トップ :: A 生活必需品 :: A01 農業;林業;畜産;狩猟;捕獲;漁業




【発明の名称】 乗用田植機
【発明者】 【氏名】中尾 敏夫

【氏名】山下 綱丈

【氏名】三宅 康司

【要約】 【課題】乗用田植機のバック連動機構の安全性を向上させること。

【解決手段】本発明では、走行機体の後部に植付機を昇降可能に配設するとともに、走行機体に、変速操作をするための変速レバーと、植付機の昇降操作をするための植付昇降レバーとを配設し、変速レバーと植付昇降レバーとをレバー連動機構を介して連動連結して、走行機体を後進させるべく変速レバーを傾倒操作すると、それに連動して植付昇降レバーが植付機を上昇させるべく姿勢変更するとともに、植付機が上昇すべく構成してなる乗用田植機のバック連動機構において、走行機体を後進させるべく変速レバーを傾倒させた姿勢に変速レバーを保持するための後進姿勢保持手段を具備することとした。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 走行機体の後部に植付機を昇降可能に配設するとともに、走行機体に、変速操作をするための変速レバーと、植付機の昇降操作をするための植付昇降レバーとを配設し、変速レバーと植付昇降レバーとをレバー連動機構を介して連動連結して、走行機体を後進させるべく変速レバーを傾倒操作すると、それに連動して植付昇降レバーが植付機を上昇させるべく姿勢変更するとともに、植付機が上昇すべく構成してなる乗用田植機のバック連動機構において、走行機体を後進させるべく変速レバーを傾倒させた姿勢に変速レバーを保持するための後進姿勢保持手段を具備することを特徴とする乗用田植機のバック連動機構。
【請求項2】 変速レバーに連動連結したディテントアームと植付昇降レバーに連動連結したディテント板とを係脱自在とするとともに、植付昇降レバーの姿勢を植付機が上昇する姿勢となるように植付昇降レバーを傾倒させるべく付勢する一方、変速レバーの姿勢を走行機体が前進する姿勢となるように変速レバーを傾倒させるべく付勢し、走行機体を後進させるべく変速レバーを傾倒操作すると、ディテントアームとディテント板との係合が解除されて、植付昇降レバーが植付機を上昇させるべく姿勢変更するとともに、植付機が上昇すべく構成してなる乗用田植機のバック連動機構において、走行機体を後進させるべく変速レバーを傾倒操作して、植付昇降レバーが植付機を上昇させるべく傾倒した場合に、ディテントアームをディテント板の近傍に位置させて、変速レバーの姿勢を変更しようとしても、ディテントアームがディテント板に当接して、変速レバーの姿勢を保持すべく構成したことを特徴とする乗用田植機のバック連動機構。
【請求項3】 植付機を昇降させるための昇降機構を構成するリンクを走行機体に回動自在に配設し、同リンクの回動軸と植付昇降レバーとの間に、植付昇降レバーの姿勢を植付機が上昇する姿勢となるように植付昇降レバーを傾倒させるべく付勢するための植付昇降レバー付勢手段を設ける一方、前記リンクの回動軸と変速レバーとの間に、変速レバーの姿勢を走行機体が前進する姿勢となるように変速レバーを傾倒させるべく付勢するための変速レバー付勢手段を設けたことを特徴とする請求項2記載の乗用田植機のバック連動機構。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、乗用田植機に関するものであり、特に、走行機体を後進させるべく変速レバーを傾倒操作すると、それに連動して植付機が上昇するように構成したバック連動機構に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来の乗用田植機は、走行機体の後部に植付機を昇降機構を介して昇降可能に配設し、走行機体に運転操作部を設け、同運転操作部に、走行機体の変速操作をするための変速レバーと、植付機の昇降操作をするための植付昇降レバーをそれぞれ配設していた。
