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【発明の名称】 ミッドマウント型乗用田植機
【発明者】 【氏名】岡本 善嗣

【氏名】岸本 智

【要約】 【課題】予備苗の積み込み性を向上させると共に、積み込み量を増加して田植え作業の効率化を図る。

【解決手段】前後輪15、16の間に植付部14を設けたミッドマウント型乗用田植機10に前部予備苗台11を、機体フレーム13−1、2に沿って後側を上方に傾斜させたレール17−1、2に前後移動可能にとりつけ、さらに、前後側位置で前部予備苗台11をロック固定可能にしている。また、運転席10aの左右両側には、後部予備苗台30−1、2を回転自在に取り付けて、前部予備苗台11の後方に移動すると、前後予備苗台11、30−1、2が機体後部で横一列に並ぶようにすると共に、田植え時には、運転席の周囲に前後予備苗台11、30−1、2が位置するようにしている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 機体後部に運転席を設け、前後輪の間に植付部を設けたミッドマウント型乗用田植機において、予備苗台を、機体の前後方向に配置される機体フレームに沿って前後方向に移動させ、運転席前方で植付部上方の前側位置と、運転席上方の後側位置とに往復移動可能とした移動手段と、上記前側位置および後側位置で予備苗台を固定するロック手段を設けていることを特徴とするミッドマウント型乗用田植機。
【請求項2】 上記機体フレームに沿って、断面が略コ字形状の中空のレールを水平あるいは後側を上方に傾斜させて配置し、上記予備苗台の支柱下端に固定したスライド部材に回転自在に軸支したローラーをレール内に位置させ、上記ローラの回転でスライド部材がレールに沿って移動する一方、上記レールの前側位置および後側位置にストッパーピンを突設すると共に、スライド部材に弾性材で付勢された係止片を設け、この係止片と上記ストッパーピンとの係止によりスライド部材をロックする構成としている請求項1に記載のミッドマウント型乗用田植機。
【請求項3】 上記予備苗台およびレールを複数個、並列に設け、これら予備苗台を門型の連結フレームで連結し、各予備苗台の同時移動を可能にしている請求項2に記載のミッドマウント型乗用田植機。
【請求項4】 上記スライド部材にローラの前後側あるいは後側にローラと徐々に離反するように角度をつけてスクレーパーを取り付け、スライド部材の移動時に該スクレーパーでレール内を払拭し、泥、小石等をレールより落下させる構成としている請求項2または請求項3のミッドマウント型乗用田植機。
【請求項5】 機体後部に運転席を設け、前後輪の間に昇降自在に植付部を設けたミッドマウント型乗用田植機において、予備苗の出し入れ口を機体の後ろ向きにした前部予備苗台を、運転席前方の植付部上方の前側位置と、運転席上方の後側位置との間で往復移動可能とした移動手段と、運転席の左右両側に設けた一対の後部予備苗台を、その予備苗の出し入れ口が内向きとされた内側位置と、出し入れ口が機体の後向きとされた外側位置とに回転可能とした回転手段とを備え、田植え作業時には、前部予備苗台を前側位置、後部予備苗を内側位置とする一方、畔ぎわでの予備苗積み込み作業時には、前部予備苗台を後側位置、後部予備苗台を前部予備苗台の両側に配置される外側位置となって、前部予備苗台および一対の後部予備苗台が機体後部で横一列になる構成としていることを特徴とするミッドマウント型乗用田植機。
【請求項6】 上記前部予備苗台の移動手段は請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の移動手段であり、上記後部予備苗台は、機体より水平方向に揺動自在で延出する揺動材の先端部に回転自在に取り付けられている請求項5に記載のミッドマウント型乗用田植機。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ミッドマウント型乗用田植機に関し、詳しくは、予備苗の積み込み性の向上および積み込み量の増加を図るものである。
【0002】
【従来の技術】従来、乗用田植機による田植作業は、シート状の苗箱に多数の苗を植えた予備苗を田植機に設けた予備苗台に多数積載して、圃場を走行しながら植付部の苗載台に予備苗を適宜補給して、連続的に植え付け作業を行うことがある。
