トップ :: A 生活必需品 :: A01 農業;林業;畜産;狩猟;捕獲;漁業




【発明の名称】 コート種子およびコート種子の製造方法
【発明者】 【氏名】近藤 篤志

【氏名】横地 太郎

【要約】 【課題】たとえば、大根等の大型の種子に対して充分な補強効果を付与し、加工中における乾燥工程前や乾燥工程等において、コート層が崩壊・剥落せず、製品収率を向上させることができるコート種子およびコート種子の製造方法を提供する。

【解決手段】コート種子は、種子を被覆しているコート層が、種子表面を被覆する内層および該内層の外側に積層される外層の少なくとも2層より形成され、上記内層が複鎖構造型の粘土鉱物を含んでいる。複鎖構造型の粘土鉱物としては、セピオライトが好適である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】種子を被覆しているコート層が、種子表面を被覆する内層および該内層に積層されてなる外層の少なくとも2層より形成され、上記内層が複鎖構造型の粘土鉱物を含んでいることを特徴とするコート種子。
【請求項2】上記複鎖構造型の粘土鉱物が、上記種子重量に対して上記内層部分に30%以上含まれていることを特徴とする請求項1記載のコート種子。
【請求項3】上記内層が、撥水剤を含んでいることを特徴とする請求項1または2記載のコート種子。
【請求項4】上記内層が、アスペクト比20以上の繊維状物質を含んでいることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載のコート種子。
【請求項5】被覆された種子がアブラナ科であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載のコート種子。
【請求項6】種子表面に複鎖構造型の粘土鉱物を含む内層を形成した後、該内層と組成の異なる外層を少なくとも一層形成することにより、該種子を被覆することを特徴とするコート種子の製造方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、花卉、野菜等のコート種子、およびコート種子の製造方法に関するものである。より詳しくは、平均種子径が比較的大きい、たとえば大根等の大型の種子に対して特に好適に用いられるコート種子、およびコート種子の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、たとえば、野菜等の種子においては、たとえば播種を容易にする(播種作業を省力化する)ために、該種子をコート材を用いてコートすることが行われている。ところが、コート材でコートされてなるコート種子は、コートされていない種子と比較して発芽率が低下する場合があり、そのため、発芽率の低下を招来しないコート種子が種々提案されている。
【0003】これらのうち、コートされるべき種子の平均種子径が比較的大きいコート種子では、種子の大きさと比較してコート層が薄いことが特徴となっている。たとえば、大根等の種子では、平均種子径が3mm〜5mm程度と大きく、種子の大きさと比較してコート層の厚さが薄いために、該コート層が崩壊・剥落し易い。つまり、種子が大きい場合には、コート層の強度が充分ではないので、該コート層による補強効果が充分でなく、得られるコート種子が安定性に劣ることとなる。
【0004】たとえば、回転パン中において、種子、コート材と共に、水を添加して、回転させながら造粒加工するいわゆる湿式コーティング加工を行う場合、該加工後、乾燥工程に入る前または乾燥工程中に、コート種子がある程度湿った状態で置かれる場合がある。この際、中の種子が周囲の水分を吸水することによって膨張するが、コート層の強度が充分でないと、該コート層が容易に崩壊・剥落し、製品の歩留りが低下する。
【0005】上記のような現象に対し、たとえば、特開平8−56425号公報には、コート材中に繊維状物質を含有させることにより、コート層の強度向上を図ること、つまり、コート層の強度が向上されたコート材が開示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記特開平8−56425号公報に記載の種子のコート材は、たとえば、アタパルジャイト等の複鎖構造型の粘土鉱物と共用する場合には補強効果を示すが、複鎖構造型の粘土鉱物以外の、たとえば、珪藻土等と共用すると、充分な補強効果が得られないという問題点を有している。このため、共用される粉体等の種類に関わりなく、たとえば、大根等の大型の種子に対して充分な補強効果を有するコート層より形成されてなるコート種子が嘱望されている。
