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【発明の名称】 田植機
【発明者】 【氏名】牧原 邦充

【氏名】山下 真

【氏名】松木 直樹

【氏名】東尾 登

【要約】 【課題】分離苗のせ台部を退避姿勢に切換える際に、揺動支点軸の位置ずれがなく、円滑に行える田植機を提供する点にある。

【解決手段】苗のせ台22の分離苗のせ台部22Sを主苗のせ台部22Mの上方に重ねる状態に位置させる退避姿勢に切換え可能に構成し、分離苗のせ台部22Sに属する揺動支点軸106を、固定側の揺動支点軸装着部114に装着し、前記揺動支点軸106を中心として前記分離苗のせ台部22Sを揺動作動させて退避姿勢に切換えるべく構成する。揺動支点軸106が揺動する状態を許容しながら揺動支点軸106が抜け出すことを阻止するとともに、揺動支点軸106を揺動支点軸装着部114より強制離間させることのできるロック具を設けている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 複数条分の苗を収納する苗のせ台を、主苗のせ台部とこの主苗のせ台部から分離可能な分離苗のせ台部とで構成し、前記分離苗のせ台部を前記主苗のせ台部の横側方に連接される作用姿勢と、前記分離苗のせ台部を前記主苗のせ台部の上方に重ねる状態に位置させる退避姿勢とに切換え可能に構成し、前記分離苗のせ台部に属する揺動支点軸を、前記苗のせ台を支持する支持フレームに設けた揺動支点軸装着部に装着し、前記揺動支点軸を中心として前記分離苗のせ台部を揺動作動させて前記退避姿勢に切換えるべく構成するとともに、前記揺動支点軸を前記揺動支点軸装着部に装着した状態で、前記揺動支点軸が抜け出すことを阻止するとともに、前記揺動支点軸に対するロック状態を強制的に解除可能なロック具を設けている田植機。
【請求項2】 苗のせ台を主苗のせ台部とこの主苗のせ台部から分離可能な分離苗のせ台部とで構成するとともに、前記分離苗のせ台部を前記主苗のせ台部の横側方に連接される作用姿勢から、一旦、前記分離苗のせ台部と前記主苗のせ台部とを離間させて、前記分離苗のせ台部に属する揺動支点軸を、前記苗のせ台を支持する支持フレームに設けた揺動支点軸装着部に装着する分離姿勢とに切換え、前記揺動支点軸を中心として前記分離苗のせ台部を揺動作動させて前記分離苗のせ台部を前記主苗のせ台部の上方側に重ねる状態に位置させる退避姿勢とに切換え可能に構成し、前記作用姿勢から前記揺動支点軸を前記揺動支点軸装着部に装着する分離姿勢までの前記揺動支点軸の移動を案内する案内フレームを、前記支持フレームに形成してある田植機。
【請求項3】 苗のせ台を主苗のせ台部とこの主苗のせ台部から分離可能な分離苗のせ台部とで構成するとともに、前記分離苗のせ台部を前記主苗のせ台部の横側方に連接される作用姿勢から、一旦、前記分離苗のせ台部を横移動させて前記主苗のせ台部と離間させ、前記分離苗のせ台部に属する揺動支点軸を、前記苗のせ台を支持する支持フレームに設けた揺動支点軸装着部に装着する分離姿勢とに切換え、前記揺動支点軸を中心として前記分離苗のせ台部を揺動作動させて前記分離苗のせ台部を前記主苗のせ台部の上方側に重ねる状態に位置させる退避姿勢とに切換え可能に構成し、前記作用姿勢から前記分離姿勢までに切り換わる途中の経路に前記分離苗のせ台部を前記苗のせ台の上端側にスライド移動させる傾斜ガイドを設けるとともに、前記分離苗のせ台部を前記主苗のせ台部より離間移動させる際に使用される握り把手部を前記傾斜ガイドより前記苗のせ台の下端側に設けてある田植機。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】圃場へ移動する際には田植機をトラック等に搭載して移動させるこことになるが、近年、田植機も作業性を考慮して多条化傾向にあり、そうすると苗のせ台の幅が広いものになるので、広い苗のせ台をそのままの状態ではトラックに搭載できないところから、苗のせ台を横幅の狭い状態に変化させる事のできるできるものに対応することが要求される。このような要求を受けて成された本発明は、複数条分の苗を収納する苗のせ台を、主苗のせ台部とこの主苗のせ台部から分離可能な分離苗のせ台部とで構成し、前記分離苗のせ台部を前記主苗のせ台部の横側方に連接される作用姿勢と、前記分離苗のせ台部を前記主苗のせ台部の上方に重ねる状態に位置させる退避姿勢とに切換え可能に構成してある田植機に関する。
