| 【発明の名称】 |
田植機 |
| 【発明者】 |
【氏名】蔵野 淳次
【氏名】岸岡 雄介
【氏名】藤井 健二
|
| 【要約】 |
【課題】構成の簡素化や製造コストの削減を図りながら、10条植え用の苗植付装置を作業姿勢と格納姿勢とに姿勢切り換え可能に構成する。
【解決手段】10条植え用の苗植付装置2を、4条分の苗の植え付けが可能な第1苗植付部2Aと6条分の苗の植え付けが可能な第2苗植付部2Bとに2分割可能に構成し、それらの各苗植付部2A,2Bを縦軸芯P4,P5周りに揺動操作可能に構成して、苗植付装置2を、各苗植付部2A,2Bを植え付け可能な前向き姿勢で連結する作業姿勢と、各苗植付部2A,2Bに分割してそれらを機体横外方への張り出し量が減少する横向き姿勢に変更する格納姿勢とに姿勢切り換え可能に構成し、かつ、各苗植付部2A,2Bに、3条分の整地を行うように幅広の略Π字形状に形成された第1整地フロート23Aと2条分の整地を行うようにT字形状に形成された第2整地フロート23Bとを装備した。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 10条植え用の苗植付装置を、4条分の苗の植え付けが可能な第1苗植付部と6条分の苗の植え付けが可能な第2苗植付部とに2分割可能に構成し、それらの各苗植付部を縦軸芯周りに揺動操作可能に構成して、前記苗植付装置を、各苗植付部を植え付け可能な前向き姿勢で連結する作業姿勢と、各苗植付部に分割してそれらを機体横外方への張り出し量が減少する横向き姿勢に変更する格納姿勢とに姿勢切り換え可能に構成し、かつ、各苗植付部に、3条分の整地を行うように幅広の略Π字形状に形成された第1整地フロートと2条分の整地を行うようにT字形状に形成された第2整地フロートとを装備してある田植機。 【請求項2】 前記苗植付装置を作業姿勢に切り換えた状態では、前記第2苗植付部に装備される動力分配用のフィードケースが、前記第1苗植付部に装備される動力分配用のフィードケースよりも前記苗植付装置の左右中央寄りに位置するように構成してある請求項1記載の田植機。 【請求項3】 走行機体側からの動力を、各苗植付部に装備される動力分配用のフィードケースのうちの一方に伝達し、該フィードケースからの分配動力を他方のフィードケースに伝達し、前記走行機体から一方のフィードケースに亘る第1伝動系に該第1伝動系を断続する第1クラッチを装備し、両フィードケースに亘る第2伝動系に該第2伝動系を断続する第2クラッチを装備してある請求項1又は2記載の田植機。 【請求項4】 各苗植付部に装備される動力分配用のフィードケースに、その第1軸から植え付け用の駆動軸に亘る専用の第1伝動機構と、前記第1軸から苗縦送り用の駆動軸に亘る専用の第2伝動機構とを設けてある請求項1〜3のいずれか一つに記載の田植機。 【請求項5】 前記苗植付装置の前記格納姿勢への姿勢切り換えに伴って前記第1苗植付部に属する4条用の第1苗載部と前記第2苗植付部に属する6条用の第2苗載部とに2分割される苗載台における両端から2条目の苗載置面と3条目の苗載置面との間に苗縦送り用のワンウェイクラッチを配設し、該ワンウェイクラッチから2条分の苗載置面を隔てた箇所に苗縦送り用の各条クラッチを配備してある請求項1〜4のいずれか一つに記載の田植機。
|
【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、10条植え用の苗植付装置を作業姿勢と格納姿勢とに姿勢切り換え可能に構成してある田植機に関する。 【0002】 【従来の技術】従来、上記のような田植機としては、例えば特開平11−56042号公報で開示されているように、苗植付装置を、左右均等に5条分の植え付けが可能な第1苗植付部と第2苗植付部とに2分割可能に構成するとともに、苗植付装置に、2条分の整地を行うようにT字形状に形成された5つの整地フロートを左右方向に並設することで10条分の整地を行うようにしていた。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、単純に10条植え用の苗植付装置を姿勢切り換え不能に構成する場合には、左右に植付機構が連結される植付伝動ケースと、2条分ずつの伝動状態を切り換えることで端数条植えを可能にする苗縦送り用と植え付け用の両各条クラッチとをそれぞれ5つずつ用意すればよいのに対し、上記の従来技術では、10条植え用の苗植付装置を5条分の植え付けが可能な第1苗植付部と第2苗植付部とに奇数条単位で2分割可能に構成するために、左右に植付機構が連結される植付伝動ケースと、2条分の伝動状態を切り換える苗縦送り用と植え付け用の両各条クラッチとをそれぞれ4つずつ用意し、更に、左右一方に植付機構が連結される植付伝動ケースと、1条分の伝動状態を切り換える苗縦送り用と植え付け用の両各条クラッチとをそれぞれ2つずつ用意する、というように、植付伝動ケース及び苗縦送り用と植え付け用の両各条クラッチの数量としては、12条植え用の苗植付装置を構成するのに相当する数量を必要とすることから、構成の簡素化や製造コストの削減を図る上において改善の余地があった。 【0004】又、単純に、2条分の整地を行うようにT字形状に形成された5つの整地フロートを苗植付装置に並設することから部品点数の増加を招くようになっており、この点からも、構成の簡素化や製造コストの削減を図る上において改善の余地があった。 【0005】本発明の目的は、構成の簡素化や製造コストの削減を図りながら、10条植え用の苗植付装置を作業姿勢と格納姿勢とに姿勢切り換え可能に構成することにある。 【0006】 【課題を解決するための手段】〔構成〕上記目的を達成するため、本発明のうちの請求項1記載の発明では、10条植え用の苗植付装置を、4条分の苗の植え付けが可能な第1苗植付部と6条分の苗の植え付けが可能な第2苗植付部とに2分割可能に構成し、それらの各苗植付部を縦軸芯周りに揺動操作可能に構成して、前記苗植付装置を、各苗植付部を植え付け可能な前向き姿勢で連結する作業姿勢と、各苗植付部に分割してそれらを機体横外方への張り出し量が減少する横向き姿勢に変更する格納姿勢とに姿勢切り換え可能に構成し、かつ、各苗植付部に、3条分の整地を行うように幅広の略Π字形状に形成された第1整地フロートと2条分の整地を行うようにT字形状に形成された第2整地フロートとを装備した。 