送信エラーカウンタ値または受信エラーカウンタ値が所定値より大きくなって、主コントローラユニットがエラーパッシブステートになったときには、当該主コントローラユニットから従属コントローラユニットに対して、前記制御プログラムソフトにより作動する出力系外部機器の制御信号の出力を禁止するための制御データを送信するように制御することを特徴とする農作業機における制御装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、コンバイン等の農作業機における制御装置に係り、より詳しくは、複数(3つ以上の数)のCANコントローラユニット間で制御用のデータをCAN通信にて転送するとき、そのデータ通信等の異常が発生した場合、出力系外部機器が暴走しないように制御する構成に関するものである。
【0002】
【従来の技術】最近のコンバイン等の農作業機では、制御目標としての、制御量の信号を制御手段に伝るためのセンサや設定器、例えば、走行機体のエンジンの出力(負荷)を制御するアクチュエータとしての電子式ガバナーの燃料噴射量検知センサ(燃料噴射用プランジャの位置調節のためのラック位置の検出センサ)、走行機体に対する走行部の左右の走行クローラの相対的高さを検出する走行部高さセンサ(車高センサ)、穀粒タンク内の穀粒を外部に排出するための排出オーガのコンベヤへの動力を継断するためのオーガクラッチの操作位置検知センサ、前記排出オーガの横筒の水平方向の向きや横筒先端の穀粒排出部の高さを指令(設定)するオーガ位置設定器、また、前記制御信号に応じて制御対象の作動量を検知するためのセンサ、例えば、農作業機の走行速度や、脱穀部の作業部の回転速度を検知する速度センサ、前記排出オーガの横筒の水平方向の向きセンサや高さセンサ等の入力系外部機器と、前記電子ガバナーでの燃料噴射用プランジャを駆動するための電磁ソレノイド、前記左右走行クローラの高さを調節するための油圧シリンダ、前記オーガクラッチを駆動するクラッチアクチュエータ、排出オーガを左右に旋回させるための駆動モータ、排出オーガにおける横筒の水平に対する俯仰角度を調整するための昇降用油圧シリンダ等の各種アクチュエータからなる出力系外部機器を備え、マイクロコンピュータ等の制御手段により、前記出力系外部機器の作動を制御することが通常行なわれている。
【0003】ところで、前記入力系外部機器及び出力系外部機器の種類や数が多い場合、1つのマイクロコンピュータ式等の電子式のコントローラで制御すると、一時に処理できる能力に限界があり、このため制御処理に優先順位を設けると、並列的に処理が困難となること、これを防止するため、複数個のマイクロコンピュータで独立的且つ並列的に制御すると、関連すべき外部機器間の制御の連係が採れないという不都合がある。
【0004】これらの不都合を解消するため、特開平2−219506号公報では、複数の入力系外部機器及び出力系外部機器を制御するための副マイクロコンピュータ(スレーブコントローラ)を複数備え、この各スレーブコントローラを統括するために1つの主マイクロコンピュータ(マスターコントローラ)を備え、複数のスレーブコントローラ及びこれらに接続されている各センサの制御状態を、マスターコントローラにて把握でき、監視できるようにするため、マスターコントローラとスレーブコントローラとの間をシリアル通信回線で接続すると共に、各センサの信号をマスターコントローラに直接入力できるように構成することが提案された。
【0005】しかしながら、この方式であっても、一方のコントローラから他方のコントローラに制御データを転送(伝送)する通信回路は、シリアルインターフェイスを使用することが多いので、そのデータ転送速度が遅いため、スレーブコントローラの数が多くなると、マスターコントローラにおける処理の負担が増大し、迅速な連係制御ができなくなるという問題があった。
【0006】また、最近のLAN環境であっても、通信回線の故障や他のコントローラの故障等があった場合に、一方のコントローラから他方のコントローラを制御できないという問題があった。
【0007】最近、LAN環境の新しい発展として、CAN(コントローラ・エリア・ネットワーク)プロトコルによるデータ通信が提案されている。このCANベース・ネットワークは、共通のリターン(サブルーチンや割り込み処理ルーチン等に移ったプログラムをメインルーチンに戻す命令)を有する差動の2ワイヤバスラインを用いる分散リアルタイム制御及び多重化(distributed real time controland multi-plexing)を保つシリアル通信プロトコルである。
【0008】このCAN通信は、例えば、自動車のボディ系の各種制御コントローラ間の通信、ロボット制御、工場内の制御システム等に適用されている。
【0009】各CANコントローラユニットには、通常の制御を司るCPUやROM(読み出し専用メモリ)、RAM(随時読み書き可能メモリであり、受信スロットを含む)の他に、CANコントローラ部(CANプロトコルにて通信制御するコントローラ部)と、該CANコントローラ部からCAN通信バスに制御用のデータ(センサ等の入力系外部機器の信号やアクチュエータ等の出力系外部機器に送る作動のための信号)を送信・受信するためのCANドライバとを備えていた。
【0010】なお、CANコントローラシステムでは、3つ以上のCANコントローラユニットの各々は対等の関係で従来の主−従属の関係がない。
【0011】そして、CAN通信では、送信する制御用のデータに、当該送信するCANコントローラユニットのIDコード(識別子番号、識別子コードともいう)を付して、各CANコントローラユニットにおける受信スロットに格納されるようにしていた。
