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【発明の名称】 田植機
【発明者】 【氏名】蔵野 淳次

【氏名】安田 真

【氏名】北井 浩昭

【要約】 【課題】組み付けに要する手間の軽減や製造コストの削減を図りながら、車輪跡に起因した苗倒れを効果的に防止できる植え付け精度に優れた10条植え用の田植機を提供する。

【解決手段】走行機体1の後部に10条植え用の苗植付装置2を連結してある田植機において、苗植付装置2の左右中央側に、3条分の整地を行うように幅広の略Π字形状に形成された2つの第1整地フロート23Aを左右に並設し、苗植付装置2の左右両端側に、2条分の整地を行うようにT字形状に形成された第2整地フロート23Bを配設して、10条分の整地を行うように構成した。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 走行機体の後部に10条植え用の苗植付装置を連結してある田植機であって、前記苗植付装置の左右中央側に、3条分の整地を行うように幅広の略Π字形状に形成された2つの第1整地フロートを左右に並設し、前記苗植付装置の左右両端側に、2条分の整地を行うようにT字形状に形成された第2整地フロートを配設して、10条分の整地を行うように構成してある田植機。
【請求項2】 前記走行機体に対して前記苗植付装置を昇降可能かつ前後軸芯周りにローリング可能に連結し、前記左右の各第2整地フロートを接地圧を検出するセンサフロートに構成し、それら両センサフロートからの接地圧の平均値に基づいて前記苗植付装置の昇降を制御する自動昇降制御手段と、前記両センサフロートからの接地圧の差に基づいて前記苗植付装置のローリングを制御するローリング制御手段とを装備してある請求項1記載の田植機。
【請求項3】 位置調節固定可能に構成された植付深さ調節レバーの操作で、各整地フロートが連結されたフロート支点軸をその軸芯周りに回動させて、各整地フロートの植付機構に対する高さ位置を変更することで、圃場への苗植え付け深さを調節する植付深さ調節機構を装備し、前記フロート支点軸に、該フロート支点軸にその軸芯周りに一体回動するように連結される第1連係部材と、前記フロート支点軸にその軸芯周りに相対回動可能に遊嵌される第2連係部材とを、設定以上の操作力で弾性変形する弾性体を介して前記軸芯周りに連動するように連係して構成された弾性融通機構を装備してある請求項1又は2記載の田植機。
【請求項4】 前記苗植付装置を左苗植付部と右苗植付部とに2分割可能に構成し、それら左右の苗植付部を縦軸芯周りに揺動操作可能に構成して、前記苗植付装置を、前記左右の苗植付部を植え付け可能な前向き姿勢で連結する作業姿勢と、前記左右の苗植付部に分割してそれらを機体横外方への張り出し量が減少する横向き姿勢に変更する格納姿勢とに姿勢切り換え可能に構成し、横軸芯周りの回動で各整地フロートの植付機構に対する高さ位置を変更するフロート支点軸に、前記苗植付装置の格納姿勢への姿勢切り換えに伴って、前記フロート支点軸の前記左苗植付部に属する左支点軸部と前記右苗植付部に属する右支点軸部との2分割を許容し、かつ、前記苗植付装置の作業姿勢への姿勢切り換えに伴って、前記左右の支点軸部を前記横軸芯周りに一体回動可能な状態に連結する連結具を設け、前記連結具に、前記苗植付装置の前記作業姿勢への姿勢切り換えに伴って、前記左右の支点軸部の前記横軸芯周りでの位相のズレを吸収する融通部を備えてある請求項1〜3のいずれか一つに記載の田植機。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、走行機体の後部に10条植え用の苗植付装置を連結してある田植機に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、上記のような田植機としては、例えば特開平11−56042号公報で開示されているように、2条分の整地を行うようにT字形状に形成された5つの整地フロートを苗植付装置の左右方向に並設することで10条分の整地を行うようにしていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、苗植付装置を10条植え用に構成する場合には、それに対応する充分な推力を得るために、一般的に4条分の苗を跨ぐ位置に配設されている左右の後輪の内側に、補助車輪を、それらの補助車輪が2条分の苗を跨ぐ状態となるように並設することが考えられているが、このようにすると、上記の従来技術のように単純に2条整地用の5つの整地フロートを苗植付装置の左右方向に並設するだけでは、左右の補助車輪によって形成される車輪跡を整地フロートで整地することができないことから、それに起因した苗倒れが生じ易くなる不都合を招く虞があった。
【0004】又、上記の従来技術では、苗植付装置に5つの整地フロートを取り付けることによって部品点数の増加を招くようになることから、組み付けに要する手間の軽減や製造コストの削減を図る上において改善の余地があった。
【0005】本発明の目的は、組み付けに要する手間の軽減や製造コストの削減を図りながら、車輪跡に起因した苗倒れを効果的に防止できる植え付け精度に優れた10条植え用の田植機を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】〔構成〕上記目的を達成するため、本発明のうちの請求項1記載の発明では、走行機体の後部に10条植え用の苗植付装置を連結してある田植機において、前記苗植付装置の左右中央側に、3条分の整地を行うように幅広の略Π字形状に形成された2つの第1整地フロートを左右に並設し、前記苗植付装置の左右両端側に、2条分の整地を行うようにT字形状に形成された第2整地フロートを配設して、10条分の整地を行うように構成した。
