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【発明の名称】 刈取収穫機の刈取部支持構造
【発明者】 【氏名】牧園 晴充

【氏名】北風 孝一

【氏名】岡 一孝

【氏名】岸田 登

【氏名】吉田 有作

【氏名】上田 末蔵

【氏名】阿瀬 勇

【要約】 【課題】刈取収穫機において、機体が沈み込むような場所でも、刈取部を適切に横側に開き操作することができるように構成する。

【解決手段】刈取部が所定高さまで上昇駆動されると、これに伴って刈取部の所定高さからの下降を阻止する阻止状態に操作される下降阻止機構24を備え、刈取部が所定高さまで上昇駆動された下降阻止機構24の阻止状態で、機体の前部の縦軸芯P1周りに、刈取部を横側に開き操作自在に支持する支持機構15,16を備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 機体の前部に刈取部を、昇降機構により昇降駆動自在に備えて、前記刈取部が所定高さまで上昇駆動されると、これに伴って前記刈取部の前記所定高さからの下降を阻止する阻止状態に操作される下降阻止機構と、前記刈取部が所定高さまで上昇駆動された前記下降阻止機構の阻止状態で、機体の前部の縦軸芯周りに、前記刈取部を横側に開き操作自在に支持する支持機構とを備えてある刈取収穫機の刈取部支持構造。
【請求項2】 機体の前部に運転部と刈取部とを左右に並べて配置し、前記刈取部を昇降駆動自在な昇降機構を備えて、前記刈取部が所定高さまで上昇駆動されると、これに伴って前記刈取部の前記所定高さからの下降を阻止する阻止状態に操作される下降阻止機構と、前記刈取部が所定高さまで上昇駆動された前記下降阻止機構の阻止状態で、前記運転部とは反対側の機体前横側部付近の縦軸芯周りに、前記刈取部を前記運転部とは反対の横側に開き操作自在に支持する支持機構とを備えてある刈取収穫機の刈取部支持構造。
【請求項3】 前記刈取部が所定高さまで上昇駆動されると、これに伴って前記刈取部の前記所定高さからの下降を阻止する阻止状態となる自動状態、及び前記刈取部が所定高さまで上昇駆動されても阻止状態にならない停止状態に人為的に選択操作自在に、前記下降阻止機構を構成してある請求項1又は2記載の刈取収穫機の刈取部支持構造。
【請求項4】 前記刈取部の上側に配置される防塵カバーを、前記刈取部に支持させてある請求項1〜3のうちのいずれか一つに記載の刈取収穫機の刈取部支持構造。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は稲用のコンバインや藺草収穫機等の刈取収穫機において、メンテナンスを行う為の構成に関する。
【0002】
【従来の技術】刈取収穫機の一例であるコンバインでは、例えば機体の前部と刈取部との連結部分付近や刈取部の内側に異常が発生した場合、メンテナンス作業が行い難いことがある。これにより、例えば特開平6−319339号公報に開示されているように、機体の前部の縦軸芯(前記公報の図3及び図4中の41a)周りに,刈取部(前記公報の図3及び図4中の8)を、横側に開き操作自在に支持したものがあり、このように刈取部を横側に開き操作することによって、機体の前部と刈取部との連結部分付近や刈取部の内側のメンテナンス作業が行い易くなる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】従来の技術に記載の構成では、刈取部を上昇させずに地面に略接地するような位置で、刈取部を横側に開き操作するように構成されている。これにより、例えば舗装路のような平坦な場所で、刈取部を横側に開き操作することが好ましく、刈取部を横側に開き操作する際に刈取部を支持する接地輪を、刈取部に備える必要がある。この状態について言い換えると、例えば圃場のように機体が沈み込むような場所では、刈取部を横側に開き操作することは困難な場合がある。本発明は刈取収穫機の刈取部支持構造において、例えば圃場のように機体が沈み込むような場所でも、刈取部を適切に横側に開き操作することができるように構成することを目的としている。
【0004】
