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【発明の名称】 施肥装置の施肥パイプ設置構造
【発明者】 【氏名】安井 明司

【氏名】佐藤 周二

【要約】 【課題】耕耘爪を取付ける爪ホルダへの挟雑物の引っ掛かり等を防止し、耕起作業を円滑に行うと共に、施肥パイプの詰まりや肥料の拡散等を防止することができる施肥装置の施肥パイプ設置構造を提供する。

【解決手段】横軸回転する爪軸36に突設した爪ホルダ5に、耕耘爪38を固定具3を介して取付固定し、該耕耘爪38を保護カバー44で上方と側方を覆った状態で地面に耕起溝56を作溝すると共に、保護カバー44内で耕耘爪38の一側に施肥パイプ20を臨設し、該施肥パイプ20から耕起溝56に肥料54を供給する施肥装置2の、前記施肥パイプ20が臨設する側の爪ホルダ5の側面を、固定具3を突出させない平坦面状にして耕耘爪38を取付けると共に、施肥パイプ20を爪軸36の近傍で爪ホルダ5に近接させて設置する施肥装置の施肥パイプ設置構造にしている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 横軸回転する爪軸36に突設した爪ホルダ5に、耕耘爪38を固定具3を介して取付固定し、該耕耘爪38を保護カバー44で上方と側方を覆った状態で地面に耕起溝56を作溝すると共に、保護カバー44内で耕耘爪38の一側に施肥パイプ20を臨設し、該施肥パイプ20から耕起溝56に肥料54を供給する施肥装置2において、前記施肥パイプ20が臨設する側の爪ホルダ5の側面を、固定具3を突出させない平坦面状にして耕耘爪38を取付けると共に、施肥パイプ20を爪軸36の近傍で爪ホルダ5に近接させて設置する施肥装置の施肥パイプ設置構造。
【請求項2】 耕耘爪38を上向き耕起回転させると共に、施肥パイプ20の排出口を爪軸36の下方に設け、耕耘爪38の上向き回転によって形成される耕起時空間部Kに施肥パイプ20から肥料58を供給する請求項1記載の施肥装置の施肥パイプ設置構造。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耕耘爪で作溝される耕起溝内に施肥パイプから肥料を供給する、施肥装置の施肥パイプ設置構造に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、トラクタ等に装着されて圃場に複数条の耕起溝を形成すると共に、該耕起溝に施肥及び播種を同時に行う耕起施肥播種装置は、横軸回転する爪軸に突設した爪ホルダに作溝用の耕耘爪を嵌挿し、両者を側方からボルトを挿通して締着固定し、該耕耘爪を保護カバーで覆った状態で回転させることにより、圃場面に幅挟で筋状の耕起溝を連続的に形成すると共に、保護カバー内に臨設させた施肥パイプから上記耕起溝に肥料を供給する施肥装置と、また該施肥装置の後部に耕起溝に種子を播種する播種装置を設けた構成にしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】然し、上記のような従来の構成による耕起施肥播種装置の施肥装置は、爪軸の爪ホルダに耕耘爪を取付固定するボルトの頭部或いはナットを、該爪ホルダの施肥パイプが臨設している側面に突出させているので、圃場面に植生したり散在する雑草や藁屑等(以下挟雑物という)が、耕起時に上記ボルト類に引っ掛かったり付着して持ち回り回転されると、これが施肥パイプに激しく接触すると共に、その排出口に土や塵埃を付着させて土詰まりを生じさせる等の欠点がある。また、上記の欠点を回避しようとして、施肥パイプを爪軸から離間させると、耕起溝の適正位置への肥料の供給が困難になると共に、肥料を不慮に拡散させて施肥する等の問題がある。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記従来の問題点を解消するために本発明による施肥装置の施肥パイプ設置構造は、第1に、横軸回転する爪軸36に突設した爪ホルダ5に、耕耘爪38を固定具3を介して取付固定し、該耕耘爪38を保護カバー44で上方と側方を覆った状態で地面に耕起溝56を作溝すると共に、保護カバー44内で耕耘爪38の一側に施肥パイプ20を臨設し、該施肥パイプ20から耕起溝56に肥料54を供給する施肥装置2において、前記施肥パイプ20が臨設する側の爪ホルダ5の側面を、固定具3を突出させない平坦面状にして耕耘爪38を取付けると共に、施肥パイプ20を爪軸36の近傍で爪ホルダ5に近接させて設置することを特徴としている。