【0002】
【従来の技術】この種の田植機としては、分離苗のせ台部に属する揺動支点軸を、苗のせ台を支持する支持フレームに設けた揺動支点軸装着部に装着し、揺動支点軸を中心として分離苗のせ台部を揺動作動させて退避姿勢に切換えるべく構成するとともに、揺動支点軸を前記揺動支点軸装着部に装着した状態で、揺動支点軸が揺動する状態を許容するロック具を設けていた(例えば、特願平11- 195878号)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記したロック具は、一対のロックアームで揺動支点軸を抱き込み、分離苗のせ台部が作用姿勢から退避姿勢に切り換わる過程において、揺動支点軸を保持する機能を発揮するものであるが、その保持ができずに、分離苗のせ台部を退避姿勢に切換える際に、ロック具から揺動支点軸がはみ出すことがあり、分離苗のせ台部の姿勢変更が旨く行われないことがあった。つまり、ロックアームの形状は、分離苗のせ台部を主苗のせ台部から分離し横移動させることによって揺動支点軸が自動的に一対のロックアームを押し開いて揺動支点軸装着部に装着されるように、揺動支点軸が入り込み易い形状である必要があるばかりでなく、一旦離れた状態にある分離苗のせ台部が主苗のせ台部に連接される状態に戻るために、分離苗のせ台部の横移動に連動して、揺動支点軸をロックアームより外すことのできる形状に設定する必要がある。したがって、ロックアームの形状は、揺動支点軸が入り易くかつ出易い構成とする二つの要求を満足しながら、かつ、ロック機能を満たすことが要求されるために、すべての機能を満たすことは難しく、ロックアームの揺動支点軸保持があまくなる傾向にあった。本発明の目的は、ロック具のロック機能を高め、分離苗のせ台部を退避姿勢に切換えた状態で、ロック具のゆるみによる不具合を抑えることのできる田植機を提供する点にある。
【0004】
【課題を解決するための手段】[構成]請求項1に係る本発明の特徴構成は、複数条分の苗を収納する苗のせ台を、主苗のせ台部とこの主苗のせ台部から分離可能な分離苗のせ台部とで構成し、前記分離苗のせ台部を前記主苗のせ台部の横側方に連接される作用姿勢と、前記分離苗のせ台部を前記主苗のせ台部の上方に重ねる状態に位置させる退避姿勢とに切換え可能に構成し、前記分離苗のせ台部に属する揺動支点軸を、前記苗のせ台を支持する支持フレームに設けた揺動支点軸装着部に装着し、前記揺動支点軸を中心として前記分離苗のせ台部を揺動作動させて前記退避姿勢に切換えるべく構成するとともに、前記揺動支点軸を前記揺動支点軸装着部に装着した状態で、前記揺動支点軸が抜け出すことを阻止するとともに、前記揺動支点軸のに対するロック状態を強制的に解除可能なロック具を設けている点にあり、その作用、及び、効果は次の通りである。
[作用]つまり、ロック具として一旦揺動支点軸装着部に揺動支点軸を保持した状態では、揺動支点軸が抜け出さない構成とし、揺動支点軸を揺動支点軸装着部より離間させる場合には、ロック状態を強制的に解除しなければならない構成とした。これはいわば、揺動支点軸を揺動支点軸装着部より離間させる場合には、強制的に行わなければならない構成としたことによって、揺動支点軸を揺動支点軸装着部に装着する状態では揺動支点軸が抜け出さない構成とすることができることを意味したものである。揺動支点軸を揺動支点軸装着部に装着するに分離苗のせ台を移動させるだけで行うことができ、かつ、その装着状態より主苗のせ台部に連結される側に分離苗のせ台部を移動させると装着状態が解除されるという、ロック状態があまくなる構成を採る必要がなくなった。
[効果]これによって、分離苗のせ台部を格納姿勢に切換える際の不具合を解消し、姿勢切り換えを円滑に行うことができる。