【課題を解決するための手段】[I]請求項1の特徴によれば、昇降機構により刈取部を所定高さまで上昇駆動すると、下降阻止機構が自動的に阻止状態となり、昇降機構により刈取部を所定高さから下降させようとしても、刈取部を下降させることができない状態になる。この後、刈取部を所定高さまで上昇させて保持した状態で、縦軸芯周りに刈取部を横側に開き操作することができる。
【0005】これにより、例えば圃場のように機体が沈み込むような場所でも、刈取部を所定高さまで上昇させて保持した状態で、縦軸芯周りに刈取部を横側に開き操作することによって、刈取部が地面に接地して横側に開き操作することができないと言うような状態を避けることができる。この場合、昇降機構により刈取部を所定高さまで上昇駆動すると、下降阻止機構が自動的に阻止状態となるので、昇降機構により刈取部を上昇駆動してから、刈取部を下降しないように固定すると言うような操作を行う必要がない。
【0006】[II]請求項2の特徴によると、請求項1の場合と同様に前項[I]に記載の「作用」を備えており、これに加えて以下のような「作用」を備えている。稲用のコンバインや藺草収穫機等の刈取収穫機では、機体の前部に運転部と刈取部とが左右に並べて配置されたものが多くある。この場合、請求項2の特徴によると、刈取部を横側に開き操作する為の縦軸芯が、運転部とは反対側の機体前横側部付近に配置されており、刈取部を運転部とは反対の横側に開き操作するように構成されている。
【0007】請求項2の特徴のように、刈取部を横側に開き操作する為の縦軸芯を、運転部とは反対側の機体前横側部付近に配置することによって、刈取部を横側に開き操作した際に、機体の前部を大きく開放することができるのであり、刈取部を運転部とは反対の横側に開き操作することによって、運転部に干渉することなく刈取部を支障なく横側に開き操作することができる。
【0008】[III]請求項3の特徴によると、請求項1又は2の場合と同様に前項[I][II]に記載の「作用」を備えており、これに加えて以下のような「作用」を備えている。刈取収穫機では通常の収穫作業においても、例えば作業地の端部での旋回時や路上から作業地に入る際(作業地から路上に出る際)に、刈取部を昇降機構により大きく上昇駆動することがある。
【0009】請求項3の特徴によると、前述のような収穫作業時には下降阻止機構を、停止状態に操作しておけばよい。このように下降阻止機構を停止状態に操作しておけば、前述のように収穫作業時に刈取部を昇降機構により大きく上昇駆動しても、下降阻止機構は阻止状態にはならず、下降阻止機構が阻止状態になって刈取部を下降させることができないと言うような状態は生じない。前項[I][II]に記載のように、刈取部を横側に開き操作する場合には、下降阻止機構を自動状態に設定しておけばよい。これによって、昇降機構により刈取部を所定高さまで上昇駆動すると、下降阻止機構が自動的に阻止状態となって、刈取部を下降させることができない状態となり、刈取部を横側に開き操作することができる。
【0010】[IV]請求項4の特徴によると、請求項1〜3のうちのいずれか一つの場合と同様に前項[I]〜[III]に記載の「作用」を備えており、これに加えて以下のような「作用」を備えている。刈取収穫機では、収穫作業時に刈取部から上方に作物の屑やホコリが舞い上がらないように、刈取部の上側に防塵カバーを配置することがある。請求項4の特徴によると、防塵カバーが刈取部に支持されているので、刈取部を横側に開き操作してやれば、防塵カバーは機体の前部に残されることなく刈取部と一緒に横側に開き操作される。
【0011】
【発明の実施の形態】[1]図1及び図2に、刈取収穫機の一例であるコンバインが示されている。左右一対のクローラ走行装置1で支持された機体の前部に、運転部2と刈取部3とが左右に並べて配置されており、機体に脱穀装置4及びグレンタンク5が支持されている。
【0012】図3及び図4に示すように刈取部3は、引き起し装置6、バリカン型の刈取装置7、刈り取られた穀稈を集めるパッカー8、集められた穀稈の穂先側を押して搬送する係止搬送装置9、集められた穀稈の株元側を挟持して搬送する挟持搬送装置53、係止搬送装置9及び挟持搬送装置53からの穀稈を脱穀装置4のフィードチェーン10に受け渡す搬送装置11等を備えて構成されており、刈取部3の全体が、パイプ状の支持フレーム12に支持されている。
