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【発明の名称】 種子発芽育成具、その製造方法及び製造型装置
【発明者】 【氏名】伊勢谷 努

【要約】 【課題】種子の発芽育成に際して新たな趣向を加えることが可能な種子発芽育成具を提供する。

【解決手段】密封容器状をなす外殻と、その外殻の内部に封入された種子と、その種子の発芽育成のための培養材とを含む。種子は、例えば培養材の外殻近傍に配置され、外殻は、例えば種子が配置されている近傍において部分的に薄肉状に形成された開口予定部を有する。さらに種子を開口予定部の近傍に位置させた状態に維持するために、種子保持部材が外殻内にセットされる。種子保持部材は、種子を開口予定部の近傍で保持する種子保持部と、その種子保持部から一体的に延び出て開口予定部から遠い側の前記外殻部分に達し、その外殻部分に接続されることにより種子保持部と外殻とを連結する連結部とを含む。外殻の開口予定部(薄肉部)を割って水をやれば、そこから芽が出る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 密封容器状をなす外殻と、その外殻の内部に封入された種子と、その種子の発芽育成のための培養材とを含み、前記種子は、前記培養材の外殻近傍等の発芽可能な位置に配置され、前記外殻は、前記種子が配置されている近傍等の種子の位置に対応する部位において部分的な破壊切除又は離脱により開口可能な開口予定部を有しており、さらに、前記種子を前記開口予定部の近傍に位置させた状態に維持するために、その種子を前記開口予定部の近傍で保持する種子保持部と、その種子保持部から一体的に延び出て、前記開口予定部から遠い側の前記外殻部分に達してその外殻部分に接続されることにより前記種子保持部と外殻とを連結する連結部とを含む種子保持部材が、前記外殻の内側に配置されていることを特徴とする種子発芽育成具。
【請求項2】 密封容器状をなす外殻と、その外殻の内部に封入された種子と、その種子の発芽育成のための培養材とを含み、前記種子は、前記培養材の外殻近傍等の発芽可能な位置に配置され、前記外殻は、前記種子が配置されている近傍等の種子の位置に対応する部位において薄肉状に形成され、この薄肉部分が外殻の残りの本体部分には及ばない部分的な破壊により開口可能な開口予定部とされており、さらに、前記種子を前記開口予定部の近傍に位置させた状態に維持するために、その種子を前記開口予定部の近傍で保持する種子保持部と、その種子保持部から一体的に延び出て、前記開口予定部から遠い側の前記外殻部分に達してその外殻部分に接続されることにより前記種子保持部と外殻とを連結する連結部とを含む種子保持部材が、前記外殻の内側に配置されていることを特徴とする種子発芽育成具。
【請求項3】 密封容器状をなす外殻と、その外殻の内部に封入された種子と、その種子の発芽育成のための培養材と、前記種子の発芽育成分を供給する吸水材とを含み、前記種子は、前記培養材の外殻近傍等の発芽可能な位置に配置され、前記外殻は、前記種子が配置されている近傍等の種子の位置に対応する部位において薄肉状に形成され、この薄肉部分が外殻の残りの本体部分には及ばない部分的な破壊により開口可能な開口予定部とされており、前記吸水材は軸状形態を有し、その一端が前記種子が配置されているのとは反対側の前記培養材の外殻近傍に配置され、他端がその種子に対応するように配置され、さらに、前記種子を前記開口予定部の近傍に位置させた状態に維持するために、その種子を前記開口予定部の近傍で保持する種子保持部と、その種子保持部から一体的に延び出て、前記開口予定部から遠い側の前記外殻部分に達してその外殻部分に接続されることにより前記種子保持部と外殻とを連結する連結部とを含む種子保持部材が、前記外殻の内側に配置されていることを特徴とする種子発芽育成具。
【請求項4】 前記種子が配置されているのとは反対側に位置する部分の外殻には、前記培養材に外部から水分を供給可能な水分供給部が設けられている請求項1又は2に記載の種子発芽育成具。
【請求項5】 前記種子が配置されているのとは反対側に位置する部分の外殻には、前記吸水材に外部から水分を供給可能なように水分供給部が設けられている請求項3に記載の種子発芽育成具。
【請求項6】 前記種子保持部材は、可撓性のある帯状の水溶性シート材で構成され、その一端部に前記種子が封入されて前記開口予定部の近傍に位置する前記種子保持部とされ、他端部が前記開口予定部から遠い側の外殻部分に固定されており、それらの両端部をつなぐ中間部分が前記種子保持部と外殻とを連結する前記連結部とされている請求項1ないし5のいずれかに記載の種子発芽育成具。
【請求項7】 前記外殻は、土壌改質効果のある成分を含む材料を、釉薬を掛けずに低熱で焼き上げた素焼き状態の陶磁器で構成されている請求項1ないし6のいずれかに記載の種子発芽育成具。
【請求項8】 前記外殻は、長石及び/又はカオリンを主成分とした材料で構成されている請求項1ないし7のいずれかに記載の種子発芽育成具。
【請求項9】 前記外殻には、撥水剤によるコーティングが施されている請求項1ないし8のいずれかに記載の種子発芽育成具。
【請求項10】 前記培養材は培養土及び/又は培養石であり、少なくともピートを含んでいる請求項1ないし9のいずれかに記載の種子発芽育成具。
【請求項11】 前記外殻中には、粉状・粒子状又は小塊状で、かつ外表面が水溶性のコーティング剤で被覆された肥料が、前記培養材中に分散するように混合され、水の供給により前記肥料のコーティング剤が徐々に溶けることにより、前記種子の発芽に遅れて肥料成分が主に発芽後の生育のために前記外殻の植物に供給される請求項1ないし10のいずれかに記載の種子発芽育成具。、【請求項12】 当該種子発芽育成具において前記種子が配置されている側と反対側は底部とされており、その底部の外殻には前記水分供給部としての孔部が設けられているとともに、その孔部には通水性を有するフィルターが、該孔部を塞ぐ形態で前記外殻に装着されている請求項1ないし11のいずれかに記載の種子発芽育成具。
【請求項13】 石膏等の吸水材料により形成された成形型に泥奬状態の材料を注入して所定時間内保持する工程と、注入口に蓋をした状態でその成形型を反転する工程と、その反転を行った後のさらに所定時間後、成形型内に残っている泥奬状態の材料を排泥する工程と、排泥後、前記成形型内表面に残った外殻部材を脱型する工程と、を含む外殻部材成形工程と:脱型して取り出された外殻部材を素焼き等により固化する固化工程と:前記外殻部材の孔部から、請求項1ないし12のいずれかに記載の種子保持部材を外殻内部にセットする種子セット工程と:前記外殻部材の孔部から少なくとも培養材を入れる内容物充填工程と:前記外殻部材の孔部を塞ぐ孔部閉止工程と:を含むことを特徴とする種子発芽育成具の製造方法。
