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【発明の名称】 乗用草刈機のモア構造
【発明者】 【氏名】迫 巽

【氏名】江本 悟

【要約】 【課題】乗用草刈機の刈刃18の弛みを防止する。

【解決手段】刈刃18を回転軸29の端面に結合ねじ45によって結合するとともに、該結合ねじ45が弛んで外れ方向に移動することを阻止する弛み止め46を刈刃18に固定する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 作業者が乗車してモアを操作するようにした乗用草刈機のモア構造であって、互いに逆方向に回転駆動され且つ各々回転方向が正逆に切り換えられる一対の回転軸と、上記各回転軸に該回転軸と同心に設けられた結合ねじによって結合された草刈用の刈刃と、上記刈刃に止めねじによって結合されて上記結合ねじに被さり、該結合ねじが弛んで外れる方向へ移動することを阻止する弛み止めとを備えていることを特徴とする乗用草刈機のモア構造。
【請求項2】 請求項1に記載されている乗用草刈機のモア構造において、上記刈刃は、上記回転軸に嵌合されたボスと、上記結合ねじによって上記回転軸に結合された刈刃本体とからなり、上記弛み止めとボスとが上記刈刃本体を貫通する止めねじによって結合されて上記刈刃本体を挟持していることを特徴とする乗用草刈機のモア構造。
【請求項3】 請求項1又は請求項2に記載されている乗用草刈機のモア構造において、上記弛み止めに上記止めねじを覆うカバーが止め輪によって固定されていることを特徴とする乗用草刈機のモア構造。
【請求項4】 請求項1に記載されている乗用草刈機のモア構造において、上記刈刃は上記回転軸に嵌められたボスを有し、上記ボスに刈り草を払う複数のスクレーパが周方向に間隔をおいて設けられていることを特徴とする乗用草刈機のモア構造。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は乗用草刈機のモア構造に関する。
【0002】
【従来の技術】特開平7−132013号公報には、互いに逆方向に回転する一対の刈刃を備えた乗用草刈機のモアが記載されている。各刈刃は、回転軸の端面に皿バネによって弾性的に保持されており、その保持のための結合ねじは回転軸端面の軸心に設けられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記モアを、例えば一対の刈刃の並設方向と直交する一方向のみに移動させながら草刈を行なうのであれば、各刈刃の回転方向を切り換える必要はない。しかし、モアを一方向に移動させながら草刈を行なった後に、このモアを逆方向に移動させて草刈を行なうときには、各刈刃の回転方向を切り換える必要がある。それは、両刈刃が互いに逆方向に回転しているから、モアが一方向に移動するときには草をモア前方から両刈刃間に巻き込んで刈り草を後方に排出する形になっても、モアが逆方向に移動するときには草をモア進行方向の両外側に払う形になってしまうからである。
【0004】このように刈刃の回転方向を正逆に切り換える場合、刈刃が回転軸に対する結合ねじのねじ締め方向と逆方向に回転するときには、該ねじの弛みは生じないが、ねじ締め方向と同方向に回転するときには該結合ねじが弛み易くなる。これに対して、回転軸に複数の結合ねじを該回転軸の軸心からずらしてねじ込むようにすれば、刈刃の回転に伴うねじの弛みの問題はなくなるが、回転軸を大径にする必要がある。また、刈刃を回転軸に溶接等によって固定すると刈刃の交換をすることができない。
【0005】そこで、本発明は、刈刃を正逆に切り換えて回転させる場合でも、回転軸の軸心に配置した結合ねじの弛みないしは刈刃の弛みを生じないようにするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、このような課題に対して、結合ねじが弛んで外れ方向に移動することを阻止する弛み止めを設けるものである。
【0007】すなわち、本発明は、作業者が乗車してモアを操作するようにした乗用草刈機のモア構造であって、互いに逆方向に回転駆動され且つ各々回転方向が正逆に切り換えられる一対の回転軸と、上記各回転軸に該回転軸と同心に設けられた結合ねじによって結合された草刈用の刈刃と、上記刈刃に止めねじによって結合されて上記結合ねじに被さり、該結合ねじが弛んで外れる方向へ移動することを阻止する弛み止めとを備えていることを特徴とする。
【0008】これによれば、刈刃の正逆いずれかの方向に回転によって結合ねじに弛み方向の回転力が作用しても、該結合ねじの外れ方向への移動が弛み止めによって阻止されているから、該結合ねじの弛みの問題が解消され、刈刃が弛むこと、ひいては脱落することが防止される。