【0003】図10は、従来のミッドマウント型の乗用タイプの田植機1であり、機体後部に運転席1aがあり、前輪5と後輪6の間には植付部4が設けられ、この植付部4より斜め上方へ苗載台4aが延設されている。また、機体の略中央部で、かつ、苗載台4aの前方となる位置に予備苗台2が機体フレーム3に固定されている。予備苗台2は、支柱2aに後端が上方となるように傾斜させた予備苗の積載トレー2bを多数取り付けて、多数の予備苗を積載可能にしている。
【0004】このように機体中央に予備苗台2を固定することで、予備苗台2は運転者の前方に位置することとなり、走行中においても、田植機1の運転者が容易に予備苗台2から予備苗を取り出せると共に、取り出した予備苗を苗載台4aに補給して、効率的な連続植付を可能にしている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】田植機1の予備苗台2に予備苗Nを積載するには、圃場の畔ぎわに田植機1を寄せて、畔上の予備苗を田植機1に積み込むこととなる。この場合、田植機を畔に対して機体の前部を付けても、あるいは、機体の後部を付けても、予備苗台が機体の中央にあるため、予備苗の積み込みに労力がかかる問題がある。例えば、図11に示すように、田植機1を畔Zに後ろ付けして予備苗Nの積み込みをしようとしても、予備苗台2が畔Zから離れているので、作業者Sは畔Zから予備苗台2へ予備苗Nを直接に積み込むことは不可能である。
【0006】よって、一人の作業者で予備苗Nの積み込みを行うには、予備苗Nをかかえた状態で畔から一旦、運転席1aのフロアー1bに降りて予備苗台2に積み込まねばならず、予備苗台2を予備苗Nで満杯にするまで上記作業を繰り返す必要がある。この際、運転席1aのフロアー1bと畔Zとは高さに高低差があるため、上記積み込み作業は作業者に対し非常に負担を強いると共に時間もかかるものとなっている。また、二人の作業者で上記積み込み作業を行う場合は、一方が運転席のフロアーに位置し、他方が畔に位置して畔より予備苗を運転席にいる作業者へ渡すという作業内容となり、作業にかかる労力および時間は低減できるが、予備苗を渡すタイミング等に慣れを必要とすると共に人手を要する問題がある。
【0007】また、苗の植付を行う植付部は、田植機において重要な役割を担うため、定期的な点検、調整等に対する整備が必要となるが、田植機1においては、植付部4の上方に予備苗台2が位置するため、上記整備の際に、予備苗台2が干渉して整備が困難となったり、整備の内容によっては予備苗台2を取り外す必要があり、迅速に整備を行うことに支障が生じている。
【0008】一方、田植え作業の効率化に観点を移すと、植付作業中に予備苗が無くなると、植付作業を中断して積み込みのために畔へ戻り、上記積み込み作業を行うことになるので、畔に戻る時間も含めて積み込み作業に要する時間は、全体の作業時間を長引かせて作業効率を妨げる要因になっている。特に、広大な圃場における植付作業では、畔に戻るのにも時間がかかるため、一度に多量の予備苗を積載可能にして予備苗の積み込み回数を削減することが要望されている。
【0009】しかし、安易に田植機に予備苗台を多数設置することは、予備苗の積み込み性や植付部の整備性に問題を抱えている現状を省みれば、積み込み性や整備性の更なる悪化をもたらすことは容易に想像できる。また、多数の予備苗台の設置することは、田植機の外形寸法の大型化を招き、田植機自体のの保管性や取扱性等に支障が生じる懸念もある。
【0010】本発明は、上記した種々の課題に鑑みてなされたものであり、予備苗の積み込み性および植付部の整備性を従来より向上させることを第一の課題としている。さらに、田植機の保管性等に支障を生じさせず、かつ、予備苗の積み込み性および植付部の整備性を確保した上で、予備苗台を増設し、田植え作業の効率化を図ることを第二の課題としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解決するために、機体後部に運転席を設け、前後輪の間に植付部を設けたミッドマウント型乗用田植機において、予備苗台を、機体の前後方向に配置される機体フレームに沿って前後方向に移動させ、運転席前方で植付部上方の前側位置と、運転席上方の後側位置とに往復移動可能とした移動手段と、上記前側位置および後側位置で予備苗台を固定するロック手段を設けていることを特徴とするミッドマウント型乗用田植機を提供している。