【請求項14】 石膏等の吸水材料により形成された成形型に泥奬状態の材料を注入して所定時間保持する工程と、泥奬材料が注入された成形型の注入口側に、非吸水性の穴開け用栓が設けられている蓋をして、その成形型を反転する工程と、その反転を行った後のさらに所定時間後に前記蓋を成形型から取り除き、成形型内に残っている泥奬状態の材料を排泥する工程と、排泥後、前記成形型内表面に残った外殻部材を脱型する工程と、を含む外殻部材成形工程と:脱型して取り出された外殻部材を素焼き等により固化する固化工程と:これにより得られた外殻部材内に少なくとも請求項1ないし12のいずれかに記載の種子保持部材並びに少なくとも培養材を入れる後工程と:を含むことを特徴とする種子発芽育成具の製造方法。
【請求項15】 請求項13又は14に記載の製造方法において外殻部材成形工程に用いる製造型装置であって石膏等の吸水性材料により形成されており種子発芽育成具の密封容器形状を型取る型本体部と同じく石膏等の吸水性材料により形成され前記型本体部の注入口に蓋をするための蓋部とを有することを特徴とする製造型装置【請求項16】 前記蓋部にはその一部分が当該蓋部から前記型本体部内に突き出る状態で非吸水性部材が埋め込まれている請求項15に記載の製造型装置【請求項17】 前記型本体部には当該型本体部に注入する泥奨材料の分量を規定するための注入量規定部が設けられている請求項15又は16に記載の製造型装置
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、植物の種子発芽育成具、その製造方法及び製造型装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、植物の種子の発芽育成は、植木鉢に培養土を入れ、その培養土の中に種子を蒔いて所定の方法に従って、水、肥料を供給して行っていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】このような方法による種子の発芽育成はマンネリ化されており、独創性や新鮮さに欠けている。本発明の課題は、種子の発芽育成に際して新たな趣向を加えることが可能な種子発芽育成具を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段及び発明の効果】上記課題を解決するために、本発明の種子発芽育成具は、密封容器状をなす外殻と、その外殻の内部に封入された種子と、その種子の発芽育成のための培養材とを含み、種子は、培養材の外殻近傍等の発芽可能な位置(例えば培養材の外殻近傍)に配置され、外殻は、種子の位置に対応する部位(例えば種子が配置されている近傍)において部分的な破壊切除又は離脱により開口可能な開口予定部を有しており、さらに、種子を開口予定部の近傍に位置させた状態に維持するために、その種子を開口予定部の近傍で保持する種子保持部と、その種子保持部から一体的に延び出て、開口予定部から遠い側の前記外殻部分に達してその外殻部分に(離脱しないように)接続されることにより種子保持部と外殻とを連結する連結部とを含む種子保持部材が、外殻の内側に配置されていることを特徴とする。
【0005】このように、種子発芽育成具の形状を密封容器状の外殻で定め、例えば容器形状を卵形、ひょうたん形、動物形状、野菜形状等の特徴ある形とすれば、未使用(種子の発芽育成を行わない)時には飾り物として用いることができ、使用(種子の発芽育成を行う)時には、卵形等の飾り物から発芽してくるように見えるため、従来の植木鉢等を用いた場合に比べ、一風変わった趣向により種子の発芽育成を楽しむことができる。この種子発芽育成具を用いた好適な種子の発芽育成方法(特に発芽方法)は、種子を配置した付近の外殻(種子発芽育成具の頭部)を例えばスプーン、ミニハンマー等で軽くたたいて割り、発芽しやすい適当な大きさの穴を外殻に開ける。次に、穴の開いた種子発芽育成具の上方から水を注ぐ。
【0006】この状態で、所定の期間放置しておくと、保水した培養材により種子が発芽する。この場合、外殻を、種子が配置されている近傍において容易に破損可能なような形態及び/又は材質により形成しているため、その外殻が割りやすくなっている。このような形態及び材質は、例えば、種子近傍部分を他の部分に比べて肉薄状にしたり、強度が弱い材質により形成すればよい。
【0007】このようなコンセプトで、例えば卵にそっくりの外殻を使用し、その頭部をスプーン等の硬い物で割って水をやれば、あたかも卵から芽が出たような、心地よい期待とささやかな驚きを伴った非日常的な体験ができる。言い換えれば、その卵からの発芽、さらには生育により、いわば”育てるたまご”とでも言うべき新鮮で意外性のある印象を購入者に与えることができる。
【0008】しかも、上記のような種子保持部材によれば、種子(種子保持部)が振動等のために培養土・培養石等の培養材中に入り込む(潜り込む)ように移動しようとしても、上記連結部がその動きを抑制する。つまり、その連結部により種子(種子保持部)は外殻につなぎ止められ、外殻の開口予定部付近等の当初の種子セット位置から大きくは動けず、上述の潜り込み等が防止ないし抑制される。よって、発芽率も高く維持される。
【0009】上記種子が配置されているのとは反対側に位置する部分の外殻には、培養材に外部から水分を供給可能な水分供給部を設けることができる。この場合、例えば種子発芽育成具を受け皿等に載せて発芽育成を行うとよい。その際、水を受け皿に溜まる程度に注ぎ、その溜まった水が、種子が配置されているのとは反対側に位置する水分供給部から培養材にに吸収され、吸収された水が種子に供給され、その発芽育成が促進される。なお、培養材としては、培養土又はセラミック等の培養石、あるいは培養土と培養石との混合物等を好適に用いることができる。
【0010】また、本発明の種子発芽育成具は、種子の発芽育成のための水分を供給する吸水材を外殻内部に含ませることができる。この場合でも、外殻の例えば薄肉状部分が、部分的な破壊が予定された開口予定部とされまた吸水材は軸状形態を有し、その一端が種子が配置されているのとは反対側の培養材の外殻近傍に配置され、他端が種子に対応する位置に配置される【0011】この場合の具体的な種子の発芽育成方法(特に発芽方法)は、種子を配置した付近等の外殻(種子発芽育成具の頭部)を軽くたたいて割り、発芽しやすい適当な大きさの穴を外殻に開けて水を注ぐ。またこの外殻の例えば底部から上記吸水材を露出させ、これを受け皿中の水に接触させることにより底部吸水方式により外殻内に水が吸引されるあるいは外殻の底部を密封しその外殻内部に溜まった水を吸水材が吸収し種子に供給することもできる。この場合、吸水材により水が種子に供給されやすいため、その種子の発芽育成が促進される。ここで、吸水材としては、例えば糸状ないしフィルム状の高吸水性高分子材料を束ねて芯状にしたものや、吸水性フィルムをロール状に巻いて芯状にしたもの等を用いることができる。なお、上記種子が配置されているのとは反対側に位置する部分の外殻には、吸水材に外部から水分を供給可能とするための水分供給部を設けることができる。
