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【発明の名称】 田植機の植付装置
【発明者】 【氏名】土井 邦夫

【要約】 【課題】ロックナットを使用しないで済む調節ネジを備えた田植機の植付装置の提供を課題とする。

【解決手段】ロータリーケースに植付爪ケースが取り付けられた田植機の植付装置において、植付爪ケースのロータリーケースに対する取付姿勢を調節する調節ネジの端部を、ロックナットが嵌められない程度に植付爪ケースの側方から突出させるとともに、その端部に溝を形成し、調節ネジの中途部にOリング溝を形成する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ロータリーケースに植付爪ケースが取り付けられた田植機の植付装置において、前記植付爪ケースのロータリーケースに対する取付姿勢を調節する調節ネジの端部を、ロックナットが嵌められない程度に植付爪ケースの側方から突出させるとともに、その端部に溝を形成したことを特徴とする田植機の植付装置。
【請求項2】 前記調節ネジの中途部に、Oリング溝を形成したことを特徴とする請求項1に記載の田植機の植付装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ロータリーケースに植付爪ケースが取り付けられた田植機の植付装置に関するものであり、詳しくは、その植付爪ケースのロータリーケースに対する取付姿勢を調節する機構に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、ロータリーケースに植付爪ケースが取り付けられた田植機の植付装置にあっては、植付爪ケースのロータリーケースに対する取付姿勢を調節することによって、苗の縦取量を調節するようになっている。すなわち、図4、図5で示すように、ロータリーアーム軸(28)のフランジ部(28a)に形成された略半円弧状の切欠部(28b)に、調節ネジ(46)の偏心ピン(47)を係合させ、その調節ネジ(46)を回動して偏心ピン(47)を揺動させることによって、ロータリーアーム軸(28)に対する植付爪ケース(30)の取付姿勢を調節し、苗の縦取量を調節するようになっている。そして、この調節ネジ(46)にはロックナット(45)が設けられ、調節する際には、まず、このロックナット(45)を緩め、次いで2本の固定ボルト(37)を緩めて、マイナスドライバー等で調節ネジ(46)を回動して調節するようになっている。このため、調節ネジ(46)を回動させるマイナスドライバー等の大きさは、ロックナット(45)の孔径より小さいことが必要であった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】このように、調節ネジ(46)にロックナット(45)が必要であると、マイナスドライバー等の大きさが制限され、かつ、ロックナット(45)を外して調節するようにすると、ロックナット(45)を紛失するおそれがあった。そこで、本発明は、ロックナットを使用しないで済む調節ネジを備えた田植機の植付装置を得ることを目的とするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、以上のような目的を達成するために、次のような田植機の植付装置を提供するものである。すなわち、ロータリーケースに植付爪ケースが取り付けられた田植機の植付装置において、前記植付爪ケースのロータリーケースに対する取付姿勢を調節する調節ネジの端部を、ロックナットが嵌められない程度に植付爪ケースの側方から突出させるとともに、その端部に溝を形成し、更に、前記調節ネジの中途部に、Oリング溝を形成したことを特徴とする田植機の植付装置である。
【0005】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面に示す実施例に基づいて説明する。まず、乗用田植機全体について図1で示す概略側面図を基に説明をする。(1)は作業者が搭乗する走行車体であり、前部にエンジン(2)が搭載された車体フレーム(3)の後部にミッションケース(4)が設けられ、ミッションケース(4)の前方両側にフロントアクスルケース(5)を介して水田走行用前輪(6)が支持されるとともに、ミッションケース(4)の後部両側にリヤアクスルケース(7)を介して水田走行用後輪(8)が支持されている。また、エンジン(2)等はボンネット(9)で被覆され、ミッションケース(4)等はステップ(10a)を有する車体カバー(10)によって被覆されている。そして、車体カバー(10)の上部には運転席(11)が取り付けられ、その運転席(11)の前方に操向ハンドル(12)が設けられている。