【0007】〔作用〕上記請求項1記載の発明によると、10条植え用の苗植付装置を作業姿勢と格納姿勢とに姿勢切り換え可能に構成する上で、4条分の苗の植え付けが可能な第1苗植付部と6条分の苗の植え付けが可能な第2苗植付部とに偶数条単位で2分割可能に構成していることから、単純に10条植え用の苗植付装置を姿勢切り換え不能に構成する場合と同様に、左右に植付機構が連結される植付伝動ケースと、2条分の伝動状態を切り換える苗縦送り用と植え付け用の両各条クラッチとをそれぞれ5つずつ用意すればよく、結果、苗植付装置を5条ずつに2分割可能に構成する場合に比較して、植付伝動ケース並びに苗縦送り用と植え付け用の両各条クラッチの数量を削減できることから、その分、構成の簡素化や製造コストの削減を図れるようになる。 【0008】更に、各苗植付部に1つずつ装備した3条整地用の第1整地フロートと2条整地用の第2整地フロートとの合計4つの整地フロートで10条分の整地を行うことから、単純に2条整地用の5つの整地フロートを左右に並設して10条分の整地を行う場合に比較して、整地フロートやその支持部材などの部品点数を少なくすることができるので、この点からも、構成の簡素化や製造コストの削減を図れるようになる。 【0009】又、各苗植付部において、それらの分割端側に3条整地用の第1整地フロートを配設するようにすれば、10条植えに対応する充分な推力を得るために、通常、4条分の苗を跨ぐ位置に配設されている左右の後輪の内側に2条分の苗を跨ぐ状態で補助車輪を並設するようにしても、左右の後輪の車輪跡とともに左右の補助車輪の車輪跡をも整地することができるので、左右の後輪や補助車輪によって形成される車輪跡に起因した苗倒れの発生や植え付け姿勢の乱れを防止できるようになり、又、3条整地用の第1整地フロートよりも泥押しの少ない2条整地用の第2整地フロートが各苗植付部の非分割端、つまり苗植付装置の左右両端側に位置するようになることから、構成の簡素化や製造コストの削減を図りながらも、整地フロートの泥押しに起因した既植苗の倒伏や植え付け姿勢の乱れを防止できるようになる。 【0010】〔効果〕従って、構成の簡素化や製造コストの削減を大幅に図りながらも、10条植え用の苗植付装置を作業姿勢と格納姿勢とに姿勢切り換え可能に構成できる上に、車輪跡や整地フロートの泥押しに起因した苗倒れの発生や植え付け姿勢の乱れを防止することも可能になった。 【0011】〔構成〕本発明のうちの請求項2記載の発明では、上記請求項1記載の発明において、前記苗植付装置を作業姿勢に切り換えた状態では、前記第2苗植付部に装備される動力分配用のフィードケースが、前記第1苗植付部に装備される動力分配用のフィードケースよりも前記苗植付装置の左右中央寄りに位置するように構成した。 【0012】〔作用〕例えば、10条植え用の苗植付装置を、5条分の植え付けが可能な第1苗植付部と第2苗植付部とに2分割可能に構成する場合には、単に各苗植付部のフィードケースを苗植付装置の左右中心から左右に均等配置することで、作業姿勢での苗植付装置の左右バランスを釣り合いの取れた良好な状態にすることができるのであるが、本発明のように、苗植付装置を、4条分の苗の植え付けが可能な第1苗植付部と6条分の苗の植え付けが可能な第2苗植付部とに不均等に2分割可能に構成すると、単に各苗植付部のフィードケースを苗植付装置の左右中心から左右に均等配置しただけでは、作業姿勢での苗植付装置の左右バランスが重量の重い第2苗植付部側に片寄った不安定な状態となる。 【0013】そこで、上記請求項2記載の発明では、苗植付装置を作業姿勢に切り換えた状態では、重量の重い側となる第2苗植付部のフィードケースが、重量の軽い側となる第1苗植付部のフィードケースよりも苗植付装置の左右中央寄りに位置するように構成することで、第2苗植付部の第1苗植付部への寄り掛かりを大きくして第2苗植付部の重量を第1苗植付部に受け持たせ易くしているのであり、これによって、苗植付装置を、4条分の苗の植え付けが可能な第1苗植付部と6条分の苗の植え付けが可能な第2苗植付部とに不均等に2分割可能に構成したことによって、苗植付装置を5条ずつに均等に2分割可能に構成する場合のように単に各苗植付部のフィードケースを苗植付装置の左右中心から左右に均等配置するだけでは釣り合いが取れなくなっていた作業姿勢での苗植付装置の左右バランスを効果的に改善することができるようになる。 【0014】〔効果〕従って、10条植え用の苗植付装置を、構成の簡素化や製造コストの削減を図りながら作業姿勢と格納姿勢とに姿勢切り換え可能に構成するために、4条分の苗の植え付けが可能な第1苗植付部と6条分の苗の植え付けが可能な第2苗植付部との不均等な2分割を可能にする構成を採用しながらも、作業姿勢での苗植付装置の左右バランスの向上を効果的に図れるようになった。 【0015】〔構成〕本発明のうちの請求項3記載の発明では、上記請求項1又は2記載の発明において、走行機体側からの動力を、各苗植付部に装備される動力分配用のフィードケースのうちの一方に伝達し、該フィードケースからの分配動力を他方のフィードケースに伝達し、前記走行機体から一方のフィードケースに亘る第1伝動系に該第1伝動系を断続する第1クラッチを装備し、両フィードケースに亘る第2伝動系に該第2伝動系を断続する第2クラッチを装備した。 【0016】〔作用〕上記請求項3記載の発明によると、走行機体側からの動力を一方の苗植付部のフィードケースに伝達し、そのフィードケースから他方の苗植付部のフィードケースに分配するようにしていることから、例えば、走行機体側からの動力を専用の動力分配装置に伝達し、その動力分配装置から各苗植付部のフィードケースに分配するように構成した場合に比較して、専用の動力分配装置を設ける必要がないことから、その分、構成の簡素化や製造コストの削減を図れるようになる。 