【0012】上記外殻は、土壌改質効果を有する成分を含む材料を、釉薬を掛けずに低熱で焼き上げた素焼き状態の陶磁器で構成することができる。この場合、外殻を土壌改質効果のある成分によって構成することにより、種子発芽育成具を使用した後の外殻の廃棄に際して、外殻を土壌内にそのまま廃棄しても環境汚染に関する問題が生じない。さらに、この種子発芽育成具は、素焼き状態の陶磁器により構成されているため、発芽育成を行う時、頭部を割りやすくなっている。なお、素焼きの温度としては、700〜1000℃程度にするのが好ましく、700℃未満では焼きが不充分で強度が落ち過ぎ、1000℃を超える場合は、種子を配置した付近の強度が高くなってしまい、開口予定部の部分的な破壊がしにくくなる。
【0013】上記外殻は、土壌改質効果を有する長石及び/又はカオリンを主成分とした材料により構成することができる。具体的には、例えば長石及び/又はカオリンを含んだ人工土であるニューボンにより構成でき、この場合、外殻(栽培容器)として保水性、保肥性、通気性に優れるようになる。また、種子の発芽育成後、苗を別の苗床等に植え替えた時、残った外殻を細かく砕いて土に返すことが可能で、苗育成用の土に用いた場合には、保水性、保肥性に優れ、根腐れ、しおれ防止などに効果がある。なお、上記ニューボンの含有成分組成は、例えば重量分率で、長石:40〜50%、カオリン:40〜50%、蛙目粘土:0〜9%、アルミナ:0〜9%、タルク:0〜9%、その他:残部、程度とするのが、保水性、保肥性、通気性を良くする上で効果的である。
【0014】上記外殻には、撥水剤によるコーティングを施すことができる。素焼き状態の陶磁器からなる外殻は、材質的に多孔質のため表面に内部培養土の有機物がしみだし、外殻にコケ、カビ等が付いて美観を損ねる心配がある。しかしながら、上記のように外殻表面に撥水剤をコーティングすれば、コケ、カビ等の付着を防止することが可能となる。なお、撥水剤としては、例えば含フッ素ワックスやパラフィンワックス、シリコーン類等を用いることができ、そのコーティングは、例えばスプレー缶から噴霧塗布するスプレー法や、撥水剤を溜めた容器内に外殻を一定時間浸漬し乾燥させて塗布する浸漬法等により行うことができる。
【0015】また、培養材としての培養土及び/又は培養石は、少なくともピートを含んで構成することができる。ピートは石炭の一種で、石炭化度の最も低いものであり水分を多く含むので、乾燥して培養土として使用すれば極めて保水性の高いものとなり、優れた培養効果を発揮する。その培養土の具体的含有成分組成は、例えば体積分率で、ピートモス:20〜40%、セラグリーン:40〜60%、黒炭:5〜15%、ゼオライト:1〜10%、バーミキュライト:1〜10%、その他:残部、程度とするのが、優れた培養効果を発揮する上で望ましい。また、本件の種子発芽育成具を、主に種子の発芽段階で使用し(発芽のみ楽しみ)、発芽後の植物の育成は別の容器(植木鉢等)に移植して行うような場合は、培養材として、培養土や培養石以外に、発芽のための水分を保持する保水材的なものとして、コーンスターチ・でんぷん等を主原料とする膨張性保水材(例えば、商品名:ビスコパール(製造販売元:レンゴー株式会社)や、ゲル状の吸水性ポリマー(高分子吸水材)等を採用することも可能である。
【0016】一方、培養土の種子が配置されているのとは反対側には、水溶性外装材により包まれた肥料を埋め込むことができる。このような肥料としては、例えば窒素、リン、カリウム元素等を含む市販の肥料を採用することができる。この肥料を外装する水溶性外装材は、水分を吸収後、一定期間後に徐々に溶け出す材料により構成することができる。この場合、所定期間の後(例えば発芽した後)の苗の育成時に、徐々に水溶性外装材が溶け出して、土壌内に生えた根に対して肥料が効きだすものとされ、徐々に溶けるため特定の期間内で苗の育成を促進することができる。なお、種子により水溶性外装材の種類を適宜選択して、肥料が効きだす時期を調整することが可能である。
【0017】あるいは、培養土及び/又は培養石等の培養材中に、粉状・粒子状又は小塊状で、かつ外表面が水溶性のコーティング剤で被覆された肥料が、培養材中に分散するように混合され、水の供給により前記肥料のコーティング剤が徐々に溶けることにより、種子の発芽に遅れて肥料成分が主に発芽後の生育のために外殻の植物に供給されるようにすることができる。
【0018】次に、当該種子発芽育成具において、種子が配置されている側と反対側を底部とし、その底部の外殻に水分供給部としての孔部を設け、さらにその孔部に通水性のあるフィルターを該孔部を外側から覆う形態で、封止材により外殻に封止して設けることができる。例えば、孔部を水捌けのよい多孔質性のフィルターで当該種子発芽育成具の外側から覆い、中心付近に孔を有する例えばドーナツ状の封止材(シール)によりフィルターをさらに外側から封止すれば、封止材の孔からフィルターを介して吸水材に水分が効率よく供給される。この場合、フィルターが多孔質性で水捌けのよいものであるため、培養土が種子発芽育成具外部にこぼれ出ることはなく、また、種子側から供給された水が底部から種子発芽育成具外部に抜けやすくなり、一方、吸水材による外部(受け皿)からの水分の吸収も効率よく行われる。
【0019】なお吸水材が存在しない構造において上記外殻の底の部分に孔部が形成されこの孔部から内部へ培養材や種子等を入れその後この孔部を通水性のあるフィルターで覆い必要に応じフィルターの固定のために上記封止材を用いるそしてこの外殻の底部を例えば小皿等に置けば外殻の上記開口(割ること等により形成)のみならず底部からも吸水できる【0020】上記種子発芽育成具の製造方法は、石膏等の吸水材料により形成された成形型に泥奬状態の材料を注入して所定時間内保持する工程と、注入口に蓋をした状態でその成形型を反転する工程と、その反転を行った後のさらに所定時間後、成形型内に残っている泥奬状態の材料を排泥する工程と、排泥後、前記成形型内表面に残った外殻部材を脱型する工程とを含む外殻部材成形工程と:脱型して取り出された外殻部材を素焼き等により固化する固化工程と:外殻部材に形成されている孔部から、上述の種子保持部材を外殻内部にセットする種子セット工程と:外殻部材に形成されている孔部から、少なくとも培養材入れる内容物充填工程と:外殻部材の孔部を塞ぐ孔部閉止工程と:を含むことを特徴とする。
【0021】この製造方法においては、成形型へ泥奬を注入し、蓋をした後、所定時間を経過すると、例えば吸水性の高い石膏(焼石膏)により形成された成形型の表面において、その表面付近の泥奬が成形型により吸水され、乾燥して固まるようになっている。ここで、成形型内に入れる泥奬の量は、注入口まで完全には入れず、ある程度成形型内に空間ができるようにしておく。泥奬を注入してから所定時間経過後、成形型を反転すると注入口とは軸方向逆側に空間ができ、その空間以外の部分においては、成形型の吸水によりさらに内部の泥奬が固まり、固まっている部分の厚みが徐々に厚くなっていく。なお、反転後の空間部分においては、反転前に固まったものが薄く付着している(これが、種子が配置される側、すなわち割られる側の外殻となる)。
