トップ :: A 生活必需品 :: A01 農業;林業;畜産;狩猟;捕獲;漁業




【発明の名称】 収穫機
【発明者】 【氏名】宝蔵 伸行

【氏名】北村 祐二

【氏名】森田 繁

【氏名】井村 弘

【要約】 【課題】葉部を挟持して後上方に搬送する引抜き搬送装置の前方に、大根の葉部を引き起こすための引起しベルトを左右一対備えた大根の収穫機において、葉部を確実に引き起こすことができるよう考慮する。

【解決手段】作物22の左右両側に位置するように配置されると共に、前部側が上方へと移行するように循環回走されることで圃場の作物22の葉部22Bを引っ掛けて引き起こす引起しベルト48を備えた収穫機において、左右の引起しベルト48を、それらの回転面が前方に向かうにしたがって左右方向内方に移行する傾斜状となるように配置する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 作物の左右両側に位置するように配置されると共に、前部側が上方へと移行するように循環回走されることで圃場の作物の葉部を引っ掛けて引き起こす引起しベルトを備えた収穫機において、左右の引起しベルトを、それらの回転面が前方に向かうにしたがって左右方向内方に移行する傾斜状となるように配置したことを特徴とする収穫機。
【請求項2】 作物の葉部を挟持して作物を後上方へ搬送することで作物を圃場から引き抜く引抜搬送装置を備え、この引抜搬送装置の前方側に、作物の左右両側に位置するように配置されると共に、前部側が上方へと移動するように循環回走されることで圃場の作物の葉部を引っ掛けて引き起こす引起しベルトを備えた収穫機において、左右の引起しベルトを、それらの回転面が前方に向かうにしたがって左右方向内方に移行する傾斜状となるように配置し、これら左右の引起しベルト間に、引抜搬送装置の始端側を後方側から挿入状としたことを特徴とする収穫機。
【請求項3】 引起しベルトにより引き起こされた葉部が垂れ下がるのを防止する垂れ下がり防止具を、引起しベルトから引抜搬送装置に亘って設けたことを特徴とする請求項2に記載の収穫機。
【請求項4】 引起しベルトは、上下のプーリに掛け渡されて循環回走されるベルト本体と、このベルト本体の外周面から突出状に設けられた屈曲可能なタインとから構成されていて、ベルト本体を循環回走させることによりタインで作物の葉部をすくい上げるように構成されており、この引起しベルトの下部側においてタインが地面側に接触しないように該タインを屈曲させる接地阻止部材を設けたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の収穫機。
【請求項5】 圃場の作物の葉部を引き起こすための引起しベルトを備え、この引起しベルトは、上下のプーリに掛け渡されて循環回走されるベルト本体と、このベルト本体の外周面から突出状に設けられた屈曲可能なタインとから構成されており、ベルト本体を循環回走させることによりタインで作物の葉部をすくい上げるようにした収穫機において、引起しベルトの下部側においてタインが地面側に接触しないように該タインを屈曲させる接地阻止部材を設けたことを特徴とする収穫機。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、大根、人参、玉葱、じゃがいも等の根菜類を収穫する収穫機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、根菜類の収穫機として、大根の葉部を挟持して後上方に搬送するベルトコンベヤ式の引抜搬送装置を備えていて、大根を後上方に搬送することで、前進しながら圃場から大根を引き抜くようにしたものが、特開平9−262014号公報にて開示されている。この収穫機にあっては、引抜搬送装置の前方に、大根の葉部を引き起こす引起し装置が配置されている。この引起し装置は、鉛直面内で循環回走されると共にその回転面(回転軸心に直交する面)が左右方向に対向するように配置された左右一対の引起しベルトを備えており、左右各引起しベルトは、左右方向の軸心回りに回転自在な上下一対のプーリに亘って掛け渡されたベルト本体と、ベルト本体の外周面から突出されると共に周方向に所定間隔をおいて設けられた多数のタインとから構成されており、引起しベルトの前部側が上方へと移動するように循環回走されることで、タインによって、倒れた葉部を引き起こす(すくい上げる)ようにしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】前記従来のものにあっては、左右の引起しベルトのタインの左右方向の間隔をできるだけ小さくして、タインを大根の葉部の基部に接近させることが、確実に葉部を引き起こすことに関して有利であるが、左右の引起しベルトの対向間隔をあまり小さくすると、引起しベルトを循環回走させる下側のプーリや該プーリ等を支持するフレーム等が大根の根部に接触して該大根を損傷させる惧れがあるので、タインをあまり大根の葉部の基部に接近させることができないという問題がある。
