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【発明の名称】 農作業機の警報装置
【発明者】 【氏名】玉井 利男

【氏名】竹川 和弘

【要約】 【課題】農作業機の異常警報を確実に認識できるようにすること。

【解決手段】走行車体2上に搭載したエンジン20の上方に座席31を設置し、座席31の前方には操向操作用のハンドル34を設け、ハンドル34の近傍に後方の座席31に向けて警報を発信するスピーカー67を設ける。オペレータに対して、走行方向になる前方で、オペレータに最も近いハンドル34の近傍に警報を発信するスピーカー67を配置しているので、音声が聞き取りやすく、警報内容を確実に認識することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 走行車体2上に座席31を設置し、座席31の前方には操向操作用のハンドル34を設けた農作業機において、ハンドル34の近傍に後方の座席31に向けて警報を発信する音声発信手段67を設けたことを特徴とする農作業機の警報装置。
【請求項2】 ハンドル34の取り付けられているハンドルシャフト66を後下方に回動できるチルトハンドルとし、ハンドル34の近傍に警報を発信する音声発信手段67を設けて、ハンドル34を後下方に回動すると、音声発信手段67の音声発信部が下向きとなることを特徴とする請求項1記載の農作業機の警報装置。
【請求項3】 コントローラから音声発信手段67により警報を発信するにあたり、警報内容で未処理対応のものを記憶装置で記憶しておき、メインスイッチを入り、あるいは、エンジン20の始動に関連して、前回作業時の未処理対応の異常内容を音声発信手段67から再度発信することを特徴とする農作業機の警報装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、分かりやすい警報を発する農作業機に関する。
【0002】
【従来技術】従来の田植機等の農作業機にあっては、作業中に発生した異常をブザーやモニタランプにより報知するのが一般的である。作業内容の制御が複雑多様化し、警報の種類が多くなると、警報があっても、それが何の警報であるのかすぐには判断できないことがある。
【0003】また、センサ類の断線等の異常については、複数のチエックランプの点灯を組み合わせて異常個所を報知する方法が知られている。この方法は、専門のサービスマン以外の者にはサービスマニュアル等を見ないと異常個所が分からないというのが一般的である。
【0004】
【発明が解決しようとする問題点】この発明は、一般の農作業者でも容易に警報内容が分かると共に、作業機の聞き取り容易な警報装置を提供しようとするものである。
【0005】
【問題を解決するための手段】上記の課題を解決するために、この発明は次のように構成した。即ち、走行車体2上に座席31を設置し、座席31の前方には操向操作用のハンドル34を設けた農作業機において、ハンドル34の近傍に後方の座席31に向けて警報を発信する音声発信手段67を設けたことを特徴とする。
【0006】また、ハンドル34の取り付けられているハンドルシャフト66を後下方に回動できるチルトハンドルとし、ハンドル34の近傍に警報を発信する音声発信手段67を設けて、ハンドル34を後下方に回動すると、音声発信手段67の音声発信部が下向きとなることを特徴とする。
【0007】また、コントローラから音声発信手段67により警報を発信するにあたり、警報内容で未処理対応のものを記憶装置で記憶しておき、メインスイッチを入り、あるいは、エンジン20の始動に関連して、前回作業時の未処理対応の異常内容を音声発信手段67から再度発信することを特徴とする。
【0008】
【発明の作用及び効果】この発明は、オペレータに対して、走行方向になる前方で、オペレータに最も近いハンドル34の近傍に警報を発信する音声発信手段67を配置しているので、音声が聞き取りやすく、警報内容を確実に認識することができる。
【0009】また、ハンドルシャフト66を回動してハンドル34を後下方に回動すると、音声発信手段67の音声発信部が下方を向くので、農作業機を水洗いするときにも、音声発信手段67への水の侵入を少なくすることができる。また、コントローラに接続しているメインスイッチを入り、あるいは、エンジン20の始動に関連して、前回作業時における未処理対応の警報内容を音声発信手段67から発信して、作業再開時に再度確認するができるので、安全性及び作業性を向上させることができる。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施の形態を図面に基づき説明する。図1及び図2は農作業機の一種である施肥田植機を図示している。この施肥田植機1は、走行車体2の後部に昇降リンク装置3を介して植付部4が昇降可能に装着され、また、走行車体2の後側上部に施肥装置5の本体部が設けられている。