【0022】反転してさらに所定時間経過後、成形型内に固まらずに残った泥奬を排泥し、型内表面に残ったものを脱型して成形された外殻部材を得る。その後、成形された外殻部材に対し、700〜1000℃程度の低温で、5〜7時間程度の範囲で素焼きを行う。素焼きを行った外殻部材は、撥水剤に浸漬することにより撥水コーティングされ、その後、種子発芽育成具の底となる部分の外殻部材に所定の穴開け具により孔部(これが吸水材への水分供給部となる)を貫通させてもよいし型成形の段階で孔部を形成しその孔部付きの生材に素焼きを施してもよい。この孔部から、孔部と対向する側の外殻部材内に前述の種子保持部材により種子を入れ、さらに培養土や培養石等の培養材を入れ、また必要に応じて肥料(好適には水溶性の皮膜がコーティングされた粒状肥料を培養材に混ぜる)を入れる。さらに、外殻部材の孔部に種子発芽育成具の外側から覆う形態で通水性のあるフィルターを被せ、必要に応じ封止材により外殻とフィルターとを封止する。
【0023】なお、上記の製造方法において、注入口を塞ぐ蓋として、非吸水性の穴開け用栓が設けられている蓋を用いれば、その栓の表面においては泥奬が固まらないようになる。したがって、成形した外殻部材に穴開け用栓に対応した大きさの孔部が形成され、そこから内容物を挿入することが可能となり、また、その孔部を種子発芽育成具の水分供給部とすることができる。また、上記成形型(型本体部)には、注入する泥奬材料の分量を規定するための注入量規定部(目盛り等)を設けることができ種子発芽育成具に好適な泥奨材料の注入量を示すことが可能となる【0024】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面に示す実施例に基づき説明する。図1は、本発明の種子発芽育成具1の一実施例を示す全体斜視図であり、図2は部分切欠斜視図、図3Aは縦断面図、図4Aは底面図である。図1に示す通り、この種子発芽育成具1は、先細の頭部3から自身の外径が軸線方向に徐々に大きくなり、その外径が最大となる腹部6から底部4に向けて再び外径が小さくなる、鶏の卵形状をなす密封容器状の外殻2により外形が定められ、底部4には底面4aが形成されている。言い換えれば、薄状外殻2の外周面は外殻2の他の部分の外周面と卵形をなす滑らかな1曲面で連なる一方、薄状外殻5を含む外殻2の内周面は、薄状外殻5の部分で凸状に窪んだ形態となっている。
【0025】図2及び図3Aに示すように、外殻2内部には、培養土(土状、石状のものを含む)9が詰められており、単粒又は複数粒(本実施例の場合6粒)の種子7が水溶性の種子保持部材7aの種子保持部7bに保持された状態で、頭部3側にセットされている。この種子保持部7bに包まれた種子7(以下、これを単に種子7ともいう)は、培養土9と外殻2との間に配置されているが、培養土9の頭部3側において多少埋め込まれた状態(種子7の上に数ミリの培養土9が被る程度)としてもよい。なお、種子7と外殻2との間にはスポンジ材(弾性マット)17が種子7全体を覆う形態で挿入されており、種子7の浮動を防止している。また、図3Aに示すように、種子7と軸線方向反対側、すなわち底部4側の培養土9内には、種子発芽後の苗育成促進用の肥料11が水溶性フィルム10に包まれた状態で1ないし複数個(本実施例の場合2個)埋め込まれている。
【0026】外殻2は、その厚みが頭部3側において底部4側ないし中間部分である腹部6側に比べて薄くされている。その頭部3側の外殻2(この部分を薄状外殻又は薄肉部(開口形成部)5とする)は、発芽育成を行う時に部分的に割られて除去され、種子発芽のための孔部(発芽用開口部)とされる部分であり、発芽に充分な大きさの孔となるように、種子7が配置されている領域(軸線に直角な方向の断面領域)よりも大きな断面領域において肉薄とされている。薄状外殻5の形態は、外殻2において当該種子発芽育成具1の外部側に窪む状態となっている。
【0027】一方、図3A及び図4Aに示すように、外殻2の底部4側には外殻2を貫通する孔部15が設けられ、その孔部15に対して種子発芽育成具1の外側からフィルター13が被されている。フィルター13は本実施例では四角形状のシート状のものとされているが、その形状に制限はなくその他の多角形状、円形状等を採用可能で、図5に示すように、外殻2の孔部15の内径を覆いうる大きさを有していればよく、水捌けのよい材質、例えば多孔質性のフッ素系樹脂等により構成されている。このフィルター13はシール部材(封止材)14により全体が被われた状態で底面4aにシール(封止)されており、特にシール部材14に設けられた孔部16が、外殻2の孔部15と同芯的になるようにシールされている。シール部材14の中心付近に設けられた孔部16は外殻2の孔部15の径とほぼ同じ大きさに形成されている。また、シール部材14の外周と底面4aの外周とはほぼ一致するようになっている。なお、孔部15は非通水性材料で封入し、底部からの吸水を考えない構造でもよい。
【0028】外殻2は、土壌改質効果のある成分を含んだ材料を、釉薬を掛けずに低熱で焼き上げた素焼き状態の陶磁器により構成されており、その外表面にはカビ等の付着防止策として撥水剤がコーティングされている。土壌改質効果のある材料として本実施例においては、重量分率で長石:46%、カオリン:45%、蛙目粘土+アルミナ+タルク:9%の成分を含有するニューボン(人工土の一種)が用いられている。また、撥水剤としては、含フッ素ワックスが用いられており、そのコーティングは、撥水剤を溜めた容器内に外殻2を一定時間浸漬して塗布する浸漬法により行うことができる。その他の撥水剤としては、例えばパラフィンワックス、シリコーン類、長鎖アルキル酸エステル等の疎水性化合物を採用することが可能で、また、その他のコーティング方法としては、例えばスプレー缶から噴霧塗布するスプレー法等を採用することもできる。なお、コーティング材がなく、素焼き状態のままの外表面としてもよい。
【0029】例えば、ニューボンにより構成されている本実施例の外殻2の厚みは3〜4mm程度、薄状外殻5の厚みは0.7〜1.5mm程度とするのが好ましい。つまり、外殻2の厚み1に対し、薄状外殻(薄肉部)2の厚みの比は、0.1〜0.8、なかでも0.2〜0.6、さらに0.3〜0.5程度を例示することができる。外殻2の厚みが3mm未満の場合、全体強度が低下することがあり、また4mmを超えると、全体形状及び重量も大きくなってしまい種子発芽育成具として好ましくない。一方、薄状外殻5の厚みが0.7mm(厚みの比が上記の範囲)未満の場合、強度が低くなりすぎて輸送時等に破損してしまう場合があり、1.5mm(厚みの比が上記の範囲)を超えると、割って発芽用開口部を形成することが簡単でなくなる。