【0007】本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、たとえば、大根等の大型の種子に対して充分な補強効果を付与し、加工中における乾燥工程前や乾燥工程等において、コート層が崩壊・剥落せず、製品収率を向上させることができるコート種子およびコート種子の製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載のコート種子は、上記の課題を解決するために、種子を被覆しているコート層が、種子表面を被覆する内層および該内層に積層されてなる外層の少なくとも2層より形成され、上記内層が複鎖構造型の粘土鉱物を含んでいることを特徴としている。
【0009】上記の構成によれば、コート層に外層が形成されていることで種子を造粒、整粒し、播種し易くすることができる。また、複鎖構造型の粘土鉱物は、比表面積が大きく、かつ吸着能に優れている。従って、上記内層が複鎖構造型の粘土鉱物を含んでいることにより、内層を形成するコート材の各構成成分が強固に固着されるため、内層に対し、充分な強度を付与することができ、該内層に対し積層されている外層が種子の吸水膨張により亀裂を生じて崩壊・剥落することを防止できる。これにより、たとえば、大根等の大型の種子を被覆する場合であって、種子と比較してコート層が薄くなるような場合であっても、コート層に充分な強度が付与されているので、充分な補強効果を有し、たとえば、湿式コーティング加工中における、乾燥工程前や乾燥工程等において、コート層が崩壊・剥落せず、製品収率を向上させることができるコート種子を提供できる。
【0010】請求項2に記載のコート種子は、上記の課題を解決するために、請求項1記載の構成に加えて、上記複鎖構造型の粘土鉱物が、上記種子重量に対して上記内層部分に30%以上含まれていることを特徴としている。
【0011】上記の構成によれば、複鎖構造型の粘土鉱物が上記範囲内の割合で内層に含まれていることで、内層を形成するコート材の各構成成分が、複鎖構造型の粘土鉱物によりさらに確実に固着されるため、さらに優れた補強効果を発揮するコート種子を得ることができ、製品収率をさらに向上させることができる。また、上記複鎖構造型の粘土鉱物は、上記種子重量に対して上記内層部分に70%以上含まれていることがより好ましく、100%以上含まれていることがさらに好ましい。
【0012】請求項3に記載のコート種子は、上記の課題を解決するために、請求項1または2記載の構成に加えて、上記内層が、撥水剤を含んでいることを特徴としている。
【0013】上記の構成によれば、撥水剤が、コート種子に対し、より優れた開裂性、すなわち、灌水等による吸水時にコート層がより開裂し易くなる性質を付与することができるので、より一層、発芽率の低下を招来しないコート種子を提供することができる。また、内層が撥水剤を含むことで、コート層の保水性が適宜調節されるので、内層被覆時の加工適性をより向上させることができる。
【0014】請求項4に記載のコート種子は、上記の課題を解決するために、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の構成に加えて、上記内層が、アスペクト比20以上の繊維状物質を含んでいることを特徴としている。
【0015】上記の構成によれば、上記内層が、上記範囲内のアスペクト比を有する繊維状物質を含むことにより、内層の強度をさらに向上させることができる。
【0016】請求項5に記載のコート種子は、上記の課題を解決するために、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の構成に加えて、被覆された種子がアブラナ科であることを特徴としている。
【0017】上記の構成によれば、アブラナ科のような、比較的大型の種子に対して充分な補強効果を有するコート層を備えたコート種子を提供することができる。
【0018】請求項6に記載のコート種子の製造方法は、上記の課題を解決するために、種子表面に複鎖構造型の粘土鉱物を含む内層を形成した後、該内層と組成の異なる外層を少なくとも一層形成することにより、該種子を被覆することを特徴としている。
【0019】上記の構成によれば、コート層に外層を形成することで種子を造粒、整粒し、播種し易くすることができる。また、複鎖構造型の粘土鉱物は、比表面積が大きく、かつ吸着能に優れている。従って、上記内層が複鎖構造型の粘土鉱物を含んでいることにより、内層を形成するコート材の各構成成分が強固に固着されるため、内層に対し、充分な強度を付与することができ、該内層に対し積層する外層が種子の吸水膨張により亀裂を生じて崩壊・剥落することを防止できる。これにより、たとえば、大根等の大型の種子を被覆する場合であって、種子と比較してコート層が薄くなるような場合であっても、コート層に充分な強度を付与することができるので、充分な補強効果を有し、たとえば、湿式コーティング加工中における、乾燥工程前や乾燥工程等において、コート層が崩壊・剥落せず、製品収率を向上させることができるコート種子を製造することができる。
【0020】