【0004】また、引起しベルトで大根の葉部を引き起こした後、すぐに引抜き搬送装置に引き継がないと、折角引き起こした葉部が垂れ下がる惧れがあるが、前記従来のものにあっては、引起しベルトは、その前部側で大根の葉部を引き起こし、葉部が左右の引起しベルト間を通過した後に引抜き搬送装置に受け継がれるようになっているので、左右引起しベルト間を通過してから引抜き搬送装置に受け継がれるまでの間に、葉部が垂れ下がる惧れがあるという問題もある。また、大根の根部の前後に倒れた葉部もできるだけ引き起こしたいという要望がある。
【0005】また、引起しベルトはできるだけ低くする方が、大根の葉部を確実に引き起こすという点で有利であるが、マルチフィルムで覆われた圃場では、引起しベルトをあまり下げ過ぎると、タインがマルチフィルムに接触し、マルチフィルムを破ったり、巻き上げたりするので、引起しベルトをあまり下げることはできない。また、タインがマルチフィルムに接触しないように、引起しベルトをできるだけ低く設定するように、引起しベルトの高さ調整をするのが大変であるという問題がある。
【0006】そこで、本発明は前記問題点を解消できる収穫機を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明が前記目的を達成するために講じた技術的手段は、作物の左右両側に位置するように配置されると共に、前部側が上方へと移動するように循環回走されることで圃場の作物の葉部を引っ掛けて引き起こす引起しベルトを備えた収穫機において、左右の引起しベルトを、それらの回転面が前方に向かうにしたがって左右方向内方に移行する傾斜状となるように配置したことを特徴とする。
【0008】また、他の技術的手段は、作物の葉部を挟持して作物を後上方へ搬送することで作物を圃場から引き抜く引抜搬送装置を備え、この引抜搬送装置の前方側に、作物の左右両側に位置するように配置されると共に、前部側が上方へと移行するように循環回走されることで圃場の作物の葉部を引っ掛けて引き起こす引起しベルトを備えた収穫機において、左右の引起しベルトを、それらの回転面が前方に向かうにしたがって左右方向内方に移行する傾斜状となるように配置し、これら左右の引起しベルト間に、引抜搬送装置の始端側を後方側から挿入状としたことを特徴とする。
【0009】また、他の技術的手段は、引起しベルトにより引き起こされた葉部が垂れ下がるのを防止する垂れ下がり防止具を、引起しベルトから引抜搬送装置に亘って設けたことを特徴とする。また、他の技術的手段は、引起しベルトは、上下のプーリに掛け渡されて循環回走されるベルト本体と、このベルト本体の外周面から突出状に設けられた屈曲可能なタインとから構成されていて、ベルト本体を循環回走させることによりタインで作物の葉部をすくい上げるように構成されており、この引起しベルトの下部側においてタインが地面側に接触しないように該タインを屈曲させる接地阻止部材を設けたことを特徴とする。
【0010】また、他の技術的手段は、圃場の作物の葉部を引き起こすための引起しベルトを備え、この引起しベルトは、上下のプーリに掛け渡されて循環回走されるベルト本体と、このベルト本体の外周面から突出状に設けられた屈曲可能なタインとから構成されており、ベルト本体を循環回走させることによりタインで作物の葉部をすくい上げるようにした収穫機において、引起しベルトの下部側においてタインが地面側に接触しないように該タインを屈曲させる接地阻止部材を設けたことを特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図2〜4において、1は作物(根菜類)の収穫機を示しており、トラクタ2の後部に着脱自在に装着され、作物として大根を収穫するのに使用される。この収穫機1は、トラクタ2に三点リンク3を介して連結されるメインフレーム4と、大根を引き抜く引抜き装置5と、大根と土とを分離させ大根の抜き取りの容易化を図る掘削装置6と、引き抜いた大根を収容する収容手段7を載置する台車8と、引抜き装置5等の高さを一定に保つゲージ輪9等とを備えてなり、トラクタ2を前方に走行させながら、順次大根を引き抜き、この引き抜いた大根を根部と余分な葉部とに分離し、余分な葉部は圃場に放出すると共に根部は作業者によって台車8上の収容手段7に収容していくようにしたものである。
