| 【発明の名称】 |
田植機 |
| 【発明者】 |
【氏名】吉田 和正
【氏名】北井 浩昭
【氏名】岸岡 雄介
【氏名】藤井 健二
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| 【要約】 |
【課題】株間を大きく変更しても植付け爪によって田面に形成される穴を小さくして、姿勢乱れや倒れなく好適に植付けを行うことができるようにする。
【解決手段】苗のせ台16の下端から田面Tに亘る縦長の爪先端回動軌跡Pをもって循環回動する植付け爪28を有する植付け機構18を備えている。この植付け機構18への伝動系に不等速伝動機構を備え、植付け爪28が苗のせ台16から苗を取出して田面Tに向けて移動する下降行程の速度よりも、取出した苗を田面Tに植え込む植付け行程の速度が速くなるように設定してある。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 苗のせ台の下端から田面に亘る縦長の爪先端回動軌跡をもって循環回動する植付け爪を有する植付け機構を備え、この植付け機構への伝動系に不等速伝動機構を備え、前記植付け爪が前記苗のせ台から苗を取出して田面に向けて移動する下降行程の速度よりも、取出した苗を田面に植え込む植付け行程の速度が速くなるように設定してあることを特徴とする田植機。 【請求項2】 苗のせ台の下端から田面に亘る縦長の爪先端回動軌跡をもって循環回動する植付け爪を有する植付け機構を備え、この植付け機構への伝動系に不等速伝動機構を備え、前記植付け爪が前記苗のせ台から苗を取出して田面に向けて移動する下降行程の速度よりも、苗のせ台の下端部を通過する苗取出し行程の速度、および、取出した苗を田面に植え込む植付け行程の速度が速くなるように設定してあることを特徴とする田植機。 【請求項3】 前記不等速伝動機構を、咬合される一対の偏心ギヤまたは非円形ギヤで構成し、この偏心ギヤまたは非円形ギヤの前記植付け機構に対する回転位相を変更可能に構成してある請求項1または2に記載の田植機。 【請求項4】 機体走行速度に対する前記植付け機構の速度を複数段に切換え変更する株間変速機構を内臓したミッションケースの外側に、前記株間変速機構と直列伝動関係にあるギヤ変速部を設け、このギヤ変速部における一対のギヤを組み替え可能に構成してある請求項1〜3のいずれか一項に記載の田植機。 【請求項5】 前記植付け機構への伝動系に定位置停止機能を有する植付けクラッチを装備するとともに、前記植付け機構が最低速あるいはそれに近い速度で作動する回転位相に、前記植付けクラッチのクラッチ切り位相を合わせてある請求項1〜4のいずれか一項に記載の田植機。 【請求項6】 前記不等速伝動機構を、前記植付けクラッチの伝動上手側に配備してある請求項5記載の田植機。 【請求項7】 フィードケースに、前記苗のせ台を一定ストロークで往復横移動させる苗のせ台横送り機構、苗のせ台に載置した苗を下方に送る苗縦送り機構、および、前記植付け機構への伝動手段を備え、このフィードケースへの伝動系に前記不等速伝動機構を配備してある請求項1〜6のいずれか一項に記載の田植機。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、苗のせ台の下端から田面に亘る縦長の爪先回動軌跡をもって循環回動する植付け爪を有する植付け機構を備えた田植機に係り、特には、その駆動構造に特徴を有する田植機に関する。 【0002】 【従来の技術】田植機の植付け機構には、植付け爪をクランク式に駆動するものと、回転ケースの両端に植付け爪を備えたロータリ式のものが利用されており、いずれの型式においても、植付け機構は等速で駆動されている。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】田植機においては、機体の移動速度に対して植付け機構の速度を変更することで、植付け苗の機体進行方向における間隔、いわゆる株間を切換え選択することができるようになっているのであるが、株間を大きく変更した場合に以下のような不具合が発生するものであった。 