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【発明の名称】 移植機
【発明者】 【氏名】渡里 圭介

【氏名】高見 幸徳

【氏名】布野 隆

【要約】 【課題】苗載台を折畳み状に格納可能な移植機において、手作業による縦送り駆動軸の位置決めや連結作業を不要にして苗載台の展開作業を簡略化する。

【解決手段】複数の苗載台5のうち、端部側を折畳み状に格納可能な可動苗載台5Aに構成するにあたり、縦送りレバー軸20を、可動苗載台5Aと共に折畳み状に格納される可動縦送りレバー軸20Aと、固定苗載台5Bに支持される固定縦送りレバー軸20Bと、回動角が一致した時点で両縦送りレバー軸20A、20Bを自動的に連結する弾性位置決め機構27とで構成する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 左右方向に並列する複数条の苗載台に、該苗載台に載置された苗を所定のタイミングで縦送りする縦送り機構をそれぞれ設けると共に、複数の縦送り機構を、苗載台の裏面に左右方向を向いて設けられる縦送り駆動軸の回動に応じて縦送り作動させる移植機において、前記複数の苗載台のうち、端部側の苗載台を折畳み状に格納可能な可動苗載台に構成するにあたり、前記縦送り駆動軸を、可動苗載台と共に折畳み状に格納される可動縦送り駆動軸と、固定苗載台に支持される固定縦送り駆動軸と、回動角が一致した時点で両縦送り駆動軸を自動的に連結する弾性位置決め機構とで構成したことを特徴とする移植機。
【請求項2】 請求項1において、固定縦送り駆動軸と可動縦送り駆動軸との位置決めを、一方の縦送り駆動軸に設けられる凸部と、他方の縦送り駆動軸に設けられる凹部との嵌合に基づいて行うにあたり、可動縦送り駆動軸もしくは固定縦送り駆動軸に、凸部もしくは凹部を有する位置決め部材を軸方向進退自在に設けると共に、該位置決め部材を他方の縦送り駆動軸に向けて付勢することを特徴とする移植機。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、苗載台を折畳み状に格納可能な移植機の技術分野に属するものである。
【0002】
【従来技術】近来、多条の移植が可能な移植機においては、機体運搬時や機体格納時の左右幅を可及的に縮小すべく、苗載台を折畳み状に格納することが提唱されているが、この様なものでは、苗載台の裏面に設けられる縦送り駆動軸を、可動苗載台と共に折畳み状に格納される可動縦送り駆動軸と、固定苗載台に支持される固定縦送り駆動軸とに分割形成する必要がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかるに、苗載台展開時に、回動角が一致しない状態で可動縦送り駆動軸と固定縦送り駆動軸とを連結させると、可動苗載台側と固定苗載台側とで縦送り量にバラツキが生じるため、苗載台展開時においては、回動角を一致させつつ両縦送り駆動軸を止め具で連結するという面倒な作業が要求される許りでなく、両縦送り駆動軸の回動角が一致しない状態で無理に苗載台を展開させると、縦送り駆動軸の連結部を破損する可能性があった。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記の如き実情に鑑みこれらの課題を解決することを目的として創作されたものであって、左右方向に並列する複数条の苗載台に、該苗載台に載置された苗を所定のタイミングで縦送りする縦送り機構をそれぞれ設けると共に、複数の縦送り機構を、苗載台の裏面に左右方向を向いて設けられる縦送り駆動軸の回動に応じて縦送り作動させる移植機において、前記複数の苗載台のうち、端部側の苗載台を折畳み状に格納可能な可動苗載台に構成するにあたり、前記縦送り駆動軸を、可動苗載台と共に折畳み状に格納される可動縦送り駆動軸と、固定苗載台に支持される固定縦送り駆動軸と、回動角が一致した時点で両縦送り駆動軸を自動的に連結する弾性位置決め機構とで構成したことを特徴とするものである。つまり、手作業による縦送り駆動軸の位置決めや連結作業が不要になるため、苗載台の展開作業を簡略化することができる。また、固定縦送り駆動軸と可動縦送り駆動軸との位置決めを、一方の縦送り駆動軸に設けられる凸部と、他方の縦送り駆動軸に設けられる凹部との嵌合に基づいて行うにあたり、可動縦送り駆動軸もしくは固定縦送り駆動軸に、凸部もしくは凹部を有する位置決め部材を軸方向進退自在に設けると共に、該位置決め部材を他方の縦送り駆動軸に向けて付勢することを特徴とするものである。つまり、縦送り駆動軸の回動角が一致しない状態では位置決め部材が退避するため、苗載台展開時に縦送り駆動軸の連結部を破損する不都合がない。
