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【発明の名称】 トクサ科植物の増殖方法
【発明者】 【氏名】坂谷内 義光

【氏名】安倍 信悦

【氏名】飯塚 修

【氏名】幸田 秀穂

【要約】 【課題】ダム湖法面又は湖底若しくは水際の緑化に最も適したトクサ科植物の増殖法を提供する。

【解決手段】トクサ科植物(特にミズドクサ及び/又はイヌスギナ)の地上茎及び/又は地下茎を基床に植栽及び/又は敷き詰め、充分に土壌水分を維持した状態でマット状に増殖する段階を含むことを特徴とするトクサ科植物の増殖方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 トクサ科植物の地上茎及び/又は地下茎を基床に植栽及び/又は敷き詰め、土壌水分が適潤又は過湿である状態、或いは土壌が深さ1cm以上の水に浸った状態のいずれかの状態に維持しながらマット状に増殖する段階を含むことを特徴とするトクサ科植物の増殖方法。
【請求項2】 トクサ科植物がミズドクサ及び/又はイヌスギナである、請求項1記載のトクサ科植物の増殖方法。
【請求項3】 前記マット状に増殖する段階が、地上茎及び/又は地下茎を基床に敷き詰め、その上を基床と同様の培養土で覆い、更に化学性繊維又は天然植物性繊維で形成した不織マットで覆い、全体の土壌水分が適潤又は過湿である状態、或いは土壌が深さ1cm以上の水に浸った状態のいずれかの状態に維持し、該不織マットに地下茎を絡ませながら増殖する段階であることを特徴とする、請求項1又は2に記載のトクサ科植物の増殖方法。
【請求項4】 トクサ科植物を増殖する基床が休耕田又はその他の湛水可能な遊休地であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載のトクサ科植物の増殖方法。
【請求項5】 トクサ科植物を増殖する基床を満たす水の流速が≧0m/分の状態であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載のトクサ科植物の増殖方法。
【請求項6】 請求項1〜5のいずれか1項に記載の増殖方法で収穫した前記トクサ科植物のマット状増殖体の水分を収穫時の50%以下に減じ、さらにロール状に巻き取った状態に加工してなるトクサ科植物のマット状増殖体。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ダム湖法面又は湖底若しくは水際の緑化に最も適したトクサ科植物の増殖法に関し、詳しくはトクサ科ミズドクサ及び/又はイヌスギナの増殖法に関し、環境緑化技術の分野に属する発明である。更に詳しくは、本発明は、間欠的に水没する法面、たとえば水位変動によって生じるダム湖岸裸地部の浸食を未然に防止し、それによってダム本来の機能維持を図るとともに、良好な自然景観を復元するための緑化材料として、最も有望な植物であるトクサ科ミズドクサ及び/又はイヌスギナの地上茎及び/又は地下茎を用い、土壌水分が適潤若しくは深さ1cm以上の水に浸した状態で、且つ基床を満たす水の流速が0m又はそれを越える状態で育成を図りながら増殖することからなる、トクサ科ミズドクサ及び/又はイヌスギナの増殖方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ダムの水位は、融雪水をはじめ多量の降雨や干ばつ等の気象条件に加え、人為操作によっても大きく変動し、ダム湖法面及び湖底は水没と露出を繰り返す過程で、波浪や水の流れによって表土が浸食されることから、既往植物の枯死にとどまらず、周辺から風で植物の種子が運ばれ、極めて少ない確率で発芽することがあってもダム湖法面や湖底に根をおろし定着することはない。その為、水位低下時に裸地化したダム湖法面及び湖底は醜く、悲惨な様相を呈しているばかりでなく、浸食された大量の土砂が湖底に堆積し、ダム本来の機能を著しく低下させて大きな社会問題となっている。
【0003】特に、農業用ダム一般の水位管理は、水田に給水が終了する9月上旬にはほぼ湖底まで水位を低下させ、再び貯水を開始する12月中旬までの約3か月間、ダムに水が無い状態が続く。従って、東北、北海道等の多雪地帯では降雪期までの約2か月半、ダム湖法面又は湖底が露出し、裸地化した醜い状態に曝されるばかりでなく、初雪が降る季節には霙や降雨と共にダム湖法面が頻繁に浸食され、土砂が湖底に堆積する為、貯水量が低下しダム本来の機能を著しく低下させて大きな社会問題となっていることから、ダム湖法面又は湖底を緑化する新しい技術の開発が望まれている。