【0005】[構成]請求項2に係る本発明の特徴構成は、苗のせ台を主苗のせ台部とこの主苗のせ台部から分離可能な分離苗のせ台部とで構成するとともに、前記分離苗のせ台部を前記主苗のせ台部の横側方に連接される作用姿勢から、一旦、前記分離苗のせ台部と前記主苗のせ台部とを離間させて、前記分離苗のせ台部に属する揺動支点軸を、前記苗のせ台を支持する支持フレームに設けた揺動支点軸装着部に装着する分離姿勢とに切換え、前記揺動支点軸を中心として前記分離苗のせ台部を揺動作動させて前記分離苗のせ台部を前記主苗のせ台部の上方側に重ねる状態に位置させる退避姿勢とに切換え可能に構成し、前記作用姿勢から前記揺動支点軸を前記揺動支点軸装着部に装着する分離姿勢までの前記揺動支点軸の移動を案内する案内フレームを、前記支持フレームに形成してある点にあり、その作用、及び、効果は次の通りである。
[作用効果]つまり、分離苗のせ台部を主苗のせ台部より分離して、揺動支持軸を揺動支持軸装着部まで導入する際に、案内フレームによって揺動支持軸を案内するので、その揺動支持軸を揺動支持軸装着部まで経路をはずれることなく導くことができ、分離苗のせ台部を揺動支持軸装着部に向けて移動させるだけで、揺動支持軸を揺動支持軸装着部に装着させることをより容易に行い得る。
【0006】[構成]請求項3に係る本発明の特徴構成は、苗のせ台を主苗のせ台部とこの主苗のせ台部から分離可能な分離苗のせ台部とで構成するとともに、前記分離苗のせ台部を前記主苗のせ台部の横側方に連接される作用姿勢から、一旦、前記分離苗のせ台部を横移動させて前記主苗のせ台部と離間させ、前記分離苗のせ台部に属する揺動支点軸を、前記苗のせ台を支持する支持フレームに設けた揺動支点軸装着部に装着する分離姿勢とに切換え、前記揺動支点軸を中心として前記分離苗のせ台部を揺動作動させて前記分離苗のせ台部を前記主苗のせ台部の上方側に重ねる状態に位置させる退避姿勢とに切換え可能に構成し、前記作用姿勢から前記分離姿勢までに切り換わる途中の経路に前記分離苗のせ台部を前記苗のせ台の上端側にスライド移動させる傾斜ガイドを設けるとともに、前記分離苗のせ台部を前記主苗のせ台部より離間移動させる際に使用される握り把手部を前記傾斜ガイドより前記苗のせ台の下端側に設けてある点にあり、その作用、及び、効果は次の通りである。
[作用効果]つまり、通常の作用姿勢での苗のせ台の横移動を案内するための機構を設けてある(この実施例においては、ガイドローラとそのガイドローラを案内するガイドレールである)。分離苗のせ台部を退避姿勢に切り換えるためには、案内機構との係わりを断つ必要があるために、本発明においては、揺動支持軸が揺動支軸装着部に保持される前の段回で、分離苗のせ台部を持ち上げる構成を採っている。その為に、経路途中に傾斜面を設けて分離苗のせ台部を移動させるだけで一定間隔だけ持ち上げることのできる構成を採っているが、ここではさらに、その傾斜面に沿って分離苗のせ台部を傾斜させることができれば、さらに円滑な持ち上げを行うことができるので、その為に、分離苗のせ台部を引き操作するための握り把手部を傾斜面より下側に設けて持ち上げ操作を行いやすくすることにしてある。
【0007】
【発明の実施の形態】図1,図2に示すように、操向操作自在な左右一対の前輪1及び左右一対の後輪2を備えた機体21の前部に、原動部としてのエンジン3及びミッションケース4を備えて、機体21の中央部に運転部5を形成し、機体21の後部に昇降シリンダ6Aによって駆動されるリンク機構6を介して苗植付装置7を昇降操作自在に連結して乗用型田植機を構成してある。苗植付装置7は8条植えに構成されており、4個の植付伝動ケース8、植付伝動ケース8の左右両側に回転駆動自在に支持される回転ケース9、回転ケース9の両端に配備される一対の植付機構10、5個の接地フロート11、及び苗のせ台22等で構成してある。苗のせ台22の両側方には、次行程の植付走行路を印す回転体19Aを揺動フレーム19Bに取付けた回転式の線引きマーカー19を取付けてある。運転部5の両側方には搭乗ステップ20が設けてあり、その搭乗ステップ20は貯留ホッパー13の両横外側方に至る部分20Aを設けている。
【0008】運転部5における運転座席5Aの右側方には、リンク機構6を介して昇降される苗植付装置7の昇降状態を設定する昇降レバー23が設けてあり、前方水平向きにした植付作業位置より後方に起こしてくるにつれて下降位置、中立位置、上昇位置、自動位置に切換えることができる。図1に示すように、運転部5の操縦ハンドルポスト5Bの右側面には、強制的に苗植付装置7を昇降させる強制昇降操作レバー24を設けてあり、昇降レバー23を自動位置に設定した状態で、強制昇降操作レバー24を上下に操作することによって、苗植付装置7を強制的に昇降させることができる。
