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【発明の名称】 水田作業機
【発明者】 【氏名】児島 祥之

【氏名】八木澤 俊夫

【要約】 【課題】作業装置を油圧装置を介して自動昇降制御するよう構成した水田作業機において、作業走行中は、オーバーシュートが発生しにくい上昇速度設定のもとで安定した自動昇降制御が行えるとともに、畦際などでは十分な速度で速やかに強制上昇させることができるようにする。

【解決手段】接地センサに連動連結されて変位する制御用作動部材84と、昇降レバー66と共に作動する可動部材64との間に、制御バルブ60の作動を接当規制して上昇側のバルブ開度を制限する上昇速度規制部を設け、昇降レバー66が作業位置にある時には、制御用作動部材と可動部材64とが接近して上昇速度規制部が接当機能し、昇降レバー66が作業位置にない時には、制御用作動部材84と可動部材64とが離間して、上昇速度規制部の接当機能が解除されるよう構成する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 水田用の作業装置を油圧装置を介して駆動昇降自在に装備し、作業装置側に備えた接地センサと昇降用の制御バルブとを機械的に連動連結し、接地圧変動に伴う接地センサの変位に基づいて制御バルブを作動させて、作業装置を田面に対して設定高さに維持させる機械式の自動昇降制御機構を装備するとともに、昇降レバーを、接地センサの変位に基づいて制御バルブを作動させる作業位置と、制御バルブを強制的に上昇状態に操作する上昇位置とに亘って切換え操作可能に構成した水田作業機において、前記接地センサに連動連結されて変位する制御用作動部材と、前記昇降レバーと共に作動する可動部材との間に、制御バルブの作動を接当規制して上昇側のバルブ開度を制限する上昇速度規制部を設け、昇降レバーが前記作業位置にある時には、制御用作動部材と可動部材とが接近して上昇速度規制部が接当機能し、昇降レバーが前記作業位置にない時には、制御用作動部材と可動部材とが離間して、上昇速度規制部の接当機能が解除されるよう構成してあることを特徴とする水田作業機。
【請求項2】 前記昇降レバーと共に作動する可動部材の位置を検出するスイッチを設けてある請求項1記載の水田作業機。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、田植機や直播機等の水田作業機に係り、特には、昇降自在に備えた苗植付け装置や播種装置などの作業装置の昇降構造に特徴を有する水田作業機に関する。
【0002】
【従来の技術】代表的な水田作業機である田植機では、苗植付け装置(作業装置)を油圧装置を介して駆動昇降自在に装備し、苗植付け装置側に備えた接地センサと昇降用の制御バルブとを機械的に連動連結し、接地圧変動に伴う接地センサの変位に基づいて制御バルブを作動させて、苗植付け装置を田面に対して設定高さに維持させる機械式の自動昇降制御機構を装備するとともに、運転部に備えた昇降レバーを、制御バルブを接地センサの変位に基づいて作動させる作業位置と、制御バルブを強制的に上昇位置にまで操作する上昇位置とに亘って切換え操作可能に構成したものが知られている。
【0003】上記自動昇降制御機構においては、苗植付け装置の昇降速度は制御バルブの開度によって決まることになるので、最大開度が大きく設定されていると、自動昇降制御中において接地センサが大きく変位した際に、バルブ開度が大きくなって昇降速度も速くなり、制御のオーバーシュートが発生して制御の安定性が低下するおそれがある。特に、上昇作動においてオーバーシュートが発生すると、過剰な上昇によって苗植付け装置が浮き気味となり、極端な浅植えや浮き苗が発生するおそれがある。そこで、バルブの最大開度を小さい目に調整しておくと、昇降速度が抑えられて植付け作業中の上記不具合が発生し難くなる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、制御の安定性を重視してバルブの最大開度を小さく規制しておくと、畦際での機体方向転換などの際に、昇降レバーを人為操作して苗植付け装置を大きく上昇させるような場合、上昇速度が遅くて作業性が低下するものとなる。そこで、実際には、これら事情を考慮してバルブの最大開度を予め調節設定している。つまり、昇降制御にとっては速い目の昇降速度となり、人為昇降にとっては遅い目の昇降速度がもたらされる最大バルブ開度が設定されており、昇降制御と人為昇降それぞれの場合において満足できる速度設定にはできないものであった。
