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【発明の名称】 水田作業機
【発明者】 【氏名】田中 富穂

【氏名】児島 祥之

【氏名】園田 義昭

【氏名】窪津 誠

【要約】 【課題】エンジンに無理を掛けることのない機体の制動を居住性及び操作性の向上を図りながら行えるようにする。

【解決手段】後部に水田作業装置4が連結される走行機体1の前部にエンジン6を搭載してある水田作業機において、側面視における前車軸ケース11の上方近傍に、ステアリングホイール18と、踏み込み操作によって主クラッチを切り状態に切り換えるとともに走行ブレーキを制動状態に切り換える単一の主クラッチ・ブレーキペダル64とを配備し、かつ、エンジン6の後方を覆う後部ボンネット80の側面に形成した凹部80aに前記主クラッチ・ブレーキペダル64を入り込ませた。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 後部に水田作業装置が連結される走行機体の前部にエンジンを搭載してある水田作業機であって、側面視における前車軸ケースの上方近傍に、ステアリングホイールと、踏み込み操作によって主クラッチを切り状態に切り換えるとともに走行ブレーキを制動状態に切り換える単一の主クラッチ・ブレーキペダルとを配備し、かつ、前記エンジンの後方を覆う後部ボンネットの側面に形成した凹部に前記主クラッチ・ブレーキペダルを入り込ませてある水田作業機。
【請求項2】 後部に水田作業装置が連結される走行機体の前部にエンジンを搭載してある水田作業機であって、側面視における前車軸ケースの上方近傍にステアリングホイールと静油圧式無段変速装置とを配備するとともに、前記ステアリングホイールの横側方に変速レバーを配置してある水田作業機。
【請求項3】 側面視における後車軸ケースの直上に施肥装置を配備するとともに、該施肥装置における肥料ホッパの前部中央箇所に、その直前に配置される運転座席を入り込ませるための凹部を形成してある請求項1又は2記載の水田作業機。
【請求項4】 ステアリング操作系を油圧パワーステアリング式に構成するとともに、パワーステアリング用のトルクジェネレータを側面視における前車軸ケースの上方近傍に配備してある請求項1〜3のいずれか一つに記載の水田作業車。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、後部に水田作業装置が連結される走行機体の前部にエンジンを搭載してある水田作業機に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、上記のような水田作業機においては、搭乗運転部の足元左側に主クラッチの作動状態を切り換える主クラッチペダルを配備し、又、搭乗運転部の足元右側に走行ブレーキの作動状態を切り換えるブレーキペダルを配備し、主クラッチペダルを踏み込み操作して主クラッチを切り状態に切り換えながら、ブレーキペダルを踏み込み操作して走行ブレーキを制動状態に切り換えることで、エンジンに無理を掛けることなく機体を制動させるようにしていた。
【0003】一方、走行機体の後部に連結される水田作業装置はかなりの重量物であることから、その水田作業装置に対して走行機体の前部に配備されるエンジン及びミッションケースをより機体の前方側に配置することや、走行機体の前部に大重量のバランスウェイトを装着することで、水田作業機全体としての前後バランスの改善を図るようにしていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従来技術のうちの前者のものにおいては、搭乗運転部における左右の各足元位置に操作ペダルを配備することで搭乗運転部が狭くなり、又、機体を制動させる際に主クラッチペダルとブレーキペダルの双方を踏み込み操作する必要が生じることから、居住性及び操作性の向上を図る上において改善の余地があった。