【0003】そして、変速レバーと植付昇降レバーとをレバー連動機構を介して連動連結して、走行機体を後進させるべく変速レバーを傾倒操作すると、それに連動して植付昇降レバーが植付機を上昇させるべく姿勢変更するとともに、植付機が上昇するように構成しており、走行機体を後進させる際に、植付機の下端部が圃場や畦に衝突するのを防止して、植付機の破損を未然に防止するようにしていた。
【0004】かかる乗用田植機のバック連動機構は、具体的には、変速レバーにディテントアームを連動連結する一方、植付昇降レバーにディテント板を連動連結し、同ディテント板と前記ディテントアームとを係脱自在とするとともに、ディテント板と機体フレームとの間に付勢スプリングを介設して、植付昇降レバーの姿勢を植付機が上昇する姿勢となるように植付昇降レバーを傾倒させるべく付勢する一方、ディテントアームと機体フレームとの間に付勢スプリングを介設して、変速レバーの姿勢を走行機体が前進する姿勢となるように変速レバーを傾倒させるべく付勢し、付勢スプリングの付勢力に抗して走行機体を後進させるべく変速レバーを傾倒操作すると、ディテントアームがディテント板から離反して、ディテントアームとディテント板との係合が解除され、植付昇降レバーが植付機を上昇させるべく姿勢変更し、それに連動して、植付機が上昇するように構成していた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記従来の乗用田植機のバック連動機構にあっては、植付機が上昇すべく植付昇降レバーを傾倒させた状態では、ディテントアームがディテント板から大きく離反しており、ディテントアームとディテント板との間に広い間隙が形成されていた。
【0006】そのため、ディテントアームがディテント板に近接する方向、すなわち、変速レバーが走行機体を前進させるべく傾倒する方向に移動できてしまい、植付機が上昇すべく植付昇降レバーを傾倒させた状態のままで、オペレータの身体が誤って変速レバーに触れると、走行機体を後進させるべく変速レバーを傾倒させた姿勢に変速レバーを保持することができずに、変速レバーが中立の状態となって走行機体の後進が停止してしまったり、さらには、変速レバーが走行機体を前進させるべく傾倒されてしまい、乗用田植機がオペレータの意に反して前進してしまうおそれがあった。
【0007】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明では、走行機体の後部に植付機を昇降可能に配設するとともに、走行機体に、変速操作をするための変速レバーと、植付機の昇降操作をするための植付昇降レバーとを配設し、変速レバーと植付昇降レバーとをレバー連動機構を介して連動連結して、走行機体を後進させるべく変速レバーを傾倒操作すると、それに連動して植付昇降レバーが植付機を上昇させるべく姿勢変更するとともに、植付機が上昇すべく構成してなる乗用田植機のバック連動機構において、走行機体を後進させるべく変速レバーを傾倒させた姿勢に変速レバーを保持するための後進姿勢保持手段を具備することを特徴とする乗用田植機のバック連動機構を提供するものである。
【0008】特に、変速レバーに連動連結したディテントアームと植付昇降レバーに連動連結したディテント板とを係脱自在とするとともに、植付昇降レバーの姿勢を植付機が上昇する姿勢となるように植付昇降レバーを傾倒させるべく付勢する一方、変速レバーの姿勢を走行機体が前進する姿勢となるように変速レバーを傾倒させるべく付勢し、走行機体を後進させるべく変速レバーを傾倒操作すると、ディテントアームとディテント板との係合が解除されて、植付昇降レバーが植付機を上昇させるべく姿勢変更するとともに、植付機が上昇すべく構成してなる乗用田植機のバック連動機構において、走行機体を後進させるべく変速レバーを傾倒操作して、植付昇降レバーが植付機を上昇させるべく傾倒した場合に、ディテントアームをディテント板の近傍に位置させて、変速レバーの姿勢を変更しようとしても、ディテントアームがディテント板に当接して、変速レバーの姿勢を保持すべく構成することとした。