【0009】次に施肥装置Aについて説明する。図5〜図6に示すように、施肥装置Aは、粉粒体である肥料を貯留する貯留ホッパー13、この貯留ホッパー13から流下して送られてくる肥料を肥料ホース14の始端部である漏斗部12に所定量ずつ繰り出す繰出し機構51、肥料ホース14で送られてくる肥料を圃場に供給する作溝器18、漏斗部12に繰り出された肥料を風力で肥料ホース14に送り込むブロワ16、ブロワ16で生起された風を肥料ホース14に分配供給する送風ダクト17等から構成されている。貯留ホッパー13は4つのホッパ部13Aからなっており、これらは同一容量のものに形成されて機体横方向に連接されている。8条分の植付機構10の横側方に作溝器18が夫々配置されて肥料を圃面内に送り込むべく構成されており、隣接する2条分の作溝器18毎に一つのホッパ部13Aから肥料が供給できるようになっている。
【0010】繰出し機構15の駆動構造について説明する。図5〜図6に示すように、繰り出しロール51Bを収納した4個の各ロールケース51Aのボス部に亘って、断面六角状の1本の駆動軸49が回転自在に支持されており、該駆動軸49に駆動ギヤ49Gを相対回転自在に外嵌してある。そして、駆動ギヤ49Gと繰り出しロール51Bを回転する従動ギヤ52との咬合によって繰り出しロール51Bを駆動するようにしてある。
【0011】図5に示すように、車体下部には、ミッションケース4から機体後部の後車軸ケース85に動力伝達する走行伝動軸47が前後配置されており、この走行伝動軸47から施肥装置Aに動力分配するための伝動ケース48を、後車軸ケース85の直前位置に設けてある。伝動ケース48には、図示してはいないがベベルギヤ機構と一方向クラッチとを内装してあり、ケース突出端には回転アーム50を取付けてある。一方向クラッチは、機体が前進走行するときにのみ動力を施肥装置Aに伝動し、後進時には空回りする状態に設定されている。一方、図6に示すように、駆動軸49には、ワンウェイクラッチ58を介して受動アーム59が装備されており、この受動アーム59と回転アーム50とを連係ロッド60で連動連結して、植付作動に連動して肥料を繰り出すことができるようにしてある。
【0012】次に、苗のせ台22の横送り機構について説明する。図7に示すように、機体21のエンジン3より動力伝達を受けるフィードケース67の左側面には、螺旋溝が形成された螺軸74をゴム製の蛇腹で覆う状態で、かつ、横向き姿勢の軸芯周りで突設してあり、この螺軸74の螺旋溝に係入するコマ部材を連結機構としてのホルダー75を介して苗のせ面の背面側に固設することで横送り機構を構成してあり、この横送り機構によって苗のせ台22を横方向に往復作動させるものとなっている。又、フィードケース67の右側面には横向き姿勢の軸芯周りで回転自在に回転軸76を配置し、この回転軸76に対し螺軸74による苗のせ台22の往復移動ストロークに等しい間隔で一対の駆動アーム84,84を備えている。
【0013】図7、図9に示すように、苗のせ台22の下部に横向き姿勢の軸芯周りで回動自在に断面形状六角の縦送り軸61を備え、前記縦送り機構Gは縦送り軸61に外嵌する下部ローラ62と、この上方に配置された上部ローラ63と、これらに巻回した縦送りベルト64とで構成されている(同図に示すように1条の苗のせ面に対して左右一対の縦送りベルト64が配置されている)。図7に示すように、縦送り軸61には前記左右一対の駆動アーム84、84に接当する受けアーム65と、この受けアーム65からの駆動力を縦送り軸61に伝える一方向クラッチ66とを備えている。又、図9に示すように、苗残量センサTは、苗のせ台22に載置されたマット状苗Wに接当するよう突出付勢された接当片68と、この接当片68の姿勢から苗Wの存否を判別するリミットスイッチ69とで構成されている。
