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【発明の名称】 農作業機
【発明者】 【氏名】藤田 佳久

【要約】 【課題】農作業機において、対地作業装置の姿勢制御に用いられる状態検出手段の有効活用を図る。

【解決手段】対地作業装置の基準姿勢からの姿勢変化を検出する状態検出手段36を備えて、状態検出手段36の検出結果に基づいて対地作業装置の姿勢を制御する姿勢制御手段、及び状態検出手段36で検出された姿勢変化が大きくなれば、警報装置28を作動させる警報制御手段を備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 対地作業装置を姿勢変更自在に走行機体に備え、前記対地作業装置の基準姿勢からの姿勢変化を検出する状態検出手段を備えると共に、前記状態検出手段の検出結果に基づいて、前記対地作業装置の姿勢を制御する姿勢制御手段と、前記状態検出手段で検出された姿勢変化が大きくなれば、警報装置を作動させる警報制御手段とを備えてある農作業機。
【請求項2】 前記状態検出手段を前記対地作業装置のローリング作動を検出するように構成し、前記状態検出手段の検出結果に基づいて、前記対地作業装置のローリング姿勢を基準姿勢に維持するローリング制御を行うように、前記姿勢制御手段を構成してある請求項1に記載の農作業機。
【請求項3】 前記対地作業装置を昇降自在に前記走行機体に備え、前記対地作業装置に揺動自在に接地センサを備えて、前記接地センサの基準姿勢からの姿勢変化に基づいて、前記接地センサが基準姿勢に維持されるように、前記対地作業装置を昇降制御する昇降制御手段を備えると共に、前後方向での基準姿勢からの姿勢変化を検出する状態検出手段を備え、前記状態検出手段の検出結果に基づいて、前記昇降制御手段を補正する昇降補正制御手段を備えてある請求項2に農作業機。
【請求項4】 前記昇降補正制御手段が、前記対地作業装置を昇降自在に前記走行機体に連結するリンク機構のリンク比を変更するものである請求項3に記載の農作業機。
【請求項5】 前記昇降補正制御手段が、前記接地センサの前記対地作業装置に対する基準姿勢を変更するものである請求項3に記載の農作業機。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、対地作業装置を姿勢変更自在(例えばローリング姿勢又は昇降姿勢)に走行機体に備え、対地作業装置を姿勢制御可能に構成した田植機等の農作業機に関する。
【0002】
【従来の技術】対地作業装置を姿勢制御可能に構成した農作業機において、例えば対地作業装置の姿勢制御の一形態として対地作業装置のローリング制御を行う場合、対地作業装置にローリングセンサを取り付け、ローリングセンサの検出結果に基づいて対地作業装置を設定ローリング角に維持するように、対地作業装置のローリング制御を行っている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】従来の技術に記載の構成では、ローリングセンサは対地作業装置のローリング制御に使用されるだけであるので、機器構成の面で肥大化につながり易く、部品間の有効活用を検討してみる価値がある。本発明は農作業機において、対地作業装置の姿勢制御に用いられる状態検出手段の有効活用を図ることを目的としている。
【0004】
【課題を解決するための手段】[構成]請求項1の特徴は農作業機において、次のように構成することにある。対地作業装置を姿勢変更自在に走行機体に備え、対地作業装置の基準姿勢からの姿勢変化を検出する状態検出手段を備えると共に、状態検出手段の検出結果に基づいて、対地作業装置の姿勢を制御する姿勢制御手段と、状態検出手段で検出された姿勢変化が大きくなれば、警報装置を作動させる警報制御手段とを備えてある。
【0005】[作用及び発明の効果]請求項1の特徴によると、状態検出手段は姿勢制御手段における検出センサとして、対地作業装置の基準姿勢からの姿勢変化を検出するのであり、警報制御手段における検出センサとして、走行機体の姿勢変化を検出する。これにより、状態検出手段を兼用化することができる。
【0006】[構成]請求項2の特徴は、請求項1の特徴を備えた農作業機において、状態検出手段を対地作業装置のローリング作動を検出するように構成し、状態検出手段の検出結果に基づいて、対地作業装置のローリング姿勢を基準姿勢に維持するローリング制御を行うように、姿勢制御手段を構成してある。
