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【発明の名称】 播種機用粒状物散布装置
【発明者】 【氏名】根本 正久

【要約】 【課題】播種機による種播き作業の過程で農薬の散布を行い、播種時散布の農薬を使用する場合の散布作業の簡略化を図ることで農作業の身体的な負担を軽減する。

【解決手段】搬送過程にある育苗箱Cよりも上方に配置されて農薬を収納する収納ケース10と、収納ケース10に連通する管状のノズル部20とを備え、ノズル部20は、収納ケース10よりも下方かつ搬送過程にある育苗箱Cの上方に配置され、育苗箱Cに相対する下側部には収納ケース10から重力に任せて流れ落ちる農薬を外部に流出させる流出孔が設けられている農薬散布装置を採用する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 播種用のトレイを搬送しながら該トレイに対し土入れや播種を行う播種機に設置され、前記トレイに対し農薬等の粒状物を散布する播種機用粒状物散布装置であって、搬送過程にある前記トレイよりも上方に配置されて前記粒状物を収納する収納部と、該収納部に連通する管状のノズル部とを備え、前記ノズル部は、前記収納部よりも下方かつ搬送過程にある前記トレイの上方に配置され、前記トレイに相対する下側部には前記収納部から送られる前記粒状物を外部に流出させる流出孔が設けられていることを特徴とする播種機用粒状物散布装置。
【請求項2】 前記収納部およびノズル部が、自立式のフレームに支持されることを特徴とする請求項1記載の播種機用粒状物散布装置。
【請求項3】 前記収納部およびノズル部が、前記播種機に搭載されることを特徴とする請求項1記載の播種機用粒状物散布装置。
【請求項4】 前記流出孔は前記ノズル部の長手方向に離間して複数設けられていることを特徴とする請求項1、2または3記載の播種機用粒状物散布装置。
【請求項5】 前記ノズル部は先端を下げて傾斜した状態に保持されていることを特徴とする請求項4記載の播種機用粒状物散布装置。
【請求項6】 前記流出孔から流出する粒状物を受けてこれを拡散させる拡散部が設けられていることを特徴とする請求項1、2、3、4または5記載の播種機用粒状物散布装置。
【請求項7】 前記流出孔からの粒状物の流出量を調節する流出量調節機構が設けられていることを特徴とする請求項1、2、3、4、5または6記載の播種機用粒状物散布装置。
【請求項8】 前記流出量調節機構は、前記ノズル部の内側に配置されるとともに前記下側部に沿って移動可能に支持されその移動に伴って前記流出孔の露出を規制し開口面積を変化させる規制部と、該規制部を移動させ所望の位置で停止させる操作部とを備えることを特徴とする請求項7記載の播種機用粒状物散布装置。
【請求項9】 前記トレイが前記ノズル部の下方を通過するとき、該トレイの通過を検出して前記流出孔を開閉するノズル開閉機構を備えることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7または8記載の播種機用粒状物散布装置。
【請求項10】 前記ノズル開閉機構は、前記ノズル部の少なくとも下側部に沿って移動可能に支持されその移動に伴って前記流出孔を露出させるかまたは覆い隠す開閉部と、搬送過程にある前記トレイを検出する検出部と、該検出部の検出結果に基づいて前記開閉部を移動させる駆動部とを備えることを特徴とする請求項9記載の播種機用粒状物散布装置。
【請求項11】 前記ノズル部に振動を加える加振機構が設けられていることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9または10記載の播種機用粒状物散布装置。
【発明の詳細な説明】【0001 】
【発明の属する技術分野】本発明は、稲作用の苗床を作る作業や、野菜のポット栽培作業に使用される播種機用の粒状物散布装置に関するものである。
【0002 】