【発明の実施の形態】本発明にかかるコート種子は、種子を被覆しているコート層が、種子表面を被覆する内層および該内層の外側に積層される外層の少なくとも2層より形成され、上記内層が複鎖構造型の粘土鉱物(以下、「複鎖状粘土鉱物」と称する)を含む構成を有している。
【0021】本発明にかかるコート層は、種子表面を直接被覆する内層と、該内層に積層される外層とを少なくとも有している。該外層は、たとえば、珪藻土等の粉体を含む従来公知のコート材で形成されている。なお、外層となるべきコート材の組成、ならびに、外層の厚さは、特に限定されるものではない。
【0022】本発明にかかる内層に含まれる複鎖状粘土鉱物とは、針状構造を備えた2:1型リボン状鉱物をいい、たとえば、いわゆるアタパルガスクレーやセピオライトクレー等に含有されている成分である。該複鎖状粘土鉱物は、通常、粒径2μm以下という微細な粒度を有するとともに、たとえば、ゼオライト等の他の粘土系鉱物と比較して比表面積が大きく、かつ、吸着能に優れている。このため、複鎖状粘土鉱物は、コート材を構成する各成分を互いに固着させて、コート種子に対し定形性を付与するとともに、所定の強度を付与する役割を担っている。
【0023】本発明の複鎖状粘土鉱物としては、たとえば、セピオライト、アタパルジャイト(パリゴルスカイト)等が挙げられ、特に限定されるものではないが、セピオライトが最も好ましい。これら複鎖状粘土鉱物は、一種類のみを用いてもよく、また、二種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0024】上記複鎖状粘土鉱物が、本発明にかかる内層を形成するコート材(以下、「内層用コート材」と称する)に占める割合は、内層用コート材に含まれる他の物質との組み合わせ、内層の厚さ、或いは、コートされるべき種子の平均種子径にもよるが、20〜90重量%の範囲内であることがより好ましく、30〜80重量%の範囲内であることがさらに好ましく、30〜50重量%の範囲内であることが最も好ましい。上記割合が20重量%未満であると、内層が充分な補強効果を発揮できないおそれがある。また、上記割合が、90重量%を超えると、コート材を構成する各成分が過度に固着され、硬くなりすぎるため、通気性が不十分となり、発芽率の低下を招来するおそれがある。なお、複鎖状粘土鉱物の粒径は、300メッシュ以下であることがより好ましい。
【0025】また、上記複鎖構造型の粘土鉱物は、上記種子重量に対して上記内層部分に30%以上含まれていることがより好ましく、70%以上含まれていることがさらに好ましく、100%以上含まれていることが最も好ましい。
【0026】上記内層には、上記複鎖状粘土鉱物以外に、コート層の補強効果、コート種子の定形性、圧縮強度、および発芽等を阻害しない範囲内で、他の物質が含まれていてもよい。該物質としては、たとえば、撥水剤、繊維状物質、各種粉体等が挙げられる。
【0027】上記撥水剤とは、水の透過を妨げる作用を有する物質をいい、液状、粉体状、ペースト状の何れであってもよい。内層用コート材が撥水剤を含む場合、撥水剤は、コート種子に対し、より優れた開裂性、すなわち、灌水等による吸水時にコート層が開裂し易くなる性質を付与することができる。また、内層用コート材が撥水剤を含む場合は、コート層の保水性が適宜調節されるので、内層用コート材の加工適性を向上させることができる。
【0028】本発明にかかる撥水剤としては、たとえば、油脂、蝋、高級脂肪酸およびその金属塩、高級脂肪族アルコールおよびそのアルキレンオキサイド付加物、シリコン系撥水剤、フッ素系撥水剤等が挙げられる。上記例示の撥水剤のうち、高級脂肪酸およびその金属塩がより好ましく、高級脂肪酸の2価金属塩がさらに好ましく、ステアリン酸カルシウムが特に好ましい。これら撥水剤は、必要に応じて、一種類のみを用いてもよく、また、二種類以上を併用してもよい。
【0029】撥水剤を内層用コート材に含有させる場合、該内層用コート材に占める撥水剤の割合は、内層用コート材を構成する他の物質、コート種子に付与すべき諸特性に応じて設定すればよく、特に限定されるものではないが、10〜80重量%の範囲内であることが好ましく10〜60重量%の範囲内であることがさらに好ましく、20〜50重量%の範囲内であることが最も好ましい。上記割合が10重量%未満であると、コート種子に充分な開裂性が付与されず、発芽率が著しく低下するおそれがある。また、上記割合が80重量%を超えると、加工性が低下するおそれがある。
【0030】また、上述のように、本発明の内層用コート材には、必要に応じて、繊維状物質が含まれていてもよい。繊維状物質は、有機物、無機物の何れであってもよく、また、天然物、合成物を問わない。該繊維状物質としては、具体的には、たとえば、ワラストナイト等の繊維状鉱物;セルロース等の有機物繊維;等が挙げられるが、特に限定されるものではない。これら繊維状物質は、必要に応じて、一種類のみを用いてもよく、また、二種類以上を併用してもよい。内層用コート材が繊維状物質を含むことにより、コート層の強度が適宜調節されると共に、通気性が特に充分に確保される。上記例示の繊維状物質のうち、ワラストナイトがより好ましい。