【0005】本発明は、このような点に着目してなされたものであって、作業走行中は、オーバーシュートが発生しにくい上昇速度設定のもとで安定した自動昇降制御が行えるとともに、畦際などでは十分な速度で速やかに強制上昇させることができるようにすることを主たる目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】[ 請求項1に係る発明の構成、作用、および、効果]【0007】(構成)請求項1に係る発明は、水田用の作業装置を油圧装置を介して駆動昇降自在に装備し、作業装置側に備えた接地センサと昇降用の制御バルブとを機械的に連動連結し、接地圧変動に伴う接地センサの変位に基づいて制御バルブを作動させて、作業装置を田面に対して設定高さに維持させる機械式の自動昇降制御機構を装備するとともに、昇降レバーを接地センサの変位に基づいて、制御バルブを作動させる作業位置と、制御バルブを強制的に上昇状態に 操作する上昇位置とに亘って切換え操作可能に構成した水田作業機において、前記接地センサに連動連結されて変位する制御用作動部材と、前記昇降レバーと共に作動する可動部材との間に、制御バルブの作動を接当規制して上昇側のバルブ開度を制限する上昇速度規制部を設け、昇降レバーが前記作業位置にある時には、制御用作動部材と可動部材とが接近して上昇速度規制部が接当機能し、昇降レバーが作業位置にない時には、制御用作動部材と可動部材とが離間して、上昇速度規制部の接当機能が解除されるよう構成してあることを特徴とする。
【0008】(作用)上記構成によると、制御バルブ自体の最大開度を大きく設定しておくことで、昇降レバーを上昇位置に人為操作した際には、上昇速度規制部の接当機能が解除されるので、十分なバルブ開度のもとで速やか上昇作動を行わせることができる。また、昇降レバーを作業位置に操作しての作業時には、上昇速度規制部が機能する状態になるので、この時バルブの最大開度は制御バルブ自体の持つ絶対的な最大開度より小さく規制される。従って、接地センサの変位に基づいて制御バルブが上昇側に操作されても、上昇速度は遅く抑えられたものとなり、オーバーシュートの発生し難い安定した制御が実行されることになる。
【0009】(効果)従って、請求項1に係る発明によると、作業走行中は、オーバーシュートが発生しにくい上昇速度設定のもとで安定した自動昇降制御が行えるとともに、畦際などでは十分な速度で速やかに強制上昇させることができ、作業性を向上することができる。
【0010】[ 請求項2に係る発明の構成、作用、および、効果]【0011】(構成)請求項2に係る発明は、請求項1の発明において、前記昇降レバーと共に作動する可動部材の位置を検出するスイッチを設けてある。
【0012】(作用・効果)上記構成によると、昇降レバーと共に作動する可動部材は、上昇速度規制部の機能を切換える部材であるとともに、昇降レバーの位置検出のための部材として作用することになり、部品の兼用化による構造の簡素化に有効となる。
【0013】
【発明の実施の形態】図1および図2に、5条植え仕様に構成された乗用型田植機の側面および平面が示されている。この乗用型田植機は、操向自在な左右一対の前輪1と、操向不能な左右一対の後輪2を備えた四輪駆動型の走行機体3の後部に、5条植え仕様の苗植付け装置4が油圧シリンダ5によって駆動される四連リンク機構6を介して昇降自在に連結されるとともに、機体後部に5条仕様の施肥装置7が装備された構造となっている。
【0014】走行機体3を構成する機体フレーム8の前部には前輪1を軸支したミッションケース9が連結固定されるとともに、機体フレーム8の後部には後輪2を軸支した後部伝動ケース10がローリング自在に支持され、また、ミッションケース9から前方に延出した前フレーム11にエンジン12が横向きに搭載配備されてボンネット13で覆われている。詳細な構造の説明は省略するが、エンジン12の出力は、無段階の前後進変速が可能な静油圧式無段変速装置(HST)からなる主変速装置14によって変速され、取出された変速動力がミッションケース9に入力されて走行系と作業系とに分岐され、走行系動力は更にギヤ式の副変速装置(図示せず)で高低2段に変速された後、前輪1と後輪2に伝達される。また、分岐された作業系動力のうちの正転動力のみが植付けクラッチ(作業クラッチ)15および株間変速装置(図示せず)を介して苗植付け装置4に軸伝達されるようになっている。