【0014】図7及び図8に示すように、4個の植付伝動ケース8を連結するツールフレーム8Aの両端近傍より、左右の支柱93を立設するとともに、左右の支柱93,93にわたって支持フレームとしての横フレーム94を掛け渡して、図9に示すように、この横フレーム94に苗のせ台22の横移動を案内するガイドローラ88を設け、このガイドローラ88を苗のせ台22の背面に設けているガイドレール121に嵌合させて、苗のせ台22を横移動自在に支持している。
【0015】図9及び17に示すように、苗植付装置7では、苗のせ台22のうち受けアーム65と反対側の端部の2条の苗のせ面部分を分離苗のせ台部22Sに設定し、残りの6条の苗のせ面部分を主苗のせ台部22Mに設定し、この主苗のせ台部22Mに対して分離苗のせ台部22Sを連結手段Kを介して連結及び分離自在に構成すると共に、主苗のせ台部22Mの分離苗のせ台部22Sの側の端部位置の苗のせ面22Bの側に分離苗のせ台部22Sを支持する格納部Pを形成し、又、連結手段Kの連結解除によって分離された分離苗のせ台部22Sを格納部Pまで案内する姿勢切替アーム77を備えている。
【0016】分離苗のせ台部22Sと主苗のせ台部22Mとの関係は、通常の作業時においては、両苗のせ台部22S,22Mが左右の横並び状態で連結される作用姿勢に維持されるとともに、図13に示すように、分離苗のせ台部22Sが退避姿勢に切換えられる前に一旦横方向に分離される分離姿勢に切換えられる。この分離姿勢に設定した状態で前記姿勢切替アーム77によって退避姿勢に切換えられる。この退避姿勢の状態では、分離苗のせ台部22Sの一条分と主苗のせ台部22Mの端一条分とが上下に重なる状態となる。
【0017】図9から図17に示すように、縦送り軸61は主苗のせ台部22Mと分離苗のせ台部22Sとに対応した寸法に予め分割されると共に、分割面の位置には分離苗のせ台部22S側の縦送り軸61の端部に外嵌して一体回転するブッシュ78を主苗のせ台部22M側の縦送り軸61に対してスライド移動自在に外嵌し、かつ、バネ( 図示せず) で突出方向に付勢して成るジョイントを備えている。苗ステー122は主苗のせ台部22Mの6条分のものと、分離苗のせ台部22Sの2条分のものとが形成され、苗残量センサTのうち分割面に位置するものは、図9、図13に示すように、主苗のせ台部22M側に取り付けた支持プレート80を介して備えられている。
【0018】前記連結手段Kは、図9、図17に示すように、主苗のせ台部22Mの端部に固設されたナット81と、分離苗のせ台部22Sに横方向に貫通するノブ82N付きのネジ軸82とで構成された上下一対のロックネジと、図8、図17に示すように、揺動操作によって基端部が分離苗のせ台部22S側の縦壁22Aと主苗のせ台部22M側の縦壁22Aとを挟圧して連結する状態と、この挟圧状態を解除する状態とに切換自在な挟圧部材83Aを備えた3つのロックレバー83とで成っている。又、下部のノブ82Nの位置を前記摺動レール70の上面近傍位置に配置することで、苗のせ台22が分離苗のせ台部22Sの側のストロークエンドに達した際にのみ摺動レール70に妨げられることなく回動操作を行えるものとなっている。更に、主苗のせ台部22Mと分離苗のせ台部22Sとの分割面の下部位置には、図9に示すように、主苗のせ台部22Mの側に軸周りでの揺動によって分離苗のせ台部22Sの被係合部に係合する揺動片87をバネの付勢力で係合方向に付勢して備えてあり、この揺動片87は苗のせ台22全体が分離苗のせ台部22S側の端部に達した際に摺動レール70に備えた接当片89との接当によりバネの付勢力に抗して係合解除方向に揺動作動するよう構成されている。又、図9に示すように、上方のロックネジを構成するナット81の近傍位置に主苗のせ台部22Mと分離苗のせ台部22Sが分離したことを検出するリミットスイッチ型の分離センサ90を備えている。
【0019】図10に示すように、主苗のせ台部22Mの分割面の上部位置に貫通孔91を穿設し、貫通孔91に係合する係合ピン92を分割苗のせ台22Sの側に備えてある。図7、図15〜18に示すように、格納部Pは主苗のせ台部22Mの苗のせ面22Bの側の上部位置に設けたアーチ状のロッド95の外端側に備えたゴム製の支持部材96と、内端側の係合用のバネ板材97とを備えると共に、主苗のせ台部22Mの苗のせ面22Bの側の下部位置に設けたアーチ状のロッド98の両端位置に備えたゴム製の支持部材96と、この下部位置において分離苗のせ台部22Sの下部を上方から押さえ込むよう横向き姿勢の軸芯周りでの揺動自在、かつ、バネ99で押圧方向に付勢された押圧ロッド100とを備えて構成されている。尚、バネ板材97には係合孔部97Aとガイド面97Bとが形成されており、分離苗のせ台部22Sの苗のせ面側の下部位置には把手101(図18を参照)を備えている。