【0011】走行車体2は駆動輪である左・右前輪10,10及び左・右後輪11,11を備えた四輪駆動車両であって、機体の前部にミッションケース12が配置され、そのミッションケース12の左右両側部に前輪ファイナルケース13,13が設けられ、前輪ファイナルケース13,13の変向可能な前輪支持部から左右両側に突出する前輪車軸に左・右前輪10,10が取り付けられている。また、ミッションケース12の後面部にメインフレーム15の前端部が固着されていて、そのメインフレーム15の後端左右中央部に前後方向水平に設けた後輪ローリング軸を支点にして、後輪ギヤケース18,18がローリング自在に支持され、その後輪ギヤケース18,18から左右両側方に突出する後輪車軸に左・右後輪11,11が取り付けられている。
【0012】エンジン20はメインフレーム15上に搭載されており、エンジン20の回転動力は、第1ベルト伝動装置21を介して油圧式無段変速装置22に伝達され、油圧式無段変速装置22で変速された後、第2ベルト伝動装置23を介してミッションケース12に伝達される。ミッションケース12に入力された回転動力は、内部のトランスミッションにより変速された後、走行動力と外部取出動力とに分岐して取り出される。そして、走行動力は、一部が前輪ファイナルケース13,13に伝達されて左・右前輪10,10を駆動し、残部が後輪ギヤケース18,18に伝達されて左・右後輪11,11を駆動する。また、外部取出動力は、走行車体2の後部に設けた植付クラッチ25に伝達され、更に植付伝動軸26によって苗植付部4へ伝動されると共に、施肥伝動軸27により施肥装置5へ伝動される。
【0013】エンジン20の上部はエンジンカバー30により覆われており、その上方に座席31が設置されている。座席31の前方には各種操作機構を内蔵したフロントカバー32が設けてあり、フロントカバー32の後上部に左・右前輪10,10を操向操作するハンドル34が設けられている。エンジンカバー30及びフロントカバー32の下端部左右両側は水平状のフロアステップ35になっている。また、走行車体2の前部左右両側には、補給用の苗を載せておく予備苗載せ台38,38が、機体よりも左右両側に張り出す位置と内側に収納した位置とに回動可能に設けられている。
【0014】昇降リンク装置3は平行リンク構成であって、1本の上リンク40と左右一対の下リンク41,41を備えている。これらの上リンク40,下リンク41,41は、その基部側がメインフレーム15の後端部に立設した背面視門形のリンクベースフレーム42に回動自在に取り付けられ、その先端側に縦リンク43が連結されている。そして、縦リンク43の下端部に植付部4に回転自在に支承された連結軸44が挿入連結されていて、植付部4が連結軸44を中心としてローリング自在に連結されている。メインフレーム15に固着した支持部材と上リンク40に一体形成されたスイングアーム45の先端部との間に昇降油圧シリンダ46が設けられており、昇降油圧シリンダ46を油圧で伸縮させることにより、上リンク40が上下に回動し、植付部4が略一定姿勢のまま昇降する。縦リンク43の上部には、植付部4をローリングさせるローリング油圧シリンダ47が設けられている。
【0015】植付部4は6条植えの構成で、フレームを兼ねる伝動ケース50、苗を載せて左右に往復動し苗を一株づつ各条の苗取出口51a,51a,…に供給する苗載せ台51、苗取出口51a,51a,…に供給された苗を圃場に植え付ける苗植付装置52,52,…、次行程における機体進路を表土面に線引きする左右一対の線引きマーカ53,53等を備えている。苗植付装置52、52、…は、畔クラッチ(図示省略)によって隣接する2条づつの単位で別個に作動を停止させるように構成されている。植付部4の下方には中央フロート55、その左右両側にサイドフロート56,56が夫れ夫れ設けられている。これらのフロートを圃場の泥面に接地させた状態で機体を進行させると、フロートが泥面を整地しつつ滑走し、その整地趾に苗植付装置52,52,…により苗が植え付けられる。
