トップ :: A 生活必需品 :: A01 農業;林業;畜産;狩猟;捕獲;漁業




【発明の名称】 乗用型水田作業機
【発明者】 【氏名】田中 富穂

【氏名】中上 剛志

【要約】 【課題】ボンネット内における機器の配置が制約される、あるいは、ボンネット内の機器に対するメンテナンスが行い難くなる、といった不都合を招くことなく、キャノピの支持を強固に行えるようにする。

【解決手段】走行機体1の前部に搭載されたエンジン9を支持する前後向きの前部フレーム8と左右向きの前車軸ケース12とに亘って支持フレーム33を架設し、該支持フレーム33に、前記エンジン9の後方に形成された搭乗運転部の上方を覆うキャノピの支柱18Aを連結した。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 走行機体の前部に搭載されたエンジンを支持する前後向きの前部フレームと左右向きの前車軸ケースとに亘って支持フレームを架設し、該支持フレームに、前記エンジンの後方に形成された搭乗運転部の上方を覆うキャノピの支柱を連結してある乗用型水田作業機。
【請求項2】 走行機体の前部に搭載されたエンジンを支持する前後向きの前部フレームと左右向きの前車軸ケースとに亘って支持フレームを架設し、該支持フレームに、前記エンジンの後方に形成された搭乗運転部の上方を覆うキャノピの支柱を、前記搭乗運転部に対する機体前方位置からの乗降を可能にするように前記エンジンの横側方に配設された乗降ステップを挟む状態で連結してある乗用型水田作業機。
【請求項3】 ハンドルポストの支持枠に、エンジンの上方に配設される燃料タンクを支持する左右一対のブラケットを、前記支持枠から前上方に向けて延設される支持ステーを介して連結し、各ブラケットに、前記エンジン及び燃料タンクの前方を開閉自在に覆う前部ボンネットの揺動支点と、前記エンジン及び燃料タンクの後方を覆う後部ボンネットの取付部とを設け、連結される前記支持枠と支持ステーのいずれか一方、及び、前記支持ステーとブラケットのいずれか一方に、他方に形成される一対の突起又は孔に係合する一対の孔又は突起を形成してある乗用型水田作業機。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、乗用型に構成された田植機や直播機などの水田作業機に関する。
【0002】
【従来の技術】上記のような乗用型水田作業機は、走行機体の後部に苗植付装置や直播装置などの作業装置が連結されている。そのため、搭乗運転部の上方を覆うキャノピを設ける場合には、その支柱を、搭乗運転部からの作業装置に対する作業(水田作業機が田植機である場合は苗載台に対する苗補給作業などであり、直播機である場合は種貯留ホッパーに対する種補給作業などである)の邪魔にならないように、走行機体の前部側に立設するようにしている。又、機体の前後バランスの安定性の向上を図れるようにするために、走行機体の前部側にエンジンやミッションケースなどを配設するとともに、エンジンの上方に燃料タンクを配備するようにしている。
【0003】そこで、従来の乗用型水田作業機では、例えば特開平10−229715号公報で開示されているように、キャノピの支柱を、エンジンや燃料タンクなどを覆うボンネット内を通して下方のミッションケースに連結するようにしていた。
【0004】一方、燃料タンクは、専用のジグを用いた組み付け作業や組み付け後の位置調節作業を行うことによって、ボンネット内の狭い空間に収まる状態に正確に組み付けることができるようになっていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の従来技術によると、キャノピの支柱をミッションケースに連結することによってキャノピの支持は強固に行えるものの、そのために、キャノピの支柱をボンネット内に通す必要が生じることから、ボンネット内における機器の配置が制約されるとともに、支柱が邪魔になってボンネット内の機器に対するメンテナンスが行い難くなっていた。
【0006】ちなみに、キャノピの支柱をボンネット内に通さないようにするために、その支柱が連結される支持フレームを、エンジンを支持する前部フレームから横外側方に向けて延出することも考えられるが、この場合には、支持フレームが前部フレームに片持ち支持された状態になることから、キャノピの支持強度が低下する不都合を招くようになっていた。
【0007】一方、燃料タンクをボンネット内の狭い空間に収まる状態に正確に組み付けるためには、専用のジグを用意する、あるいは、組み付け後に位置調節作業を行う必要があることから、燃料タンクの組み付けに手間が掛かるようになっていた。