【0030】外殻2内に積められた培養土9の含有成分組成は、体積分率で、ピートモス:30%、セラグリーン:50%、黒炭:10%、ゼオライト:5%、バーミキュライト:5%、その他:残部、とされている。なお、セラグリーンは重量分率で、SiO:50〜70%(例えば60.8%)、Al:10〜30%(例えば24.3%)、Fe:1〜5%(例えば2.51%)、NaO:0.05〜0.5%(例えば0.17)、KO:1〜5%(例えば2.12%)、CaO:0.05〜0.5%(例えば0.10%)、その他:残部を有するものであり、バーミキュライトは重量分率で、SiO:20〜50%(例えば38.45%)、Al:10〜30%(例えば15.53%)、Fe:10〜30%(例えば22.73%)、MgO:3〜15%(例えば7.85%)、KO:0.5〜5%(例えば2.25%)、CaO:0.5〜5%(例えば2.22%)、HO:2〜20%(例えば10.01%)、その他:残部を有するものである。
【0031】また、上記培養土9への添加物として、過酸化カルシウム、活性二価鉄・三価鉄、植物より抽出した天然ミネラル及び活力剤、肥料(成分元素として、窒素、リン、カリウム等を含む)等を添加することができる。過酸化カルシウムは、長期間酸素を放出してカルシウムを補給し、根腐れ防止及び生長促進の効果があり、培養土1リットルに対し1〜5g(例えば3g)程度添加するのがよい。活性二価鉄・三価鉄は、特に粉末状のものを使用するのがよく、植物の健全生長を促す効果があり、培養土1リットルに対し0.2〜3g(例えば1g)程度添加するのがよい。植物より抽出した天然ミネラル及び活力剤は、植物の耐病性向上に寄与するものであり、栽培する種子の種類によりその添加量は各々異なる。また、肥料は、培養土1リットルに対し、窒素元素を含む成分を20〜70mg(例えば50〜60mg)程度、リン元素を含む成分を20〜70mg(例えば50〜60mg)程度、カリウム元素を含む成分を80〜300mg(例えば150〜170mg)程度添加するのがよく、液肥として培養土に吸収させている。
【0032】次に、肥料11の水溶性フィルム10は、その水溶性フィルム10が水分を吸収後、一定期間経過した後に徐々に溶け出す材料により構成されている。本実施例では、水分と接触(水分を吸収)して約20日目以降少量ずつ溶けだし、約160日間肥料がその効果を発揮することが可能なものを採用している。なお、肥料11としては、各種種子に対応した市販の肥料を採用することが可能で、例えば、炭素、窒素、リン、カリウム、カルシウム元素を含んだものを採用することができる。
【0033】図3Aにおいて、前記種子保持部材7aを用いて種子7が外殻2内の培養土9中に振動等で潜り込まないようにされる。種子保持部材7aは、比較的幅の狭い帯状の水溶性の紙製シート材からなり、その一端部に種子7を包み込むように保持する種子保持部7bが形成され、他端部が外殻2の薄肉部(薄状外殻)5とは反対側の孔部15の開口近傍の外面に、接着等により固定された外殻側接続部7cとされる。そして種子保持部7bと外殻側接続部7cとをつなぐ中間部分が、種子保持部7bを外殻2につなぎ止めておくための連結部7dとなっている。
【0034】図3Cに示すように、帯状(短冊状)の種子保持部材7aの一端部に適数個のの種子7が接着剤(粘着層)等を介してセットされる。その際、粘着層を用意する場合は、その粘着層を被う剥離紙7eを剥がして、その剥がしたところに種子7を置き、種子保持部材7aの一端部を折り返すようにして種子7を包み込み、上記粘着層等により種子7をサンドイッチ状に挟んだ状態で封入した種子保持部7bとする。
【0035】一方、この種子保持部材7aの他端部を、接着(貼着)等により外殻2の孔部15の周辺に固定するために、その他端部にも剥離紙7fで被われた粘着層を形成しておき、剥離紙7fを剥がして、その剥がした部分を孔部15の周辺外面に貼り付ければ(図3D参照)、その部分が外殻側接続部7cとなって、種子保持部7bが種子保持部材7aの連結部(中間部)7dを介して外殻2につなぎ止められる。なお、剥離紙7e、7fを省略して、種子保持部材7aの端部シート面に接着剤を塗布して、種子7のセットや外殻2への接着を行ってもよい。
【0036】図4Aに示すように、種子保持部材7aの他端部(外殻側接続部7c)は、外殻2の孔部15から一定量外部に出て、孔部15の開口周辺において外殻2の外面に位置するようにされる。その外側に前記フィルター13が配置され、さらにその外側にフィルター13より大きなシール部材(フィルター固定用貼付け部材)14が貼り付けられ、この部材14が外殻2の座面を形成する座面形成部材を兼ねる。ここで、種子保持部材7aの端部を外殻2に接着剤等で固着しなくても、種子保持部材7aの外殻側接続部7cの上にフィルター13を重ね、さらに貼付け部材14を外殻2に接着することにとより、この貼付け部材14が結果として種子保持部材7aを外殻2に固定する部材を兼ねるようにすることも可能である。
【0037】図3Aに戻って、このように種子7を外殻2の内部で保持することにより、この種子発芽育成具1の輸送等の過程で、種子7及び培養土9が振動を受け続ける状況においても、種子保持部7bひいては種子7が培養土9の内部に入り込む(潜り込む)ことが、種子保持部材7aの種子7に及ぼす拘束力により防止される。従って、種子保持部7bひいては種子7は、外殻2の薄肉部5に対面する培養土9上に乗った状態に維持されやすく、よって発芽の際に発芽の抵抗となる過度の土圧が種子に作用せず、高い発芽率を保証できる。
【0038】さらに、図3B及び図4Bに示すように、図3Aの水溶性フィルム10内に封入した肥料11に代えて、外面が水溶性のコーティング剤11bでコーティングされた粒状等の肥料11aを、培養土(培養石)9に分散状態で混合することもできる。この場合、水の供給により肥料11aのコーティング剤11bが徐々に溶けることにより、種子の発芽に遅れて肥料成分が培養土9a中に遅効的に溶け出し、主に発芽後の生育のために外殻2の植物に供給される。つまり、発芽は主に水分により行われて、肥料成分は発芽時にはむしろ余り作用しない方がよいとも言えるが、発芽後は植物の生育のために肥料による養分の供給が行われるようにする。
【0039】また、図4Bに示すように、種子保持部材7aの他端部(外殻側接続部7c)は、外殻2の孔部15から一定量外部に出て、孔部15の開口周辺において外殻2の外面に位置するようにされ、その外側に例えば円形等のフィルター13を配置することができる。さらにその外側にフィルター13より大きなシール部材(フィルター固定用貼付け部材)14が貼り付けられることとなる。