【0012】メインフレーム4は、図2、図5及び図12等に示すように、パイプ材等で構成されていて左右方向に配置された主枠材10を有する。この主枠材10の左側(左右方向一側)には、連結部材15によって相互に連結された左右一対のロワーリンクブラケット11と、このロワーリンクブラケット11間の中央部に位置するトップリンクブラケット12とが固定されており、このロワーリンクブラケット11に固定のピン13に三点リンク3のロワーリンク14の後端側が枢支連結されており、トップリンクブラケット12に固定のピン16に三点リンク3のトップリンク17の後端側が枢支連結されている。
【0013】したがって、トラクタ2の車体(ミッションケース)後部に搭載された油圧装置18のリフトアーム19を上下に回動させることによって、リフトロッド20を介して上下揺動され、メインフレーム4が昇降自在とされている。また、メインフレーム4には、引抜き装置5、掘削装置6、台車8、ゲージ輪9等が連結されており、油圧装置18によって三点リンク3を介して収穫機1全体が昇降可能とされている。図1〜4及び図7〜9に示すように、引抜き装置5は、圃場に在る大根22の葉部22Bの基部側を挟持して根部22Aを後上方に搬送することにより大根22を圃場から引き抜く引抜搬送装置23と、この引抜搬送装置23よりも上方側に配置されていて葉部22Bを挟持して後上方に搬送する葉部搬送装置24と、これら引抜搬送装置23と葉部搬送装置24とを支持する引抜きフレーム25と、この引抜きフレーム25に支持されていて引抜搬送装置23によって葉部22Bを挟持する前に葉部22Bを引き起こして姿勢を整える引起し装置26等を備えて主構成されている。
【0014】葉部搬送装置24は、トラクタ2の右側(左右方向他側)の側方(トラクタ2の後輪21よりも左右方向外方側)に平面視前後方向に略直線状に配置されている。この葉部搬送装置24は、左右一対の無端状ベルト27を有し、左右各ベルト27は、上方に向かうにしたがって前方に移行する傾斜状の軸心回りに回転自在に支持された前後一対のメインプーリ28A,28B間に亘って掛け渡されていて、葉部搬送装置24が後方に向かうにしたがって上方に移行する傾斜状に配置されている。
【0015】左右のベルト27は左右方向内側部分が相互に接触されていると共に、該内側部分が後方側(図3の矢示A側)に移動するように左右ベルト27が循環回走されることで、左右ベルト27間で葉部22Bを挟んで後上方へと移送する(したがって、前端側が始端とされ、後端側が終端とされている)。なお、前後プーリ28間には、左右のベルト27の内側部分(対向部分)を相互に接触させるガイドプーリ29が、左右のベルト27の内側部分を挟むように適宜位置に設けられ、これら左右のガイドプーリ29は左右方向対向状ではなく、搬送方向に位置ズレさせて配置されている。
【0016】引抜搬送装置23は、側面視において、葉部搬送装置24と略同様の傾斜角度で全体として後方に向かうにしたがって上方に移行する傾斜状に配置されている。この引抜搬送装置23も、葉部搬送装置24と同様に左右一対の無端状ベルト31を有し、これら左右各ベルト31は、上方に向かうにしたがって前方に移行する傾斜状の軸心回りに回転自在に支持された前後及び中間のメインプーリ32A,32B,32Cに亘って掛け渡されており、また、左右のベルト27は左右方向内側部分(対向部分)が相互に接触されていると共に、該内側部分が後方側(図3の矢示A側)に移動するように左右ベルト31が循環回走することで、左右ベルト27間で葉部22Bの基部を挟んで根部22Aを後上方へと移送することにより、圃場に在る大根22が引き抜かれる(したがって、前端側が始端とされ、後端側が終端とされている)。
【0017】この引抜搬送装置23の、前側メインプーリ32Aから中間メインプーリ32C(前部から前後方向中途部)までは、葉部搬送装置24の下方側に該搬送装置24に沿って配置されていて、平面視前後方向直線状に配置されている。また、前側メインプーリ32Aは葉部搬送装置24の前側メインプーリ28Aの前方且つ下方に位置していて、引抜搬送装置23は葉部搬送装置24から傾斜方向前方側に突出されると共に、前側メインプーリ32Aから中間メインプーリ32Cまでの間の後部側は、葉部搬送装置24の前部側と上下方向において重合状とされている。