【0013】挟持搬送装置53は始端側を支点として終端側が上下に揺動操作されて、フィードチェーン10が挟持する穀稈の位置が調節されるように構成されている(扱深さ調節)。図5及び図6に示すように挟持搬送装置53の終端側において、搬送チェーン54の従動輪55を支持する支持ロッド56が、紙面左右方向にスライド自在に支持され、支持ロッド56を紙面右方(搬送チェーン54の張り側)に付勢するバネ57が設けられている。板バネ58がU字状に曲げられて一端が固定され、他端側の開孔(図示せず)に支持ロッド56が挿入されている。これにより、バネ57によって支持ロッド56が紙面右方に移動した際、板バネ58の開孔が支持ロッド56に斜めに当たり、支持ロッド56の紙面左方への移動(搬送チェーン54の緩み側)が止められるように構成されている。
【0014】[2]次に、刈取部3における支持フレーム12の支持構造について説明する。図3,7,8に示すように、機体の前端の横フレーム13に作動油タンク14が固定されており、横フレーム13の支持部13a及び作動油タンク14に固定されたブラケット14aにより、丸パイプ状の支柱15が縦軸芯P1周りに回転自在に支持されている。図2に示すように、支柱15は運転部2とは反対側の機体前横側部付近に位置しており、フィードチェーン10の前端付近に位置している。図7及び図8に示すように、支柱15の上部に横向きに一体形成されたボス部15aに、丸パイプ状の支持ケース16が、ボス部15aの横軸芯P2周りに回転自在に嵌合されており、支持ケース16の端部に支持フレーム12が連結されている。
【0015】図7及び図9に示すように、作動油タンク14においてブラケット14aとは反対側(運転部2側)の部分に支持台17が固定され、支持ケース16の端部が支持台17に回転自在に保持されている。図3に示すように、作動油タンク14の下方に単動型の油圧シリンダ18が配置され、支持フレーム12の中間付近の下面に固定された二股状の連結部19に、油圧シリンダ18のピストンロッド18aが連結されている。これにより、油圧シリンダ18を伸縮駆動することにより、支持フレーム12及び支持ケース16が、ボス部15a及び支持台17により横軸芯P2周りに揺動駆動されて、刈取部3が昇降駆動される。
【0016】[3]次に、支持台17での支持ケース16の保持構造について説明する。図7及び図9に示すように、支持台17の上面が側面視で半円状に形成されて(図10参照)、支持台17の上面に支持ケース16の端部が載せられるように構成されており、側面視で半円状の保持部材20(図10参照)が、支持台17の横軸芯P3周りに揺動自在に支持されている。図9及び図11(イ)(ロ)に示すように、横軸芯P3の位置とは反対側の支持台17の部分に二股状の固定部17aが形成されて、固定部17aの開孔17bに連結ピン21がスライド自在に備えられている。支持台17における支持フレーム12とは反対側の部分において、横軸芯P4周りに固定レバー22が揺動自在に支持され、連結ピン21の後端がピン及び長孔の構造によって固定レバー22に連結されており、固定レバー22を図11(イ)(ロ)の紙面左方に付勢する引っ張りバネ23が設けられている。
【0017】以上の構造により図10から図9及び図11(ロ)に示すように、支持台17の上面に支持ケース16の端部を載せ、保持部材20を横軸芯P3周りに回転させて支持ケース16の端部に上側から被せて、保持部材20の先端を固定部17aの間に挿入し、固定レバー22を図11(ロ)の紙面左方に操作して、図11(イ)に示すように連結ピン21を固定部17aの開孔17b及び保持部材20の開孔20aに亘って挿入することによって、支持台17で支持ケース16の端部を回転自在に保持する。