【0016】これらのフロート55,56,56は、圃場表土面の凹凸に応じて前端部が上下動するように回動自在に取り付けられており、植付作業時には、センタフロート55の前部の上下動と、各フロート55,56,56が圃場表土面から受ける圧力とに基づき、前記昇降油圧シリンダ46を伸縮制御して植付部4を昇降させることにより、苗の植付深さを常に一定に維持する。
【0017】また、植付作業時には、走行車体2の左右傾斜の加速度と植付部4の左右傾斜角度に基づき前記ローリング油圧シリンダ47を作動させ、植付部4が常に水平を維持するようにローリング制御する。植付部4の昇降及び植付クラッチ25の入切操作は、座席31の右側に設けた植付昇降レバー48で行なう。図3に示すように、この植付昇降レバー48には「上昇」「固定」「下降」「植付」の各操作位置がある。植付昇降レバー48を「上昇」に操作すると植付部4が上昇し、「固定」に操作すると植付部4が一定高さに固定され、「下降」または「植付」に操作すると、植付部4が下降する。また、植付昇降レバー48を「植付」にした場合にだけ、植付クラッチ25が入りになる。
【0018】この植付昇降レバー48の操作に連動してローリング制御の入切が行われる。図示のように、植付部4の下降時には植付昇降レバー48が「固定」から「下降」に移るときにローリング制御が入りとなり、植付部4の上昇時には植付昇降レバー48が「下降」から「固定」へ移るときにローリング制御が切れる。植付部4の下降時と上昇時とでローリング制御のタイミングガが異なるのは、次の理由による。即ち、植付部4は縦リンク43との間に設けたスプリングを介して弾力的に左右の位置規制がされており、植付部4の下降時には、左右に揺れやすい。このため、下降時には「下降」ではローリング制御しないようにしている。植付昇降レバー48を一旦「植付」にしてから「下降」に戻すことにより、「下降」でもローリング制御が入りとなり、植付をせずに接地状態で走行する場合に対応させられる。
【0019】施肥装置5は、各条共用の肥料貯蔵部である肥料ホッパ60と、各条毎にある肥料繰出部61,61,…等からなる施肥本体部を走行車体2の後側上部に備え、各肥料繰出部61,61,…の下部に施肥ホース62,62,…の一端部が接続され、施肥ホース62,62,…の他端部がフロート55,56,56の左右両側に取り付けた施肥ガイド63,63,…に接続されている。肥料ホッパ60に貯えられている粒状の肥料が肥料繰出部61,61,…によって一定量づつ繰り出され、その肥料が施肥ホース62,62,…に案内されて施肥ガイド63,63,…まで運ばれ、施肥ガイド63,63,…の前側に設けた作溝体64,64,…によって苗植付条の側部近傍に形成される施肥溝内に落し込まれる。また、施肥装置本体部にはモータ66で駆動されるブロワ67と左右方向に長いエアチャンバ68が設けられており、ブロワ67から吹き出されるエアがエアチャンバ68を通って施肥ホース62,62,…へ吹き込まれ、そのエアで肥料を強制的に搬送するようになっている。
【0020】図4はこの施肥田植機の警報装置の制御系統図である。図において、植付クラッチSWは植付クラッチ25が「切り」でONになるスイッチ、畔クラッチSWは畔クラッチが「切り」でONになるスイッチ、苗減少SWは苗載せ台51の苗残量が一定以下になるとONになるスイッチ、ブロワSWはブロワ67が停止状態のときONになるスイッチ、肥料切れSWは肥料ホッパ60の肥料残量が一定以下になるとONになるスイッチ、肥料詰りSWは肥料繰出部61,61,…あるいは施肥ホース62,62,…内で肥料詰りが生じるとONになるスイッチ、バックSWは主変速装置が後進にシフトされるとONになるスイッチである。これらの各SWはコントローラの入力側に接続されている。
【0021】また、フロートセンサはセンターフロート55の前部の上下動を検出するセンサ、面圧センサは各フロート55,56,56が圃場表土面から受ける圧力を検出するセンサ、ストロークセンサはローリング油圧シリンダ47の作動ストロークを検出するセンサ、リンクセンサは上リンク40の角度を検出するセンサ、HSTセンサは油圧式無段変速装置22の変速位置を検出するセンサ、角速度センサは走行車体2の左右傾斜の加速度を検出するセンサ、傾斜センサは植付部4の左右傾斜角度を検出するセンサである。これらの各センサの検出信号は常時コントローラに送信されている。