【0018】また、後側メインプーリ32Bは、葉部搬送装置24の後側メインプーリ28Bよりもトラクタ2の左右方向中央部寄りに位置していて、引抜搬送装置23は中途部において搬送方向がトラクタ2の左右方向中央部側に徐徐に移行するように屈曲されている(換言すると、引抜搬送装置23の中間メインプーリ32Cから後側メインプーリ32Bまでは、後方に向かうにしたがって上方及び左方(左右方向トラクタ中央部側)に移行するように傾斜状とされている。)
また、前後メインプーリ32A,32B間には、左右のベルト31の内側部分を相互に接触させるガイドプーリ33が、左右のベルト31の内側部分を挟むように適宜位置に設けられ、これら左右のガイドプーリ33は左右方向対向状ではなく、搬送方向に位置ズレさせて配置されている。
【0019】引抜搬送装置23と葉部搬送装置24の前記重合部分には、該搬送装置23,24間に位置する切断手段34が配置されている。したがって、引抜搬送装置23で圃場の大根22が引き抜かれると共に、搬送途中において、引抜搬送装置23による挟持部分と、葉部搬送装置24による挟持部分との間で葉部22Bが切断手段34によって切断され、切断後は根部22Aと、切断された葉部22Bとは別々のルートで搬送され、すなわち、葉部22Bは葉部搬送装置24によってそのまま後方に搬送されて、葉部搬送装置24の終端部で圃場上に放出され、根部22Bは左斜め後方に搬送され、作業者によって台車8上の収容手段7内に収容される。
【0020】なお、切断された葉部22Bは、葉部搬送装置24の終端部において、シュート上又は受け台上に放出されるようにしてもよい。前記構成のものにあっては、切断された葉部22Bの放出位置と、根部22Aの放出位置とが位置ズレしているので、切断された葉部22Bが根部22Aの収納作業等の邪魔物とならない。また、引抜搬送装置23の後部が後方に向かうにしたがって左右方向トラクタ中央部側に移行するように傾斜状とされているので、左右方向のバランスがよいという利点がある。
【0021】前記切断手段34は、本実施の形態では、引抜きフレーム25に取付固定された固定刃で構成されているが、回転刃、往復駆動刃であってもよい。また、切断手段34は、引抜きフレーム25に、引抜搬送装置23と葉部搬送装置24との間で位置調整自在に取付固定されていて、葉部22Bの切断位置が調整自在とされている。葉部搬送装置24の終端部において、切断された葉部22Bの放出がし易いように、葉部搬送装置24の終端側では、左右ベルト27間に隙間が生じるように構成されている。また、葉部搬送装置24の終端部において、切断された葉部22Bが後側メインプーリ28B等に巻き付くのを防止する巻付き防止部材36が、葉部搬送装置24の終端側に設けられている。
【0022】また、引抜搬送装置23の終端側下方には、引抜搬送装置23から放出された大根22を受ける受け台38が設けられ、この受け台38は引抜きフレーム25に高さ調整可能に取り付けられる。したがって、作業者が引抜搬送装置23から放出された大根22の受け取りに間に合わない場合は、この受け台38に大根22が放出される。引抜搬送装置23の左右各前側メインプーリ32Aの上側には、大根22の葉部22Bを左右の前側メインプーリ32A間へと掻き込む掻込ホイール39が設けられている。
【0023】前記引抜搬送装置23は、本実施の形態では、葉部22Bの基部を挟持するように高さ調整されるが、大根22の生育状態や圃場の状態(地面の凹凸)等によって、根部22Aの上部が挟持位置に位置するような場合がある。このような場合に対処するために、前側メインプーリ32Aの一方は他方から離反する方向に逃げ得るように構成されていて、大根22の根部22Aの通過が許容可能とされている。また、終端部のガイドプーリ33及びその他適宜箇所のガイドプーリ33も大根22の根部22Aの通過を許容するように逃げ得るように構成されている。また、前述した逃げ得るように構成されているプーリはバネによって元の位置に復帰されるように付勢されている。
【0024】なお、引抜搬送装置23によって積極的に根部22Aを挟持して搬送するようにしてもよい。引抜きフレーム25の後部の上部には、伝動ケース40が設けられており、この伝動ケース40内には、図9に示すように、引抜搬送装置23の左右各後側メインプーリ32Bと同行回転自在とされた左右一対の第1のプーリ41と、葉部搬送装置24の後側メインプーリ28Bと同行回転自在とされた左右一対の第2のプーリ42と、油圧モータ43の出力軸に取付固定された駆動プーリ44と、テンションプーリ45とが設けられている。