【0031】本発明にかかる内層用コート材が繊維状物質を含むことで、コート層の補強効果がさらに高められる。内層用コート材に占める繊維状物質の割合、ならびに、繊維状物質の長さ(繊維長)は、コート層に付与すべき諸性能に応じて設定すればよく、特に限定されるものではないが、上記繊維状物質は、少なくともアスペクト比が20以上であることがより好ましい。従って、上記例示の繊維状物質のうち、アスペクト比が20以上であるワラストナイトが最も好ましい。
【0032】繊維状物質を内層用コート材に含有させる場合、該内層用コート材に占める繊維状物質の割合は、内層用コート材を構成する他の物質、コート種子に付与すべき諸特性に応じて設定すればよく、特に限定されるものではないが、5〜70重量%の範囲内であることが好ましく10〜60重量%の範囲内であることがさらに好ましく、20〜50重量%の範囲内であることが最も好ましい。
【0033】本発明にかかる内層用コート材は、必要に応じて、たとえば、珪藻土、蝋石クレイ、ゼオライト等の他の粉体を含有していてもよい。また、本発明にかかる内層用コート材は、上記複鎖状粘土鉱物、撥水剤、繊維状物質、粉体等の他に、必要に応じて、たとえば、長石等の鉱物を含んでいてもよい。さらにまた、上記内層用コート材は、必要に応じて、たとえば、植物ホルモン、植物栄養剤、植物生長調節剤、農薬、消毒・殺菌剤、酸素発生剤、発熱剤、肥料、鳥等に食べられないようにするための着色剤や顔料、忌避剤等の添加剤(補助剤)を含んでいてもよい。
【0034】上記複鎖状粘土鉱物、および必要に応じて、撥水剤、繊維状物質、粉体等を混合することにより、内層用コート材が得られる。内層用コート材の製造方法、つまり、上記の構成成分を混合する方法や順序は、特に限定されるものではない。
【0035】本発明にかかる外層を形成するコート材(以下、「外層用コート材」と称する)に含まれる物質は、コート層の補強効果、コート種子の定形性、圧縮強度、および発芽等を阻害しない範囲内で適宜選択すればよく、特に限定されないが、たとえば、珪藻土、蝋石クレイ、ゼオライト等の粉体や、補強材としてのセピオライト等の複鎖状粘土鉱物が挙げられる。また、外層用コート材には、必要に応じて、撥水剤、繊維状物質等が含まれていてもよい。
【0036】また、外層表面には、たとえば、雲母類を含む組成物からなる表層がさらに積層されていてもよい。該表層が雲母類を含むことにより、コート層を分厚くすることなく、コート種子の強度、つまり、コート種子の安定性を向上させることができる。すなわち、コート種子の強度を確保するために、コート層を過度に分厚くする必要がないので、発芽率の低下をさらに抑えることができる。
【0037】コート層となるべき上記構成の内層用コート材および外層用コート材を用いて種子をコートするのに好適に使用することができる造粒装置としては、たとえば、傾斜回転パン型造粒機や、流動層型造粒機等の公知の造粒装置が挙げられるが、特に限定されるものではない。造粒装置を使用した種子のコート方法の一例、つまり、コート種子の製造方法について、その手順を以下に説明する。
【0038】先ず、造粒装置に種子を投入して、所定の回転数で攪拌しながら、該種子に霧状の水を必要に応じて噴霧すると共に、予め調製した内層用コート材を造粒装置に徐々に添加する。そして、種子と内層用コート材と水とを所定時間、攪拌することにより、第一の造粒操作(被覆操作)を行う。これにより、種子の表面に内層が形成される。噴霧する水の量、ならびに、内層用コート材の添加速度は、造粒操作を容易に行うことができるように、装置内の様子(内層の形成され具合)を確認することによって、適宜調節すればよい。
【0039】次に、上記内層が形成された種子(以下、「プレコート種子」と称する)を所定の回転数で攪拌しながら、該プレコート種子に霧状の水を必要に応じて噴霧すると共に、予め調製した上記外層用コート材を造粒装置に徐々に添加する。そして、プレコート種子と外層用コート材と水とを所定時間、攪拌することにより、第二の造粒操作(外層形成操作)を行う。これにより、プレコート種子の表面(即ち、内層表面)に外層が形成(積層)される。噴霧する水の量、ならびに、外層用コート材の添加速度は、造粒操作を容易に行うことができるように、装置内の様子(外層の形成され具合)を確認することによって、適宜調節すればよい。
【0040】得られたコート種子は、種子に熱障害を与えない程度の温度で以て、乾燥操作を行うことが好ましい。なお、種子をコートする具体的な方法は、上記例示の方法にのみ限定されるものではない。