【0004】例えば、株間を標準より大きくして疎植を行うように切換えると、この場合は、機体の移動速度に対して植付け機構の速度を遅くなるように速度変更を行うので、植付け爪の作動速度も遅くなり、植付け爪が苗を田面に押し込む植付け行程において、植付け爪が田面に突入している時間が長くなり、その分、植付け爪によって田面にあけられる穴が大きくなってしまい、植付け苗の姿勢が悪化したり、時には植え付けた苗が倒れてしまうような現象がもたらされる。 【0005】逆に、株間を標準より小さくして密植を行うように切換えると、この場合は、機体の移動速度に対して植付け機構の速度を速くなるように速度変更を行うので、植付け爪の作動速度も速くなり、植付け爪の田面に対する突入速度が速過ぎて、植付け爪から分離された苗が勢い余って姿勢を乱すことがある。 【0006】本発明は、このような点に着目してなされたものであって、株間を大きく変更しても好適に植付けを行うことができるようにすることを主たる目的とする。 【0007】 【課題を解決するための手段】〔請求項1に係る発明の構成、作用および効果〕 【0008】(構成) 請求項1に係る発明の田植機は、苗のせ台の下端から田面に亘る縦長の爪先端回動軌跡をもって循環回動する植付け爪を有する植付け機構を備え、この植付け機構への伝動系に不等速伝動機構を備え、前記植付け爪が前記苗のせ台から苗を取出して田面に向けて移動する下降行程の速度よりも、取出した苗を田面に植え込む植付け行程の速度が速くなるように設定してあることを特徴とする。 【0009】(作用) 上記構成によると、植付け爪の植付け行程において田面に突入している時間が短くなり、等速で植付け爪を作動させる場合に植付け爪によって田面にあけられる穴よりも小さいものとなる。 【0010】(効果) 従って、請求項1に係る発明によると、走行速度に対して植付け爪の循環作動速度を低くしても、植付け苗の姿勢が悪化したり、時には植え付けた苗が倒れてしまうような現象が無くなり、株間の大きい疎植を良好に行うことができるようになった。 【0011】〔請求項2に係る発明の構成、作用および効果〕 【0012】(構成) 請求項2に係る発明の田植機は、苗のせ台の下端から田面に亘る縦長の爪先端回動軌跡をもって循環回動する植付け爪を有する植付け機構を備え、この植付け機構への伝動系に不等速伝動機構を備え、前記植付け爪が前記苗のせ台から苗を取出して田面に向けて移動する下降行程の速度よりも、苗のせ台の下端部を通過する苗取出し行程の速度、および、取出した苗を田面に植え込む植付け行程の速度が速くなるように設定してあることを特徴とする。 【0013】(作用) 上記構成によると、植付け爪が苗のせ台の下端部を通過する苗取出し行程において、苗のせ台を通過する時間が短くなり、等速で植付け爪を循環作動させる場合よりも植付け爪は苗のせ台に載置された苗を素早く切り取ることになり、根の絡みが強くて分離性の悪い苗でも確実に切り取ることができる。また、植付け爪の植付け行程において田面に突入している時間が短くなり、等速で植付け爪を循環作動させる場合に植付け爪によって田面にあけられる穴よりも小さいものとなる。 【0014】(効果) 従って、請求項2に係る発明によると、走行速度に対して植付け爪の循環作動速度を低くしても、植付け苗による苗の切り取りを迅速良好に行うことができ、苗の取り量が安定するとともに、植付け苗の姿勢が悪化したり、時には植え付けた苗が倒れてしまうような現象が無くなり、株間の大きい疎植を良好に行うことができるようになった。 【0015】〔請求項3に係る発明の構成、作用および効果〕 【0016】(構成) 請求項3に係る発明の田植機は、請求項1または2に記載の発明において、前記不等速伝動機構を、咬合される一対の偏心ギヤまたは非円形ギヤで構成し、この偏心ギヤまたは非円形ギヤの前記植付け機構に対する回転位相を変更可能に構成してある。 【0017】(作用) 上記構成によると、偏心ギヤまたは非円形ギヤの植付け機構に対する回転位相を変更することで、植付け爪が苗のせ台から苗を取出して田面に向けて移動する下降行程の速度よりも、取出した苗を田面に植え込む植付け行程の速度が速くなるように設定したり、逆に、植付け爪が苗のせ台から苗を取出して田面に向けて移動する下降行程の速度よりも、取出した苗を田面に植え込む植付け行程の速度が遅くなるように設定したりすることが可能となり、前者の場合は疎植を行うのに好適となり、後者の場合には密植に好適となる。