【0004】従来、ダム湖法面又は湖底を緑化する場合の最も適した植物であるトクサ科ミズドクサ及び/又はイヌスギナを増殖する場合、予め養成した親株から得られた地上茎を基床に挿し付けて増殖する方法、或いは地下茎を母株集団から分離した子株を基床に植え付けて増殖する方法で行ってきた。また、本発明者らは先にトクサ科ミズドクサ及び/又はイヌスギナの増殖方法として、シダ類トクサ科植物の増殖法(特開平7−184469号公報)を提案した。しかし、この増殖方法であってもトクサ科ミズドクサ及び/又はイヌスギナを増殖する場合、地上茎又は地下茎を用いて1株ずつ増殖すると言う、多くの人手と比較的に長い養成期間を要することから、これに代わる新しい増殖、養成法の開発が望まれてきた。
【0005】従来、トクサ科植物は種子の結実がない植物であることから、ミズドクサ及び/又はイヌスギナを増殖、養成する場合、予め養成した親株から得られた地上茎又は地下茎を用いて行ってきた。即ち、前者の地上茎を用いて増殖する場合、地上茎に2〜4節付けた状態の挿穂を造り、予め土壌を入れた直径、深さ共に10cm前後のポットに1〜2節を挿付け、残る1〜2節を地上に出した状態で1ポット当たり10本前後の挿穂を挿付ける方法で行ってきた。一方、後者の地下茎を用いて増殖する場合は、親株集団から個々の株を分離した子苗を用いて、ポット内の土壌に植付け、根の分蘗を促進させる方法で行ってきた。しかし、これら何れの方法であっても多くの人手を要する上、養成期間が通常3〜4年を要することから、低コストで且つ短期間に大量に増殖する新しい技術の開発が望まれている。
【0006】以上のように、川岸をはじめ水没と露出を繰り返すダム湖法面又は湖底等の水際の緑化材料として最適なトクサ科ミズドクサ及び/又はイヌスギナの養成苗を増殖する場合、地上茎を基床に挿付けて増殖する方法、或いは地下茎を親株集団から個々に分離した子株を用い、手作業で1株ずつ増殖、養成しなければならないという困難性がある。
【0007】しかし、トクサ科植物は前述したように、種子の結実がない植物であることから、短期間に低コストで、且つ大量に増殖することが困難とされ、供給が不足している。また自生地も少ない上、野生種の採取は自生地の環境を破壊することから、ダム関係機関は復元緑化の必要性を強く認識してはいるが、ダム湖法面又は湖底等を緑化する場合、一度に大量の緑化材料を必要とするため、ダム湖法面又は湖底等の裸地部では醜いまま放置されているのが現状である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、水位変動によって水没と露出を繰り返すダム湖法面及び湖底等、自然植生が破壊され、醜い景観を呈している裸地化した場所を緑化する場合の最も有効な植物で、且つ日本国内で野生種として自然界に自生しているトクサ科ミズドクサ及び/又はイヌスギナを短期間に、低コストで、且つ大量に増殖することを可能にする方法を提供することを目的とするものである。即ち、本発明は従来、増殖が技術的に困難であることから、供給が不足していたダム湖法面及び湖底を緑化する場合の最も有効な植物である、トクサ科植物の増殖する方法を提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、以下の各発明を包含する。
(1) 地下茎で繁殖する植物から選ばれる1種の地上茎及び/又は地下茎を基床に植栽及び/又は敷き詰め、土壌水分が適潤又は過湿である状態、或いは土壌が深さ1cm以上の水に浸った状態のいずれかの状態に維持しながらマット状に増殖する段階を含むことを特徴とする地下茎で繁殖する植物の増殖方法。
【0010】(2) トクサ科植物の地上茎及び/又は地下茎を基床に植栽及び/又は敷き詰め、土壌水分が適潤又は過湿である状態、或いは土壌が深さ1cm以上の水に浸った状態のいずれかの状態に維持しながらマット状に増殖する段階を含むことを特徴とするトクサ科植物の増殖方法。
【0011】(3) トクサ科植物がミズドクサ及び/又はイヌスギナである、(1) 項又は(2) 項記載のトクサ科植物の増殖方法。
【0012】(4) 前記マット状に増殖する段階が、地上茎及び/又は地下茎を基床に敷き詰め、その上を基床と同様の培養土で覆い、更に化学性繊維又は天然植物繊維で形成した不織マットで覆い、全体の土壌水分が適潤又は過湿である状態、或いは土壌が深さ1cm以上の水に浸った状態のいずれかの状態に維持し、該不織マットに地下茎を絡ませながら増殖する段階であることを特徴とする、(1) 項〜(3) 項のいずれか1項に記載のトクサ科植物等の増殖方法。
【0013】(5) トクサ科植物を増殖する基床が休耕田又はその他の湛水可能な遊休地であることを特徴とする、(1) 項〜(4) 項のいずれか1項に記載のトクサ科植物等の増殖方法。
(6) トクサ科植物等を増殖する基床を満たす水の流速が≧0m/分の状態であることを特徴とする、(1) 項〜(5) 項のいずれか1項に記載のトクサ科植物等の増殖方法。
【0014】(7) 前記(1) 項〜(6) 項のいずれか1項に記載された増殖方法によって得られるトクサ科植物等の地下茎及び/又は地下茎のマット状増殖体。