【0007】[作用及び発明の効果]請求項2の特徴によると、請求項1の場合と同様に請求項1の[作用及び発明の効果]を備えており、これに加えて以下のような[作用及び発明の効果]を備えている。請求項2の特徴によると、状態検出手段により対地作業装置のローリング作動を検出して、状態検出手段を対地作業装置のローリング制御(姿勢制御手段)に利用できるのであり、走行機体の左右方向等への転倒防止に掛かる警報制御手段にも利用できる。これにより、状態検出手段を兼用化することができる。
【0008】[構成]請求項3の特徴は、請求項2の特徴を備えた農作業機において、対地作業装置を昇降自在に走行機体に備え、対地作業装置に揺動自在に接地センサを備えて、接地センサの基準姿勢からの姿勢変化に基づいて、接地センサが基準姿勢に維持されるように、対地作業装置を昇降制御する昇降制御手段を備えると共に、前後方向での基準姿勢からの姿勢変化を検出する状態検出手段を備え、状態検出手段の検出結果に基づいて、昇降制御手段を補正する昇降補正制御手段を備えてある。
【0009】[作用及び発明の効果]請求項3の特徴によると、請求項2の場合と同様に請求項2の[作用及び発明の効果]を備えており、これに加えて以下のような[作用及び発明の効果]を備えている。昇降制御手段では、対地作業装置に揺動自在に接地センサを備え、接地センサの対地作業装置に対する基準姿勢からの接地センサの姿勢変化に基づいて、接地センサの対地作業装置に対する基準姿勢に接地センサが維持されるように、対地作業装置を昇降制御するように構成されたものがある。このような昇降制御手段では、走行機体の対地姿勢が所定姿勢に維持されている場合に、適正な対地作業装置の昇降制御が行われる。
【0010】これに対して走行機体が凹凸によって前下がり姿勢等に変化すると、これに伴って対地作業装置も地面に対して姿勢を変化させる。このような状態になると、接地センサの対地作業装置に対する基準姿勢が変化したものになり、接地センサの対地作業装置に対する基準姿勢に接地センサが維持されるように、対地作業装置の昇降制御が行われる。これにより、変化した接地センサの対地作業装置に対する基準姿勢が、新たな接地センサの対地作業装置に対する基準姿勢として、対地作業装置の昇降制御が行われる。
【0011】請求項3の特徴によると、前後方向での基準姿勢からの姿勢変化を検出する状態検出手段を備え、状態検出手段の検出結果に基づいて昇降制御手段を補正する昇降補正制御手段を備えているので、状態検出手段の検出結果に基づいて補正が行われて、対地作業装置の昇降制御手段が適正に作動するようになる。
【0012】[構成]請求項4の特徴は、請求項3の特徴を備えた農作業機において、昇降補正制御手段が、対地作業装置を昇降自在に走行機体に連結するリンク機構のリンク比を変更するものである。
【0013】[作用及び発明の効果]請求項4の特徴によると、請求項3の場合と同様に請求項3の[作用及び発明の効果]を備えており、これに加えて以下のような[作用及び発明の効果]を備えている。請求項4の特徴によると、リンク機構のリンク比を変更することによって、接地センサを対地作業装置と一体で、走行機体に対する姿勢を変更することができるのであり、接地センサの対地作業装置に対する基準姿勢を変更することができる。これにより、走行機体の前後方向での姿勢が変化しても、その分だけリンク機構のリンク比を変更することによって、接地センサの対地作業装置に対する基準姿勢を維持することができる。
【0014】[構成]請求項5の特徴は、請求項3の特徴を備えた農作業機において、昇降補正制御手段が、接地センサの対地作業装置に対する基準姿勢を変更するものである。
【0015】[作用及び発明の効果]請求項5の特徴によると、請求項3の場合と同様に請求項3の[作用及び発明の効果]を備えており、これに加えて以下のような[作用及び発明の効果]を備えている。請求項5の特徴によると、接地センサの対地作業装置に対する基準姿勢を変更して、新たな接地センサの対地作業装置に対する基準姿勢とすることができるので、走行機体の前後方向での姿勢が変化しても、対地作業装置の昇降制御手段が適正に作動するようになる。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1に示すように、駆動型の前車輪1及び後車輪2を備えた走行機体3の前部に、エンジン4が搭載されている。走行機体3の後部に、エンジン4の動力が伝達される静油圧式の無段変速装置5及びミッションケース6が配置されている。走行機体3の中央部に運転座席7が配置され、走行機体3の後部にリフトシリンダ8で昇降駆動されるリンク機構9を介して、前後向き姿勢の軸芯Y周りでローリング自在に苗植付装置Aが連結されて、乗用型の田植機が構成されている。