【0012】このように、予備苗台を、機体フレームに固定するのではなく、機体フレームに沿って前後移動可能で、かつ、前後側位置で固定可能とすれば、従来に比べ積み込み性および整備性の向上が図れる。即ち、予備苗の積み込み時には、予備苗台を後方へ移動させて後側位置で固定すると、予備苗台は機体後部に位置することとなり、田植機を畔に後ろ付けすれば、畔の上から予備苗台に予備苗を直接積み込めるので、積み込みに要する負担を軽減すると共に効率的な積み込み作業を行える。また、植付部の整備時にも、上記同様、予備苗台を後方へ移動させて後側位置で固定すると、植付部の上方が開放され、優れた整備性を確保できる。
【0013】一方、田植え作業時には、予備苗台を前方へ移動させて前側位置で固定すれば、予備苗台は運転者の前方に位置することとなり、田植機の運転者が予備苗台から予備苗を取り出して苗載台へ容易に補給でき、従来同様の優れた植付作業性も維持できる。
【0014】上記機体フレームに沿って、断面が略コ字形状の中空のレールを水平あるいは後側を上方に傾斜させて配置し、上記予備苗台の支柱下端に固定したスライド部材に回転自在に軸支したローラーをレール内に位置させ、上記ローラの回転でスライド部材がレールに沿って移動する一方、上記レールの前側位置および後側位置にストッパーピンを突設すると共に、スライド部材に弾性材で付勢された係止片を設け、この係止片と上記ストッパーピンとの係止によりスライド部材をロックする構成としている。
【0015】このように、機体フレームに沿ってレールを設けると、予備苗台の支柱フレームと固定したスライド部材にローラーを設け、このローラーを上記レール内に位置させて回転させれば、予備苗台をスムーズに移動させることができる。上記レールは断面を略コ字形状として、一方の側面を開放とする以外は、残りの三方を閉鎖とすることで、ローラーがレールより浮き上がったり、離脱する等の不具合を防止して安定した予備苗台の移動を確保できる。また、レールの前後側位置にストッパーピンを設け、スライド部材には係止片を設けることで、前後側位置での固定が確実となり、積み込み作業時等に予備苗台が移動してしまう等のおそれも防止できる。
【0016】さらに、上記レールは、水平に配置する以外に、後側を上側として傾斜させて配置してもよく、特に傾斜させて配置すると、予備苗台を後方に位置させた予備苗台の積み込み時において、畔の高さに対して予備苗台の高さが適切となり、より作業者の負担を軽減して積み込み作業が行える。さらに、上記傾斜させた場合で予備苗台を前方へ移動すると、予備苗台を低い位置に設定できるので、植付作業時に予備苗台の取り出しが容易となり好適である。
【0017】なお、このようにレールを傾斜させても、後方へ移動させる場合は、予備苗の積み込み時か整備時といった予備苗台が空の状態なので、移動に要する力が過大になることはない。また、逆に、予備苗台を前方へ移動させる場合は、予備苗を予備苗台に積み込んだ状態であるため、予備苗を含んだ予備苗台の自重により、ロックを解除して軽く予備苗台を押すだけで容易に予備苗台を前方へ移動できる。なお、苗箱の全ての箇所に苗を植えた一枚の予備苗の重量は、通常約3kg前後であるため、八枚の予備苗が積み込み可能な予備苗台であれば、予備苗を満載した予備苗台は空の状態に比べ、約24kg前後重量が増加することとなる。
【0018】また、上記予備苗台およびレールを複数個、並列に設け、これら予備苗台を門型の連結フレームで連結し、各予備苗台の同時移動を可能にしている。一度に植付可能な苗の量が、所謂4条植と呼ばれるタイプより大型のものは、ミッドマウント型乗用田植機では、通常、2つ以上の苗載台を設けており、これに対応して、予備苗台も複数個、並列に設ける場合がある。