【0007】〔作用〕上記請求項1記載の発明によると、苗植付装置の左右中央側に並設した3条整地用の2つの第1整地フロートと苗植付装置の左右両端側に配設した2条整地用の2つの第2整地フロートとの合計4つの整地フロートで10条分の整地を行うことから、単純に2条整地用の5つの整地フロートを左右に並設して10条分の整地を行う場合に比較して部品点数を少なくすることができ、その結果、組み付けに要する手間の軽減や製造コストの削減を図れるようになる。
【0008】又、苗植付装置の左右中央側に3条整地用の2つの第1整地フロートを並設したことによって、10条植えに対応する充分な推力を得るために、4条分の苗を跨ぐ位置に配設されている左右の後輪の内側に2条分の苗を跨ぐ状態で補助車輪を並設するようにしても、左右の後輪の車輪跡は当然のことながら左右の補助車輪の車輪跡をも整地することができるようになり、その結果、左右の後輪や補助車輪によって形成される車輪跡に起因した苗倒れの発生や植え付け姿勢の乱れを効果的に防止できるようになる。
【0009】更に、3条整地用の第1整地フロートよりも泥押しの少ない2条整地用の第2整地フロートを苗植付装置の左右両端側に配設したことによって、苗植付装置の左右両端側に3条整地用の第1整地フロートを配設する場合に比較して、左右両端側の整地フロートにより機体横外方に押し出された泥が既植苗に与える影響を小さくすることができ、その結果、整地フロートの泥押しに起因した既植苗の倒伏や植え付け姿勢の乱れを効果的に防止できるようになる。
【0010】〔効果〕従って、組み付けに要する手間の軽減や製造コストの削減を図りながら、車輪跡に起因した苗倒れや整地フロートの泥押しに起因した既植苗の倒伏や植え付け姿勢の乱れを効果的に防止できる植え付け精度に優れた10条植え用の田植機を提供できるようになった。
【0011】〔構成〕本発明のうちの請求項2記載の発明では、上記請求項1記載の発明において、前記走行機体に対して前記苗植付装置を昇降可能かつ前後軸芯周りにローリング可能に連結し、前記左右の各第2整地フロートを接地圧を検出するセンサフロートに構成し、それら両センサフロートからの接地圧の平均値に基づいて前記苗植付装置の昇降を制御する自動昇降制御手段と、前記両センサフロートからの接地圧の差に基づいて前記苗植付装置のローリングを制御するローリング制御手段とを装備した。
【0012】〔作用〕上記請求項2記載の発明によると、苗植付装置の左右両端側に位置することで車輪跡を整地しない第2整地フロートをセンサフロートに構成していることから、植え付け作業走行時に変動する接地圧を車輪跡の影響を受けることなく検出することができ、その接地圧に基づく苗植付装置の昇降制御やローリング制御を精度良く行えるようになる。
【0013】又、例えば、単一のセンサフロートからの接地圧に基づいて苗植付装置の昇降を制御するように構成すると、そのセンサフロートの接地箇所のみが局部的に大きく起伏している状況では、その局部的な起伏の影響を受けたセンサフロートからの接地圧に基づいて苗植付装置の昇降を制御するようになることから、所望の植え付け深さから懸け離れた植え付け深さで苗が植え付けられる不都合が生じるのであるが、上記請求項2記載の発明では、左右のセンサフロートからの接地圧の平均値に基づいて苗植付装置の昇降を制御するようにしていることから、一方のセンサフロートの接地箇所が局部的に大きく起伏していたとしても、そのセンサフロートからの接地圧が苗植付装置の昇降を制御する際に与える影響を小さくすることができるので、所望の植え付け深さから懸け離れた植え付け深さで苗が植え付けられることを防止できるようになる。
【0014】更に、苗植付装置の左右両端側に配設された第2整地フロートをセンサフロートに構成していることによって、苗植付装置の植え付け範囲でのより離れた2点の接地圧を検出することができ、それらの接地圧の差に基づいて苗植付装置のローリングを制御するようになることから、苗植付装置の姿勢を、苗植付装置の植え付け範囲内の圃場泥面に対してより適切に沿った姿勢にすることができるようになる。
【0015】〔効果〕従って、圃場泥面の起伏の変化に応じた苗植付装置の昇降制御及びローリング制御を精度良くより適切に行えることから、圃場泥面の起伏の変化にかかわらず、苗を所望の植え付け深さに精度良く安定して植え付けることができるようになった。
【0016】〔構成〕本発明のうちの請求項3記載の発明では、上記請求項1又は2記載の発明において、位置調節固定可能に構成された植付深さ調節レバーの操作で、各整地フロートが連結されたフロート支点軸をその軸芯周りに回動させて、各整地フロートの植付機構に対する高さ位置を変更することで、圃場への苗植え付け深さを調節する植付深さ調節機構を装備し、前記フロート支点軸に、該フロート支点軸にその軸芯周りに一体回動するように連結される第1連係部材と、前記フロート支点軸にその軸芯周りに相対回動可能に遊嵌される第2連係部材とを、設定以上の操作力で弾性変形する弾性体を介して前記軸芯周りに連動するように連係して構成された弾性融通機構を装備した。