【0022】何れかのSWがONになると、そのSWに応じて、コントローラの出力端子1〜3から音声警報ユニットの入力端子1〜3へ信号が出力される。3つの入力端子1〜3のどの端子が受信するかによってSWが特定される。例えば、植付クラッチSWがONになった場合には、出力端子1から入力端子1へ出力する。音声警報ユニットは、特定のSWに合った内容の音声警報をスピーカーから出力する。また、何れかのセンサに断線等の異常が発生すると、モニタランプが点滅する。
【0023】コントローラにはエンジン回転数を検出するエンジン回転数センサが接続されており、エンジン回転センサの検出結果に応じて、音声警報の音量を調節するようになている。例えば、アイドリング時には音量を低くし、フルスロットル時には音量を高くする。これにより、エンジン音に合わせた適度の音量で警報を聞くことができる。
【0024】次に、図5に基づき警報装置のスピーカーの乗用田植機への配置構成ついて説明する。メインフレーム15上にエンジン20を搭載し、エンジン20の上部をエンジンカバー30により被覆し、エンジンカバー30の上方に座席31を取り付けている。機体の前部には各種操作機構を内蔵したフロントカバー32を設け、このフロントカバー32の後側下部には、ハンドルシャフト66を軸支し、ハンドルシャフト66の上端部には左・右前輪10,10を操向操作するハンドル34を取り付け、ハンドルシャフト66におけるハンドル34の下方部分をコラムカバー65により被覆している。しかして、座席31及びエンジン20からフロアステップ35を隔てた前方位置に、コラムカバー65が配置される関係となり、このコラムカバー65内上部には、後方の座席31に向けて音声を発信するスピーカー67(音声発信手段)を装備している。
【0025】従って、オペレータに対して、走行方向になる前方で、オペレータに最も近いコラムカバー65にスピーカー67を配置することにより、音声が聞き取りやすく、音声警報を確実に認識することができる。次に、図6及び図7に示す実施例について説明する。
【0026】フロントカバー32の後側下部にハンドルシャフト66を軸支し、このハンドルシャフト66を下部ハンドルシャフト66aと上部ハンドルシャフト66bとに分割して、これらの接続部を自在継手(図示省略)により連結して、上部ハンドルシャフト66bを後下部に向けて回動できる構成とし、上部ハンドルシャフト66bの上端にはハンドル34を取り付けている。この上部ハンドルシャフト66bのハンドル34の下方にコラムカバー65を装着し、コラムカバー65の後方への突出部には、後方の座席31に向けて音声を発するスピーカー67を装備している。しかして、上部ハンドルシャフト66bを後下方に回動すると、コラムカバー65及びスピーカー67も共に後下方に回動し、スピーカー67の音声発信部が下方を向く構成である。
【0027】なお、コラムカバー65の側方には操作溝65aを設けて、主変速レバー68が操作溝65a内の路上走行位置、中立位置、植付速度位置、PTO変速位置にシフトできるようにし、また、上部ハンドルシャフト66bの後下方への回動時には、主変速レバー68も同様に中途部から折り曲げ回動できる構成である。
【0028】従って、乗用田植機を水洗いするときには、上部ハンドルシャフト66bを後下方に回動すると、スピーカー67の音声発信部が下向きとなり、スピーカー67への水の侵入を少なくすることができる。なお、コラムカバー65におけるスピーカー67の音声発信部に、開閉自在の開閉板を設けて、ハンドルシャフト66の後下部への回動に関連して、開閉板を閉鎖する構成としてもよい。
【0029】また、警報発信装置の前記コントローラに記憶装置を設けて、異常報知内容で未処理対応のものを記憶する構成とし、コントローラに接続しているメインスイッチ(図示省略)を入りにしたり、あるいは、エンジン20の始動をエンジン回転センサにより検出すると、前回作業時の異常警報内容で未処理のものをスピーカー67から再度発信する構成としている。
【0030】しかして、前回作業時のエンジン停止前の異常警報内容で未処理対応のもの、あるいは、異常警報が発信される前にメインスイッチをOFFにし警報が発信されていないものを、作業再開時に再度確認するができて、安全性及び作業性を向上させることができる。
【出願人】 【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
【出願日】 平成12年3月30日(2000.3.30)
【代理人】
【公開番号】 特開2001−275417(P2001−275417A)
【公開日】 平成13年10月9日(2001.10.9)
【出願番号】 特願2000−94832(P2000−94832)