また、これらの中間状態を現出することもできる。 【0018】(効果) 従って、請求項3に係る発明によると、走行速度に対して植付け爪の循環作動速度を変更するとともに、偏心ギヤまたは非円形ギヤの植付け機構に対する回転位相を変更することで、疎植仕様、密植仕様、あるいは、標準的な株間での植付け仕様とに簡単に仕様変更でき、実用上の利便性に優れたものとなる。 【0019】〔請求項4に係る発明の構成、作用および効果〕 【0020】(構成) 請求項4に係る発明の田植機は、請求項1〜3のいずれか一項に記載の発明において、機体走行速度に対する前記植付け機構の速度を複数段に切換え変更する株間変速機構を内臓したミッションケースの外側に、前記株間変速機構と直列伝動関係にあるギヤ変速部を設け、このギヤ変速部における一対のギヤを組み替え可能に構成してある。 【0021】(作用) 上記構成によると、ミッションケース内の株間変速機構を最低速に切換るとともに、ミッションケースの外側のギヤ変速部の一対のギヤで更に大きく減速することで、機体走行速度に対する植付け機構の速度を疎植に適した速度に設定することができる。 【0022】(効果) 従って、請求項4に係る発明によると、疎植仕様を含んだ多くの段数の株間変速機構をミッションケースに予め組み込んでおかなくても、あるいは、ミッションケースを分解して株間変速機構を疎植仕様に変更するような煩わしい手間をかけることなく、ミッションケースの外側でのギヤ組み替えだけの簡単な変更処理で所望の疎植仕様を得ることができ、実用上の利便性が大きい。 【0023】〔請求項5に係る発明の構成、作用および効果〕 【0024】(構成) 請求項5に係る発明の田植機は、請求項1〜4のいずれか一項に記載の発明において、前記植付け機構への伝動系に定位置停止機能を有する植付けクラッチを装備するとともに、前記植付け機構が最低速あるいはそれに近い速度で作動する回転位相に、前記植付けクラッチのクラッチ入り切り位相を合わせてある。 【0025】(作用) 上記構成によると、植付け機構が最低速あるいはそれに近い速度で作動する状態でクラッチ入り切り作動を行うことになるので、植付けクラッチが入れられて植付け機構が起動する衝撃や、作動している植付け機構が停止する衝撃は比較的小さいものとなる。 【0026】(効果) 従って、請求項5に係る発明によると、植付けクラッチが入り切りされる場合における起動衝撃や停止衝撃が少なく、全体として円滑な植付け作動を行うことができる。 【0027】〔請求項6に係る発明の構成、作用および効果〕 【0028】(構成) 請求項6に係る発明の田植機は、請求項5記載の発明において、前記不等速伝動機構を、前記植付けクラッチの伝動上手側に配備してある。 【0029】(作用) 上記構成によると、植付けクラッチ自体が不等速で回転するので、最低速あるいはそれに近い速度で作動している時に、クラッチ切り作動がオーバーランなどなく無理なく確実に行われることになり、正確な定位置停止が実行される。また、咬み合い式の植付けクラッチが入り切り作動する時も、最低速あるいはそれに近い速度で作動しているので、衝撃少なく円滑にクラッチ入り作動が行われる。特に、咬み合い式の植付けクラッチでは、咬み合い部位に比較的大きいあそびを形成して、クラッチ入り作動の確実化を図るのであるが一般的であるが、低速で確実にクラッチ入り作動を行う本発明の構成によると、咬み合い部位に形成するあそびは小さいものですみ、このため、咬み合いが開始される際の衝撃が更に少ないものとなる。 【0030】(効果) 従って、請求項6に係る発明によると、不等速する回転伝動系に植付けクラッチを合理的に介在することによって、植付けクラッチの定位置停止機能を高めることができる。また、衝撃の少ないクラッチ入り作動を可能にして、植付けクラッチの耐久性を向上させる上でも有効となる。 