【0005】一方、上記従来技術のうちの後者のものにおいては、エンジン及びミッションケースをより機体の前方側に配置するほど機体の全長が長くなり、又、走行機体の前部に大重量のバランスウェイトを装着するほど機体の重量が重くなることから、機体の小型化や軽量化を図る上において改善の余地があった。
【0006】本発明における第1の目的は、エンジンに無理を掛けることのない機体の制動を居住性及び操作性の向上を図りながら行えるようにすることにあり、第2の目的は、機体の小型化や軽量化を図りながら水田作業機全体としての前後バランスを良好にすることにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】〔構成〕上記第1の目的を達成するため、本発明のうちの請求項1記載の発明では、後部に水田作業装置が連結される走行機体の前部にエンジンを搭載してある水田作業機において、側面視における前車軸ケースの上方近傍に、ステアリングホイールと、踏み込み操作によって主クラッチを切り状態に切り換えるとともに走行ブレーキを制動状態に切り換える単一の主クラッチ・ブレーキペダルとを配備し、かつ、前記エンジンの後方を覆う後部ボンネットの側面に形成した凹部に前記主クラッチ・ブレーキペダルを入り込ませた。
【0008】〔作用〕上記請求項1記載の発明によると、エンジンに無理を掛けることなく機体を制動させる際に必要となる主クラッチの切り状態への切り換えと走行ブレーキの制動状態への切り換えとを、搭乗運転部に配備される単一の主クラッチ・ブレーキペダルを踏み込み操作するだけの極簡単な操作で行えることから、エンジンに無理を掛けることなく機体を制動させる際の操作性の向上を図れるようになる。
【0009】又、搭乗運転部に単一の主クラッチ・ブレーキペダルを装備することによって、主クラッチペダルとブレーキペダルの双方を搭乗運転部に装備する場合のように搭乗運転部における左右の各足元に操作ペダルを配備する必要がない上に、単一の主クラッチ・ブレーキペダルを、搭乗運転部の最前部下方に位置する前車軸ケースの側面視での上方近傍に配備するとともに、後部ボンネットの側面に形成した凹部に入り込ませるようにしていることから、搭乗運転部の足元空間を無理なく広くすることができて搭乗運転部での居住性の向上を図れるようになり、殊に、ボンネットの左右に乗降ステップが配設されるものにおいては、主クラッチ・ブレーキペダルが配備されない側の乗降ステップを利用した機体前方からの乗降は当然のことながら、主クラッチ・ブレーキペダルが配備される側の乗降ステップを利用した機体前方からの乗降をも行い易くすることができるようになる。
【0010】更に、搭乗運転部の最前部下方に位置する前車軸ケースの側面視での上方近傍にステアリングホイールを配備することから、ステアリングホイールを搭乗運転部の後部側に位置する運転座席側に寄せて配備する場合に比較して搭乗運転部の上部側空間を広くすることができるようになり、これによって、搭乗運転部にて行う必要のある苗植付装置に対する苗補給作業などを行い易くすることができるようになる。
【0011】〔効果〕従って、エンジンに無理を掛けることのない機体の制動を居住性及び操作性の向上を図りながら行えるとともに、乗降ステップを利用した機体前方からの乗降や搭乗運転部での苗補給作業などを行い易くすることができるようになった。
【0012】〔構成〕上記第2の目的を達成するため、本発明のうちの請求項2記載の発明では、後部に水田作業装置が連結される走行機体の前部にエンジンを搭載してある水田作業機において、側面視における前車軸ケースの上方近傍にステアリングホイールと静油圧式無段変速装置とを配備するとともに、前記ステアリングホイールの横側方に変速レバーを配置した。
【0013】〔作用〕上記請求項2記載の発明によると、エンジン及びミッションケースに加えて、比較的重量物である静油圧式無段変速装置をも前輪の接地荷重として有効に作用させることができ、その分、エンジン及びミッションケースを機体の後方側に配置することや、走行機体の前部に装着するバランスウェイトの軽量化を図ることができるので、機体の小型化や軽量化を図りながら水田作業機全体としての前後バランスを良好にすることができるようになる。