【0015】機体フレーム8の上部には機体全長に亘るステップ16が備えられるとともに、ステップ16の後部が後方上方に湾曲されて、左右の後輪2の上方に亘るフェンダー部16aが形成されている。また、フェンダー部16aの中央部には、センターカバー17が突設され、このセンターカバー部17の上に運転座席18が設置されている。そして、ボンネット13の後部に前輪操向用のステアリングハンドル19、主変速装置14を操作する主変速レバー20、各種スイッチ類、各種の表示ランプ類、メータ、などが配備されるとともに、センターカバー17の左側脇に副変速レバー21が配備されている。また、ステップ16がボンネット13の左右横側脇まで延出されて、機体前部からの乗降通路16bが形成されている。また、これら乗降通路16bの外側に、予備苗を複数段に載置収容する予備苗のせ台22が配備されている【0016】苗植付け装置4は、5条分の苗を載置して左右に設定ストロークで往復横移動される苗のせ台25、苗のせ台25の下端から植付け爪26によって1株分づつ苗を切り出して圃場に植付けてゆく5組の回転式の植付け機構27、植付け箇所を整地する3個の整地フロート28、等を備えて構成されている。
【0017】前記施肥装置7は、運転座席18と苗植付装置4との間において走行機体3上に搭載されており、粉粒状の肥料を貯留する肥料ホッパー31、この肥料ホッパー31内の肥料を設定量づつ繰り出す繰出し機構32、繰り出された肥料を供給ホース33を介して苗植付装置4の各整地フロート28に備えた作溝器34に空気搬送する電動ファン35、などを備えている。そして、前記繰出し機構32は、ミッションケース9から後部伝動ケース10に後輪駆動用動力を伝達する伝動軸36の途中に設けた動力取出しケース37を介して取出した動力で駆動するよう構成されている。
【0018】図3に示すように、苗植付け装置4には角パイプ状に構成された横長の植付けフレーム41が横架されており、この植付けフレーム41の中央付近に、ミッションケース9から取出された作業用動力が伝動軸42を介して伝達されるフィードケース43が支持されるとともに、植付けフレーム41に3個の植付けケース44が後ろ向き片持ち状に連結され、各植付けケース44の後端に前記植付け機構27がそれぞれ装備されている。
【0019】なお、フィードケース43には、苗のせ台25を一定ストロークで往復移動させる横送り駆動機構、苗のせ台25に載置された苗を下方取出し部に向けて縦送りする苗送りベルト45を苗のせ台25の横移動ストロークエンドごとに作動させる縦送り駆動機構、等が備えられるとともに、フィードケース43から取出された動力が横向きの伝動軸46を介して各植付けケース44の基端に伝達され、植付けケース44内の図示しないチェーン伝動機構によって各植付け機構27が駆動されるようになっている。
【0020】苗植付け装置4は、四連リンク機構6の後端下部の前後軸心a周りにローリング自在に支持されており、苗植付け装置4を電動モータを用いてローリング操作するローリング駆動部47がリンク機構6の後端上部に備えられるとともに、苗植付け装置4の左右方向の傾斜角度を検出するローリングセンサ48が前後軸心aの上方近傍に位置して苗植付け装置4に備えられている。これにより、走行機体3が左右に傾斜しても、ローリングセンサ48の検出情報に基づいてローリング駆動部47を作動させて、苗植付け装置4を機体傾斜方向と逆方向に傾動操作して左右水平に維持する自動ローリンング制御が行われるようになっている。
【0021】苗植付け装置4の左右両側には、植付け行程での走行中に、次の植付け行程の機体走行の基準となる指標線を田面Tに引っ掻き形成する右左一対の線引きマーカー51が、右側及び左側に備えられている。この線引きマーカー51は、先端を田面Tに突入させるよう振り下げられた線引き作用姿勢と、起立された格納姿勢とに亘って起伏揺動自在に支持されるとともに、線引き作用姿勢に倒伏付勢されており、以下のようにして苗植付け装置4の昇降に連動して起伏操作されるようになっている。
【0022】図6,7に示すように、倒伏付勢された左右の線引きマーカー51は、レリーズワイヤからなる操作ワイヤ52の引き操作によって格納姿勢に起立されるようになっており、各操作ワイヤ52のインナー前端が走行機体3の後部に配備された左右一対の操作アーム53の一端にそれぞれ連結されている。この操作アーム53は、四連リンク機構6の基部を支持するよう機体フレーム8の後部に立設した縦壁フレーム部8aにブラケット50を介して、横向き支点b周りに揺動可能に支持されるとともに、操作アーム53の上方延出部が、四連リンク機構の上部リンク6aと一体揺動する蹴り出しアーム54の揺動軌跡内に位置しており、図6(イ)に示すように、四連リンク機構6が下降している時には、蹴り出しアーム54から外れた操作アーム53は自由状態にあり、線引きマーカー51は線引き作用姿勢に付勢倒伏されている。そして、図6(ロ)に示すように、四連リンク機構6が上昇作動すると、蹴り出しアーム54が操作アーム53を図中時計方向に蹴り出し揺動することで、操作ワイヤ52が引き出し操作されて、線引きマーカー51が線引き作用姿勢から格納姿勢に強制起立されるようになっている。