【0019】この場合、各予備苗台は連結フレームで繋げば各フレームを同時に移動できるので使用性が高めることができる。しかし、通常、機体の縦中央には、運転用のハンドル等の上方へ突出した部材が存在するため、上記連結フレームとの干渉が想定される。よって、この連結フレームを門型に上方へ突出した形状にすることで、予備苗台を移動しても他部材との干渉を防止でき、スムーズな移動を確保できる。なお、予備苗台を並列に設ける数は、特に制限が無く、大型の田植機であれば、3列以上設けて各予備苗台を連結フレームで繋ぐようにしてもよい。
【0020】上記スライド部材にローラの前後側あるいは後側にローラと徐々に離反するように角度をつけてスクレーパーを取り付け、スライド部材の移動時に該スクレーパーでレール内を払拭し、泥、小石等をレールより落下させる構成としている。圃場における田植え作業は、走行中、車輪が圃場の泥や小石等を巻き上げることがある。これら巻き上げられた泥等がレール内に入り込むとローラーの障害物となり、予備苗台のスムーズな移動を妨げたり、最悪の場合、ローラーに泥等が詰まってしまい予備苗台の移動が不可能になるおそれもある。
【0021】しかし、上記のように、ローラーの前後等にスクレーパーを設けると、予備苗台を移動させても、ローラーが通過する箇所は既にスクレーパーが先に通過して泥等が払拭されているため、泥等による不具合発生を防止している。また、上記スクレーパーは、角度を付けて取り付けられているため、スクレーパーで払拭された泥等は予備苗台の移動に伴いスクレーパーの払拭面に沿って移動し、レールの開放側へ自然落下するためスクレーパー自体に泥等が堆積することなく、常に予備苗台のスムーズな移動を確保できる。
【0022】さらに、本発明は、機体後部に運転席を設け、前後輪の間に昇降自在に植付部を設けたミッドマウント型乗用田植機において、予備苗の出し入れ口を機体の後ろ向きにした前部予備苗台を、運転席前方の植付部上方の前側位置と、運転席上方の後側位置との間で往復移動可能とした移動手段と、運転席の左右両側に設けた一対の後部予備苗台を、その予備苗の出し入れ口が内向きとされた内側位置と、出し入れ口が機体の後向きとされた外側位置とに回転可能とした回転手段とを備え、田植え作業時には、前部予備苗台を前側位置、後部予備苗を内側位置とする一方、畔ぎわでの予備苗積み込み作業時には、前部予備苗台を後側位置、後部予備苗台を前部予備苗台の両側に配置される外側位置となって、前部予備苗台および一対の後部予備苗台が機体後部で横一列になる構成としていることを特徴とするミッドマウント型乗用田植機を提供している。
【0023】このように、運転席前方の前部予備苗台に加えて、運転席の左右両側にも後部予備苗台を設けると、予備苗の積み込み量を増加でき、一度の積み込みで連続して田植え作業を行える量が増えると共に、予備苗の積み込み作業回数を削減でき、田植え作業の効率化を図ることができる。また、上記後部予備苗台は、内側位置と外側位置へと回転可能にすることで、使用性および予備苗の積み込み性の両方を満足させることができる。
【0024】即ち、田植え作業時には、後部予備苗台を内側位置にすると、運転席の前方には前部予備苗台が、左右両側には後部予備苗台が運転席を取り囲むように位置することとなり、運転席の運転者は、どの予備苗台からも容易に予備苗を取り出すことができ、連続して多量の予備苗を苗載台に補給できる。一方、予備苗の積み込み時には、後部予備苗台を外側位置にすると予備苗の出し入れ口が後方に向くと共に、前部予備苗台を後方に移動させることにより、各予備苗台をほぼ横一列に並べられ、畔から予備苗を各予備苗台に順序よく直接積み込めるので、効率的な積み込み作業が行える。
【0025】上記前部予備苗台の移動手段は、上述した機体の略中央部に設けた予備苗台に関する移動手段であり、上記後部予備苗台は、車体側より揺動自在に延出する揺動材の端部に回転自在に取り付けられている。このようにすると、前部予備苗台は、スムーズな前後移動を確保できると共に、前側及び後側位置で確実に固定でき、上記同様、予備苗の積み込み性と植付部の整備性を確保できる。また、後部予備苗台は、揺動材の先端部に取り付けることで、揺動範囲限の二位置でそれぞれ回転可能となり、保管性等も従来と同様のレベルで確保できる。
【0026】即ち、予備苗の積み込み作業時には、上記揺動材を機体の外方へ開いた状態に位置させて、予備苗の出し入れ口が機体の後ろ向きとなる外側位置にすることで、前部予備苗台を後部予備苗台と干渉することなく後方へ移動させて横一列に並べることができる。また、田植え作業時には、上記揺動材を内方に閉じた状態で予備苗の出し入れ口が運転席側を向くように後部予備苗台を回転させることで、運転席から近い位置に後部予備苗台を配置して予備苗の取出性を高められる。
