トップ :: A 生活必需品 :: A01 農業;林業;畜産;狩猟;捕獲;漁業




【発明の名称】 種子マット
【発明者】 【氏名】桑原 恵利

【氏名】藏重 宏史

【氏名】末兼 正倫

【氏名】高橋 一興

【氏名】西垣 啓

【要約】 【課題】従来の田植機を利用した移植で必要とされていた育苗箱等のスペース及び育苗管理労力を削減することができ、従来の田植機を用いて直播を効率的かつ適正な条件で行って、苗立ち率を向上させることができ、しかも長期保存が容易で安価な直播き用種子マットを提供する。

【解決手段】田植機の回転又は回動する掻き取り爪16を用いて、その一部がブロック状に掻き取られ、土中に押し込まれて植られる直播き用種子マット10であって、樹脂発泡体からなるシート部11と、シート部11の表面に形成された接着剤層12と、シート部11に接着層11の側から圧入された種子13とを有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】樹脂発泡体からなるシート部と、前記シート部に圧入された種子とを有することを特徴とする種子マット。
【請求項2】前記シート部が、種子の圧入側の表面に接着剤層を備えていることを特徴とする請求項1に記載の種子マット。
【請求項3】前記樹脂発泡体がフェノール樹脂を主成分とする発泡体であって、前記フェノール樹脂に硬化剤、界面活性剤、発泡剤を混合し発泡させてなる連続気泡を有していることを特徴とする請求項1又は2に記載の種子マット。
【請求項4】前記シート部の厚みが0.7〜5cm好ましくは1〜3cmであることを特徴とする請求項1乃至3の内のいずれか1項に記載の種子マット。
【請求項5】田植機のクランク運動又はロータリ運動する掻き取り爪を用いて、その一部がブロック状に掻き取られ、土中に押し込まれて直播されるように田植機の苗載せ台の単位列の幅及び長さで、かつ段積みできる厚さに形成されていることを特徴とする請求項1乃至4の内のいずれか1項に記載の種子マット。
【請求項6】育苗箱の内底壁の面積の90乃至99%の面積に形成されていることを特徴とする請求項1乃至4の内のいずれか1項に記載の種子マット
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は田植機の掻き取り爪を用いて、その一部がブロック状に掻き取られ、掻き取られたマットブロックが圃場の土等に押し込まれて直播される水稲、飼料稲、ソルゴー等の種々の種類や大きさ、形状の種子の直播用に、若しくは水稲や飼料稲等を育苗箱で育苗するのに最適な種子マットに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、水稲栽培においては、床土を詰めた育苗箱に種籾を播き、その上に土を被せ潅水して育苗した後、この苗を田植機を用いて圃場に植え付けて、田植えを行うという手順が取られている。この播種から田植えまでの作業は、機械化された現在でも人力作業に頼るところが多く、特に面積の大きい水田では、灌水等の育苗管理や苗運搬等に多大の労力を要していた。このような苗植えまでの作業を省力化するために、例えば以下のような田植機を利用する直播技術や育苗箱等に好適な種子シートや種子マットが知られている。
(1)特開平10−84713号公報(以下イ号公報という)には、自然分解性の2枚の不織布シート間に種籾を播種状態で挟み、両シートをニードリング加工により接合して製造される水耕苗育苗用播種シートが開示されている。
(2)特開平10−136712号公報(以下ロ号公報という)には、水溶性又は水分散性の支持体に一定間隔で、複数個の粘着剤ドットを設けた後、粘着剤ドットに種子を付着させ、ポリエチレングリコールの水溶性高分子フィルムを種子を付着させた支持体に融着して形成した播種育苗用シートが開示されている。
(3)特開平6−46611号公報(以下ハ号公報という)には、コンベアの上面に綿不織布を供給し、一定間隔で転写ロールから自然分解性バインダーを該綿不織布に転写し、該綿不織布上に種子を散布し、その後コンベアの反転位置でバインダー上以外に散布された種子を落下除去する種子育苗シートの製造方法が開示されている。
(4)種籾、肥料、発芽促進剤等を混和してライスシードペレットを造粒し、これを中苗用マット上のポット部に入れ、固化剤に浸漬し、天日乾燥したマットを作成し、このマットの一部を中苗田植機を用いて田面に押し込んで直播を行う方法が開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記従来の技術では次のような課題を有していた。即ち、(1)イ号公報に開示された技術は、不織布シート間に種籾が挟み込まれた播種シートを用いて種籾を育苗し、これをシートごと田面に配置するもので、育苗のためのスペースを多量に要するという問題点があった。