【0009】また、植付機を昇降させるための昇降機構を構成するリンクを走行機体に回動自在に配設し、同リンクの回動軸と植付昇降レバーとの間に、植付昇降レバーの姿勢を植付機が上昇する姿勢となるように植付昇降レバーを傾倒させるべく付勢するための植付昇降レバー付勢手段を設ける一方、前記リンクの回動軸と変速レバーとの間に、変速レバーの姿勢を走行機体が前進する姿勢となるように変速レバーを傾倒させるべく付勢するための変速レバー付勢手段を設けることとした。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明に係る乗用田植機のバック連動機構は、走行機体の後部に植付機を昇降可能に配設するとともに、走行機体に、変速操作をするための変速レバーと、植付機の昇降操作をするための植付昇降レバーとを配設し、変速レバーと植付昇降レバーとをレバー連動機構を介して連動連結して、走行機体を後進させるべく変速レバーを傾倒操作すると、それに連動して植付昇降レバーが植付機を上昇させるべく姿勢変更するとともに、植付機が上昇すべく構成したものである。
【0011】具体的には、変速レバーに連動連結したディテントアームと植付昇降レバーに連動連結したディテント板とを係脱自在とするとともに、植付昇降レバーの姿勢を植付機が上昇する姿勢となるように植付昇降レバーを傾倒させるべく付勢する一方、変速レバーの姿勢を走行機体が前進する姿勢となるように変速レバーを傾倒させるべく付勢し、走行機体を後進させるべく変速レバーを傾倒操作すると、ディテントアームとディテント板との係合が解除されて、植付昇降レバーが植付機を上昇させるべく姿勢変更するとともに、植付機が上昇すべく構成したものである。
【0012】そして、走行機体を後進させるべく変速レバーを傾倒させた姿勢に変速レバーを保持するための後進姿勢保持手段を設けたものである。
【0013】そのため、変速レバーを後進姿勢に姿勢変更するのに連動して植付昇降レバーが上昇姿勢に姿勢変更した後に、オペレータの身体が誤って変速レバーに触れても、変速レバーを後進姿勢に保持することができ、走行機体を後進させた状態に保持することができ、安全性を向上させることができるものである。
【0014】特に、走行機体を後進させるべく変速レバーを傾倒操作して、植付昇降レバーが植付機を上昇させるべく傾倒した場合に、ディテントアームをディテント板の近傍に位置させて、変速レバーの姿勢を変更しようとしても、ディテントアームがディテント板に当接して、変速レバーの姿勢を保持すべく構成することによって、簡単な構成でありながら、変速レバーを後進姿勢に保持でき、安全性を向上させることができるものである。
【0015】また、本発明では、植付機を昇降させるための昇降機構を構成するリンクを走行機体に回動自在に配設し、同リンクの回動軸と植付昇降レバーとの間に、植付昇降レバーの姿勢を植付機が上昇する姿勢となるように植付昇降レバーを傾倒させるべく付勢するための植付昇降レバー付勢手段を設ける一方、前記リンクの回動軸と変速レバーとの間に、変速レバーの姿勢を走行機体が前進する姿勢となるように変速レバーを傾倒させるべく付勢するための変速レバー付勢手段を設けることによって、付勢手段を取付けるための取付部材が必要なくなり、乗用田植機を構成する部品点数を削減でき、組立作業性を向上することができるとともに製造費の低廉化を図ることができるものである。
【0016】
【実施例】以下に、本発明の実施例について図面を参照しながら具体的に説明する。
【0017】本発明に係る乗用田植機1は、図1に示すように、自走可能に構成した走行機体2の後部に植付機3を昇降機構4を介して昇降可能に連設している。
【0018】走行機体2は、図1に示すように、機体フレーム5の下部に走行部6を配設する一方、機体フレーム5の前側上部に原動機部7を配設し、同原動機部7の直後方位置に運転操作部8を配設している。