【0008】本発明の第1の目的は、ボンネット内における機器の配置が制約される、あるいは、ボンネット内の機器に対するメンテナンスが行い難くなる、といった不都合を招くことなく、キャノピの支持を強固に行えるようにすることにあり、又、第2の目的は、燃料タンクを、ボンネット内の狭い空間に収まる状態に簡単かつ正確に組み付けられるようにすることにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】〔構成〕上記第1の目的を達成するため、本発明のうちの請求項1記載の発明では、走行機体の前部に搭載されたエンジンを支持する前後向きの前部フレームと左右向きの前車軸ケースとに亘って支持フレームを架設し、該支持フレームに、前記エンジンの後方に形成された搭乗運転部の上方を覆うキャノピの支柱を連結した。
【0010】〔作用〕上記請求項1記載の発明によると、キャノピの支柱を、前部フレームと前車軸ケースとに亘って架設された支持フレームに連結することによって、キャノピの支柱をボンネットの外側に立設することができるようになる。つまり、前述したキャノピの支柱をミッションケースに連結する従来技術のようにキャノピの支柱をボンネット内に通す必要がないことから、ボンネット内における機器の配置がキャノピの支柱によって制約される不都合を解消することができ、又、ボンネット内の機器に対するメンテナンスを行い易くすることができるようになる。
【0011】しかも、その支持フレームは、本来より頑丈に組み付けられている前部フレームと前車軸ケースとに、それらに亘る両持ち状で強固に取り付けられるものであることから、キャノピの支持強度を十分に確保することができるようになる。
【0012】〔効果〕従って、ボンネット内における機器の配置が制約される、及び、ボンネット内の機器に対するメンテナンスが行い難くなる、といった不都合を招くことなく、キャノピの支持を強固にすることができるようになった。
【0013】〔構成〕上記第1の目的を達成するため、本発明のうちの請求項2記載の発明では、走行機体の前部に搭載されたエンジンを支持する前後向きの前部フレームと左右向きの前車軸ケースとに亘って支持フレームを架設し、該支持フレームに、前記エンジンの後方に形成された搭乗運転部の上方を覆うキャノピの支柱を、前記搭乗運転部に対する機体前方位置からの乗降を可能にするように前記エンジンの横側方に配設された乗降ステップを挟む状態で連結した。
【0014】〔作用〕上記請求項2記載の発明によると、キャノピの支柱を、前部フレームと前車軸ケースとに亘って架設された支持フレームに連結することによって、キャノピの支柱をボンネットの外側に立設することができるようになる。つまり、前述したキャノピの支柱をミッションケースに連結する従来技術のようにキャノピの支柱をボンネット内に通す必要がないことから、ボンネット内における機器の配置がキャノピの支柱によって制約される不都合を解消することができ、又、ボンネット内の機器に対するメンテナンスを行い易くすることができるようになる。
【0015】しかも、その支持フレームは、本来より頑丈に組み付けられている前部フレームと前車軸ケースとに、それらに亘る両持ち状で強固に取り付けられるものであることから、キャノピの支持強度を十分に確保することができるようになる。
【0016】更に、キャノピの支柱を支持フレームに乗降ステップを挟む状態で連結することから、乗降ステップの支持強度をも高めることができるようになる。
【0017】〔効果〕従って、ボンネット内における機器の配置が制約される、及び、ボンネット内の機器に対するメンテナンスが行い難くなる、といった不都合を招くことなく、キャノピの支持を強固にすることができる上に、乗降ステップの支持強度の向上をも図れるようになった。
【0018】〔構成〕上記第2の目的を達成するため、本発明のうちの請求項3記載の発明では、ハンドルポストの支持枠に、エンジンの上方に配設される燃料タンクを支持する左右一対のブラケットを、前記支持枠から前上方に向けて延設される支持ステーを介して連結し、各ブラケットに、前記エンジン及び燃料タンクの前方を開閉自在に覆う前部ボンネットの揺動支点と、前記エンジン及び燃料タンクの後方を覆う後部ボンネットの取付部とを設け、連結される前記支持枠と支持ステーのいずれか一方、及び、前記支持ステーとブラケットのいずれか一方に、他方に形成される一対の突起又は孔に係合する一対の孔又は突起を形成した。
【0019】〔作用〕上記請求項3記載の発明によると、燃料タンク支持用のブラケットに前部ボンネットの回動支点と後部ボンネットの取付部とを設けて、支持ステーと左右のブラケットとを、前後の各ボンネット取付用の取付部材に兼用させるようにしていることから、前部ボンネット及び後部ボンネットを取り付けるための専用の支持ステー及びブラケットを新たに設ける場合に比較して、構成の簡素化や製造コストの低減化を図れるようになる。
