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【発明の名称】 移植機
【発明者】 【氏名】渡里 圭介

【氏名】高見 幸徳

【氏名】布野 隆

【要約】 【課題】移植部を折畳み状に格納可能な移植機において、移植部展開時に手作業によるフロート枢支軸の位置決めや連結作業を不要にすると共に、フロート枢支軸間の芯ズレを可及的に小さくして確実な位置決めを行う。

【解決手段】移植部3の左右両端部に設けられる可動プランタケース8A、可動移植部フレーム4A、可動フロート枢支軸10A等を、プランタアーム回動支軸15を回動支点として折畳み状に格納するにあたり、可動フロート枢支軸10Aと固定フロート枢支軸10Bとの間に、回動角が一致した時点で両フロート枢支軸10A、10Bを自動的に連結させる弾性位置決め機構19を介設すると共に、該弾性位置決め機構19を平面視でプランタケース回動支軸15とフレーム止め具17との間に配置する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 プランタアームが設けられる複数のプランタケースを、左右方向に所定間隔を存して複数並設すると共に、該複数のプランタケースのうち、端部側のプランタケースを、プランタケース回動支軸を支点として折畳み状に格納可能な可動プランタケースに構成するにあたり、プランタケースの前端部同志を連結するフレームを、可動プランタケースと共に折畳み状に格納される可動フレームと、固定プランタケースの前端部同志を連結する固定フレームと、可動プランタケース展開時に両フレームを一体的に連結固定するフレーム止め具とで構成した移植機において、前記各プランタケースの下方に、フロート枢支軸の回動角調整に応じて揺動支点が変位するフロートを設けるにあたり、前記フロート枢支軸を、可動プランタケースと共に折畳み状に格納される可動フロート枢支軸と、固定プランタケースに支持される固定フロート枢支軸と、回動角が一致した時点で両フロート枢支軸を自動的に連結させる弾性位置決め機構とで構成し、且つ平面視でプランタケース回動支軸とフレーム止め具との間に配置したことを特徴とする移植機。
【請求項2】 請求項1において、固定フロート枢支軸と可動フロート枢支軸との位置決めを、一方のフロート枢支軸に設けられるテーパーピンと、他方のフロート枢支軸に設けられる係合穴との係合に基づいて行うにあたり、可動フロート枢支軸もしくは固定フロート枢支軸に、テーパーピンもしくは係合穴を有する位置決め部材を軸方向進退自在に設けると共に、該位置決め部材を他方のフロート枢支軸に向けて付勢することを特徴とする移植機。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、移植部を折畳み状に格納可能な移植機の技術分野に属するものである。
【0002】
【従来技術】近来、多条の移植が可能な移植機においては、機体運搬時や機体格納時の左右幅を可及的に縮小すべく、移植部を折畳み状に格納することが提唱されているが、この様なものでは、苗載台のみならず、プランタケース、フレーム、フロート枢支軸等も格納可能に構成する必要がある。そこで、左右方向に所定間隔を存して並設される複数のプランタケースのうち、端部側のプランタケースを、プランタケース回動支軸を支点として折畳み状に格納可能な可動プランタケースに構成すると共に、プランタケースの前端部同志を連結するフレームや、フロートを支持するフロート枢支軸についても、可動プランタケースと共に折畳み状に格納される可動側と、固定プランタケース側に残る固定側とに分割形成することが提案される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかるに、前記フロート枢支軸を、植付深さ調節レバーの操作に応じてフロートの揺動支点を変位させる植付深さ調節部材として機能させるものでは、固定フロート枢支軸の回動角と可動フロート枢支軸の回動角を一致させる必要があるため、移植部展開時においては、フロートを手で上下させながら両フロート枢支軸の回動角を一致させ、しかる後、両フロート枢支軸を止め具で連結するという面倒な作業が要求される許りでなく、両フロート枢支軸の回動角が一致しない状態で無理に移植部を展開させると、フロート枢支軸の連結部を破損する可能性があり、しかも、フロート枢支軸の連結部がプランタケース回動支点から離間しているものでは、移植部展開時に両フロート枢支軸が大きく芯ズレして連結作業がさらに煩雑になる可能性があった。