【0017】〔作用〕上記請求項3記載の発明によると、フロート支点軸と一体回動する第1連係部材とフロート支点軸に対して相対回動可能な第2連係部材とを弾性変形可能な弾性体で連係するだけの簡単な構成でありながら、植付深さ調節レバーが所望の操作位置に固定される植え付け深さ設定状態において、いずれかの整地フロートが隆起物に乗り上がることや、誤操作で整地フロートを接地面よりも大きく下降させる苗植付装置の下降操作が行われることなどによって、整地フロート側からの設定以上の突き上げ力が植付深さ調節機構に加わった場合、あるいは、苗植付装置の上昇操作の際に整地フロートが他物に引っ掛かることなどによって、整地フロート側からの設定以上の押し下げ力が植付深さ調節機構に加わった場合には、弾性体が変形して第2連係部材に対するフロート支点軸の相対回動を許容するようになることから、整地フロート側から設定以上の操作力が加わることに起因した植付深さ調節機構における植付深さ調節レバーや整地フロートなどの変形又は破損を防止できるようになる。
【0018】又、整地フロート側からのフロート支点軸の軸芯周りの操作力を、同じ軸芯周りのフロート支点軸と第2連係部材の相対回動で吸収することから、例えば、整地フロート側からのフロート支点軸の軸芯周りの操作力を直線運動に変化してから直線方向の相対摺動で吸収する場合に比較して、整地フロート側からの突き上げ力や押し下げ力の吸収を迅速に行うことができるので、植付深さ調節レバーや整地フロートなどの変形又は破損をより効果的に防止できるようになる。
【0019】ちなみに、植付深さ調節レバーを操作する場合には、弾性体に設定以上の操作力が作用しないことから、植付深さ調節レバーの操作による植え付け深さ調節は的確に行えるようになる。
【0020】〔効果〕従って、構成の複雑化や製造コストの高騰を効果的に抑制しながらも、整地フロート側から設定以上の突き上げ力や押し下げ力が加わることに起因した植付深さ調節機構における植付深さ調節レバーや整地フロートなどの変形又は破損を効果的に防止できるようになった。
【0021】〔構成〕本発明のうちの請求項4記載の発明では、上記請求項1〜3のいずれか一つに記載の発明において、前記苗植付装置を左苗植付部と右苗植付部とに2分割可能に構成し、それら左右の苗植付部を縦軸芯周りに揺動操作可能に構成して、前記苗植付装置を、前記左右の苗植付部を植え付け可能な前向き姿勢で連結する作業姿勢と、前記左右の苗植付部に分割してそれらを機体横外方への張り出し量が減少する横向き姿勢に変更する格納姿勢とに姿勢切り換え可能に構成し、横軸芯周りの回動で各整地フロートの植付機構に対する高さ位置を変更するフロート支点軸に、前記苗植付装置の格納姿勢への姿勢切り換えに伴って、前記フロート支点軸の前記左苗植付部に属する左支点軸部と前記右苗植付部に属する右支点軸部との2分割を許容し、かつ、前記苗植付装置の作業姿勢への姿勢切り換えに伴って、前記左右の支点軸部を前記横軸芯周りに一体回動可能な状態に連結する連結具を設け、前記連結具に、前記苗植付装置の前記作業姿勢への姿勢切り換えに伴って、前記左右の支点軸部の前記横軸芯周りでの位相のズレを吸収する融通部を備えた。
【0022】〔作用〕上記のように苗植付装置を姿勢切り換え可能に構成した場合において、単純に苗植付装置を作業姿勢から格納姿勢に切り換えると、それに伴って左支点軸部と右支点軸部とに分割されるフロート支点軸のうち、植付深さ調節レバーに連係された一方の支点軸部は、植付深さ調節レバーにより設定された高さ位置に維持されるようになり、植付深さ調節レバーに連係されない他方の支点軸部は、その軸芯周りで整地フロートが下降する方向に回動するようになることから、左右の支点軸部の間においてその軸芯周りでの位相のズレが生じるようになる。そのため、苗植付装置を格納姿勢から作業姿勢に切り換える際には、左右の支点軸部の位相のズレを修正する手間が生じるようになっていた。
【0023】その手間を解消するために、近年では、例えば、植付深さ調節レバーに連係されない他方の支点軸部の下降回動を、植え付け深さ調節範囲において整地フロートが植付機構に対して最も離間する最浅位置に位置する状態となる位置で規制するストッパを設けて、苗植付装置を格納姿勢に切り換える前の段階で植付深さ調節レバーを最浅位置に設定するようにすれば、苗植付装置を格納姿勢に切り換えた際に、左右の支点軸部の間で位相のズレが生じることを回避できるようにしたものもあるが、この場合には、苗植付装置を格納姿勢に切り換える前の段階で植付深さ調節レバーを最浅位置に設定する必要があることから、苗植付装置の姿勢切り換え操作の容易化を図る上において改善の余地があった。
【0024】そこで、上記請求項4記載の発明では、左右の支点軸部を連結する連結具に左右の支点軸部の位相のズレを吸収する融通部を備えるようにしているのであり、これによって、苗植付装置の格納姿勢への姿勢切り換えに伴って左右の支点軸部の間で位相のズレが生じても、苗植付装置を格納姿勢から作業姿勢に切り換える際に左右の支点軸部の位相のズレを修正する手間を要することなく、又、左右の支点軸部の間で位相のズレが生じることを回避するために、苗植付装置を格納姿勢に切り換える前の段階で植付深さ調節レバーを最浅位置に設定しておく、といった手間を要することなく、苗植付装置を格納姿勢から作業姿勢に切り換える際には、連結具の融通部の作用で左右の支点軸部の位相を一致させることができるようになる。
【0025】〔効果〕従って、苗植付装置の姿勢切り換え操作の容易化を図れるようになった。
【0026】
【発明の実施の形態】図1には田植機の全体側面が示されており、この田植機は、乗用型の走行機体1の後部に、10条植え用の苗植付装置2を油圧シリンダ3の作動で昇降揺動するリンク機構4を介して走行機体1に対して昇降可能に連結し、かつ、10条施肥用の施肥装置5を搭載することによって構成されている。
【0027】走行機体1は、その前部に搭載されたエンジン6からの動力を、静油圧式無段変速装置7及びギヤ式変速装置8などを介して、4条分の苗を跨ぐように左右方向に所定間隔を隔てて配設された左右の前輪9と後輪10、並びに、左右の後輪10の内側に2条分の苗を跨ぐように並設された左右の補助車輪10Aに走行用動力として伝達するように構成されており、これによって、10条植えに対応する充分な推力が得られるようになっている。