【0017】又、専用の動力分配装置を設ける場合には、その動力分配装置から各苗植付部に亘る各伝動系に、その伝動系を断続するクラッチを装備することで、苗植付装置の姿勢切り換え操作時における走行機体から各苗植付部に亘る伝動系の断続を行うようにしているのであるが、この場合には、苗植付装置を格納姿勢から作業姿勢に切り換える際に、各苗植付部に装備された植付機構を同期させるために、各クラッチの回転位相を合わせた状態で接続する必要が生じることから、苗植付装置の作業姿勢への姿勢切り換え操作が煩わしいものになっている。 【0018】そこで、上記請求項3記載の発明では、走行機体から一方のフィードケースに亘る第1伝動系に第1クラッチを装備し、両フィードケースに亘る第2伝動系に第2クラッチを装備することで、苗植付装置の姿勢切り換え時における走行機体から各苗植付部に亘る伝動系の断続を行うようにしているのであり、これによって、苗植付装置を格納姿勢から作業姿勢に切り換える際には、各苗植付部に装備された植付機構を同期させる上で、第2クラッチのみを回転位相を合わせた状態で接続するようにすればよく、第1クラッチは回転位相に関係なく接続することができるので、その分、苗植付装置を作業姿勢に切り換える際の操作の簡便化を図れるとともに、苗植付装置の姿勢切り換え操作の自動化を図る上においても有利にすることができるようになる。 【0019】〔効果〕従って、構成の簡素化や製造コストの削減を更に図ることができる上に、苗植付装置を作業姿勢に切り換える際の操作の簡便化を図れるようになり、更に、苗植付装置の姿勢切り換え操作の自動化を図る上においても有利にすることができるようになった。 【0020】〔構成〕本発明のうちの請求項4記載の発明では、上記請求項1〜3のいずれか一つに記載の発明において、各苗植付部に装備される動力分配用のフィードケースに、その第1軸から植え付け用の駆動軸に亘る専用の第1伝動機構と、前記第1軸から苗縦送り用の駆動軸に亘る専用の第2伝動機構とを設けた。 【0021】〔作用〕単純に苗植付装置を姿勢切り換え不能に構成する場合には、走行機体側からの動力が伝達されるフィードケースの第1軸を苗縦送り用の駆動軸に兼用し、その第1軸と植え付け用の駆動軸とを伝動機構で連動連結することが一般的に行われているが、苗植付装置を姿勢切り換え可能に構成する場合には、各苗植付部に装備されるフィードケースの第1軸が姿勢切り換え操作の際に分割される分割軸に兼用されることから、フィードケースに苗縦送り専用の駆動軸を新たに設けるとともに、その駆動軸を中継軸に兼用させた状態で第1軸と植え付け用の駆動軸とを伝動機構で連動連結するようにしている。 【0022】又、苗の縦送りは苗載台が左右方向での移動ストローク端に到達した際に行われる間欠的なものであることから、苗縦送り用の駆動軸の回転運動を間欠運動に変換する必要があり、そこで、その回転運動を間欠運動に変換する蹴り上げ式に構成された縦送り駆動機構が装備されているのであるが、この縦送り駆動機構における蹴り上げ変換操作をより確実に行わせるためには苗縦送り用の駆動軸を低速回転させることが望ましく、そのため、第1軸と苗縦送り用の駆動軸とは減速用の伝動機構で連動連結されている。これに対し、植え付け用の駆動軸は走行速度との関係から高速回転させる必要があることから、苗縦送り用の駆動軸と植え付け用の駆動軸とは増速用の伝動機構で連動連結されている。 【0023】そのため、植え付け作動時に苗縦送り用の駆動軸に掛かる負荷が大きくなることから、苗縦送り用の駆動軸を、その負荷に耐え得るだけの本来の駆動軸としては不必要な強度の高いものに構成する必要があることから、製造コストの削減を図る上において改善の余地がある。又、植え付け作動の安定化を図るためにバックラッシを極力抑えることが考えられている植え付け伝動系に対して、苗縦送り用の駆動軸を中継軸として介在させていることから、植え付け作動の安定化を図る上においても改善の余地がある。 【0024】そこで、上記請求項4記載の発明では、各苗植付部のフィードケースに、その第1軸から植え付け用の駆動軸に亘る専用の第1伝動機構と、その第1軸から苗縦送り用の駆動軸に亘る専用の第2伝動機構とを設けるようにしているのであり、これによって、苗縦送り用の駆動軸を、本来の駆動軸としては不必要な高い強度を有するものに構成する必要がなくなることから、その分、製造コストの削減を図れるようになり、又、第1軸と植え付け用の駆動軸との間に苗縦送り用の駆動軸を中継軸として介在させる必要がないことから、その分、植え付け作動の安定化をも図れるようになる。 【0025】〔効果〕従って、製造コストの削減を更に図ることができる上に、植え付け作動の安定化をも図れるようになった。 【0026】〔構成〕本発明のうちの請求項5記載の発明では、上記請求項1〜4のいずれか一つに記載の発明において、前記苗植付装置の前記格納姿勢への姿勢切り換えに伴って前記第1苗植付部に属する4条用の第1苗載部と前記第2苗植付部に属する6条用の第2苗載部とに2分割される苗載台における両端から2条目の苗載置面と3条目の苗載置面との間に苗縦送り用のワンウェイクラッチを配設し、該ワンウェイクラッチから2条分の苗載置面を隔てた箇所に苗縦送り用の各条クラッチを配備した。 【0027】〔作用〕上記請求項5記載の発明によると、苗植付装置を作業姿勢に切り換えた状態では、苗縦送り用のワンウェイクラッチと苗縦送り用の各条クラッチとが苗植付装置の左右中心から左右に略均等に位置する状態にできることから、作業姿勢に切り換えた状態での苗植付装置の左右バランスを良好にすることができるようになる。 