【0018】[4]刈取部3を所定高さ(上昇限度よりも少し下側の位置)まで上昇駆動すると、刈取部3の所定高さからの下降が阻止されるように構成されており、次にこの構成について説明する。図7及び図12(イ)に示すように、支柱15の上部に横板部15b及び一対の縦板部15cが一体形成されており、支柱15の一対の縦板部15cに亘りストッパーピン24が図12(イ)の紙面左右方向にスライド自在に支持されている。支持ケース16に縦板部16aが一体形成されて、支持ケース16の縦板部16aが支柱15の縦板部15cに合わせられており、支持ケース16の縦板部16aに長孔16bが開孔されている(図12(ロ)及び図13(イ)参照)(長孔16bの長半径方向の長さは、ストッパーピン24の外径よりも少し大きい程度である)。図7及び図12(イ)に示すように、つる巻きバネ26の一端がストッパーピン24に接続されており、つる巻きバネ26の他端側において、支柱15の横板部15bの支持ピン25aに、つる巻きバネ26のループ部26aが取り付けられている。
【0019】図7及び図12(イ)に示す状態は、つる巻きバネ26の作用によりストッパーピン24が支柱15の縦板部15cから突出しない状態であり、刈取部3が上昇限度まで上昇駆動されて、支持ケース16の縦板部16aの長孔16bがストッパーピン24の位置に達しても、ストッパーピン24は支持ケース16の縦板部16aの長孔16bに入り込むことはない。これにより、刈取部3を自由に昇降駆動することができる。
【0020】図12(ロ)に示すように、つる巻きバネ26の他端部26bを手で持って、つる巻きバネ26のループ部26aを支持ピン25aから外し、支柱15の横板部15bの別の支持ピン25bに、つる巻きバネ26のループ部26aを取り付けてやると、つる巻きバネ26に付勢力が発生し、ストッパーピン24が支柱15の縦板部15cから突出しようとする。この状態で、刈取部3を所定高さ(上昇限度よりも少し下側の位置)まで上昇駆動すると、図12(イ)及び図13(イ)から図12(ロ)及び図13(ロ)に示すように、支持ケース16の縦板部16aの長孔16bがストッパーピン24の位置に達した際、ストッパーピン24が突出して支持ケース16の縦板部16aの長孔16bに入り込む。これにより、刈取部3が下降しない状態となる。
【0021】[5]次に、刈取部3への伝動構造について説明する。図14に示すように運転部2の下側にエンジン37が配置され、エンジン37の動力が出力プーリー37aから伝動ベルト38を介して、静油圧式無段変速装置39の入力プーリー39aに伝達され、ミッションケース40からクローラ走行装置1に伝達されている。ミッションケース40で変速される直前の動力が、出力プーリー40aから伝動ベルト30を介して、図7及び図14に示すように支持ケース16の入力プーリー31に伝達されており、入力プーリー31に伝達された動力が、支持ケース16及び支持フレーム12の内部に配置された伝動軸63を介して、刈取部3の引き起し装置6や刈取装置7に伝達される。
【0022】図7,9,15に示すように、支持台17の横軸芯P6周りにテンションアーム41が揺動自在に支持されており、伝動ベルト30に対するテンションプーリー41aがテンションアーム41に支持されて、入力プーリー31への動力を伝動及び伝動遮断操作する刈取クラッチが構成されている。フィードチェーン10(図1参照)への動力を伝動及び伝動遮断自在で伝動側に付勢されたフィードチェーンクラッチ48が備えられ、フィードチェーンクラッチ48に接続されたワイヤ49に連係部材50が接続されており、テンションアーム41の伝動位置において、テンションアーム41に固定されたアーム41cのピン41dが、連係部材50の長孔50aの中間位置に位置している。
【0023】図15及び図16に示すように運転部2の固定部の横軸芯P7周りに揺動自在に刈取クラッチレバー42が支持され、刈取クラッチレバー42のアーム42aに側面視L字状の連係部材44が揺動自在に取り付けられ、レリーズ型式のワイヤ43のアウター43aの一端が、連係部材44に固定されている。図16及び図7に示すように、テンションアーム41に固定されたアーム41bとワイヤ43のインナー43bの一端とが、引っ張りバネ45を介して接続されており、テンションアーム41を伝動遮断側に付勢する引っ張りバネ52(引っ張りバネ45よりも付勢力は弱い)が、テンションアーム41に接続されている。