【従来の技術】稲作において、苗の発芽から水田への植え付けは次のような手順に従ってなされるのが一般的である。まず、苗床を設けた箱の中に種籾をまいて発芽させ、一定の大きさになるまで育てる。ここで用いられる箱は育苗箱と呼ばれ、所定の規格に従って作られたものである。
【0003 】次に、育苗箱においてある程度の大きさにまで育てた苗を本田(田起こしが済んで水を引いた田のこと)に植え付ける。田植え作業は現在ではほとんど機械化されて田植機で行われているが、育苗箱は田植機に苗をのせることを前提にして作られたものである。
【0004 】近年、育苗箱への種播き作業は専用の播種機によって行われるようになっている。播種機は、育苗箱を搬送する過程で育苗箱に対し床土入れ、施肥、灌水、播種、覆土を行って育苗箱への種播き作業を自動的に行うもので、大規模農家における作業性の向上や、農業従事者の高齢化に伴う作業の簡略化を図るうえで欠かせない存在となりつつある。
【0005 】播種機が普及する一方、稲作に使用する農薬についても様々な改善がなされ、散布時期が本田への植え付け時もしくは植え付け後であった従来のものにかわって育苗箱への播種時に散布するものが開発されている。これは、従来の農薬が広い本田での散布作業を必要とするのに対し、育苗箱という非常に小さな容器に散布を行えば良いことから、散布作業の簡略化を図るうえで画期的な技術として期待されている。
【0006 】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記のような播種時散布の農薬を使用する場合、播種機による種播き作業中、もしくは種播きを終えた育苗箱に農薬を散布することになるが、この散布作業を手作業で行っていては播種機による効果が半減してしまう。また、手作業では農薬を適切な量だけ均一に散布することが非常に難しく、散布量が足りなかったり多かったりして十分な効果を得られないこともある。
【0007 】本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであり、播種機による種播き作業の過程で農薬の散布を行い、播種時散布の農薬を使用する場合の散布作業の簡略化を図ることで農作業の身体的な負担を軽減するとともに、農薬を決められた量だけ正確に、かつ対象となる散布域に偏りなく均一に散布することを可能にして無駄のない散布作業を実現することを目的としている。
【0008 】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するための手段として、次のような構造の播種機用粒状物散布装置を採用する。すなわち、請求項1記載の播種機用粒状物散布装置は、播種用のトレイを搬送しながら該トレイに対し土入れや播種を行う播種機に設置され、前記トレイに対し農薬等の粒状物を散布する播種機用粒状物散布装置であって、搬送過程にある前記トレイよりも上方に配置されて前記粒状物を収納する収納部と、該収納部に連通する管状のノズル部とを備え、前記ノズル部は、前記収納部よりも下方かつ搬送過程にある前記トレイの上方に配置され、前記トレイに相対する下側部には前記収納部から送られる前記粒状物を外部に流出させる流出孔が設けられていることを特徴とする。
【0009 】この播種機用粒状物散布装置においては、播種機によって搬送過程にあるトレイの上方にノズル部を配置したうえで収納部に粒状物、例えば農薬を投入すると、粒状物はノズル部に流れ込み、流出孔からこぼれ落ちるようにして流出しトレイ上に落下する。これにより、播種時におけるトレイへの農薬散布が自動的に行えるようになるので、散布作業の簡略化が図れる。なお、散布が可能な粒状物には、農薬に限らず肥料や種子等が含まれる。
【0010 】請求項2記載の播種機用粒状物散布装置は、請求項1記載の播種機用粒状物散布装置において、前記収納部およびノズル部が、自立式のフレームに支持されていることを特徴とする。
【0011 】この播種機用粒状物散布装置においては、収納部およびノズル部を自立式のフレームに支持させることにより、機種や構造を問わずどのような播種機に対しても使用可能となり、高い汎用性が得られる。