【0012】つまり、ある一つのCANコントローラユニットからIDコード付き制御用のデータをCAN通信バスに送り出すと、そのIDコード付き制御用のデータは他のCANコントローラユニットにおける受信スロットにも格納されるが、前記送信したCANコントローラユニットも、CAN通信バスから前記送信したIDコード付き制御用のデータを受信して、受信スロットに格納するようになっている。
【0013】さらに、CAN通信プロトコルでは、送信エラーまたは受信エラーの回数のカウントにより、CAN通信が正常状態(エラーアクティブステート)であるか、CAN通信が困難な状態(エラーパッシブステート)であるか、さらには、通信不能状態(エラーオフステート)であるかを判別し、エラー回数の上下変動に応じて、エラーアクティブステートとエラーパッシブステートとの間は相互に遷移することができるが、エラーオフステートになれば、何らかの回復処置(リセット)を実行しないとCAN通信が回復しないようになっていた。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、エラーパッシブステートであると、エラーオフステートになる危険性が高く、且つ通信状態も不安定であるから、出力系外部機器に対する制御データの送信も不安定で、当該出力系外部機器が誤作動し、暴走するおそれがあった。
【0015】本発明は、このような、従来のCAN通信上の問題点を解決すべくなされたものであり、CAN通信が不安定となった場合に、出力系外部機器が接続されたCANコントローラユニットの誤作動を無くすることができるようにした農作業機における制御装置を提供することを目的とするものである。
【0016】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため、請求項1に記載の発明の農作業機における制御装置は、農作業機における走行部、作業部、操作部等に設けたセンサ、設定器等の入力系外部機器と、アクチュエータ等の出力系外部機器と、前記各入力系外部機器又は出力系外部機器のいずれか一方もしくは双方との制御信号を授受して制御する3つ以上のCANコントローラユニットと、各CANコントローラユニット間を接続するCAN通信バスとを備えて、CANコントローラユニットの相互に制御データを転送して制御を実行するようにした農作業機における制御装置であって、各CANコントローラユニットには、CAN通信による送信エラーカウンタと、受信エラーカウンタとを備え、送信エラーカウンタ値または受信エラーカウンタ値が所定値より大きくなって、エラーパッシブステートになったときには、CANコントローラユニットは受信した制御データによる出力系外部機器の作動を禁止し、且つCAN通信による出力系外部機器に対する出力用の制御データの送信も禁止するように制御するものである。
【0017】そして、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の農作業機における制御装置において、受信側のCANコントローラユニットは、自己完結型制御データによる出力制御については、その制御を続行するものである。
【0018】また、請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の農作業機における制御装置において、前記送信エラーカウンタ値または受信エラーカウンタ値が所定値のうちの第1値より小さいエラーアクティブステートと、前記第1値より大きく且つ第2値より小さいエラーパッシブステートとの間は、前記第1値の大小に応じてステートを遷移するように構成し、エラーアクティブステートに遷移したときには、CAN受信による出力系外部機器に対する制御データの出力の禁止を解除するように制御するものである。
【0019】他方、請求項4に記載の発明の農作業機における制御装置は、農作業機における走行部、作業部、操作部等に設けたセンサ、設定器等の入力系外部機器と、アクチュエータ等の出力系外部機器と、前記各入力系外部機器又は出力系外部機器のいずれか一方もしくは双方との制御信号を授受して制御する3つ以上のCANコントローラユニットと、各CANコントローラユニット間を接続するCAN通信バスとを備えて、CANコントローラユニットの相互に制御データを転送して制御を実行するようにした農作業機における制御装置であって、各CANコントローラユニットには、CAN通信による送信エラーカウンタと、受信エラーカウンタとを備え、制御プログラムソフトが搭載されたCANコントローラユニットを主コントローラユニットと位置ずけし、前記制御プログラムソフトにより作動する出力系外部機器が接続されたCANコントローラユニットを従属コントローラユニットと見なし、各CANコントローラユニットには、CAN通信による送信エラーカウンタと、受信エラーカウンタとを備える一方、送信エラーカウンタ値または受信エラーカウンタ値が所定値より大きくなって、主コントローラユニットがエラーパッシブステートになったときには、当該主コントローラユニットから従属コントローラユニットに対して、前記制御プログラムソフトにより作動する出力系外部機器の制御信号の出力を禁止するための制御データを送信するように制御するものである。
【0020】
【発明の実施の形態】次に本発明を具体化した実施形態について説明すると、図1はコンバインの左側面図、図2はコンバインの平面図、図3はコンバインの右側面図、図4は正面図、図5は動力伝動系のスケルトン図、図9は制御装置の全体機能ブロック図、図10はCANコントローラユニット内部の機能ブロック図である。
【0021】本発明のコンバインにおける走行機体1は、左右一対の走行クローラ2a式の走行部2に対して後述する走行部昇降駆動手段を介して昇降可能に構成されている。走行機体1の進行方向に向かって左側には作業部としての脱穀装置3を搭載し、走行機体1の前部に配置された作業部としての刈取前処理装置4は、昇降フレーム14を介して走行機体1に対して上下昇降回動可能に支持され、該昇降フレーム14と走行機体1との間に装着された刈取部昇降アクチュエータとしての単動式の刈取部昇降油圧シリンダ9により昇降動可能に構成されている。