【0027】一方、田植機を保管する場合や、トラック等の荷台に載せて田植機を運搬する場合等は、揺動材を機体の内方に閉じた状態で、後部予備苗台を予備苗の出し入れ口が機体の両横へ向くように回転させると、後部予備苗台が機体の幅内に収まり、従来の機種とほぼ同等の幅寸法に収めることができる。よって、本発明の田植機は、従来と同様の保管スペースに保管でき、運搬に要するトラックも従来と同サイズのもので対応できる。
【0028】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。図1、2は、本発明にかかるミッドマウント型乗用田植機10であり、所謂6条植と呼ばれるタイプのものであり、機体の前部から後部へ連続して機体フレーム13−1、13−2が左右に二本平行して通っている。また、機体後部には、田植機10を操縦する運転席10aを設けており、前輪15と後輪16との間には、油圧により昇降自在の苗植え付け用の植付部14を設けると共に、この植付部14より後ろ斜め上方へ苗載台14aを突設している。
【0029】機体の略中央部で運転席10aの前方には、多数の予備苗の積み込み用の前部予備苗台12を配置しているが、この前部予備苗台11は、機体フレーム13−1、2には固定せず、機体フレーム13−1、2に沿って配置したレール17−1、2に前後移動可能に取り付けている。なお、本実施形態では、6条植の田植機10に対応して、前部予備苗台11を並列させた左右二つの予備苗台12−1、12−2より構成しており、各予備苗台12−1、2は支柱12−1a、12−2aに多数の予備苗の積載トレー20を取り付けている。
【0030】図3、図4(A)に示すように、左右の機体フレーム13−1、2に沿って、機体フレーム13−1、2の上面側に、断面形状の一部に略コ字形状の空洞部17−1a、17−2aを有するレール17−1、2を後側が上方となるように傾斜させてブラケット18を介して固定している。本実施形態では、運転席10aのハンドル位置や苗載台14aの高さ等を考慮して、上記傾斜角度を約8度に設定している。なお、レール17−1a、2aは機体のレイアウト等の関係で傾斜させるのが困難な場合等は、水平配置にしてもよい。
【0031】上記左右のレール17−1、2は、空洞部17−1a、2aの開放側17−1b、2bが夫々内側になるように取り付けられており、図4(B)(C)に示すように、レール17−1を例にして説明すると、ボックス断面部17−1fの上方に設けられた空洞部17−1aは上辺を少し下方に折り曲げて略コ字形状に形成されており、内部にはローラ21を位置させている。このローラ21は、レール17−1の上面17−1cから開放側17−1bへ連続する逆L字断面のスライド部材19−1の垂直部19−1aより突出するローラー軸22に回転自在に取り付けている。
【0032】ローラー21は、空洞部17−1aの内部上面17−1dと内部下面17−1eと夫々接触する直径寸法を有するものを選択している。このように寸法を設定することで、ローラー20が回転可能な状態で上下左右に位置決めされ、空洞部17aより離脱することなく、安定して空洞部17a内を前後に移動できるようにしている。なお、本実施形態では、上記ローラー21に、ローラー軸22との摩擦低減、予備苗満載時のローラー軸22にかかるラジアル荷重、コスト等を考慮して、ボールベアリングを用いており、スライド部材19−1に垂直部19−1aの前後に夫々ローラー21を取り付けて、スライド部材19−1がレール17−1に沿って安定に移動できるようにしている。
【0033】また、スライド部材19−1の水平部19−1bには、一方の予備苗台12−1の支柱12−1aの下端を固定して、予備苗台12−1がレール17に沿って前後移動できるようにしている。また、予備苗台のロック手段として、図4(A)(C)(D)に示すように、スライド部材19−1の垂直部19−1aの長手方向の略中央部にフック状の凹部23d、23eを形成した前後端23a、23bを有する係止片23を取り付けており、また、レール17−1の前側と後側にロック用のストッパーピン25を設けている。