【0012 】請求項3記載の播種機用粒状物散布装置は、請求項1記載の播種機用粒状物散布装置において、前記収納部およびノズル部が、前記播種機に搭載されることを特徴とする。
【0013 】この播種機用粒状物散布装置においては、収納部およびノズル部を播種機に搭載することにより、播種機以外の設置スペースを確保する必要がない。
【0014 】請求項4記載の播種機用粒状物散布装置は、請求項1、2または3記載の播種機用粒状物散布装置において、前記流出孔が前記ノズル部の長手方向に離間して複数設けられていることを特徴とする。
【0015 】この播種機用粒状物散布装置においては、流出孔をノズル部の長手方向に離間して複数設けることにより、ノズル部の長手方向に幅をもたせて粒状物を散布できるようになる。そこで、搬送過程にあるトレイの進行方向に直交する向きにノズル部を配置すれば、トレイがノズル部の下方を通過する間にトレイ全体に農薬を散布することも可能である。
【0016 】請求項5記載の播種機用粒状物散布装置は、請求項4記載の播種機用粒状物散布装置において、前記ノズル部が先端を下げて傾斜した状態に保持されていることを特徴とする。
【0017 】この播種機用粒状物散布装置においては、ノズル部を傾斜した状態に保持することにより、収納部から流れ込む粒状物がノズル部の長手方向に離間する複数の流出孔から偏りなく流出するようになる。
【0018 】請求項6記載の播種機用粒状物散布装置は、請求項1、2、3、4または5記載の播種機用粒状物散布装置において、前記流出孔から流出する粒状物を受けてこれを拡散させる拡散部が設けられていることを特徴とする。
【0019 】この播種機用粒状物散布装置においては、流出孔から流出した粒状物が拡散部を経る際に拡散されてトレイ上に落下するので、各流出孔ごとの粒状物の偏りが改善される。
【0020 】請求項7記載の播種機用粒状物散布装置は、請求項1、2、3、4、5または6記載の播種機用粒状物散布装置において、前記流出孔からの粒状物の流出量を調節する流出量調節機構が設けられていることを特徴とする。
【0021 】この播種機用粒状物散布装置においては、流出量調節機構を設けることにより、粒状物の種類や散布濃度に応じて粒状物の流出量を調節することが可能になる。
【0022 】請求項8記載の播種機用粒状物散布装置は、請求項7記載の播種機用粒状物散布装置において、前記流出量調節機構は、前記ノズル部の内側に配置されるとともに前記下側部に沿って移動可能に支持されその移動に伴って前記流出孔の露出を規制し開口面積を変化させる規制部と、該規制部を移動させ所望の位置で停止させる操作部とを備えることを特徴とする。
【0023 】この播種機用粒状物散布装置においては、操作部を操作することで規制部が移動し流出孔の開口面積が変化する。これにより、粒状物の流出量を調節することが可能になる。
【0024 】請求項9記載の播種機用粒状物散布装置は、請求項1、2、3、4、5、6、7または8記載の播種機用粒状物散布装置において、前記トレイが前記ノズル部の下方を通過するとき、該トレイの通過を検出して前記流出孔を開閉するノズル開閉機構を備えることを特徴とする。
【0025 】この播種機用粒状物散布装置においては、ノズル開閉機構を設けることにより、必要なときだけ粒状物を散布することが可能になる。
【0026 】請求項10記載の播種機用粒状物散布装置は、請求項9記載の播種機用粒状物散布装置において、前記ノズル開閉機構は、前記ノズル部の少なくとも下側部に沿って移動可能に支持されその移動に伴って前記流出孔を露出させるかまたは覆い隠す開閉部と、搬送過程にある前記トレイを検出する検出部と、該検出部の検出結果に基づいて前記開閉部を移動させる駆動部とを備えることを特徴とする。
【0027 】この播種機用粒状物散布装置においては、当初は開閉部で流出孔を覆い隠して閉じておき、搬送過程にあるトレイを検出部が検出すると、その検出結果に基づいて駆動部が開閉部を移動させて流出孔を露出させて開くようにすることで、必要なときだけ粒状物を散布することが可能になる。そこで、ノズル部の下方に差し掛かるとトレイを検出し通過してしまうと検出しなくなるように検出部を配置すれば、トレイに対して無駄なく粒状物を散布することができるようになる。