【0005】第2に、耕耘爪38を上向き耕起回転させると共に、施肥パイプ20の排出口を爪軸36の下方に設け、耕耘爪38の上向き回転によって形成される耕起時空間部Kに施肥パイプ20から肥料58を供給することを特徴としている。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1及び図2において、1は本発明に係わる施肥装置2を備えた耕起施肥播種装置であり、この耕起施肥播種装置1は、図示しないトラクタの後部に設置されるヒッチ部12を介して昇降自在に装着され、施肥装置2を耕深調節用の尾輪22を有するロータリ装置(部分耕起装置)14と、該ロータリ装置14から後方に延設したツールバー15に設けた施肥部2aとで構成し、ロータリ装置14の耕耘爪38で作溝した各耕起溝56内に施肥パイプ20から肥料を供給すると共に、施肥装置2の後部で、作溝施肥された各耕起溝56に播種を行う播種装置16とから構成している。
【0007】また、トラクタ本体からの動力は、ロータリ装置14のチェーンケース34内のチェンによって各耕起溝56列共通で横軸回転可能に軸支された爪軸36に伝達され、該爪軸36は同一の回転面内に複数本(図では6本)の耕耘爪38を略々等間隔で放射方向に取付けていると共に、該耕耘爪38を機体の前進時の車輪回転とは逆回転になる、上向き耕起回転によって地面に複数列の作溝を行うことができるようにしている。
【0008】図1,図3で示すように上記耕耘爪38は、それぞれの先端部を回転面に対し交互に左及び右側方を向くように折曲させており、その回転による先端軌跡幅で幅狭な耕起溝56を圃場面に筋条に掘削形成するようにしていると共に、この実施形態における耕耘爪38は、爪軸36に後述する構成によって取付固定していると共に、保護カバー44でその上方及び側方を覆っている。
【0009】また、前記施肥装置2は、ロータリ装置14の上部でツールバー15に左右2個の肥料タンク18を設け、該タンク18内の肥料を繰り出して耕起溝56に供給する施肥パイプ20を、保護カバー44内で耕耘爪38の側方に各臨設してなる施肥部2aを設けた構成にしている。上記施肥パイプ20は、図3に示すように側方から保護カバー44を貫通させて、耕耘爪38の右側で爪軸36の後部の溝側(下部)に近接させた近傍位置に配置しており、図4(A)に示すように、施肥パイプ20の排出口から耕起溝56の右側底部に、肥料タンク18内の肥料を繰り出して的確に落下供給することができるようにしている。
【0010】また、前記播種装置16は、種子を収容する種子タンク24と、該タンク24内の種子を播種部に向けて供給する種子パイプ25と、播種溝形成用の溝切り刃26、更に播種溝に覆土する覆土板28、覆土された播種溝の上部を押圧する鎮圧ローラ30、及び播種装置16駆動用の接地輪32を有している。
【0011】また前記接地輪32は、ロータリ装置14の後方でトラクタの前進によって接地回転駆動されるものであり、該接地輪32の前部に左右一対の円盤刃を図4(D)に示すように対向させた溝切り刃26を接地転動可能に設けている。この溝切り刃26は、耕耘爪38によって形成された耕起溝56の溝幅内の左側にV字状の播種溝60を形成するように、耕耘爪38の進行方向と略々一致する後方左側に変位させて取り付けている。
【0012】また、前記種子タンク24の種子供給部42と接地輪32との間には、ベルト40が巻き掛けられていて、このベルト40を介して種子タンク24の種子供給部42を駆動し、種子58の排出量を調節しながら種子パイプ25を経由させ、溝切り刃26によって予め耕起溝56に形成された播種溝60内に、種子58を落下供給させることにより種蒔きをしながら、連続的な播種作業を良好に行うものである。