【0041】本発明においてコートされるべき種子は、特に限定されるものではないが、たとえば、最大径の平均値(平均種子径)が1mm以上である大型の種子が特に好適である。該種子としては、具体的には、たとえば、カンラン(キャベツ)、ブロッコリー、大根、野沢菜、ニンジン、ビート等の野菜種子が挙げられる。なお、本発明においてコートされるべき種子は、球状である必要はない。
【0042】種子に対する内層用および外層用コート材の量は、種子の種類や大きさ、コート種子が備えるべき各種物性や大きさ、或いは、コート種子の製造方法や播種方法等に応じて設定すればよく、特に限定されるものではないが、内層用コート材の量は、内層の厚さが100μm〜2000μmの範囲内となる量であることがより好ましく、400μm〜1000μmの範囲内となる量であることがさらに好ましい。これにより、安定性により一層優れたコート種子を得ることができる。内層の厚さが100μmよりも薄い場合には、コート層における内層の厚さが薄いために該内層による補強効果が充分ではなく、湿式コーティング加工中の乾燥工程前または乾燥工程等において、コート層が崩壊・剥落し易い。つまり、得られるコート種子が安定性に劣る場合がある。一方、内層の厚さが3000μmよりも厚い場合には、該内層の強度が大きくなりすぎる(硬くなりすぎる)と共に、通気性が確保され難くなるので、発芽率が低下する場合がある。なお、コート種子の大きさは、特に限定されないが、10mm程度であることがより好ましい。
【0043】従って、上記内層用コート材の量、すなわち、コートされる種子重量に対する内層用コート材の割合(単位:%種子重)は、特に限定されないが、100〜400%種子重の範囲内であることがより好ましく、120〜350%種子重の範囲内であることがさらに好ましく、150〜300%種子重の範囲内であることが最も好ましい。
【0044】外層を形成するコート材の量、すなわち、種子と外層用コート材との重量比は、特に限定されないが、1:0.5〜1:10の範囲内であることがより好ましく、1:2〜1:8の範囲内であることがさらに好ましく、1:5〜1:7の範囲内であることが最も好ましい。
【0045】コート種子の播種方法は、特に限定されるものではない。以上のように、本発明にかかるコート種子は、複鎖状粘土鉱物を含む内層と、外層との少なくとも2層よりなるコート層を備えている。すなわち、複鎖状粘土鉱物を含む内層用コート材により種子表面が直接被覆され、内層が形成されていると共に、該内層に外層が積層された構造を有している。
【0046】上記コート種子は、上記外層が形成されていることにより、種子を造粒、整粒し、播種し易くすることができる。また、内層が複鎖状粘土鉱物を含んでいるので、湿式コーティング加工中の乾燥工程前における湿った状態での種子の吸水膨張による亀裂・崩壊を防止できる。すなわち、上記加工後、乾燥工程前または該工程中における外層の開裂・剥落を防止することができる。それゆえ、コート種子の乾燥工程前または該工程中におけるコート層の割れを防止することによって、発芽率を維持しつつ、製品収率を向上させることができる。従って、上記の構成によれば、たとえば、種子の最大径の平均値が1mm以上である場合等に特に好適であり、乾燥工程前または該工程中におけるコート層の崩壊・剥落を防止することができ、安定性に優れ、しかも、発芽率の低下を招来しないコート種子を提供することができる。
【0047】
【実施例】コート種子の割れ率、発芽率、および歩留り(製品収率)は、下記方法により測定・評価した。
【0048】〔割れ率〕造粒加工後、乾燥前の段階でのコート種子200個をビニール袋に入れ、所定温度で放置し、60分後に割れたコート種子の割合(%)を測定した。
【0049】〔発芽率〕コート種子の発芽率を、発芽試験(20℃、シャーレ試験)を実施することによって測定した。まず、直径9cmシャーレに濾紙を2枚敷き、4.5mlの水を滴下した後に、造粒加工・乾燥後における同一ロットの種子を50粒/シャーレに置床し、20℃の気象器内に置いた。播種後7日経過後の発芽率(%)を測定した。
【0050】〔歩留り〕コート種子を製造後、「コート層が開裂・剥落することなく得られたコート種子の数」を「造粒装置に投入した種子の数」で除した値の百分率(%)として求め、90%以上を「◎」、80%以上を「○」、80%未満を「×」として評価した。
【0051】以下、実施例および比較例により、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。
【0052】〔実施例1〕複鎖状粘土鉱物としてのセピオライトを20重量%、撥水剤としてのステアリン酸カルシウムを80重量%の割合で含むコート材を、本発明にかかる内層を形成するためのコート材、すなわち、内層用コート材として調製した。