【0017】図1に示すように、ステアリングハンドル11を支持するハンドルポストに前後進変速レバー19が備えられ、運転座席7の右側に昇降レバー10が備えられている。運転座席7の右側に苗植付装置Aの昇降制御と植付クラッチ53の入り及び切り操作とを行う昇降レバー10が備えられ、走行機体3の前部にステアリングハンドル11が備えられている。植付クラッチ53はミッションケース6に内装されており、ミッションケース6から苗植付装置Aに対して動力を伝達する伝動軸が決まった回転位相に在る場合にのみ、植付クラッチ53の切り操作が許容されて、苗植付装置Aの植付アーム17が圃場面Sとの接触を回避した姿勢で動力を遮断するように、植付クラッチ53が構成されている。
【0018】図1及び図3に示すように、苗植付装置Aはマット状苗Wを載置する苗載せ台13、伝動軸(図示せず)の動力が伝達される左右一対の伝動ケース14、伝動ケース14からチェーンケース15を介して伝達される動力で回転するロータリケース16、ロータリケース16に一対ずつ備えられた植付アーム17、センタフロート18C及びセンタフロート18Cの両側部に2つずつ配置されたサイドフロート18Sを備えて構成された接地フロート18(図6,7,8,9参照)を備えて10条植型式に構成されている。施肥装置Bが備えられており、植付作業時に苗載せ台13に載置されたマット状苗Wの下端から苗を、植付アーム17の植付爪が1株ずつ切り出して圃場面Sに植え付けると同時に、施肥装置Bが植え付けられた苗の近傍の圃場面Sに肥料を供給する。
【0019】図1及び図2に示すように、リンク機構9は上部のトップリンク9T及び下部のロアリンク9Lを備えて構成されており、リンク機構9の後端位置の縦フレーム9Vの下端のローリングボス21に、軸芯Y周りにローリング自在に苗植付装置Aが支持されている。図2に示すように、ローリングボス21にローリング自在に主フレーム22が支持されて、主フレーム22の左右両端部の縦向き姿勢の第1軸芯X1周りに揺動自在に支持アーム23が備えられ、支持アーム23の外端部にブラケット24を介して、縦向き姿勢の第2軸芯X2周りに揺動自在にツールフレーム25が備えられている。ブラケット24に支柱状フレーム26が備えられ、ツールフレーム25に伝動ケース14及びチェーンケース15、分割自在に構成された苗載せ台13、接地フロート18が支持されている。苗植付装置Aは左右一対の分割物AR,ALに分割され、第1軸芯X1周りに支持アーム23を後方に揺動させると同時に、第2軸芯X2周りにツールフレーム25を揺動させることによって、苗植付装置Aを格納姿勢に切り換えるように構成されている。
【0020】図2に示すように、縦フレーム9Vの上部に、フレーム30を介して横向き姿勢のネジ軸31が支持されている。ネジ軸31を正逆両方向に駆動するローリングモータ32、及びネジ軸31に螺合する移動部材33が備えられて、移動部材33と支柱状フレーム26との間に、延長ロッド34及びローリングバネ35が介装されており、ローリングモータ32の駆動力によって苗植付装置Aがローリング駆動される。支柱状フレーム26に重力式センサが取り付けられ、左右方向への苗植付装置Aのローリング作動を検出するローリングセンサ36が構成されており、ローリングセンサ36の検出結果に基づいて苗植付装置Aのローリング制御が行われる。
【0021】図3に示すように、苗植付装置Aに横向きに支持された植付深さ調節軸38から後方に支持アーム39が延出されており、センタフロート18Cが、支持アーム39の先端に、横向き姿勢の軸芯P周りに揺動自在に支持されている。植付深さ調節軸38から前方に向けて屈折リンク部材40が延出されており、屈折リンク部材40の前端部にセンタフロート18Cの前部が支持され、圃場面Sから接地反力を受けて屈折リンク部材40の伸縮により、センタフロート18Cが軸芯P周りに揺動する。