【0031】〔請求項7係る発明の構成、作用および効果〕 【0032】(構成) 請求項7に係る発明の田植機は、請求項1〜6のいずれか一項に記載の発明において、フィードケースに、前記苗のせ台を一定ストロークで往復横移動させる苗のせ台横送り機構、苗のせ台に載置した苗を下方に送る苗縦送り機構、および、前記植付け機構への伝動手段を備え、このフィードケースへの伝動系に前記不等速伝動機構を配備してある。 【0033】(作用) 上記構成によると、苗のせ台が横送りストロークエンドに到達して、載置した苗の最下端列が取り終えられると苗縦送り機構が送り作動し、その後に次列の最初の苗取出しが行われる。従って、植付け爪が苗のせ台から苗を取出して田面に向けて移動する下降行程の速度よりも、取出した苗を田面に植え込む植付け行程の速度が速くなる疎植仕様に設定されていると、苗のせ台が横送りストロークエンドに到達するとともに苗縦送り機構が送り作動するタイミングは、不等速回転における低速の位相に相当する。このため、苗のせ台がストロークエンドにおいて反転横移動する際の横移動加速度は低く、載置した苗の慣性による横ずれが少なくなる。また、苗を搬送ベルトに載置して縦送りする苗縦送り機構では、苗縦送り機構の苗送り作動が低速で行われることで、搬送ベルトと苗との間でのスリップが無くなる。 【0034】(効果) 従って、請求項7に係る発明によると、苗のせ台に載置した苗が、苗のせ台の反転横送りに伴ってずれ動くような不具合を減少することができるとともに、スリップのない確実な苗縦送りを行うことができ、苗取り量の安定化に有効となる。 【0035】 【発明の実施の形態】図1に、本発明に係る田植機の一実施形態を示す全体側面図が示されている。この田植機は、操向前輪1と後輪2を備えた4輪駆動型の乗用走行機体3の後部に、油圧シリンダ4によって駆動される昇降リンク機構5を介して6条植え仕様の苗植付け装置6が昇降自在に連結された構造となっている。 【0036】前記乗用走行機体3の前部にはエンジン7が搭載され、このエンジン7と、操向前輪1を備えたミッションケース8とがベルト式無段変速装置で構成された主変速装置9で連動連結され、エンジン出力が主変速装置9で変速された後、ミッションケース8に伝達されて走行系と作業系に分岐され、走行系の動力が左右の操向前輪1に伝達されるとともに、機体下腹部の主軸10を介して機体後方の後部伝動ケース11に伝達された後、左右の後輪2に伝達され、更に、ミッションケース8内で分岐された作業系の動力は、機体下腹部の作業用伝動軸12および伝動軸13を介して苗植付け装置6に伝達されるようになっている。 【0037】図2などに示すように、苗植付け装置6は、前記昇降リンク機構5の後端に連結される角パイプ状の横長フレーム14、前記伝動軸13を介して作業系の動力を受けるフィードケース15、苗Fを載置して一定ストロークで往復横移動する苗のせ台16、横長フレーム14の長手方向複数箇所から後ろ向き片持ち状に延出された複数の植付けケース17、各植付けケース17の後端部左右に装備されたロータリ式の植付け機構18、田面Tの植付け予定箇所を均平化する複数の整地フロート19、等によって構成されており、フィードケース15には、苗のせ台16を一定ストロークで往復横送りするネジ送り式の苗のせ台横送り機構20、苗のせ台16がストロークエンドに到達するごとに載置した苗Fを苗のせ台16下端の苗取出し口aにまで縦送りするベルト式の苗縦送り機構21が装備されている。 【0038】図2、図5などに示すように、植付けケース17の基端にはフィードケース15から動力を受ける横向き伝動軸22が備えられており、この横向き伝動軸22の動力は、駆動スプロケット23、従動スプロケット24、および、チェーン25を介して植付け駆動軸26に伝達され、この植付け駆動軸26の両突出端に連結された左右の植付け機構18を駆動するようになっている。植付け機構18は、植付け駆動軸26に連結された回転ケース27と、これの両端に自転可能に装備された一対の植付け爪28とからなり、回転ケース27が前方に向けて1回転(公転)すると、各植付け爪28が逆方向に1回転(自転)して、植付け爪28の先端が縦長の回動軌跡Pを描くように、回転ケース27内には植付け爪28を回転ケース27の公転に対して不等速自転させるギヤ機構が内臓されている。 