| 【発明の名称】 |
種子のコート材およびコート種子 |
| 【発明者】 |
【氏名】野田 素生
【氏名】横地 太郎
|
| 【要約】 |
【課題】たとえば、平均種子径が1mm以下である微小な種子や、いわゆる好光性種子に対して特に好適に用いられ、発芽率の低下を抑制できる種子のコート材およびコート種子を提供する。
【解決手段】種子のコート材は、非破壊状態の珪藻細胞の形状を50%以上保った粒子の、珪藻土全体に占める割合が10重量%以上であり、平均粒径が40μm以下である珪藻土と、結合材とを含んでいる。コート種子は、上記種子のコート材でコートされてなる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】非破壊状態の珪藻細胞の形状を50%以上保った粒子の、珪藻土全体に占める割合が10重量%以上であり、平均粒径が40μm以下である珪藻土と、結合材とを含むことを特徴とする種子のコート材。 【請求項2】種子のコート材における珪藻土の含有率が、50重量%以上であることを特徴とする請求項1記載の種子のコート材。 【請求項3】上記種子のコート材における結合材の含有率が、15重量%以下であることを特徴とする請求項1または2記載の種子のコート材。 【請求項4】上記結合材が、澱粉であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の種子のコート材。 【請求項5】請求項1ないし4のいずれか1項に記載の種子のコート材でコートされてなることを特徴とするコート種子。 【請求項6】吸水膨潤性高分子化合物を含有する内層と、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の種子のコート材からなる外層とが形成されていることを特徴とするコート種子。 【請求項7】コートされる種子の平均種子径が1mm以下であることを特徴とする請求項5または6記載のコート種子。
|
【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、花卉、野菜等の種子のコート材およびコート種子に関するものである。より詳しくは、たとえば、平均種子径が1mm以下である微小な種子や、発芽条件として光が要求される、いわゆる好光性種子に対して特に好適に用いることができる種子のコート材およびコート種子に関するものである。 【0002】 【従来の技術】従来より、たとえば、花卉、野菜等の種子においては、たとえば播種を容易にする(播種作業を省力化する)ために、該種子をコート材を用いてコートすることが行われている。ところが、コート材でコートされてなるコート種子は、コートされていない種子と比較して発芽率が低下する場合があり、そのため、発芽率の低下を招来しないコート種子が種々提案されている。 【0003】上記のような発芽率の低下を招来しないコート種子の種類としては、たとえば、播種・灌水後に種子が水を含んで膨張することによりコート層がひび割れて崩壊し、種子から剥落する「クラックタイプ」や、コート種子が吸水することにより、コート材中の水溶性の結合材が水に溶解してコート層が崩壊する「崩壊タイプ」等が存在する。上記2種類のコート種子は、いずれも、コート層の脱落により種子が露出するので、該種子の発芽が阻害されないようになっている。 【0004】上記「クラックタイプ」のコート種子としては、たとえば、特開平3−94604号公報に、アタパルジャイトとステアリン酸カルシウムとの混合物からなる粉体等によりコート層を形成したコート種子が開示されている。また、上記「崩壊タイプ」のコート種子としては、たとえば、特開平8−56426号公報に、パイロフィライトと水溶性の結合材とによりコート層を形成したコート種子が開示されている。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】ところが、たとえば、コートされるべき種子の平均種子径が1mm以下の微小種子である場合には、上記従来の「クラックタイプ」のコート材を用いて種子をコートすると、該種子の吸水力が弱いために、種子が水を含んで膨張してもコート層がひび割れず、剥落しない。 【0006】一方、上記従来の「崩壊タイプ」のコート材を用いて種子をコートした場合、播種・灌水後の水分条件によっては、コート層の崩壊に関与する水溶性の結合材が種子表面を覆ってしまい、種子が窒息したり、光が充分に当たらなくなるため、却って発芽が妨げられる。なお、上記結合材を用いないコート材では、外圧に対するコート層の強度(圧縮強度)が不充分となるためコート種子としての形状を維持できない。 【0007】たとえば、コートされるべき種子が、ベゴニア、エキザカム、トルコキキョウ、ペチュニア各種子等の、発芽条件として光が要求される、いわゆる好光性種子である場合には、該種子は、土中に埋没させずに、地表に配して光が当たるように播種する必要がある。しかしながら、上記従来の「クラックタイプ」、「崩壊タイプ」のコート材を、平均種子径が1mm以下の微小種子に用いても、播種・灌水後、コート層が種子から剥落しないので、たとえば、上記のような好光性種子の場合では、種子に光が充分当たらず、発芽率が著しく低下してしまうという問題点を有している。 【0008】本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、たとえば、平均種子径が1mm以下である微小な種子や、いわゆる好光性種子に対して特に好適に用いられ、発芽率の低下を抑制できる種子のコート材およびコート種子を提供することにある。 