【0020】図9〜図10、図16〜図17に示すように、分離苗のせ台部22Sを移動させる際に揺動作動する姿勢切替アーム77は、金属板を上下方向に広幅のチャンネル状に成形した素材が用いられると共に、分離苗のせ台部22Sの上下方向の中間位置に連結固定された支持部材103に対して縦向き姿勢の支軸104周りで揺動自在に支持されて成り、この姿勢切替アーム77の反支持部材側の端部の下面は反支持部材側ほど低レベルとなる傾斜面と連なる状態で水平姿勢の接当面77Sが形成され、又、傾斜面の近傍位置に横向き姿勢の軸芯周りで遊転支持されたガイドローラ105を備え、更に、この端部には下方に向けて縦向き姿勢の揺動支点軸106を突設している。
【0021】図4に示すように、分離苗のせ台部22Sを支持する支持フレームとしての横フレーム94に対して金属板を折り曲げ成形して上壁と下壁とを一体形成したブラケット113を備えると共に、このブラケット113の上壁と下壁との間に前記揺動支点軸106を抱き込む円弧状の揺動支点軸装着部114を備え、この揺動支点軸装着部114に対して揺動支点軸106を案内するガイド凹部113A,113Aを上壁と下壁とに形成し、又、揺動支点軸装着部114に接当した揺動支点軸106に係合保持するようバネ115で付勢され、軸116周りで揺動自在な一対のロックアーム117を備え、更に、ブラケット113の上壁に連なる状態で分離苗のせ台部22Sの外端側ほど高いレベルとなる傾斜ガイドである傾斜案内面113Sを形成している。
【0022】上記したロックアーム117によるロック具について説明する。図4及び図16に示すように、ロックアーム117は揺動支点軸装着部114に装着された揺動支点軸106を揺動支点軸装着部114毎抱き込むように係合し、分離苗のせ台部22Sが格納姿勢に切り換わる際に揺動支点軸106を保持する機能を担っている。ロックアーム117は、揺動支点軸106の軸心方向に沿って一本づつ設けた鋏に似た形状を採っており、その一本のものは揺動支点軸106を抱き込む先端部117Aと、先端部117Aより後に延出される手元部117B,117Bとからなり、一対のロックアーム117,117は互いに反対向きに揺動するように構成してある。
【0023】図4に示すように、ロックアーム117の先端部117Aは、略三角形状に形成してあり、相手側先端部117Aに向かう面117aを傾斜面にしてあり、揺動支点軸106がその先端部117Aに接当して押し広げて行く作動を容易に行える傾斜状態となっている。互いの傾斜面117a,117aは、奥側ほど揺動支点軸106の軸心方向に沿った方向視で重なり合う状態になっており、傾斜面117aが終了する点より横向きの面117b、117bが形成してあり、揺動支点軸106が抜け出ないような構成となっている。
【0024】図12に示すように、分離苗のせ台部22Sの側端には、分離苗のせ台部22Sを揺動支点軸106が揺動支点軸装着部114に装着されるまでその分離苗のせ台部22Sを引き操作するための握り把手部107を設けてあり、この握り把手部107はその握り部分が傾斜案内面113Sより苗のせ台22の下端側に位置するように設置されている。これによって、引き操作されて横移動する苗のせ台22の移動に連れてガイドローラ105が傾斜案内面113Sを登る場合にも、苗のせ台22を傾斜させやすく操作がしやすくなっている。図10及び図12に示すように、苗のせ台22の横送り状態を案内する横フレーム94より前向きに二本の棒状部材108Aを略平行な状態でかつその横フレーム94に平行な姿勢に設けてある。二本の棒状部材108Aの間に揺動支点軸106を位置させて、苗のせ台22全体が植付け作動に連動して往復横移動する際、さらに、分離苗のせ台部22Sを主苗のせ台部22Mから分離して揺動支点軸106を揺動支点軸装着部114に装着する分離姿勢に至るまで、その揺動支点軸106の移動を案内すべく、二本の棒状部材108Aで揺動支点軸106を案内する案内フレーム108を形成する。