【0028 】請求項11記載の播種機用粒状物散布装置は、請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9または10記載の播種機用粒状物散布装置において、前記ノズル部に振動を加える加振機構が設けられていることを特徴とする。
【0029 】この播種機用粒状物散布装置においては、ノズル部に加振機構を設けることにより、ノズル部内での粒状物のつまりを防止することが可能になる。加えて、ノズル部に取り付けられた拡散部を振るわせて拡散作用を促す働きもある。
【0030 】
【発明の実施の形態】本発明に係る実施形態を図1ないし図5に示して説明する。本実施形態には、本発明に係る播種機用粒状物散布装置を適用した播種機用の農薬散布装置を示す。図に示す農薬散布装置は、粒状の農薬を収納する収納ケース(収納部)10と、収納ケース10に連結されて農薬の供給を受けるノズル部20と、収納ケース10およびノズル部20を固定されて自立するフレーム50とを備えている。
【0031 】収納ケース10はプラスチック成形された函型で、播種機の育苗箱(トレイ)搬送面よりも上方に配置されてフレーム50に固定されている。収納ケース10の上部には開閉可能な蓋体11が取り付けられている。また、収納ケース10の内底12はノズル部20との連結部分に向けて下るように傾斜して設けられている。
【0032 】ノズル部20は断面円形の直管状で、収納ケース10下部の連結部分にゴム製のじゃばら13を介して連結されており、収納ケース10よりも下方でかつ播種機の育苗箱搬送面よりも上方に配置されてフレーム50から側方に伸びたサブフレーム51にベルト52を介して吊り下げ支持されている。さらに、ノズル部20は、封止された先端を下げて水平な育苗箱搬送面に対し所定の角度で傾斜した状態に保持されている。
【0033 】ノズル部20の下側部には、収納ケース10から重力に任せて流れ落ちる農薬をノズル部20の外に流出させる流出孔21が、ノズル部20の長手方向に等間隔に離間して複数設けられている。ノズル部20には、流出孔21から流出する農薬を受ける網状部(拡散部)22がノズル部20にステー23を介して吊り下げ支持されている。また、灌水の際にノズル部20が水に濡れるのを防止するとともに農薬の過度の飛散を防止するビニール製の飛散防止カーテン24が取り付けられている。
【0034 】ノズル部20には、各流出孔21からの農薬の流出量を調節する流出量調節機構30が設けられている。流出量調節機構30は、ノズル部20の内側に嵌合配置されて長手方向に移動可能に支持された内筒(規制部)31と、内筒31を移動させる操作部32とを備えている。
【0035 】内筒31には流出孔21に一致させて複数の流通孔33が形成されており、内筒31を移動させて流出孔21と流通孔33との重なりを広げたり狭めたりすることで流出孔21の開口面積を変化させて農薬の流出量を調節するようになっている。
【0036 】操作部32は、ノズル部20の封止された先端面に形成された雌ネジ部34と、この雌ネジ部34に螺入されるとともに回動を妨げられないように内筒31に先端を連結された雄ネジ部35とからなり、雄ネジ部35の基端に設けられたツマミ36を正逆いずれかの方向に回転させることで内筒31をノズル部31内で長手方向に移動させ、これによって流出孔21と流通孔33との重なりを変化させるようになっている。
【0037 】また、この農薬散布装置には、育苗箱がノズル部20の下方を通過するときにその通過を検出して流出孔21を開閉するノズル開閉機構40が設けられている。ノズル開閉機構40は、移動可能に支持されたその移動に伴って流出孔21を露出させるかまたは覆い隠す遮蔽板(開閉部)41と、搬送過程にある育苗箱を検出する可倒式のオン/オフセンサ(検出部)42と、オン/オフセンサ42の検出結果に基づいて遮蔽板41を移動させるスライドモータ(駆動部)43とを備えている。