【0022】刈取前処理装置4の下部フレームの下部側にはバリカン式の刈刃装置5を、前方には6条分の穀稈引起装置6が配置され、穀稈引起装置6と脱穀装置におけるフイードチェン7前端との間には穀稈搬送装置8が配置され、穀稈引起装置6の下部前方には分草体10が突出している。走行機体1の右側前部に運転室11が配置され、その後側に穀粒タンク12が配置されている。
【0023】運転室11の後方下部等に備えたエンジン15からの動力の一部は、図5に示すように、オーガクラッチ16を介して穀粒タンク12内の底スクリューコンベヤ17、排出オーガ20内の縦スクリューコンベヤ18a,18bに伝達される一方、動力分岐ミッション19を介して走行部2の油圧ポンプ・油圧モータ式(HTS式)走行駆動部24の脱穀部3の扱胴3aや唐箕21、一番受樋のスクリューコンベヤ22a、二番受樋のスクリューコンベヤ22bやフイードチェン7、穀粒タンク12への揚穀スクリューコンベヤ23等を回転駆動させる。刈取前処理装置4への動力伝達は、走行速度を同期するときには前記走行駆動部24からの出力軸26を介して実行され、同期しないときには前記動力分岐ミッション19からの分岐動力とクラッチ25とにより駆動される。
【0024】図3及び図8に示すように、穀粒タンク12の下部に設けたスクリューコンベヤから走行機体1の後端に配置した縦パイプ28bと、その上端に上下回動可能に連設された横パイプ28aとからなり、各パイプ内にスクリューコンベヤを内装した排出オーガ28を介して、トラックの荷台等の部位に穀粒タンク12内に蓄積された穀粒を排出させることができる。なお、縦パイプ28bは、駆動モータ64bとギヤ機構57とにより縦軸回りに旋回可能であり、横パイプ28aは縦パイプ28bとの間に装架された排出オーガ用油圧シリンダ64aと、リンク機構58とにより傾斜角度を変更可能に構成されている。
【0025】そして、駆動モータ64bに設けたロータリエンコーダ等の角度センサ85にて縦パイプ28bの水平旋回角度、ひいては横パイプ28aの旋回位置を検出することができ、リンク機構58もしくは油圧シリンダ64aの箇所に設けたポテンショメータ等の角度センサ86にて横パイプ28aの俯仰角度、ひいては横パイプ28aの先端の排出部の高さ位置を検出することができる。なお、排出オーガ28を使用しないときには、穀粒タンク12の上面等に設けたレスト台87等に横パイプ28aの中途部が載置される。さらにこのレスト台87には前記横パイプ28aが載置されたか否かを検知するための接触センサ等のレスト検出器88が設けられている。
【0026】図6(左側面側から見た走行部)に示すように、走行部2は左右一対のトラックフレーム50,50の前後端に各々配置した駆動輪51と従動輪52とトラックフレーム50の下面中途部に配置された複数の転動輪53との外周に巻回された走行クローラ2aからなり、左右トラックフレーム50,50と走行機体1とは、左右の昇降制御用油圧シリンダ54a,54bと前後位置の側面視L字状のレバー55a,55bとこの前後レバー55a,55bを同時に作動させるように連結する連結杆56,56等とからなる走行部昇降駆動手段を介して連結され、左右の昇降制御用油圧シリンダ54a,54bは互いに独立的に作動させることにより、左右の走行部2,2を走行機体1の左右に対して独立的に昇降させる。
【0027】従って、左右両側の昇降制御用油圧シリンダ54a,54bのピストンロッドを同時に突出させると、走行機体1は左右両側の走行部2,2に対して上方に離れて(上昇し)、走行機体1の走行部2,2に対する相対高さ(車高)は高くなる。逆に、前記ピストンロッドを同時に後退させると、走行機体1は左右両側の走行部2,2に対して下方に離れて(下降し)、走行機体1の走行部に対する相対高さ(車高)は低くなる。
【0028】そして、左側の油圧シリンダ54aのピストンロッドを突出させる、または右側の油圧シリンダ54bのピストンロッドを後退させると(もしくはこの両方の動作を同時に実行しても)、右側の走行部2に対する走行機体1の車高は低くなり(左側の走行部2に対する走行機体1の車高は高くなり)、走行機体1は右下がりに傾斜する。逆に、右側の油圧シリンダ54bのピストンロッドを突出させる、または左側の油圧シリンダ54aのピストンロッドを後退させる、(もしくはこの両方の動作を同時に実行しても)、左側の走行部2に対する走行機体1の車高は低くなり(右側の走行部2に対する走行機体1の車高は高くなり)、走行機体1は左下がりに傾斜するのである。
【0029】図6に示すように、左右の昇降制御用油圧シリンダ54a,54bのピストンロッドの突出量を検出することにより、走行機体1の左右各走行部2,2に対する相対高さ(車高)を検出するためのロータリエンコーダ式等の車高検出センサ72a,72bが、前記連結杆56に連設した連結ロッド72やリンク機構73を介して連動するように構成されている。
【0030】また、走行機体1の左右の傾斜程度を検出するための傾斜検出センサ74は、振り子式(重力式)等にて構成され、走行機体1の任意の位置例えば運転室11内等に配置されている。なお、刈取前処理装置4と圃場面との対地高さを検出して刈高さを検出するための刈高さセンサとしての超音波センサ20a,20bは、図4に示すように、刈取前処理装置4の左右両側端の前記穀稈引き起こし装置6の裏面側に設けたブラケット(図示せず)に配置し、各超音波センサ20a,20bにおける発信器の発信部(ホーン部)と受信器の受信部とを圃場面に向けるように配置する。各超音波センサ20a,20bの設置高さと刈刃5の設置高さとが異なる場合には、超音波センサ20a,20bの検出値から所定の換算により、刈高さ検出値を求めるようにしている。