【0040】さらに、図3Aのスポンジ材17を省略し、図3Bのように、種子保持部7bを直接的に外殻2の薄肉部5の近傍に位置させてもよい。スポンジ材17が存在しない場合、薄肉部5を割った破壊片が外殻2内の培養土9や種子保持部7a上に落下する場合が多いが、その破壊片は素焼きの小片(元来が土成分)であるから、種子の発芽や生育上何ら問題はなく、またあたかも卵の殻を割った小片のように見えるので、見栄えの点でも支障がないばかりか、卵の殻というリアリティーが高まり、一層本物の卵に見える効果を助長する。図3Dはスポンジ材(弾性マット)17を使用しない場合の、種子保持部材7aの外殻2への挿入の一例を示している。
【0041】以上のような構成の種子発芽育成具1の使用例を、図6を参照しつつ説明する。この種子発芽育成具1を用いた種子の発芽育成方法(特に発芽方法)は、まず図6(a)に示すように、種子7を配置した付近の外殻2、すなわち図3A、図3Bの薄状外殻(開口形成部)5をスプーン20、ミニハンマー21等で軽くたたいて割り、外殻2に種子7が発芽しやすい適当な大きさの穴(発芽用開口部)22を開ける。この時、薄状外殻5は割れやすくなっているため、開口部22の大きさ及び形状を適度に調整することが可能となっている。
【0042】図3Aのように、スポンジ材17を入れてある場合は、薄状外殻5の破片がそのスポンジ上17に落ちるので、外殻2内からスポンジ材17を取り除くことにより、上記破片も併せて外殻2内からある程度取り除くことができる。図3Bのようにスポンジ材17が存在しない場合は、薄状外殻5の破片が外殻2内にある程度混入するが、それでも問題ないことは上述のとおりである。
【0043】次に、図6(b)のように、発芽用開口部22の開いた種子発芽育成具1を受け皿23に乗せて、種子発芽育成具1の上方から発芽用開口部22に水を注ぐ。この上方から注がれた水により、種子保持部材7aの種子保持部7bが溶けて、内部の種子7が培養土9に剥き出しとなり(あるいは剥き出しにならなくても、発芽可能状態となる)、注がれた水は外殻2の孔部15から受け皿23に溜まるようになっている。なお、水は受け皿23に十分溜める程度に注ぎ込む。一方、水を注いだ後、受け皿23に溜まった水は外殻2の孔部(水分供給部)15から培養土9を伝って種子7に供給される。
【0044】この状態で、所定の期間放置しておくと、種子7が発芽する(図6(c))。なお、図6(c)の発芽した状態においては、培養土9内部に根が生えており、その根は図3Aの肥料11(水溶性フィルム10は注がれた水により徐々に溶ける)、または図3Bの肥料11a(外面コーティング剤11bは徐々に溶ける)を養分として吸収している。なお、割ることにより形成される開口部22の内縁は、図2に示すような円形状に近いきれいな内周縁となるように割ることもできる。これは、割り方の丁寧さに依存する。また、図3A、図3Bの種子保持部材7aは水溶性の紙シート等で形成されるため、種子保持部7bの部分が水により溶けるとともに、その他の中間部分(連結部7d)も、ある程度又は相当程度水に溶けるようにすることもできるし、連結部7d等は余り溶けないで外殻2の内部に残るようにすることもできる。
【0045】次に、種子発芽育成具1の製造方法の幾つかの例について図面を参照しつつ説明する。図7は外殻部材成形工程の一例を示す図であり、まず、図7(a)に示すような成形型(型本体部)30内に長石及びカオリンを主成分とするニューボンの泥奬31を注入口40から目盛線Bまで入れ、図7(b)に示すように蓋32を被せる。この成形型30と蓋32は同材質の吸水性の高い石膏(硫酸カルシウムより構成される焼石膏)により形成されており、泥奬31の水分を吸収し、成形型30の表面上付近の泥奬31(図7(b)の破線外側部分33)を乾燥して固化させる(泥奬の流動性がなくなる程度で、完全に乾燥して固まることはなく半固化状態である)。
【0046】図7(a)に示すように、成形型30は種子発芽育成具の外殻となる外殻部材を形成する外殻部材形成部41と、注入口側外殻部材形成部42とを有している。また、図7(b)に示すように、蓋32にはアルミ材質(非吸水材)の栓34が蓋32に埋め込み等により図示された状態で備え付けられており、成形型30内の中心軸とほぼ同軸に成形型30の空間A内に突き出される。なお、栓34は非吸水性のアルミ材質により構成されているため、その表面上においては泥奬31は吸水されず固化されない。
【0047】このように成形型30へ泥奬31を入れ、蓋32を被せた後、所定時間を経過すると、成形型30の表面において、その表面付近の泥奬33が成形型により吸水され、乾燥して固まる。この所定時間経過後、図7(c)に示すように成形型30を反転すると注入口40とは軸線方向逆側に空間Cができ、その反転により図7(b)の状態で形成されていた空間A内に泥奬31(固まっていないもの)が流入する。この時、空間Cにおける成形型30の表面には、図7(b)の状態で固まった頭部用外殻部材35が形成されており、図7(c)においてはその頭部用外殻部材35は厚みを増さないようになっている。
【0048】一方、頭部用外殻部材35以外の腹部用外殻部材36及び注入口側外殻部材37においては、その厚みが成形型30の吸水作用により増し続けるようになっている。なお、成形回数を重ねる度に、この成形型30の吸水作用は弱くなっていくため、所定の厚みの腹部用外殻部材36及び注入口側外殻部材37を得るには時間を余分に要するようになる。
【0049】図7(c)の状態で所定時間経過後、蓋32を成形型30から取り外し、図7(d)に示すように、成形型30内に固まらずに残った泥奬31を排泥する。排泥後には、種子発芽育成具の薄状外殻5となる頭部用外殻部材35と、頭部用外殻部材35よりも肉厚の腹部用外殻部材36と、腹部用外殻部材36とほぼ同じ厚さの注入口側外殻部材37とが一体となって成形型30内に残っている。この成形型30内に残ったものを、成形型30から脱型して図8(a)に示す外殻部材39を得る。さらに、外殻部材39の注入口側外殻部材37を切断除去して図8(b)に示す外殻2を得る。外殻2は薄状外殻5を有し、切断された箇所には孔部15が形成されている。
【0050】なお、薄肉部5を有する卵形状の外殻2をつくるために、図11〜図14に示す型装置を用いる代わりに、図示はしないが、外殻2の外面を形成する外型と、外殻2の内面を形成する内型(中子)とを含む成形型装置を使用し、外型と内型との隙間で形成されるキャビティ内に外殻の成形材料を射出その他適宜の手法により供給し、そのキャビティの一部により外殻に薄肉部を形成することもできる。その場合、卵状の外殻を複数(例えば2個)に分割した形態で、各分割部分をそれぞれ成形し、それらの分割部分を素焼き前に接合して卵状の外殻素材とした後、次の素焼き工程に移行することができる。あるいは、各分割部分をそれぞれ素焼きしてから、それら素焼きされた分割部分を接着等により接合して、一体的な卵状等の外殻としてもよい。
【0051】図8にように成形された外殻2に対し素焼きを行い、素焼きを行った外殻2を図9に示すような撥水剤51が充填された容器50内に浸漬することにより、外殻2に撥水コーティングを施す。この場合、撥水剤51としては含フッ素ワックス等が用いられる。なお、撥水コーティングは省略可能である。撥水コーティング後、所定時間風乾し、図10に示すような工程(図3Bの場合をまず一例として示す)により外殻2内に内容物を入れる。