【0014】又、搭乗運転部の最前部下方に位置する前車軸ケースの側面視での上方近傍にステアリングホイールを配備するとともに、そのステアリングホイールの横側方に変速レバーを配置することから、ステアリングホイールと変速レバーとを搭乗運転部の後部側に位置する運転座席側に寄せて配備する場合に比較して搭乗運転部の上部側空間を広くすることができるようになり、これによって、搭乗運転部にて行う必要のある苗植付装置に対する苗補給作業などを行い易くすることができるようになる。
【0015】しかも、ステアリングホイールと変速レバーとが左右に並設されるようになり、又、変速レバーと静油圧式無段変速装置とが近接配備されるようになることから、ステアリングホイールと変速レバーとの間での持ち替えをスムーズに行えるようになって操作性の向上を図れるとともに、変速レバーと静油圧式無段変速装置とに亘る連係構造の簡略化を図れるようになる。
【0016】〔効果〕従って、機体の小型化や軽量化を図りながら水田作業機全体としての前後バランスを良好にすることができる上に、搭乗運転部での苗補給作業などを行い易くすることができるとともに操作性の向上や連係構造の簡略化を図れるようになった。
【0017】〔構成〕本発明のうちの請求項3記載の発明では、上記請求項1又は2記載の発明において、側面視における後車軸ケースの直上に施肥装置を配備するとともに、該施肥装置における肥料ホッパの前部中央箇所に、その直前に配置される運転座席を入り込ませるための凹部を形成した。
【0018】〔作用〕上記請求項3記載の発明によると、側面視における後車軸ケースの直上に施肥装置を配備することによって、重量物である施肥装置を装備することに起因した前輪接地荷重の減少を防止できるようになり、これによって、例えば、施肥装置を水田作業装置に装備する場合のように、水田作業機全体としての前後バランスを良好にするために、施肥装置の装備に伴って、エンジン及びミッションケースを機体のより前方側に配置する、あるいは、走行機体の前部に装着するバランスウェイトを増量する、といったことを行う必要がないので、施肥装置を装備することに起因した機体の不必要な大型化や重量の増大を回避できるようになる。
【0019】しかも、施肥装置における肥料ホッパの前部中央箇所に凹部を形成し、その凹部に肥料ホッパの直前に配置される運転座席を入り込ませるようにしていることから、側面視における後車軸ケースの直上に施肥装置を配備するものでありながら機体の大型化を招くことなく広い搭乗空間を確保できるようになり、その上、運転座席の左右に位置する肥料ホッパの左右両側部を肘掛けとして利用することも可能になることから、搭乗運転部での居住性の向上を図れるようになる。
【0020】〔効果〕従って、施肥装置を装備するものでありながら、それに起因した不必要な機体の大型化や重量の増大を招くことなく水田作業機全体としての前後バランスを良好にすることができる上に、搭乗運転部での居住性の向上を図れるようになった。
【0021】〔構成〕本発明のうちの請求項4記載の発明では、上記請求項1〜3のいずれか一つに記載の発明において、ステアリング操作系を油圧パワーステアリング式に構成するとともに、パワーステアリング用のトルクジェネレータを側面視における前車軸ケースの上方近傍に配備した。
【0022】〔作用〕上記請求項4記載の発明によると、ステアリング操作性の向上を図れる上に、比較的重量物であるパワーステアリング用のトルクジェネレータを前輪の接地荷重として有効に作用させることができて、その分、エンジン及びミッションケースを機体の後方側に配置することや、走行機体の前部に装着するバランスウェイトの軽量化を図ることができるので、機体の小型化や軽量化を図りながら水田作業機全体としての前後バランスを良好にすることができるようになる。
【0023】〔効果〕従って、ステアリング操作性の向上、並びに、機体の小型化及び軽量化を図りながら、水田作業機全体としての前後バランスを良好にすることができるようになった。