【0023】また、各操作アーム53に前側近傍には、格納姿勢に強制起立させた線引きマーカー51を係止固定するロックアーム55が配備されている。このロックアーム55は、縦向き支点cを中心に左右揺動可能かつバネ56によってロック方向に揺動付勢されており、操作アーム53が線引きマーカー格納位置にまで揺動されると、ロックアーム55の先端に備えたローラ部55aが操作アーム53の背部に入り込み係合して、操作アーム53の復帰揺動を阻止するようになっている。このように操作アーム53がロックアーム55によって係止保持された状態では、四連リンク機構6が下降して蹴り出しアーム54が図6(イ)中に示す位置に復帰しても、左右の操作アーム53は線引きマーカー格納位置に保持され続けるようになっている。
【0024】従って、線引きマーカー51を線引き作用姿勢にするには、マーカー格納位置にある操作アーム53のロックを解除する必要があり、そのための操作構造が以下のように構成されている。
【0025】機体フレーム8の後部に立設された左右一対の縦壁フレーム部8aに亘って、断面形状逆L字形のロック解除操作バー57が左右スライド自在に装着されている。このロック解除操作バー57は左右に外嵌装着したバネ58によって左右スライドの中立位置に付勢保持されるとともに、ロック解除操作バー57の左右に固着した操作片57aが、左右の各ロックアーム55に機体内側から接当可能に配備されており、ロック解除操作バー57を左または右方向にスライド操作することで、一方の操作片57aで一方のロックアーム55を機体内側から接当押圧してバネ58に抗して縦向き支点c周りに揺動させることで、操作アーム53との係合を解除するようになっている。そして、ロック解除操作バー57を、その右端に備えた操作部材57bを介して人為的にスライド操作することで、左右いずれかの線引きマーカー51を選択して線引き作用姿勢に切換えるように構成されており、その選択操作については後述する。
【0026】四連リンク機構6を介して苗植付け装置4を昇降作動させる油圧シリンダ5は、ミッションケース9の上に装着した制御バルブ60に接続されており、この制御バルブ60を運転者の人為司令情報に基づいて作動させることで苗植付け装置4を任意に昇降させることができるとともに、苗植付け装置4の田面Tに対する高さ検作結果に基づいて制御バルブ60を作動制御することで苗植付け装置4を田面Tに追従させて自動昇降させるようになっており、以下、そのための構成を図8〜図15に基づいて説明する。
【0027】機体フレーム8の後部に立設した左右の縦壁フレーム部8aの内、機体右側の縦壁フレーム部8aの外面に板金製のブラケット61が固定されており、このブラケット61と縦壁フレーム部8aとに亘って取付けたボス部62に、支軸63が横軸心d周りに回動自在に装着されるとともに、この支軸63に操作アーム(可動部材)64と操作板65が固着されている。この操作板65から外側に突設した切出し片65aに、昇降レバー66が、その中間箇所から突設した支点軸部66aを介して前記横軸心dと直交する前後向き軸心e周りに回動自在に装着され、もって、昇降レバー66が操作アーム64および操作板65と共に横軸心d周りに前後揺動可能、かつ、操作板65に対して前後向き軸心e周りに横揺動可能に支持されている。
【0028】操作アーム64の前方延出端と縦壁フレーム部8aとに亘ってガススプリング67が架設され、このガススプリング67の伸長力によって昇降レバー66が機体後方(図10において反時計方向)に向けて揺動付勢されるとともに、操作板65の下側外周には、3個の凹部65bと1個の段部65cとが形成されている。そして、操作板65の下方個所には、ブラケット61に支点f周りに上下揺動可能に装着された位置決めアーム68が配備されるとともに、この位置決めアーム68は、支点部に備えたねじりバネ69によって操作板65側に揺動付勢されており、昇降レバー66の前後揺動に伴って、位置決めアーム68に装備したデテントローラ70が3個の凹部65bと1個の段部65cのいずれかに係入あるいは接当することで、昇降レバー66を、「植付け],「下降」,「中立」、および、「上昇」の4つの操作位置に安定保持することができるように構成されている。