【0024】図7,8,16に示すように、作動油タンク14のブラケット14a付近において、側面視L字状の操作アーム46が横軸芯P8周りに揺動自在に支持され、ワイヤ43のインナー43bが延出されて操作アーム46に接続されている。図8,13(イ),16に示す状態は刈取部3が下降されて、支持ケース16の縦板部16aのローラー16bが、操作アーム46のアーム部46aに接当し、操作アーム46が紙面時計方向に揺動操作されて、ワイヤ43のインナー43bが操作アーム46側に引き操作されている状態である。
【0025】図16に示すように、ワイヤ43の途中部分においてインナー43bが露出されて、ワイヤ43のアウター43aが支持板47に固定されている。ワイヤ43のインナー43bに沿って支持板47に長孔47aが形成され、円柱状の規制部材51が支持板47の長孔47aに沿って位置変更自在(図16に示すON位置及びOFF位置)、及び手動回転式のネジ部51aを締め込むことによって位置固定自在に設けられており、ワイヤ43のインナー43bが規制部材51の開孔にスライド自在に通されている。
【0026】[6]次に、刈取クラッチの伝動及び伝動遮断操作について説明する。図16に示す状態は、規制部材51をON位置に固定し、刈取部3を下降させている状態であり、操作アーム46が紙面時計方向に揺動操作されて、ワイヤ43のインナー43bが操作アーム46側に引き操作され、ワイヤ43のインナー43bに弛みが無い状態である。この状態で図17に示すように、刈取クラッチレバー42を伝動位置に操作すると、連係部材44及びワイヤ43のアウター43aの一端と一緒に、ワイヤ43のインナー43bの一端及び引っ張りバネ45が、刈取クラッチレバー42側に引き操作されて、テンションアーム41が伝動位置に操作され、引っ張りバネ45により伝動ベルト30の張力が維持されて、動力が入力プーリー31に伝達される。
【0027】図16に示すように、刈取クラッチレバー42を伝動遮断位置に操作すると、連係部材44及びワイヤ43のアウター43aの一端と一緒に、ワイヤ43のインナー43bの一端及び引っ張りバネ45が戻し操作されて、引っ張りバネ52によってテンションアーム41が伝動遮断側に操作され、入力プーリー31への動力が遮断される。引っ張りバネ52によってテンションアーム41が伝動遮断側に操作される際、図9に示す連係部材50の長孔50a及びアーム41cのピン41dの作用によって、入力プーリー31への動力が遮断されてから、ワイヤ49がアーム41c側に引き操作されて、フィードチェーンクラッチ48が伝動遮断側に操作される。
【0028】図17及び図13(イ)に示すように規制部材51をON位置に固定して、刈取クラッチレバー42を伝動位置に操作し、刈取部3を下降させている状態から刈取部3を上昇駆動した場合に、通常の収穫作業時での刈取部3の昇降の範囲では、支持ケース16の縦板部16aのローラー16bが、操作アーム46のアーム部46aから離れず、ワイヤ43のインナー43bが操作アーム46側に引き操作された状態が維持されて、動力が入力プーリー31に伝達される状態が維持される。
【0029】例えば畦際での旋回時のように、刈取部3を所定高さ(上昇限度よりも少し下側の位置)まで上昇駆動すると、図18及び図13(ロ)に示すように支持ケース16の縦板部16aのローラー16bが、操作アーム46のアーム部46aから離れて、ワイヤ43のインナー43bがテンションアーム41側に戻されて(引っ張りバネ52の付勢力による)、引っ張りバネ45及びテンションアーム41が一緒に伝動遮断側に移動して、自動的に入力プーリー31への動力が遮断され、フィードチェーンクラッチ48が伝動遮断側に操作される。
【0030】図19に示す規制部材51を、ON位置からOFF位置に移動させて固定したとする。このように規制部材51をOFF位置に移動させると、ワイヤ43のインナー43bに固定されているリング部材59に規制部材51が接当し、リング部材59が規制部材51と一緒にOFF位置に移動させられ、ワイヤ43のインナー43bが全体的に操作アーム46側に移動させられ、操作アーム46側においてワイヤ43のインナー43bに弛みの発生する状態となる。この場合、引っ張りバネ45側においてワイヤ43のインナー43bが少し引き操作され、引っ張りバネ45の付勢力が強められる状態になるが、これに関係なく刈取クラッチレバー42を伝動位置及び伝動遮断位置に操作することによって、図19及び図20に示すように入力プーリー31への動力の伝動及び伝動遮断を行うことができる。