【0025】これらプーリ41,42,44,45には伝動ベルト46が掛け渡されていて、この伝動ベルト46を油圧モータ43によって矢示B方向に駆動することにより、図6及び図9に示すように、引抜搬送装置23の左右各後側メインプーリ32Bが矢示C1,C2方向に回転駆動され、葉部搬送装置24の後側メインプーリ28Bが矢示D1,D2方向に回転駆動されるように構成されている。前記引起し装置26は、図1〜4、図8及び図9に示すように、引抜搬送装置23の前方に配置され、抜き取る大根22の左右両側に位置するように配置される左右一対の引起し体47を有している。左右各引起し体47は左右一対の支持板51間に配置された引起しベルト48を備えている。
【0026】この引起しベルト48は、図1〜4、図8及び図9に示すように、ゴム等の弾性体で形成されていて、環状のベルト本体48Aと、このベルト本体48Aの外周面に外方突出状に一体形成されたタイン48Bとから主構成され、タイン48Bは弾性的に屈曲自在とされている。なお、引起しベルトとして、ベルト本体にチェーンを採用し、このチェーンに樹脂製のタインを枢軸回りに回動自在に枢着して屈曲自在とし、タインをバネによって屈曲状態から突出状態(使用状態)に復帰させるようにしたものであってもよい。
【0027】ベルト本体48Aは、左右一対の支持板51間に、左右方向内方に向かうにしたがって後方に移行する傾斜状の軸心回りに回転自在に支持された上下一対のプーリ49に亘って掛け渡されており、上側のプーリ49によって駆動されて循環回走される。左右の引起し体47の上側のプーリ49は一体回転するように連動連結されており、左側の引起し体47の上側のプーリ49を油圧モータ50によって回転駆動することにより、左右の引起しベルト48が、その前部側が上方に移動するように(図8及び図9の矢示E方向に)循環回走され、タイン48Bによって大根22の葉部22Bがすくい上げられて引き起こされるようになっている。
【0028】左右の引起しベルト48は、その回転面(回転軸心に直交する面)が前方(進行方向)Fに向かうにしたがって左右方向内方に移行するように傾斜状に配置されている(換言すれば、左右の引起しベルト48の回転面間の左右方向に関する間隔が前方Fに向かうにしたがって漸次狭まるように配置されている)。左右の引起しベルト48をこのように配置することにより、引起しベルト48の前部側に位置するタイン48Bをできるだけ大根22に近づけて葉部22Bを確実に引き起こすようにしても、内側の支持板51や下側のプーリ49等が大根22に接触する惧れがなく、また、根部22Aの前後に倒れた葉部22Bも極力引き起こすことができるという効果を奏する。
【0029】なお、前後方向Fに対する引起しベルト48の傾斜角αは、例えば30°〜45°とされる。また、左右の引起しベルト48は、換言すれば、それらの左右方向に関する間隔が後方に向かうにしたがって拡開するように配置されていて、左右の引起しベルト48間の後部側の左右間隔が広くなっており、従来のものに比して、左右の引起しベルト48に対して引抜搬送装置23を近づけることができる。これによって、収穫機1の前後方向に関するコンパクト化が図れると共に、大根22の葉部22Bの引起し位置と引抜搬送装置23の始端との前後方向の距離が縮まり、引き起こした葉部22Bの、引抜搬送装置23始端に至るまでの、垂れ下がりを防止することができる。
【0030】なお、引抜搬送装置23の始端側が左右の引起しベルト48間に挿入状とされているが、挿入状とされなくてもよい。また、左右の引起し体47は、側面からみて、後方に向かうにしたがって上方に移行する傾斜状に配置されていると共に、連結部材52によって連結され、この連結部材52に固定の取付ステー53は、引抜きフレーム25の前部に固定されたブラケット54に、引起しベルト48の傾斜方向に位置調節自在に取り付けられていて、左右の引起し体47が引抜きフレーム25に対して引起しベルト48の傾斜方向(上下方向)に位置調節自在とされている。