【0005】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施の形態の一つを図面に基づいて説明する。図面において、1は乗用田植機(移植機)の走行機体であって、該走行機体1の後部には、昇降リンク機構2を介して8条植えの移植部3が昇降自在に連結されている。そして、移植部3は、昇降リンク機構2の後端部に左右傾斜自在に支持される移植部フレーム4、該移植部フレーム4の上方に前高後低状に設けられる苗載台5、該苗載台5から苗を掻取って圃場に移植するプランタアーム6、田面を滑走するフロート7等を備えるが、これらの基本構成は何れも従来通りである。
【0006】前記苗載台5は、載置苗を下側後方に滑りガイドすべく前高後低状に傾斜すると共に、プランタアーム6の掻取タイミングに合わせて左右往復方向に強制的に横送りされるものであるが、本実施形態の苗載台5は、8条分の苗載部のうち、左右両端部の各2条分を形成する左右一対の可動苗載台5Aと、中央側の4条分を形成する固定苗載台5Bとに分割形成されている。そして、左右の可動苗載台5Aは、それぞれ折畳みリンク機構(図示せず)を介して固定苗載台5Bに連結されているため、固定苗載台5Bの後方重合位置に可動苗載台5Aを折畳み状に格納することができるようになっている。
【0007】8は移植部フレーム4の上方に所定間隔を存して並設される苗載台横送り軸であって、該苗載台横送り軸8の外周面には、方向が異なる2本の螺旋溝が刻設されると共に、螺旋溝に噛合するスライドピース9が外嵌している。そして、前記スライドピース9は、固定苗載台5Bに回動規制状態で連結されるため、苗載台横送り軸8の一方向回転に伴ってスライドピース9が左右往復移動し、これに追随して苗載台5が前述の様に左右往復方向に強制的に横送りされるようになっている。また、苗載台横送り軸8の一端部には、縦送カム10が一体的に設けられており、該縦送りカム10は、苗載台5が横送り端に達した際に、苗載台5側に設けられる後述の縦送りレバー11を叩き上げるようになっている。
【0008】12は苗載台5の各条に設けられる縦送り機構であって、該縦送り機構12は、苗載台5の裏側に左右方向を向いて設けられる駆動ローラ軸13、該駆動ローラ軸13の上方に並設される従動ローラ軸14、各ローラ軸13、14にそれぞれ設けられる駆動ローラ15および従動ローラ16、両ローラ15、16間に懸回される突起付の縦送りベルト17、駆動ローラ軸13に一方向クラッチ18を介して連結される駆動レバー19等を備えている。そして、縦送りベルト17は、その張り側が苗載台5の苗載面上に沿っているため、駆動レバー19(駆動ローラ軸13)の回動に伴って苗載面上のマット苗を強制的に縦送りするが、各駆動レバー19は、2条分の縦送り機構12を同時に縦送り駆動するようになっている。
【0009】20は前記駆動ローラ軸13と従動ローラ軸14との間に並設される縦送りレバー軸(縦送り駆動軸)であって、該縦送りレバー軸20の中央部には、左右方向に所定間隔(苗載台横送りストロークに対応した間隔)を存して一対の縦送りレバー11が一体的に設けられているが、さらに縦送りレバー軸20には、連結リンク21を介して前記駆動レバー19に連動連結される複数の連結レバー22が一体的に設けられている。即ち、前述した縦送りカム10が縦送りレバー11を叩き上げると、縦送りレバー軸20の回動に伴って連結レバー22が駆動レバー19を引き上げ、このとき一方向クラッチ18はクラッチ入り方向に回動するため、駆動ローラ軸13を一体的に回動させて縦送りベルト17を所定ピッチだけ縦送りすることになるが、図示しない戻し弾機の付勢力で縦送りレバー11が下方に復帰回動した際には、一方向クラッチ18がクラッチ切り方向に回動するため、駆動ローラ軸13および縦送りベルト17は停止状態を維持するようになっている。