【0013】そして、溝切り刃26の後方には覆土板28と鎮圧ローラ30を設けており、蒔かれた種子58の上に覆土板28によって土を軽く被せると共に、最後尾に設けた鎮圧ローラ30によって、耕起溝56に被せた土を軽く転圧するようにしている。従って、耕起施肥播種装置1は上記のような構成にしたことにより、作溝、施肥、播種等の一連の作業を能率よく円滑に遂行することができるものである。尚、水田圃場に水稲播種をする場合には、上記作業の後日に田面に水を張って水田状態にする。
【0014】次に、上記施肥装置2の詳細な構成について説明する。施肥装置2はロータリ装置14の耕耘爪38の取付構造を、図3に示すような構成することにより、耕耘爪38で持ち回しされる雑草等の挟雑物や土等に支障されることなく、耕起施肥作業を能率よく良好に行うことができるものである。即ち、同図において爪軸36は、耕耘爪38の基部を嵌挿させた状態で、6角頭部付のボルト3を通して共締めする複数の爪ホルダ5を、同一の回転面内に略々等間隔で放射方向に一体的に突設していると共に、耕耘爪38は板状の基部側にボルト3を挿通させる取付孔3aを穿設している。
【0015】そして、爪ホルダ5は保護カバー44内において、施肥パイプ20が位置する側に、ボルト3の頭部を施肥パイプ20側に大きく突出させることなく係合嵌入させる6角形状の止め孔5aを穿設していると共に、対向する他側にボルトネジ部の通孔5bを穿設している。従って、図示例のように爪ホルダ5内に耕耘爪38の基部を嵌挿し、両者に側方からボルト3を通しナット3bを締着すると、ボルト3の頭部を爪ホルダ5の止め孔5a内に埋設した状態で側面から大きく突出させることなく、耕耘爪38の取付固定を安定よく行うと共に、爪ホルダ5の施肥パイプ20側面を平坦面状(フラット状)にすることができるので、この部に挟雑物の引っ掛かりや付着を良好に防止することができるものである。
【0016】また、前記耕耘爪38は左右両側面を覆う側面板46と、天面を覆う円弧状の天面板48を有する保護カバー44を近接させた状態で覆い、該保護カバー44は圃場面側に対向する側を地面に近接させた状態で開口させることにより、耕耘爪38の上向き作溝回転(矢印)によって耕耘された耕耘土は、保護カバー44内で上方から下方に跳ね上げられる際に、外部飛散を防止しながら保護カバー44内の持ち回りが円滑に行われると共に、この耕耘土を図4(A)に示す作溝と施肥が行われた状態の耕起溝56に、砕土しながら還元し図4(B)に示すように盛土状に埋め戻すことができるものである。
【0017】このとき、圃場表面の雑草や藁屑等も耕耘爪38の回転に伴い細断しながら掻上げ、保護カバー44内に詰まりを生じさせることなく、耕耘土と共に円滑に回転して後方に排出して埋め戻しされる。そして、保護カバー44は天面板48の後端に、ヘラ状のレベラ49を回動可能に支持しながら下方に向けて押圧付勢しており、このヘラ状のレベラ49によって、上記のように盛土状になった耕起溝56の土を、同図(C)で示すように平坦状に均らすことができるようにしている。
【0018】このような構成において、ロータリ装置14は爪ホルダ5の施肥パイプ20が設置される側の挟雑物の持ち回りが防止されるので、施肥パイプ20は、保護カバー44の側面板46に開設した挿入孔46aから、耕耘爪38の一側に向けて斜め下方に突出させると共に、その下端の排出口位置を爪軸36の下側で爪ホルダ5に近接設置するようにしている。これにより、肥料54を施肥パイプ20の排出口から後述する作溝時の耕起時空間部Kに向けて的確に放出し、耕起溝56の底部に拡散することなく筋状に落下供給することができるものである。
【0019】以上のように構成した耕起施肥播種装置1による作業は、機体を走行させながら耕起施肥播種装置1を駆動すると、爪軸36に取り付けられた複数本の耕耘爪38が回転し幅狭の耕起溝56を形成するとき、同時にこの耕起時空間部Kに図4(A)に示すように施肥パイプ20から肥料54が供給されると共に、肥料54が筋状に施肥された耕起溝56に同図(B)に示すように耕起土が埋め戻され、次いで同図(C)に示すようにヘラ状のレベラ49によって、盛土状になった耕起溝56の土が平坦状に均らされる。