【0022】図3に示すように、支持アーム39に横向き姿勢の操作軸41周りに揺動自在に箱型の取付フレーム37が支持され、取付フレーム37にポテンショメータ型のフロートセンサ42が固定されている。取付フレーム37にギヤ機構(図示せず)が備えられて、ギヤ機構が操作軸41に連係されている。操作軸41と一体回転する操作アーム41Aと、センタフロート18Cに固定された固定アーム43とが操作ロッド44により四連リンク式に連結され、センタフロート18Cの軸芯P周りの揺動が、操作軸41及びギヤ機構を介してフロートセンサ42で計測される。植付深さ調節軸38に固定された部材45と取付フレーム37とに亘って、ロッド46が備えられている。植付深さ調節軸38を回動操作して植付深さを調節する場合、支持アーム39が揺動してもフロートセンサ42の計測値が変化しないように、固定アーム43によって取付フレーム37が逆回転される。
【0023】図3に示すように、植付深さ調節軸38に固定された調節アーム47と、チェーンケース15に上下揺動自在に支持された天秤部材48とが連結されている。天秤部材48とセンタフロート18Cの前端ブラケットとの間に、圧縮コイル型の感知バネ49が介装されている。植付深さ調節軸38の回動操作時に、センタフロート18Cの苗植付装置Aに対する姿勢を一定に維持する限り、感知バネ49の付勢力が変化しないように構成されている。
【0024】図4に示すように制御系が構成されており、制御系ではマイクロプロセッサを備えた制御装置56に、ダイヤル57Aで操作されるポテンショメータ型の感度設定器57の信号、フロートセンサ42の信号、ダイヤル58Aで操作されるポテンショメータ型のローリング角設定器58の信号、及びローリングセンサ36の信号が入力される入力系が構成されている。入力系に入力された信号は、制御装置56からリフトシリンダ8に対する電磁操作型の制御弁59への信号、ローリングモータ32に対するドライバ60への信号として出力される。
【0025】植付作業時において、センタフロート18Cが接地反力を受けて軸芯P周りに揺動すると、感度設定器57で設定された苗植付装置Aに対する基準姿勢にセンタフロート18Cが維持されるように、リフトシリンダ8が駆動されて苗植付装置Aが昇降駆動され、苗植付装置Aの昇降制御が行われる。ローリング角設定器58が水平位置に設定されている場合、左右外端のサイドフロート18Sが等しいレベルに維持される状態を制御目標として、ローリングモータ32が駆動されて苗植付装置Aがローリング駆動され、苗植付装置Aのローリング制御が行われる。
【0026】図4に示すように、感度設定器57のダイヤル57Aを敏側に操作するほど、センタフロート18Cの基準姿勢が前下がり側に変更されて、感知バネ49からセンタフロート18Cに作用する付勢力が低下し、センタフロート18Cの感知性能が高くなる。感度設定器57のダイヤル57Aを鈍側に操作するほど、センタフロート18Cの基準姿勢が前上がり側に変更されて、感知バネ49からセンタフロート18Cに作用する付勢力が高められ、センタフロート18Cの感知性能が低くなる。ローリング角設定器58のダイヤル58Aを水平位置から外れた位置に設定すると、ローリングセンサ36の検出値がダイヤル58Aの設定角度に対応するように、苗植付装置Aのローリング制御が行われる。
【0027】苗植付装置Aが左右方向の中央位置で、5条ずつに左右の分割物AR,ALに分割自在に構成されており、苗植付装置Aを結合状態に維持する作業姿勢及び分割された格納姿勢に切り換えることができる。図6,7,8,9に示すように、苗植付装置Aの各部が左右の分割物AR,ALを連結する状態と分離を許す状態に構成されている。図2に示すように、第1軸芯X1周りに揺動する支持アーム23の後端を、走行機体3の内方に向けて揺動させるアクチュエータ(図示せず)が備えられてる。支持アーム23の揺動に連動して、第2軸芯X2周りにツールフレーム25に支持されたものが、支持アーム23の揺動量の2倍の量だけ逆方向(ツールフレーム25の外端部が走行機体3の前方に向かう側)に揺動させる連動機構(図示せず)が備えられている。
【0028】これにより、苗植付装置Aを格納姿勢に切り換える場合、昇降レバー10の操作により苗植付装置Aを上限まで上昇駆動し、図6に示すように苗載せ台13を左の移動端部に移動させて停止させる。ロック機構(図示せず)のロックを解除した後、分割された右の分割苗載せ台13Rを、図7に示すように右の移動端部に移動させる(制御動作は詳述しない。この状態では左右の分割苗載せ台13R,13Lの間隔は約30センチメートルに達する)。