【0019】機体フレーム5は、図1及び図2に示すように、前後方向に向けて伸延させた左右一対の断面矩形状のメインパイプ9,10と、同メインパイプ9,10の前端部間に左右幅方向に向けて伸延させた状態で架設した中空円筒状の前端パイプ11とから構成している。
【0020】また、機体フレーム5は、メインパイプ9,10の前側中途部間に左右幅方向に向けて伸延させた円筒状のエンジン支持パイプ12を架設し、同エンジン支持パイプ12の中央部と前端パイプ11の中央部との間に前後方向に伸延させたエンジン支持板13を架設する一方、エンジン支持パイプ12の中央後部に左右一対のミッション支持ブラケット14,15を取付け、更には、メインパイプ9,10の後部を前低後高の傾斜状に形成し、同メインパイプ9,10の後端部に前高後低の傾斜状に伸延させた左右一対の断面矩形状の傾斜パイプ16,17の前端部を連設し、前記エンジン支持パイプ12に取付けたミッション支持ブラケット14,15と傾斜パイプ16,17の後端部との間に前後方向に伸延させたミッションケース18を架設している。図中、19はメインパイプ9,10の中途部間に架設した門型状の座席支持パイプ、20,21はメインパイプ9,10の中途部に左右幅方向に伸延させた状態で取付けたステップ支持パイプ、22は機体の前後の重量バランスを調節するための左右一対のウエイト、23は回り植え用マーカー、24はセンターマーカーである。
【0021】走行部6は、図1及び図2に示すように、ミッションケース18の前側部にフロントアクスルケース25を一体的に形成し、同フロントアクスルケース25に左右一対の前車輪26,27を連動連結する一方、ミッションケース18の後側部にリアアクスルケース28を一体的に形成し、同リアアクスルケース28に左右一対の後車輪29,30を連動連結している。
【0022】原動機部7は、図1及び図2に示すように、エンジン支持板13の上部に原動機としてのエンジン31を載置し、同エンジン31にミッションケース18を連動連結している。
【0023】また、原動機部7は、エンジン31の直上方位置に燃料タンク32を配設するとともに、エンジン31をボンネット33で被覆しており、同ボンネット33の左右側方位置には、予備の苗を載置しておくための予備苗載台34,34を配設している。
【0024】運転操作部8は、図1に示すように、ボンネット33にステアリングポスト35を立設し、同ステアリングポスト35の上端にステアリングホイール36を配設し、同ステアリングホイール36の直後方位置に座席37を配設している。
【0025】また、運転操作部8は、ボンネット33の左側部に、走行機体2の変速操作をするための変速レバー38と機体の外部からもクラッチ操作ができるようにしたクラッチレバー39とを前後方向に向けて揺動操作可能に配設するとともに、クラッチペダル40を踏み込み操作可能に配設する一方、座席37の右側部に植付機3の昇降操作をするための植付昇降レバー41を前後方向に向けて揺動操作可能に配設している。
【0026】そして、変速レバー38と植付昇降レバー41とは、後述するレバー連動機構42を介して連動連結されており、走行機体2を後進させるべく変速レバー38を後方に向けて傾倒操作すると、それに連動して植付昇降レバー41が植付機3を上昇させるべく姿勢変更するとともに植付機3を上昇させるといった動作を行うバック連動機構43が乗用田植機1に設けられている。かかるバック連動機構43の詳細な構造については後に説明する。
【0027】また、運転操作部8は、ボンネット33の左右側部に左右一対のフロントステップ44,44を配設する一方、座席37の下部から左右側部にかけてカバー体45を配設しており、フロントステップ44,44とカバー体45とによって床部を形成している。図中、46はカバー体45に形成した昇降ステップである。