【0031】また、走行機体1と刈取前処理装置4との相対高さを検出するための昇降ポジションセンサ75は、前記昇降フレーム14の回動角度を検出することより求めることができるように構成されている。
【0032】前記運転室11内の操縦部パネル(図示せず)には、自動モードと手動モードとに切り換えるための切替えスイッチ76と、自動モード及び手動モードの如何に拘らず、車高制御の場合の走行機体1の高さ(車高)を変更調節操作できる手動可変操作部としての操作レバー77と、走行機体1の左右傾斜角度を設定するための傾斜設定器78とが配置されている。
【0033】図7は、前記昇降用油圧シリンダ54a,54b等のための油圧回路を示し、油圧ポンプ60からの吐出する圧油を分流する分流弁63を介して分岐し、その一方の吐出路から前記刈取前処理装置4を昇降させる刈取部昇降アクチュエータとしての油圧シリンダ9と、右側(運転室11側)の昇降制御用油圧シリンダ54bとに対する第1油圧回路61へ送る。分流弁63の他方の吐出路からは、排出オーガ28の横パイプ28aの縦パイプ28bに対する傾斜角度を変更するための排出オーガ昇降用油圧シリンダ64aと、左側の昇降制御用油圧シリンダ54aとに対する第2油圧回路62へ送るように構成され、それぞれの油圧シリンダ9、64a、54a、54bに対する電磁制御弁65、66a、67、68や逆止弁、リリーフ弁等が接続されている。
【0034】図9は、走行機体1の走行速度、姿勢及び車高、排出オーガ28の排出位置等を制御するための制御装置70の機能ブロック図を示し、該制御装置70は、マイクロコンピュータ等の電子式制御装置であり、複数個(実施形態では5つ)のCANコントローラユニットC1,C2,C3,C4,C5と、これらの間を接続するCAN通信バス82とからなる。CAN通信バス82は、 2本の回線を有している。そして、CANバスレベルの一方をドミナント(dominant) といい、他方をリセッシブ(recessive) という。CANの規約においては、リセッシブバスレベルはロジカル1、ドミナントバスレベルはロジカル0として表される(図11参照)。そして、ドミナントはリセッシブを上書きすることができる。
【0035】図10に示すように、各CANコントローラユニットC1,C2,C3,C4,C5は、各種演算処理や制御を実行するための中央処理装置(CPU)100、制御プログラムを記憶させた読み出し専用メモリ(ROM)101、各種の検出値、データ等を一時的に記憶させる随時読み書き可能メモリ(RAM)102、システムクロック発生器103、クロック同期シリアルインターフェイス104、タイムスタンプ機能のために使用するタイマ105、送受信のタイミングを計る監視タイマ106、UART(汎用非同期送受信回路)107、DMAC(ダイレクト メモリ アクセス コントローラ)108、A/D(アナログ/デジタル)変換器109、D/A(デジタル/アナログ)変換器110、 CRC(巡回符号冗長検査)演算器111、CANコントローラ部112、CANドライバ113等を備える。ここで、CANコントローラ部112は前記CAN通信プロトコルによる通信制御を司る部分であり、送信完了フラッグ、受信完了フラッグ、送信フラッグ、受信フラッグは、CANコントローラ部112内のステータスレジスタ内に設けられている。
【0036】CANドライバ113はCAN通信バス82を介してIDコード付き制御データ114を他のCANコントローラユニットと送受信するためのものであり、CANコントローラユニットに外付けしたものであっても良い。
【0037】前記RAM102には、受信スロット102aと送信スロット102bとを備えている。受信スロット102aは複数個備える。実施形態では5つの受信スロット102aを有する。
【0038】送信スロット102bには、自己のCANコントローラユニットのIDコードを持っており、後述するIDコード付き制御データ114を所定のタイミングで送信するとき、予めこれを書き込んで格納しておく。したがって、送信スロット102bにおける制御データには、当該送信するCANコントローラユニットのIDコードが付されていることになる。他方、各受信スロット102aには、CAN通信バス82を介して返送されたIDコード付き制御データ114を格納するものである。
【0039】図12はIDコード付き制御データ114のデータフレームの構造を示す。最初の1ビット長のデータフレームの箇所(SOF)120は、同期をとるための最初のビットであり、信号の立下がり(リセッシブからドミナントへの変化、ハイレベル「1」からローレベル「0」への変化)により実行される。
【0040】続く11ビット長の部分は、IDコード部分121であり、制御データを送信するCANコントローラユニット毎に予めIDコードが定められている。次の1ビット長の部分は、RTR122(IDコード部分121の最後を示すビットである。その次の6ビット長の部分は、制御部123である。
【0041】これに続いて、0ビット〜64ビット長の部分は0〜8バイトの制御データ部124であり、前述のコンバインの制御を実行するための入力系外部機器の制御信号もしくは出力系外部機器の制御信号を格納する部分である。
【0042】その次の15ビット長の部分は、CRC(巡回冗長検査)配置125であり、送信データの誤り検査のために用いる。続く1ビット長の部分は、CRC(巡回冗長検査)移送126のためのビットである。続いて、ACK(アクノレッジ、応答信号)スロット127、続いて応答信号の移送(delate) 部分128は両者とも1ビットである。最後にフレームの最後を示すためのEOF129となる。