【0025】この田植機では、苗植付装置Aの横幅が2.7メートル程度の寸法になっており、この寸法を縮小することで、4トントラックの荷台における横幅方向の寸法2.4メートル以内に収まるものとなっている。そして、この寸法の縮小を行う際には、以下の手順で操作を行うものとなっている。
【0026】まず、図9に示すように、苗のせ台22を分離苗のせ台部の側の端部まで横移動させ、この端部に達したタイミングで移動を停止させ、次に、この状態でロックネジのノブ82Nとロックレバー83との操作によって主苗のせ台部22Mに対して分離苗のせ台部22Sを分離する。このように苗のせ台22を端部位置にセットした場合には、揺動片87が接当片89との接当によって係合解除姿勢に達している。そして、図11〜図13に示すように、分離苗のせ台部22Sを外方に引き操作することで分離苗のせ台部22Sと姿勢切替アーム77とが一体的に外方に移動するものとなり、図13に示すように、この移動によって姿勢切替アーム77のガイドローラ105がブラケット113の案内面113Sとの接当によって該分離苗のせ台部22Sを上方に持ち上げ、更に移動操作を継続することで、ブラケット113の上面に姿勢切替アーム77の接当面77Sが乗り上げた状態に達すると同時に、図14に示すように、姿勢切替アーム77の揺動支点軸106がブラケット113の揺動支点軸装着部114に接当する位置まで送られる結果、ロックアーム117が揺動支点軸106を抱き込んでロック状態に達する。尚、このように分離苗のせ台部22Sを移動操作することで姿勢切替アーム77を連係状態に設定する系で自動連係機構が構成されている。
【0027】この状態に達すると、分離苗のせ台部22Sが苗のせ台22の上端へ向けて持ち上げられることになり分離苗のせ台部22Sが摺動レール70から浮き上がり、図13及び図14に示すように、分離苗のせ台部22Sのガイドレール121に形成された切り欠き部121Aがガイドローラ88の位置に達する結果、これらに妨げられることなく、分離苗のせ台部22Sを後方に引き出せるものとなっている。
【0028】次に、前記把手101を作業者が握る等の形態で分離苗のせ台部22Sを後方に引き出す操作を行うことで、図15及び図16に示すように、姿勢切替アーム77が揺動支点軸106の軸芯周りで揺動することによって分離苗のせ台部22Sを主苗のせ台部22Mの側に案内すると同時に、支軸104周りでの分離苗のせ台部22Sの揺動によって該分離苗のせ台部22Sの苗のせ面22Bの姿勢を主苗のせ台部22Mの苗のせ面22Bと平行となる姿勢に維持でき、この揺動の移動端に分離苗のせ台部22Sを送ることで分離苗のせ台部22Sを格納位置Pにセットできるものとなっている。このセット時には係合ピン92がバネ板材97の係合孔97Aに対して係合するものとなり、又、図18に示すように、この状態で押圧ロッド100によって分離苗のせ台部22Sの下部を押圧することで分離苗のせ台部22Sを格納部Pに保持できるものとなっている。このように分離苗のせ台部22Sが格納部Pにセットされた場合には、平面視において、この分離苗のせ台部22Sの内側の1条だけが、主苗のせ台部22Mに重複するものとなっており、この重複量、即ち、1条分の寸法(約30センチメートル)だけ苗のせ台22の横幅の縮小が可能となっている。分離苗のせ台部22Sを格納部Pにセットする際に、分離苗のせ台部22Sを主苗のせ台部22Mより分離するが、その分離状態が分離センサ90によって検出された場合には、植付クラッチ25を作動させないように制御して、無用な植付動作を抑制する。
【0029】〔別実施の形態〕本発明は上記実施の形態以外に、例えば、6条植えの田植機に適用してもよい。また、分離苗のせ台部Mを分離する形態としては、一条分又は三条分を分離する構成を採ってもよく、かつ、分離苗のせ台部Mを主苗のせ台部Sに重ねる場合にも、一条分だけを重ねあわせるのではなく、二乗分を重ねあわせるようにしてもよい。また、ロック具の構造としては、一対のロックアーム117で構成してあるが、そのロックアーム117の先端部の揺動支持軸106に対する抱き込み量を多くするようにすれば、いずれか一方のロックアーム117でもよい。