(2)ロ号公報に記載の水溶性高分子フィルムで種子を含む表面をカバーした播種育苗用シートでは、空気中の湿気等により支持体や、水溶性高分子フィルムが軟化変形し易いため、長期保存が困難である。また、シート自体の強度が低いために、従来の田植機を用いて直播を行う場合等の取り扱いが難しいという問題点があった。
(3)ハ号公報に記載の種子を綿不織布上に散布してバインダーで固定した種子育苗シートでは、シートに固定される種子の空気中への露出度が高くなるために、保存環境等の影響を受け易いという問題点があった。また、綿不織布を用いているので、形を維持させるための強度が不足し、このシートを機械的に剪断したりする際に障害になるという問題点があった。
(4)また、イ号乃至ハ号公報に記載された播種シートを用いる場合は、それ専用の直播装置を要し汎用性に欠けるという問題点を有していた。
(5)ライスシードペレットを含むマットを用いて直播を行う方法では、予め種子ペレットを造粒して、これを中苗マットに挿入しなければならないために製造コストが高くなると共に、マットを田植機の掻き取り爪を用いて掻き取る際のマットの機械的使用特性や種子の保存性等の因子が考慮されていないので、これを適用しても苗立ち率等が低いという問題点があった。また、それ専用の直播装置を要し、汎用性に欠けるという問題点を有していた。
(6)また、従来の種子シートや種子マットは弾性率が高く剪断抵抗が強いので、直播用として田植機に用いた掻き取り爪で所定の大きさ(所定の播種量を有した大きさ)に掻き取る際に弾性率が高いため該シートやマットが掻き取り爪で引きちぎられる状態で切断されるので、掻き取り中に種子が削れたり、また、掻き取った後掻き取り面に凹凸が生じ直播作業に支障をきたし易いという問題点を有していた。また、育苗箱に使用する際も種子をローラ等で埋設しようとしてもその弾性で種子の埋設ができないという問題点を有していた。
【0004】本発明は上記従来の課題を解決するもので、低剪断性で塑性変形し易く、種子のシート部への埋設が容易で、かつ着種済マットの長期保存が容易で低原価で量産でき、かつ直播効率の高く、育苗効率に優れ、かつ従来の田植機を用い、その高精度な植付け機構をそのまま活用して直播を効率的かつ適正な播種条件や育苗条件で行って、苗立ち率を向上させることができる種子マットを提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために本発明は以下の構成を有している。請求項1に記載の種子マットは、樹脂発泡体からなるシート部と、前記シート部に圧入された種子とを有する構成からなる。これによって以下の作用が得られる。即ち、(a)種子がシート部に圧入されると、シート部の樹脂発泡体の気泡(セル)が破け、種子が埋設されるとともに、その破断面のギザギザと種子の表皮の毛がからみ合った状態でシート部の埋設孔部中に保持され種子の脱落を防止できる。
(b)種子がシート部の表面と面一に圧入されているので着種層の表面が平らになり、該種子マットを幾層にも積み重ねて使用でき、また直播時に複数段積み重ねた該種子マットを下段から繰り出しても表面が平滑なので、繰り出し作業が円滑でかつ種子が脱落するのを防止できる。
(c)発芽力を長期間維持することができるので、農閑期である冬に種子マットを生産しておき、春にこれを用いることができ、不足しがちな労働力を効率的に活用できる。
(d)シート部が樹脂発泡体なので、種子を樹脂発泡体中に埋設する際にも種子を傷めることなく行うことができ、埋設作業の作業性を向上できる。
(e)種子を傷めることなく樹脂発泡体中に安定して保持できるので、水稲の他、飼料稲,ソルゴー等直播可能な種子も田植機を利用して直播ができる。
(f)種子マットを水稲等の稚苗用の育苗箱に収納し覆土し水をかけるだけで育苗できる。
(g)天候等の影響により、直播適期を失したときにはすぐに育苗に切り替えることで稚苗移植ができる。
(h)直播と移植が兼用できる種子マットであることから、マットを無駄なく活用できる。
【0006】ここで、種子の圧入されるシート部の形状は、田植機のマット装着部の大きさに切断していてもよく、又はロール状に巻き取ることのできるシート状でもよい。種子は、水稲等の楕円形種子、ソルゴー等の球形種子等の種々の種子が用いられる。尚、これらにカルパー(過酸化カルシウム)を塗って発芽能力を高めたもの等も使用することができる。