【0043】次のIDコード付き制御データ114のデータフレームと間には、ITM130及びバスアイドル131からなるフレーム間スペースがある。
【0044】次に、上記CANコントローラユニットC1,C2,C3,C4,C5の間での制御データの送受信の形態と通信エラーがあった場合の処理制御について説明する。
【0045】例えば、運転室11内の操作部(操作コラム)に設けるCANコントローラユニットC1には、操作に関する入力系外部機器、例えば、運転室11内に配置した操作部90における指令スイッチ(図示せず)から、排出オーガを操作指令できるように接続され、また、水平旋回角度は前記操作部90に設けたポテンショメータ型の旋回角度設定器95により設定できる。前記切替えスイッチ76及び操作レバー77の位置センサ、走行部の左右傾斜程度を設定するための傾斜設定器78、走行機体に対する刈取前処理装置4の高さを変更して刈高さを設定するための刈高さ設定器80、電源スイッチ96もCANコントローラユニットC1に接続されている(図9参照)。
【0046】各CANコントローラユニットC1,C2,C3,C4,C5は、CAN通信バス82を介して制御データを転送しあい、後述するセンサや設定器等の入力系外部機器からの信号に応じて、各機構部のCANコントローラユニットC2,C3,C4,C5は、所定の出力信号を出して油圧シリンダ、駆動モータ、アクチュエータ等の出力系外部機器を駆動させるように制御する。
【0047】図1及び図9に示すように、各機構部のCANコントローラユニットC2,C3,C4,C5は、コンバインにおける走行部系、作業部における刈取前処理装置、排出オーガ部、エンジン部等のように、コンバインの組立ての各機構部毎に密接に関連する操作・制御部分をグループ化したものであり、目安として、関連するアクチュエータ等出力系外部機器の配置箇所にに近い場所に配置する。1つのCANコントローラユニットには、1つのグループとして密接に関連する操作制御系の入力系外部機器と出力系外部機器とを接続している。
【0048】本実施形態では、例えば、走行機体1であって走行部近傍に配置した走行部に関するCANコントローラユニットC2は、走行クローラ2a,2bの走行機体1に対する相対高さや傾斜等を制御する走行部の操作制御系グループであって、CANコントローラユニットC2に接続される出力系外部機器として、左右の昇降制御用油圧シリンダ54a,54b及び各々に対応する電磁制御弁67,68がある。他方、前記CANコントローラユニットC2に接続される入力系外部機器としては、前記左右の昇降制御用油圧シリンダ54a,54bのピストンロッドの突出量に対応した走行機体1の左右の走行部2,2に対する相対高さ(車高)を検出するためのロータリエンコーダ式等の車高検出センサ72a,72b、傾斜センサ74がある。
【0049】刈取前処理装置4の箇所に配置したCANコントローラユニットC3は、刈取前処理装置の制御系のグループであって、これに接続される入力系外部機器としては、刈取部昇降ポジションセンサ75及び刈高さセンサとしての刈取前処理装置4の左右両端に設けた超音波センサ20a,20b等があり、出力系外部機器としては、刈取部油圧シリンダ9とその駆動のための電磁制御弁65がある。
【0050】脱穀部に配置したCANコントローラユニットC4は、脱穀部及び排出オーガの機構を操作制御するグループであって、これに接続される排出オーガの操作のための入力系外部機器としては、横オーガ筒28aの先端の排出部の横に設けた先端操作部91における指令スイッチ(図示せず)、排出オーガ28の水平旋回角度を検知するロータリエンコーダ等の角度センサ85、排出オーガ28の横オーガ筒28aの俯仰の昇降角度を検知する角度センサ86、レスト台検出器87があり、出力系外部機器としては、横パイプ28aの縦パイプ28bに対する傾斜角度を変更するための排出オーガ昇降用油圧シリンダ64aとその電磁制御弁66a、及び、縦パイプ28ba 左右に旋回させるための排出オーガ旋回用駆動モータ64bとその駆動回路66bがある。なお、脱穀作業部に関する入力系外部機器や出力系外部機器については説明を省略する。
【0051】エンジン15の配置位置に近い運転室11内などに配置されるCANコントローラユニットC5は、エンジン16の出力操作制御系グループであって、これに接続される入力系外部機器としては、車速センサ94や、電子ガバナー92のフイードバック制御のためのプランジャ位置を検知するラック位置センサ93があり、出力系外部機器としては、エンジン16への燃料供給量制御のためのアクチュエータとしての電子ガバナー92の燃料噴射ポンプにおける燃料噴射量を調節するプランジャ駆動手段がある。
【0052】なお、CAN通信バス82では、送受信速度は、最高1Mbpsである。
【0053】次に、通信エラーの有無の判断並びに、エラーがあった場合の処理について図13のフローチャートを参照しながら説明すると、制御スタートに続いて、例えば、CANコントローラユニットC1から操作系のための制御データを送信するときには、当該CANコントローラユニットC1のIDコード例えば#1(前記図12に示すIDコード付き制御データ114のデータフレームにおけるIDコード部分121のデータ)を予め送信スロット102bに書き込んで格納し(S1)、次いで、例えば、前記操作部90に設けたポテンショメータ型の旋回角度設定器95により設定した水平旋回角度のデータ(制御データ部124)を、前記送信スロット102bにおけるバッファメモリ部分に書き込む(S2)。次に、これらをCAN通信バス82を介してCAN通信プロトコルに従って通信する(S3)と、例えば前記#1を付した制御データ114は、他のCANコントローラユニットC2,C3,C4,C5に備えられた受信スロット102aに書き込まれる。各CANコントローラユニットでは受信フラッグを監視している(S4)。