【0034】係止片23は上部23cにバネ24が取り付けられて前端23aが下方に向くように付勢されており、さらに、上部23cには、ワイヤー45の一端45aが取り付けられておりワイヤー45を上方へ引っ張ると、付勢に抗して前端23aが上方へ回転するようにしている。なお、ワイヤー45の他端は支柱12−1に設けられたロック解除用の操作レバー26に取り付けられ、操作レバー26を握ると、ワイヤー45が引っ張られるようにしている。
【0035】上記係止片23によるロックは、スライド部材19−1が前方へ移動するとストッパーピン25が前端23aと当接する。さらに、前方へ移動すると、前端23はストッパーピン25の外形に倣って上方へ持ち上がった末、前端23aの凹部23dにストッパーピン25がはまり込み、スライド部材19を固定している。このロックを解除するには、操作レバー26を引くことで、ワイヤー45が上方へ引っ張られ係止片23の前端23aが上方へ持ち上げられ、ストッパーピン25を凹部23dから外すことで行っている。なお、レール17−1の後側でも同様に、係止片23の後端23bでロックおよびロック解除が行われる。
【0036】さらに、図5(A)(B)に示すように、スライド部材19−1の垂直部19−1aには、ローラー20の前後に位置するように、スクレーパ27を取り付けている。スクレーパ27は、弾性および可撓性を有するゴム状片あるいは樹脂片等から形成されており、レール17−1の空洞部17−1aの内部上面17−1dと内部下面17−1eと接触するように取り付けられており、また、垂直部19−1aに対する取付も、突出するに伴いローラー20と離反するように末広がりの形状となる角度にされている。
【0037】このように、スクレーパ27を取り付けることにより、田植機1の走行中、前後車輪15、16が巻き上げた泥、小石等がレール17−1の空洞部17−1aに入り込んでも、これら泥等によりスライド部材19−1の移動に支障が出るのを防止している。即ち、図5(A)に示すように、レール17−1の空洞部17−1aに泥や小石Kが入り込んだ状態で、スライド部材19−1を図中の矢印X方向に移動させると、ローラー21が通過する前に、既に、スクレーパ27によりレール17−1の内部上面17−1dと内部下面17−1eは払拭されているので、泥がローラーにからみつくこともなく、また、小石はスクレーパ27でせき止められているため、ローラー21の回転に支障は生じず、スライド部材19−1のスムーズな移動を確保できる。
【0038】また、スクレーパ27により払拭された泥、小石Kは、角度の付いたスクレーパ27の払拭面27aに沿って、図中の矢印Y方向へ移動した末、レール17−1の開放側17−1bより落下するため、泥等によりレール17−1の空洞部17−1aが詰まることを排除して、これら予備苗台の移動関連箇所のメンテナンス・フリー化を達成している。
【0039】また、予備苗台は作業時には前側位置に固定されているので、予備苗台を後ろ側に移動させる時のみ、泥等を払拭すれば泥等を最低限排除できるため、スクレーパ27は、ローラー21の後側のみに設けるようにしてもよい。なお、上記図4、5等に関連する説明は、主に一方のレール17−1側を中心に説明したが、他方のレール17−1側も同様な構成となっている。
【0040】また、並列する左右の予備苗台12−1、2は、図3示すように連結フレーム28で連結し、各予備苗台12−1、2が連携して同時に移動できるようにしている。上記連結フレーム28は左右の予備苗台12−1、2の支柱12−1a、2aを繋ぐ水平部28aを上方に位置させて全体が門型となるように形成している。このように、水平部28aを高所に配置することで、前部予備苗台11を移動する際に、機体中央で上方へ突出する中央の苗載台14aや運転席10aのハンドル等と干渉を避けることができる。また、前部予備苗台11を移動させる際の作業者の把持部として水平部28aを活用できるので、高い位置の方が作業者にとって把持しやすく好都合でもある。なお、本実施形態では、左右の予備苗台12−1、2の連結を補強するために、門型のサブ連結フレーム29も設けている。