【0024】
【発明の実施の形態】図1には水田作業機の一例である6条植え用の乗用型田植機の全体側面が、図2にはその全体平面が示されており、この乗用型田植機は、乗用型の走行機体1の後部に、油圧シリンダ2の作動で昇降揺動する四連リンク機構3を介して水田作業装置の一例である6条植え用の苗植付装置4を連結し、かつ、6条施肥用の施肥装置5を搭載することによってミッドマウント施肥仕様に構成されている。
【0025】図1〜4に示すように、走行機体1は、その前部に出力軸6aが横向きになる姿勢で搭載されたエンジン6からの動力を、ベルト式伝動装置7及び静油圧式無段変速装置8を介してミッションケース9に内装されたギヤ式伝動装置10に伝達し、そのギヤ式伝動装置10からの走行用動力を、左右の前車軸ケース11に内装された前輪駆動装置12を介して左右の前輪13に伝達するとともに、前後向きの第1伝動軸14及び後車軸ケース15に内装された後輪駆動装置16を介して左右の後輪17に伝達する四輪駆動形式に構成され、その後部側には、左右の前輪13を操向操作するステアリングホイール18、搭乗ステップ19、及び、運転座席20、などを備えた搭乗運転部21が形成されている。
【0026】図1及び図2に示すように、苗植付装置4は、機体の走行に伴って3基の整地フロート22が苗植え付け箇所を前もって整地する一方で、ギヤ式伝動装置10からの作業用動力が第2伝動軸23を介してフィードケース24に伝達され、そのフィードケース24からの分配動力で、6条分の苗を載置する苗載台25が左右方向に所定ストロークで往復駆動されるとともに、左右方向に所定間隔を隔てて並設された6基のロータリ式の植付機構26が、苗載台25の下端から苗を所定量ずつ取り出して圃場に植え付ける植え付け作動を行うことで、6条分の植え付けを行えるように構成されている。
【0027】施肥装置5は、機体の走行に伴って各植え付け条に対応するように整地フロート22に装備された作溝器27が施肥溝を形成する一方で、6基の繰出機構28がギヤ式伝動装置10からの作業用動力で肥料ホッパ29内の肥料を所定量ずつ繰り出し、電動ファン30の作動で各繰出機構28にて繰り出された肥料を案内ホース31を介して対応する作溝器27に向けて圧送することで、圃場における植え付け苗の横側方箇所に肥料を埋没させるように構成されている。
【0028】図5及び図6に示すように、ギヤ式伝動装置10は、静油圧式無段変速装置8からの伝動を断続する主クラッチ32、主クラッチ32を介して伝達された動力を高低二段に変速する副変速機構33、副変速機構33からの動力を走行用動力として前輪駆動装置12及び第1伝動軸14に伝達する差動機構34、主クラッチ32を介して伝達された動力の正転動力のみを作業用動力として伝動する一方向クラッチ35、一方向クラッチ35からの作業用動力を変速する株間変更用の植付変速機構36、及び、植付変速機構36から第2伝動軸23への伝動を断続する植付クラッチ37、などによって構成されている。
【0029】図3及び図5に示すように、前輪駆動装置12は、差動機構34から横外側方に向けて延設された左右の前輪駆動軸38、及び、各前輪駆動軸38に対応する前輪13を操向可能に連動連結する図外のベベルギヤ式伝動機構、などによって構成されている。
【0030】図7〜9に示すように、後輪駆動装置16は、第1伝動軸14に連動連結された横向きの後輪駆動軸39、後輪駆動軸39からの動力を対応する後輪17に減速伝動する左右のギヤ式減速機構40、後輪駆動軸39から左右のギヤ式減速機構40への伝動を各別に断続する左右のサイドクラッチ41、及び、右側のサイドクラッチ41と後車軸ケース15との間に介装された走行ブレーキ42、などによって構成されている。