【0054】次いで、送信に関するタイマにより、規定時間経過したか否かを判別する(S5)。この場合、各CANコントローラユニットは自己及び他のCANコントローラユニットC1,C2,C3,C4,C5の送信タイミングを予め記憶させておくものである。
【0055】そして、規定時間経過すれば(S5:yes )、リターン受信が完了したか否かを判別する(S6)。通常は、所定タイミングにて前記送信データはリターンされて、送信したCANコントローラユニット、ここではC1における受信スロット102aにも受信される。
【0056】このリターン受信が完了すれば(S6:yes )、当該書込みし、送信したCANコントローラユニットC1で、前記送信スロット102bと受信スロット102aとの書き込まれたデータを比較する(S7)。
【0057】前記送信スロット102bと受信スロット102aとにおける、IDコード部分121のデータ及び制御データ部124のデータが全く同じであれば(S7:yes )、受信エラーが無かったものと判断するのである。この場合には、排出オーガ操作制御系であるCANコントローラユニットC4での受信スロットに格納された制御データ(ここでは、設定器95により設定した水平旋回角度のデータ)に応じて排出オーガ旋回用駆動モータ64bを駆動し、角度センサ85にてその水平旋回角度が所定値になれば停止するのである。
【0058】逆に、前記送信スロット102bと受信スロット102aとにおける、IDコード部分121のデータまたは制御データ部124のデータのいずれか一方が異なる場合(S7:no)、受信エラーがあったと判断する。この通信エラーの態様には、例えば、CAN通信バス82で外部からの外乱の信号を拾うとか、CAN通信バス82とCANコントローラユニットとの接続不良により通信信号が変化することにより、IDコード部分121のデータまたは制御データ部124のデータが変化する(化ける)場合がある。その他、接続すべきCANコントローラユニットはそれぞれ別種であるべきなのに、工場の出荷時もしくは修理時に、同種のCANコントローラユニットが2つ以上接続してしまった場合には、それぞれのCANコントローラユニット固有のタイミングで送信される各々別の値である制御データ部124に対して、それに付随するIDコード部分121のデータが同じになってしまうから、この場合にも受信エラーの一種と解釈するのである。
【0059】なお、前記規定時間内に他のCANコントローラユニットからの送信があったか否か、換言すれば、通信が途絶えたか否かを判断するためには、送信したCANコントローラユニットから制御データを送信するごとに、送信した時刻を送る。他方、受信側のCANコントローラユニットでは、前記先に送信されてきた時刻とその次に送信されてきた時刻とを記憶して、その両者の時刻の差が規定時間内の誤差であれば、送信が正常であったとする(S5:yes ,and S6:yes )。前記規定時間内にリターン受信が完了しないときには(S6:no)、送信エラーがあったとする。
【0060】この他、送信する制御データにタイムスタンプのデータを付加しておき、そのタイムスタンプが変化しているか否か受信側のCANコントローラユニットで判断して、送信が実行されているか否かを判断するようにしても良い。
【0061】そして、受信エラーがあったと判断された場合(S7:no)、及び前記リターン受信が完了しなかった(送信エラーがあったとする)場合(S6:no)には、その判断一回毎にCANコントローラ部112に備えたステータスレジスタ部(受信エラーカウンタ)に受信エラーカウンタ値を1だけインクリーズ(加算)する(S8)。
【0062】このエラーカウンタ値の大小に応じて、各CANコントローラ部112は、例えば、単位時間当たりの送信エラーカウンタの値と受信エラーカウンタの値により、3つのエラーステート(エラー状態)を判別する(S9)。例えば、送信エラーカウンタ値が127より少ないまたは受信エラーカウンタ値が127より少ない場合にはエラーアクティブ状態(正常状態)と判断する。送信エラーカウンタ値が127より多いまたは受信エラーカウンタ値が127より多い場合にはエラーパッシブ状態(中間状態)と判断する。そして、前記各カウンタ値が前記値(127)を越えるまたは下がることより、エラーアクティブ状態とエラーパッシブ状態とに遷移することができる。これらの状態では、CAN通信は実行される。さらに、送信エラーカウンタ値が255より大きくなると、エラーバスオフステートとなり、CAN通信不能となる。通常、エラーバスオフステートになると、リセットしないとCAN通信は再開することができない。
【0063】前記ステップS9で、エラーアクティブ状態(正常状態)と判断されたときには、通常のCAN通信により制御データを転送して他のCANコントローラユニットは操作制御を実行する(S10)。
【0064】他方、前記ステップS9で、エラーパッシブ状態(中間状態)もしくはエラーバスオフステート(CAN通信不能状態)と判断されたときには、一方のCANコントローラユニットでの入力系外部機器からの入力信号で、他方のCANコントローラユニットの出力系外部機器に制御データを出して、当該出力系外部機器を操作制御する場合に、エラーパッシブ状態(中間状態)もしくはエラーバスオフステート(CAN通信不能状態)となったCANコントローラユニットは、他方のCANコントローラユニットがその出力系外部機器に出力するのを禁止するのである。また、エラーパッシブ状態もしくはエラーバスオフステートとなったCANコントローラユニットは、自己の出力系外部機器に対する他方のCANコントローラユニットからの入力信号も受信しない(受信禁止)制御を行なう。