【0029】また、操作板65の前部には、部分円弧状の長孔融通71を介して連結した操作ロッド72が下方に延出され、このロッド72が機体フレーム8に支点g周りに回動自在に枢支した中継リンク73に長孔融通74を介して連結されるとともに、この中継リンク73から機体前方に延出したロッド75が、ミッションケース9内の作業伝動系に組み込んだ前記植付けクラッチ15の操作レバー76に連動連結されている。
【0030】また、図9,14に示すように、ブラケット61と縦壁フレーム部8aとに亘って支軸81が横軸心h周りに回動自在に貫通装着されるとともに、この支軸81の機体内方側の端部に固着した第1バルブ操作レバー82と、前記制御バルブ60を接当操作する接当操作レバー83とがロッド84で連動連結されている。ここで、図9は、制御バルブ60のスプール60aが中立にある状態を示し、この位置から後方(図9中左方)に突出変位することで「下降」作動し、前方(図9中右方)に退入変位することで「上昇」作動するよう設定されるとともに、スプール60aは内装したバネ60bによって常に突出側、つまり、「下降」側に向けて付勢されている。
【0031】また、支軸81の機体外方側の端部には第2バルブ操作レバー(制御用作動部材)85が、第1バルブ操作レバー82と一体に回動可能に固着され、この第2バルブ操作レバー85の上端部の後面に、昇降レバー66と一体に揺動する操作アーム64の下端部64aが対向配備されている。ここで、図9,10は、昇降レバー66が「中立」位置にある状態を示し、この時、操作アーム64の下端部64aが第2バルブ操作レバー85の上端部を後方から接当支持して、制御バルブ60を「中立」に維持している。そして、この「中立」位置から昇降レバー66を機体後方の「上昇」位置に操作すると、これに伴う操作アーム64の反時計方向への揺動によって、第2バルブ操作レバー85を介して第1バルブ操作レバー82が時計方向に揺動され、これによってロッド84が後方に引かれて、制御バルブ60のスプール60aがバネ60bに抗して強制的に「上昇」側に押し込み操作されるようになっている。
【0032】なお、昇降レバー66を「上昇」位置に操作して苗植付け装置4を強制上昇させた場合、苗植付け装置4が上限近くの所定高さまで上昇されると、四連リンク機構6における下部リンク6bと前記操作板65とに亘って装着したフィードバック用のロッド77が前方に突き出されて、「上昇」位置の昇降レバー66が「中立」位置にまで押し戻されて制御バルブ60が「中立」に復帰され、上昇駆動が自動的に停止されるようになっている。
【0033】ここで、昇降レバー66が「中立位置」、および、「上昇」位置にある時には、第2バルブ操作レバー84の揺動が操作アーム64によって接当規制されるために、制御バルブ60のスプール60aは「中立」および「上昇」に規制されるが、昇降レバー66が「植付け」位置および「下降」位置にある時には、操作アーム64が第2バルブ操作レバー85から離れるので、第2バルブ操作レバー85の揺動規制が解除され、制御バルブ60のスプール60aは「上昇」から「下降」の全範囲で自由に変位可能となる。
【0034】そして、昇降レバー66が「植付け」位置および「下降」位置にある時には、制御バルブ60に連動連結された第2バルブ操作レバー85は、苗植付け装置4の田面Tに対する高さ検出結果に基づいて自動昇降制御するための制御用作動部材として機能するものであって、以下にその構造について詳細に説明する。
【0035】図4,5に示すように、田面Tに対する苗植付け装置4の高さ検出には、並列配備された3個の整地フロート23の内の中央のものが接地センサSFとして利用される。この接地センサSFは、その後部が、フロート支点軸91から後方に向けて片持ち状に延出されたフロート支持アーム92の先端に、支点i周りに上下揺動可能に支持されるとともに、接地センサSFの前部が、屈伸リンク93を介して植付けフレーム41に上下動可能に支持されている。また、接地センサSFの前部には、支点j周りに回動可能に連結したセンサリンク94が立ち上げられるとともに、センサリンク94の中間部が、植付けフレーム41の固定ブラケット41aに装着固定した支持部材95に、上下長孔96およびピン97を介して上下動可能に支持されている。そして、センサリンク94の上端にレリーズワイヤからなるセンサワイヤ98のアウターワイヤ98b後端が連結されるとともに、センサワイヤ98のインナーワイヤ98a後端が前記ピン97に連結されている。また、センサリンク94の上端と前記ピン97に亘ってセンサバネ99が装着され、このセンサバネ99の張力でセンサリンク94が下方に引き下げ付勢されることで、接地センサSFの前部が田面T側に押し付けられている。