【0039】ここで、駆動スプロケット23から従動スプロケット24へのチェーン伝動は2分の1減速の伝動となっており、伝動軸22の2回転で回転ケース27が1回転するようになっている。また、前記チェーン25にはタイトナー29が押圧ボルト30によって適度に強く押圧されて、駆動中にチェーン25が振動することが抑制されている。 【0040】図3および図4に、前記ミッションケース8内の伝動構造が示されている。このミッションケース8の入力軸31には前記主変速装置9の従動プーリ32が遊嵌装着されるとともに、従動プーリ32と入力軸31との間に乾式多板クラッチからなる主クラッチ33がクラッチ入り付勢状態で装備され、運転部の足元に備えた主クラッチペダル34の踏み込みによって切り操作されるようになっている。 【0041】入力軸31に伝達された動力は、ギヤG1 ,G2 を介して第2軸35に伝達された後、副変速機構36を介して第3軸37に伝達される。副変速機構36は、第3軸37にスプライン装着したシフトギヤG3 をシフトして前進2段、後進1段の変速を行うものであり、図示のようにシフトギヤG3 を第2軸35に固設したギヤG4 に咬合させることで植付け作業速度である前進低速が得られ、シフトギヤG3 を左方にシフトして第3軸37に遊嵌したギヤG5 に側方から咬合させることで、移動用の速度である前進高速が得られ、また、シフトギヤG3 を右方にシフトして第4軸38のギヤG6 に咬合させることで後進が得られるようになっている。なお、前進高速用のギヤG5 は、第2軸35に遊嵌したギヤG7 を介して入力軸に一体化したギヤG8 に連動連結され、また、後進用のギヤG6 を固着した第4軸38は、ギヤG9 ,G10を介して第2軸35に連動連結されている。 【0042】そして、第3軸37に伝達された変速動力は、ギヤG11および前輪用デフ装置39を介して左右の前輪用車軸40に伝達されるとともに、後輪駆動用の主軸10に伝達されている。 【0043】なお、第2軸35のギヤG2 は、図示のように入力軸31のギヤG1 に咬合する標準伝動状態と、ギヤG1 から離脱して第2軸35に遊嵌してあるギヤG7 に側方から爪咬合する減速伝動状態とにシフト可能に構成されており、この減速伝動状態を選択するとともに、シフトギヤG3 で前進低速あるいは後進を選択することで、一層低速で走行することができ、畦越えや運搬車両の荷台への積み降ろし走行に利用することができる。 【0044】前記第4軸38が、走行系と分岐された作業系の伝動軸となるものであり、この第4軸38はミッションケース8から外方に突出されるとともに、第2軸35と同心に配備した第5軸41もミッションケース8から外方に突出され、これら第4軸38および第5軸41のケース外突出部分にギヤ変速部42が設けられ、脱着可能なカバーケース43によって覆われている。 【0045】図4に示すように、前記ギヤ変速部42は、疎植のための大きいギヤ減速を行うものに構成されており、第4軸38のケース外突出部分38aにスプライン装着した小径ギヤG12と、第5軸41のケース外突出部分41aにスプライン装着した大径ギヤG13とが咬合されて、第5軸41が大きく減速駆動されるようになっている。 【0046】このように減速駆動される第5軸41と、第6軸44とに亘って株間変速機構45が設けられている。この株間変速機構45は、第5軸41に設けた3個のギヤG14,G15,G16に対して、第6軸44にスプライン装着した2段のシフトギヤG17,G18を選択して咬合させることで、第6軸44を3段に変速可能に構成されている。 【0047】そして、このように変速された作業系の動力は、第6軸44からベベルギヤG19,G20を介して前後向きの第7軸46に伝達された後、トルクリミッタ47、不等速伝動機構48、および、植付けクラッチ49を介して作業用出力軸50に伝達され、これが作業用伝動軸12および伝動軸13によって苗植付け装置6のフィードケース15に伝達されるようになっている。 