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【発明の名称】 種子パック
【発明者】 【氏名】吉田 寛

【氏名】長 信也

【要約】 【課題】緑化工法で用いられる種子を保管、搬送、又は播種の際に、種子の劣化及び不要な発芽を防止するとともに、施工現場における管理を容易にする。

【解決手段】緑化工法に用いる種子は種子保存袋体11に封入されて、種子パックとされる。種子保存袋体は複数の種子保存袋部12a及び12bを備えており、複数の種子保存袋部にはそれぞれ特性の異なる種子が封入される。種子保存袋体内には、例えば、その内部空間を仕切る仕切り部11aが備えられており、この仕切り部によって複数の種子保存袋部を構成する。種子保存袋部にはそれぞれ一施工単位の種子が封入されており、特性の異なる種子として、例えば、湿潤状態での貯蔵が必要な種子と乾燥状態での貯蔵が必要な種子を用いる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 緑化工法に用いる種子を種子保存袋体に封入した種子パックであって、前記種子保存袋体は複数の種子保存袋部を備えており、該複数の種子保存袋部にはそれぞれ特性の異なる種子が封入されていることを特徴とする種子パック。
【請求項2】 前記種子保存袋部にはそれぞれ一施工単位の種子が封入されていることを特徴とする請求項1に記載の種子パック。
【請求項3】 前記特性の異なる種子として、湿潤状態での貯蔵が必要な種子と乾燥状態での貯蔵が必要な種子を用いるようにしたことを特徴とする請求項1又は2に記載の種子パック。
【請求項4】 前記種子保存袋体内にはその内部空間を仕切る仕切り部が備えられ該仕切り部によって前記複数の種子保存袋部を構成するようにしたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の種子パック。
【請求項5】 前記種子保存袋部はそれぞれその容積が異なっており、前記種子保存袋部の各々の入口が一部分で重なり合うようにして容積の小さい種子保存袋部が容積の大きい種子保存袋部内に内包されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の種子パック。
【請求項6】 前記種子保存袋部は互いに独立しており、前記種子保存袋部の各々はその入口で接合されるようにしたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の種子パック。
【請求項7】 前記種子保存袋部は互いに独立しており、前記種子保存袋部は連続直列的若しくは連続並列的に接合されるようにしたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の種子パック。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、緑化工において、種子の保管、搬送、又は播種の際に用いられる種子パックに関し、特に、種子を施工現場に搬送する際に用いられる種子パックに関する。
【0002】
【従来の技術】近年、法面等の緑化工事においては、緑化工事に使用する種子を、予め工場等で一施工単位毎に計量袋詰めした製品(種子パック)を施工現場に搬送して、この種子パックを用いて播種工を行う手法が用いられている。この手法は、施工現場において、その都度種子を計量して播種工を行う場合に比べて、計量の精度が高く、確実な計量ができる。このため、特に、樹木種子を主体に用いる播種工に用いられている。
【0003】このような種子パックとして、従来、特許第2943097号(従来例1)及び特許第3017678号(従来例2)に記載されたものが知られている。従来例1に記載された種子パックでは、袋状の包装物内に、保湿低温貯蔵が必要な一施工単位量の種子とともに少なくとも多孔質材料を含む種子品質保持材を包装物に所定の量内包するようにしている。そして、種子品質保持材を内包することによって、つまり、従来例1では、超微孔を有する多孔質材料特有の吸着性及び通気性によって、種子パック内の適湿保持等を行い、施工段階に至まで種子の品質を保持するとともに、施工現場において速やかに施工作業を行うことができるようにしている。