【0020】しかも、支持枠と支持ステーのいずれか一方、及び、支持ステーとブラケットのいずれか一方に、他方に形成される一対の突起又は孔に係合する一対の孔又は突起を形成していることによって、燃料タンク、前部ボンネット、及び後部ボンネットを組み付ける際には、支持枠と支持ステーのいずれか一方、及び、支持ステーとブラケットのいずれか一方に形成された一対の突起又は孔に、他方に形成された一対の孔又は突起を係合させることによって、位置決め用の専用のジグを用意する、あるいは、組み付け後に位置調節作業を行う、といった手間を要することなく、燃料タンク、前部ボンネット、及び後部ボンネットのそれぞれを、燃料タンクが前後のボンネット内の狭い空間に収まる状態で、かつ、前部ボンネットの開閉揺動操作を円滑に行える状態に精度良く組み付けることができるようになる。
【0021】〔効果〕従って、構成の簡素化及び製造コストの低減化を図りながら、燃料タンク、前部ボンネット、及び後部ボンネットのそれぞれを、簡単かつ精度良く組み付けられるようにすることができるようになった。
【0022】
【発明の実施の形態】図1には乗用型水田作業機の一例である乗用型田植機の全体側面が、図2には乗用型田植機の全体平面がそれぞれ示されており、この田植機は、乗用型に構成された走行機体1の後部に、油圧シリンダ2の作動で昇降揺動するリンク機構3を介して水田作業装置4の一例である苗植付装置4を昇降自在に連結し、かつ、施肥装置5を搭載することによって構成されている。
【0023】図1〜3に示すように、走行機体1は、左右一対の主フレーム6、各主フレーム6の前端に連結されたミッションケース7、及び、ミッションケース7から前方に向けて延設された前部フレーム8、などからなる機体フレームA、並びに、前部フレーム8に載置支持されたエンジン9、エンジン9とミッションケース7との間に介装された静油圧式無段変速装置10、エンジン9からの動力を静油圧式無段変速装置10に伝達するベルト式伝動装置11、ミッションケース7から左右に向けて延設された左右一対の前車軸ケース12、各前車軸ケース12に支持された左右一対の前輪13、機体フレームAの後部に連結された後車軸ケース14、後車軸ケース14に支持された左右一対の後輪15、左右の前輪13を操向操作するステアリングホイール16、機体フレームAの後部上方に配備された運転座席17、及び、ステアリングホイール16や運転座席17などを備えてなる搭乗運転部Bの上方を覆うキャノピ18、などによって構成されている。
【0024】図3に示すように、ミッションケース7の上部には、ステアリングホイール16のステアリング軸16aに連動する油圧式パワーステアリング用のトルクジェネレータ19が配備され、トルクジェネレータ19の上面には支持枠20が連結され、支持枠20にはステアリングホイール16を支持するハンドルポスト21が立設され、ハンドルポスト21には連結具22を介して操縦パネル23が連結されている。
【0025】図3〜6に示すように、支持枠20から前上方に向けて略U字状の支持ステー24が延設されており、支持ステー24の左右の各延出端部24Aには、エンジン9の上方に配設される燃料タンク25を支持するブラケット26が溶接されている。左右の各ブラケット26には、燃料タンク25の支持部Cとなる第1貫通孔26Aと第1溶接ナット26B、エンジン9及び燃料タンク25の前方を開閉自在に覆う前部ボンネット27の揺動支点Pとなる支点ピン26C、及び、エンジン9及び燃料タンク25の後方を覆う後部ボンネット28の取付部Dとなる第2貫通孔26Dと第2溶接ナット26Eとが設けられている。つまり、燃料タンク25を支持する支持ステー24と左右のブラケット26とを、前部ボンネット27及び後部ボンネット28を取り付けるための取付部材に兼用させることから、構成の簡素化並びに製造コストの低減化を図れるようになっている。
【0026】図4及び図5に示すように、支持枠20には、支持ステー24の基端部24Bに形成された位置決め用の左右一対の突起24aと係合する位置決め用の左右一対の孔20aが形成され、又、支持ステー24の各延出端部24Aには、各ブラケット26に形成された位置決め用の前後一対の突起26aと係合する位置決め用の前後一対の孔24bが形成されている。つまり、燃料タンク25、前部ボンネット27、及び後部ボンネット28を組み付ける際には、支持ステー24の各延出端部24Aに形成された各孔24bに対応するブラケット26の各突起26aを係合させた状態で支持ステー24の各延出端部24Aと対応するブラケット26とを溶接し、支持ステー24の突起24aを支持枠20の孔20aに係合させた状態で支持ステー24と支持枠20とをボルト連結した後に、左右の各ブラケット26に、燃料タンク25、前部ボンネット27、及び後部ボンネット28を連結することによって、燃料タンク25、前部ボンネット27、及び後部ボンネット28のそれぞれを、燃料タンク25が前後のボンネット27,28内の狭い空間に収まる状態で、かつ、前部ボンネット27の開閉揺動操作を円滑に行える状態に精度良く組み付けることができるようになっている。尚、図5に示す符号20b,24cは、支持枠20と支持ステー24とをボルト連結するために支持枠20及び支持ステー24のそれぞれに穿設された連結孔である。