【0009】 【課題を解決するための手段】本願発明者等は、上記の目的を達成すべく、種子のコート材およびコート種子について鋭意検討した。その結果、非破壊状態の珪藻細胞の形状、すなわち、細胞本来の形状を比較的維持している粒子(細胞粒子)を特定範囲内で有する珪藻土を含むコート材を用いて種子をコートすることにより、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成させるに至った。 【0010】すなわち、請求項1記載の発明の種子のコート材は、上記の課題を解決するために、非破壊状態の珪藻細胞の形状を50%以上保った粒子の、珪藻土全体に占める割合が10重量%以上であり、平均粒径が40μm以下である珪藻土と、結合材とを含むことを特徴としている。 【0011】上記の構成によれば、上記珪藻土は、非破壊状態の珪藻細胞の形状を50%以上保った粒子を10重量%以上の割合で含んでいるので、元の細胞の形状がある程度保たれている。このため、上記結合材と共にコート層を形成することによって、充分な圧縮強度を有し、しかも、播種後、灌水したときにおけるコート層の崩壊のしかた(崩壊性)に優れたコート種子を得ることができる。 【0012】すなわち、細胞本来の形状が比較的保持された珪藻土を用いることで、コート層の吸水速度およびその保水性が高められる。従って、該コート層は、播種後、灌水したときに、珪藻土自体の吸水により直ちに吸水し、種子の膨張等に関わり無く、直ちに崩壊して種子から剥落する。これにより、種子が露出するので、該種子の発芽を阻害することが無い。よって、上記の構成によれば、たとえば、種子自体の吸水性が充分でない、平均種子径が1mm以下である微小な種子や、発芽条件として光が要求される種子に対して特に好適に用いることができるコート材を提供できる。 【0013】請求項2記載の発明の種子のコート材は、上記の課題を解決するために、種子のコート材における珪藻土の含有率が、50重量%以上であることを特徴としている。 【0014】上記の構成によれば、珪藻土の含有率が上記範囲内であることで、コート層が、該コート層に亀裂が生じるに充分な範囲で、より確実に吸水することができる。このため、より崩壊性に優れたコート種子を提供することができる。 【0015】請求項3記載の発明の種子のコート材は、上記の課題を解決するために、請求項1または2記載の構成に加えて、上記種子のコート材における結合材の含有率が、15重量%以下であることを特徴としている。 【0016】上記の構成によれば、結合材の含有率が上記範囲内であることで、充分な圧縮強度を維持しつつコート層に亀裂を生じさせることがより確実に行われる。従って、圧縮強度および崩壊性により優れたコート材を提供できる。 【0017】請求項4記載の発明の種子のコート材は、上記の課題を解決するために、上記結合材が、澱粉であることを特徴としている。 【0018】上記の構成によれば、上記結合材が澱粉であることで、上記従来の「崩壊タイプ」のコート層に見られるように、水に溶解したコート材によって種子表面が覆われ、種子が窒息させられることがない。すなわち、澱粉を用いることにより、コートされている種子自体の膨潤等に関わり無く、珪藻土自体の吸水により、澱粉の一部をコート層に亀裂を生じさせる程度に水に溶解させることができる。従って、上記従来の「クラックタイプ」のコート層のように、コートされている種子の膨潤等に依存してコート層が崩壊するのではなく、該膨潤等に関わり無く、より優れた崩壊性を発揮することができる。このため、平均種子径が1mm以下である微小な種子や、発芽条件として光が要求される種子に対してさらに好適に用いることができるコート材を提供できる。 【0019】請求項5記載の発明のコート種子は、上記の課題を解決するために、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の種子のコート材でコートされてなることを特徴としている。 【0020】上記の構成によれば、種子が上記コート材でコートされてなることによって、たとえば、平均種子径が1mm以下である微小な種子や、発芽条件として光が要求される種子の発芽を阻害することが無く、かつ、播種が容易なコート種子を提供することができる。 【0021】請求項6記載の発明のコート種子は、上記の課題を解決するために、吸水膨潤性高分子化合物を含有する内層と、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の種子のコート材からなる外層とが形成されていることを特徴としている。 【0022】上記の構成によれば、吸水膨潤性高分子化合物が、コート種子の吸水を促進させ、保水性をも向上させるので、該コート種子の吸水速度および保水力を高めることができる。このため、コート層がより充分に吸水することにより、亀裂が生じ易くなるので、より優れた崩壊性を備えたコート層を得ることができる。また、これにより、発芽率の低下をさらに一層抑制することができる。 【0023】請求項7記載の発明のコート種子は、上記の課題を解決するために、請求項5または6記載の構成に加えて、コートされる種子の平均種子径が1mm以下であることを特徴としている。 【0024】上記の構成によれば、コートされる種子の平均種子径が比較的小さく、吸水によって充分に種子を膨潤させることが困難な場合であっても、崩壊性に優れ、しかも、発芽率の低下を抑制できるコート種子を提供することができる。 