【0028】走行機体1の中央部には、左右の前輪9に連係されたステアリングホイール11、静油圧式無段変速装置7を変速操作する主変速レバー12、ギヤ式変速装置8を変速操作する副変速レバー13、及び、運転座席14などを備えた搭乗運転部15が形成されている。
【0029】リンク機構4は、走行機体1の後部に横軸芯P1周りに上下揺動可能に連結された左右のトップリンク4Aの遊端と、走行機体1の後部に横軸芯P2周りに上下揺動可能に連結された左右のロアーリンク4Bの遊端とを、縦リンク4Cで連結することによって構成されている。縦リンク4Cの下端部は、苗植付装置4から前後向き姿勢で延設されたローリング軸16Aを前後軸芯P3周りに回動自在に支持するように形成されており、これによって、苗植付装置4が走行機体1に対して前後軸芯P3周りにローリング可能となっている(図21参照)。
【0030】図1〜4に示すように、苗植付装置2は、ローリング軸16Aを備えた連結フレーム16、連結フレーム16の左右両端部に縦軸芯P4周りに揺動自在に連結された揺動フレーム17、左右の各揺動フレーム17の遊端に縦軸芯P5周りに揺動自在に連結された角パイプ状の支持フレーム18、左右の各支持フレーム18に装備されたフィードケース19、左右の支持フレーム18に左右方向に一定間隔を隔てる状態で連結された5つの植付伝動ケース20、各植付伝動ケース20の後部左右両側に軸支されたロータリ式の植付機構21、各植付機構21に対して左右方向に一定ストロークで往復移動する苗載台22、及び、各植付機構21による植え付け箇所を前もって整地する4つの整地フロート23、などによって10条の植え付けを行えるように構成されている。
【0031】各植付伝動ケース20の前下部には、それらに渡るように横架された丸パイプ材からなるフロート支点軸24がその軸芯である横軸芯P6周りに回動自在に支持されており、このフロート支点軸24から後方に向けて延設された複数の支持アーム25の延出端に、対応する整地フロート23の後部が横軸芯P7周りに上下揺動自在に連結されている。
【0032】苗載台22を左右方向に往復移動可能に支持するガイドフレーム26には、前後軸芯P8周りに揺動操作可能な植付深さ調節レバー27と、この植付深さ調節レバー27を操作案内するとともに所望の操作位置に係合保持可能なガイド板28とが装備されている。
【0033】植付深さ調節レバー27は、連係ロッド29及び弾性融通機構30を介してフロート支点軸24に連係されており、これによって、植付深さ調節レバー27を前後軸芯P8周りに揺動操作すると、フロート支点軸24をその軸芯P6周りに回動させることができて、各整地フロート23の各植付機構21に対する高さ位置を変更でき、もって、各植付機構21による圃場への苗植え付け深さを一体的に調節できるようになっている。
【0034】つまり、各整地フロート23、フロート支点軸24、複数の支持アーム25、植付深さ調節レバー27、ガイド板28、連係ロッド29、及び弾性融通機構30、によって圃場への苗植え付け深さを調節する植付深さ調節機構Aが構成されており、これによって、圃場の泥土硬さなどを考慮した適切な植え付け深さで苗を圃場に植え付けることができるようになっている。
【0035】図5〜8に示すように、弾性融通機構30は、フロート支点軸24に軸芯P6周りに一体回動するように連結された第1連係部材31と、連係ロッド29が連結されるとともにフロート支点軸24に軸芯P6周りに相対回動可能に遊嵌された第2連係部材32とを、設定以上の操作力で弾性変形する弾性体としての一対のバネ33を介してフロート支点軸24の軸芯P6周りに連動するように連係して構成されたものであり、フロート支点軸24に支持された状態で装備されている。
【0036】この構成から、弾性融通機構30は、植付深さ調節レバー27が所望の操作位置に係合保持された植え付け深さ設定状態において、いずれかの整地フロート23が隆起物に乗り上がることや、誤操作で整地フロート23を接地面よりも大きく下降させる苗植付装置2の下降操作が行われることなどによって、整地フロート23側からの設定以上の突き上げ力が植付深さ調節機構Aに加わった場合、あるいは、苗植付装置2の上昇操作の際に整地フロート23が他物に引っ掛かることなどによって、整地フロート23側からの設定以上の押し下げ力が植付深さ調節機構Aに加わった場合には、一対のバネ33が変形して第2連係部材32に対するフロート支点軸24の相対回動を許容するようになることから、整地フロート23側から設定以上の操作力が加わることに起因した植付深さ調節機構Aにおける植付深さ調節レバー27や連係ロッド29などの変形又は整地フロート23などの破損を防止できるようになっている。
【0037】又、植付深さ調節レバー27を操作する場合には、一対のバネ33に設定以上の操作力が作用しないことから、植付深さ調節レバー27の操作による植え付け深さ調節は的確に行えるようになっている。
【0038】図3、図4及び図9〜16に示すように、左右2つのフィードケース19のうち、右側のフィードケース19には、ギヤ式変速装置8からの作業用動力が伝動軸34や第1クラッチ35などからなる第1伝動系Bを介して伝達され、左側のフィードケース19には、右側のフィードケース19からの分配動力が第2クラッチ36と中継伝動軸37とからなる第2伝動系Cを介して伝達されている。
【0039】5つの植付伝動ケース20のうち、左側2つの植付伝動ケース20は左側の支持フレーム18から後方に向けて延設され、右側の3つの植付伝動ケース20は右側の支持フレーム18から後方に向けて延設されている。