【0031】図19に示すように規制部材51をOFF位置に固定した状態で、図20に示すように刈取クラッチレバー42を伝動位置に操作し、刈取部3を下降させている状態から、刈取部3を所定高さ(上昇限度よりも少し下側の位置)まで上昇駆動したとする。この場合、規制部材51をOFF位置に固定した状態であると、刈取部3が上昇駆動されて支持ケース16の縦板部16aのローラー16bが、操作アーム46のアーム部46aから離れても、規制部材51によってワイヤ43のインナー43b及びリング部材59が止められているので、ワイヤ43のインナー43bがテンションアーム41側に戻ることができず、動力が入力プーリー31に伝達される状態が維持される。
【0032】[7]次に、機体の前部と刈取部3との連結部分付近や刈取部3の内側のメンテナンス作業を行う場合、刈取部3を横側に開き操作する状態について説明する。前項[4]及び図12(ロ)に示すように、つる巻きバネ26のループ部26aを支柱15の横板部15bの別の支持ピン25bに取り付けて、油圧シリンダ18を伸長駆動して刈取部3を上昇駆動し、図12(イ)及び図13(イ)から図12(ロ)及び図13(ロ)に示すように、刈取部3が所定高さ(上昇限度よりも少し下側の位置)まで上昇駆動された際、ストッパーピン24を支持ケース16の縦板部16aの長孔16bに入り込ませて、刈取部3が下降しない状態とする。ストッパーピン24が支持ケース16の縦板部16aの長孔16bに入り込むと、油圧シリンダ18を直ちに停止させる必要があるが、油圧シリンダ18の停止が遅れても無理が掛からないように、ストッパーピン24が支持ケース16の縦板部16aの長孔16bに入り込んでから、支持ケース16の縦板部16aの長孔16bの範囲だけ、刈取部3を上昇駆動することができる。
【0033】この場合、前項[6]及び図17に記載のように刈取クラッチレバー42を伝動位置に操作し、規制部材51をON位置に固定した状態であれば、図17から図18に示すように自動的に入力プーリー31への動力が遮断され、フィードチェーンクラッチ48が伝動遮断側に操作される。図19に示すように規制部材51をOFF位置に固定した状態であれば、刈取クラッチレバー42を伝動遮断位置に操作して、入力プーリー31への動力を遮断し、フィードチェーンクラッチ48を伝動遮断側に操作する。このようにしてテンションプーリー41aを伝動ベルト30から離し、伝動ベルト30を緩めてから、伝動ベルト30を入力プーリー31から外す。
【0034】図3,23,24に示すように、支持フレーム12の連結部19と油圧シリンダ18のピストンロッド18aとを連結する連結ピン27を抜き取る。連結ピン27にベータ型の抜け止めピン28が取り付けられ、連結部19の側面に固定された二股状の止め板29に抜け止めピン28が挿入されて、連結ピン27の回り止め及び抜け止めが行われている。
【0035】前述の状態で刈取部3の重量が油圧シリンダ18(連結ピン27)に掛かっているので、大きな摩擦抵抗により連結ピン27を容易には抜き取ることができない。この場合、油圧シリンダ18を少し収縮駆動して、刈取部3の重量がストッパーピン24(図12(ロ)及び図13(ロ)参照)に掛かるようにしてから、抜け止めピン28を連結ピン27から抜き取り、連結ピン27の握り部27aを持って連結ピン27を抜き取る。
【0036】図11(イ)から図11(ロ)に示すように、固定レバー22を紙面右方に操作して連結ピン21を保持部材20の開孔20aから抜き、図10に示すように保持部材20を横軸芯P3周りに固定レバー22とは反対側に倒しす。これにより、図21(イ)から図21(ロ)及び図22に示すように支柱15を縦軸芯P1周りに回転させるようにして、刈取部3を運転部2とは反対の横側に開き操作する。
【0037】図4,25,26に示すように、供給装置11からフィードチェーン10に受け渡される穀稈の株元側に下側から接当し、穀稈の株元側を横に寝かせてフィードチェーン10に受け渡され易いようにする株元払い棒32が、供給装置11の下面から横外側に突出するように備えられている。図25,26,27,28に示すように、供給装置11の下面に固定されたコ字状のブラケット33に、株元払い棒32が回転及びスライド自在に支持されて、株元払い棒32のフランジ部32aに一対の孔32bが備えられており、株元払い棒32のフランジ部32aをブラケット33に押圧するように、バネ34が株元払い棒32に取り付けられている。