【0052】まず、予め種子7を保持した種子保持部材7a(その手法は図3C等参照)を、外殻2の孔部15から外殻2の中に挿入し、種子7を包み込んだ種子保持部7bが薄状外殻5(薄肉部)の近傍に対応し、それとは反対側の端部を孔部15の外側において外殻2に接着等により固着して外殻側接続部7cとする。なお、種子保持部材7aの端部を孔部15から外部に出した状態で接着はせず、後工程でフィルター13とともにシール部材(貼付け部材)14により外殻2に固定してもよい。
【0053】種子保持部材7aのセット後、培養土(培養石)9とコーティング剤11bで被われた肥料11aとの混合物を外殻2内に充填する。その充填量は、外殻2の容積いっぱいまで入れることもできるが、培養土9と肥料11aとの混合物を外殻2の容積の60〜90体積%(より好ましくは70〜80体積%)程度充填する。その後、フィルター13を介して、最外側からシール部材(貼付け部材)14を外殻2の孔部15の周辺部外面(底面とも言える)に固着する。つまり、孔部15を外殻2の外側から覆う形態でフィルター13を被せ、さらにその外側からフィルター13の周囲を被うように、フィルター13よりも大径の封止材14により、外殻2とフィルター13とを封止(シール)する(図5参照)。なお、封止材14は孔部16を有するものであり、封止材14の孔部16の中心と、外殻2の孔部15の中心とがほぼ一致するように位置合わせを行う。また、フィルター13を直接外殻2に固着すれば、別途封止材14は必要ない場合もある。
【0054】なお、図3Aのように、スポンジ材(弾性マット)17を付加する場合は、まず、図10(a)に示すように、最初にスポンジ材17を孔部15から外殻2内に入れて、薄肉部5の近傍にセットした後、種子保持部材7aを外殻2内に挿入することとなる。また、図3Aの水溶性フィルム10に包まれた肥料11を入れる場合は、種子保持部材7aをセットし、培養土9を外殻2内に入れた後、水溶性フィルム10で包まれた肥料11を孔部15の近傍にセットする。もしくは、培養土9の孔部15の近傍に水溶性フィルム10に包まれた肥料11を予め混合した状態で培養土9を入れる。そのように培養土9及び肥料11を外殻2内に入れた後、フィルター13及び封止材14を外殻2に装着することとなる。
【0055】しずれにしても、図8(a)の外殻部材39を成形し切断処理により外殻2を得る工程(外殻成形工程)、及び素焼き工程、撥水剤塗布工程、内容物混入(充填)工程を含む製造工程により、図1に示すような種子発芽育成具1が製造される。
【0056】以下、外殻部材39を成形する際に用いる成形型30の構造について、さらに具体例を説明する。図11は成形型30の分解平面図であり、図12はその斜視図である。この成形型30は、3つの種子発芽育成具を一度に成形できるものであり、蓋32と、型本体部61,62とを有している。蓋32は、その内部に埋め込まれた状態のアルミ材質の栓34を3つ有し、型本体部61,62と合体するための嵌合凸部E1,D1を有している。
【0057】型本体部61及び62は、蓋32の嵌合凸部E1,D1と嵌合する嵌合凹部E2,D2をそれぞれ有し、また両者61及び62が嵌合するために、型本体部61には嵌合凹部F1,G1,H1が、型本体部62には嵌合凸部F2,G2,H2が設けられている。また、各型本体部61,62には、上述のように外殻部材形成部41と、注入口側外殻部材形成部42とが設けられ、各形成部41,42内部に泥奬31が目盛線Bまで入れられた状態で成形されている。なお、嵌合用の各凹凸部は互いに逆形態に、すなわち凹を凸、凸を凹にできることは言うまでもない。
【0058】このような型本体部61及び62を嵌合凹部、凸部により嵌合し、泥奬31を注入後さらに蓋32を被せて合体させる。その状態が図13であり、図13(a)が側面図、同図(b)が上面図、同図(c)が正面図である。なお、成形型30内には図14に示すように、注入量規定部として目盛線Bが形成され、この目盛線Bまで泥奬31(ハッチング部分)が入れられており、この状態で所定時間静置しておくと泥奬31が成形型表面上において固まる。
【0059】次に、本発明の種子発芽育成具の変形例を示す。図15の種子発芽育成具100は、その中心軸線付近に軸状の吸水材12が、種子発芽育成具100の軸線にほぼ平行に設けられている。この吸水材12は、図17に示すように吸水紙がロール状に巻かれた形態のものであって、その一端は底部4側においてフィルター13と接する、もしくはフィルター13の近傍に配置され、他端は頭部3側において種子7と接する、もしくは種子7の近傍又は対応する位置に配置されて、外殻2の孔部15からフィルター13を介して水分を吸収し、種子7にその水分を供給できるようにされている。
【0060】なお、吸水材12はロール状のものに限られず、軸状のものであってフィルター13から種子7に延びる形態のものであれば円柱状あるいは螺旋状等の形態を採用することが可能である。また、この場合、図3Aの水溶性フィルム10に包まれた肥料11を入れる場合、図16に示すようにその肥料11は、外殻2の中心軸線から外れた位置、特に孔部15の延長線上を外して培養土9内に混入されている。図15では、図3Bのコーティング肥料11aを培養土9中に混合した例を示している。
【0061】この種子発芽育成具100の製造方法は、まず、図18(a)〜(c)に示すように、種子発芽育成具1の製造方法と同様に種子保持部材7aにより保持された種子7、培養土9、肥料11(又は11a)を外殻2内部に入れる(外殻2も種子発芽育成具1と同様の方法により成形する)。続いて、図18(c)に示すように、培養土9としてセラミック状、例えば多数の小石状の培養土(培養石)9等を使用する場合、その培養土9を外殻2の全容積に満たない量だけ、外殻2内に入れた後、軸状の吸水材12を培養土9の中に孔部15から押し込むようにして外殻2の内部に挿入する。
【0062】あるいは、吸水材12の後端が孔部15より外殻2の内部まで入り込むようにして、吸水材12の位置を保持した状態で、その孔部15から流動性のあるセラミック粒、砂等の培養土9を流し込むこと、もしくは孔部15より充分細い吸水材12を用いて、その孔部15と吸水材12との隙間から流動性のある培養土9を外殻2内に入れることもできる。
【0063】なお、培養土9が比較的密度の高い土等の場合は、外殻2内に培養土9を入れた後、アルミ等で形成された図示しないパイプ材等により培養土を円筒状に抜き出して、培養土9の中心軸線上(孔部15の延長線上)に貫通孔を形成し、そこに、吸水材12(図17)を挿入する。挿入に際しては、吸水材12の一端が種子7を保持する種子保持部7bに接するか、若しくは所定距離を隔てて近接するように行い、一方、孔部15側の吸水材12の端が底面4aの平面上に位置するように挿入する。なお、長めの吸水材12を挿入し、底面4aから突き出る部分を切り取って挿入の位置合わせを行うことも可能である。吸水材12を挿入後、抜き出した培養土9の一部を必要に応じ外殻2内に返して埋め戻しを行うこともできる。