【0028】又、苗縦送り用のワンウェイクラッチは、苗載台が左右方向での移動ストローク端に到達した際に、苗縦送り用の駆動軸に苗載台の移動ストローク分の間隔を隔てて装備された一対の操作アームによって蹴り上げ操作されるものであり、そのため、ワンウェイクラッチを苗載台の左右両端部に位置するように配設した場合には、苗載台が左右一方の移動ストローク端に到達した際に、他方の苗縦送り用の駆動軸と外方側の操作アームとが大きく露出するようになることから、それらの他物との接触に起因した破損を招く虞がある。 【0029】そこで、上記請求項5記載の発明では、苗載台における両端から2条目の苗載置面と3条目の苗載置面との間に苗縦送り用のワンウェイクラッチを配設するようにしているのであり、これによって、苗載台が左右一方の移動ストローク端に到達した際においても、他方の苗縦送り用の駆動軸と外方側の操作アームとが露出することはないので、それらの他物との接触に起因した破損を未然に回避することができるようになる。 【0030】〔効果〕従って、ワンウェイクラッチと各条クラッチとの合理的な配置によって、作業姿勢での苗植付装置の左右バランスの向上をより効果的に図れるとともに、苗縦送り用の駆動軸や操作アームの他物との接触に起因した破損を未然に回避できるようになった。 【0031】 【発明の実施の形態】図1には田植機の全体側面が示されており、この田植機は、乗用型の走行機体1の後部に、10条植え用の苗植付装置2を油圧シリンダ3の作動で昇降揺動するリンク機構4を介して走行機体1に対して昇降可能に連結し、かつ、10条施肥用の施肥装置5を搭載することによって構成されている。 【0032】走行機体1は、その前部に搭載されたエンジン6からの動力を、静油圧式無段変速装置7及びギヤ式変速装置8などを介して、4条分の苗を跨ぐように左右方向に所定間隔を隔てて配設された左右の前輪9と後輪10、並びに、左右の後輪10の内側に2条分の苗を跨ぐように並設された左右の補助車輪10Aに走行用動力として伝達するように構成されており、これによって、10条植えに対応する充分な推力が得られるようになっている。 【0033】走行機体1の中央部には、左右の前輪9に連係されたステアリングホイール11、静油圧式無段変速装置7を変速操作する主変速レバー12、ギヤ式変速装置8を変速操作する副変速レバー13、及び、運転座席14などを備えた搭乗運転部15が形成されている。 【0034】リンク機構4は、走行機体1の後部に横軸芯P1周りに上下揺動可能に連結された左右のトップリンク4Aの遊端と、走行機体1の後部に横軸芯P2周りに上下揺動可能に連結された左右のロアーリンク4Bの遊端とを、縦リンク4Cで連結することによって構成されている。縦リンク4Cの下端部は、苗植付装置4から前後向き姿勢で延設されたローリング軸16Aを前後軸芯P3周りに回動自在に支持するように形成されており、これによって、苗植付装置4が走行機体1に対して前後軸芯P3周りにローリング可能となっている(図21参照)。 【0035】図1〜4に示すように、苗植付装置2は、ローリング軸16Aを備えた連結フレーム16、連結フレーム16の左右両端部に縦軸芯P4周りに揺動自在に連結された揺動フレーム17、左右の各揺動フレーム17の遊端に縦軸芯P5周りに揺動自在に連結された角パイプ状の支持フレーム18、左右の各支持フレーム18に装備されたフィードケース19、左右の支持フレーム18に左右方向に一定間隔を隔てる状態で連結された5つの植付伝動ケース20、各植付伝動ケース20の後部左右両側に軸支されたロータリ式の植付機構21、各植付機構21に対して左右方向に一定ストロークで往復移動する苗載台22、及び、各植付機構21による植え付け箇所を前もって整地する4つの整地フロート23、などによって10条の植え付けを行えるように構成されている。 【0036】各植付伝動ケース20の前下部には、それらに渡るように横架された丸パイプ材からなるフロート支点軸24がその軸芯である横軸芯P6周りに回動自在に支持されており、このフロート支点軸24から後方に向けて延設された複数の支持アーム25の延出端に、対応する整地フロート23の後部が横軸芯P7周りに上下揺動自在に連結されている。 【0037】苗載台22を左右方向に往復移動可能に支持するガイドフレーム26には、前後軸芯P8周りに揺動操作可能な植付深さ調節レバー27と、この植付深さ調節レバー27を操作案内するとともに所望の操作位置に係合保持可能なガイド板28とが装備されている。 【0038】植付深さ調節レバー27は、連係ロッド29及び弾性融通機構30を介してフロート支点軸24に連係されており、これによって、植付深さ調節レバー27を前後軸芯P8周りに揺動操作すると、フロート支点軸24をその軸芯P6周りに回動させることができて、各整地フロート23の各植付機構21に対する高さ位置を変更でき、もって、各植付機構21による圃場への苗植え付け深さを一体的に調節できるようになっている。 【0039】つまり、各整地フロート23、フロート支点軸24、複数の支持アーム25、植付深さ調節レバー27、ガイド板28、連係ロッド29、及び弾性融通機構30、によって圃場への苗植え付け深さを調節する植付深さ調節機構Aが構成されており、これによって、圃場の泥土硬さなどを考慮した適切な植え付け深さで苗を圃場に植え付けることができるようになっている。 【0040】図5〜8に示すように、弾性融通機構30は、フロート支点軸24に軸芯P6周りに一体回動するように連結された第1連係部材31と、連係ロッド29が連結されるとともにフロート支点軸24に軸芯P6周りに相対回動可能に遊嵌された第2連係部材32とを、設定以上の操作力で弾性変形する弾性体としての一対のバネ33を介してフロート支点軸24の軸芯P6周りに連動するように連係して構成されたものであり、フロート支点軸24に支持された状態で装備されている。 