【0038 】遮蔽板41はノズル部20の下側部に合致する断面円弧の樋のような形状をなしている。遮蔽板41にはノズル部20に形成された各流出孔21に対応して同数の開口41aが形成されており、これら開口41aを通して各流出孔21を露出させることで農薬の流出を可能にしている。
【0039 】遮蔽板41には長手方向に長い2つの長孔がやはり長手方向に離間して開設されており、遮蔽板41はノズル部20の下側部に配置され、各長孔を通してノズル部20の下側部に規制ピンを固着されることで、ノズル部20の下側部に沿って長手方向に所定の範囲(長孔の長さに相当)の間で移動可能に支持されている。
【0040 】オン/オフセンサ42は、サブフレーム51にステー53によって吊り下げ支持されており、搬送面上を一方向に搬送される育苗箱の側縁に触れることによってノズル部20の下方を通過する育苗箱を検出するようになっている。
【0041 】オン/オフセンサ42の下方には、へら状のサポート板45が付属して設けられている。サポート板45は育苗箱の搬送方向に直交する向きに配置されてステー53に揺動自在に軸支されており、育苗箱が多少ずれて搬送されてきても、ある程度の幅をもったへら状の先端が育苗箱の側縁にあたって揺動し、後端がオン/オフセンサ42をオン状態にスイッチングするようになっている。また、オン/オフセンサ42は育苗箱の検知から農薬流出までの時間の遅れを考慮してノズル部20より手前に配置されている。
【0042 】スライドモータ43は、出没するスライド軸43aを遮蔽板41の基端に連結されてノズル部20の基端に固定されており、オン/オフセンサ42が育苗箱を検出(オン状態)すると、スライド軸43aを駆動し遮蔽板41を移動させて流出孔21を開き、オン/オフセンサ42が育苗箱を検出しなくなる(オフ状態)と、スライド軸43aを逆方向に駆動し遮蔽板41を戻して流出孔21を閉じるようになっている。
【0043 】また、この農薬散布装置には、ノズル部20に振動を加えて農薬のつまりを防止するとともに網状部22を振るわせてふるいとしての作用を促すバイブレータ(加振機構)46が設けられている。バイブレータ46は、偏重心の錘りを回転させて自らを振動させる構造となっており、ノズル部20の基端にスライドモータ43と隣接して固定されている。
【0044 】ノズル開閉機構40、バイブレータ46はいずれも図示しない電源から電力の供給を受けて作動するようになっている。また、収納ケース10にはノズル開閉機構40、バイブレータ46への電力供給を断続する主スイッチ47が設けられている。なお、電源には家庭用等の商用電力や直流バッテリー等が使用可能である。
【0045 】続いて、上記のように構成された農薬散布装置を使用して播種機による育苗箱への種播き作業の過程で農薬散布を行う手順について説明する。最初に、一般的な播種機の構造について簡単に説明しておくと、播種機は、図5に示すように育苗箱を水平な一方向に搬送するベルトコンベヤBを備える架台上に、ベルトコンベヤBの搬送方向に沿って上流側から床土投入装置D1、播種装置D2、覆土投入装置D3が順に配置されたものである。なお、図示は省略するが灌水装置が設けられる場合もある。そして、ベルトコンベヤBの上流側に育苗箱Cを載置すると、下流側に搬送される過程でその育苗箱Cに対して床土入れ、播種、覆土(場合によっては灌水)が実施されるようになっている。
【0046 】種播き作業に際しては、まず、農薬散布装置を播種機に設置する必要がある。農薬散布のタイミングは農薬の種類によって床土投入の後、播種の後、覆土投入の後というふうに異なる場合があるので、農薬散布のタイミングが床土投入の後であれば床土投入装置D1と播種装置D2との間、播種の後であれば播種装置D2と覆土導入装置D3との間、覆土投入の後であれば覆土投入装置D3の後ろというように各タイミングに応じて農薬散布装置の設置位置を変更する。