【0007】樹脂発泡体としては、プラスチックフォームとも呼ばれ、プラスチック材料中に空気又は他のガスを細かく分散させる発泡成形によって得られる軽量で成形性に優れた成形品を用いることができる。合成樹脂原料としては、親水性に優れるとともに、塑性変形が容易な合成樹脂、例えばポリウレタン、ビニル系(EVA等)、フェノール等が適用できる。これにより、吸水性に優れ種子又は稚苗への給水力に優れるとともに、塑性変形により圧入埋設された種子をそのままの状態で保持できる。発泡成形方法には、例えば発泡成形時のポリマーの状態等から分類でき、原料が溶融状態の時に発泡成形(押出、成形等)される溶融発泡、原料が固相又は固相に近い状態で発泡成形される固相発泡、液状原料を注型する際に発泡させる注型発泡等がある。注型発泡成形は液状原料(モノマー又はオリゴマー)を使用して、大気中で反応させながら注型して発泡させ、ポリマーの生成と気体発生が平行して進行する。この原料成分の相溶化、分散化の段階では、原料成分の相溶性の影響が大きいが、シリコーン系、炭化水素系等の非イオン系界面活性剤の作用及び、外部より加えられる撹拌混合エネルギーの影響も大きい。そして、原料成分が反応を開始し、反応熱により、ペンタン等の発泡剤の気化や発泡ガスの生成が起こり、これによって、所定の連通気泡を有したプラスチックフォームが形成される。樹脂原料にはコンニャクマンナン、寒天、デンプン、米糠等の生物分解を促進する添加剤や浮き上がりを防ぐためCaCO3 等の無機充填剤を添加してもよい。これにより、種子マットのシート部が直播後、速やかに土壌細菌により分解されるので、対環境に優れる。なお、樹脂発泡体は連続気泡性のものが用いられる。これは、直播の際に土中のどの部位からでも種子に給水できるようし、潅水した際に種子全体に速やかに給水するためである。
【0008】樹脂発泡体の密度(Kg/m3)は10〜50Kg/m3、好ましくは15〜40Kg/m3のものが用いられる。樹脂発泡体の種類にもよるが、40Kg/m3より大きくなるにつれ、種子の該発泡体への圧入時にその剛性により種子の圧入埋設が困難になり、種子に損傷を与えるおそれがあるとともに、衝撃を受けた際に種子が該発泡体からはがれて脱落し易い傾向が認められる。また、10Kg/m3より小さくなるにつれ、該発泡体の機械的強度の低下や紫外線や酸素等により劣化され易く、更に該発泡体の機械的強度不足により取り扱い時に割れが生じたりする傾向が認められるので好ましくない。また、樹脂発泡体の剪断強度は樹脂の種類によって異なるが、0.5〜6.45Kgf/cm2のものが好適に用いられる。これにより、掻き取り時に引っ張られた樹脂発泡体が、掻き取り後にその弾性により回復して凹凸部が生じることがなく、スムーズに設定量を掻き取ることができる。また、圧入される種子が発泡セルを破壊して、圧入位置に保持され、経時的に種子が該発泡体の弾性により該発泡体の表面に浮き上がるのを防止できる。
【0009】圧入された種子は、その表面が樹脂発泡体の表面と同一になるようにもしくは0.1mm〜3mm程度突出して該発泡体に埋設される。種子を樹脂発泡体の表面と同一か少し深く圧入埋設した場合は種子マットを保管時や運搬時に段積みしても種子が種子マットから剥離することがなく、保管性に優れると共に、直播時に種子マットを積層しても種子が邪魔にならずスムーズに種子マットを送出することができる。
【0010】種子マットは、例えば、以下のようにして製造することができる。発泡したブロックを所定の寸法のシートに成形する。次いで、シートに種子を散布した後、プレスローラ等にかけて、表面に散布された種子をシートに圧入する。最後に、これを所定の時間乾燥し、所定範囲の水分量に調整して種子マットとすることができる。
【0011】請求項2に記載の種子マットは、請求項1において、前記シート部が、種子の圧入側の表面に接着剤層を備えている構成からなる。これによって、請求項1で得られる作用の他、以下の作用が得られる。
(a)シート部の表面に形成された接着剤層により、圧入された種子がシート部との接触面で接着固定され保持されるので、種子が脱落するのを防止し、種子を無駄なく活用できる。特に表皮に毛の少ない種子には好適に使用できる。
(b)接着剤層やシート部に農薬成分や肥料成分等を含ませた場合には、発芽力を調整し、播種日の調整ができ、天候により播種日が変更になった場合でも支障なく対応できる。また、初期成育を良好にすることができる。