【0048】前記トルクリミッタ47は、第7軸46にスライド変位可能にスプライン装着した駆動側ディスク51と第7軸46に遊嵌した従動側ディスク52とを伝動ボール53を介して係合連動するとともに、駆動側ディスク51を従動側ディスク52側にバネ54によって強く押圧するよう構成したものであり、従動側ディスク52の回転負荷が設定以上に大きくなると、駆動側ディスク51がバネ54に抗して後退変位して、駆動側ディスク51から従動側ディスク52への回転動力伝達が遮断され、苗植付け装置6に過大な負荷が作用するのを回避するようになっている。 【0049】前記不等速伝動機構48は、従動側ディスク52に一体化された偏心ギヤ56と、作業用出力軸50に遊嵌した偏心ギヤ57とを咬合させて構成されている。これら偏心ギヤ56,57は、図4、図6に示すように、同径の円形ギヤの回転中心を円形中心から偏らせた偏心平ギヤで構成されており、駆動側となる偏心ギヤ56の1回転に対して従動側となる偏心ギヤ57は、図7に示すような特性で1回転されるようになっている。 【0050】図4、図6に示すように、植付けクラッチ49は、作業用出力軸50にスライド変位可能にスプライン装着したクラッチボス58が、偏心ギヤ57に部分円弧状の係合突起57a,58aを介して係合されるとともにバネ59によって係合方向にスライド付勢された構造となっており、シフトフォーク60を支軸61周りに反時計方向に回動させてクラッチボス58をバネ59に抗して後退変位させ、偏心ギヤ57との係合を解除することで、作業用出力軸50からの動力取り出しを断つように構成されたものであり、シフトフォーク60から延出した牽制アーム60aが、クラッチボス58の牽制フランジ部58bの周方向一箇所に切り欠き形成した凹部58cに合致した時だけ、シフトフォーク60のクラッチ切り方向への回動が許されるようになっている。つまり、植付けクラッチ49には、1回転中の設定された一定小範囲の位相においてのみクラッチ入り切り作動が可能な定位置停止機能が備えられているのである。 【0051】上記したようにして動力伝達される作業用出力軸50は、図7に示す特性を持って不等速回転するので、この動力を受ける苗植付け装置6も不等速作動する。つまり、フィードケース15に不等速回転動力が入力されると、植付けケース17の基部に横架された伝動軸22が不等速回転し、これが2分の1減速されて植付け駆動軸26に伝達されることで、植付け機構18の回転ケース27が1回転中に2回の高速状態と2回の低速状態を繰り返す。ここで、回転ケース27の両端部に装備された植付け爪28が苗のせ台16から苗を取出して田面Tに向けて移動する下降行程の速度、および、植付け爪28が田面Tから苗のせ台16の下端にまで移動する上昇行程の速度が遅く、苗のせ台16の下端部を通過する苗取出し行程の速度、および、取出した苗を田面Tに植え込む植付け行程の速度が速くなるように、回転ケース27の回転位相が設定されている。 【0052】図8(イ)は、前記不等速伝動機構48を導入した作業用伝動系において、株間変速機構45を最大の株間に設定して疎植(例えば株間24cm)を行う場合の、植付け爪28の田面Tに対する爪先端回動軌跡を示し、また、図8(ロ)は、不等速伝動機構48を導入しない等速の作業用伝動系において、株間を上記と同一に設定して疎植を行う場合の、植付け爪28の田面Tに対する爪先端回動軌跡を示している。 【0053】図8から明らかなように、不等速伝動機構48を導入した場合には、植付け行程の速度が速いために、田面Tに突入した植付け爪28によって形成される穴の前後幅wが小さくなり、植え付けられた苗が爪跡穴によって大きく傾いて姿勢を乱したり、倒れたりするようなことはない。これに対し、不等速伝動機構48を導入しない場合には、植付け行程の速度が遅いために、田面Tに突入した植付け爪28によって形成される穴の前後幅wが大きくなり、植え付けられた苗が爪跡穴によって大きく傾いて姿勢を乱したり、倒れたりするおそれがある。 【0054】また、1回転で2回の植え付けを行うロータリ式の植付け機構18においては、一方の植付け爪28が植付け行程にある時には、他方の植付け爪28は苗のせ台16の下端部を通過する苗取出し行程にあるので、この苗取出し行程も植付け爪28の下降行程や植え付け後の上昇行程の速度より速いものとなり、苗のせ台16の下端部を速やかに通過して、苗を確実に切り出してゆく。 