【0040】苗載台22は、4条の苗載置面22aを有するように5つの仕切壁22bによって区画された左苗載部22Aと、6条の苗載置面22aを有するように7つの仕切壁22bによって区画された右苗載部22Bとに2分割可能に構成されている。右苗載部22Bの分割端上部22auである左側の苗載置面22aの上部とそれを挟む仕切壁22bの上部又は上部の一部が、苗載置面22aに沿う姿勢となる苗載置位置と、苗載置面22aに対して直交する姿勢となる退避位置とに、横軸芯P9周りの揺動で位置変更可能に構成されている。
【0041】フロート支点軸24は、左側2つの整地フロート23を支持する左支点軸部24Aと、右側2つの整地フロート23を支持する右支点軸部24Bとに2分割可能に構成されている。
【0042】以上の構成から、苗植付装置2は、4条分の苗の植え付けが可能な左苗植付部2Aと6条分の苗の植え付けが可能な右苗植付部2Bとに2分割可能に構成され、左苗植付部2Aと右苗植付部2Bとに2分割した状態では、右苗載部22Bの分割端上部22auを退避位置に位置変更させることによって、図11及び図14に示すように、左右の苗植付部2A,2Bを、それらの分割端の上部同士を接触させる不都合を招くことなく、前述した左右の各縦軸心P4,P5周りに揺動させることができるようになっており、その結果、左右の苗植付部2A,2Bを植え付け可能な前向き姿勢で連結する作業姿勢と、左右の苗植付部2A,2Bに分割してそれらを機体横外方への張り出し量が減少する横向き姿勢に変更する格納姿勢とに、簡単に姿勢を切り換えることができ、路上走行時やトラックなどによる運搬時には、格納姿勢に切り換えておくことによって他物に接触する虞を軽減できるようになっている。
【0043】図2及び図4〜7に示すように、各整地フロート23のうち、左支点軸部24Aに支持された左側2つの整地フロート23は、その左支点軸部24Aが植付深さ調節レバー27に連係されていることから、苗植付装置2を格納姿勢に切り換えた状態では、植付深さ調節レバー27とガイド板28との係合で予め設定された高さ位置に維持されるようになっている。一方、植付深さ調節レバー27に連係されていない右支点軸部24Bに支持された右側2つの整地フロート23は、図17に示すように、右支点軸部24Bに装着されたストッパ38と右苗植付部2Bに属する植付伝動ケース20との接当で、植え付け深さ調節の最浅状態を現出する最下降位置に維持されるようになっている。
【0044】図4、図5及び図8に示すように、フロート支点軸24には、苗植付装置2の格納姿勢への姿勢切り換えに伴うフロート支点軸24の左支点軸部24Aと右支点軸部24Bとの2分割を許容し、かつ、苗植付装置2の作業姿勢への姿勢切り換えに伴って左右の支点軸部24A,24Bをそれらの軸芯P6周りに一体回動可能な状態に連結する連結具24a,24bが設けられている。左支点軸部24Aに装備される板状の連結具24aには、苗植付装置2の作業姿勢への姿勢切り換えに伴って、左右の支点軸部24A,24Bのそれらの軸芯P6周りでの位相のズレを吸収するように、右支点軸部24Bに装備された棒状の連結具24bを摺接案内する案内部aが融通部として備えられている。
【0045】この構成から、苗植付装置2を格納姿勢から作業姿勢に切り換える際には、従来の姿勢切り換え構造では行う必要のあった、苗植付装置2を作業姿勢から格納姿勢に切り換える前の段階で植付深さ調節レバー27を最浅位置に設定しておく、といった煩わしい作業を行わなくても、融通部aの作用で左右の支点軸部24A,24Bの位相を一致させることができるようになっている。
【0046】図3及び図4に示すように、4つの整地フロート23のうち、苗植付装置2の左右中央側に配設された2つの整地フロート23には、3条分の整地を行うように幅広の略Π字形状に形成された第1整地フロート23Aが採用され、苗植付装置2の左右両端側に配設された2つの整地フロート23には、2条分の整地を行うようにT字形状に形成された第2整地フロート23Bが採用されている。
【0047】これによって、4条分の苗を跨ぐ位置に配設された左右の前輪9と後輪10の車輪跡、並びに、2条分の苗を跨ぐ位置に配設された補助車輪10Aの車輪跡を整地することができるので、それらの車輪9,10,10Aによって形成される車輪跡に起因した苗倒れの発生や植え付け姿勢の乱れを効果的に防止できるようになっている。
【0048】又、3条整地用の第1整地フロート23Aよりも泥押しの少ない2条整地用の第2整地フロート23Bを苗植付装置2の左右両端側に配設したことによって、苗植付装置2の左右両端側に3条整地用の第1整地フロート23Aを配設する場合に比較して、左右両端側の整地フロート23により機体横外方に押し出された泥が既植苗に与える影響を小さくすることができるので、整地フロート23の泥押しに起因した既植苗の倒伏や植え付け姿勢の乱れをも効果的に防止できるようになっている。
【0049】図18に示すように、左右の各第2整地フロート23Bには、植え付け作業走行時の走行に伴って変動する第2整地フロート23Bの横軸芯P7周りの上下揺動角を接地圧として検出する回転式のポテンショメータなどからなるフロートセンサ39が連係されており、第2整地フロート23Bとそれに連係されるフロートセンサ39によって接地圧の変動を検出するセンサフロートSが構成されている。各センサフロートSは、その検出値を走行機体1に搭載されたマイクロプロセッサーなどからなる制御装置40に出力するようになっている。