【0031】また、引抜搬送装置23の前部上方側には、左右の引起し体47から引抜搬送装置23及び葉部搬送装置24の始端側に至るように且つ大根22の葉部22Bの左右両側に位置するように配置された棒状体からなる垂れ下がり防止具37が設けられていて、引起し装置26によって、引き起こされた葉部22Bが、その垂れ下がりを防止しながら引抜搬送装置23及び葉部搬送装置24の始端側へと案内される。なお、垂れ下がり防止具37は、その前端側が引起し体47の内側の支持板51に固定されて片持ち状とされている。
【0032】前記引起し装置26は地面との間隔が大きくあいていると、葉部22Bの引起し(すくい上げ)精度が悪くなるので、できるだけ地面に近づけられて配置されるが、引起し装置26を、あまり地面に近づけ過ぎると、図13に示すように、圃場をマルチフィルムMで覆っている場合には、引起しベルト48の下部側において、タイン48BがマルチフィルムMに接触して、該マルチフィルムMを破ってしまったり、マルチフィルムMを巻き上げたりするので、引起し装置26の上下位置調節が難しく、大変である。
【0033】そこで、圃場がマルチフィルムMで覆われている場合において、大根22を収穫する場合には、図13に示すように、引起し体47の下部に、タイン48Bが地面側に接触しないように、該タイン48Bを屈曲させる接地阻止部材30が設けられる。この接地阻止部材30を設けることにより、引起し装置26を地面に多少近づけ過ぎても、タイン48BがマルチフィルムMに接触することがないので、葉部22Bを確実に引き起こすことができ、タイン48BのマルチフィルムMへの接触を考慮せずに引起し装置26の上下位置調節を行えるので、該引起し装置26の上下位置調節も容易である。
【0034】また、引起し装置26は、タイン48Bが接地阻止部材30から外れたときに、タイン48Bの先端側が地面に近接するように上下方向の位置が決定されるが、タイン48Bが接地阻止部材30から外れたときに、タイン48Bの先端側がマルチフィルムMに接触するようになっていてもよく、この場合、タイン48BがマルチフィルムMに接触する時間が短く、マルチフィルムMを破ってしまったり、マルチフィルムMを巻き上げたりすることがない。接地阻止部材30の少なくとも前部側は、その前端側が上方を向くように湾曲状に(そり又はスキーの様に)形成されるのが好ましく、これによって、接地阻止部材30がマルチフィルムMに接触しても、マルチフィルムMを破ることがないという効果を奏する。
【0035】なお、この接地阻止部材30は支持板51に固定される。前記左右各引起し体47の外側の支持板51の前部側には葉部22Bが絡み付くのを防止するパイプ材からなる絡付き防止体55が設けられている。また、支持板51の前後幅は、上方に向かうにしたがって漸次幅広となるように形成されていて、タイン48Bが、前部側において上方に移動するにつれて支持板51に徐徐に隠れるように構成されている。なお、タイン48Bは支持板51の上部において徐徐に隠れるようになっていればよい。
【0036】前記引抜きフレーム25は、図7及び図8に示すように、メインフレーム4の主枠材10に固定のブラケット56と引抜きフレーム25に固定のブラケット57との間に介装された上下一対のリンク58A,58Bからなる左右一対の平行リンク58と、主枠材10に固定のブラケット59と引抜きフレーム25に固定のブラケット60との間に介装された油圧シリンダ61とによって上下位置調整自在にメインフレーム4の主枠材10の右側に連結されている。図5及び図6に示すように、トップリンクブラケット12の下方側には、トラクタ2のPTO軸64に自在継手を備えたドライブシャフトを介して連動連結されるPIC軸62が配置され、このPIC軸62はメインフレーム4に取付固定された軸受けケース63に回転自在に支持されており、軸受けケース63の後部側には伝動ケース65が固定され、伝動ケース65の上部には油圧ポンプ66が設けられている。
【0037】伝動ケース65内にはベルト巻掛け伝動機構67が収納され、このベルト巻掛け伝動機構67によってPIC軸62から油圧ポンプ66の入力軸に動力が伝達されて油圧ポンプ66が駆動され、この油圧ポンプ66によって前述した油圧機器に圧油が供給される。堀削装置6は、図2から図6に示すように、メインフレーム4の主枠材10の下方側に左右方向に配置されたパイプ材等からなる支持フレーム68と、この支持フレーム68の右側に取り付けられた堀取りビーム69と、支持フレーム68の左側に取り付けられた抵抗体70とから主構成されている。