【0047 】以下では農薬散布のタイミングが播種の後である場合について説明する。まず、ノズル部20を播種装置D2と覆土投入装置D3との間に差し入れるようにして農薬散布装置を設置する。収納ケース10に農薬を投入してから主スイッチを入れると農薬散布装置が起動し、バイブレータ46が振動し始める。
【0048 】続いて播種機を作動させ、ベルトコンベヤBの上流側に育苗箱Cを載置すると、下流側に搬送される過程でその育苗箱Cにまず床土が投入され、続いて種籾が播かれる(この間で灌水が行われる場合もある)。
【0049 】種播きをなされた育苗箱Cは止まることなく進行し、ノズル部20の下方に差し掛かると、育苗箱Cの側縁にサポート板45があたって揺動し、オン/オフセンサ42が育苗箱Cを検出する。
【0050 】オン/オフセンサ42が育苗箱Cを検出すると、スライドモータ43が作動し遮蔽板41を移動させて流出孔21が開かれ、開かれた流出孔21からは農薬が流出する。流出孔21から流出した農薬は網状部22を透過する過程で拡散されて育苗箱C上に落下する。育苗箱Cがノズル部20の下を通過するあいだ農薬の散布は続く。
【0051 】ノズル部20の下を育苗箱Cが通過してしまうとサポート板45が元の位置に戻り、オン/オフセンサ42が育苗箱Cを検出しなくなる。これに伴いスライドモータ43が先程とは逆方向に作動し遮蔽板41を元の位置に戻して流出孔21が閉じられ、農薬の流出は停止する。
【0052 】農薬散布をなされた育苗箱Cはなおも止まることなく進行し、床土の上に覆土が投入されてすべての工程を終える。種播き作業の過程での農薬散布は以上のようにして行われるが、実際には育苗箱Cを間隔をほとんど空けることなく次々に設置ことになるので、ノズル部20は連続的に農薬を散布し続け、育苗箱Cが途切れたときに農薬の流出が停止するようになる。
【0053 】なお、農薬の散布量を調節する場合は、ノズル部20の先端にあるツマミ36を回転させ、流出孔21の開口面積を変化させる。
【0054 】以上のように、播種機による種播き作業の過程で上記農薬散布装置を使用すれば、育苗箱Cへの農薬散布が自動的に行えるようになるので、散布作業の簡略化を図ることができる。また、農薬を決められた量だけ正確に、かつ育苗箱C上に偏りなく均一に散布することを可能にして無駄のない散布作業を実現することができる。
【0055 】上記農薬散布装置は、管状のノズル部20を床土投入装置D1と播種装置D2との間や播種装置D2と覆土導入装置D3との間といった狭い空間に差し込んで使用すること、フレーム50が自立式であることから、複数のメーカーのあらゆる機種の播種機にも、播種機自体に手を加えることなく使用することができる。さらに、操作が簡単であることから、高齢の農業従事者にも扱い易くなっている。
【0056 】加えて、構造が単純で製造コストが安価であることから、消費者に対し無理な負担を強いることなく提供することができる。
【0057 】なお、本実施形態においては農薬散布装置を例に説明したが、本発明に係る播種機用粒状物散布装置によって散布が可能な粒状物には、農薬に限らず肥料や種子等が含まれる。したがって、本発明に係る播種機用粒状物散布装置を、肥料や種子の散布装置として適用することも可能である。
【0058 】また、本実施形態においてはノズル部20を断面円形の直管状としたが、これに限らず例えば断面矩形の管を用いてもよい。この場合、角の部分を下方に向けるようにする。
【0059 】本実施形態においては農薬のつまりを解消しノズル部20への供給を促す機構としてバイブレータ46を採用したが、これにかえて農薬をノズル部20の基端側から先端に向けて順次繰り出す機構(例えば螺旋状の部材をノズル部20内で回転させる)、基端部から先端に向けて空気を送り込む機構等を採用してもよい。
【0060 】本実施形態においては拡散部にふるいのような網状部22を採用したが、これにかえて斜めに傾斜した板を採用してもよい。この場合、流出孔21から流出した農薬は板にあたって拡散しながら育苗箱上に落下する。