【0065】例えば、CANコントローラユニットC1がエラーパッシブ状態となったとき、当該CANコントローラユニットC1に接続している入力系外部機器としてのオーガ操作部90からの入力信号があっても、CANコントローラユニットC4における出力系外部機器としての駆動モータ64bを作動させないような出力信号(作動禁止信号)を、駆動回路66bに出させるべく、CANコントローラユニットC1からCANコントローラユニットC4に送信する。もしくは該CANコントローラユニットC1は、オーガ操作部90に旋回させるべき入力信号があっても、その出力を禁止する(旋回させるための指令信号の出力を禁止する)のである。しかし、このエラーパッシブ状態であっても、CANコントローラユニットC4には、入力系外部機器としての排出オーガ28の水平旋回角度を検知するロータリエンコーダ等の角度センサ85、排出オーガ28の横オーガ筒28aの俯仰の昇降角度を検知する角度センサ86、レスト台検出器87が接続され、出力系外部機器としては、横パイプ28aの縦パイプ28bに対する傾斜角度を変更するための排出オーガ昇降用油圧シリンダ64aとその電磁制御弁66a、及び、縦パイプ28bを左右に旋回させるための排出オーガ旋回用駆動モータ64bとその駆動回路66bが接続されているので、たとえばレスト台方向への移動中に、CANコントローラユニットC4自体がエラーパッシブ状態になっても、オーガの旋回や昇降のための制御データをCAN通信によって他のCANコントローラユニットとの間で送受信する必要がなく、CANコントローラユニットC4自体の内部完結形制御ができるから、横パイプ28aがレスト台87に載って停止するまでの移動制御を実行(継続)するのである。これにより、通信状態が不安定なエラーパッシブ状態での出力系外部機器の作動をなくして誤作動が発生したり、暴走するのを確実に防止することができるのである。
【0066】なお、エラーパッシブ状態からエラーアクティブステートに遷移したときには、自動的に前記出力禁止及び入力禁止を解除する。
【0067】第2実施形態としては、図14に示すように、1つのCANコントローラユニット内に1つ乃至は複数の制御プログラムソフトを搭載し、その制御プログラムにより他のCANコントローラユニットに接続している出力系外部機器を作動させる制御を実行している場合に、前記制御プログラムソフトが搭載されているCANコントローラユニットを主コントローラユニットと位置づける(見なす)。そして、前記制御プログラムソフトにより作動する出力系外部機器が接続されたCANコントローラユニットを従属コントローラユニットと位置づける(見なす)。そして、送信エラーカウンタ値または受信エラーカウンタ値が所定値より大きくなって、主コントローラユニットがエラーパッシブステートになったときには、当該主コントローラユニットから従属コントローラユニットに対して、前記制御プログラムソフトにより作動する出力系外部機器の制御信号の出力を禁止するための制御データを送信するように制御するのである。
【0068】その一例としてCANコントローラユニットC1には、脱穀部・排出オーガ部の操作制御に関する制御プログラムソフトA4と、走行部の昇降操作制御に関する制御プログラムソフトA2と、刈取前処理装置4に対する刈高さ制御に関する制御プログラムソフトA3等がROM(読み出し専用メモリ)101に格納されている。他方、CANコントローラユニットC3には、走行部の昇降制御に関する制御プログラムソフトA2′がROM(読み出し専用メモリ)101に格納されている。さらに、CANコントローラユニットC5には、自己の制御であるエンジンの出力制御に関する制御プログラムソフトA5がROM(読み出し専用メモリ)101に格納されているものとする。
【0069】今、CANコントローラユニットC1がエラーパッシブステートになったときには、制御プログラムソフトA4を持つので、CANコントローラユニットC4(従属コントローラユニット)に対してCANコントローラユニットC1は主コントローラユニットとなり、CANコントローラユニットC1はCANコントローラユニットC4(従属コントローラユニット)に対して、排出オーガ部の操作制御に関する制御出力を禁止するための指令信号を送信する。これにより、バスオフステートになる前に、CANコントローラユニットC4よる排出オーガ部の作動が停止(禁止)されて、誤作動するのを確実に防止できる。
【0070】他方、制御プログラムソフトA2及びA2′に関しては、CANコントローラユニットC2は従属コントローラユニットであり、CANコントローラユニットC1及びC3が主コントローラユニットとなる。この場合、CANコントローラユニットC1がエラーパッシブステートになっても、他方の主コントローラユニットとしてのCANコントローラユニットC3は主コントローラユニットとして働くことになり、例えば、対地センサである刈高さセンサ20a,20bにて刈取前処理装置4の下端が地面に接触しそうになった場合、走行部昇降用の油圧シリンダ54a,54bを作動させて、走行機体1を高い位置まで上昇させる制御を実行することができる。これにより、一方の主コントローラユニットとしてのCANコントローラユニットC1のCAN通信が不能となっても、他方の主コントローラユニットとしてのCANコントローラユニットC3と従属コントローラユニットとしてのCANコントローラユニットC2とのCAN通信が健全である限り、出力系外部機器の誤作動や暴走を防止できるのである。
【0071】このように構成すれば、直ちにコントローラシステム全体のダウンにならず、特に出力系外部機器の暴走を確実に防止することができるのである。
【0072】本発明は、コンバインばかりでなく耕作用のトラクタや田植機等の走行農作業機についても適用できるものであることは言うまでもない。
【0073】