【0028】植付機3は、図1に示すように、昇降機構4の後部に植付作業装置53を連結し、同植付作業装置53の上部に苗載台47を前高後低の傾斜状に載設している。図中、48はフロートである。
【0029】そして、図2に示すように、ミッションケース18の中途部から後方に向けて突出するPTO出力軸49の先端部にPTOジョイント50の基端部を連動連結し、同PTOジョイント50の先端部に中継軸51の基端部を連動連結し、同中継軸51の先端部に伝導軸52の基端部を連動連結し、同伝導軸52の先端部を植付作業装置53に連動連結して、動力を植付機3に伝達している。
【0030】昇降機構4は、図1に示すように、走行機体2の後部の傾斜パイプ16,17の上部間に上下回動自在に取付けた左右一対のアッパーリンク54,54と傾斜パイプ16,17の中途部間に上下回動自在に取付けた左右一対のロアリンク55,55とで平行リンクを構成し、ロアリンク55,55に連結した左右一対の昇降リンク56,56を昇降シリンダー(図示省略)で前後に回動させることによって植付機3を昇降させるようにしている。
【0031】次に、本発明の特徴を最もよく現すバック連動機構43の構造について図3〜図9に基づいて詳細に説明する。
【0032】バック連動機構43は、ステアリングポスト35の基端部に左右幅方向に向けて伸延させた変速軸57を回動自在に設け、同変速軸57に変速レバー38の基端部を取付けて、変速レバー38を、前方から後方に向けて傾倒することによって順に、走行機体2を前進させるための前進姿勢、走行機体2を停止させるための中立姿勢、植付作業を行うための植付姿勢、走行機体2を後進させるための後進姿勢とに姿勢変更できるように構成する一方、右側のメインパイプ10の後側下部に左右幅方向に伸延させた植付昇降レバー支持軸58を取付け、同植付昇降レバー支持軸58に植付昇降レバー41の基端部を前後揺動自在に取付けて、植付昇降レバー41を、前方から後方に向けて傾倒することによって順に、走行機体2を高速で前進走行させながら植付作業を行うための高速側植付姿勢、走行機体2を低速で前進走行させながら植付作業を行うための低速側植付姿勢、エンジン31から植付機3への動力の伝達を遮断するとともに植付機3を降下させる降下姿勢、中立姿勢、植付機3を上昇させる上昇姿勢とに姿勢変更できるように構成し、変速レバー38と植付昇降レバー41とをレバー連動機構42を介して連動連結している。
【0033】変速レバー38は、変速軸57に嵌入したボス59に側面視略コ字状の変速レバー支持体60を取付け、同変速レバー支持体60に変速レバー本体61の基端部を左右幅方向に揺動自在に取付け、同変速レバー本体61の基端部と変速レバー支持体60との間に変速レバー本体61を右方向に付勢する付勢スプリング62を介設し、さらには、ボス59の左端部に側面視略く字状の変速アーム63の基端部を取付け、同変速アーム63の中途部をミッションケース18に変速連動機構64を介して連動連結している。図中、65は変速レバー本体61の先端部に取付けたグリップである。
【0034】植付昇降レバー41は、植付昇降レバー支持軸58にボス66を遊嵌し、同ボス66に植付昇降レバー支持体67の下部を取付け、同植付昇降レバー支持体67の上部に植付昇降レバー本体68を取付けている。図中、69は植付昇降レバー本体68の先端部に取付けたグリップである。
【0035】レバー連動機構42は、右側のメインパイプ10の後部であって、かつ、植付昇降レバー支持軸58よりも前方に左右幅方向に向けて伸延させたディテントアーム支持軸70を取付け、同ディテントアーム支持軸70に前高後低の傾斜状に伸延させたディテントアーム71の基端部を取付け、同ディテントアーム71の先端部にディテントローラー72を回動自在に取付けるとともに、ディテントアーム71の先端部とロアリンク55の回動軸73との間に付勢スプリング74を介設して変速レバー38を前方に向けて付勢し、さらには、ディテントアーム支持軸70にディテントアーム71と一体的に回動する連動アーム75の基端部を取付け、同連動アーム75の先端部と変速アーム63の先端部との間に連動ワイヤー76を介設し、一方、植付昇降レバー41のボス66の左端部に側面視略扇状のディテント板77を取付けるとともに、植付昇降レバー41の植付昇降レバー本体68の基端部とロアリンク55の回動軸73との間に付勢スプリング78を介設して植付昇降レバー41を後方に向けて付勢している。