【0041】この構成から、弾性融通機構30は、植付深さ調節レバー27が所望の操作位置に係合保持された植え付け深さ設定状態において、いずれかの整地フロート23が隆起物に乗り上がることや、誤操作で整地フロート23を接地面よりも大きく下降させる苗植付装置2の下降操作が行われることなどによって、整地フロート23側からの設定以上の突き上げ力が植付深さ調節機構Aに加わった場合、あるいは、苗植付装置2の上昇操作の際に整地フロート23が他物に引っ掛かることなどによって、整地フロート23側からの設定以上の押し下げ力が植付深さ調節機構Aに加わった場合には、一対のバネ33が変形して第2連係部材32に対するフロート支点軸24の相対回動を許容するようになることから、整地フロート23側から設定以上の操作力が加わることに起因した植付深さ調節機構Aにおける植付深さ調節レバー27や連係ロッド29などの変形又は整地フロート23などの破損を防止できるようになっている。 【0042】又、植付深さ調節レバー27を操作する場合には、一対のバネ33に設定以上の操作力が作用しないことから、植付深さ調節レバー27の操作による植え付け深さ調節は的確に行えるようになっている。 【0043】図3、図4及び図9〜16に示すように、左右2つのフィードケース19のうち、右側のフィードケース19には、ギヤ式変速装置8からの作業用動力が伝動軸34や第1クラッチ35などからなる第1伝動系Bを介して伝達され、左側のフィードケース19には、右側のフィードケース19からの分配動力が第2クラッチ36と中継伝動軸37とからなる第2伝動系Cを介して伝達されている。 【0044】5つの植付伝動ケース20のうち、左側2つの植付伝動ケース20は左側の支持フレーム18から後方に向けて延設され、右側の3つの植付伝動ケース20は右側の支持フレーム18から後方に向けて延設されている。 【0045】苗載台22は、4条の苗載置面22aを有するように5つの仕切壁22bによって区画された第1苗載部としての左苗載部22Aと、6条の苗載置面22aを有するように7つの仕切壁22bによって区画された第2苗載部としての右苗載部22Bとに2分割可能に構成されている。右苗載部22Bの分割端上部22auである左側の苗載置面22aの上部とそれを挟む仕切壁22bの上部又は上部の一部が、苗載置面22aに沿う姿勢となる苗載置位置と、苗載置面22aに対して直交する姿勢となる退避位置とに、横軸芯P9周りの揺動で位置変更可能に構成されている。 【0046】フロート支点軸24は、左側2つの整地フロート23を支持する左支点軸部24Aと、右側2つの整地フロート23を支持する右支点軸部24Bとに2分割可能に構成されている。 【0047】以上の構成から、苗植付装置2は、4条分の苗の植え付けが可能な第1苗植付部としての左苗植付部2Aと6条分の苗の植え付けが可能な第2苗植付部としての右苗植付部2Bとに2分割可能に構成され、左苗植付部2Aと右苗植付部2Bとに2分割した状態では、右苗載部22Bの分割端上部22auを退避位置に位置変更させることによって、図11及び図14に示すように、左右の苗植付部2A,2Bを、それらの分割端の上部同士を接触させる不都合を招くことなく、前述した左右の各縦軸心P4,P5周りに揺動させることができるようになっており、その結果、左右の苗植付部2A,2Bを植え付け可能な前向き姿勢で連結する作業姿勢と、左右の苗植付部2A,2Bに分割してそれらを機体横外方への張り出し量が減少する横向き姿勢に変更する格納姿勢とに、簡単に姿勢を切り換えることができ、路上走行時やトラックなどによる運搬時には、格納姿勢に切り換えておくことによって他物に接触する虞を軽減できるようになっている。 【0048】図2及び図4〜7に示すように、各整地フロート23のうち、左支点軸部24Aに支持された左側2つの整地フロート23は、その左支点軸部24Aが植付深さ調節レバー27に連係されていることから、苗植付装置2を格納姿勢に切り換えた状態では、植付深さ調節レバー27とガイド板28との係合で予め設定された高さ位置に維持されるようになっている。一方、植付深さ調節レバー27に連係されていない右支点軸部24Bに支持された右側2つの整地フロート23は、図17に示すように、右支点軸部24Bに装着されたストッパ38と右苗植付部2Bに属する植付伝動ケース20との接当で、植え付け深さ調節の最浅状態を現出する最下降位置に維持されるようになっている。 【0049】図4、図5及び図8に示すように、フロート支点軸24には、苗植付装置2の格納姿勢への姿勢切り換えに伴うフロート支点軸24の左支点軸部24Aと右支点軸部24Bとの2分割を許容し、かつ、苗植付装置2の作業姿勢への姿勢切り換えに伴って左右の支点軸部24A,24Bをそれらの軸芯P6周りに一体回動可能な状態に連結する連結具24a,24bが設けられている。左支点軸部24Aに装備される板状の連結具24aには、苗植付装置2の作業姿勢への姿勢切り換えに伴って、左右の支点軸部24A,24Bのそれらの軸芯P6周りでの位相のズレを吸収するように、右支点軸部24Bに装備された棒状の連結具24bを摺接案内する案内部aが融通部として備えられている。 【0050】この構成から、苗植付装置2を格納姿勢から作業姿勢に切り換える際には、従来の姿勢切り換え構造では行う必要のあった、苗植付装置2を作業姿勢から格納姿勢に切り換える前の段階で植付深さ調節レバー27を最浅位置に設定しておく、といった煩わしい作業を行わなくても、融通部aの作用で左右の支点軸部24A,24Bの位相を一致させることができるようになっている。 【0051】図3及び図4に示すように、4つの整地フロート23のうち、苗植付装置2の左右中央側に配設された2つの整地フロート23には、3条分の整地を行うように幅広の略Π字形状に形成された第1整地フロート23Aが採用され、苗植付装置2の左右両端側に配設された2つの整地フロート23には、2条分の整地を行うようにT字形状に形成された第2整地フロート23Bが採用されている。 【0052】これによって、4条分の苗を跨ぐ位置に配設された左右の前輪9と後輪10の車輪跡、並びに、2条分の苗を跨ぐ位置に配設された補助車輪10Aの車輪跡を整地することができるので、それらの車輪9,10,10Aによって形成される車輪跡に起因した苗倒れの発生や植え付け姿勢の乱れを効果的に防止できるようになっている。 