【発明の効果】以上に説明したように、請求項1に記載の発明の農作業機における制御装置は、農作業機における走行部、作業部、操作部等に設けたセンサ、設定器等の入力系外部機器と、アクチュエータ等の出力系外部機器と、前記各入力系外部機器又は出力系外部機器のいずれか一方もしくは双方との制御信号を授受して制御する3つ以上のCANコントローラユニットと、各CANコントローラユニット間を接続するCAN通信バスとを備えて、CANコントローラユニットの相互に制御データを転送して制御を実行するようにした農作業機における制御装置であって、各CANコントローラユニットには、CAN通信による送信エラーカウンタと、受信エラーカウンタとを備え、送信エラーカウンタ値または受信エラーカウンタ値が所定値より大きくなって、エラーパッシブステートになったときには、CANコントローラユニットは受信した制御データによる出力系外部機器の作動を禁止し、且つCAN通信による出力系外部機器に対する出力用の制御データの送信も禁止するように制御するものである。
【0074】これにより、CAN通信が不安定となったCANコントローラユニットに対する制御データの送受信を停止(禁止)することで、出力系外部機器が誤作動したり、暴走するのを確実に防止できるという効果を奏する。
【0075】そして、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の農作業機における制御装置において、受信側のCANコントローラユニットは、自己完結型制御データによる出力制御(1つのCANコントローラユニットに接続された入力系外部機器の入力信号に応じて当該コントローラユニットに接続された出力系外部機器を出力制御すること)については、その制御を続行するものであるから、その出力系外部機器が誤作動したり、暴走することがない。
【0076】また、請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の農作業機における制御装置において、前記送信エラーカウンタ値または受信エラーカウンタ値が所定値のうちの第1値より小さいエラーアクティブステートと、前記第1値より大きく且つ第2値より小さいエラーパッシブステートとの間は、前記第1値の大小に応じてステートを遷移するように構成し、エラーアクティブステートに遷移したときには、CAN受信による出力系外部機器に対する制御データの出力の禁止を解除するように制御するものである。
【0077】これにより、エラー状態が不安定からエラーのない安定状態に戻ると、出力系外部機器に対する出力制御も自動的に復帰でき、農作業機の自動制御が円滑にできるという効果を奏する。
【0078】他方、請求項4に記載の発明の農作業機における制御装置は、農作業機における走行部、作業部、操作部等に設けたセンサ、設定器等の入力系外部機器と、アクチュエータ等の出力系外部機器と、前記各入力系外部機器又は出力系外部機器のいずれか一方もしくは双方との制御信号を授受して制御する3つ以上のCANコントローラユニットと、各CANコントローラユニット間を接続するCAN通信バスとを備えて、CANコントローラユニットの相互に制御データを転送して制御を実行するようにした農作業機における制御装置であって、各CANコントローラユニットには、CAN通信による送信エラーカウンタと、受信エラーカウンタとを備え、制御プログラムソフトが搭載されたCANコントローラユニットを主コントローラユニットと位置ずけし、前記制御プログラムソフトにより作動する出力系外部機器が接続されたCANコントローラユニットを従属コントローラユニットと見なす。
【0079】このように、入力系外部機器や出力系外部機器を接続していないCANコントローラユニットにその制御を実行するための制御プログラムソフトを搭載することにより、従来のように主従関係のコントローラシステムをも同時に構築することができ、且つ、その主コントローラユニットを複数存在させることができると共に、その主コントローラユニットが他のコントローラユニットから見ると従属するコントローラユニットに見えるようにすることができる。
【0080】従って、多数の部位の多数の入力系外部機器や出力系外部機器を円滑に且つ連係的に制御できる効果を奏する。
【0081】そして、本発明では、各CANコントローラユニットには、CAN通信による送信エラーカウンタと、受信エラーカウンタとを備える一方、送信エラーカウンタ値または受信エラーカウンタ値が所定値より大きくなって、主コントローラユニットがエラーパッシブステートになったときには、当該主コントローラユニットから従属コントローラユニットに対して、前記制御プログラムソフトにより作動する出力系外部機器の制御信号の出力を禁止するための制御データを送信するように制御するものであるから、主コントローラユニットがCAN通信時にエラーパッシブステート(通信不安定状態)になったとき、通信不能となる前に、従属コントローラユニットに対して出力を禁止するように制御信号を送ることができ、特に出力系外部機器の暴走を確実に防止することができるのである。
【0082】また、上述のように、主コントローラユニットを複数存在させることにより、CAN通信不能時にコントローラシステム全体の一斉ダウンを防止することもできるという効果を奏する。
【出願人】 【識別番号】000006851
【氏名又は名称】ヤンマー農機株式会社
【出願日】 平成11年9月10日(1999.9.10)
【代理人】 【識別番号】100079131
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 暁夫 (外2名)
【公開番号】 特開2001−78535(P2001−78535A)
【公開日】 平成13年3月27日(2001.3.27)
【出願番号】 特願平11−257326