【0030】線引きマーカー19の支持構造について説明する。図19及び図20に示すように、線引きのために圃面上に張り出す作用姿勢と圃面から退出して立て姿勢となる退避姿勢とに切換え可能な揺動フレーム19Bの先端に横向きの支持部19bを設けるとともに、この支持部19bに対して、線引き用の回転体19Aを回転自在に支持した可動フレーム19aを装入すべく構成してある。可動フレーム19aは、回転体19Aを支持した縦向きフレーム部と、縦向きフレーム部の上端部より屈折形成された丸棒状の基端部19cとからなる。図19及び図20に示すように、支持部19bは、可動フレーム19aの丸軸状の基端部19cを装入保持する円筒状のボス部19dとこの円筒状のボス部19dより片持ち状態で延出されているアングル部材19eとで構成してある。円筒状のボス部19dとアングル部材19eにかけてトーションバネ30を巻き付け掛け渡してあり、このトーションバネ30で可動フレーム19aを基端部19cの軸心周りに揺動付勢し回転体19Aを作用姿勢に復帰させるべく構成している。図20に示すように、トーションバネ30の一端はアングル部材19eの平板部19iの前面に形成した窪みに係止固定してあり、他端は大きな円弧状の指掛け部30aに形成してあり、指掛け部30aを平板部19iの後面に窪みを形成して係止固定してある。一方、可動フレーム19aには、基端部19cと平行に位置決め板部19hが片持ち状に延出してあり、図21に示すように、位置決め板部19hは基端部19cを円筒状のボス部19d内に収納した状態で平板部19iと略平行状態となるように入り込む。図20に示すように、位置決め板部19hの後面には、3つの窪み19jが設けてあり、可動フレーム19aを円筒状のボス部19dに内嵌して、線引きマーカー19として使用する正規の作動姿勢において、この3つの窪み19jのうちの一つが選定されて、図21に示すように、トーションバネ30の指掛け部30aの根元部分を選定された窪み19jに係止している。この係止状態で、可動フレーム19aの基端部19cの軸心方向への移動を規制するとともに、トーションバネ30の付勢力で可動フレーム19aの機体後方側への揺動を許容するとともに所期の姿勢に復帰させるように構成してある。尚、平板部19iの横側端を立上げ形成してあり、この立上げ部19kがトーションバネ30によって付勢されている位置決め板部19hの機体前方側への移動を受止め、このトーションバネ30との協動で可動フレーム19a、ひいては線引きマーカー19の回転体19Aの機体前後方向で位置決めを行っている。以上のような構成より、回転体19Aが障害物等に衝突しても、トーションバネ30の付勢力に抗して可動フレーム19aとともに回転体19Aが後方に一旦退避して、障害物をかわすことができ、かわし終えるとバネ力で元の姿勢に復帰する。一方、回転体19Aの機体横方向での作用位置を変更する場合には、指掛け部30aに指を掛けて後上方側に引き上げ位置決め板部19hに対するトーションバネ30の位置規制を解除する状態を維持しながら、可動フレーム19aをボス部19dの軸心方向に移動させて窪み19jを異なるものに切換えトーションバネ30を切換えられた窪み19jに係合させると、回転体19Aの機体横方向での作用位置を切換えることができる。以上のように、トーションバネ30は、回転体19Aが障害物等に衝突した場合の後方への退避を許容する機能と、回転体19Aの機体左右方向での位置決めを行う機能とを合わせ持っている。
【出願人】 【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
【出願日】 平成12年3月31日(2000.3.31)
【代理人】 【識別番号】100107308
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 修一郎
【公開番号】 特開2001−275420(P2001−275420A)
【公開日】 平成13年10月9日(2001.10.9)
【出願番号】 特願2000−96664(P2000−96664)