【0031】図3、図4及び図7〜9に示すように、ステアリングホイール18の回動軸18aには、左右の前輪13にナックルアーム43とタイロッド44とを介して連動連結されたピットマンアーム45をステアリングホイール18のステアリング操作量に応じて縦向きの第1軸心P1周りに左右方向に揺動駆動する油圧パワーステアリング用のトルクジェネレータ46が接続されている。ピットマンアーム45は、その直進姿勢から設定角(例えば30度)以上の左右揺動に連動して第1操作ロッド47を前後方向に押し引き操作することで機体中央に配備した中継アーム48を縦向きの第2軸心P2周りに前後揺動させ、中継アーム48は、それと一体揺動する天秤アーム49を介して左右の第2操作ロッド50を互いに前後逆向きに押し引き操作することで、各サイドクラッチ41の操作アーム51を互いに縦向きの第3軸心P3周りに前後逆向きに揺動操作し、各サイドクラッチ41は、その操作アーム51が前方に向けて揺動操作されるのに伴って、操作アーム51の支軸52に形成された偏芯カム53がバネ54の付勢に抗して可動体55を機体外方側に向けて押圧操作することによって、後輪駆動軸39側とギヤ式減速機構40側とに振り分け装着された複数の摩擦板56の圧接を解除する伝動切り方向への切り換え操作が行われ、逆に、操作アーム51が後方に向けて揺動操作されるのに伴って、偏芯カム53による可動体55の押圧操作が解除されてバネ54が可動体55を機体内方側に向けて押圧操作することによって、前記複数の摩擦板56を圧接させる伝動入り方向への切り換え操作が行われるようになっている。
【0032】つまり、ステアリング操作系が油圧パワーステアリング式に構成されるとともに、ピットマンアーム45と各サイドクラッチ41の操作アーム51とを連係する第1操作ロッド47、中継アーム48、天秤アーム49、及び左右の第2操作ロッド50、などによって、ステアリングホイール18の直進状態からの設定角以上のステアリング操作に連動して旋回内側のサイドクラッチ41を切り状態に切り換えるサイドクラッチ操作機構57が構成されている。
【0033】図7及び図8に示すように、走行ブレーキ42は、その操作アーム58が縦向きの第4軸心P4周りに前方に向けて揺動操作されるのに伴って、操作アーム58の支軸59に装備された一対の偏芯カム60が可動体61を機体外方側に向けて押圧操作することによって、サイドクラッチ41側と後車軸ケース15側とに振り分け装着された複数の摩擦板62を圧接させる制動方向への切り換え操作が行われるようになり、逆に、操作アーム58が後方に向けて揺動操作されるのに伴って偏芯カム60による可動体61の押圧操作が解除されることによって、前記複数の摩擦板62の圧接を解除する非制動方向への切り換え操作が行われるようになっている。
【0034】図5及び図7に示すように、走行ブレーキ42の操作アーム58は、左右向きの第5軸心P5周りでの踏み込み操作が可能となるように搭乗運転部21の右側足元位置に配設された単一の操作ペダル64にターンバックル式の第3操作ロッド65を介して連動連結されており、図外の復帰バネの付勢に抗した操作ペダル64の踏み込み操作で第3操作ロッド65が前方側に引き込み操作されることによって前方に向けて揺動操作され、逆に、復帰バネによる操作ペダル64の復帰操作で第3操作ロッド65が後方側に押し込み操作されることによって後方に向けて揺動操作されるようになっている。一方、操作ペダル64は、その支軸である左右向きの回動軸66と、操作ペダル64に連動した回動軸66の第5軸心P5周りの回動に伴って前後方向に押し引き操作される第4操作ロッド67とを介して主クラッチ32の操作アーム68に連係されている。
【0035】主クラッチ32は、操作ペダル64の踏み込み操作に連動した第4操作ロッド67の前方側への押し込み操作で操作アーム68が縦向きの第6軸心P6周りに前方に向けて揺動操作され、操作アーム68の支軸69に形成された操作カム70がバネ71の付勢に抗して可動体72を機体右側方に向けて押圧操作することによって、その入力側の固定体73と出力側の可動体72とに振り分け装着された複数の摩擦板74の圧接を解除する伝動切り方向への切り換え操作が行われ、逆に、操作ペダル64の復帰操作に連動した第4操作ロッド67の後方側への引き込み操作で操作アーム68が第6軸心P6周りに後方に向けて揺動操作され、操作カム70による可動体72の押圧操作が解除されてバネ71が可動体72を機体左側方に向けて押圧操作することによって、前記複数の摩擦板74を圧接させる伝動入り方向への切り換え操作が行われるようになっている。