【0004】一方、従来例2に記載された種子パックでは、種子と高分子吸水性樹脂及び水とを混合して防水性の袋に封入している。そして、このようにすることによって、従来例2では、例えば、施工現場において、発芽促進処理を行うことなく、直ちに施工を行うことができるようにしている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、樹木種子には、その生理的特性に応じて、湿潤状態で貯蔵する必要がある種子と、乾燥状態で貯蔵する必要がある種子とに大別される。さらには、両者の中間的なタイプの種子もある。そして、緑化工においては、このようにタイプの異なる種々の種子が用いられる。
【0006】緑化工で用いられる種子は、上述のように貯蔵方法が異なるばかりでなく、劣化しにくいか否かにも大きな相違がある。特に、湿潤状態での貯蔵が必要な種子は、乾燥状態に置かれると急速に劣化が進行してしまう。一方、乾燥貯蔵が必要な種子は、湿潤な状態に置かれると、急速に発芽を開始する。
【0007】ところが、従来の種子パックでは、一施工単位に播種する種子が複数種必要な場合、特に、湿潤貯蔵が必要な種子と乾燥貯蔵が必要な種子とを一施工単位で播種する際には、上述のように特性の異なる複数の種子を一つの種子パックに混合して、施工現場に搬送している。その結果、湿潤貯蔵が必要な種子は、乾燥貯蔵が必要な種子との混合又は品質保持材(従来例1)によって、種子の水分が奪われることが多く、種子が劣化してしまうという問題点がある。
【0008】また、乾燥貯蔵が必要な種子は、湿潤貯蔵が必要な種子の水分を吸収してしまい、発芽が開始する。そして、搬送時間又は施工現場における保管期間が長いと、完全に発芽してしまい、さらには、発芽の後に乾燥状態となって枯死してしまう場合がある。
【0009】さらに、従来例2のように、発芽促進処理のような特別の処理を行った種子パックでは、一施工単位において、複数の種子パックを用いる際には、施工現場で、混合等を行う必要があり、この際、種子パックの取り違え又は混合ミス等が発生し易く、種子の現場管理の上から、管理が非常に煩雑となってしまうという問題点がある。
【0010】本発明の目的は、種子の劣化及び不要な発芽を防止することのできる種子パックを提供することにある。
【0011】本発明の他の目的は、施工現場における管理が容易な種子パックを提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、緑化工法に用いる種子を種子保存袋体に封入した種子パックであって、前記種子保存袋体は複数の種子保存袋部を備えており、該複数の種子保存袋部にはそれぞれ特性の異なる種子が封入されていることを特徴とする種子パックが得られる。
【0013】ここでは、前記種子保存袋部にはそれぞれ一施工単位の種子が封入されており、前記特性の異なる種子として、例えば、湿潤状態での貯蔵が必要な種子と乾燥状態での貯蔵が必要な種子が用いられる。
【0014】例えば、前記種子保存袋体内にはその内部空間を仕切る仕切り部が備えられ、該仕切り部によって前記複数の種子保存袋部を構成する。また、前記種子保存袋部の容積を異なられて、前記種子保存袋部の各々の入口が一部分で重なり合うようにして容積の小さい種子保存袋部が容積の大きい種子保存袋部内に内包するようにしてもよい。さらに、前記種子保存袋部を互いに独立させて、前記種子保存袋部の各々をその入口で接合するようにしてもよく、前記種子保存袋部を連続直列的若しくは連続並列的に接合するようにしてもよい。
【0015】
【発明の実施の形態】以下本発明について実施の形態に基づいて説明する。
【0016】図1(a)を参照して、種子保存袋体11を備えており、この種子保存袋体11は複数の種子保存袋部を有している。そして、各種子保存袋部には、それぞれ異なる特性の種子が入れられて、各種子保存袋部の入口が、例えば、熱着によって封入され、種子パックとされる。図1(b)に示す例では、種子保存袋体11内には、種子保存袋体11の内部空間を、図中上下に二つに仕切るための仕切り部11aが形成されており、この仕切り部11aによって、種子保存袋体11の内部空間は二つの空間に分けられている。つまり、この仕切り部11aによって、種子保存袋体11は種子保存袋部12a及び12bに分けられている。そして、種子保存袋部12a及び12bには、それぞれ特性の異なる種子、例えば、湿潤貯蔵が必要な種子及び乾燥貯蔵が必要な種子が入れられて、その入口が熱着(図1(a)に斜線で示す)によって封止されて種子パックとされる。
