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【発明の名称】 乗用田植機
【発明者】 【氏名】久保下 竹男

【氏名】奥山 幹夫

【氏名】三木 博幸

【氏名】青木 一夫

【氏名】井上 強

【要約】 【課題】乗用田植機において、走行機体の前部に配置されたボンネットの近傍に主クラッチレバーを配置した場合に、主クラッチレバーが支障なく操作することができるように構成する。

【解決手段】走行機体3の前部に配置されたボンネット50の近傍に主クラッチレバー35を備えて、主クラッチレバー35により主クラッチを切り操作可能及びブレーキを制動側に操作可能に構成する。ボンネット50の横外側に予備苗のせ台52を備えて、走行機体3の側面視で主クラッチレバー35の上端部に重なる第1姿勢、及び走行機体3の側面視で主クラッチレバー35の上端部に重ならずに外れる第2姿勢に、予備苗のせ台35を姿勢変更自在に構成する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 走行機体の前部に配置されたボンネットの近傍に主クラッチレバーを備えて、前記主クラッチレバーにより主クラッチを切り操作可能及びブレーキを制動側に操作可能に構成すると共に、前記ボンネットの横外側に予備苗のせ台を備えて、前記走行機体の側面視で前記主クラッチレバーの上端部に重なる第1姿勢、及び前記走行機体の側面視で前記主クラッチレバーの上端部に重ならずに外れる第2姿勢に、前記予備苗のせ台を姿勢変更自在に構成してある乗用田植機。
【請求項2】 前記主クラッチレバーを、前記主クラッチが切り操作され且つ前記ブレーキが制動側に操作された作動位置に保持可能に構成してある請求項1に記載の乗用田植機。
【請求項3】 前記予備苗のせ台を第1姿勢で保持可能に構成してある請求項1又は2に記載の乗用田植機。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の実施の形態】図1に、本発明に係る乗用田植機が示されている。この乗用田植機は、前輪1及び後輪2を備えた四輪駆動型の走行機体3の後部に、油圧駆動されるリンク機構4を介して、4条植の苗植付装置5が昇降可能に連結されて構成されている。図1及び図7に示すように、走行機体3の前部に搭載されたエンジン6の出力軸7と、前輪1を支持したミッションケース8の入力軸9とがベルト伝動装置10を介して連動連結され、ミッションケース8でギヤ変速されて前輪1が駆動される。ミッションケース8から取り出された変速動力が、後輪2を支持した後部伝動ケース11に軸伝達され、ミッションケース8から取り出された作業用動力が苗植付装置5に伝達される。
【0002】図4及び図5に示すように、走行機体3の前部下部にバッテリ12を支持したバッテリ台13が備えられ、バッテリ台13の下部を囲むように配置されたガードフレーム14の左右外側面に、地上操縦用の操作アーム15が前後に揺動自在に取り付けられている。操作アーム15は丸パイプ材を下拡がりに屈曲形成したものであり、操作アーム15の左右の基部がガードフレーム14の左右の側部に支点aを中心に前後に起伏揺動可能にボルト16で連結されている。ボルト16を適度に締め付けることで、操作アーム15が勝手に揺動しない適度な摩擦抵抗が付与されて、手動で操作アーム15を任意に揺動操作でき、操作アーム15を起立姿勢に摩擦保持することができる。
【0003】図4及び図5に示すように、ガードフレーム14の左右の側部にストッパ17が溶接固定されており、図4の実線で示すように操作アーム15の左右の基部がストッパ17の前端に接当することで、操作アーム15が起立姿勢を越えて後方に揺動する状態が阻止される。図4の二点鎖線に示すように、操作アーム15の左右の基部がストッパ17の下面に接当することで、操作アーム15が前方への倒伏姿勢を越えて前方に揺動する状態が阻止される。図1及び図2に示すように起立姿勢において、操作アーム15は略鉛直に起立した姿勢となり、図6に示すように前方への倒伏姿勢において、操作アーム15は数十度の角度で前上がり状に傾斜した姿勢となる。
【0004】図2及び図3に示すように、倒伏姿勢の操作アーム15を押し下げ操作したり前方に引っ張り操作し易いように、操作アーム15の先端部が横握りできるに足る適当な幅の横向き握り部15aに構成されている。図1,2,3に示すように操作アーム15の先端部の近くに、走行機体3の左右中心を示す照準具としてのセンターマスコット18が、支点bを中心に起伏揺動自在に備えられている。