【0027】図1及び図2に示すように、前後のボンネット27,28の左右には、搭乗運転部Bの運転ステップ29に連なる乗降ステップ30が配設されており、これによって、走行機体1の前方の位置からでも搭乗運転部Bに対する乗降を行えるようになっている。又、キャノピ18における左右の支柱18Aは、左右の各乗降ステップ30の外側方に立設された予備苗載台31から苗植付装置4の苗載台32への苗補給の邪魔にならないように、走行機体1における左右の乗降ステップ30から立設されている。
【0028】図6〜9に示すように、左右の各乗降ステップ30の下方にはパイプ材などからなる支持フレーム33が配設されており、この支持フレーム33は、その前端部33Aが前部フレーム8にボルト連結され、かつ、その後端部33Bが前車軸ケース12にUボルト34を介して連結され、更に、その前後中間部には、乗降ステップ30とキャノピ18の支柱18Aとが共締め連結される支持部33Cが備えられている。
【0029】つまり、キャノピ18の支柱18Aを、本来より頑丈に組み付けられている前後向きの前部フレーム8と左右向きの各前車軸ケース12とに亘る両持ち状で強固に取り付けられた支持フレーム33に、左右の乗降ステップ30を挟む状態で連結するようにしていることから、キャノピ18の支持強度を十分に確保することができる上に乗降ステップ30の支持強度をも高めることができるようになっている。又、これによって、キャノピ18の支柱18Aが前後のボンネット27,28の横外側箇所に立設されるようになることから、例えば、キャノピ18の支柱18Aを、十分な支持強度を得るために前後のボンネット27,28内を通してミッションケース7や前部フレーム8に直結する場合に生じる、前後のボンネット27,28内におけるエンジン9や燃料タンク25などの配置がキャノピ18の支柱18Aによって制約される、といった不都合を解消することができるとともに、前後のボンネット27,28内のエンジン9などに対するメンテナンスを行い易くすることができるようになっている。更に、前車軸ケース12に対する支持フレーム33の連結をUボルト34を用いて行うことによって、前車軸ケース12に、支持フレーム33をボルト連結するための連結部を形成する必要がないことから、その分、前車軸ケース12を形成する上での容易化やコストの削減を図れるようになっている。
【0030】尚、図3及び図6〜9に示す符号12Aは、各前車軸ケース12に対するUボルト34の位置ズレを防止するために各前車軸ケース12に上下一対ずつ突設された位置決め用の係合部であり、図3、図6及び図7に示す符号35は、左側の乗降ステップ30の下方に配備されたマフラであり、図6及び図8に示す符号36は、右側の乗降ステップ30の下方に配備されたバッテリである。
【0031】〔別実施形態〕以下、本発明の別実施形態を列記する。
■ 乗用型水田作業機としては、水田作業装置4の一例である直播装置が連結される乗用型直播機などであってもよい。
■ 各乗降ステップ30に開口を形成して、キャノピ18の支柱18Aを支持フレーム33の支持部33Cに直結するようにしてもよい。
■ 支持枠20と支持ステー24の位置決めを、支持枠20に形成した左右一対の突起と支持ステー24に形成した左右一対の孔との係合で行うようにしてもよく、又、支持ステー24と各ブラケット26の位置決めを、支持ステー24に形成した前後一対の突起と各ブラケット26に形成した前後一対の孔との係合で行うようにしてもよい。
【出願人】 【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
【出願日】 平成12年1月13日(2000.1.13)
【代理人】 【識別番号】100107308
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 修一郎
【公開番号】 特開2001−190108(P2001−190108A)
【公開日】 平成13年7月17日(2001.7.17)
【出願番号】 特願2000−4403(P2000−4403)