【0038】支持フレーム68には、左右のロワーリンクブラケット11の外側方に位置するブラケット72が前方突出状に固定され、このブラケット72の前部がロワーリンクブラケット11に枢軸73を介して左右方向の軸心回りに揺動自在に枢支連結されている。また、支持フレーム68には、左右ブラケット72間に位置する揺動枠74が後方突出状に固定されており、この揺動枠74の後端側は前記軸受けケース63に、枢軸73の軸心回りに所定範囲揺動可能に支持されている。
【0039】堀取りビーム69及び抵抗体70は支持フレーム68の端部に固定のブラケット75に上下位置調整可能に取り付けられている。そして、堀取りビーム69及び抵抗体70の下部を地中に没入させて支持フレーム68を枢軸73回りに往復揺動させることにより、堀取りビーム69及び抵抗体70の下部が前後に振動し、堀取りビーム69によって大根22と土との分離が図れ、大根22の抜き取りが容易となる。図2〜図4及び図11に示すように、ゲージ輪9は、台車8の前方で且つ主枠材10の右側後方に配置されており、支持枠76に支軸77を介して左右方向の軸心回りに回転自在に支持されていて、メインフレーム4、引抜き装置5、堀削装置6等を支持して圃場を転動する。
【0040】支持枠76は、主枠材10に固定されたブラケット78に支軸79を介して左右方向の軸心回りに回動自在に枢着されていて、支持枠76及びゲージ輪9が支軸79回りに上下揺動自在とされている。また、その軸心回りの回動によって伸縮自在な調整体82が、主枠材10に固定のブラケット80と支持枠76に固定のブラケット81とに亘って介装されており、ハンドル83を操作して調整体82を伸縮させることで、支持枠76及びゲージ輪9が支軸79回りに上下に揺動し、メインフレーム4と共に引抜き装置5、堀削装置6等が上下動し、これらの高さが調整可能とされている。
【0041】なお、前記支持枠76の側部にはスタンド部材71A(図3参照)を取付固定するための取付部材71Bが固定されており、このスタンド部材71Aと堀取りビーム69及び抵抗体70とで、収穫機1をトラクタ2から離脱させたときに、その姿勢を保持させることができる。図2、図3、図11に示すように、台車8は、引抜搬送装置23の終端側に位置しており、収容手段7を載置する載置台84と、この載置台84を支持する支持フレーム85と、この載置台84及び支持フレーム85を支持して圃場を転動する左右一対の車輪86とを備えてなり、連結部材87を介してメインフレーム4に連結されて牽引される。
【0042】連結部材87は、前後方向に配置されていて、前端側が主枠材10に固定のブラケット88に支軸89を介して左右方向の軸心回りに回動自在に且つ着脱自在に枢支連結され、後端側に支持フレーム85が連結されている。車輪86は、車輪保持部材96を介して支持フレーム85に取り付けられている載置台84はフレーム上に板材を張ってなり、後方に向かうにしたがって右方に移行する傾斜状(本実施の形態では前後方向に対して45°の角度で傾斜)の軸心回りに後方に回動可能に構成されており、載置台84は水平状態から左斜め後ろ側に向けて傾斜可能とされていて、載置台84上の収容手段7が、後方に向かうにしたがって左方(葉部搬送装置配置側と反対側の側方)に移行する方向にダンプ可能とされている。
【0043】このように、収容手段7を真後ろに落とすのではなく、左斜め後方(収穫している側とは反対側の斜め後方)に収容手段7を降ろすようにすることで、次の条の大根22を収穫するのに、降ろした収容手段7が邪魔にならないという効果を奏する。載置台84の前部には、該載置台84の後側への回動を規制するロック装置115が設けられている。台車8の前方には、前記ゲージ輪9が配置されていて、台車8の車輪86はゲージ輪9によって鎮圧された跡を通過するので、台車8の走行が安定する(台車8の揺れが少ない)という効果を奏する。
【0044】また、台車8には、引抜搬送装置23から放出される大根22を収容手段7に詰める作業者が位置する配置部110が、載置台84の右側(葉部搬送装置配置側)に配置されている。この配置部110を設けることにより、収穫される大根22の状態や切断された葉部22Bの絡み付き等を監視することができ、例えば、生育不良の大根22を排除できる。この配置部110は座席と111とステップ112とを備えてなるが、ステップ112のみで構成されていてもよい。また、配置部110は載置台84の前側等に設けてもよく、また、複数設けてもよい。