【0064】いずれにしても、外殻2内に種子7を保持する種子保持部材7a、培養土9等の培養材、必要に応じて弾性マット17及び肥料11又は11a、さらに吸水材15を収容した後、フィルター13及び必要に応じて封止材14を外殻2に装着することとなる。
【0065】一方、図19の種子発芽育成具200は、頭部3側(種子が配置されている側)の外殻を薄状外殻5としないで、着脱可能な蓋状外殻70としている。この場合、図6に示したような薄状外殻5を割って発芽用開口部22を形成する必要はなく、蓋状外殻70を取り外せば発芽育成を行えるようになっている。外殻(本体外殻)2内に培養土9が満杯にならないように入れられ、種子保持部材7aの種子保持部7bに保持された種子7がその培養土9上にセットされている。なお、図示はしないが、培養土9及び種子7に被さる状態で弾性マット(図3Aと同じ17)を載置してもよく、その弾性マット74を覆う状態で蓋状外殻70を被せることもできる。
【0066】蓋状外殻70は外殻2に載せることができるように、外殻2の端面71と同形の端面72を有しており、蓋状外殻70を外殻2に接合した状態で、両者の接合部73の外周面を封止材(シール部材)によりシールして、両者を互いに一体的に固定し、発芽育成を行う際にシール部材を剥がすものとすることも可能である。また、蓋状外殻70を凹凸等の嵌合式のもの、あるいはネジ式のもの等としてもよい。図20に図19の縦断面を示すように、前述の種子保持部材7aにより種子7を保持し、その種子保持部7bが蓋状外殻70に対向するようにし、必要に応じて前述のコーティング肥料11aを培養土9中に分散させる。
【0067】一方、図21の種子発芽育成具300は、その底部4側に水分供給部としての孔部15を設けない構成であり、この場合、供給された水分が培養土9の底部4側に溜まり、培養土9の保水作用によりその溜まった水分が種子7に供給される。種子保持部材7aは、種子7を保持する種子保持部7bが外殻2の薄肉部5に対応して位置し、連結部7dを介して種子保持部7bとは反対側の端部が外殻2の内面の一部(例えば底部近傍)に接着等により固定されて、ここが外殻側接続部7cとなる。培養土9内には必要に応じて、水溶性フィルム10に包まれた肥料11、あるいは前述の粒子状等のコーティング肥料11aが入れられ、また種子保持部7bを被うように前記弾性マット17を挿入することもできる。
【0068】なお、この種子発芽育成具300の製造に際しては、底部4側を設けていない外殻部材を成形し、その外殻部材に種子7、培養土9等の内容物を混入した後、その外殻部材(底部側開口)に対し別途成形した底部4を接合したり、その底部側開口を塞ぐように底部4を付加成形する等して製造することができる(例えば底部4の接合後又は付加成形後、素焼きする等)。
【0069】図21の変形例として、図22に示すように吸水材12を中心軸上に、及び第二吸水材80(吸水材12よりも吸水性が強くないものが好ましい)を外殻内部の底部4側に配置して、供給された水分を第二吸水材80が保水し、吸水材12が順次水分を種子7に供給する構成としてもよい。種子保持部材7a、肥料11a(又は肥料11)等の他の構成は図21と同様である。
【0070】また、図23の種子発芽育成具400は、外殻401を本物の卵(鶏卵等)の殻により構成している。この種子発芽育成具400は、卵の殻の端部に孔部402を設けて卵白及び卵黄を取り出した殻に、種子7(種子保持部材7a)、培養土9等の内容物を混入し、孔部402を外側から覆う形態でフィルター13を被せ、必要に応じその外側からシール部材14により外殻401とフィルター13とを封止することで製造される。この種子発芽育成具400は、薄状外殻(薄肉部)を有さず、種子7に対応する卵の殻の頭頂部が割られて開口が形成されることとなる。ここで、天然の卵を使用したものであるため生産コストを抑えることができるとともに、殻(外殻401)を土壌に返した場合も、環境汚染等の問題も生じない。
【0071】この図23の例では、天然の卵(鶏卵等)の殻を外殻401として、その内部に前述の種子保持部材7a、及び培養土9とコーティング肥料11aとの混合物を入れた種子発芽育成具400を示すもので、種子保持部材7aの外端部が孔部402の開口周辺に固定される。なお、コーティング肥料11aに代えて、図21等と同様の肥料11とすること、種子保持部7bを弾性マット17(図3A等参照)で被うこと、図15〜図18等に示したのと同様に吸水材12を図23の外殻401内に配すること等が可能であることはもちろんである。
【0072】さらに、種子発芽育成具の外殻形状は、本実施例の卵型に限定されず、動物型、野菜型等、種々の飾り物形態の外殻を成形して採用することが可能である。例えば、図24は鯨型の外殻501により構成される種子発芽育成具500であり、発芽部分(発芽開口部を設ける開口予定部)502は鯨の潮吹き部分とされている。また、図25は亀型の外殻601により構成される種子発芽育成具600であり、発芽部分(開口予定部)602は亀の甲羅頂上部分とされている。このような種子発芽育成具500,600を受け皿に水とともに設置すれば、鯨あるいは亀が泳いでいるように見えるため一風変わった趣向により本発明の種子発芽育成具を楽しむことが可能で、その底部には孔部15が設けられているため、培養土あるいは吸水材が孔部15から受け皿内の水を吸って種子に供給することができるようになっている。
【0073】なお、外殻2等の内部に培養材等と共に予めセットした種子7が何らかの理由で発芽しなかった、又はいったん発芽したが水切れ(水差し忘れ)等で枯れてしまったような場合に対処するため、予備の種子を袋等に封入して、当該植物発芽育成具(本来の種子は既に入っている)に付属させることもできる。このように本来の種子の他に、予備的な種子を加えた2段階(ダブル種子)で種子をセットする場合、本来の種子及び培養土等を充填した発芽育成具、必要に応じて水受け皿(水受け容器)、袋入り予備種子又は水溶性フィルムで被われた予備種子等の予備種子を1つの包装材に1パックで入れ、それら植物発芽育成具、水受け容器、予備種子が一体となったパックを流通に供することができる。
【出願人】 【識別番号】399028322
【氏名又は名称】聖新陶芸株式会社
【出願日】 平成12年5月31日(2000.5.31)
【代理人】 【識別番号】100095751
【弁理士】
【氏名又は名称】菅原 正倫
【公開番号】 特開2001−340005(P2001−340005A)
【公開日】 平成13年12月11日(2001.12.11)
【出願番号】 特願2000−162812(P2000−162812)