【0053】次に、本発明にかかる外層を形成するためのコート材、すなわち、外層用コート材として、珪藻土、パイロフィライト、ステアリン酸カルシウムの混合物(40:40:20、重量比)を調製した。コートされるべき種子として、大根(種子径3〜5mm)を選び、上記2種類のコート材を用いてコート種子を製造した。すなわち、直径50cmの傾斜回転パン型造粒機に所定量の種子を投入して、回転数約30rpmで攪拌しながら、該種子に霧状の水を必要に応じて噴霧すると共に、上記内層用コート材を該造粒機に徐々に添加し、種子と該内層用コート材と水とを所定時間、攪拌することにより、造粒操作を行って種子表面に内層を形成させた。種子100gに対する内層用コート材の割合は150gとなるようにした。すなわち、上記内層用コート材の量は、コートされる種子重量の150%(%種子重)であった。また、コート層に含まれる複鎖状粘土鉱物としてのセピオライトの量は、コートされる種子重量の30%(%種子重)であった。
【0054】次いで、上記外層用コート材を、該造粒機に徐々に添加し、プレコート種子と該外層用コート材と水とを所定時間、攪拌することにより、造粒操作を行って上記内層表面に外層を積層した。噴霧する水の量は、装置内の様子を確認することによって適宜調節した。添加した外層用コート材の量は、種子重量の10倍量であり、外層積層後の種子径は、約8mmであった。これにより本発明のコート種子を得た。
【0055】得られた上記コート種子の20℃および35℃における各割れ率、発芽率、および歩留りを、上記方法によって測定または評価した。結果を表1に示す。
【0056】〔実施例2〕セピオライトを50重量%、ステアリン酸カルシウムを50重量%とし、内層用コート材量を、コートされる種子重量の300%とした以外は、実施例1と同様の各種操作を行い、本発明にかかるコート種子を得た。
【0057】得られた上記コート種子の20℃および35℃における各割れ率、発芽率、および歩留りを、上記方法によって測定または評価した。結果を表1に示す。
【0058】〔実施例3〕セピオライトを25重量%、ステアリン酸カルシウムを50重量%、および繊維状物質としてのワラストナイトを25重量%の割合で含むコート材を内層用コート材として調製し、内層用コート材量をコートされる種子重量の300%とした以外は、実施例1と同様の各種操作を行い、本発明にかかるコート種子を得た。
【0059】得られた上記コート種子の20℃および35℃における各割れ率、発芽率、および歩留りを、上記方法によって測定または評価した。結果を表1に示す。
【0060】〔実施例4〕セピオライトを25重量%、ステアリン酸カルシウムを50重量%、および粉体としての珪藻土を25重量%の割合で含むコート材を内層用コート材として調製し、内層用コート材量をコートされる種子重量の300%とした以外は、実施例1と同様の各種操作を行い、本発明にかかるコート種子を得た。
【0061】得られた上記コート種子の20℃および35℃における各割れ率、発芽率、および歩留りを、上記方法によって測定または評価した。結果を表1に示す。
【0062】〔実施例5〕セピオライトを50重量%、ステアリン酸カルシウムを20重量%、および珪藻土を30重量%の割合で含むコート材を内層用コート材として調製し、内層用コート材量をコートされる種子重量の300%とした以外は、実施例1と同様の各種操作を行い、本発明にかかるコート種子を得た。
【0063】得られた上記コート種子の20℃および35℃における各割れ率、発芽率、および歩留りを、上記方法によって測定または評価した。結果を表1に示す。
【0064】〔実施例6〕セピオライトを50重量%、ステアリン酸カルシウムを20重量%、および珪藻土を30重量%の割合で含むコート材を内層用コート材として調製した以外は、実施例1と同様の各種操作を行い、本発明にかかるコート種子を得た。
【0065】得られた上記コート種子の20℃および35℃における各割れ率、発芽率、および歩留りを、上記方法によって測定または評価した。結果を表1に示す。
【0066】〔実施例7〕セピオライトを40重量%、ステアリン酸カルシウムを30重量%、および珪藻土を30重量%の割合で含むコート材を内層用コート材として調製した以外は、実施例1と同様の各種操作を行い、本発明にかかるコート種子を得た。
【0067】得られた上記コート種子の20℃および35℃における各割れ率、発芽率、および歩留りを、上記方法によって測定または評価した。結果を表1に示す。
【0068】〔実施例8〕セピオライトを50重量%、ステアリン酸カルシウムを30重量%、および珪藻土を20重量%の割合で含むコート材を内層用コート材として調製した以外は、実施例1と同様の各種操作を行い、本発明にかかるコート種子を得た。
【0069】得られた上記コート種子の20℃および35℃における各割れ率、発芽率、および歩留りを、上記方法によって測定または評価した。結果を表1に示す。
【0070】〔実施例9〕セピオライトを30重量%、ステアリン酸カルシウムを30重量%、および珪藻土を40重量%の割合で含むコート材を内層用コート材として調製し、内層用コート材量をコートされる種子重量の300%とした以外は、実施例1と同様の各種操作を行い、本発明にかかるコート種子を得た。