【0025】 【発明の実施の形態】本発明にかかる種子のコート材(以下、単に「コート材」という)は、非破壊状態の珪藻細胞の形状を50%以上保った粒子の、珪藻土全体に占める割合が10重量%以上であり、平均粒径が40μm以下である珪藻土と、結合材とを含んだ構成となっている。 【0026】本発明にかかる珪藻細胞について、「非破壊状態」とは、もとの珪藻細胞の形状、すなわち、細胞本来の形状を完全に保持し、何ら損傷を受けていない状態をいう。珪藻細胞が非破壊状態の形状をどの割合(%)で含んでいるかは、たとえば、電子顕微鏡等で、細胞粒径、体積、断面積等を計測することにより確認することができる。 【0027】珪藻土は、鉱床中より採取した所定形状を有する珪藻細胞をそのまま用いるか、あるいは、これに定法により適宜、乾燥、焼成、粉砕、分級、精製し、または融合させる等の加工処理を施すことにより、所定範囲の粒径を有するように加工されてなる。そして、本発明にかかる珪藻土は、非破壊状態の珪藻細胞の形状を50%以上保った粒子を、珪藻土全体の10重量%以上含んでいる。 【0028】本発明者等は、コート材に含まれる珪藻土を原料段階で選別する利点について着目し、該原料として、非破壊状態の珪藻細胞の形状を一定割合以上維持した珪藻細胞を用い、細胞の形状が比較的保持された珪藻土を含むコート材により種子をコートしたコート種子が、吸水時の崩壊性に優れ、発芽率の低下を抑制できることを見出した。 【0029】非破壊状態の珪藻細胞の形状を50%以上保った粒子の、珪藻土全体に占める割合は、10重量%以上であれば特に限定されないが、20重量%以上であることがより好ましく、50重量%以上であることが最も好ましい。 【0030】本発明にかかる珪藻土の平均粒径は、40μm以下であれば、特に限定されないが、30μm以下の範囲内であることがより好ましく、5μm〜20μmの範囲内であることが特に好ましい。平均粒径が40μmを超えると、加工性に劣り、たとえば、コートされるべき種子の平均種子径が1mm以下である場合には、均一かつ圧縮強度充分なコート層を形成することができないおそれがある。 【0031】上記珪藻土の平均粒径は、たとえば、レーザー法または電気伝導度法(コールターカウンター)等を用いて測定することができる。 【0032】種子のコート材全量に占める上記珪藻土の割合(種子のコート材における珪藻土の含有率)は、用いる珪藻土と結合材との組み合わせ、或いは、コートされるべき種子の種類や平均種子径にもよるが、50重量%以上であることがより好ましく、70重量%以上の範囲内であることがさらに好ましく、90重量%以上の範囲内であることが特に好ましい。珪藻土の割合が上記の範囲を外れると、均一かつ圧縮強度充分なコート層を形成することができないおそれや、播種・灌水後における崩壊性が充分でなく、発芽率が低下するおそれがある。 【0033】コート材に含まれる結合材としては、具体的には、たとえば、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン(PVP)、カルボキシメチルセルロース(CMC)およびその塩、澱粉、ショ糖、セルロース・アセテート、セルロース・アセテート・プロピオネート、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、プルラン、ゼラチン等が挙げられるが、種子に対して悪影響を及ぼさない物質であればよく、特に限定されるものではない。これら結合材は、一種類のみを用いてもよく、また、二種類以上を組み合わせて用いてもよい。また、上記例示の結合材のうち、澱粉が特に好ましく、水に対する溶解度が50%以下の澱粉が最も好ましい。 【0034】上記澱粉としては、具体的には、たとえば、コーンスターチ等が挙げられる。澱粉を結合材として用いた場合は、播種・灌水後に結合材が種子表面を完全に覆う程度に水に溶解することがない。従って、種子を窒息させることなく、コート層に亀裂をより確実に生じさせることができるため、播種・灌水後のコート層の崩壊性がさらに良好なコート層を形成することができ、たとえば、平均種子径が1mm以下である種子に対して、より好適に用いられる種子のコート材を提供できる。特に、水に対する溶解度が50%以下の澱粉を用いた場合には、種子を窒息させることなく、より確実にコート層に亀裂を生じさせることができる。 【0035】上記例示の結合材の、水に対する溶解度は特に限定されないが、該溶解度が、10%以上30%以下の結合材がより好ましい。 【0036】種子のコート材全量に占める上記結合材の割合(種子のコート材における含有率)は、用いる珪藻土と結合材との組み合わせ、或いは、コートされるべき種子の種類や平均種子径にもよるが、15重量%以下の範囲内であることがより好ましく、5.0重量%〜10重量%の範囲内であることがさらに好ましい。結合材の割合が上記の範囲を外れると、均一かつ圧縮強度充分なコート層を形成することができないおそれや、播種時や保存時におけるコート種子の安定性が損なわれるおそれがある。 【0037】結合材は、粉体の状態、または、水溶液や懸濁液あるいは分散液の状態等いずれの状態でコート材に含まれていてもよい。なお、結合材を水溶液、懸濁液、または分散液の状態で用いる場合における、該水溶液等の濃度は、結合材の種類等に応じて適宜設定すればよい。 