【0050】制御装置40には、左右のセンサフロートSからの接地圧の平均値に基づいて油圧シリンダ3に対する作動油の流動状態を切り換える電磁制御弁41を作動させることで、その平均値が予め設定された目標値の不感帯幅内に収まるように苗植付装置2の昇降を制御する自動昇降制御手段40Aと、左右のセンサフロートSからの接地圧の差に基づいてリンク機構4の縦リンク4Cに装備されたローリングモータ42を作動させることで、その接地圧の差が所定範囲内に収まるように苗植付装置2のローリングを制御するローリング制御手段40Bとが制御プログラムとして備えられており、これらの制御作動によって、圃場泥面の起伏の変化にかかわらず苗を所望の植え付け深さに安定して植え付けられるようになっている。
【0051】又、車輪跡の影響を受けない第2整地フロート23BをセンサフロートSに構成していることから、それらの接地圧に基づく苗植付装置2の昇降制御やローリング制御を精度良く行えるようになっており、もって、所望の植え付け深さでの苗の植え付けをより精度良く行えるようになっている。
【0052】図1及び図18に示すように、自動昇降制御手段40Aによる苗植付装置2の昇降制御、及び、ローリング制御手段40Bによる苗植付装置2のローリング制御は、運転座席14の右側方に配設された植付クラッチレバー43を「自動」位置に設定した場合において実行可能となっている。又、自動昇降制御手段40Aによる苗植付装置2の昇降制御を実行する際の目標値の設定は、走行機体1に装備された回転式のポテンショメータからなる設定器44の手動操作で行えるようになっている。
【0053】植付クラッチレバー43には、その操作位置を検出してその検出値を制御装置40に出力する回転式のポテンショメータからなるレバーセンサ43Aが装備され、制御装置40には、その検出値に基づいて苗植付装置2の昇降、並びに、ギヤ式変速装置8に内装された植付クラッチ45の作動を制御する手動制御手段40Cが制御プログラムとして備えられている。
【0054】手動制御手段40Cは、植付クラッチレバー43が「上昇」位置に操作されると苗植付装置2が上昇し、「下降」位置に操作されると苗植付装置2が下降し、「中立」位置に操作されると苗植付装置2の昇降が停止されるように電磁制御弁41の作動状態を切り換え、又、植付クラッチレバー43が植え付け「入」位置に操作されると苗植付装置2が植え付け作動を行い、植え付け「切」位置に操作されると苗植付装置2が植え付け作動を停止するように植付クラッチ45を断続操作するクラッチモータ46の作動状態を切り換えるように構成されている。
【0055】又、手動制御手段40Cは、植付クラッチレバー43が「自動」位置に設定されている場合には、ステアリングホイール11の右下方に配備された中立復帰型の操作レバー47の操作を検出する第1スイッチ48及び第2スイッチ49からの検出信号に基づいて、電磁制御弁41及びクラッチモータ46の作動状態を切り換えるように構成されており、設定器44により設定された目標値の不感帯幅内に左右のセンサフロートSからの接地圧の平均値が収まるようになる植え付け高さ位置から外れた上昇位置に苗植付装置2が位置する状態での操作レバー47の下方への揺動操作によって第1スイッチ48からオン信号が出力されると、苗植付装置2が植え付け高さ位置まで下降するように電磁制御弁41の作動状態を切り換え、苗植付装置2が植え付け高さ位置に位置する状態での操作レバー47の上方への揺動操作によって第2スイッチ49からオン信号が出力されると、苗植付装置2が予め設定された上限位置まで上昇するように電磁制御弁41の作動状態を切り換え、苗植付装置2が植え付け高さ位置に位置する状態での操作レバー47の下方への揺動操作によって第1スイッチ48からオン信号が出力されると、苗植付装置2が植え付け作動を行うようにクラッチモータ46の作動状態を切り換え、苗植付装置2が植え付け作動を行っている状態での操作レバー47の上方への揺動操作によって第2スイッチ49からオン信号が出力されると、苗植付装置2が植え付け作動を停止して上限位置まで上昇するようにクラッチモータ46と電磁制御弁41の作動状態を切り換えるようになっている。
【0056】そして、第1スイッチ48からのオン信号に基づく手動制御手段40Cの制御作動で苗植付装置2が植え付け高さ位置に到達するのに伴って、自動昇降制御手段40Aによる苗植付装置2の昇降制御とローリング制御手段40Bによる苗植付装置2のローリング制御とが実行され、第2スイッチ49からのオン信号に基づいて、自動昇降制御手段40Aによる苗植付装置2の昇降制御とローリング制御手段40Bによる苗植付装置2のローリング制御とが実行停止されるようになっている。
【0057】図2、図9、及び図18〜20に示すように、苗載台22の上面を10条の苗載置面22aに区画する仕切壁22bのうち、隔条箇所の各仕切壁22bには、苗載置面22aに載置された苗の所定量からの減少を検出する苗残量センサ50が装備されている。各苗残量センサ50は、仕切壁22bに隣接する苗載置面22a上に位置する突出姿勢と仕切壁22b内に位置する退避姿勢とに縦軸芯P10周りに姿勢変更可能な状態で仕切壁22bの下部に支持された左右一対の揺動アーム50A、左右の揺動アーム50Aを突出姿勢に揺動付勢するバネ50B、左右の揺動アーム50Aの操作片50aに渡るように配設された受動板50C、及び、揺動アーム50Aが突出姿勢に切り換わる際に操作片50aで受動板50Cが押圧操作されることでオン操作されるリミットスイッチ50D、などによって、その仕切壁22bを挟んで隣接する2条の苗載置面22aに載置された苗のいずれか一方の所定量からの減少を検出して制御装置40に出力するように構成されている。