(8) 前記(7) 項記載のトクサ科植物の地下茎及び/又はマット状増殖体の水分を収穫時の50%以下に減じ、さらにロール状に巻き取った状態に加工してなるトクサ科植物の地下茎及び/又は地下茎のマット状増殖体。
(9) 前記(7) 項又は(8)項に記載のマット状増殖収穫物を、ダム湖法面又は湖底に植栽及び/又は敷きつめることを特徴とする、ダム湖法面又は湖底の緑化方法。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明の増殖方法は、特にダム湖の法面又は湖底の緑化材料として最適な植物の増殖技術を開発することを目的に完成したものであり、トクサ科ミズドクサ及び/又はイヌスギナの地上茎もしくは地下茎を用いてマット状に増殖、養成する方法である。また、本発明は、国外からの移入種又は品種改良した植物を用いることなく、生態系を尊重した手法、即ち我が国古来からの自生植物である前記ミズドクサ及びイヌスギナを用いて行うことを特徴とするものである。
【0016】トクサ科ミズドクサ及びイヌスギナの分布は、平凡社出版の『日本の野生植物(シダ編)』によると、向陽の湿地に群生する夏緑性の湿地性草本で、地下茎は水底の地下を長く匍匐し、地上茎は単生して枝を出さない茎もあるが、短い枝を不規則に出すもの、規則正しく長い枝を出す個体もある。北半球の温帯に広く分布し、我が国では本州中部地方以北の冷涼な地域に多く分布する。トクサ科植物には、本種以外にスギナ、ヤチスギナ、フサスギナ、イヌドクサ、ヒメドクサ、チシマヒメドクサ、トクサが知られているが、本発明の方法においては、特にミズドクサ及びイヌスギナが有効である。
【0017】また、前記トクサ科植物以外にもイネ科のオギ、ヨシ、ツルヨシ、クサヨシをはじめ、カヤツリグサ科のカサスゲ、フトイ、サギスゲ、ヒメクグ、クロカワズスゲ、ヌマハリイ及びホロムイソウ科のオオシバナ等が挙げられるが、地下茎で繁殖する植物であれば、本発明の増殖方法を適用することは可能である。
【0018】増殖、養成に使用されるマットとしては、化学繊維や天然植物繊維によって形成した不織マットが使用される。マットの規格は、一辺が20〜120cm、厚さ2〜10cmの範囲である。更に最も好ましい規格は、一辺が30〜50cm、厚さ3〜6cmである。
【0019】本発明の増殖、養成は、トクサ科ミズドクサの親株から培養土を除いたミズドクサ等の地下茎及び/又は地上茎をほぐしてその所定重量を基床上に並べ、その上を覆土として所定厚さの配合土で覆い、次いで必要に応じて前記マットを敷設し、場合によってはさらに該マット上を前記配合土で覆ったのち、通常は該マット上面又は該覆土上面まで水を満たした状態で行われる。しかし、ミズドクサ等の地下茎及び/又は地上茎をほぐして基床上に並べた箇所まで充分に水分が供給されている限り、水分量に特に制限はない。
【0020】増殖及び養成は、通常、増殖養成箇所に設定した水分量を維持するために、失われる水分量に見合った水分を補充する等の方法でコントロールしながら、1年〜4年、好ましくは1年〜2年にわたって行われる。増殖、養成期間中における施肥は任意であり、必要に応じて適宜実施される。
【0021】本発明の方法で増殖、養成されたトクサ科植物は、増殖した地下茎が相互に絡まりあっているマット状態で収穫される。このような増殖地下茎が相互に絡まりあったマット状態のものの場合、前記の不織マットを使用してマット中の空隙中で地下茎が絡まった状態が特に強固である。このようにマット状態で収穫される増殖、養成された地下茎は、収穫時には輸送コスト削減とダム湖法面又は湖底等に敷き詰める場合の作業性を高めるため、収穫の1〜4日前に基床からマット状態で切り出して水切りを行い、養成時の重量に対し50%前後まで軽量化し、且つ芝生のようにロ−ル状に巻き付けた状態で輸送することが極めて効率的である。
【0022】以上に説明した本発明の増殖、養成方法で得られるマット状の収穫物の場合、従来法のように1株ずつ増殖する場合と比べて増殖、養成期間を大幅に削減短縮することが可能であるばかりでなく、現地ダム等における効率的な敷設作業が可能であり、その後の定着率をも飛躍的に高めることができる。
【0023】これに対して、従来法は、予め親株として増殖したミズドクサ又はイヌスギナの養成苗から得られた地上茎を挿し付けて1株ずつ増殖するか、或いは地下茎を親株から分離した子株を用いて1株ずつ増殖、養成する方法で行っていることから、一度に多くの材料を必要とするダム湖法面若しくは湖底等を緑化する場合の需要に量的に対応することができないばかりでなく、コストが高く且つ養成期間が長いという欠点がある。