【0005】図7に示すように、ベルト伝動装置10は、出力軸7と入力軸9に取り付けられた伝動比の異なる2組のプーリ22a,22bにベルト23a,23bを巻回し、ベルト23a,23bに作用するテンションローラ24a,24bのいずれかを選択し作用させることで、高低2段の変速を行うように構成されたダブルテンション式の変速機能を備えている。テンションローラ24a,24bのアーム25a,25bが、運転座席26(図1及び図3参照)の左横側に配置された副変速レバー27に、2組のリンク機構28a,28bを介して連係されている。図1に示すように、ミッションケース8のギヤ変速装置(図示せず)を操作する主変速レバー29が、運転ステップ30の中央前部に備えられている。
【0006】図7に示すように、高低2段の変速を行うテンションローラ24a,24bが主クラッチ31として機能するように構成されている。図3及び図7に示すように、運転ステップ30の左側前部に配置された主クラッチペダル32のペダルアーム32aに接当部33が備えられ、テンションローラ24a,24bのアーム25a,25bの基端部が接当部33に対向するように配置されており、主クラッチペダル32を踏み込み操作することで、テンションローラ24a,24bがクラッチ切り側に操作されて、エンジン6からミッションケース8への伝動を遮断するテンションクラッチ式の主クラッチ31が構成されている。
【0007】図7,8,9に示すように、ペダルアーム32aの支点軸34に、走行機体3の前方に向かう主クラッチレバー35及びブレーキアーム36が遊嵌支持されており、ペダルアーム32a及び主クラッチレバー35が、ねじりバネ37,38により上方の復帰位置に付勢されている。主クラッチレバー35はペダルアーム32aに上方から交差するように配置されており、主クラッチレバー35を押し下げ操作すると、ペダルアーム32aが上方からの片当たりによって押し下げ操作されて主クラッチ31が切り操作され、主クラッチペダル32を踏み込み操作すると、主クラッチレバー35は復帰位置に残される。
【0008】図7,8,9,10に示すように、ブレーキアーム36の先端部に、ベルト伝動装置10における従動側の一方のプーリ22aのベルト巻掛け溝に押圧作用するブレーキ片42が備えられており、主クラッチレバー35及びブレーキアーム36が、圧縮バネ43を外嵌したロッド44を介して弾性的融通をもって連動連結されている。これにより、主クラッチレバー35を押し下げ操作して主クラッチ31を切り操作するのに伴って、ブレーキ片42がプーリ22aに弾性的に押圧されて、切り操作された主クラッチ31の下手側の伝動系に制動を掛けるブレーキ41が構成されている。
【0009】図3及び図8に示すように、運転ステップ30の左側前部に、踏み込み操作された主クラッチペダル32の掛け金具32bに係合する係止レバー45が、支点c周りに前後揺動自在且つ前方に復帰付勢されて配置されており、踏み込み操作された主クラッチペダル32を係止レバー45で係止保持することができる。主クラッチレバー35の係止ピン35aを係止レバー45で係止して、主クラッチレバー35を主クラッチ31が切り操作されブレーキ41が制動側に操作された作動位置に保持することができる。
【0010】図1,2,3に示すように、走行機体3の前部の左右横側部に、ボンネット50の横側に乗降用通路51を空けた状態で予備苗のせ台52が配置されている。予備苗のせ台52は、アーチ形に形成された支柱54を走行機体3の支持台55に備え、支柱54に複数段の苗のせ板56を外向き片持ち状に備えて構成されており、予備苗のせ台52の全体を支柱54の後部支柱54bを中心にして後方に回動させることができる。
【0011】図2及び図11に示すように、後部支柱54bが支持台55に備えられた後部支軸57の縦軸芯d周りに回動自在に外嵌され、セットボルト58によって抜け止め支持されており、前部支柱54aの下部が、支持台55に備えられた前部支軸59の上端に突き合わせ対向された状態で連結されている。図11及び図12に示すように、前部支柱54aの下部に、走行機体3の内側に向けて開放された横断面形状U形の位置決め金具60が下方に突出して備えられ、位置決め金具60を前部支軸59に横外側方から嵌合させることで、前部支軸59と前部支柱54aとが同芯状に位置決めされて上下に突き合わされる。
【0012】図11及び図12に示すように、位置決め金具60に、支軸61を介して回動可能且つレバー62により回動操作可能な掛け金具63が備えられており、前部支軸59と前部支柱54aとが同芯状に位置決めされて上下に突き合わされた状態で、掛け金具63を前部支軸59の背部に係止させることにより、前部支柱54aが前部支軸59から横外方に離脱するのを阻止するように構成されている。レバー62を逆に操作して掛け金具63を前部支軸59から外すことにより、図6及び図3の二点鎖線に示すように、予備苗のせ台52の全体を後部の縦軸芯d周りに後方に約180°回動させることができ、これにより走行機体3の前部の左側、つまり主クラッチレバー35の周りを大きく空けて操作しやすい状態を得ることができる。