【0038】本発明にかかるコート材は、上記珪藻土および結合材の他に、必要に応じて、珪藻土以外の、たとえば、パイロフィライトやカオリン等の他の粉体、または、たとえば、植物ホルモン、植物栄養剤、植物生長調節剤、農薬、消毒・殺菌剤、酸素発生剤、発熱剤、肥料、鳥等に食べられないようにするための着色剤や忌避剤等の添加剤(補助剤)を含んでいてもよい。なお、コート材における添加剤の含有量は、コート種子に付与すべき各種性能等に応じて設定すればよく、特に限定されるものではない。 【0039】上記珪藻土、結合材、および必要に応じて、他の粉体や添加剤を混合することにより、本発明にかかるコート材が得られる。コート材の製造方法、つまり、上記の構成成分を混合する方法や順序は、特に限定されるものではない。 【0040】本発明のコート種子には、吸水膨潤性高分子化合物と、必要に応じて、上記コート材とを含有してなる内層が、たとえば、種子近傍、すなわち、たとえば、コートされるべき種子の表面等に形成されていてもよい。本発明にかかる吸水膨潤性高分子化合物としては、具体的には、たとえば、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(L−HPC)、架橋型ポリアクリル酸(PAA)等が挙げられる。上記内層において用いられる吸水膨潤性高分子化合物の、該内層において用いられるコート材全体に占める割合は、特に限定されないが、20重量%以下の範囲内であることがより好ましく、5重量%〜15重量%の範囲内であることがさらに好ましい。 【0041】内層の厚さは、コートされるべき種子の平均種子径によって適宜決定すればよく、特に限定されない。内層の形成は、たとえば、種子に対するコート材の被覆操作(後述する)に準じて、コート層(外層)の形成に先立って行うことができる。 【0042】上記のような内層を形成することにより、吸水膨潤性高分子化合物が、コート種子の吸水を促進させ、保水性をも向上させるので、該コート種子の吸水速度および保水力を高めることができる。このため、より優れた崩壊性を備えたコート層を得ることができる。また、これにより、発芽率の低下をさらに抑制することができる。 【0043】上記構成のコート材を用いて種子をコートするのに好適に使用することができる造粒装置としては、たとえば、傾斜回転パン型造粒機や、流動層型造粒機等の公知の造粒装置が挙げられるが、特に限定されるものではない。コート種子の製造方法の一例について、造粒装置を使用した場合の手順を以下に説明する。 【0044】先ず、造粒装置に種子を投入して、所定の回転数で攪拌しながら、予め調製した上記コート材を造粒装置に徐々に添加する。そして、種子とコート材とを所定時間、攪拌することにより、造粒操作(被覆操作)を行う。なお、上記コート材は、予め調製した後添加する方法の他、たとえば、珪藻土、および必要に応じて、他の粉体を投入しながら、結合材の水溶液、懸濁液、または分散液を投入または噴霧して添加する方法を用いてもよい。なお、結合材を粉体の状態で添加する場合は、適宜、水を噴霧することが好ましい。これにより、コート層(外層)が形成され、コート種子が製造される。コート材の添加速度は、造粒操作を容易に行うことができるように、装置内の様子(コート種子の形成され具合)を確認することによって、適宜調節すればよい。 【0045】得られたコート種子は、種子に熱障害を与えない程度の温度で以て、乾燥操作を行うことが好ましい。なお、種子をコートする具体的な方法は、上記例示の方法にのみ限定されるものではない。 【0046】本発明においてコートされるべき種子は、特に限定されるものではないが、たとえば、平均種子径が1mm以下、さらには0.1mm〜0.5mm程度である微小な種子や、発芽条件として光が要求される好光性種子が特に好適である。該種子としては、具体的には、たとえば、ペチュニア、エキザカム、トルコキキョウ、ベゴニア、コリウス、キンギョソウ、タバコ等が挙げられる。上記例示の種子のうち、ペチュニア、エキザカム、トルコキキョウ、ベゴニアが最も好適である。 【0047】種子に対するコート材の使用量は、種子の種類や大きさ、コート種子が備えるべき各種物性や、所望するコート種子の大きさ、或いは、コート種子の製造方法や播種方法等に応じて設定すればよく、特に限定されるものではない。また、コート種子の平均粒径は、播種時における取り扱い性等の面から、1mm〜3mm程度が好ましく、1.4mm〜2.0mm程度がより好ましいが、特に限定されるものではない。なお、コート種子が内層と外層とを有する場合においては、前述した厚さで内層が形成された種子に、上記平均粒径となるように外層を形成すればよい。 【0048】コート種子の機械的強度は、播種時や保存時におけるコート種子の安定性から鑑みて、たとえば、圧縮強度が0.7N以上の範囲内であれば充分である。なお、圧縮強度の測定方法は、後段の実施例にて詳述する。 【0049】コート種子の播種方法は、特に限定されるものではないが、種子の発芽条件として光が要求される好光性種子の場合には、コート種子を土中に埋没させずに、地表に配して光が当たるように播種することが望ましい。 【0050】本発明にかかる種子のコート材では、珪藻土が、非破壊状態の珪藻細胞の形状を50%以上保った粒子が、珪藻土全体に占める割合が10重量%以上で含まれているので、該珪藻土は、元の細胞の形状がある程度保たれている。このため、上記結合材と共にコート層を形成することによって、充分な圧縮強度を有し、しかも、崩壊性に優れたコート種子を得ることができる。 【0051】すなわち、細胞本来の形状が比較的保持された珪藻土を用いることで、コート層の吸水速度およびその保水性が高められる。