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【発明の名称】 植物種子の発芽促進方法
【発明者】 【氏名】大平 ひずる

【要約】 【課題】農薬等の化学物質を用いることなく、またセルトレイなどを用いた苗生産において、簡便な作業により植物種子の発芽率を向上せしめる方法を提供する。

【解決手段】植物種子をエンテロバクター属に属する微生物、例えばEnterobacter cloacae No.11-5(FERM P−8884)の培養ろ液に浸漬した後播種する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 植物種子をエンテロバクター属に属する微生物の培養ろ液に浸漬した後播種することを特徴とする植物種子の発芽促進方法。
【請求項2】 エンテロバクター属に属する微生物として、Enterobactercloacae No.11-5(FERM P−8884)が用いられる請求項1記載の植物種子の発芽促進方法。
【請求項3】 播種時に水浸積を必要とする植物種子に適用される請求項1または2記載の植物種子の発芽促進方法。
【請求項4】 播種時に水浸積を必要とする植物がアカザ科、ユリ科またはナス科の植物である請求項3記載の植物種子の発芽促進方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、植物種子の発芽促進方法に関する。更に詳しくは、微生物の培養ろ液を用いて植物種子の発芽を促進する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、栽培品種の多くは雑種第一代(F1)の種子が苗生産に用いられているが、これは高価であるため農業生産において発芽率のより一層の向上が課題とされている。また、苗生産過程においては、セルトレイが多用されるようになってきている。
【0003】環境保全の面からは、有機農業すなわち無農薬農業が注目されており、それに伴い有益微生物を利用する研究が数多く報告されている。例えば、本出願人は先に、Enterobacter cloacae No.11-5(FERM P−8884)の代謝産物の凍結乾燥物を用いた植物栽培の促進法を提案している(特開平2-240008号公報)。しかるに、微生物の培養液をそのまま用いた場合には、種子処理自体が困難であり、また水溶液により種子を処理すると種子の発芽率が低下したり、種子が腐敗しやすいという問題がみられた(同公報第2頁右上欄参照)。一方、微生物自体あるいは微生物の培養液を凍結乾燥したものを種子に塗布する方法も考えられるが、作業の簡便さからみて適当ではなく、特に播種時に水浸積を必要とする植物種子に対しては適当ではない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、農薬等の化学物質を用いることなく、またセルトレイなどを用いた苗生産において、簡便な作業により植物種子の発芽率を向上せしめる方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】かかる本発明の目的は、植物種子をエンテロバクター属に属する微生物の培養ろ液に浸漬した後播種することによって達成される。
【0006】
【発明の実施の形態】植物種子の発芽率を向上せしめる能力を有するエンテロバクター属に属する微生物としては、例えばEnterobacter cloacae No.11-5(FERM P−8884)などが用いられる。この微生物は、本出願人によってインドール酢酸を生成せしめる能力を有する微生物として自然界から分離されたものである(特公平6-40829号公報)。
【0007】Enterobacter cloacae No.11-5(FERM P−8884)の培養は、任意の培地を用い、振とう条件下で37℃、約72〜90時間程度行われる。この際、培地1L当たり約0.1〜0.4%程度トリプトファンを添加しておくと、それから得られる培養液の発芽促進効果は一層高められる。また、本培養に先立って、同様の培地で前培養したものを用いることも好ましいことである。
【0008】植物種子の発芽率を向上せしめるためには、前処理として植物の種子を培養ろ液に所定時間浸漬した後、植物培養土に播種することによって行われる。具体的には、前処理としてEnterobacter cloacae No.11-5(FERM P−8884)の培養ろ液を通常250〜1000倍程度に希釈したものに植物種子を浸漬させることが必要とされる。そして、この植物種子の希釈培養ろ液への浸漬が約12〜24時間行われた後、植物培養土に播種する。
【0009】本発明の対象とされる植物は特に限定されないが、好ましくはホウレンソウなどのアカザ科、ネギなどのユリ科あるいはペチュニアなどのナス科の植物など、播種前に水浸漬を必要とする植物が挙げられる。
【0010】
【発明の効果】本発明により、農薬等の化学物質を用いることなく、かつ簡便な作業により植物種子の発芽率向上を図ることが可能となる。
【0011】次に、実施例について本発明を説明する。
【0012】
【実施例】実施例1硫酸アンモニウム 0.1%リン酸一カリウム 1%硫酸マグネシウム 0.01%クエン酸ナトリウム 0.05%グルコース 0.2%トリプトファン 0.3%以上の組成を有する滅菌済みの培地(pH 7.0)85mlを容量1Lの滅菌済みの三角フラスコに添加し、滅菌後冷却した。これに上記組成の培地15mlで前培養したEnterobacter cloacae No.11-5(FERM P−8884)を添加し、100回/分の条件で振とうさせながら37℃で72時間培養した後、遠心分離して微生物を除き、培養ろ液を得た。
【0013】次に、培養ろ液を500倍に希釈し、この希釈液100mlにホウレンソウ(品種:ソロモン)の種子1gを20時間浸漬させた。その後、セルトレイ(2×2×4cm)に植物培養土をつめて、培養ろ液希釈液に浸漬処理した種子を1粒ずつ播種したところ、18〜30℃の温室内における14日間後の発芽率(N=100)は93%であった。
【0014】実施例2実施例1において、ホウレンソウの種子1gの代わりにネギ(品種:永吉冬一本太)の種子0.2gを用いて同様の操作を行ったところ、14日間後の発芽率(N=100)は95%であった。
【0015】実施例3実施例1において、ホウレンソウの種子1gの代わりにペチュニア(品種:バカラ)の種子0.01gを用いて同様の操作を行ったところ、14日間後の発芽率(N=100)は82%であった。
【0016】比較例1実施例1において、培養ろ液希釈液の代わりに水を用いて同様の操作を行ったところ、14日間後の発芽率(N=100)は86%であった。
【0017】比較例2実施例2において、培養ろ液希釈液の代わりに水を用いて同様の操作を行ったところ、14日間後の発芽率(N=100)は83%であった。
【0018】比較例3実施例3において、培養ろ液希釈液の代わりに水を用いて同様の操作を行ったところ、14日間後の発芽率(N=100)は68%であった。
【出願人】 【識別番号】000004385
【氏名又は名称】エヌオーケー株式会社
【出願日】 平成12年2月29日(2000.2.29)
【代理人】 【識別番号】100066005
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 俊夫 (外1名)
【公開番号】 特開2001−238506(P2001−238506A)
【公開日】 平成13年9月4日(2001.9.4)
【出願番号】 特願2000−52820(P2000−52820)