【0058】つまり、苗載置面22aの数量と同数の苗残量センサ50を装備しなくても、苗載置面22aの数量の半数の苗残量センサ50を装備するだけで、又、それら半数の苗残量センサ50に対するワイヤーハーネス51の引き回しを行うだけで、各苗載置面22aに載置された苗の所定量からの減少を検出できることから、製造コストの削減や製造の容易化を図れるようになっている。しかも、左右の各苗植付部2A,2Bの分割端に苗残量センサ50を装備する必要がないことから分割端部での構成の簡素化を図れるようになり、もって、左右の各苗植付部2A,2Bの分割端同士の連結あるいは連結解除を行い易くすることができるようになっている。
【0059】尚、図18に示すように、制御装置40は、各苗残量センサ50からのオン信号に基づいて、搭乗運転部15に装備されたブザーやランプあるいは液晶パネルや発声器からなる警報装置52を作動させることで、いずれかの苗載置面22aに載置された苗が所定量から減少したことを運転者に認識させるように構成されている。
【0060】図3及び図10に示すように、苗植付装置2を作業姿勢に切り換えた状態では、左側のフィードケース19が左苗植付部2Aの内端部つまり苗植付装置2の左右中央から外れた位置に位置するのに対し、右側のフィードケース19は苗植付装置2の略左右中央に位置するように配設されている。
【0061】つまり、苗植付装置2を作業姿勢に切り換えた状態では、重量の重い側となる右苗植付部2Bのフィードケース19が、重量の軽い側となる左苗植付部2Aのフィードケース19よりも苗植付装置2の左右中心側に位置するように配置設定することで、右苗植付部2Bの重量が左苗植付部2Aに掛かり易くなるようにしているのであり、その結果、苗植付装置2を、4条分の苗の植え付けが可能な左苗植付部2Aと6条分の苗の植え付けが可能な右苗植付部2Bとに不均等に2分割可能に構成したことによって、苗植付装置2を左右均等に2分割可能に構成する場合のように単に左右のフィードケース19を機体中心から左右に均等配置するだけでは釣り合いが取れなくなっていた作業姿勢での苗植付装置2の左右バランスを効果的に改善できるようになっている。
【0062】図3、図10〜12及び図21〜23に示すように、右側のフィードケース19には、その第1軸19Aに伝達されたギヤ式変速装置8からの作業用動力を右側の植え付け用の駆動軸53に伝達する第1チェーン式伝動機構54と、右側の縦送り駆動機構55に伝達する第2チェーン式伝動機構56とが内装されている。左側のフィードケース19には、その第1軸19Aに伝達された右側のフィードケース19からの作業用動力を左側の植え付け用の駆動軸53に伝達する第1チェーン式伝動機構54と、左側の縦送り駆動機構55に伝達する第2チェーン式伝動機構56とに加えて、右側のフィードケース19からの作業用動力を横送り駆動機構57に変速切り換え可能に伝達する横送り変速装置58が内装されている。左右の各植え付け用の駆動軸53に伝達された作業用動力は、各植付伝動ケース20に内装されたチェーン式伝動機構59や植え付け用の各条クラッチ60などを介して各植付機構21に伝達されるようになっている。
【0063】図2、図10及び図23に示すように、横送り駆動機構57は、横送り変速装置58を介して伝達された動力で横軸芯P11周りに回転する横送り軸61の延出部に苗載台22の移動ストローク長に亘って形成された無端螺旋溝61aが、左苗載部22Aに連結された移動体62を係合案内することで、苗載台22を左右方向に一定ストロークで横送り往復駆動させるように構成されている。
【0064】図2、図10、図21、図23及び図24に示すように、左右の各縦送り駆動機構55は、各フィードケース19からの動力で横軸芯P12周りに回転する苗縦送り用の駆動軸63の延出部に苗載台22の移動ストローク分の間隔を隔てて装備された一対の操作アーム64が、左右の各苗載部22A,22Bに配設された横向きの縦送り軸65に装備されたワンウェイクラッチ66の被操作アーム66aを、苗載台22が移動ストローク端に到達するごとに蹴り上げ操作し、それによって得られた間欠駆動力を、左右の縦送り軸65に遊嵌された合計5本の各筒軸67に苗縦送り用の各条クラッチ68を介して伝動することで、各苗載置面22aの下部に装備された状態で各筒軸67に4本ずつ連動連結された各縦送りベルト69を所定ピッチで間欠駆動させるように構成されている。
【0065】以上、要するに、苗植付装置2を、4条分の苗の植え付けが可能な左苗植付部2Aと6条分の苗の植え付けが可能な右苗植付部2Bとに2分割可能に構成したことによって、5条ずつに2分割可能に構成した場合には6つずつ装備する必要が生じていた、植付伝動ケース20、それに内装されるチェーン式伝動機構59や植え付け用の各条クラッチ60、及び、苗縦送り用の各条クラッチ68などのそれぞれを5つずつに削減することができるので、構成の簡素化や製造コストの削減を図れるようになっている。
【0066】又、左右の各苗植付部2A,2Bに縦送り駆動機構55を装備したことで、左右いずれか一方の苗植付部2A,2Bにのみ縦送り駆動機構55を装備する場合のように、苗植付装置2の姿勢を切り換える際に、左右の各苗植付部2A,2Bに装備される縦送り軸65を断続させる必要がないので、その分、苗植付装置2の姿勢切り換え操作の簡便化を図れるとともに、その姿勢切り換え操作の自動化を図る上でも有利にすることができるようになっている。