従って、該コート層は、播種後、灌水したときに、珪藻土自体の吸水により直ちに吸水し、種子の膨張等に関わり無く、直ちに崩壊して種子から剥落する。これにより、種子が露出するので、該種子の発芽を阻害することが無い。よって、上記の構成によれば、たとえば、種子自体の吸水性が充分でない、平均種子径が1mm以下である微小な種子や、発芽条件として光が要求される種子に対して特に好適に用いることができるコート材を提供できる。 【0052】また、上記結合材として、澱粉、好ましくは、水に対する溶解度が50%以下の澱粉等を所定量用いる場合には、崩壊性がさらに優れたコート種子を得ることができる。結合材として澱粉を用いる場合には、上記従来の「崩壊タイプ」のコート層に見られるように、水に溶解したコート材によって種子表面が覆われ、種子が窒息させられることがない。すなわち、澱粉を用いることで、コートされている種子の膨潤等に関わり無く、珪藻土自体の吸水により、澱粉の一部をコート層に亀裂を生じさせる程度に水に溶解させることができる。従って、上記従来の「クラックタイプ」のコート層のように、コートされている種子の膨潤等に依存してコート層が崩壊するのではなく、該膨潤等に関わり無く、より優れた崩壊性を発揮することができる。特に、上記澱粉の水に対する溶解度が50%以下である場合は、さらに優れた崩壊性を発揮できる。このため、平均種子径が1mm以下である微小な種子や、発芽条件として光が要求される種子に対してさらに好適に用いることができるコート材を提供できる。 【0053】また、本発明にかかるコート種子は、上記のコート材でコートされてなっている。これにより、たとえば、平均種子径が1mm以下である微小な種子や、発芽条件として光が要求される種子の発芽を阻害すること無く、かつ、播種が容易なコート種子を提供することができる。 【0054】 【実施例】コート種子の造粒加工のし易さ(加工性)、圧縮強度、崩壊性、および、発芽率は、下記方法によって測定した。 【0055】〔加工性〕造粒加工のし易さを、作業者の判断によって、以下のように4段階で評価した。造粒加工し易い場合を◎、造粒加工可能である場合を○、造粒加工可能であるが種子にコート材が付着し難い場合や、複数の種子が塊になって造粒されてしまう場合を△、造粒加工不可能の場合を×として評価した。 【0056】〔圧縮強度〕コート種子の圧縮強度は、木屋式圧縮強度計(株式会社木屋製作所製)を用いて、所定の条件下で測定した。すなわち、コート種子を所定の条件下で圧縮し、コート種子が押しつぶされた時点における、該コート種子にかかっている荷重を以て、圧縮強度(単位:N)とした。 【0057】〔崩壊性〕水を含ませた濾紙の上にコート種子を一定時間静置し、吸水後に生じた亀裂の大きさを目視により比較観察し、以下のように4段階で評価した。すなわち、比較的大きい亀裂が生じた場合を◎、亀裂は生じているが、亀裂の大きさが比較的小さい場合を○、亀裂を生じる傾向は認められるが、亀裂が生じるまでには至らない場合を△、吸水後にコート層に変化が認められない場合、またはコート層が亀裂を生じることなく吸水により崩壊した場合を×とした。なお、測定していない場合は、「−」で表示した。 【0058】〔発芽率〕コート種子の発芽率を、発芽試験を実施することによって測定した。先ず、セルが512個のセルトレイに、ピートモスおよびバーミキュライトを重量比1:1の割合で所定量、充填した後、鎮圧して培土とした。この培土に、コート種子を1粒/セルとなるように播種した。次いで、最大容水量となるまで底面吸水を行った。その後、上記のセルトレイを適宜、灌水しながら、「20℃、光量3000luxで12時間静置した後、15℃、無灯火状態で12時間静置する」という1日のサイクルを30日間繰り返した。そして、播種後30日目の発芽率(%)を測定した。 【0059】以下、実施例および比較例により、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。 【0060】〔実施例1〕珪藻土として、非破壊状態の珪藻細胞の形状を50%以上保った粒子を60重量%含有してなる珪藻土A95重量%と、結合材としてのコーンスターチ5重量%とを混合することによって、本発明にかかるコート材を調製した。上記珪藻土Aの平均粒径は、12.7μmであった。 【0061】次に、コートされるべき種子としてトルコキキョウを選び、上記コート材を用いてコート種子を製造した。即ち、直径50cmの傾斜回転パン型造粒機に所定量の種子を投入して、回転数約30rpmで攪拌しながら、コート材を該造粒機に徐々に添加した。そして、適宜、水を噴霧しながら、種子とコート材とを所定時間、攪拌することにより、造粒操作を行った。その後、所定の条件下で乾燥操作を行うことにより、本発明にかかるコート種子を得た。コートされていない種子(以下、元種子と記す)の種子径は約0.3mmであり、コート種子径は約1.6mmであった。 【0062】得られたコート種子の加工性、圧縮強度、崩壊性、および、発芽率を、上記方法によって測定した。また、種子の発芽がコート材によって阻害されているか否かを確認するために、元種子の発芽率を、同様にして測定した。測定結果等を表1〜2に示す。 【0063】〔実施例2〕実施例1における珪藻土Aを90重量%、コーンスターチを10重量%とした以外は、実施例1と同様の操作を行い、本発明にかかるコート材を調製すると共に、本発明にかかるコート種子を得た。得られたコート種子の加工性、圧縮強度、崩壊性、および、発芽率を、上記方法によって測定した。測定結果等を表1に示す。 