【0024】本発明者らが開発した新しい増殖法である、前記マット状に増殖、養成する方法は、一度に大量の材料を増殖、養成することが可能であることから、コストが大幅に削減できる上、従来ダム湖法面若しくは湖底等を緑化する場合、一度に広い面積を緑化する必要から、供給が不足していたミズドクサ及び/又はイヌスギナの養成苗を低コストで短期間に、大量に且つ安定的に供給を可能ならしめるものあり、今後のダム湖法面若しくは湖底の緑化事業が大幅に促進される効果が期待できるものである。
【0025】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。尚、本実施例に使用した材料は、試験に先だって、王子緑化株式会社 北海道事業本部 札幌支店所轄の苗畑(北海道夕張郡栗山町)で、親株として養成したミズドクサの地下茎を用いて増殖、養成試験を行った。今回の主たる目的がマット状に増殖、養成する試験であることから、試験は規格が長さ50cm、幅35cm、深さ5cmの薄型トレイを使用する方法と、今後事業規模での復元緑化工法の導入に備え、一度に大量生産が可能な稲作休耕田を用いた方法とによって行った。
【0026】トクサ科ミズドクサを用いて行ったマット状の増殖、養成試験について各試験例別の設定方法を示すと次の通りである。尚、試験を行った場所は何れも仙台市管内で、実施時期はそれぞれ1998年8月から1999年7月までの1年間である。
【0027】試験例1前記トレイの底面及び側面にポリ塩化ビニルフィルムを張り、その後、山砂と泥炭を等量に配合した用土を厚さ2cmに敷き詰め、その上に親株の養成時に用いた培養土を取り除いたミズドクサの地下茎12.25gをほぐした状態で並べ、さらに覆土として厚さ2cmの前記配合土で覆い、覆土の表面まで水を満たした状態で養成管理を行った。設定したトレイの数は100枚で、設定後の水分管理は自然蒸散量の水量だけ適宜補給し、施肥等の養分添加は一切行っていない。
【0028】試験例2前記トレイの底面及び側面に編み目間隔2mm前後のネットを張った後、畑土、火山砂及び泥炭の3種類の原土を等配合した用土を厚さ2cmに均一に敷き詰めた上に、前記試験例1と同様にミズドクサの地下茎12.25gを並べ、さらに地下茎の間隙を埋める程度に前記の3種配合土を敷き、更にその上に編み目間隔5mm前後のネットをかぶせた後、覆土として再び前記の配合土で2cmの厚さに覆い、予め造成した水槽の中で、覆土の表面まで水に浸した状態で養成管理を行った。設定したトレイの数は20枚で、設定後の水分管理、施肥等は試験例1と同様に行った。
【0029】試験例3前記トレイの底面及び側面に編み目間隔2mm前後のネットを張った後、畑土、火山砂及び泥炭の3種類の原土を等配合した用土を厚さ2cmに均一に敷き詰め、その上に長さ25cmに揃えたミズドクサの地上茎35本を2cm前後の間隔で水平に並べ、更にその上に編み目間隔5mm前後のネットをかぶせた後、覆土として再び前記の配合土を2cmの厚さに覆い、予め造成した水槽の中でトレイの下部2cm前後まで水に浸した状態で養成管理を行った。設定したトレイの数は10枚で、設定後の水分管理、施肥等は試験例1、2と同様に行った。
【0030】尚、上記試験例1、2の増殖、養成試験に供したトレイ1枚当たりのトクサ科ミズドクサの地下茎12.25gは、1平方メートル当たりに換算すると、各試験例によって僅かな違いはあるが、原則として70gとなるように設定した。これを従来法である、直径、深さ共に10cmのポットで1株ずつ養成した場合における地下茎の重さをポット数に換算すると、3年間養成苗で約5.4個分となる。一方、上記試験例3の増殖、養成試験に供したトレイ1枚当たりのミズドクサの地上茎35本は1平方メートル当たりに換算すると約200本となる。これを直径、深さ共に10cmのポットで1株ずつ養成した場合の地上茎数をポット数に換算すると、約4ポット分である。
【0031】試験例4本発明における増殖、養成試験は、ミズドクサの地下茎に地上茎を付けた状態の親株を用いて稲作休耕田で行った。試験の設定方法は、ミズドクサの地下茎が地中深くまで入り込むのを抑制するため、地表全面にポリプロピレン繊維の不織布(長さ100m、幅210cm、厚さ0.35mm、商品名:ラブシート、ユニチカ株式会社製)からなるシートを敷設し、その上に基床として山砂とピ−トモスを配合した培養土を厚さ1cmに敷き詰め、更にその上に親株養成時に地下茎に付着した培養土を水洗いし、地下茎に地上茎がついた状態のミズドクサ70g/m2 をほぐした状態で敷き詰め、その後、植物性繊維を不織布状に加工したマット(長さ23m、幅2m、重量14kg、商品名:コントロールブランケット、アメリカングリーン社製)で覆い、その上から前記基床と同様の培養土を厚さ1cmに散布し、植物性繊維で加工した不織布シ−ト内に混入させた。その後、植物性繊維で加工した不織布シ−トの上5cm前後まで水に浸した状態で養成、管理を行った。試験を行った休耕田の面積は長さ10m、幅4mの40m2 である。なお、施肥は試験開始から1か月後の9月上旬、高度化成肥料20g/m2 を1回施用した。