【0029】アクチュエータを格納側に作動させることで、図8に示すように第1軸芯X1周りの揺動で、支持アーム23の後端側が走行機体3の内方に向けて揺動すると同時に、第2軸芯X2周りにツールフレーム25に支持されたものが、支持アーム23の揺動速度の2倍の速度で逆方向(ツールフレーム25の外端部が走行機体3の前方に向かう側)に揺動して、図9に示すような苗植付装置Aの格納姿勢に達する。苗植付装置Aの格納姿勢では、左右の分割苗載せ台13R,13Lが走行機体3に接近し、左右の分割苗載せ台13R,13Lの上端縁同士が接近状態で平行になる姿勢に達するので、苗植付装置Aの全体の重量を走行機体3に寄せて、田植機の全体の重量バランスを向上させ、苗植付装置Aの左右方向の寸法を縮小することができる。格納姿勢の苗植付装置Aを作業姿勢に切り換える場合には、アクチュエータを逆方向に作動させることで済むものとなっている。
【0030】次に、ローリングセンサ36を使用して走行機体3の転倒防止を図る制御について説明する。前述のように、ローリングセンサ36を使用しての苗植付装置Aのローリング制御について説明したが、このローリング制御を姿勢制御と称し、これから説明する走行機体3の転倒防止を図る制御を警報制御と称する。ここで説明する警報制御としては、走行機体3の左右方向での転倒防止を図る警報制御と、走行機体3の前後方向での転倒防止を図る警報制御との、二つの警報制御について説明する。
【0031】ローリング制御及び警報制御を切り換える切換手段が備えられており、切換手段としてスナップスイッチ等を利用した人為的モード切換手段20が備えられている。図4に示すように、人為的モード切換手段20によりローリング制御から警報制御に切り換えて、ローリングセンサ36により走行機体3の左右傾斜角度を検出する。走行機体3の左右傾斜角度を検出する場合、苗植付装置Aが走行機体3と一体的にローリング作動するように、作業姿勢の状態で走行機体3に対する苗植付装置Aのローリング作動を規制する。
【0032】図1に示すように、苗植付装置Aの前端から左右一対の腕27が延出され、腕27がロアリンク9Lの下方に位置している。リンク機構9を上昇駆動すると上昇限度位置において、腕27がロアリンク9Lに下方から接当して、作業姿勢の苗植付装置Aの走行機体3に対する姿勢が決まる。次に走行機体3の左右傾斜角度の転倒防止角度を設定する為に、ローリング角設定器58を使用するが、別に転倒防止角設定器を設けてよい。ローリングセンサ36の検出値が転倒防止角度に到った場合、作業者に知らせる為に警報装置28が作動する。
【0033】以上のように、ローリングセンサ36を使用して走行機体3のローリング作動時に警報装置28を作動させる形態について説明したが、ローリングセンサ36を使用して、走行機体3の前後方向での転倒防止を図る警報制御に使用してもよい。図9に示すように苗植付装置Aの格納姿勢において、苗載せ台13が分割されて前後方向に沿った状態となる。この場合に、支柱状フレーム26に取り付られたローリングセンサ36は、検出方向が前後方向に沿ったものになり、走行機体3の前後方向での転倒防止に使用することができる。以上のようにローリングセンサ36を、基準姿勢から変化した状態を捉える状態検出手段と称する。
【0034】ローリング制御と警報制御とを切り換える手段として人為的モード切換手段20を採用しているが、植付作業状態か非植付作業状態かを検出して自動的に切り換えるようにしてもよい。図4に示すように、苗植付装置Aを植付作業高さや上昇限度位置、又は中間位置の任意の高さに設定可能な昇降レバー10が備えられており、昇降レバー10が植付作業位置に在るか否かをレバーセンサ29で検出し、レバーセンサ29の検出に基づいて、ローリング制御及び警報制御を自動的に切り換えるようにしてもよい。人為的モード切換手段20として使用できるものとして、前後進状態を切り換え設定する前後進変速レバー19の変速位置を検出する変速位置検出センサ54を備え、変速位置検出センサ54の検出に基づいて、植付作業状態か非植付作業状態かを判断し、ローリング制御及び警報制御を自動的に切り換えるようにしてもよい。
【0035】[発明の実施の別形態]
(1)苗植付装置Aの姿勢制御及び走行機体3の転倒防止を図る警報制御に、姿勢制御用のセンサを兼用する別の構成について説明する。前述の[発明の実施の形態]では、ローリングセンサ36を走行機体3の前後傾斜角度を検出するセンサとして利用する形態について説明したが、図4に示すように走行機体3の前後傾斜角度を検出する専用のピッチングセンサ50を備えて、ピッチングセンサ50の検出値を走行機体3の前後方向での転倒防止を図る警報制御及び昇降補正制御に利用する形態について説明する。