【0013】図2及び図11に示すように、後部支柱54bの下部に、先に植え付けられた苗の列に沿って走行機体3を走行させる場合に使用する苗マーカー64の支持アーム65を支持したブラケット66が備えられている。後部支軸57にストッパ67が備えられており、前述のように予備苗のせ台52の全体を後方に約180°回動させると、ブラケット66がストッパ67に接当して、これ以上の予備苗のせ台52の回動が阻止される。
【0014】図11及び図12に示すように、前部支軸59の横外側面に係止孔68が備えられ、位置決め金具60の内面に係止孔68に挿入される位置決めピン69が備えられており、前部支柱54aが前部支軸59に突き合わせ連結された状態において、前部支柱54aが前部支軸59に対して上下方向に外れないようになっている。
【0015】本発明の乗用田植機は以上のように構成されており、作業者が運転座席26に搭乗して運転する通常の作業走行時では、図1,2,3の実線に示すように、操作アーム15を起立姿勢に設定し、センターマスコット18を起立させておく。この場合、主クラッチペダル32を踏み込み操作して主クラッチ31を切り操作しても、主クラッチレバー35が残ったままであるので、ブレーキ41は制動側に操作されない。
【0016】走行機体3を圃場へ出し入れしたりトラックの荷台等へ積み降ろしする場合、走行機体3が前後に傾斜して、作業者が運転座席26に搭乗しての運転が困難な場合には、走行機体3を微速で自走させながら作業者が地上に降りて操縦することになるのであり、図6に示すように操作アーム15を倒伏姿勢に設定し、操作アーム15を左右に操作して走行機体3の向きの修正を行う。この場合、例えば図13に示すように、前上がり傾斜で前進する際に推進反力で走行機体3の前部が浮き気味になることがあるが、このような状態において操作アーム15を押し下げ操作することにより、走行機体3の前部の浮き上がりを押さえることができる。足場が悪くて走行機体3が登り難い場合には、操作アーム15を前方に引いて、走行機体3の登坂を補助することができる。
【0017】作業者が地上に降りての操縦中に走行機体3を停止させる場合、主クラッチレバー35を押し下げ操作すると、主クラッチ31が切り操作され、ブレーキ41が制動側に操作されて、走行機体3は直ちに停止する。走行機体3の停止状態を維持したい場合には、係止レバー45を用いて主クラッチレバー32を押し下げ操作した作動位置に保持すればよい。
【0018】図14に示すように、走行機体3をトラックの荷台70に積み込む際、主クラッチ31の切り操作の遅れにより、倒伏姿勢の操作アーム15をトラックの運転室の後枠71に当ててしまうようなことがあっても、操作アーム15は前上がり状に傾斜した姿勢で上方への揺動が許されているので、後枠71からの反力で操作アーム15が無理なく上方に揺動する。
【0019】[発明の実施の別形態]本発明は、以下のような形態で実施することもできる。
■ 図15に示すように、操作アーム15を支持するガードフレーム14の支点a周りに複数の係止孔73を備え、操作アーム15の基端部15bに挿抜可能に取り付けられた連結ピン74を、係止孔73のいずれかに選択的に挿入することにより、操作アーム15を起立姿勢及び倒伏姿勢の間の複数の姿勢で固定できるように構成して実施することもできる。
【0020】■ 図16に示すように、操作アーム15を先端部にループ状の横向き握り部15aを備えた棒状のアームで構成し、支点a周りの揺動により起立姿勢及び倒伏姿勢の範囲で姿勢変更可能に構成する。縦向きの支点e周りに横方向に、操作アーム15を姿勢変更可能に構成し、走行機体3の前部の横方向から操作アーム15を操作するように構成してもよい。これにより、トラックの荷台70の狭い場所等において、走行機体3の向きの修正を行う場合に便利となる。
【0021】■ 図17に示すように、ペダルアーム32aに直接に主クラッチレバー35を連結し、主クラッチペダル32aとブレーキアーム36とを、圧縮バネ43及びロッド44を介して連係してもよい。この場合、主クラッチペダル32の踏み込み操作によって、ブレーキ41が制動側に操作される。
【0022】■ 運転ステップ30の右側に配置された左右のサイドブレーキペダルによって操作される左右の後輪2に対するサイドブレーキ(図示せず)を、主クラッチレバー35によって制動側に操作されるブレーキとして利用することもできる。
【出願人】 【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
【出願日】 平成10年7月23日(1998.7.23)
【代理人】 【識別番号】100107308
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 修一郎
【公開番号】 特開2001−299027(P2001−299027A)
【公開日】 平成13年10月30日(2001.10.30)
【出願番号】 特願2001−92080(P2001−92080)