【0061 】本実施形態においては収納部10およびノズル部20を自立式のフレーム50に支持させる構成としたが、播種機にブームを取り付けてこれに収納部10およびノズル部20を支持させたり、収納部10およびノズル部20を直に播種機に取り付ける等、播種機に収納部10およびノズル部20を搭載するようにしてもよい。
【0062 】さらに、本実施形態においては稲作用の苗床を作る播種機に適用した例について説明したが、本発明に係る播種機用粒状物散布装置は、これに限らず例えば野菜のポット栽培作業にも適用可能である。
【0063 】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係る請求項1記載の播種機用粒状物散布装置によれば、播種機によって搬送過程にあるトレイの上方にノズル部を配置したうえで収納部に粒状物を投入すると、ノズル部からトレイへの農薬散布が自動的に行えるようになるので、播種作業時における粒状物の散布を容易に実施することができる。
【0064 】請求項2記載の播種機用粒状物散布装置によれば、収納部およびノズル部を自立式のフレームに支持させることにより、機種や構造を問わずどのような播種機に対しても使用可能となり、高い汎用性が得られる。
【0065 】請求項3記載の播種機用粒状物散布装置によれば、収納部およびノズル部を播種機に搭載することにより、播種機以外の設置スペースを確保する必要がなく、作業性を高める一助となる。
【0066 】請求項4記載の播種機用粒状物散布装置によれば、流出孔をノズル部の長手方向に離間して複数設けることにより、搬送過程にあるトレイの進行方向に直交する向きにノズル部を配置すれば、トレイがノズル部の下方を通過する間にトレイ全体に農薬を散布することができる。
【0067 】請求項5記載の播種機用粒状物散布装置によれば、ノズル部を傾斜した状態に保持することにより、収納部から流れ込む粒状物がノズル部の長手方向に離間する複数の流出孔から偏りなく流出するようになるので、トレイ全体に均一に粒状物を散布することができる。
【0068 】請求項6記載の播種機用粒状物散布装置によれば、ノズル部の下方に拡散部を設けることにより、流出孔から流出した粒状物が拡散部を経る際に拡散されてトレイ上に落下するので、各流出孔ごとの粒状物の偏りが改善され、トレイ全体により均一に粒状物を散布することができる。
【0069 】請求項7記載の播種機用粒状物散布装置によれば、流出量調節機構を設けることにより、粒状物の種類や散布濃度に応じて粒状物の流出量を調節することができる。
【0070 】請求項8記載の播種機用粒状物散布装置によれば、操作部を操作して簡単に流出量を調節することができ、使用状況や操作する作業者を問わない高い操作性が得られる。
【0071 】請求項9記載の播種機用粒状物散布装置によれば、ノズル開閉機構を設けることにより、必要なときだけ粒状物を散布することができる。これを利用すれば、トレイにだけ粒状物を散布することが可能になり、散布作業を無駄なく効率的に実施することができる。
【0072 】請求項10記載の播種機用粒状物散布装置によれば、ノズル部の下方に差し掛かるとトレイを検出し通過してしまうと検出しなくなるように検出部を配置することにより、トレイに対して無駄なく効率的に粒状物を散布することができる。
【0073 】請求項11記載の播種機用粒状物散布装置によれば、ノズル部に加振機構を設けることにより、ノズル部内での粒状物のつまりを防止することが可能になる。加えて、ノズル部に取り付けられた拡散部を振るわせて拡散作用を促す働きもある。これによって粒状物を均一に、かつ安定して散布することができる。
【出願人】 【識別番号】000114938
【氏名又は名称】ヤマト農磁株式会社
【出願日】 平成12年2月15日(2000.2.15)
【代理人】 【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武 (外1名)
【公開番号】 特開2001−224205(P2001−224205A)
【公開日】 平成13年8月21日(2001.8.21)
【出願番号】 特願2000−36800(P2000−36800)