【0036】つまり、操作ペダル64は、その踏み込み操作によって主クラッチ32を切り状態に切り換えるとともに走行ブレーキ42を制動状態に切り換える主クラッチ・ブレーキペダルであり、これによって、主クラッチ32を切り状態に切り換えて走行ブレーキ42を制動状態に切り換える、といったエンジン6に無理を掛けることなく機体を制動させるための一連操作を、単一の主クラッチ・ブレーキペダル64を踏み込むだけの極簡単な操作で行えるようになっている。
【0037】図1、図3及び図4に示すように、走行機体1は、左右一対の主フレーム75の前端にミッションケース9を連結し、そのミッションケース9から前方に向けて前部フレーム76を延設することで機体フレーム77が構成され、その前部フレーム76に防振ゴム78を介してエンジン6が搭載されている。一方、ミッションケース9は、その左右両側面の後下部から前車軸ケース11が延設され、その左側面の前上部に静油圧式無段変速装置8が連結され、その上面前部にトルクジェネレータ46が搭載されている。
【0038】つまり、走行機体1において、前輪13を支持する前車軸ケース11よりも前方側に重量のあるエンジン6を配備し、かつ、側面視における前車軸ケース11の上方近傍に、ギヤ式伝動装置10を内装したミッションケース9、静油圧式無段変速装置8、及び、パワーステアリング用のトルクジェネレータ46を配備していることから、重量のあるエンジン6及びミッションケース9に加えて、比較的重量のある静油圧式無段変速装置8及びトルクジェネレータ46を前輪13の接地荷重として有効に作用させることができ、その分、エンジン6及びミッションケース9を機体の後方側に配置することや、前部フレーム76に連結するバランスウェイト79の軽量化を図ることができるので、機体の小型化や軽量化を図りながら、走行機体1の後部に重量物である苗植付装置4を連結した田植機全体としての前後バランスを良好にすることができるようになっている。
【0039】又、図1に示すように、走行機体1の後部に搭載される施肥装置5は、側面視において機体フレーム77の後端部に連結された後車軸ケース15の直上に位置するように配設されており、これによって、例えば、施肥装置5を苗植付装置4に装備する場合に生じる、重量物である施肥装置5を装備することに起因した前輪13の接地荷重の減少を防止できるようになり、その結果、田植機全体としての前後バランスを良好にするために、施肥装置5の装着に伴って、エンジン6及びミッションケース9を機体のより前方側に配置する、あるいは、バランスウェイト79を増量する、といった改良を施す必要がないので、施肥装置5を装備することに起因した機体の不必要な大型化や重量の増大を回避できるようになっている。
【0040】図1〜3、図7及び図10に示すように、搭乗運転部21において、単一の主クラッチ・ブレーキペダル64は、側面視における前車軸ケース11の上方近傍に、その一部をエンジン6の後方を覆う後部ボンネット80の右側面に形成した凹部80aに入り込ませた状態で配設されており、これによって、主クラッチペダルとブレーキペダルとを搭乗運転部21における後部ボンネット80から離れた左右の足元位置に振り分け配備する場合に比較して、搭乗運転部21の足元空間を無理なく広く形成することができて搭乗運転部21での居住性の向上を図れるとともに、エンジン6を覆う前後のボンネット80,81の左右に配設された乗降ステップ82のうち、主クラッチ・ブレーキペダル64が配備されない左側の乗降ステップ82を利用した機体前方からの乗降は当然のことながら、主クラッチ・ブレーキペダル64が配備される右側の乗降ステップ82を利用した機体前方からの乗降をも行い易くすることができるようになっている。