【0067】しかも、図示しない従来の苗植付装置2の姿勢切り換え構造では、走行機体1からの動力を左右の各苗植付部2A,2Bに分配する動力分配装置を苗植付装置2の連結フレーム16に装備し、その動力分配装置と左右の各苗植付部2A,2Bのフィードケース19との間にそれぞれクラッチを装備することで、苗植付装置2の姿勢切り換え操作時における走行機体1から左右の苗植付部2A,2Bに亘る伝動系を断続させるようにしていることによって、苗植付装置2を格納姿勢から作業姿勢に切り換える際には、左右の各苗植付部2A,2Bに装備された植付機構21を同期させるために、左右のクラッチのそれぞれを回転位相を合わせた状態で接続する必要が生じていることから、苗植付装置2の作業姿勢への姿勢切り換え操作が煩わしいものになっているのであるが、本実施形態では、前述したように、走行機体1側のギヤ式変速装置8と右苗植付部2B側のフィードケース19とに亘る第1伝動系Bに第1クラッチ35を装備し、かつ、左右の各苗植付部2A,2Bのフィードケース19に亘る第2伝動系Cに第2クラッチ36を装備することで、苗植付装置2の姿勢切り換え時における走行機体1から左右の苗植付部2A,2Bに亘る各伝動系B,Cを断続させるようにしていることから、苗植付装置2を格納姿勢から作業姿勢に切り換える際には、左右の各苗植付部2A,2Bに装備された植付機構21を同期させる上で、第2クラッチ36のみを回転位相を合わせた状態で接続するようにすればよく、第1クラッチ35は回転位相に関係なく接続することができるので、その分、苗植付装置2を作業姿勢に切り換える際の操作の簡便化を図れるとともに、苗植付装置2の姿勢切り換え操作の自動化を図る上でも有利にすることができるようになっている。
【0068】ちなみに、植え付け用の各条クラッチ60と苗縦送り用の各条クラッチ68は、それぞれに対応して連係された図外の5本の操作レバーによって入り状態から切り状態に切り換えられることで、各植付機構21及び縦送りベルト69への伝動を2条単位で停止させるものであり、これによって、10条未満の端数条の植え付けを行えるようになっている。
【0069】図9及び図24に示すように、左右の苗植付部2A,2Bに装備される合計2つのワンウェイクラッチ66と5つの苗縦送り用の各条クラッチ68は、苗載台22の左右両端から3つ目の仕切壁22bの下方にワンウェイクラッチ66が位置し、苗載台22における左右両端の仕切壁22bと左右両端から5つ目の仕切壁22bの各下方に各条クラッチ68が位置するように配設されている。尚、苗載台22の左端から5つ目の仕切壁22bの下方つまり苗載台22の分割端には、左苗植付部2Aに属する各条クラッチ68と右苗植付部2Bに属する各条クラッチ68の2つが配設されている。
【0070】これによって、苗植付装置2を作業姿勢に切り換えた状態では、苗縦送り用のワンウェイクラッチ66と苗縦送り用の各条クラッチ68とが苗植付装置2の左右中心から左右に略均等に位置する状態にできることから、作業姿勢に切り換えた状態での苗植付装置2の左右バランスを良好にすることができるようになっている。
【0071】又、前述したように、苗縦送り用のワンウェイクラッチ66は、その被操作アーム66aが、苗載台22が移動ストローク端に到達した際に、苗縦送り用の駆動軸63に装備された一対の操作アーム64のうちの一方によって蹴り上げ操作されるものであり、そのため、ワンウェイクラッチ66を苗載台22の左右両端に配設した場合には、苗載台22が左右一方の移動ストローク端に到達した際に、他方の苗縦送り用の駆動軸63と外方側の操作アーム64とが大きく露出するようになって、それらの他物との接触に起因した破損を招く虞がある。
【0072】そこで、本実施形態では、苗載台22の左右両端から3つ目の仕切壁22bの下方に苗縦送り用のワンウェイクラッチ66を配設するようにしているのであり、これによって、苗載台22が左右一方の移動ストローク端に到達した際においても、他方の苗縦送り用の駆動軸63と外方側の操作アーム64とが露出するようになることを回避できるので、それらの他物との接触に起因した破損を未然に回避することができるようになっている。
【0073】〔別実施形態〕以下、本発明の別実施形態を列記する。
■ 上記実施形態では、本発明に係わる田植機として姿勢切り換え可能に構成された苗植付装置2を装備したものを例示したが、請求項1〜3に記載の発明に係わる田植機としては、姿勢切り換え不能に構成された苗植付装置2を装備するものであってもよい。
■ 弾性融通機構Aを、整地フロート23側からの設定以上の突き上げ力が植付深さ調節機構Aに加わった場合にのみ、一対のバネ33が変形して第2連係部材32に対するフロート支点軸24の相対回動を許容するように構成して、整地フロート23側から設定以上の突き上げ操作力が加わることに起因した植付深さ調節機構Aにおける植付深さ調節レバー27や連係ロッド29などの変形又は整地フロート23などの破損を防止するようにしてもよい。
■ 苗植付装置2を、6条分の苗の植え付けが可能な左苗植付部2Aと4条分の苗の植え付けが可能な右苗植付部2Bとに2分割可能に構成してもよく、又、5条分の苗の植え付けが可能な左右の苗植付部2A,2Bに左右均等に2分割可能に構成してもよい。尚、5条ずつの苗植付部2A,2Bに左右均等に2分割可能に構成された苗植付装置2に本発明を適用する場合には、センターフロートを有するように整地フロート23を配設する場合に比較して、苗植付装置2を格納姿勢に切り換えた状態での機体の全長を、センターフロートが後方に張り出さない分だけ短くすることができるようになる。
【出願人】 【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
【出願日】 平成12年3月30日(2000.3.30)
【代理人】 【識別番号】100107308
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 修一郎
【公開番号】 特開2001−275419(P2001−275419A)
【公開日】 平成13年10月9日(2001.10.9)
【出願番号】 特願2000−93318(P2000−93318)