【0071】得られた上記コート種子の20℃および35℃における各割れ率、発芽率、および歩留りを、上記方法によって測定または評価した。結果を表1に示す。
【0072】〔実施例10〕セピオライトを40重量%、ステアリン酸カルシウムを30重量%、およびワラストナイトを30重量%の割合で含むコート材を内層用コート材として調製した以外は、実施例1と同様の各種操作を行い、本発明にかかるコート種子を得た。
【0073】得られた上記コート種子の20℃および35℃における各割れ率、発芽率、および歩留りを、上記方法によって測定または評価した。結果を表1に示す。
【0074】〔実施例11〕セピオライトを40重量%、ステアリン酸カルシウムを30重量%、およびワラストナイトを30重量%の割合で含むコート材を内層用コート材として調製し、内層用コート材量をコートされる種子重量の300%とした以外は、実施例1と同様の各種操作を行い、本発明にかかるコート種子を得た。
【0075】得られた上記コート種子の20℃および35℃における各割れ率、発芽率、および歩留りを、上記方法によって測定または評価した。結果を表1に示す。
【0076】〔実施例12〕セピオライトを50重量%、ワラストナイトを50重量%の割合で含むコート材を内層用コート材として調製し、内層用コート材量をコートされる種子重量の300%とした以外は、実施例1と同様の各種操作を行い、本発明にかかるコート種子を得た。
【0077】得られた上記コート種子の20℃および35℃における各割れ率、発芽率、および歩留りを、上記方法によって測定または評価した。結果を表1に示す。
【0078】〔比較例1〕内層用コート材量をコートされる種子重量の0%とした以外は、実施例1と同様の各種操作を行い、比較用のコート種子を得た。従って、比較用のコート種子には、内層が形成されていない。
【0079】得られた上記コート種子の20℃および35℃における各割れ率、発芽率、および歩留りを、上記方法によって測定または評価した。結果を表1に示す。
【0080】〔比較例2〕内層用コート材量をコートされる種子重量の0%とし、外層用コート材中に、セピオライトを15重量%の割合となるように含有させた以外は、実施例1と同様の各種操作を行い、比較用のコート種子を得た。従って、比較用のコート種子には、内層が形成されておらず、かつ、外層には、補強材としてセピオライトが15重量%の割合で含まれている。つまり、コート層全体として含まれるセピオライト量は、コートされる種子重量の150%(%種子重)であった。
【0081】得られた上記コート種子の20℃および35℃における各割れ率、発芽率、および歩留りを、上記方法によって測定または評価した。結果を表1に示す。
【0082】〔比較例3〕内層用コート材量をコートされる種子重量の0%とし、外層用コート材中に、セピオライトを30重量%の割合となるように含有させた以外は、実施例1と同様の各種操作を行い、比較用のコート種子を得た。従って、比較用のコート種子には、内層が形成されておらず、かつ、外層には、セピオライトが30重量%の割合で含まれている。つまり、コート層全体として含まれるセピオライト量は、コートされる種子重量の300%(%種子重)であった。
【0083】得られた上記コート種子の20℃および35℃における各割れ率、発芽率、および歩留りを、上記方法によって測定または評価した。結果を表1に示す。
【0084】〔比較例4〕ステアリン酸カルシウムを50重量%、ワラストナイトを50重量%の割合で含むコート材を内層用コート材として調製し、内層用コート材量をコートされる種子重量の300%とした以外は、実施例1と同様の各種操作を行い、本発明にかかるコート種子を得た。従って、本比較用のコート種子に形成されている内層には、複鎖状粘土鉱物は含まれていない。
【0085】得られた上記コート種子の20℃および35℃における各割れ率、発芽率、および歩留りを、上記方法によって測定または評価した。結果を表1に示す。
【0086】〔比較例5〕ワラストナイトを100重量%の割合で含むコート材を内層用コート材として調製し、内層用コート材量をコートされる種子重量の300%とした以外は、実施例1と同様の各種操作を行い、本発明にかかるコート種子を得た。従って、本比較用のコート種子に形成されている内層には、複鎖状粘土鉱物は含まれていない。
【0087】得られた上記コート種子の20℃および35℃における各割れ率、発芽率、および歩留りを、上記方法によって測定または評価した。結果を表1に示す。
【0088】
【表1】

【0089】表1の結果から明らかなように、コート層が、複鎖状粘土鉱物を含む内層と、これに積層される外層とにより形成されている本発明のコート種子では、20℃および35℃での割れ率が抑制され、良好な歩留りでコート種子が得られることが判る。