【0009】上記刈刃については、これを、上記回転軸に嵌合されたボスと、上記結合ねじによって上記回転軸に結合された刈刃本体とによって構成し、この刈刃本体を貫通する止めねじによって上記弛み止めとボスとを結合することによってこの弛み止めとボスとで上記刈刃本体を挟持するようにすることができる。
【0010】その場合、上記弛み止めに上記止めねじを覆うカバーを設け、このカバーを止め輪によって弛み止めに固定することが好ましい。これにより、止めねじが振動等によって弛んで脱落することがカバーによって阻止されるため、上記結合ねじの弛みが二重に防止されることになる。
【0011】また、上記刈刃に上記回転軸に嵌めるボスを形成する場合、該ボスに刈り草を払う複数のスクレーパを周方向に間隔をおいて設けることが好ましい。これにより、草が回転軸又はボスに絡まることが防止される。
【0012】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、刈刃を回転軸に該回転軸と同心の結合ねじによって結合する一方、該結合ねじが弛んで外れ方向に移動することを阻止する弛み止めを設けたから、刈刃を正逆いずれの方向に回転させても結合ねじが弛んで外れることが防止され、モアを適宜往復移動させながら草を刈る上で有利になり、しかも、回転軸を大径にする必要がなく、刈刃の交換にも支障を来さない。
【0013】
【発明の実施の形態】図1に示すように乗用草刈機1は、下部走行体2と、下部走行体2に対して旋回する上部旋回体3とを備えている。4は下部走行体2のシャシフレーム、5は前輪、6は後輪である。左右の前輪5,5は互いのナックル同士がタイロッド7によって連結され、一方のナックルとシャシフレーム4とが前輪転舵手段としての油圧シリンダ8で連結されている。後輪6側にも同様のタイロッド9及び油圧シリンダ(図示省略)が設けられている。上部旋回体3には、運転室11と草刈機12とが設けられており、運転室11において当該車両の運転走行と草刈機12の操作とを行なうようになっている。
【0014】草刈機12は、図2にも示すように、上部旋回体3のフレーム14の前端に水平ピンによって連結され油圧シリンダ15によって水平ピンを中心に上下に作動する「く」の字状のブーム16、このブーム16の先端に水平ピンによって連結され油圧シリンダ17によって水平ピンを中心に上下に作動するアーム19、このアーム19の先端に水平ピンによって連結され油圧シリンダ20によって水平ピンを中心に上下に作動するモア支持部材21、並びにモア支持部材21にピンによって左右揺動自在に支持されたモア22とを備えてなる。モア22には草を刈るための一対の回転刈刃18,18が設けられている。
【0015】モア22は、図3(モアの底面図)に示すように、矩形状ハウジング23の四隅にキャスター24を備え、このハウジング23の中央部に刈刃18,18がアーム19側からみて前後に並ぶように設けられている。本例の刈刃18は、後述のボスと細長い矩形板状の刈刃本体25とからなる。刈刃本体25は、その中央が後述の回転軸に結合されており、両方の縁に刃28,28を有する諸刃の刃部が回転支持部の両側に形成されている。
【0016】上記両刈刃18,18の駆動機構及び取付構造は図4に示されている。同図において、26は刈刃18,18を正逆に回転させる駆動源である油圧モータ、27は伝動軸、29,29は刈刃18,18の回転軸であり、これらは互いの軸を平行にして伝動ハウジング31に支持されている。油圧モータ26の出力軸には駆動ギヤ32及び第1駆動プーリ33が結合され、伝動軸27には油圧モータ26の駆動ギヤ32と噛み合う従動ギヤ34及び第2駆動プーリ35が結合されている。回転軸29,29には第1及び第2の従動プーリ36,37が結合されていて、第1駆動プーリ33と第1従動プーリ36とに第1伝動ベルト39が巻き掛けられ、第2駆動プーリ35と第2従動プーリ37とに第2伝動ベルト40が巻き掛けられている。
【0017】回転軸29は、伝動ハウジング31に固定した上下の支持筒41,42にベアリングを介して回転自在に支持されている。刈刃18は、円錐台状のボス43を備え、このボス43が回転軸29の下側支持筒42より下方へ突出した突出部に嵌められている。ボス43の下面には刈刃本体25が嵌まる溝44が形成されている。
【0018】刈刃本体25の中央には嵌合孔が形成され、この嵌合孔を挟むようにその両側にねじ挿通孔が形成されている。この刈刃本体25は、ボス43の溝44に嵌められているとともに、回転軸29の端面中央の小突起に中央嵌合孔が嵌まり、その状態で、回転軸29の端面に結合ねじ45で結合されている。そうして、ボス43と弛み止め46とが、刈刃本体25を上記ねじ挿通孔において貫通する止めねじ47,47によって該刈刃本体25を挟持するように結合されている。結合ねじ45は回転軸29と同心に配置されている。