【0041】図1〜3に示すように、搭乗運転部21において、ステアリングホイール18は、その回動軸18aを支持するハンドルポスト83がトルクジェネレータ46の上面に連結された支持枠84から立設されることで、側面視における前車軸ケース11の上方近傍に位置するようになり、そのステアリングホイール18の左横側方に静油圧式無段変速装置8を操作する変速レバーとしての主変速レバー85が配設されている。一方、施肥装置5における肥料ホッパ29の前部中央箇所には、その直前に配置される運転座席20を入り込ませるための凹部29aが形成されている。
【0042】つまり、搭乗運転部21の最前部下方に位置する前車軸ケース11の側面視での上方近傍にステアリングホイール18と主変速レバー85とを配設することで、搭乗運転部21におけるステアリングホイール18及び主変速レバー85の運転座席20側への張り出しを抑制し、かつ、肥料ホッパ29の凹部29aに運転座席20を入り込ませることで、搭乗運転部21における運転座席20のステアリングホイール18及び主変速レバー85側への張り出しを抑制するようにしていることから、走行機体1の後部に施肥装置5を搭載するものでありながら、機体の大型化を招くことなく広い搭乗空間を確保できるようになっており、これによって、搭乗運転部21での左右の乗降ステップ82の横外側方に立設された予備苗載台86から苗植付装置4の苗載台25への苗補給や、施肥装置5の肥料ホッパ29への肥料補給が行い易くなっている。
【0043】しかも、ステアリングホイール18と主変速レバー85とが左右に並設されることから、ステアリングホイール18と主変速レバー85との間での持ち替えをスムーズに行えるようになって操作性の向上を図れるようになり、又、主変速レバー85と静油圧式無段変速装置8とが近接配備されることから、主変速レバー85と静油圧式無段変速装置8とに亘る図外の連係構造の簡略化を図れるようになっている。
【0044】図1、図2及び図11に示すように、施肥装置5の肥料ホッパ29に開閉自在に装備された蓋体29Aは、その左右両側部における運転座席20の左右近側箇所に肘掛けとして利用される上向きの膨出部29bが形成されており、これによって、搭乗運転部21での居住性の向上を図れるとともに蓋体29Aの強度の向上を図れるようになっている。尚、膨出部29bにクッション材(図示せず)を貼着するようにしてもよい。
【0045】ちなみに、図1及び図2に示す符号87は、ギヤ式伝動装置10の副変速機構33を変速操作するように運転座席20の左側方に配設された副変速レバーであり、又、図2に示す符号88は、その踏み込み操作でギヤ式伝動装置10の差動機構34を差動状態から差動不能状態に切り換えるように搭乗運転部21における左側の足元後方箇所に配設されたデフロックペダルである。
【0046】〔別実施形態〕以下、本発明の別実施形態を列記する。
■ 水田作業機としては、走行機体1の後部に水田作業装置4の一例である直播装置を連結してなる直播機などであってもよい。
■ 水田作業装置4としては、4条分、5条分、8条分、あるいは10条分などの作業を行うように構成されたものであってもよい。
■ 側面視における前車軸ケース11の上方近傍に静油圧式無段変速装置8を配置できるのであれば、ミッションケース9の右側面などに静油圧式無段変速装置を連結装備するようにしてもよい。
■ ステアリングホイール18の右横側方に変速レバー85を配備するようにしてもよい。
【出願人】 【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
【出願日】 平成12年1月19日(2000.1.19)
【代理人】 【識別番号】100107308
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 修一郎
【公開番号】 特開2001−197806(P2001−197806A)
【公開日】 平成13年7月24日(2001.7.24)
【出願番号】 特願2000−10603(P2000−10603)