【0064】〔実施例3〕実施例1における珪藻土Aを85重量%、コーンスターチを15重量%とした以外は、実施例1と同様の操作を行い、本発明にかかるコート材を調製すると共に、本発明にかかるコート種子を得た。得られたコート種子の加工性、圧縮強度、崩壊性、および、発芽率を、上記方法によって測定した。測定結果等を表1に示す。 【0065】〔実施例4〕実施例1における珪藻土Aを80重量%、コーンスターチを10重量%とし、粉体として、パイロフィライトを10重量%加えた以外は、実施例1と同様の操作を行い、本発明にかかるコート材を調製すると共に、本発明にかかるコート種子を得た。得られたコート種子の加工性、圧縮強度、崩壊性、および、発芽率を、上記方法によって測定した。測定結果等を表1に示す。 【0066】〔実施例5〕実施例1における珪藻土Aを70重量%、コーンスターチを10重量%とし、パイロフィライトを20重量%加えた以外は、実施例1と同様の操作を行い、本発明にかかるコート材を調製すると共に、本発明にかかるコート種子を得た。得られたコート種子の加工性、圧縮強度、崩壊性、および、発芽率を、上記方法によって測定した。測定結果等を表1に示す。 【0067】〔実施例6〕実施例1における珪藻土Aを80重量%、コーンスターチを10重量%とし、粉体として、カオリンを10重量%加えた以外は、実施例1と同様の操作を行い、本発明にかかるコート材を調製すると共に、本発明にかかるコート種子を得た。得られたコート種子の加工性、圧縮強度、崩壊性、および、発芽率を、上記方法によって測定した。測定結果等を表1に示す。 【0068】〔実施例7〕実施例1における珪藻土Aを70重量%、コーンスターチを10重量%とし、カオリンを20重量%加えた以外は、実施例1と同様の操作を行い、本発明にかかるコート材を調製すると共に、本発明にかかるコート種子を得た。得られたコート種子の加工性、圧縮強度、崩壊性、および、発芽率を、上記方法によって測定した。測定結果等を表1に示す。 【0069】〔実施例8〕まず、珪藻土A90重量%と、コーンスターチ10重量%とからなる混合物90重量%に対して、吸水膨潤性高分子化合物としてのL−HPCを10重量%の割合となるように混合し、本発明にかかる内層用コート材を調製した。次に、珪藻土A90重量%と、コーンスターチ10重量%とを混合することによって、本発明にかかる外層用コート材を調製した。上記珪藻土Aの平均粒径は、12.7μmであった。 【0070】上記内層用コート材を種子表面に被覆した後、上記外層用コート材を用いてコート種子を製造した。即ち、直径50cmの傾斜回転パン型造粒機に所定量の種子(トルコキキョウ)を投入して、回転数約30rpmで攪拌しながら、上記内層用コート材を徐々に添加した。そして、適宜、水を噴霧しながら、種子と上記内層用コート材とを所定時間、攪拌することにより、造粒操作を行った。次いで、上記外層用コート材を該造粒機に徐々に添加した。そして、適宜、水を噴霧しながら、上記内層用コート材により表面を被覆された種子とコート材とを所定時間、攪拌することにより、造粒操作を行った。その後、所定の条件下で乾燥操作を行うことにより、本発明にかかるコート種子を得た。内層を被覆した状態の種子径は、0.8mmであり、コート種子径は約1.6mmであった。 【0071】得られたコート種子の加工性、圧縮強度、崩壊性、および、発芽率を、上記方法によって測定した。測定結果等を表1に示す。 【0072】〔実施例9〕まず、珪藻土A90重量%と、コーンスターチ10重量%とからなる混合物90重量%に対して、吸水膨潤性高分子化合物としてのPAAを10重量%の割合となるように混合し、本発明にかかる内層用コート材を調製した。次に、珪藻土A90重量%と、コーンスターチ10重量%とを混合することによって、本発明にかかる外層用コート材を調製した。上記珪藻土Aの平均粒径は、12.7μmであった。上記内層用コート材および外層用コート材を用いて、実施例8と同様の操作を行い、本発明にかかるコート種子を得た。 【0073】得られたコート種子の加工性、圧縮強度、崩壊性、および、発芽率を、上記方法によって測定した。測定結果等を表1に示す。 【0074】〔実施例10〕実施例1における珪藻土Aを99重量%とし、結合材として、コーンスターチのかわりに、PVA1重量%を用いた以外は、実施例1と同様の操作を行い、本発明にかかるコート材を調製すると共に、本発明にかかるコート種子を得た。得られたコート種子の加工性、圧縮強度、および発芽率を、上記方法によって測定した。測定結果等を表1に示す。 【0075】〔実施例11〕実施例1における珪藻土Aを99.9重量%とし、結合材として、コーンスターチのかわりに、PVA0.1重量%を用いた以外は、実施例1と同様の操作を行い、本発明にかかるコート材を調製すると共に、本発明にかかるコート種子を得た。得られたコート種子の加工性、圧縮強度、および発芽率を、上記方法によって測定した。測定結果等を表1に示す。 【0076】〔実施例12〕実施例1における珪藻土Aを99重量%とし、結合材として、コーンスターチのかわりに、CMC−Na(カルボキシメチルセルロース−ナトリウム)1重量%を用いた以外は、実施例1と同様の操作を行い、本発明にかかるコート材を調製すると共に、本発明にかかるコート種子を得た。得られたコート種子の加工性、圧縮強度、および発芽率を、上記方法によって測定した。測定結果等を表1に示す。 