【0032】また、供試材料の親株であるミズドクサの養成を行った栗山町の気象は、日本気象協会北海道本部刊行の気象デ−タによると、年平均気温は6.7℃である。更に、北海道での植物の生育期間である6〜8月の夏期3か月間の平均気温についてみると、18.7℃となっている(統計年数27年間)。一方、マット状の増殖、養成試験を行った仙台市の気象については、デ−タの入手が困難なため、理科年表(丸善株式会社発行)掲載のデータを用いてみると、年平均気温は11.9℃(統計年数33年間)である。また、東北地方における植物の生育期間である5〜9月までの5月間の平均気温についてみると19.9℃となっている。従って、ミズドクサの母株を養成した栗山町の気温に対し、仙台市の方が年平均気温で5.2℃高いことが判る。
【0033】(試験項目)上記の条件で、従来法のポットを用いて1株ずつ増殖する方法に対し、マット状に増殖、養成する場合の生育状況の違いを把握するために、地上茎数、草丈、健全指数及び地下茎の重量について、試験開始時から1年後に調査、観察を行った。
【0034】(調査項目及び調査方法)
1.地上茎数:植物が一定面積当たりに成立する地上茎の密度は、植物の種類によって異なる。ダム湖法面又は湖底の緑化材料として最も適したミズドクサの地上茎の密度調査の結果は、将来継続して定着する能力を有するか否かを判定する貴重なデ−タとなる。本調査は、標準的な箇所に設置した10cm四方の枠内に生育する地上茎の数をカウントして行った。
【0035】2.草丈:増殖したミズドクサが、その特性から本来の到達すべき草丈(地上茎の長さ)に達しているかを調査することで、その試験における適応能力を知ることができる。なお、ミズドクサは特性上、地上茎は毎年秋に枯れるが地下茎は生き続け、翌春新しい地上茎が伸長する。従って、調査時点の草丈が当年伸長量となる。
【0036】3.健全指数:この指数は、植物が元気に生育しているか否かを数値で表現する為の極めて重要な項目である。そこで、本発明者らが予め独自に作成した、表1に示す、最高値を10とした判定基準を基に調査を行った。
【0037】4.地下茎重量:増殖、養成開始後の地下茎の繁殖、伸長量を把握する上で極めて重要である。この項目の調査結果から、今後の養成苗生産計画の立案に役立つばかりでなく、実際のダム湖法面及び湖底等に対する施工後の定着率向上と併せて繁殖の速さ、ひいては当該地における復元緑化の可否を検討する上で、大きな判断材料となるものである。地下茎重量の秤量方法は、地下茎に付着した用土を洗滌後、さらに十分な水切りを行い生重量で計測した。尚、計測器の秤量単位は最小0.001g、最大200gを用いて行った。
【0038】
【表1】

【0039】上記実施例で行った4通りの増殖、養成試験の有効性、並びに比較対照として行った従来法の1株ずつポットを用いて行った増殖、養成試験について、調査項目別にまとめた結果を表2〜表6に示す。尚、表中の数字は各試験から得られたデ−タを1平方メ−トル当たりに換算した数値である。
【0040】
【表2】

【0041】
【表3】

【0042】
【表4】

【0043】
【表5】

【0044】
【表6】

【0045】(試験結果の項目別詳細)次に、表2〜表6に示した試験結果の詳細を、各項目別に5反復の平均値で述べると以下のとおりである。尚、以下の解説では本発明の4通りの増殖、養成法のそれぞれと、従来法であるポットを用いて1株ずつ増殖、養成する対照区を比較する方法で述べる。調査時期は何れも試験開始から1年後の1999年7月下旬である。
【0046】試験例1の詳細(表2、表6参照):1.地上茎数:この試験ではミズドクサの地下茎を用いて増殖試験を行った。従って、試験開始時における地上茎は無い。その為、試験開始から1年後の1999年7月時点における地上茎数を、従来法の1株ずつ増殖する区と比較する方法で、本発明の有効性を検証した。
【0047】その結果、表2及び表6から、従来法の1株ずつ増殖する試験区の地上茎数が1,162本/m2 に対し、本発明によるマット状に増殖、養成した試験区では3,698本/m2 となった。この数値を基に、従来法を1とした倍数でみると、本発明によるマット状に増殖、養成した試験区の地上茎数が3.54倍上回る結果となり、本発明の有効性が確認された。
【0048】以上の結果から、前記ミズドクサの地下茎を用いて増殖する場合、マット状に増殖、養成する方法でも確実に増殖することが可能であることが明らかとなったことから、従来緑化材料の不足から裸地化されたまま放置されていた、ダム湖法面及び湖底等を対象とした、自然植生を用いた事業規模での復元緑化が急速に進展し、自然環境復元の効果が大いに期待される。