【0053】又、3条整地用の第1整地フロート23Aよりも泥押しの少ない2条整地用の第2整地フロート23Bを苗植付装置2の左右両端側に配設したことによって、苗植付装置2の左右両端側に3条整地用の第1整地フロート23Aを配設する場合に比較して、左右両端側の整地フロート23により機体横外方に押し出された泥が既植苗に与える影響を小さくすることができるので、整地フロート23の泥押しに起因した既植苗の倒伏や植え付け姿勢の乱れをも効果的に防止できるようになっている。 【0054】図18に示すように、左右の各第2整地フロート23Bには、植え付け作業走行時の走行に伴って変動する第2整地フロート23Bの横軸芯P7周りの上下揺動角を接地圧として検出する回転式のポテンショメータなどからなるフロートセンサ39が連係されており、第2整地フロート23Bとそれに連係されるフロートセンサ39によって接地圧の変動を検出するセンサフロートSが構成されている。各センサフロートSは、その検出値を走行機体1に搭載されたマイクロプロセッサーなどからなる制御装置40に出力するようになっている。 【0055】制御装置40には、左右のセンサフロートSからの接地圧の平均値に基づいて油圧シリンダ3に対する作動油の流動状態を切り換える電磁制御弁41を作動させることで、その平均値が予め設定された目標値の不感帯幅内に収まるように苗植付装置2の昇降を制御する自動昇降制御手段40Aと、左右のセンサフロートSからの接地圧の差に基づいてリンク機構4の縦リンク4Cに装備されたローリングモータ42を作動させることで、その接地圧の差が所定範囲内に収まるように苗植付装置2のローリングを制御するローリング制御手段40Bとが制御プログラムとして備えられており、これらの制御作動によって、圃場泥面の起伏の変化にかかわらず苗を所望の植え付け深さに安定して植え付けられるようになっている。 【0056】又、車輪跡の影響を受けない第2整地フロート23BをセンサフロートSに構成していることから、それらの接地圧に基づく苗植付装置2の昇降制御やローリング制御を精度良く行えるようになっており、もって、所望の植え付け深さでの苗の植え付けをより精度良く行えるようになっている。 【0057】図1及び図18に示すように、自動昇降制御手段40Aによる苗植付装置2の昇降制御、及び、ローリング制御手段40Bによる苗植付装置2のローリング制御は、運転座席14の右側方に配設された植付クラッチレバー43を「自動」位置に設定した場合において実行可能となっている。又、自動昇降制御手段40Aによる苗植付装置2の昇降制御を実行する際の目標値の設定は、走行機体1に装備された回転式のポテンショメータからなる設定器44の手動操作で行えるようになっている。 【0058】植付クラッチレバー43には、その操作位置を検出してその検出値を制御装置40に出力する回転式のポテンショメータからなるレバーセンサ43Aが装備され、制御装置40には、その検出値に基づいて苗植付装置2の昇降、並びに、ギヤ式変速装置8に内装された植付クラッチ45の作動を制御する手動制御手段40Cが制御プログラムとして備えられている。 【0059】手動制御手段40Cは、植付クラッチレバー43が「上昇」位置に操作されると苗植付装置2が上昇し、「下降」位置に操作されると苗植付装置2が下降し、「中立」位置に操作されると苗植付装置2の昇降が停止されるように電磁制御弁41の作動状態を切り換え、又、植付クラッチレバー43が植え付け「入」位置に操作されると苗植付装置2が植え付け作動を行い、植え付け「切」位置に操作されると苗植付装置2が植え付け作動を停止するように植付クラッチ45を断続操作するクラッチモータ46の作動状態を切り換えるように構成されている。 【0060】又、手動制御手段40Cは、植付クラッチレバー43が「自動」位置に設定されている場合には、ステアリングホイール11の右下方に配備された中立復帰型の操作レバー47の操作を検出する第1スイッチ48及び第2スイッチ49からの検出信号に基づいて、電磁制御弁41及びクラッチモータ46の作動状態を切り換えるように構成されており、設定器44により設定された目標値の不感帯幅内に左右のセンサフロートSからの接地圧の平均値が収まるようになる植え付け高さ位置から外れた上昇位置に苗植付装置2が位置する状態での操作レバー47の下方への揺動操作によって第1スイッチ48からオン信号が出力されると、苗植付装置2が植え付け高さ位置まで下降するように電磁制御弁41の作動状態を切り換え、苗植付装置2が植え付け高さ位置に位置する状態での操作レバー47の上方への揺動操作によって第2スイッチ49からオン信号が出力されると、苗植付装置2が予め設定された上限位置まで上昇するように電磁制御弁41の作動状態を切り換え、苗植付装置2が植え付け高さ位置に位置する状態での操作レバー47の下方への揺動操作によって第1スイッチ48からオン信号が出力されると、苗植付装置2が植え付け作動を行うようにクラッチモータ46の作動状態を切り換え、苗植付装置2が植え付け作動を行っている状態での操作レバー47の上方への揺動操作によって第2スイッチ49からオン信号が出力されると、苗植付装置2が植え付け作動を停止して上限位置まで上昇するようにクラッチモータ46と電磁制御弁41の作動状態を切り換えるようになっている。 【0061】そして、第1スイッチ48からのオン信号に基づく手動制御手段40Cの制御作動で苗植付装置2が植え付け高さ位置に到達するのに伴って、自動昇降制御手段40Aによる苗植付装置2の昇降制御とローリング制御手段40Bによる苗植付装置2のローリング制御とが実行され、第2スイッチ49からのオン信号に基づいて、自動昇降制御手段40Aによる苗植付装置2の昇降制御とローリング制御手段40Bによる苗植付装置2のローリング制御とが実行停止されるようになっている。 【0062】図2、図9、及び図18〜20に示すように、苗載台22の上面を10条の苗載置面22aに区画する仕切壁22bのうち、隔条箇所の各仕切壁22bには、苗載置面22aに載置された苗の所定量からの減少を検出する苗残量センサ50が装備されている。