【0038】これにより、ブラケット33のピン33aを株元払い棒32の一方の孔32bに挿入しておくことにより、株元払い棒32が通常の姿勢に維持される(図26の実線参照)。前述のように刈取部3を運転部2とは反対の横側に開き操作する場合、株元払い棒32をバネ34に抗してスライドさせ、株元払い棒32の一方の孔32bをブラケット33のピン33aから抜き、株元払い棒32を下向きに設定して、株元払い棒32の他方の孔32bにブラケット33のピン33aを挿入する。このように株元払い棒32を下向きに設定しておくことにより(図26の二点鎖線参照)、刈取部3を運転部2とは反対の横側に開き操作した際に、株元払い棒32がフィードチェーン10付近に当たると言うような状態を避けることができる。
【0039】図1及び図2に示すように、刈取部3の上部に半透明の樹脂製の防塵カバー35が備えられており、刈取部3及びフィードチェーン10の前部付近から穀稈の屑やホコリが舞い上がらないように、防塵カバー35で抑えられている。図1及び図7に示すように、支持ケース16の端部に固定されたフレーム36が上方に延出され、フレーム36の上部の横軸芯P5周りに上下揺動自在に、防塵カバー35が支持されている。これにより、図22に示すように刈取部3を運転部2とは反対の横側に開き操作した場合、防塵カバー35も刈取部3と一緒に移動して運転部2とは反対の横側に開き操作される。
【0040】[8]前項[7]に記載のように、刈取部3を運転部2とは反対の横側に開き操作してから元の状態に戻す場合、図21(ロ)及び図22から図21(イ)及び図10に示すように、支柱15を縦軸芯P1周りに回転させて、支持台17の上面に支持ケース16の端部を載せる。この場合、図10に示すように支持ケース16の端部が、保持部材20の基部20bに接当しながら支持台17の上面に載るので、接当作用によって保持部材20が横軸芯P3周りに揺動操作されて、支持ケース16の端部に被せられる。刈取部3は所定高さ(上昇限度よりも少し下側の位置)まで上昇駆動されて、ストッパーピン24が支持ケース16の縦板部16aの長孔16bに入り込み、刈取部3が下降しない状態となっている(図12(ロ)及び図13(ロ)参照)。
【0041】これにより、図11(ロ)から図11(イ)に示すように、保持部材20の先端を固定部17aの間に挿入し、固定レバー22を紙面左方に操作して、連結ピン21を固定部17aの開孔17b及び保持部材20の開孔20aに亘って挿入し、支持ケース16の端部を保持する。伝動ベルト30を入力プーリー31に掛け(図7及び図15参照)、図26の実線に示すようにブラケット33のピン33aを株元払い棒32の一方の孔32bに挿入して、株元払い棒32を通常の姿勢に戻す。
【0042】前項[4]〜[7]に記載のような油圧シリンダ18の伸縮操作は、図1,2,3に示す操作レバー60によって行うのであり、操作レバー60を後方に引き操作すると、油圧シリンダ18に作動油を給排操作する制御弁(図示せず)が作動油の供給位置に操作され、油圧シリンダ18に作動油が供給され油圧シリンダ18が伸長操作されて、刈取部3が上昇駆動される。逆に操作レバー60を前方に押し操作すると、制御弁が排油位置に操作されて、油圧シリンダ18から作動油が排出され油圧シリンダ18が収縮操作されて刈取部3が下降駆動される。
【0043】図29に示すように、固定ハンドル61と操作レバー60とに亘り棒材62を取り付けて、操作レバー60を前方に押し操作した状態に保持する。これにより制御弁が排油位置に操作されて、油圧シリンダ18から作動油が排出される状態となる。これにより、油圧シリンダ18のピストンロッド18aを手動で連結部19の位置まで引き出し、図23及び図24に示すように連結ピン27(先端が先細り状に形成されている)を挿入して、連結ピン27に抜け止めピン28を挿入する。図12(ロ)から図12(イ)に示すように、つる巻きバネ26の他端部26bを手で持って、つる巻きバネ26のループ部26aを支持ピン25bから外し、支柱15の横板部15bの支持ピン25aに、つる巻きバネ26のループ部26aを取り付けて、ストッパーピン24が支柱15の縦板部15cから突出しない状態とする。