【0036】センサワイヤ98は走行機体3側に延出され、そのアウターワイヤ98b前端が後述する感度調節部のワイヤ支持部材100に連結支持されるとともに、そのインナーワイヤ98a前端が前記第2バルブ操作レバー85の下端に連結されている。このような構成によると、以下のような自動昇降制御が行われる。
【0037】[ 中立制御状態]苗植付け装置4が田面Tに対して所定範囲に高さにあると、接地センサSFに作用する接地圧が基準値範囲内にあり、接地センサSFの前部に働く上下方向への力がバランスし、接地センサSFは所定の基準姿勢に保持され、この時、制御バルブ60は「中立」にある。
【0038】[ 上昇制御]苗植付け装置4が田面Tに対して沈下しかかると、接地センサSFに作用する接地圧が基準値範囲より大きくなり、接地センサSFは後部の支点i周りに上方揺動し、位置固定のピン97に対してセンサリンク94がセンサバネ99の張力に抗して上方に変位することで、相対的にセンサワイヤ98のインナーワイヤ98aが引き出される。これによって、第2バルブ操作レバー85の下端が後方揺動に変位され、制御バルブ60が上昇側に切換えられ、接地圧が基準値範囲内に復帰して上記中立制御状態に戻るまで苗植付け装置4の上昇制御が実行される。
【0039】[ 下降制御]苗植付け装置4が田面Tに対して浮上しかかると、接地センサSFに作用する接地圧が基準値範囲より小さくなり、接地センサSFは後部の支点i周りに下方揺動し、位置固定のピン97に対してセンサリンク94が下方に変位することで、相対的にセンサワイヤ98のインナーワイヤ98aが弛められる。これによって、制御バルブ60のスプール60aが内装バネ60bによって「下降」側に切換えられ、接地圧が基準値範囲内に復帰して上記中立制御状態に戻るまで苗植付け装置4の下降制御が実行される。
【0040】上記上昇制御おいては、以下の構成によってその上昇速度が変更調節可能となっている。つまり、前記操作アーム64の前部には、支軸101が横向きに突設されるとともに、この支軸101に出退調節自在に接当ボルト102が装着されており、昇降レバー66が「上昇」位置,「中立」位置、および、「下降」位置にある時には、接当ボルト102が第2バルブ操作レバー85の上端から前方に離れた位置にあって、第2バルブ操作レバー85の時計方向への回動に制約を与えることがないが、図12に示すように、昇降レバー66が「植付け]位置に操作されていると、接当ボルト102の先端が第2バルブ操作レバー85の上端前面に接近した状態となり、センサワイヤ98の引張り作動によって第2バルブ操作レバー85が時計方向、つまり、制御部弁60を「上昇」側へ操作する方向に回動された際に、その最大作動位置を接当規制することが可能な状態となる。
【0041】ここで、接当ボルト102を進退調節すれば、制御バルブ60の「上昇」側への最大操作位置、つまり、制御部弁60が「上昇」側へ切換えられた時の最大開度を調節することができ、これによって上昇制御における苗植付け装置4の上昇制御速度を変更することができるのである。
【0042】なお、図4,5に示すように、フロート支点軸91からは植付け深さ調節レバー103が延出されており、この植付け深さ調節レバー103を上下揺動調節すると、フロート支点軸91を介して全部のフロート支持アーム92が上下に揺動調節され、各整地フロート29の後部支点iが上下に位置変更されて植付け深さが調節される。この場合、センサワイヤ連結用の前記ピン97を備えた支持部材95は支点m周りに揺動自在にされるとともに、支持部材95と植付け深さ調節レバー103とがリンク104を介して連動連結されており、植付け深さ調節レバー103が、例えば、上方に操作されて整地フロート29の後部支点iが下げられ、植付け深さが浅い側に調節されると、これに連動して支持部材95が図中反時計方向に揺動され、前記ピン97が整地フロート29の後部支点iの下げ量と同じだけ下げられ、制御中立時における接地センサSFの基準姿勢が植付け深さ調節に拘わらず一定となるように構成されている。
【0043】前記昇降レバー操作部位には、上記昇降操作のための諸構造の他に、昇降に関連する各種の構造が備えられており、以下、各構造について説明する。