【0045】また、右側の車輪86は、左側の車輪86に比して、載置台84の左右方向中央部からの距離が大とされていて、配置部110側に寄せられており、台車8の安定化が図られている。載置台84には、あおり部材126が設けられている。このあおり部材126は、起立状態と倒伏状態とに姿勢変更自在に構成され、図3及び図12に示すように、あおり部材126を後ろ側に倒して倒伏状態することで、あおり部材126は収容手段7を載置台84上から降ろす場合のシュートとして機能する。
【0046】また、台車8をメインフレーム4に連結する連結部材87は支軸89を介して左右方向の軸心回りに回動自在にメインフレーム4に連結されているので、図12に仮想線で示すように、三点リンク3によってメインフレーム4を上昇させても、連結部材87,載置台84及び支持フレーム85が後ろ下がりに傾斜状態となり、車輪86は接地したままである。したがって、堀削装置6の堀取りビーム69及び抵抗体70が地中から抜け出るまでメインフレーム4を上昇させて圃場を移動する際等において、台車8を牽引することができる。このとき、あおり部材126を倒伏状態から前側に起こして起立状態にしておくことで、台車8上に載置される収容手段7の後方側への移動を規制することができる。
【0047】また、前記状態よりもさらにメインフレーム4を上昇させると、図示省略の規制手段によって連結部材87の支軸89回りの回動が規制され、台車86も持ち上げることが可能とされている。なお、収穫作業時においても、あおり部材126を起立状態としておくことが好ましい。前記収容手段7としては、通常袋が採用されるが、コンテナ等であってもよい。
【0048】前記載置台84の左右両側には、支柱部材138が設けられている。この支柱部材138は収容手段7として袋が採用される場合、袋の下部側に大根22がたまってきた場合に、袋に設けたロープ等を引っ掛けることにより、袋の上部を保形させるのに使用されるものである。前記構成の実施の形態のものにおいて、収穫機1を構成する各構成部材は左右逆に配置してもよい。また、引抜搬送装置23の終端部を、載置台84の前部上方又は前方側上方に位置させるようにしてもよい。
【0049】
【発明の効果】本発明によれば、左右の引起しベルトを、それらの回転面が前方に向かうにしたがって左右方向内方に移行する傾斜状となるように配置することにより、左右の引起しベルトの前部間の間隔をできるだけ狭めて引起しベルトの前部を作物の葉部の基部に近接させるようにしても、引起しベルトを循環回走可能に支持するプーリや該プーリ等を支持する支持部材等が作物の根部に接触して作物の根部を損傷させる惧れがなく、したがって、引起しベルトの前部を作物の葉部の基部側にできるだけ近づけることができ、これによって作物の葉部を確実に引き上げることができると共に、引起しベルトを前後方向に対して斜めにすることにより、作物の根部の前後に倒れた葉部も極力引き上げることができる。
【0050】また、左右の引起しベルトを、それらの回転面が前方に向かうにしたがって左右方向内方に移行するように傾斜状に配置するということは、左右の引起しベルト間の左右方向に関する間隔は後方に向かうにしたがって広がることとなり、引起しベルトに対して引抜搬送装置を近づけることができ、収穫機のコンパクト化が図れると共に、葉部の引起し位置から引抜搬送装置による挟持位置までの距離が短くなり、引き上げた葉部の垂れ下がりを防止できる。また、左右の引起しベルト間の後部に引抜搬送装置の始端側を挿入させることもできる。
【0051】また、引起しベルトにより引き上げられた葉部が垂れ下がるのを防止する垂れ下がり防止具を、引起しベルトから引抜搬送装置に亘って設けることにより、葉部の引起し位置から引抜搬送装置による挟持位置までの間の、葉部の垂れ下がりを確実に防止することができる。また、引起しベルトの下部側において、該引起しベルトのタインが接地面側に接触しないように該タインを屈曲させる接地阻止部材を設けることにより、引起しベルトの位置をできるだけ下げてもタインがマルチフィルムに接触して該マルチフィルムを損傷させることがなく、また、タインの接触を考慮することなく引起しベルトの上下位置調節を行えるので、引起しベルトの上下位置調節も容易である。
【出願人】 【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
【出願日】 平成11年8月24日(1999.8.24)
【代理人】 【識別番号】100061745
【弁理士】
【氏名又は名称】安田 敏雄
【公開番号】 特開2001−61320(P2001−61320A)
【公開日】 平成13年3月13日(2001.3.13)
【出願番号】 特願平11−237321