【0077】〔実施例13〕実施例1における珪藻土Aを99.9重量%とし、結合材として、コーンスターチのかわりに、CMC−Na0.1重量%を用いた以外は、実施例1と同様の操作を行い、本発明にかかるコート材を調製すると共に、本発明にかかるコート種子を得た。得られたコート種子の加工性、圧縮強度、および発芽率を、上記方法によって測定した。測定結果等を表1に示す。 【0078】〔実施例14〕実施例1における珪藻土Aを99重量%とし、結合材として、コーンスターチのかわりに、PVP1重量%を用いた以外は、実施例1と同様の操作を行い、本発明にかかるコート材を調製すると共に、本発明にかかるコート種子を得た。得られたコート種子の加工性、圧縮強度、および発芽率を、上記方法によって測定した。測定結果等を表1に示す。 【0079】〔実施例15〕実施例1における珪藻土Aを99.9重量%とし、結合材として、コーンスターチのかわりに、PVP0.1重量%を用いた以外は、実施例1と同様の操作を行い、本発明にかかるコート材を調製すると共に、本発明にかかるコート種子を得た。得られたコート種子の加工性、圧縮強度、および発芽率を、上記方法によって測定した。測定結果等を表1に示す。 【0080】〔実施例16〕実施例1における珪藻土Aを80重量%とし、コーンスターチを20重量%とした以外は、実施例1と同様の操作を行い、本発明にかかるコート材を調製すると共に、本発明にかかるコート種子を得た。得られたコート種子の加工性、圧縮強度、および発芽率を、上記方法によって測定した。測定結果等を表1に示す。 【0081】〔実施例17〕実施例1における珪藻土Aを70重量%とし、コーンスターチを30重量%とした以外は、実施例1と同様の操作を行い、本発明にかかるコート材を調製すると共に、本発明にかかるコート種子を得た。得られたコート種子の加工性、圧縮強度、および発芽率を、上記方法によって測定した。測定結果等を表1に示す。 【0082】〔実施例18〕実施例1における珪藻土Aを60重量%、コーンスターチを10重量%とし、粉体として、パイロフィライト30重量%を加えた以外は、実施例1と同様の操作を行い、本発明にかかるコート材を調製すると共に、本発明にかかるコート種子を得た。得られたコート種子の加工性、圧縮強度、崩壊性、および発芽率を、上記方法によって測定した。測定結果等を表1に示す。 【0083】〔実施例19〕実施例1における珪藻土Aを60重量%、コーンスターチを10重量%とし、粉体として、カオリン30重量%を加えた以外は、実施例1と同様の操作を行い、本発明にかかるコート材を調製すると共に、本発明にかかるコート種子を得た。得られたコート種子の加工性、圧縮強度、崩壊性、および発芽率を、上記方法によって測定した。測定結果等を表1に示す。 【0084】〔実施例20〕珪藻土として、実施例1における珪藻土A95重量%のかわりに、非破壊状態の珪藻細胞の形状を50%以上保った粒子を20重量%含有してなる珪藻土Bを用い、コーンスターチを10重量%用いた以外は、実施例1と同様の操作を行い、本発明にかかるコート材を調製すると共に、本発明にかかるコート種子を得た。上記珪藻土Bの平均粒径は、32.1μmであった。得られたコート種子の加工性、圧縮強度、および発芽率を、上記方法によって測定した。測定結果等を表1に示す。 【0085】〔比較例1〕実施例1における珪藻土A95重量%の代わりに、パイロフィライト90重量%を用い、コーンスターチを10重量%とした以外は、実施例1と同様の操作を行い、比較用のコート材を調製すると共に、比較用のコート種子を得た。得られた比較用コート種子の加工性、圧縮強度、崩壊性、および発芽率を、上記方法によって測定した。測定結果等を表2に示す。 【0086】〔比較例2〕実施例1における珪藻土A95重量%の代わりに、カオリン90重量%を用い、コーンスターチを10重量%とした以外は、実施例1と同様の操作を行い、比較用のコート材を調製すると共に、比較用のコート種子を得た。得られた比較用コート種子の加工性、圧縮強度、崩壊性、および発芽率を、上記方法によって測定した。測定結果等を表2に示す。 【0087】〔比較例3〕実施例1における珪藻土A95重量%の代わりに、非破壊状態の珪藻細胞の形状を50%以上保った粒子を60重量%含有してなる珪藻土C90重量%を用い、コーンスターチを10重量%とした以外は、実施例1と同様の操作を行い、比較用のコート材を調製すると共に、比較用のコート種子を得た。上記珪藻土Cの平均粒径は、74μmであった。得られた比較用コート種子の加工性、圧縮強度、崩壊性、および発芽率を、上記方法によって測定した。測定結果等を表2に示す。 【0088】〔比較例4〕実施例1における珪藻土A95重量%の代わりに、非破壊状態の珪藻細胞の形状がほぼ完全に破壊されており、該形状を50%以上保った粒子がほとんど含有されていない珪藻土D90重量%を用い、コーンスターチを10重量%とした以外は、実施例1と同様の操作を行い、比較用のコート材を調製すると共に、比較用のコート種子を得た。上記珪藻土Dの平均粒径は、5μmであった。得られた比較用コート種子の加工性、圧縮強度、崩壊性、および発芽率を、上記方法によって測定した。測定結果等を表2に示す。 【0089】 【表1】
【0090】 【表2】