【0036】そして、変速レバー38が前進姿勢、中立姿勢、植付姿勢にある場合には、連動ワイヤー76が弛緩した状態となっており、付勢スプリング74の付勢力によってディテントアーム71の先端部のディテントローラー72がディテント板77の側面に形成した凹凸状の係合部79に係合しており(図7参照)、変速レバー38を後方に向けて傾倒して後進姿勢に姿勢変更した場合には(図8参照)、付勢スプリング74の付勢力に抗して連動ワイヤー76が前方に向けて緊張した状態となり、ディテントアーム71が前方に向けて回動し、それによってディテントアーム71とディテント板77との係合が解除され、付勢スプリング78の付勢力によって植付昇降レバー41が後方に向けて傾倒し(図9参照)、それに連動して、植付昇降レバー41の基端部に取付けたスプール操作板80が昇降機構4に設けた油圧シリンダーを昇降操作するための油圧バルブ81のスプール82を操作して、昇降機構4によって植付機3が上昇するようにしている。
【0037】その際に、ディテントアーム71のディテントローラー72がディテント板77の係合部79の下方に形成した円弧状の当接部83に近接しており、その状態で、変速レバー38を前方に傾倒させて後進姿勢から植付姿勢や中立姿勢や前進姿勢に姿勢変更しようとしても、ディテントローラー72がディテント板77の当接部83に当接して、変速レバー38の前方への傾倒が阻止され、これによって、変速レバー38の姿勢を後進姿勢に保持するようにしている。
【0038】このように、ディテント板77に円弧状の当接部83を形成するとともに、変速レバー38を後進姿勢に姿勢変更した際に、ディテントアーム71のディテントローラー72がディテント板77の当接部83に近接するように構成することによって、ディテント板77の当接部83が変速レバー38を後進姿勢に保持するための後進姿勢保持手段として機能するようにしている。
【0039】本実施例では、変速レバー38の基端部にも変速レバー38を後進姿勢に保持するための後進姿勢保持手段を設けている。
【0040】すなわち、図4〜図6に示すように、ステアリングポスト35に取付けたガイド板84に長孔状のガイド孔85を形成し、同ガイド孔85に変速レバー38の変速レバー本体61を挿通して同ガイド孔85に沿って変速レバー38が姿勢変更するようにする一方、ガイド板84の後方下部に板バネ状のレバー保持部材86を取付け、同レバー保持部材86の先端部を変速レバー38に向けて突出させ、同レバー保持部材86の先端部で変速レバー38の変速レバー本体61を後進姿勢で保持するようにしている。図中、87は支持体、88は固定用ボルトである。
【0041】このように、本実施例では、走行機体2を後進させるべく変速レバー38を傾倒させた姿勢(後進姿勢)に変速レバー38を保持するための後進姿勢保持手段を設けているため、変速レバー38を後進姿勢に姿勢変更して、植付昇降レバー41を上昇姿勢に姿勢変更した後に、オペレータの身体が誤って変速レバー38に触れても、変速レバー38を後進姿勢に保持することができ、走行機体2を後進させた状態に保持することができ、これによって、従来のように変速レバー38が中立姿勢に姿勢変更してしまい走行機体2の後進が停止してしまったり、或いは、変速レバー38が前進姿勢に姿勢変更してしまい走行機体2がオペレータの意に反して前進してしまうのを防止することができ、安全性を向上させることができる。