各苗残量センサ50は、仕切壁22bに隣接する苗載置面22a上に位置する突出姿勢と仕切壁22b内に位置する退避姿勢とに縦軸芯P10周りに姿勢変更可能な状態で仕切壁22bの下部に支持された左右一対の揺動アーム50A、左右の揺動アーム50Aを突出姿勢に揺動付勢するバネ50B、左右の揺動アーム50Aの操作片50aに渡るように配設された受動板50C、及び、揺動アーム50Aが突出姿勢に切り換わる際に操作片50aで受動板50Cが押圧操作されることでオン操作されるリミットスイッチ50D、などによって、その仕切壁22bを挟んで隣接する2条の苗載置面22aに載置された苗のいずれか一方の所定量からの減少を検出して制御装置40に出力するように構成されている。 【0063】つまり、苗載置面22aの数量と同数の苗残量センサ50を装備しなくても、苗載置面22aの数量の半数の苗残量センサ50を装備するだけで、又、それら半数の苗残量センサ50に対するワイヤーハーネス51の引き回しを行うだけで、各苗載置面22aに載置された苗の所定量からの減少を検出できることから、製造コストの削減や製造の容易化を図れるようになっている。しかも、左右の各苗植付部2A,2Bの分割端に苗残量センサ50を装備する必要がないことから分割端部での構成の簡素化を図れるようになり、もって、左右の各苗植付部2A,2Bの分割端同士の連結あるいは連結解除を行い易くすることができるようになっている。 【0064】尚、図18に示すように、制御装置40は、各苗残量センサ50からのオン信号に基づいて、搭乗運転部15に装備されたブザーやランプあるいは液晶パネルや発声器からなる警報装置52を作動させることで、いずれかの苗載置面22aに載置された苗が所定量から減少したことを運転者に認識させるように構成されている。 【0065】図3及び図10に示すように、苗植付装置2を作業姿勢に切り換えた状態では、左側のフィードケース19が左苗植付部2Aの内端部つまり苗植付装置2の左右中央から外れた位置に位置するのに対し、右側のフィードケース19は苗植付装置2の略左右中央に位置するように配設されている。 【0066】つまり、苗植付装置2を作業姿勢に切り換えた状態では、重量の重い側となる右苗植付部2Bのフィードケース19が、重量の軽い側となる左苗植付部2Aのフィードケース19よりも苗植付装置2の左右中心側に位置するように配置設定することで、右苗植付部2Bの重量が左苗植付部2Aに掛かり易くなるようにしているのであり、その結果、苗植付装置2を、4条分の苗の植え付けが可能な左苗植付部2Aと6条分の苗の植え付けが可能な右苗植付部2Bとに不均等に2分割可能に構成したことによって、苗植付装置2を左右均等に2分割可能に構成する場合のように単に左右のフィードケース19を機体中心から左右に均等配置するだけでは釣り合いが取れなくなっていた作業姿勢での苗植付装置2の左右バランスを効果的に改善できるようになっている。 【0067】図3、図10〜12及び図21〜23に示すように、右側のフィードケース19には、その第1軸19Aに伝達されたギヤ式変速装置8からの作業用動力を、右側の植え付け用の駆動軸53に伝達する第1伝動機構としての第1チェーン式伝動機構54と、右側の縦送り駆動機構55に伝達する第2伝動機構としての第2チェーン式伝動機構56とが内装されている。左側のフィードケース19には、その第1軸19Aに伝達された右側のフィードケース19からの作業用動力を左側の植え付け用の駆動軸53に伝達する第1チェーン式伝動機構54と、左側の縦送り駆動機構55に伝達する第2チェーン式伝動機構56とに加えて、右側のフィードケース19からの作業用動力を横送り駆動機構57に変速切り換え可能に伝達する横送り変速装置58が内装されている。左右の各植え付け用の駆動軸53に伝達された作業用動力は、各植付伝動ケース20に内装されたチェーン式伝動機構59や植え付け用の各条クラッチ60などを介して各植付機構21に伝達されるようになっている。 【0068】図2、図10及び図23に示すように、横送り駆動機構57は、横送り変速装置58を介して伝達された動力で横軸芯P11周りに回転する横送り軸61の延出部に苗載台22の移動ストローク長に亘って形成された無端螺旋溝61aが、左苗載部22Aに連結された移動体62を係合案内することで、苗載台22を左右方向に一定ストロークで横送り往復駆動させるように構成されている。 【0069】図2、図10、図21、図23及び図24に示すように、左右の各縦送り駆動機構55は、各フィードケース19からの動力で横軸芯P12周りに回転する苗縦送り用の駆動軸63の延出部に苗載台22の移動ストローク分の間隔を隔てて装備された一対の操作アーム64が、左右の各苗載部22A,22Bに配設された横向きの縦送り軸65に装備されたワンウェイクラッチ66の被操作アーム66aを、苗載台22が移動ストローク端に到達するごとに蹴り上げ操作し、それによって得られた間欠駆動力を、左右の縦送り軸65に遊嵌された合計5本の各筒軸67に苗縦送り用の各条クラッチ68を介して伝動することで、各苗載置面22aの下部に装備された状態で各筒軸67に4本ずつ連動連結された各縦送りベルト69を所定ピッチで間欠駆動させるように構成されている。 【0070】以上、要するに、苗植付装置2を、4条分の苗の植え付けが可能な左苗植付部2Aと6条分の苗の植え付けが可能な右苗植付部2Bとに2分割可能に構成したことによって、5条ずつに2分割可能に構成した場合には6つずつ装備する必要が生じていた、植付伝動ケース20、それに内装されるチェーン式伝動機構59や植え付け用の各条クラッチ60、及び、苗縦送り用の各条クラッチ68などのそれぞれを5つずつに削減することができるので、構成の簡素化や製造コストの削減を図れるようになっている。 