【0041】上記連結された各予備苗台12−1、2からなる前部予備苗台11は、連結フレーム28の水平部28aを把持して後方へ引っ張ると、レール17−1、2に沿って後方へ移動し、運転席10aの上方となる後側位置で係止片23により固定できる。また、ロックを解除して水平部28aを前方へ押すと、前部予備苗台11は前方へ移動し、植付部14の上方の前側位置で係止片23により固定される。
【0042】一方、図1、図2に示すように、運転席10aの左右両側には、一対の後部予備苗台30−1、30−2を設けている。後部予備苗台30−1、2は、機体より水平後方に突出する揺動部材31−1、2の先端部31−1a、31−2aに回転自在に取り付けられている。
【0043】図6(A)(B)に示すように、一方の揺動部材31−1を基に説明すると、他端部31−1bを機体後部10bに回転自在に取り付けると共に、機体後部10bに当接バー32a、32bを突出した当接部材32を設け、揺動部材31−1の下面31−1cから位置決めピン33を突出させ、この位置決めピン33が左右の当接バー32a、32bと当接することにより、揺動部材31−1の回転範囲が規制され、約90度の範囲で揺動可能としている。また、位置決めピン33と当接部材32には、バネ34の端部を夫々取り付けて揺動部材31−1を引っ張る方向に付勢することにより、両側の揺動範囲限で揺動部材31−1の位置が安定するようにして、揺動部材31−1が外側に開いた位置と、内側に閉じた位置の計二箇所で位置決めされるようにしている。
【0044】また、揺動部材31−1の先端部31−1aの上面31−1dからは回転支持棒35を突出させている。この回転支持棒35の周囲の対向箇所からは、位置決め用の支持回転体36−1、36−2を突出している。この回転支持棒35に、後部予備苗台30−1の中空の垂直フレーム37−1を差し込んでいる。垂直フレーム37−1の下端37−1aには端部を大径とすると共に、周囲に90度間隔でなだらかな凹部38aを有する位置決めホルダー38を設けている。位置決めホルダー38の凹部38aには、回転支持棒35の支持回転体36−1、2が入り込み、垂直フレーム37−1の向きを位置決めしている。
【0045】即ち、垂直フレーム37−1を回転させると、位置決めホルダー38の下端周囲部の形状が回転支持棒35の支持回転体36−1、2に倣って上下しながら回転し、90度ずれた次の凹部38aに支持回転体36−1、2が入り込んで、垂直フレーム37−1の向きが位置決めされる。よって、垂直フレーム37−1は位置決めホルダー38に90度間隔で凹部38aを設けているので、90度毎に四位置で位置決めされ、揺動部材31−1の二位置と合わせて、計八位置で垂直フレーム37−1の位置決めを行える。なお、垂直フレーム37−1には、予備苗の積載トレー20を多数取り付けて、多数の予備苗を積載可能とした後部予備苗台30−1を形成している。また、上記説明は、一方の後部予備苗台30−1、揺動部材31−1等を中心に説明したが、他方の後部予備苗台30−2、揺動部材31−2等も同様の構成にしている。
【0046】以下、上記本発明にかかるミッドマウント型乗用田植機10を、使用状況に応じて、更に説明する。図7(A)(B)は、田植え作業時の状態であり、前部予備苗台11を植付部14の上方の前側位置で固定すると共に、左右の後部予備苗台30−1、2は、揺動部材31−1、2を内側に閉じた状態で、垂直フレーム37−1、2を回転させて後部予備苗台30−1、2の予備苗の出し入れ口30−1、2aを運転席12a側の内向きとした内側位置で位置決めしている。
【0047】上記状態では、運転席10aの前方および左右両側を予備苗台が取り囲む形態となっているため、田植え作業中、運転者は、いずれかの予備苗台から適宜予備苗を取り出して、容易に苗載台に補給できるため、効率的に連続して長時間多量の植付が可能となる。
【0048】図8(A)(B)は、予備苗の積み込み時の状態であり、最初に、左右の後部予備苗台30−1、2を、揺動部材31−1、2が外側に開いた状態で、垂直フレーム37−1、2を回転させて予備苗の出し入れ口30−1a、2aが後方に向く外側位置で位置決めしている。次に、前部予備苗台11を後方へ移動して運転席10の上方の後側位置で固定している。このようにするると、前部予備苗台11および左右の後部予備苗台30−1、2は機体の後部で横一列に並んだ状態となり、田植機10を畔に後ろ付けすれば、畔から容易に予備苗を直接積み込むことができる。