【0049】2.草丈:前述したように、試験開始時における地上茎は無い。その為、試験開始から1年後の1999年7月時点の草丈を、対照区である従来法の1株ずつ増殖する試験区と本発明のマット状に増殖、養成した試験区を比較した。その結果、表2と表6に示す通り、従来法の1株ずつ増殖する試験区の草丈は18.8cmとなった。これに対し本発明のマット状に増殖、養成した試験区では約69%増の31.8cmとなり、マット状に増殖、養成した試験区の草丈がはるかに高い結果となった。その原因として、1株ずつ増殖する方法では、使用するポットの直径が僅か10cmと小さい。その為、予め養成した親株から増殖用に子株を分離する際、地下茎を細かく切断しすぎることが挙げられる。
【0050】3.健全指数:ミズドクサが正常に生育しているか否かを数値で示す本調査項目は、従来法の1株ずつ増殖した区及び本発明であるマット状の増殖、養成試験区共に、試験開始後の発芽から終了までの生育期間中は一貫して最高値の10を維持し、極めて健全な状態で推移した。従って、本発明のマット状にミズドクサ増殖、養成しても従来法と同様に健全な生育をすることが明らかとなった。
【0051】4.地下茎重量:今回の増殖試験に供した地下茎の試験開始時重量は、従来法の一株ずつ増殖した試験区では70.17g/m2 を、また本発明であるマット状の増殖、養成試験区は69.97g/m2 である。1998年8月の試験開始から翌年7月までの満1年間に繁殖した地下茎の量を把握する目的で、開始時と1年後の重量を、従来法及び本発明のマット状に増殖、養成した試験区それぞれについて秤量し、それを基に試験開始時に対する繁殖倍数を算出した。
【0052】その結果、先ず試験開始時に対する1年後の地下茎重量を比較してみると、従来法の1株ずつ増殖する試験区では、試験開始時の70.17g/m2 に対し1年後では103.38g/m2 となり、開始時重量に対し1.47倍地下茎が繁殖した。一方、本発明であるマット状に増殖、養成した試験区では、試験開始時の69.97g/m2 に対し1年後では3.18倍の222.08g/m2 と飛躍的な繁殖が認められた。また、1年後の地下茎重量を、前者の従来法と後者のマット状に増殖、養成した区を比較してみると、後者の方が2.15倍上回る結果となった。従って、ミズドクサを増殖、養成する場合、マット状に増殖した方が短期間に、且つ確実に増殖、養成できることが明らかとなった。
【0053】試験例2の詳細(表3、表6参照):1.地上茎数:この試験では、試験例1同様ミズドクサの地下茎を用いて増殖試験を行った。従って、ここでも試験開始時点での地上茎は無い。その為、試験開始から1年後の1999年7月時点における地上茎数を、従来法の1株ずつ増殖した区と比較する方法で本発明の有効性を調べた。その結果、従来法である1株ずつ増殖する試験区の地上茎数が1,162本/m2 に対し、本発明によるマット状に増殖、養成した試験区では4,260本/m2 となった。この数値を基に従来法を1とした倍数でみると、本発明によるマット状に増殖、養成した試験区の地上茎数が3.67倍上回る結果となり、本発明の有効性が明らかとなった。
【0054】以上の結果から、前記試験例1同様、ミズドクサの地下茎を用いて増殖する場合、マット状に増殖、養成する方法でも確実に増殖することが可能であることが明らかとなったことから、従来緑化材料の不足から裸地化されたまま放置されていた、ダム湖法面及び湖底、或いは川岸等を対象とした、自然植生を用いた事業規模での復元緑化が急速に進展し、自然環境復元の効果が大いに期待される。
【0055】2.草丈:前述したように、試験開始時における地上茎は無い。その為、試験開始1年後の1999年7月時点の草丈を、対照区である従来法の1株ずつ増殖した試験区と本発明のマット状に増殖、養成した試験区を比較した。その結果、表3、表6に示す通り、従来法の1株ずつ増殖した試験区の草丈が18.80cmに対し、本発明のマット状に増殖、養成した試験区では2.09倍の39.20cmの草丈に成長し、この調査項目からもミズドクサを増殖、養成する方法としてマット状に増殖、養成することが極めて有効であることが確認された。
【0056】3.健全指数:増殖、養成試験に供したミズドクサが正常に生育しているか否かを数値で示す最も重要な本調査項目は、前記試験例1同様、従来法の1株ずつ増殖した区及び本発明であるマット状の増殖、養成試験区共に、試験開始後の発芽から終了までの生育期間中、一貫して最高値の10を維持しことから、極めて健全な状態で推移したと言える。従って、本発明のマット状にミズドクサを増殖、養成しても従来法と同様、健全な状態で増殖、養成することが可能であることが確認された。
【0057】4.地下茎重量:今回の増殖試験に供した地下茎の試験開始時重量は、従来法の1株ずつ増殖した試験区では70.17gを、また本発明であるマット状の増殖、養成試験区は69.75g/m2 である。前記試験例1同様、1998年8月の試験開始から翌年7月までの満1年間に繁殖した地下茎の量を把握する目的で、開始時と1年後の重量を、従来法及び本発明のマット状に増殖、養成した試験区それぞれについて秤量し、それを基に試験開始時に対する繁殖倍数を算出した。