【0044】[ 昇降制御の感度調節構造]前記センサワイヤ98のアウターワイヤ98bを連結支持したワイヤ支持部材100は、常態では、支点kを中心に前後揺動可能に配備された感度調節レバー105と一体揺動可能となっており、感度調節レバー105を前方に揺動調節すると、センサワイヤ98のアウターワイヤ98b前端が後方に変位され、制御中立時におけるインナーワイヤ98aの機体側での引き出し長さが相対的に長くなる。従って、接地センサSF側においては、固定のピン97に対するインナーワイヤ98aの引き出し長さが相対的に短くなり、ピン97に対してセンサリンク94が下がることで、制御中立時における接地センサSFは調節前よりも前下がり姿勢となる。また、センサバネ99の張力も小さくなり、接地センサSFは小さい接地圧変動でも上下動しやすくなり、検出感度が敏感となる。従って、田面Tが柔らかい程、感度調節レバー105を中央の標準位置より前方に調節して、敏感な検出を行うことが望ましい。
【0045】逆に、感度調節レバー105を後方に揺動調節すると、センサワイヤ98のアウターワイヤ98b前端が前方に変位され、制御中立時におけるインナーワイヤ98aの機体側での引き出し長さが相対的に短くなる。従って、接地センサSF側においては、固定のピン97に対するインナーワイヤ98aの引き出し長さが長くなり、ピン97に対してセンサリンク94が上がることで、制御中立時における接地センサSFは調節前よりも前上がり姿勢となる。また、センサバネ99の張力も大きくなり、接地センサSFは大きい接地圧変動でも上下動しにくくなり、検出感度が鈍感となる。従って、田面Tが硬い程、感度調節レバーを中央の標準位置より後方に調節して、鈍感な検出を行うことが望ましい。
【0046】なお、感度調節レバー105は、昇降レバー66と共に、前記センターカバー17の右横に配備したレバー案内板106から突出されており、ガイド孔107の一側に形成したノッチ108への係止によって7段階に感度調節が行えるようになっている。
【0047】また、感度調節レバー105と一体に揺動するワイヤ支持部材100は、設定以上の力が前向きに働くと感度調節レバー105に対して前方へのみ支点k回りに腰折れ揺動できるように、初期変形されたねじりバネ109を介して感度調節レバー105に一定姿勢に保持されており、センサワイヤ98が後方に引かれて上昇制御がなされる場合、第2バルブ操作レバー84が作動限界に達した後、更にセンサワイヤ98が後方に引かれると、ワイヤ支持部材100がねじりバネ109に抗して前方へ腰折れ移動して、制御バルブ操作系に無理がかかるのを阻止するようになっている。
【0048】[ 作業用クラッチ操作構造]植付けクラッチ15は昇降レバー66と一体に揺動する操作板65に前述のようにリンク連係されているので、昇降レバー66が「上昇」位置、「中立」位置、および、「下降」位置にある時には、植付けクラッチ15が切り操作され、昇降レバー66が「植付け」位置にある時にのみ植付けクラッチ15が入り操作される。なお、植付けクラッチ15は、一定の回転位相でのみ切り操作できる定位置停止機能を備えているので、昇降レバー66が「植付け」位置に操作された時に、必ずしもクラッチ切り位相にあるとは限らず、クラッチ切り位相から外れた位相で「植付け」位置に操作された時には、中継リンク73の長孔融通74によって操作ストロークが一旦吸収され、クラッチ切り位相になった時点で中継リンク73がバネ111によって引き操作されて、植付けクラッチ15が実際に切り操作されるようになっている。
【0049】また、操作板65から下方に延出された操作ロッド72の下端は前記中継リンク73と同支点gで回動可能な第2中継リンク112に融通なく連結されるとともに、この第2中継リンク112と、前記動力取出しケース37に備えた施肥クラッチ38とがロッド39で連動連結されている。そして、前記植付けクラッチ15と同様に、昇降レバー66が「上昇」位置、「中立」位置、および、「下降」位置にある時には、施肥クラッチ38が切り操作され、昇降レバー66が「植付け」位置にある時にのみ施肥クラッチ38が入り操作されるよう連係されている。