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記の如き実情に鑑みこれらの課題を解決することを目的として創作されたものであって、プランタアームが設けられる複数のプランタケースを、左右方向に所定間隔を存して複数並設すると共に、該複数のプランタケースのうち、端部側のプランタケースを、プランタケース回動支軸を支点として折畳み状に格納可能な可動プランタケースに構成するにあたり、プランタケースの前端部同志を連結するフレームを、可動プランタケースと共に折畳み状に格納される可動フレームと、固定プランタケースの前端部同志を連結する固定フレームと、可動プランタケース展開時に両フレームを一体的に連結固定するフレーム止め具とで構成した移植機において、前記各プランタケースの下方に、フロート枢支軸の回動角調整に応じて揺動支点が変位するフロートを設けるにあたり、前記フロート枢支軸を、可動プランタケースと共に折畳み状に格納される可動フロート枢支軸と、固定プランタケースに支持される固定フロート枢支軸と、回動角が一致した時点で両フロート枢支軸を自動的に連結させる弾性位置決め機構とで構成し、且つ平面視でプランタケース回動支軸とフレーム止め具との間に配置したことを特徴とするものである。つまり、手作業によるフロート枢支軸の位置決めや連結作業が不要になるため、移植部の展開作業を簡略化することができ、しかも、フロート枢支軸(弾性位置決め機構)を平面視でプランタケース回動支軸とフレーム止め具との間に配置しているため、両フロート枢支軸間の芯ズレを可及的に小さくして確実な位置決めを行うことができる。また、固定フロート枢支軸と可動フロート枢支軸との位置決めを、一方のフロート枢支軸に設けられるテーパーピンと、他方のフロート枢支軸に設けられる係合穴との係合に基づいて行うにあたり、可動フロート枢支軸もしくは固定フロート枢支軸に、テーパーピンもしくは係合穴を有する位置決め部材を軸方向進退自在に設けると共に、該位置決め部材を他方のフロート枢支軸に向けて付勢することを特徴とするものである。つまり、両フロート枢支軸の回動角が一致しない状態では位置決め部材が退避するため、移植部展開時にフロート枢支軸の連結部(弾性位置決め機構)を破損する不都合がない。
【0005】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施の形態の一つを図面に基づいて説明する。図面において、1は乗用田植機(移植機)の走行機体であって、該走行機体1の後部には、昇降リンク機構2を介して8条植えの移植部3が昇降自在に連結されている。そして、移植部3は、昇降リンク機構2の後端部に左右傾斜自在に支持される移植部フレーム4、該移植部フレーム4の上方に前高後低状に設けられる苗載台5、該苗載台5から苗を掻取って圃場に移植するプランタアーム6、田面を滑走するフロート7等を備えるが、前記苗載台5に形成される8条分の苗載部のうち、左右両端部の各2条分については、中央側苗載部の後方重合位置に折畳み状に格納することができるように構成されている。
【0006】8は前記移植部3に左右方向に所定間隔を存して複数並設されるプランタケースであって、該プランタケース8は、各プランタケース8の前端部を貫通するプランタ伝動軸9から動力を入力し、該動力を、ケース後端部に設けられる前述のプランタアーム6に伝動するものであるが、各プランタケース8の前端同志は、前記移植部フレーム4を介して一体的に連結されている。