【0058】その結果、先ず試験開始時に対する1年後の地下茎重量を比較してみると、従来法の1株ずつ増殖した試験区では、試験開始時の70.17g/m2 に対し1年後では103.38g/m2 となり、開始時重量に対し1.48倍、地下茎が繁殖した。一方、本発明であるマット状に増殖、養成した試験区では、試験開始時の69.75g/m2 に対し、1年後では3.66倍の254.98g/m2と飛躍的に繁殖した。また、1年後の地下茎重量を、前者の従来法と後者のマット状に増殖、養成した区を比較してみると、後者の方が2.47倍上回る結果となった。従って、ミズドクサを増殖、養成する場合マット状に増殖した方が短期間に、且つ確実に増殖、養成できることが明らかとなった。
【0059】試験例3の詳細(表4、表6参照):前記、試験例1及び2ではミズドクサの地下茎を用いたのに対し、本実施例では、ミズドクサの地上茎を用いて増殖試験を行った。従って、前記試験例1及び2と供試部位が異なることから、本実施例と比較できる対照区はないが、以下に試験結果の詳細を項目別に述べる(表4参照)。
1.地上茎数:この試験に供したミズドクサの地上茎は、前述したように長さ25cm、本数は200本/m2 である。この地上茎数を基に、試験開始後の地上茎数の繁殖の程度を把握する目的で、1年後の1999年7月、発生した地上茎の本数すべてをカウントした。
【0060】その結果、試験に供した地上茎数の200本/m2 に対し、1年後では約4.40倍の879本/m2 に繁殖した。この地上茎数は、過去に行った数多くの試験結果についてみると、1年後では850本/m2 前後で、その後の地上茎数は対数的に増加し、3〜4年後には7千本/m2 前後で安定することが確認されている。この地上茎の繁殖パタ−ンはミズドクサ本来の植物学的特性である。従って、今回の試験結果から得られた試験開始1年後の地上茎数、879本/m2 は妥当な本数と言え、且つ地上茎を用いた場合でも着実にミズドクサをマット状に増殖、養成することが可能であることが明らかとなった。
【0061】2.草丈:本試験では、長さ25cmのミズドクサの地上茎を用いて、基床に水平に並べる方法で設定したことから、試験開始時点における、上に垂直に伸びる地上茎は無いことから、草丈のデ−タは無い。その為、設定時に水平に並べた茎から地上に新たに発生した新しい地上茎の草丈を、試験開始1年後の1999年7月調査した。
【0062】その結果、試験開始から1年後の平均草丈は26.2cmであった。この数値を前記実施例と比較すると、試験例1とでは5.6cm、また試験例2に対しては13.0cmそれぞれ低い結果となった。しかし、地下茎を用いて1株ずつ増殖した試験区の草丈と比較すると、反対に7.4cm高い結果が得られた。従って、マット状に増殖、養成する場合、地上茎だけを用いた方法でも確実に増殖することが可能であることが明らかとなった。
【0063】3.健全指数:ミズドクサが正常に生育しているか否かを数値で示す最も重要な本調査項目は、前記試験例1、2及び、従来法の1株ずつ増殖した区同様、本発明である地上茎を用いたマット状の増殖、養成試験区に於いても、試験開始後の発芽から終了までの生育期間中、一貫して最高値の10を示したことから、極めて健全な状態で推移したと言える。従って、本発明のマット状にミズドクサを増殖、養成しても従来法と同様健全な状態で増殖が可能であることが確認された。
【0064】4.地下茎重量:前述したように、本実施例での増殖試験は、地下茎を除いた地上茎だけを用いて行った。従って、試験開始時における地下茎重量のデ−タは無い。その為、試験開始後、設定した地上茎から新たに発生した地下茎の重量を把握し、繁殖の程度を調査することを目的に、試験開始から1年後の1999年7月、全地下茎の重量を測定した。
【0065】その結果、地上茎だけを用いて行った増殖試験の開始から1年後における地下茎重量は92.20g/m2 となった。この数値を、使用部位が異なることから単純に比較できないが、敢えて前記試験例1、2の対照区である、地下茎を用いて1株ずつ増殖した試験区の103.38g/m2 と比べると、約11%少ない結果となった。増殖期における地下茎の量は、試験開始時点から地下茎を用いた場合と、地下茎を除いた地上茎だけを用いたのでは、当然のことながら大きな違いがあるのは議論の余地のない処である。しかし、過去に地下茎を除いて地上茎だけを用いて行った、数多くの増殖試験の結果と比較すると、試験開始から1年後としては平均的な数値と言える。
【0066】試験例4の詳細(表5、表6参照):前記試験例1、2、3では、前述したように長さ50cm、幅35cm、深さ5cmのトレイを用いて実験的に行ったのに対し、本実施例では、面積40m2のやや小規模な稲作休耕田で実施した。その結果の詳細を項目別に述べると以下のとおりである。