【0010】23は縦送り停止ワイヤ24を介して条止めレバー25に連結される条止めプレートであって、該条止めプレート23に突設されるピン23aは、前記連結リンク21の上端部に形成される長孔21aに係合している。つまり、条止めレバー25を条止め側に操作した場合には、条止めプレート23がピン23aを介して連結リンク21を引き上げ状態に保持するため、縦送りレバー11の叩き上げ動作に拘わらず縦送りベルト17の縦送り動作を停止させることができるようになっている。また、26は前記条止めレバー25をプランタクラッチに連結するプランタ停止ワイヤであって、該プランタ停止ワイヤ26は、条止めレバー25の条止め操作に伴い、プランタクラッチを切って対応する2条分のプランタアーム6を停止させるようになっている。
【0011】また、前記縦送りレバー軸20は、苗載台5の折畳み格納に対応すべく、可動苗載台5A側に設けられる可動縦送りレバー軸20Aと、固定苗載台5B側に設けられる固定縦送りレバー軸20Bとに分割されるが、両縦送りレバー軸20A、20B間には、回動角が一致する状態で軸同志を連結させる弾性位置決め機構27が介設されている。
【0012】前記弾性位置決め機構27は、各縦送りレバー軸20A、20Bの連結側端部に設けられる位置決め部材28、29を備え、そして、一方の位置決め部材28に形成される凹部28aと、他方の位置決め部材29に形成される凸部29aとの嵌合に基づいて両縦送りレバー軸20A、20Bを位置決め状に連結するが、一方の位置決め部材28は、軸回り方向に回動不能で、且つ軸方向進退自在に設けられると共に、他方の位置決め部材29に向けて弾機30で付勢されている。つまり、両縦送りレバー軸20A、20Bの回動角が一致しない状態では位置決め部材28が退避するため、苗載台展開時に弾性位置決め機構27が破損する不都合がなく、しかも、回動角が一致した時点で両縦送りレバー軸20A、20Bを自動的に連結させるため、手作業による位置決めや連結作業を不要にして苗載台5の展開作業を簡略化することができるようになっている。尚、凹部28aの入口部および凸部29aの先端部には、嵌合を促進するテーパーが形成されており、そのため、加工誤差や組立誤差に起因する嵌合不良を回避することができるようになっている。
【0013】前記位置決め部材28、29同志は、一箇所でのみ嵌合するように凹部28aおよび凸部29aが形成されており、そのため、複数箇所で嵌合を許容するものの様に、回動角が一致しない状態で両縦送りレバー軸20A、20Bが連結して固定側と可動側の縦送り量にバラツキが生じる不都合を回避することができ、しかも、苗載台折畳み時においては、奥まった位置に設けられる縦送りレバー11の角度を、凹部28aの角度から推定することができるため、何らかのトラブルに基づいて縦送りレバー11の角度が適正でない場合に、これを容易に判断できる利点がある。
【0014】また、前記弾機30は、位置決め部材28の退避によって蓄勢される一方、該蓄勢力で位置決め部材28を嵌合位置に復帰させるが、嵌合状態でも位置決め部材28が位置決め部材29を押圧するように初期付勢力が設定されているため、移植作業中に嵌合が外れて縦送り量にバラツキが生じたり、縦送り不良で欠株が生じる不都合を回避することができるようになっている。
【0015】31は前記苗載台5の下端部に沿って設けられるエプロンであって、該エプロン31は、苗載台5の下端部で苗を受止めると共に、プランタアーム6による苗の掻取りを許容すべく複数の掻取口を有するものであるが、リンク機構32を介して連動連結される掻取量調節レバー33(植付本数調節レバー)の操作に応じて上下に平行移動するように構成されている。即ち、エプロン31を上下させると、プランタアーム6との相対位置が変化し、該相対位置変化に応じてプランタアーム6の掻取量が増減するようになっている。