【0017】図1(c)に示す例では、種子保存袋体11の内部空間を、図中上下に三つに仕切るための第1及び第2の仕切り部11b及び11cが形成されており、これら第1及び第2の仕切り部11b及び11cによって、種子保存袋体11の内部空間は三つの空間に分けられている。つまり、これら第1及び第2の仕切り部11b及び11cによって、種子保存袋体11は種子保存袋部13a、13b、13cに分けられている。そして、種子保存袋部13a、13b、及び13cには、それぞれ特性の異なる種子が入れられて、その入口が熱着によって封止されて種子パックとされる。
【0018】図1(d)に示す例では、種子保存袋体11内には、種子保存袋体11の内部空間を、図中左右に二つに仕切るための仕切り部11dが形成されており、この仕切り部11dによって、種子保存袋体11は種子保存袋部14a及び14bに分けられている。そして、種子保存袋部14a及び14bには、それぞれ特性の異なる種子が入れられて、その入口が熱着によって封止されて種子パックとされる。
【0019】同様に、図1(e)に示す例では、種子保存袋体11の内部空間を、図中左右に三つに仕切るための第1及び第2の仕切り部11e及び11fが形成されており、これら第1及び第2の仕切り部11e及び11fによって、種子保存袋体11は種子保存袋部15a、15b、15cに分けられている。そして、種子保存袋部15a、15b、及び15cには、それぞれ特性の異なる種子が入れられて、その入口が熱着によって封止されて種子パックとされる。
【0020】このように、種子保存袋体が複数の種子保存袋部を備えるようにすれば(例えば、種子保存袋体を2袋構造又は3袋構造とする)、特性の異なる種子を、各種子に適合する保存状態で保存・搬送することができる。その結果、種子の劣化及び不要な発芽を防止できるばかりでなく、施工現場における管理が容易となる。
【0021】図2(a)及び(b)を参照して、図示の種子保存袋体21は、第1及び第2の種子保存袋部22及び23を備えている。図示のように、第1の種子保存袋部22は第2の種子保存袋部23よりもその容積が大きく、第2の種子保存袋部23は、その入口が、一部分で重なるようにして、第1の種子保存袋部22内に収容されている。第1及び第2の種子保存袋部22及び23には、それぞれ特性の異なる種子が入れられて、その入口が熱着(図2(a)に斜線で示す)によって封止されて種子パックとされる。
【0022】一般に、湿潤貯蔵が必要な種子は、大粒の種子であり、乾燥貯蔵が必要な種子は小粒の種子であることが多い。従って、通常の場合、一施工単位において、容量的には、湿潤所蔵が必要な種子が大きな容量を占めることになる。このため、第1の種子保存袋部22には湿潤所蔵が必要な種子が入れられ、第2の種子保存袋部23には乾燥貯蔵が必要な種子が入れられる。
【0023】図2に示す種子保存袋体においても、種子保存袋体が複数の種子保存袋部を備えるようにしているから、特性の異なる種子を、各種子に適合する保存状態で保存・搬送することができる。その結果、種子の劣化及び不要な発芽を防止できるばかりでなく、施工現場における管理が容易となる。
【0024】図3(a)乃至(c)を参照して、図示の例では、第1及び第2の種子保存袋部31及び32は互いに独立しており、その入口で熱着して繋ぎ合わせて、種子保存袋体33とされている。第1及び第2の種子保存袋部31及び32は、例えば、その容積(容量)が同一の袋であり、第1及び第2の種子保存袋部31及び32に、それぞれ特性の異なる種子を入れた後、その入口を熱着(図3(a)に斜線で示す)によって封止するとともに繋ぎ合わせて、種子保存袋体33とし、種子パックを構成する。
【0025】図3に示す種子保存袋体においても、種子保存袋体が複数の種子保存袋部を備えるようにしているから、特性の異なる種子を、各種子に適合する保存状態で保存・搬送することができる。その結果、種子の劣化及び不要な発芽を防止できるばかりでなく、施工現場における管理が容易となる。
【0026】図4を参照して、図示の例では、第1及び第2の種子保存袋部41及び42を準備して、第1及び第2の種子保存袋部41及び42にそれぞれ特性の異なる種子を入れて、第1及び第2の種子保存袋部41及び42の入口をそれぞれ熱着によって封止して、第1及び第2の種子パックとする。その後、図4(a)若しくは図4(b)のように、第1の種子パックの後側(後端)若しくは側端に第2の種子パックを再び熱着によって接続して、この熱着箇所43を境界とする連続包装種子パックを構成する。つまり、第1及び第2の種子保存袋部41及び42に種子を入れた後、熱着によって図4(a)の如く各種子保存袋部を連続直列的に接続するか、若しくは、図4(b)の如く連続並列的に接続するかにより、種子保存袋体44を形成するようにしている。