【0067】1.地上茎数:試験に供したミズドクサは地下茎に地上茎を付けた状態で用いたが、蒔き付け時に植物性繊維のマットで覆った為、試験開始時における地上茎数の測定値は無い。そこで、試験開始から1年後の1999年7月時点の地上茎本数について、1株ずつ増殖した対照区と比較した。その結果、対照区の地上茎数1,162本/m2 に対し、約5倍の5,818本/m2 となり、極めて旺盛に繁殖することが明らかとなった。
【0068】2.草丈:前記1の地上茎同様、試験開始時の草丈は無い。その為、試験開始から1年後の草丈を測定した。その結果、対照区の草丈18.80cmに対し、本発明での草丈は約2.7倍の50.80cmに達した。従って、本発明のミズドクサの地下茎を用いて、稲作休耕田で増殖、養成した場合、従来法である1株ずつ増殖する方法よりも、良質な養成苗を短期間に、確実に且つ大量に増殖することか可能であることが明らかとなった。これによって、従来ダム湖法面または湖底等、水際の緑化材料が不足していた問題が解決されたことから、今後一度に広い面積の緑化事業が促進される効果が期待される。
【0069】3.健全指数:今回の増殖、養成試験に供したミズドクサが、その後正常に生育していたか否かを把握する目的で、前述した判定基準に基づいて現地調査を実施した。その結果、健全指数は試験開始後の発芽から試験終了までの生育期間中、一環して最高値の10を維持した。従って、稲作休耕田で増殖、養成した場合でも極めて正常、且つ健全に生育することが明らかとなった。
【0070】4.地下茎重量:今回の増殖試験に供したミズドクサの地下茎重量は、従来法である1株ずつ増殖した対照区では70.17g/m2 を、また本発明である稲作休耕田で行った増殖、養成試験では地下茎に地上茎が付いた状態では70.09g/m2 であるが、地下茎だけの供試重量は44.64g/m2 である。従って、本発明の休耕田で行った増殖試験の方が約36%、即ち25.53g/m2少ない量の地下茎を用いて増殖試験を開始した。試験開始後における地下茎の繁殖状況を把握することを目的に、対照区である1株ずつ増殖した試験区と、本発明である休耕田で行った増殖試験の地下茎重量を比較した。
【0071】その結果、1年後の地下茎重量は、1株ずつ増殖した対照区では開始重時に対し約1.47倍の103.38g/m2 に止まった。しかし、本発明である稲作休耕田で行った増殖法では試験開始時重量44.64g/m2 に対し約32倍の1,431g/m2 となり、極めて旺盛に繁殖する結果となった。また、この結果を基に対照区である1株ずつ増殖した試験区と、本発明から得られた地下茎重量を比較すると、対照区の103.38g/m2 に対し、約14倍の1,431g/m2 となり、稲作休耕田でマット状に増殖した方が飛躍的に繁殖することが明らかとなった。
【0072】以上に詳述した実施例における各試験例では、親株として養成したミズドクサの地下茎を用いて増殖、養成試験を行った結果について述べた。しかし、同じトクサ科に属し、地下茎で増殖する植物であるイヌスギナを親株として養成した地下茎についても、ミズドクサの地下茎の増殖、養成結果と同じように旺盛に繁殖してマット状収穫物が得られることが確認されている。
【0073】
【発明の効果】従来、トクサ科植物であるミズドクサ、イヌスギナを増殖、養成する場合、地上茎及び/又は地下茎を用いて1株ずつポットで増殖する方法で行ってきた。しかし、この方法では大変多くの人手を要するばかりでなく、増殖、養成期間が3〜4年を要した。本発明の地上茎及び/又は地下茎を用いてマット状に増殖、養成する方法であれば、増殖、養成期間を1〜2年に短縮できるばかりでなく、従来法の1株ずつ増殖する方法を100とした場合、70前後に省力を図ることが可能となり、大幅に改善された。これによって、水際の緑化、例えば川岸やダム湖法面又は湖底等を緑化する場合、供給が不足していた問題を解決し、一度に大量に供給することが可能となった。本発明は、従来増殖が困難であったトクサ科ミズドクサ、イヌスギナを一度に大量に、且つ安定的に増殖、養成することを可能とするものである。これによって、供給が不足していた川岸やダム湖法面等を一度に広い面積を自然景観的に復元することが可能となった。
【出願人】 【識別番号】000122298
【氏名又は名称】王子製紙株式会社
【識別番号】398073178
【氏名又は名称】王子緑化株式会社
【出願日】 平成12年2月7日(2000.2.7)
【代理人】 【識別番号】100078503
【弁理士】
【氏名又は名称】中本 宏 (外2名)
【公開番号】 特開2001−211710(P2001−211710A)
【公開日】 平成13年8月7日(2001.8.7)
【出願番号】 特願2000−29095(P2000−29095)