【0016】34は前記リンク機構32と後述する縦送り量調節機構35とを連動連結させる連結ワイヤであって、該連結ワイヤ34は、アウタチューブ34aにインナワイヤ34bを挿通して形成されるものであるが、アウタチューブ34aの両端部は、それぞれアジャスタボルト36(連結ワイヤ調整手段)を介して固定されている。つまり、縦送り量調節機構35を、連結ワイヤ34を介して掻取量調節レバー33に連動連結するにあたり、縦送り量調節機構35側および掻取量調節レバー33側にアジャスタボルト36を設けているため、連結ワイヤ34の調整を2箇所で行うことができ、その結果、作業が容易な箇所を選択可能にしてワイヤ調整の作業性を向上させることができるようになっている。
【0017】前記縦送り量調節機構35は、縦送りレバー軸20に一体的に設けられる縦送り量調節アーム37、該縦送り量調節アーム37に突設されるピン37a、該ピン37aを長孔38aを介して吊持する吊持部材38等で構成されている。そして、吊持部材38は、前記連結ワイヤ34に連結されているため、掻取量調節レバー33の操作に応じて縦送り量調節アーム37を回動させて、縦送りレバー軸20および縦送りレバー11の初期角度を変化させることになる。つまり、縦送りレバー11の初期角度を変化させると、縦送りカム10による縦送りレバー11の叩き上げストロークが変化し、それに伴って縦送り機構12の縦送り量が調節されるようになっている。
【0018】さて、前記縦送りレバー軸20に縦送りレバー11および縦送り量調節機構35を設けるにあたり、固定縦送りレバー軸20B側に縦送りレバー11を設ける一方、可動縦送りレバー軸20A側に縦送り量調節機構35を設けている。即ち、固定縦送りレバー軸20B側に、縦送りレバー11および縦送り量調節機構35を設けたものでは、苗載台5の折畳みに伴って分離した可動縦送りレバー軸20Aの回動角が固定縦送りレバー軸20Bの回動範囲から外れる可能性があるため、苗載台展開後に縦送りレバー11を作動させても、両縦送りレバー軸20A、20Bの回動角が一致せずに前記弾性位置決め機構27が非連結状態を維持する可能性があるが、上記の如く固定縦送りレバー軸20B側に縦送りレバー11を設ける一方、固定縦送りレバー軸20B側に縦送りレバー11を設けたものでは、可動縦送りレバー軸20Aの回動角が固定縦送りレバー軸20Bの回動範囲がら外れることがないため、苗載台展開後に縦送りレバー11を一回作動させるだけで、弾性位置決め機構27を確実に連結作動させることができるようになっている。
【0019】叙述の如く構成されたものにおいて、左右方向に並列する複数条の苗載台5に、該苗載台5に載置された苗を所定のタイミングで縦送りする縦送り機構12をそれぞれ設けると共に、複数の縦送り機構12を、苗載台5の裏面に左右方向を向いて設けられる縦送りレバー軸20の回動に応じて縦送り作動させるものであるが、前記複数の苗載台5のうち、端部側を折畳み状に格納可能な可動苗載台5Aに構成するにあたり、前記縦送りレバー軸20を、可動苗載台5Aと共に折畳み状に格納される可動縦送りレバー軸20Aと、固定苗載台5Bに支持される固定縦送りレバー軸20Bと、回動角が一致した時点で両縦送りレバー軸20A、20Bを自動的に連結する弾性位置決め機構27とで構成したため、手作業による縦送りレバー軸20の位置決めや連結作業が不要になり、その結果、苗載台5の展開作業を簡略化することができる。
【0020】また、固定縦送りレバー軸20Bと可動縦送りレバー軸20Aとの位置決めを、一方の縦送りレバー軸20Aに設けられる凸部29aと、他方の縦送りレバー軸20Bに設けられる凹部28aとの嵌合に基づいて行うにあたり、一方の縦送りレバー軸20Bに、凹部28aを有する位置決め部材28を軸方向進退自在に設けると共に、該位置決め部材28を他方の縦送りレバー軸20Aに向けて付勢したため、両縦送りレバー軸20A、20Bの回動角が一致しない状態では位置決め部材28が退避することになり、その結果、苗載台展開時に弾性位置決め機構27を破損する不都合がない。
【出願人】 【識別番号】000001878
【氏名又は名称】三菱農機株式会社
【出願日】 平成12年6月8日(2000.6.8)
【代理人】 【識別番号】100085394
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 哲夫
【公開番号】 特開2001−346415(P2001−346415A)
【公開日】 平成13年12月18日(2001.12.18)
【出願番号】 特願2000−172089(P2000−172089)