【0091】上記表1〜2の測定結果から明らかなように、本発明にかかるコート材は、いずれも60%以上の発芽率を示し、種子の発芽を阻害すること無く、該種子をコートすることができることが判る。即ち、本発明によれば、たとえば、平均種子径が1mm以下である微小な種子や、発芽条件として光が要求される種子に対して特に好適に用いることができる種子のコート材、および、コート種子を提供することができることが判る。 【0092】 【発明の効果】請求項1記載の発明の種子のコート材は、以上のように、非破壊状態の珪藻細胞の形状を50%以上保った粒子の、珪藻土全体に占める割合が10重量%以上であり、平均粒径が40μm以下である珪藻土と、結合材とを含む構成である。 【0093】それゆえ、上記珪藻土は、非破壊状態の珪藻細胞の形状を50%以上保った粒子を10重量%以上の割合で含んでいるので、元の細胞の形状がある程度保たれている。このため、上記結合材と共にコート層を形成することによって、充分な圧縮強度を有し、しかも、播種後、灌水したときにおけるコート層の崩壊のしかた(崩壊性)に優れたコート種子を得られるという効果を奏する。 【0094】すなわち、細胞本来の形状が比較的保持された珪藻土を用いることで、コート層の吸水速度およびその保水性が高められる。従って、該コート層は、播種後、灌水したときに、珪藻土自体の吸水により直ちに吸水し、種子の膨張等に関わり無く、直ちに崩壊して種子から剥落する。これにより、種子が露出するので、該種子の発芽を阻害することが無い。よって、上記の構成によれば、たとえば、種子自体の吸水性が充分でない、平均種子径が1mm以下である微小な種子や、発芽条件として光が要求される種子に対して特に好適に用いることができるコート材を提供できるという効果を奏する。 【0095】請求項2記載の発明の種子のコート材は、以上のように、種子のコート材における珪藻土の含有率が、50重量%以上である構成である。 【0096】それゆえ、珪藻土の含有率が上記範囲内であることで、コート層が、該コート層に亀裂が生じるに充分な範囲で、より確実に吸水することができる。このため、より崩壊性に優れたコート種子を提供できるという効果を奏する。 【0097】請求項3記載の発明の種子のコート材は、以上のように、請求項1または2記載の構成に加えて、上記種子のコート材における結合材の含有率が、15重量%以下である構成である。 【0098】それゆえ、結合材の含有率が上記範囲内であることで、充分な圧縮強度を維持しつつコート層に亀裂を生じさせることがより確実に行われる。従って、圧縮強度および崩壊性により優れたコート材を提供できるという効果を奏する。 【0099】請求項4記載の発明の種子のコート材は、以上のように、上記結合材が、澱粉である構成である。 【0100】それゆえ、上記結合材が澱粉であることで、上記従来の「崩壊タイプ」のコート層に見られるように、水に溶解したコート材によって種子表面が覆われ、種子が窒息させられることがない。すなわち、澱粉を用いることにより、コートされている種子自体の膨潤等に関わり無く、珪藻土自体の吸水により、澱粉の一部をコート層に亀裂を生じさせる程度に水に溶解させることができる。従って、上記従来の「クラックタイプ」のコート層のように、コートされている種子の膨潤等に依存してコート層が崩壊するのではなく、該膨潤等に関わり無く、より優れた崩壊性を発揮することができる。このため、平均種子径が1mm以下である微小な種子や、発芽条件として光が要求される種子に対してさらに好適に用いることができるコート材を提供できるという効果を奏する。 【0101】請求項5記載の発明のコート種子は、以上のように、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の種子のコート材でコートされてなる構成である。 【0102】それゆえ、種子が上記コート材でコートされてなることによって、たとえば、平均種子径が1mm以下である微小な種子や、発芽条件として光が要求される種子の発芽を阻害することが無く、かつ、播種が容易なコート種子を提供できるという効果を奏する。 【0103】請求項6記載の発明のコート種子は、以上のように、吸水膨潤性高分子化合物を含有する内層と、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の種子のコート材からなる外層とが形成されている構成である。 【0104】それゆえ、吸水膨潤性高分子化合物が、コート種子の吸水を促進させ、保水性をも向上させるので、該コート種子の吸水速度および保水力を高めることができる。このため、コート層がより充分に吸水することにより、亀裂が生じ易くなるので、より優れた崩壊性を備えたコート層を得ることができる。また、これにより、発芽率の低下をさらに一層抑制することができるという効果を奏する。 【0105】請求項7記載の発明のコート種子は、以上のように、請求項5または6記載の構成に加えて、コートされる種子の平均種子径が1mm以下である構成である。 【0106】それゆえ、コートされる種子の平均種子径が比較的小さく、吸水によって充分に種子を膨潤させることが困難な場合であっても、崩壊性に優れ、しかも、発芽率の低下を抑制できるコート種子を提供できるという効果を奏する。
|
| 【出願人】 |
【識別番号】596005964 【氏名又は名称】住化農業資材株式会社
|
| 【出願日】 |
平成12年1月13日(2000.1.13) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100080034 【弁理士】 【氏名又は名称】原 謙三
|
| 【公開番号】 |
特開2001−190106(P2001−190106A) |
| 【公開日】 |
平成13年7月17日(2001.7.17) |
| 【出願番号】 |
特願2000−4447(P2000−4447) |
|