【0049】しかも、前部予備苗台11はレール17−1、2の後側を上方にして傾斜させているため、前部予備苗台11の予備苗の各出し入れ口11aも、高さが畔に対して低くなりすぎることはなく、作業者が屈み込まねばならない状況を極力減らして、積み込みに要する作業者の負担を軽減している。よって、作業者は一人でも効率良く田植機へ多量の予備苗を積み込むことが可能となり、複数の作業者で積み込みを行う場合でも、各予備苗台が、ほぼ同一高さで並んでいるため、相互の作業者同士が邪魔になることなく協力して短時間で積み込み作業を終わらせることができる。なお、上記各予備苗台の配置状態は、予備苗の積み込み時だけでなく、植付部14の整備時にも適用される形態であり、植付部14の上方を開放して優れた整備性を確保している。
【0050】図9(A)は、田植機10の保管時等の状態であり、前部予備苗台11は前側位置で固定していると共に、後部予備苗台30−1、2は、揺動部材31−1、2を内側に閉じた状態にすると共に、垂直フレーム37−1、2を回転させて予備苗の出し入れ口30−1a、2aが両側の外方へ向くように後部予備苗台30−1、2を位置決めしている。このようにすると、前部予備苗台11および後部予備苗台30−1、2は、田植機10の縦および横寸法に収まるため、保管スペースが従来より大きくなることを避けられ、保管性が悪化することもない。
【0051】また、田植機10をトラックTで運搬する際も、上記保管時と同様に前部および後部予備苗台11、30−1、2を位置決めすると、田植機10の幅寸法も機体の幅に収めることができるので、トラックTの荷台幅が田植機10の幅寸法より大きければ、確実に積載して運搬することができる。
【0052】なお、本実施形態の田植機は、6条植の田植機を例に挙げて説明したが、4条植、あるいは、6条植より大きいタイプのものでも上記同様の前部予備苗台および後部予備苗台を適用可能であり、田植機の大きさに応じて前部予備苗台を単列あるいは複数列で設けて、田植え作業および積み込み性の効率化等を図ることができる。
【0053】
【発明の効果】上記した説明より明らかなように、本発明のミッドマウント型乗用田植機を用いると、前部予備苗台は前後移動式にしているので、予備苗の積み込みを容易にして、積み込みに要する作業者の負担を軽減できると共に、植付部に整備性も確保できる。さらに、前部予備苗台に加えて、運転席の左右両側にも後部予備苗台を回転自在に設けているので、予備苗の積み込み可能量を増加でき予備苗の積み込み作業回数を低減して、連続して多数の苗を植え付けることができるため、植付作業の効率化を図れる。
【0054】一方、後部予備苗台は、回転式であるため、植付作業中は、後部予備苗台の予備苗の出し入れ口を運転席側に向ければ、運転席より前方および左右から予備苗を容易に取り出せるので、走行中も一人の作業者で植付作業を行える。また、予備苗の積み込み作業時には、後部予備苗台を外側に回転させて予備苗の出入り口を機体後方に向ければ、前部予備苗台を後方に移動させても干渉することなく、左右の後部予備苗台の間に前部予備苗台を位置させて一列に配置できる。
【0055】これにより、畔から前部および後部予備苗台に多量の予備苗を効率良く積み込むことができる。さらに、前部予備苗台のレールは後端を上方にして傾斜させているため、前部予備苗台の予備苗の積載トレーの位置が低くなることもなく、優れた積み込み作業性を確保できる。その上、保管時等には、後部予備苗台を回転させて機体寸法内に収めるように配置すれば、後部予備苗台は機体より外方へ突出することがなくなり、従来と同様の保管スペースに保管でき、新たな問題が生じることなく、田植え作業の効率という利益を享受できる。
【出願人】 【識別番号】000100469
【氏名又は名称】みのる産業株式会社
【出願日】 平成12年5月19日(2000.5.19)
【代理人】 【識別番号】100072660
【弁理士】
【氏名又は名称】大和田 和美
【公開番号】 特開2001−327208(P2001−327208A)
【公開日】 平成13年11月27日(2001.11.27)
【出願番号】 特願2000−148501(P2000−148501)