【0027】図4に示す例においても、種子保存袋体が実質的に複数の種子保存袋部を備えるようにしているから、特性の異なる種子を、各種子に適合する保存状態で保存・搬送することができる。その結果、種子の劣化及び不要な発芽を防止できるばかりでなく、施工現場における管理が容易となる。
【0028】図1乃至図4に示す例では、2又は3分包構造について説明したが、種子の種類又は搬送処理手法等に応じて、さらに、多数の分包構造を取るようにすることができることはいうまでもない。
【0029】乾燥貯蔵が必要な種子は、極力通気性の良好な袋構造とすることが望ましいから、乾燥貯蔵が必要な種子を入れる種子保存袋部には、例えば、網目構造の通気性を有する袋構造とするようにしてもよい。この際、湿潤貯蔵が必要な種子からの影響を受けないようにする必要がある。例えば、図1に示す例においては、各仕切り部は湿潤貯蔵が必要な種子と乾燥貯蔵が必要な種子とを遮断する素材を用いる必要がある。
【0030】上述のように、例えば、湿潤状態での貯蔵が必要な湿潤種子群を内包する種子保存袋部と、乾燥状態での貯蔵が必要な乾燥種子群を内包する種子保存袋部とを有する種子保存袋体を用いて種子パックを構成する。そして、中間的な性質の種子又は特許第3017678号に記載された発芽促進処理手法を併用する際には、3又は4つの種子保存袋部を有する種子保存袋体、つまり、3又は4分包構造を有する種子保存袋体を用いる。そして、このような種子保存袋体を用いることによって、各種子の劣化等を防止できることは勿論のこと、例えば、特許第2943097号に記載されたような種々の品質保持材を種子の特性に応じて使い分けることができる。
【0031】なお、緑化工事で使用する代表的な種子の例をあげると、湿潤貯蔵が必要な種子としては、ヤブツバキ、サザンカ、ネズミモチ、及びシャリンバイ等があり、乾燥貯蔵が必要な種として、ヤマハギ、コマツナギ、ススキ、及び外来草本(牧草)等がある。
【0032】最後に、本発明による種子パックの応用例について触れる。種子パックを使用する緑化工事等においては、種子パックの生産的効率上及び計量袋詰工場等の設備的な制約から、一般的に種子パックは、ある一定の規格のパック(袋)が使用されることが多い。このため、特殊な種子配合によっては、一施工単位の種子の配合量が多い場合等において、種子を複数のパックに分包しなくてはならない問題が発生する。こうした問題が発生するケースとしては、種子一品種あたりの配合量が多いために、設計された種子の全てを1パックに収納できない場合(種子が大粒である場合にも同様の問題が発生する)、あるいは配合する種子の種類が多いために、計量装置等の機械設備の制約で、計量袋詰め作業を2工程に分けなくてはならない場合が該当する。これまでは、現場において搬入された複数の種子パックをミキサー等に投入する作業を行っていたが、前述の通り、その作業は煩雑で、種子パックの取り違えや混合のし忘れ等の単純ミスを発生し易い問題があった。斯かる場合に、図3及び図4に示した複数接続型の種子パックを利用することにより、現場における管理を容易にし、施工ミスを未然に防ぐことが可能となる。
【0033】
【発明の効果】以上説明したように、本発明では、種子保存袋体が複数の種子保存袋部を備え、各種子保存袋部にそれぞれ特性の異なる種子を入れるようにしたから、特性の異なる種子を、各種子に適合する保存状態で保存・搬送することができる。その結果、種子の劣化及び不要な発芽を防止できるばかりでなく、施工現場における管理が容易となるという効果がある。
【出願人】 【識別番号】392012261
【氏名又は名称】東興建設株式会社
【出願日】 平成12年6月9日(2000.6.9)
【代理人】 【識別番号】100095267
【弁理士】
【氏名又は名称】小島 高城郎
【公開番号】 特開2001−346408(P2001−346408A)
【公開日】 平成13年12月18日(2001.12.18)
【出願番号】 特願2000−172844(P2000−172844)