【0007】10は前記プランタケース8の下部に左右方向を向いて配置される回動自在なフロート枢支軸(フロート支持パイプ)であって、該フロート枢支軸10には、各フロート7の後端部を上下揺動自在に支持する複数のフロート支持アーム11が一体的に突設されている。そして、フロート枢支軸10は、左右方向に所定間隔を存して並設されるフロート7を全て支持するが、複数のフロート7のうち、中央に位置するセンターフロート7Cは、移植部3の対地高さを感知する高さ感知フロートとしても機能するように構成されている。即ち、センターフロート7Cの前端部は、図示しない連結機構を介して走行機体1側の移植部昇降バルブ(図示せず)に連繋されており、そして、センターフロート7Cが基準位置よりも下降した場合には、移植部昇降バルブを下降側に切換えて移植部3を下降させる一方、センターフロート7Cが基準位置よりも上昇した場合には、移植部昇降バルブを上昇側に切換えて移植部3を上昇させるため、移植部3の対地高さが一定に保たれるようになっている。尚、12はフロート7の前側を弾性的に吊持するフロート支持弾機である。
【0008】13は移植部3の植付深さを調整する植付深さ調整レバーであって、該植付深さ調整レバー13は、前記フロート枢支軸10に一体的に突設されると共に、レバーガイド14に形成される係合溝14aとの係合に基づいてレバー位置が段階的に保持されるようになっている。つまり、植付深さ調整レバー13を操作すると、フロート枢支軸10およびフロート支持アーム11が一体的に回動するのに伴い、フロート7の揺動支点が上下に変位して前記センターフロート7Cの基準位置を変化させるため、レバー位置の選択操作に基づいて移植部3の植付深さ(基準対地高さ)を段階的に設定することができるようになっている。
【0009】ところで、移植部3の左右両端部に位置する移植部フレーム4A、フロート7A、プランタケース8A、プランタ伝動軸9Aおよびフロート枢支軸10Aは、苗載台5の格納に対応すべく、後述するプランタケース回動支軸15を支点とする一体的な回動に基づいて移植部中央側の後方上方位置に折畳み状に格納可能であり、以下、各部の構造を順次説明する。
【0010】16Aは左右両端側の可動プランタケース8Aに延設される可動側支持アームであって、該可動側支持アーム16Aの先端部は、中央側の固定プランタケース8Bに延設される固定側支持アーム16Bに対し、前記プランタケース回動支軸15を介して回動自在に連結されており、そのため可動プランタケース8Aを、固定プランタケース8Bに並列する展開姿勢と、プランタケース回動支軸15を支点として折畳み状に回動した格納姿勢とに変姿させることができるようになっている。
【0011】また、前記移植部フレーム4は、可動プランタケース8Aと共に折畳み状に格納される可動移植部フレーム4Aと、固定プランタケース8Bの前端部同志を連結する固定移植部フレーム4Bとに分割形成されるが、両フレーム4A、4B間には、可動プランタケース展開時に両フレーム4A、4Bを一体的に連結固定するためのフレーム止め具17が介設されており、そして、このフレーム止め具17は、外側方から可動移植部フレーム4Aを貫通して固定移植部フレーム4Bに螺合可能な螺子杆17aと、該螺子杆17aを回し操作するためのハンドル17bとで構成されている。
【0012】また、プランタ伝動軸9およびフロート枢支軸10も、可動プランタケース8Aと共に折畳み状に格納される可動側9A、10Aと、固定プランタケース8Bに支持される固定側9B、10Bとに分割形成されるが、可動側9A、10Aと固定側9B、10Bとの間には、回動角が一致する状態で軸同志を連結させる位置決め機構18、19が介設されており、以下、本発明の要部であるフロート枢支軸10の弾性位置決め機構19について説明する。
【0013】前記弾性位置決め機構19は、各フロート枢支軸10A、10Bの連結側端部に設けられるフランジ20、21、一方のフランジ20に突設される一対のテーパーピン22、他方のフランジ21に形成される一対の係合穴21a等を備えており、該係合穴21aに対するテーパーピン22の係合に基づいて両フロート枢支軸10A、10Bを位置決め状に連結するが、一方のフランジ20は、軸回り方向に回動不能で、且つ軸方向進退自在に設けられると共に、他方のフランジ21に向けて弾機23で付勢されている。つまり、両フロート枢支軸10A、10Bの回動角が一致しない状態ではフランジ20が退避するため、可動プランタケース展開時に弾性位置決め機構19が破損する不都合がなく、しかも、可動プランタケース展開後に移植部3を接地高さまで下降させると、フロート7Aの上昇に伴って可動フロート枢支軸10Aが回動すると共に、その回動角が固定フロート枢支軸10Bに一致した時点でテーパーピン22が係合穴21aに係合して両フロート枢支軸10A、10Bを自動的に連結させるため、手作業による可動フロート枢支軸10Aの位置決めや連結作業を不要にして移植部3の展開作業を大幅に簡略化することができるようになっている。