【0020】そして同図(D)に示すように、均された耕起溝56の施肥側の他側の表面に対し、溝切り刃26がV字状断面で割り溝の播種溝60を形成すると共に、該播種溝60内に播種パイプ25から種子58を所定量ずつ落下供給し、こののち覆土板28が播種溝60を覆土し、次いで同図(E)で示すように、鎮圧ローラ30が覆土を転圧することによって播種均し仕上げを行い、作溝、施肥、播種等の一連の作業を能率よく円滑に遂行できるものである。
【0021】また、このように作業を行うことにより、耕起溝56内は、底部の一側に偏寄させて施肥した肥料54層に対し、埋め戻された耕耘土層を介して隔てながら、播種された種子58層を肥料54層から他側に変位させて、両者を耕起溝56内で可及的に離間させていることにより、種子58が発芽する初期において肥料54に接触することによる影響を与えることなく、種子の発芽初期における肥料障害等のトラブルを簡潔な手段を持って的確に防止すると共に、成長期における施肥効果を的確に向上させることができるものである。
【0022】また、ロータリ装置14は爪ホルダ5に耕耘爪38を取付固定するにあたり、施肥パイプ20が位置する側において、爪ホルダ5の側面を、ボルト3の頭部やナット類が大きく突出することのない、平坦面状となるようにして耕耘爪38を取付けているので、この部での挟雑物の引っ掛かりや付着を防止した耕起作業を円滑に行うと共に、挟雑物の持ち回りによる施肥パイプ20の損傷や詰まり等のトラブルを良好に防止する。これにより、施肥パイプ20はその排出口を地表から離間させた状態で爪軸36の下方で爪ホルダ5に近接させても、施肥パイプ20から放出される肥料54が、従来のもののように挟雑物によって跳ね飛ばされて拡散されることもないから、肥料54を耕起溝56内に的確に供給することができと共に、排出口が地面や埋め戻される土に接触し詰まりを生ずることもない。
【0023】そして、施肥パイプ20から耕起溝56内への肥料54の供給は、耕耘爪38が上向き耕起回転で地面を耕起する際に、爪軸36の略直下で耕耘爪38による土の掘り上げによって部分的に形成される耕起時空間部Kに向けて放出するので、爪軸36の直下の前後で耕起中途の土や埋め戻される土に支障されることなく、図1,図3に示すように、耕起時空間部Kを介して耕起溝56の底部の所定位置に的確に施肥することができる等の利点がある。
【0024】尚、図示例では上記施肥装置2は作溝と施肥と播種を同時に行う耕起施肥播種装置1に用いた実施形態について説明したが、播種装置16を設けないで作溝と施肥のみを行うものであってもよい、またロータリ装置14は、図5に示すように、耕耘爪38を取着した爪軸36を、左方のチェーンケース34と右方の支持枠34aに軸支される爪軸取付部9,9aに対し着脱及び反転取付け可能にすると共に、爪軸36の中心から左右対称の位置と爪取付け方向を以て、該爪軸36に耕耘爪38を取付固定した構成にするとよく、この場合には図1で示す既述の上向き作溝回転による耕耘爪38による作溝状態から、爪軸36を左右反転させて取付けることにより、耕耘爪38を上向き作溝回転姿勢とは逆姿勢にした状態にすることができ、爪軸36を逆回転させることによって下向き作溝回転による耕起作業を能率よく簡単に行うことができるものである。
【0025】
【発明の効果】本発明は以上のような施肥装置の施肥パイプ設置構造にしたことにより、次のような効果を奏することができる。施肥パイプが位置する側において、爪ホルダの側面を平坦面状となして耕耘爪を取付けると共に、施肥パイプを爪軸の下方で爪ホルダに近接させて設けたことにより、爪ホルダへの挟雑物の引っ掛かり等を防止し耕起作業を円滑に行うと共に、挟雑物の持ち回りによる施肥パイプの詰まりや、肥料の跳ね飛ばし拡散等を防止することができる。
【0026】また、施肥パイプから耕起溝内への肥料の供給を、耕耘爪が上向き耕起回転で地面を耕起する際に爪軸の略直下で形成される耕起時空間部に向けて放出することにより、肥料を耕起溝の底部に施肥することができる。
【出願人】 【識別番号】000001878
【氏名又は名称】三菱農機株式会社
【出願日】 平成12年4月20日(2000.4.20)
【代理人】
【公開番号】 特開2001−299030(P2001−299030A)
【公開日】 平成13年10月30日(2001.10.30)
【出願番号】 特願2000−119385(P2000−119385)