【0090】これに対し、コート層が、複鎖状粘土鉱物を含む内層および外層により形成されていない比較例1〜5の比較用コート種子は、複鎖状粘土鉱物によりコート層に対し強度が付与されていないため、割れ率が高くなる結果、歩留りも不良であることが判る。
【0091】
【発明の効果】請求項1に記載のコート種子は、以上のように、種子を被覆しているコート層が、種子表面を被覆する内層および該内層に積層されてなる外層の少なくとも2層より形成され、上記内層が複鎖構造型の粘土鉱物を含んでいる構成である。
【0092】それゆえ、コート層に外層が形成されていることで種子を造粒、整粒し、播種し易くすることができる。また、複鎖構造型の粘土鉱物は、比表面積が大きく、かつ吸着能に優れている。従って、上記内層が複鎖構造型の粘土鉱物を含んでいることにより、内層を形成するコート材の各構成成分が強固に固着されるため、内層に対し、充分な強度を付与することができ、該内層に対し積層されている外層が種子の吸水膨張により亀裂を生じて崩壊・剥落することを防止できる。これにより、たとえば、大根等の大型の種子を被覆する場合であって、種子と比較してコート層が薄くなるような場合であっても、コート層に充分な強度が付与されているので、充分な補強効果を有し、たとえば、湿式コーティング加工中における、乾燥工程前や乾燥工程等において、コート層が崩壊・剥落せず、製品収率を向上させることができるコート種子を提供できるという効果を奏する。
【0093】請求項2に記載のコート種子は、以上のように、請求項1記載の構成に加えて、上記複鎖構造型の粘土鉱物が、上記種子重量に対して上記内層部分に30%以上含まれている構成である。
【0094】それゆえ、複鎖構造型の粘土鉱物が上記範囲内の割合で内層に含まれていることで、内層を形成するコート材の各構成成分が、複鎖構造型の粘土鉱物によりさらに確実に固着されるため、さらに優れた補強効果を発揮するコート種子を得ることができ、コート種子の製品収率をさらに向上させることができるという効果を奏する。
【0095】請求項3に記載のコート種子は、以上のように、請求項1または2記載の構成に加えて、上記内層が、撥水剤を含んでいる構成である。
【0096】それゆえ、撥水剤が、コート種子に対し、より優れた開裂性、すなわち、灌水等による吸水時にコート層がより開裂し易くなる性質を付与できるので、より一層、発芽率の低下を招来しないコート種子を提供できるという効果を奏する。
【0097】請求項4に記載のコート種子は、以上のように、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の構成に加えて、上記内層が、アスペクト比20以上の繊維状物質を含んでいる構成である。
【0098】それゆえ、上記内層が、上記範囲内のアスペクト比を有する繊維状物質を含むことにより、内層の強度をさらに向上させることができるという効果を奏する。
【0099】請求項5に記載のコート種子は、以上のように、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の構成に加えて、被覆された種子がアブラナ科である構成である。
【0100】それゆえ、アブラナ科のような、比較的大型の種子に対して充分な補強効果を有するコート層を備えたコート種子を提供できるという効果を奏する。
【0101】請求項6に記載のコート種子の製造方法は、以上のように、種子表面に複鎖構造型の粘土鉱物を含む内層を形成した後、該内層と組成の異なる外層を少なくとも一層形成することにより、該種子を被覆する構成である。
【0102】それゆえ、コート層に外層を形成することで種子を造粒、整粒し、播種し易くすることができる。また、複鎖構造型の粘土鉱物は、比表面積が大きく、かつ吸着能に優れている。従って、上記内層が複鎖構造型の粘土鉱物を含んでいることにより、内層を形成するコート材の各構成成分が強固に固着されるため、内層に対し、充分な強度を付与することができ、該内層に対し積層する外層が種子の吸水膨張により亀裂を生じて崩壊・剥落することを防止できる。これにより、たとえば、大根等の大型の種子を被覆する場合であって、種子と比較してコート層が薄くなるような場合であっても、コート層に充分な強度を付与することができるので、充分な補強効果を有し、たとえば、湿式コーティング加工中における、乾燥工程前や乾燥工程等において、コート層が崩壊・剥落せず、製品収率を向上させることができるコート種子を製造できるという効果を奏する。
【出願人】 【識別番号】596005964
【氏名又は名称】住化農業資材株式会社
【出願日】 平成12年1月13日(2000.1.13)
【代理人】 【識別番号】100080034
【弁理士】
【氏名又は名称】原 謙三
【公開番号】 特開2001−190107(P2001−190107A)
【公開日】 平成13年7月17日(2001.7.17)
【出願番号】 特願2000−4456(P2000−4456)