【0006】(13)は多条植え用の苗載台(14)並びに複数の植付爪(31)などを具備する植付部であり、この植付部(13)はトップリンク(15)及びロワーリンク(16)を含む3点昇降リンク機構を用いて、走行車体(1)の後側に連結されている。そして、走行車体(1)の後部とロワーリンク(16)との間に介設した油圧シリンダー(図示しない)の伸縮動作によって昇降自在となるように構成されている。また、前高後低で矩形板状の前傾式苗載台(14)は、下部ガイドレール(17)及び上部ガイドレール(18)を介して、中央及び左右の植付伝動ケース(20)に対して左右往復摺動自在に支持されており、植付伝動ケース(20)の下方には、中央及び左右の植付用均平フロート(19)が植付深さ調節部材等を介して支持されている。そして、植付部(13)を降下させて、このフロート(19)を着地させることにより、苗載台(14)上の苗マットから取り出した苗の植付深さが設定されるようになっている。
【0007】植付伝動ケース(20)には、ミッションケース(4)の後部から延出される駆動軸(図示しない)を介して動力が伝達されるようになっており、植付伝動ケース(20)内のスプロケット(図示しない)と、それに巻回されているチェーン(図示しない)によって、植付伝動ケース(20)の後端に軸支されている入力軸(22)を回転駆動するようになっている。また、ロータリーケース(21)は、この植付伝動ケース(20)に回転自在に軸支された入力軸(22)に固定されており、入力軸(22)の回転駆動によって図1の側面視で反時計方向に等速回転するようになっている。そして、ロータリーケース(21)の回転軸心を中心として対称となる位置には、一対の植付爪ケース(30)が配設されるとともに、その植付爪ケース(30)の先端に植付爪(31)が取り付けられている。
【0008】ロータリーケース(21)は、図2、図3で示すように、中空状で縦に2つ割り可能に構成されており、入力軸(22)には太陽歯車(23)が嵌着されている。そして、この太陽歯車(23)と噛合し、かつ、太陽歯車(23)と同歯数の中間歯車(24)が中間軸(26)に遊嵌されて回転自在に設けられており、植付駆動軸としてのロータリーカム軸(27)にはロータリーアーム軸(28)が遊嵌されている。そして、このロータリーアーム軸(28)に、中間歯車(24)と常時噛合し、かつ、中間歯車(24)や太陽歯車(23)と同歯数の遊星歯車(25)が嵌着されている。
【0009】なお、このような遊星歯車機構を構成する太陽歯車(23)、中間歯車(24)、遊星歯車(25)は中心及び焦点を有しない非円形歯車か、あるいは中心がずれた位置にある偏心円形歯車であり、また、中間歯車(24)と遊星歯車(25)はメイン歯車とサブ歯車を重ねるように配置した2重の歯車に構成されている。そして、遊星歯車(25)のメイン歯車とサブ歯車にそれぞれ突設したピン(38)に係合するリングバネ(39)等をそのサブ歯車側方に設けて、遊星歯車(25)のメイン歯車とサブ歯車が互いにずれるように付勢するとともに、中間歯車(24)と遊星歯車(25)のサブ歯車同士を噛合させて、遊星歯車(25)のバックラッシュを防止するようにしている。
【0010】植付爪ケース(30)はロータリーカム軸(27)に遊嵌しているロータリーアーム軸(28)に姿勢調節自在に固定されており、回転体としてのロータリーケース(21)がその回転駆動軸である入力軸(22)によって自転すると、太陽歯車(23)に噛合する中間歯車(24)がロータリーケース(21)の自転に伴って、その自転の回転角度と同じ回転角度だけ同方向に自転し、中間歯車(24)に遊星歯車(25)とロータリーアーム軸(28)を介して連動する植付爪ケース(30)は、その中間歯車(24)の自転により、ロータリーケース(21)の自転方向とは逆方向に公転する。そして、植付爪ケース(30)が苗載台(14)の方向を向いた姿勢状態で入力軸(22)を中心に旋回運動し、苗載台(14)に対向する植付爪(31)が上から下に下降する旋回運動中に、その植付爪(31)の先端部にて苗載台(14)上の苗マットから苗を1株だけ分割して把持し、そのまま、その旋回運動における下降下限において圃場面に植え付けるようになっている。
【0011】なお、上記したように、遊星歯車機構を構成している太陽歯車(23)、中間歯車(24)、遊星歯車(25)の何れもが中心及び焦点を有しない非円形歯車か、あるいは中心がずれた位置にある偏心円形歯車なので、植付爪(31)先端が旋回運動する静軌跡は、図1で示すように、苗を植え付ける前側がカーブし、苗を植え付けた後側がより直線に近い偏形楕円状曲線の閉ループになっており、植付爪(31)は、苗を植え付けた直後に、急速に圃場面から上昇するようになっている。