【0050】[ 昇降レバー案内構造]レバー案内板106に形成された昇降レバー66のガイド孔121は、「上昇」位置から「下降」位置に亘る直線経路部121aと、「植付け」位置における幅広孔部121bとが連続形成されるとともに、「下降」位置から幅広孔部121bとの間の横一側に突部122が形成された形状を備えている。そして、昇降レバー66が前記直線経路部121aに位置している間は、レバー案内板106の下方に取付けた板バネ123によって、昇降レバー66が前記突部122の存在側に押し付け案内されている。つまり、「上昇」位置あるいは「中立」位置から「植付け」位置に向けて操作した際、昇降レバー66が突部122との接当によって、一旦「下降」位置に受け止められ、意識的に昇降レバー66を横移動させて突部122を乗り越えた後、「植付け」位置に移行操作するようになっている。これによって、空中にある苗植付け装置4を田面Tに降ろすして植付け作業を行う場合、昇降レバー66が上昇」位置あるいは「中立」位置から一気に「植付け」位置に操作されると、苗植付け装置4が未だ接地しない内に植付けクラッチ15が入れられて、苗が撒き散らされることになるが、上記のように、植付けクラッチ15が入らない「下降」位置に一旦操作して、苗植付け装置4を田面Tにまで下降したことを確認した上で、「植付け」位置に操作することで、苗を空中で取出して撒き散らす上記不具合を回避することができるのである。
【0051】[ 線引きマーカー選択構造]昇降レバー66は支点eより下方にまで延出されており、昇降レバー66が「植付け」位置にまで操作されると、レバー延出部66bが、ロック解除操作バー57の右端に備えた操作部材57bに前方より係合し、昇降レバー66を幅広孔部121bで左方あるいは右方に移動操作することで、レバー延出部66bに係合連結されたロック解除操作バー57が左右逆方向にスライド操作され、これによって、昇降レバー66が横操作された側の線引きマーカー51に対する格納ロックが解除されるのである。
【0052】[ ローリング制御牽制構造]前記ブラケット61の外側面には、昇降レバー66が「中立」位置あるいは「上昇」位置にあるとき、操作アーム64の円弧状の下端部によって押圧操作される第1スイッチSW1 と、昇降レバー66が「植付け」位置にあるとき、操作アーム64の下端部によって押圧操作される第2スイッチSW2 とが装備されており、第1スイッチSW1 が操作されると、苗植付け装置4のローリング制御を司るローリング駆動部47の作動が牽制阻止され、空中にある苗植付け装置4が不必要にローリング制御されるのを阻止するようになっている。また、第2スイッチSW2 が操作されていない間は、ステアリングハンドル19の根元に備えられたパネルの植付けクラッチ入れ忘れ表示ランプが点灯作動し、昇降レバー66が「植付け」位置に操作されて第2スイッチSW2 が押圧操作されると、表示ランプが消灯するようになっている。
【0053】[ バックアップ構造]昇降レバー66を各操作位置に保持する位置決めアーム68と、ステアリングハンドル19の左脇に配備した主変速レバー20とが操作ワイヤ124で連係されており、主変速レバー20が後進域に操作されると、操作ワイヤ1243が引かれて位置決めアーム68がバネ69に抗して引き下げられるようになっている。従って、昇降レバー66が、「植付け」位置、「下降」位置、あるいは、「中立」位置にある状態で、主変速レバー20が後進域に操作されると、位置決めアーム68が引き下げられて、デテントローラ70による係合が解除され、位置決め機能が解除された昇降レバー66はガススプリング67によって「上昇」位置にまで付勢揺動作動し、苗植付け装置4が自動的に上昇される。これによって、後進時に整地フロート28の後部を田面Tに突入させたり、畦にぶつけたりすることが未然に回避される。
【0054】■ 上記実施形態では、昇降レバー66と共に作動する可動部材としての操作アーム64に、制御用作動部材としての第2バルブ操作レバー85に対向する接当ボルト102を備えて、上昇速度規制部を構成しているが、逆に、制御用作動部材としての第2バルブ操作レバー85に接当ボルト102を備えて、昇降レバー66と共に作動する可動部材に対向させるように構成しても、同等の機能を発揮する。
■ 上記実施形態では、センサワイヤ98に連係された第2バルブ操作レバー85を制御用作動部材としているが、制御バルブ60にリンク連係された第1バルブ操作レバー82を制御用作動部材として利用することも可能である。また、第1バルブ操作レバー82に連動連結されたロッド84や、制御バルブ60を操作する接当操作レバー83を制御用作動部材とすることも可能である。
【出願人】 【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
【出願日】 平成12年4月17日(2000.4.17)
【代理人】 【識別番号】100107308
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 修一郎
【公開番号】 特開2001−299024(P2001−299024A)
【公開日】 平成13年10月30日(2001.10.30)
【出願番号】 特願2000−114898(P2000−114898)