【0019】弛み止め46は、上記結合ねじ44の頭部に被さる円盤状のものであって、一方の面の中央に該頭部を収容するねじ用凹部49が開口している。ねじ用凹部49は、弛み止め46を刈刃18に取り付けた状態で該凹部49の底面と結合ねじ45の頭部頂面との間に僅かしか隙間を生じないように、若しくはこの底面と頂面とが接触するように形成されている。
【0020】弛み止め46の反対側の面にはねじ用凹部49よりも大径の取付用凹部50が形成されている。この取付用凹部50に上記止めねじ47,47が配置されており、止めねじ47,47はカバー51によって外れないように覆われている。カバー51は、取付用凹部50の開口縁近傍に形成された周回溝に止め輪53を嵌めて保持されている。すなわち、カバー51は、止め輪53によって保持された状態で、止めねじ47の頂面との間に僅かしか隙間を生じないように、若しくは該頂面に接触するように設けられている。
【0021】上記刈刃本体25,25は互いの回転位置が上下にずれており、この位置ずれを得るために、一方の回転軸29は他方の回転軸29よりも伝動ハウジング31の下面から大きく突出している。また、刈刃本体25,25は、互いの回転軌跡が上下に一部重なっている。
【0022】また、上記伝動ハウジング31の下面には回転軸29の下側支持筒42を覆う逆円錐筒状のカバー54が固定されている。そうして、上記ボス43の上面には、4つの三角形板状のスクレーパ55が周方向に等間隔をおいて放射状に立設されており、このスクレーパ55と上記カバー54との間に若干の隙間が設けられている。
【0023】従って、上記乗用草刈機1によれば、上部旋回体3を旋回させて図2に示すように草刈機12を横向きにすることができ、油圧シリンダ15,17,20によってブーム16、アーム19及びモア22の角度を適宜変更することにより、このモア22を所望の位置(高さ、当該車両からの距離)及び草刈姿勢にすることができる。その状態で当該車両を走行させながら、その走行方向に応じて刈刃18,18の回転方向を適宜切り換えて草刈を行なうことができる。
【0024】すなわち、油圧モータ26を作動させると、その回転駆動力がギヤ32,34、プーリ33,35〜37及び伝動ベルト39,40によって回転軸29,29に伝わり、刈刃18,18が逆方向に回転する。この時の回転方向は草をモア前方から両刈刃18,18の間に巻き込んで刈り草を後方に排出する形になるようにする。
【0025】従って、モア22の移動方向を変換する度に刈刃18の回転方向を切り換えることになるが、その回転によって結合ねじ45に弛み力が働いても、該結合ねじ45は弛み止め46によって外れ方向に移動することが阻止される。よって、結合ねじ45が大きく弛んで刈刃18の回転振れを生じたり、ひいては刈刃18が脱落することが避けられる。また、弛み止め46の止めねじ47はカバー51によって外れないように覆われているから、それによって弛み止め46の脱落も阻止される。
【0026】また、刈るべき草や刈られた草がボス43の方へ寄ってきても、それらはスクレーパ55によって払われ、草がボス43やカバー54に草が絡まることが避けられる。
【0027】さらに、モア22は、モア支持部材21に左右揺動自在に支持されているから、地面にモア進行方向に上がり下がりする傾斜があっても、この上がり下がりに応じてモア22が揺動することになり、地面の草を確実に刈ることができる。
【0028】<刈刃本体の他の実施形態>図5及び図6に示す刈刃本体25は、略三角形状のベース板61と、このベース板61の三角形の各頂部下面に水平回動自在に支持された諸刃の刃物62とを備えてなる。ベース板61の上面には三角形の各頂部近傍位置に3つの板状スクレーパ63が放射状に立設されている。各スクレーパ63の頂面はボス43に近い側が高く、外側へいくに従って下降傾斜している。
【0029】従って、本形態の場合、刈刃本体25が回転すると、三角形各頂部の刃物62が遠心力で放射方向に突出した状態になって草を刈っていくことになる。刃物62は、地面の突起等の異物に当たると、刈刃本体25の回転方向後側に回動するため、該異物との衝突による破損が避けられる。また、ベース板61の上面のスクレーパ63は草を払い除け、草がボス43側に絡まることを防止する。
【0030】<刈刃本体のさらに他の実施形態>図7及び図8に示す刈刃本体25は、スクレーパ63が三角山形に形成されているものであり、他は図5及び図6に示す実施形態と同じである。このスクレーパ63はアングル鋼板をベース板61に溶接して形成されている。
【出願人】 【識別番号】599132041
【氏名又は名称】株式会社ニッポー
【出願日】 平成11年9月17日(1999.9.17)
【代理人】 【識別番号】100077931
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 弘 (外4名)
【公開番号】 特開2001−78531(P2001−78531A)
【公開日】 平成13年3月27日(2001.3.27)
【出願番号】 特願平11−263969