【0012】ここで、植付爪ケース(30)内の機構について更に説明をすると、図2、図3で示すように、ロータリーカム軸(27)の外方側端部にはカム(29)が嵌着されており、このカム(29)に係合するプッシュアーム(35)が植付爪ケース(30)内に配設されている。そして、押出爪(32)がプッシュロッド(33)の先端に取り付けられており、圃場への植え付け時に、プッシュロッド(33)の突出動作によって植付爪(31)先端まで押し出され、植付爪(31)が把持している苗を好適に離脱させるようになっている。
【0013】すなわち、ロータリーカム軸(27)の回転に伴ってカム(29)が回転し、カム(29)の段部(29a)にプッシュアーム(35)の下端部先端(35a)が位置しているときには、プッシュアーム(35)はプッシュバネ(図示しない)の付勢力によって支軸(36)を中心に前方に向かって回動してプッシュロッド(33)を突出させ、プッシュアーム(35)の下端部先端(35a)がカム(29)に係合しているときには、プッシュバネ(図示しない)の付勢力に抗してプッシュアーム(35)を支軸(36)を中心に後方に向かって回動させてプッシュロッド(33)を引っ込めるようになっている。
【0014】したがって、植付爪ケース(30)の旋回運動に伴ってプッシュロッド(33)が突出し、そのプッシュロッド(33)の突出動作によって押出爪(32)が押し出されて、植付爪(31)が把持している苗を植え付けるようになっている。なお、(34)はプッシュアーム(35)が前方に回動したときに、植付爪ケース(30)の内壁に当接してストッパーとなる背面視円形状のクッションゴムである。
【0015】以上のような田植機の植付装置において、次に苗の縦取量の調節機構について詳細に説明する。苗の縦取量とは、植付爪(31)が苗載台(14)上の苗マットから苗を掻き取るときの切削量であり、これを調節するのが縦取量調節である。上記したように、植付爪ケース(30)は、ロータリーカム軸(27)に遊嵌しているロータリーアーム軸(28)に対する取付姿勢が調節自在であり、従来技術で説明したように、ロータリーアーム軸(28)のフランジ部(28a)に形成した略半円弧状の切欠部(28b)に、調節ネジ(40)の偏心ピン(41)を係合させ、その調節ネジ(40)を回動して偏心ピン(41)を揺動させることによって、植付爪ケース(30)のロータリーケース(21)に対する取付姿勢を調節し、苗の縦取量を調節するようになっている。
【0016】本発明にかかる調節ネジ(40)は、図2、図3で示すように、端部(42)がロックナットが嵌められない程度に植付爪ケース(30)の基部側方から極僅かに突出しており、その端部(42)の側面にマイナスドライバー等で回動させるための溝(43)が形成されている。そして、その調節ネジ(40)の中途部には、Oリング溝(44)が形成され、ロックナットで固定しなくても、Oリングによって調節ネジ(40)を固定できるようになっている。したがって、従来のようにロックナットを緩めることなく調節が可能で、かつマイナスドライバー等の大きさもロックナットの孔径より小さくなくてはならないなどの制限がなく、縦取量の調節が従来に比べて容易にできる。また、植付爪ケース(30)の脱着時等においても調節ネジ(40)が抜け落ちるような不具合はなく、調節ネジ自体のがたつきも防止することができる。なお、姿勢調節された植付爪ケース(30)は固定ボルト(37)で固定される。
【0017】
【発明の効果】以上、本発明によれば、植付爪ケースのロータリーケースに対する取付姿勢を調節する調節ネジの端部を、ロックナットが嵌められない程度に植付爪ケースの側方から突出させるとともに、その端部に溝を形成したので、従来のようにロックナットを緩めることなく調節が可能で、かつマイナスドライバー等の大きさも制限されず、縦取量の調節が従来に比べ容易にできる。しかも、調節ネジの中途部に、Oリング溝を形成して、Oリングが取り付けられるようにしたので、調節ネジが抜け落ちるような不具合は生じない。
【出願人】 【識別番号】000006851
【氏名又は名称】ヤンマー農機株式会社
【出願日】 平成12年4月27日(2000.4.27)
【代理人】 【識別番号】100090893
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 敏
【公開番号】 特開2001−299028(P2001−299028A)
【公開日】 平成13年10月30日(2001.10.30)
【出願番号】 特願2000−127701(P2000−127701)