【0036】昇降制御では、苗植付装置Aの基準姿勢、例えばチェーンケース15の前端底面とセンタフロート18Cの前端との間隔が一定になるように(センタフロート18Cが基準姿勢となるように)、苗植付装置Aが昇降駆動されている。接地反力が高まってセンタフロート18Cが前上がり姿勢になると、苗植付装置Aと圃場面Sとの間隔が近くなり過ぎていると考えられるので、苗植付装置Aを上昇駆動して、センタフロート18Cを基準姿勢に戻すのであり、センタフロート18Cが前下がり姿勢になると、苗植付装置Aを下降駆動する。この場合、センタフロート18Cを接地センサとして利用しているが、センタフロート18Cとは別にセンサとして機能する小型の橇を設けてもよい。
【0037】以上のように昇降制御では、リンク機構9を介して苗植付装置Aを連結している走行機体3の姿勢が、圃場面Sに対して一定姿勢(基準姿勢)であることが前提となっている。これにより走行機体3が基準姿勢から外れると、次のような補正が施される。図5(イ)に示すように走行機体3が基準姿勢の状態から、図5(ロ)に示すように前下がり姿勢になると、走行機体3と一緒に圃場面Sに対して前下がり姿勢になる苗植付装置Aに対して、センタフロート18Cは一定姿勢を維持しようとして前下がり状態で安定する。図5(ロ)に示す状態では、植付深さが浅植え側に変化しているので、センタフロート18Cの基準姿勢を設定する感度設定器57の設定値を制御装置56のソフトで補正し、苗植付装置Aを昇降駆動して、センタフロート18Cを基準姿勢に戻す。補正後のセンタフロート18Cの姿勢が、図5(ハ)に示されている。
【0038】前述の構成では、センタフロート18Cの姿勢を苗植付装置Aに対して変更して補正を行ったが、次に苗植付装置A及びセンタフロート18Cの姿勢を、一体で走行機体3に対して補正する構成について説明する。図4に示すように、苗植付装置Aを走行機体3に昇降自在に連結するリンク機構9において、左右一対のトップリンク9Tに伸縮シリンダ51を介装し、伸縮シリンダ51の伸縮作動によって走行機体3に対する苗植付装置Aの姿勢を変更して、センタフロート18Cを基準姿勢に戻すようにする。補正の状態について図面に示してはいないが、走行機体3が前下がり姿勢になった場合には、伸縮シリンダ51を伸長させて苗植付装置A(センタフロート18C)の基準姿勢に戻す。
【0039】以上のように、人為的モード切換手段20によって、昇降制御を警報制御に切り換えると、補正に利用されたピッチングセンサ50を、走行機体3の前後傾斜角度を検出する警報制御のセンサとして利用することができる。ピッチングセンサ50の取付位置は、走行機体3だけではなく、苗植付装置Aに取り付けてもよい。
【0040】(2)前述の[発明の実施の形態]では、対地作業装置の一例として苗植付装置Aを挙げているが、他の作業装置である直播機等についても適用できる。状態検出手段としてローリングセンサ36を挙げているが、ピッチングセンサ50であってもよい。
【0041】(3)前述の[発明の実施の形態]では、苗植付装置Aとして分割式のものを示したが、4条植型式や6条植型式等の少数植型式の田植機に本発明を適用する場合には、苗植付装置Aとして分割式ではない型式を利用して次のような構成となる。図2に示すように、支柱状フレーム26に取り付けられたローリングセンサ36の検出値に基づいて、苗植付装置Aのローリング制御を行う。警報制御では、苗植付装置Aを上昇駆動し、固定手段により苗植付装置Aと走行機体3とを一体化して、ローリングセンサ36の検出値に基づいて左右傾斜角度が転倒防止角度を越えると、警報装置28を作動させるようにする。警報制御は先に記載した通りであり、苗植付装置Aが分割されない構成である点が異なるだけである。
【出願人】 【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
【出願日】 平成9年12月26日(1997.12.26)
【代理人】 【識別番号】100107308
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 修一郎
【公開番号】 特開2001−245511(P2001−245511A)
【公開日】 平成13年9月11日(2001.9.11)
【出願番号】 特願2001−36607(P2001−36607)