【0014】24は前記フランジ20をガイドすべく一方のフロート枢支軸10A、10Bに設けられるガイド軸であって、該ガイド軸24の両側部には、フランジ20を軸回り方向回動不能で、且つ軸方向進退自在に支持するための面取り部24aを形成している。また、本実施形態では、可動プランタケース展開時に、他方のフロート枢支軸10A、10Bにガイド軸24の先端部を嵌入させて両フロート枢支軸10A、10Bの芯合せを行うが、ガイド軸24の先端部には、先端側ほど小径になるテーパー部24bを形成しているため、ガイド軸24を他方のフロート枢支軸10A、10Bに確実に嵌入させることができるようになっている。
【0015】また、前記弾性位置決め機構19(フロート枢支軸10A、10B)は、平面視でプランタケース回動支軸15とフレーム止め具17との間に配置されている。そのため、両フロート枢支軸10A、10Bを可及的にプランタケース回動支軸15に近付けることができ、その結果、プランタケース回動支点のガタ等に起因する両フロート枢支軸10A、10B間の芯ズレを小さくして確実な位置決めを行うことができるようになっている。
【0016】叙述の如く構成されたものにおいて、プランタアーム6が設けられる複数のプランタケース8を、左右方向に所定間隔を存して複数並設すると共に、該複数のプランタケース8のうち、端部側のものを、プランタケース回動支軸15を支点として折畳み状に格納可能な可動プランタケース8Aに構成するにあたり、プランタケース8の前端部同志を連結する移植部フレーム4を、可動プランタケース8Aと共に折畳み状に格納される可動移植部フレーム4Aと、固定プランタケース8Bの前端部同志を連結する固定移植部フレーム4Bと、可動プランタケース展開時に両移植部フレーム4A、4Bを一体的に連結固定するフレーム止め具17とで構成したものであるが、さらに、前記各プランタケース8の下方に、フロート枢支軸10の回動角調整に応じて揺動支点が変位するフロート7を設けるにあたり、前記フロート枢支軸10を、可動プランタケース8Aと共に折畳み状に格納される可動フロート枢支軸10Aと、固定プランタケース8Bに支持される固定フロート枢支軸10Bと、回動角が一致した時点で両フロート枢支軸10A、10Bを自動的に連結させる弾性位置決め機構19とで構成したため、手作業によるフロート枢支軸10の位置決めや連結作業を不要にして移植部3の展開作業を簡略化することができ、しかも、弾性位置決め機構19を平面視でプランタケース回動支軸15とフレーム止め具17との間に配置しているため、両フロート枢支軸10A、10B間の芯ズレを可及的に小さくして確実な位置決めを行うことができる。
【0017】また、固定フロート枢支軸10Bと可動フロート枢支軸10Aとの位置決めを、一方のフロート枢支軸10A、10Bに設けられるテーパーピン22と、他方のフロート枢支軸10A、10Bに設けられる係合穴21aとの係合に基づいて行うにあたり、可動フロート枢支軸10Aもしくは固定フロート枢支軸10Bに、テーパーピン22(もしくは係合穴21a)を有するフランジ20を軸方向進退自在に設けると共に、該フランジ20を他方のフロート枢支軸10A、10Bに向けて付勢しているため、両フロート枢支軸10A、10Bの回動角が一致しない状態ではフランジ20が退避することになり、その結果、回動角が一致しない状態で可動プランタケース8Aを展開させても、弾性位置決め機構19が破損する不都合がない。
【出願人】 【識別番号】000001878
【氏名又は名称】三菱農機株式会社
【出願日】 平成12年6月2日(2000.6.2)
【代理人】 【識別番号】100085394
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 哲夫
【公開番号】 特開2001−346414(P2001−346414A)
【公開日】 平成13年12月18日(2001.12.18)
【出願番号】 特願2000−166279(P2000−166279)