【0071】又、左右の各苗植付部2A,2Bに縦送り駆動機構55を装備したことで、左右いずれか一方の苗植付部2A,2Bにのみ縦送り駆動機構55を装備する場合のように、苗植付装置2の姿勢を切り換える際に、左右の各苗植付部2A,2Bに装備される縦送り軸65を断続させる必要がないので、その分、苗植付装置2の姿勢切り換え操作の簡便化を図れるとともに、その姿勢切り換え操作の自動化を図る上でも有利にすることができるようになっている。 【0072】しかも、図示しない従来の苗植付装置2の姿勢切り換え構造では、走行機体1からの動力を左右の各苗植付部2A,2Bに分配する動力分配装置を苗植付装置2の連結フレーム16に装備し、その動力分配装置と左右の各苗植付部2A,2Bのフィードケース19との間にそれぞれクラッチを装備することで、苗植付装置2の姿勢切り換え操作時における走行機体1から左右の苗植付部2A,2Bに亘る伝動系を断続させるようにしていることによって、苗植付装置2を格納姿勢から作業姿勢に切り換える際には、左右の各苗植付部2A,2Bに装備された植付機構21を同期させるために、左右のクラッチのそれぞれを回転位相を合わせた状態で接続する必要が生じていることから、苗植付装置2の作業姿勢への姿勢切り換え操作が煩わしいものになっているのであるが、本実施形態では、前述したように、走行機体1側のギヤ式変速装置8と右苗植付部2B側のフィードケース19とに亘る第1伝動系Bに第1クラッチ35を装備し、かつ、左右の各苗植付部2A,2Bのフィードケース19に亘る第2伝動系Cに第2クラッチ36を装備することで、苗植付装置2の姿勢切り換え時における走行機体1から左右の苗植付部2A,2Bに亘る各伝動系B,Cを断続させるようにしていることから、苗植付装置2を格納姿勢から作業姿勢に切り換える際には、左右の各苗植付部2A,2Bに装備された植付機構21を同期させる上で、第2クラッチ36のみを回転位相を合わせた状態で接続するようにすればよく、第1クラッチ35は回転位相に関係なく接続することができるので、その分、苗植付装置2を作業姿勢に切り換える際の操作の簡便化を図れるとともに、苗植付装置2の姿勢切り換え操作の自動化を図る上でも有利にすることができるようになっている。 【0073】ちなみに、植え付け用の各条クラッチ60と苗縦送り用の各条クラッチ68は、それぞれに対応して連係された図外の5本の操作レバーによって入り状態から切り状態に切り換えられることで、各植付機構21及び縦送りベルト69への伝動を2条単位で停止させるものであり、これによって、10条未満の端数条の植え付けを行えるようになっている。 【0074】図9及び図24に示すように、左右の苗植付部2A,2Bに装備される合計2つのワンウェイクラッチ66と5つの苗縦送り用の各条クラッチ68は、苗載台22の左右両端から2条目の苗載置面22aと3条目の苗載置面22aとの間、つまり、苗載台22の左右両端から3つ目の仕切壁22bの下方にワンウェイクラッチ66が位置し、各ワンウェイクラッチ66から2条分の苗載置面22aを隔てた箇所、つまり、苗載台22における左右両端の仕切壁22bと左右両端から5つ目の仕切壁22bの各下方に各条クラッチ68が位置するように配設されている。尚、苗載台22の左端から5つ目の仕切壁22bの下方つまり苗載台22の分割端には、左苗植付部2Aに属する各条クラッチ68と右苗植付部2Bに属する各条クラッチ68の2つが配設されている。 【0075】これによって、苗植付装置2を作業姿勢に切り換えた状態では、苗縦送り用のワンウェイクラッチ66と苗縦送り用の各条クラッチ68とが苗植付装置2の左右中心から左右に略均等に位置する状態にできることから、作業姿勢に切り換えた状態での苗植付装置2の左右バランスを良好にすることができるようになっている。 【0076】又、前述したように、苗縦送り用のワンウェイクラッチ66は、その被操作アーム66aが、苗載台22が移動ストローク端に到達した際に、苗縦送り用の駆動軸63に装備された一対の操作アーム64のうちの一方によって蹴り上げ操作されるものであり、そのため、ワンウェイクラッチ66を苗載台22の左右両端に配設した場合には、苗載台22が左右一方の移動ストローク端に到達した際に、他方の苗縦送り用の駆動軸63と外方側の操作アーム64とが大きく露出するようになって、それらの他物との接触に起因した破損を招く虞がある。 【0077】そこで、本実施形態では、苗載台22の左右両端から3つ目の仕切壁22bの下方に苗縦送り用のワンウェイクラッチ66を配設するようにしているのであり、これによって、苗載台22が左右一方の移動ストローク端に到達した際においても、他方の苗縦送り用の駆動軸63と外方側の操作アーム64とが露出するようになることを回避できるので、それらの他物との接触に起因した破損を未然に回避することができるようになっている。 【0078】〔別実施形態〕以下、本発明の別実施形態を列記する。 ■ 苗植付装置2としては、第1苗植付部2Aが右側に位置し第2苗植付部2Bが左側に位置するように構成されたものであってもよい。 ■ 整地フロート23の配置としては、苗植付装置2の左右両端側に第1整地フロート23Aが位置し、苗植付装置2の左右中心側に2つの第2整地フロート23Bが位置するように設定してもよい。 ■ 走行機体1側からの動力を第1苗植付部2Aに装備されるフィードケース19に伝達し、そのフィードケース19からの分配動力を第2苗植付部2Bに装備されるフィードケース19に伝達するように構成してもよい。
|
| 【出願人】 |
【識別番号】000001052 【氏名又は名称】株式会社クボタ
|
| 【出願日】 |
平成12年3月30日(2000.3.30) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100107308 【弁理士】 【氏名又は名称】北村 修一郎
|
| 【公開番号】 |
特開2001−275418(P2001−275418A) |
| 【公開日】 |
平成13年10月9日(2001.10.9) |
| 【出願番号】 |
特願2000−93317(P2000−93317) |
|