【0042】特に、ディテントアーム71がディテント板77に当接することによって、変速レバー38を後進姿勢のまま保持するように構成することによって、簡単な構成でありながら、変速レバー38を後進姿勢に保持でき、安全性を向上させることができる。
【0043】また、本実施例では、植付昇降レバー41の姿勢を植付機が上昇する姿勢(上昇姿勢)となるように植付昇降レバー41を後方に向けて傾倒させるべく付勢するための植付昇降レバー付勢手段としての付勢スプリング78と、変速レバー38の姿勢を走行機体2が前進する姿勢(前進姿勢)となるように変速レバー38を前方に向けて傾倒させるべく付勢するための変速レバー付勢手段としての付勢スプリング62とを、昇降機構4のロアリンク55の回動軸73にそれぞれ取付けているため、付勢スプリング62,78を取付けるための取付部材が必要なくなり、乗用田植機1を構成する部品点数を削減でき、組立作業性を向上することができるとともに製造費の低廉化を図ることができる。
【0044】
【発明の効果】本発明は、以上説明したような形態で実施され、以下に記載されるような効果を奏する。
【0045】すなわち、本発明では、バック連動機構を有する乗用田植機において、走行機体を後進させるべく変速レバーを傾倒させた姿勢に変速レバーを保持するための後進姿勢保持手段を設けているため、変速レバーを後進姿勢に姿勢変更するのに連動して植付昇降レバーが上昇姿勢に姿勢変更した後に、オペレータの身体が誤って変速レバーに触れても、変速レバーを後進姿勢に保持することができ、走行機体を後進させた状態に保持することができ、安全性を向上させることができる。
【0046】また、本発明では、変速レバーに連動連結したディテントアームと植付昇降レバーに連動連結したディテント板とを係脱自在とするとともに、植付昇降レバーの姿勢を植付機が上昇する姿勢となるように植付昇降レバーを傾倒させるべく付勢する一方、変速レバーの姿勢を走行機体が前進する姿勢となるように変速レバーを傾倒させるべく付勢し、走行機体を後進させるべく変速レバーを傾倒操作すると、ディテントアームとディテント板との係合が解除されて、植付昇降レバーが植付機を上昇させるべく姿勢変更するとともに、植付機が上昇すべく構成してなる乗用田植機のバック連動機構において、走行機体を後進させるべく変速レバーを傾倒操作して、植付昇降レバーが植付機を上昇させるべく傾倒した場合に、ディテントアームをディテント板の近傍に位置させて、変速レバーの姿勢を変更しようとしても、ディテントアームがディテント板に当接して、変速レバーの姿勢を保持すべく構成することによって、簡単な構成でありながら、変速レバーを後進姿勢に保持でき、安全性を向上させることができる。
【0047】さらに、本発明では、植付機を昇降させるための昇降機構を構成するリンクを走行機体に回動自在に配設し、同リンクの回動軸と植付昇降レバーとの間に、植付昇降レバーの姿勢を植付機が上昇する姿勢となるように植付昇降レバーを傾倒させるべく付勢するための植付昇降レバー付勢手段を設ける一方、前記リンクの回動軸と変速レバーとの間に、変速レバーの姿勢を走行機体が前進する姿勢となるように変速レバーを傾倒させるべく付勢するための変速レバー付勢手段を設けているため、付勢手段を取付けるための取付部材が必要なくなり、乗用田植機を構成する部品点数を削減でき、組立作業性を向上することができるとともに製造費の低廉化を図ることができる。
【出願人】 【識別番号】000006851
【氏名又は名称】ヤンマー農機株式会社
【出願日】 平成12年6月14日(2000.6.14)
【代理人】 【識別番号】100080160
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 憲一郎
【公開番号】 特開2001−352810(P2001−352810A)
【公開日】 平成13年12月25日(2001.12.25)
【出願番号】 特願2000−178499(P2000−178499)