【0055】ここで、不等速伝動を行う作業伝動系において、植付けクラッチ49を入り切りすることのできる回転位相は1回転中の一定位相範囲に限られているので、植付けクラッチ49の入り切りの前後で、苗植付け装置6の各部での作動位相が変化してしまうようなことはない。 【0056】また、苗のせ台16が横送りストロークエンドに到達すると苗縦送り機構21が作動するのであるが、そのタイミングは、横送りストロークエンドに到達する直前の苗取り出し行程と次の逆方向への横送り開始時の最初の苗取り出し行程との間となる。つまり、苗縦送り機構21の縦送り作動および苗のせ台16の横移動方向転換は、不等速伝動における低速位相で実行されることになる。従って、苗縦送り機構21の縦送り作動が低速で行われることで、苗送りベルト20と載置苗との間でスリップが発生しにくくなる。また、苗のせ台16の横移動方向転換も低速の位相で行われることで、載置苗Fの慣性による横ずれが発生しにくくなる。 【0057】なお、疎植を行わない場合には、図9に示すように、前記ギヤ変速部42を標準的な仕様に変更することができる。この場合、株間変速機構45のミションケース外部に配備したギヤ変速部42は、外径が同一で歯数が少し異なるギヤG21,G22対してシフトギヤG23を選択咬合させて2段の変速を行うよう構成されており、株間変速機構45の変速との組み合わせによって、標準の株間の範囲で多段(6段)の株間変速が行えるものとなっている。 【0058】〔別実施形態〕前記不等速伝動機構48を構成する一対の偏心ギヤ56,57の装着位相を植付け機構18に対して180度変更することで、植付け爪28が苗のせ台16から苗を取出して田面Tに向けて移動する下降行程、および、植付け爪28が田面Tから苗のせ台16の下端にまで移動する上昇行程の速度が速く、苗のせ台16の下端部を通過する苗取出し行程の速度、および、取出した苗を田面Tに植え込む植付け行程の速度を遅くすることができる。このようにすると、機体の移動速度に対して植付け機構の速度を速くなるように速度変更を行って、株間を標準より小さくして密植を行う場合、植付け爪28の田面Tに対する突入速度が適度に遅くなって、植付け爪28から分離された苗が勢い余って姿勢を乱すようなことが回避できる。 【0059】前記不等速伝動機構48を構成するギヤとしては、上記したように外周が円形の偏心ギヤを利用する他に、楕円ギヤやピッチ径が任意の特性で変化する非円形ギヤを利用することも可能である。また、偏心クランク機構を利用して前記不等速伝動機構48を構成することもできる。 【0060】前記不等速伝動機構48は、必ずしも苗植付け装置6の伝動上手に設ける必要はなく、例えば、苗植付けケース17内のチェーン伝動系で不等速伝動を行って、回転ケース27を不等速駆動することも可能である。 【0061】上記実施形態では、植付け機構18として、回転ケース27の1回転で2株の植え付けを行うロータリ式のものを例示しているが、クランク駆動される単一の植付け爪で1回転ごとに1株づつの植え付けを行うものに適用することもできる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000001052 【氏名又は名称】株式会社クボタ
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| 【出願日】 |
平成12年2月15日(2000.2.15) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100107308 【弁理士】 【氏名又は名称】北村 修一郎
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| 【公開番号】 |
特開2001−224213(P2001−224213A) |
| 【公開日】 |
平成13年8月21日(2001.8.21) |
| 【出願番号】 |
特願2000−36601(P2000−36601) |
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