【0044】[発明の実施の別形態]図12(イ)(ロ)に示すストッパーピン24のつる巻きバネ26において、運転部2に設けられた切換レバー(図示せず)によって、ストッパーピン24を突出側に付勢する状態(自動状態)、並びにストッパーピン24を突出側に付勢しない状態(停止状態)に、つる巻きバネ26を操作できるように構成してもよい。
【0045】支柱15から延出された支持部(図示せず)に油圧シリンダ18を支持させることにより、図22に示すように刈取部3を運転部2とは反対の横側に開き操作する際に、油圧シリンダ18のピストンロッド18aを、図3,23,24に示す連結部19から取り外さなくてもよいように構成してもよい。この場合、ストッパーピン24に相当する機構を油圧シリンダ18の部分に設けてもよい。
【0046】
【発明の効果】請求項1の特徴によると、刈取収穫機の刈取部支持構造において、刈取部を所定高さまで上昇させて保持した状態で、縦軸芯周りに刈取部を横側に開き操作することができるように構成することによって、例えば圃場のように機体が沈み込むような場所でも、刈取部を支障なく横側に開き操作することができるようになって、刈取収穫機の作業性及びメンテナンス性を向上させることができた。請求項1の特徴によると、昇降機構により刈取部を所定高さまで上昇駆動すれば、下降阻止機構が自動的に阻止状態となって刈取部が保持されるので、昇降機構により刈取部を上昇駆動してから、刈取部を下降しないように固定すると言うような操作を行う必要がなくなって、刈取収穫機の操作性を良いものにすることができた。
【0047】請求項2の特徴によると、請求項1の場合と同様に前述の請求項1の「発明の効果」を備えており、この「発明の効果」に加えて以下のような「発明の効果」を備えている。請求項2の特徴によると、機体の前部に運転部と刈取部とが左右に並べて配置された刈取収穫機において、刈取部を横側に開き操作する為の縦軸芯を運転部とは反対側の機体前横側部付近に配置し、刈取部を運転部とは反対の横側に開き操作するように構成することにより、運転部に干渉することなく刈取部を支障なく横側に開き操作して、機体の前部を大きく開放することができるようになり、刈取収穫機の作業性及びメンテナンス性をさらに向上させることができた。
【0048】請求項3の特徴によると、請求項1又は2の場合と同様に前述の請求項1又は2の「発明の効果」を備えており、この「発明の効果」に加えて以下のような「発明の効果」を備えている。請求項3の特徴によると、昇降機構により刈取部を所定高さまで上昇駆動しても、下降阻止機構が阻止状態にならない停止状態に操作しておくことができるので、例えば作業地の端部での旋回時や路上から作業地に入る際(作業地から路上に出る際)に、刈取部を昇降機構により大きく上昇駆動しても、この後に刈取部を支障なく下降駆動することができるので、刈取収穫機の作業性をさらに向上させることができた。
【0049】請求項4の特徴によると、請求項1〜3のうちのいずれか一つの場合と同様に請求項1〜3の「発明の効果」を備えており、この「発明の効果」に加えて以下のような「発明の効果」を備えている。請求項4の特徴によると、刈取部の上側に防塵カバーを配置した場合、刈取部を横側に開き操作してやれば、防塵カバーも刈取部と一緒に横側に開き操作されるので、機体の前部を大きく開放することができるようになり、刈取収穫機の作業性及びメンテナンス性をさらに向上させることができた。
【出願人】 【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
【出願日】 平成11年7月29日(1999.7.29)
【代理人】 【識別番号】100107308
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 修一郎
【公開番号】 特開2001−37319(P2001−37319A)
【公開日】 平成13年2月13日(2001.2.13)
【出願番号】 特願平11−214809