(c)種子がシート部に圧入されその背部が接着された状態で保持されているので、着種層の表面が平らになり、該種子マットを幾層にも積み重ねて使用でき、また直播時に複数段積み重ねた該種子マットを下段から繰り出しても表面が平滑なので、繰り出し作業が円滑でかつ種子が脱落するのを防止できる。
【0012】ここで、接着剤層を形成する材料には、乾燥が速く、生物分解が容易で発芽障害や作業公害を生じることがない澱粉やカゼイン、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、セルロースエーテル、ポリ酢酸ビニル等が用いられるが、特に澱粉が好適に用いられる。接着方法は、シート部に澱粉糊等の接着剤を、スプレー塗布、刷毛塗り、ローラー塗り等の方法で塗りつける。この場合、スプレー塗布による方法が塗布量が一定でむらなく塗れるので好ましい。また、接着剤層に、発芽促進剤、種子保持剤等の農薬成分や肥料成分を含有させるようにしてもよい。この場合には、ブロック単位で圃場等に植えられる種子マットに、農薬成分や肥料成分等を予め含ませることができるので、種子に対して有効に農薬成分、肥料成分を作用させ、病虫害から種苗を守り初期成育を良好にすることができる。さらに、接着層の厚みや、含ませる農薬成分や肥料成分の濃度によって、その添加量を調整でき、農薬成分や肥料成分の管理を容易にして、作物収量や病害虫に対する抵抗性等を向上させることができる。尚、接着剤層はシート部の両面に形成してもよく、この場合、種子の圧入側に農薬や肥料成分を混入せず反対側の接着剤層に混入してもよい。種子への農薬や肥料成分が直接作用するのを防ぐためである。なお、澱粉糊等の粉粒体を用いる場合には、樹脂発泡体に水をスプレーし、次いで澱粉糊の粉粒体を散布した後、種子を散布圧入して種子マットが製造される。尚、水に所定量の肥料や農薬を溶解してもよい。
【0013】請求項3に記載の種子マットは、請求項1又は2において、前記樹脂発泡体がフェノール樹脂を主成分とする発泡体であって、前記フェノール樹脂に硬化剤、界面活性剤、発泡剤を混合し発泡させてなる連続気泡を有する構成からなる。これによって、請求項1又は2で得られる作用の他、以下の作用が得られる。
(a)樹脂発泡体がフェノール樹脂を主成分としているので、剪断応力が弱く、低弾性で、かつ強度が高く、しかも軽量化が可能である。従って、田植機の掻き取り爪による掻き取り性を良好にして、掻き取られたマットブロックを無駄なく、点播状に植え付けることができ、結果として、苗立ち率等を向上させることができる。特に、水稲では根圏の拡大につながり、耐倒伏性を向上できる。
(b)連続気泡(連通気泡)を有しているので、水田などに植え付けた後の吸水が瞬間的に行われ、マットブロックが浮き上がるようなことがなく、根付きの歩留まりを向上できる。特に、水稲では土中出芽が可能となり、発芽した直後の幼植物体が浮き上がって流されたり、耐倒伏性が低下することを防ぐことができる。
(c)発泡体の表面が平滑なので、田植機のマット装着部に種子マットをセットした時、縦横の移動抵抗を少なくして、スムーズに種子マットの送り操作を行うことができる。
(d)フェノール樹脂の発泡体は水分吸収率が99vol%有するので、粒子が水に浸ったのと同一の水分量を瞬時に吸収維持できるので、田面水中に押し込まれた種子ブロックが浮遊するのを防止できる。
(e)フェノール発泡樹脂マットの特性として、マットの吸水速度が非常に早く、かつ同体積に匹敵する水分を速やかに吸水することができるので、水噴霧後は速やかにマット全体の含水率が均一になる。よって、マット表面に水が停滞することがなく、噴霧水量を種子に合わせて調整すれば、種子マットの製造時及び保管時の含水率は低く維持できる。
【0014】ここで、フェノール樹脂発泡体としてはノボラック型、レゾール型の2タイプを使用可能であるが、レゾール型は比較的低温で硬化できるので低原価で量産できることから好適に使用される。レゾール型フェノール樹脂はフェノール類とホルムアルデヒドを当モルあるいはホルムアルデヒド過剰でアルカリ触媒の存在下で常法に従って反応させたものが好適に用いられる。フェノール類としてフェノールの他に、クレゾール、ビスフェノール、レゾルミン等のフェノール系化合物が挙げられる。フェノール樹脂発泡体は、実質的にフェノール樹脂を主成分とする発泡体であるが、フェノール樹脂合成時あるいはフェノール樹脂発泡時に於いてフェノール樹脂と反応し得る尿素、尿素樹脂、エポキシ樹脂、イソシアネート化合物等の化合物はフェノール樹脂発泡体の特性を損なわない範囲内で変性してもよい。変性することにより直播の場所的条件や種子の性質に合致したシートを得ることができる。樹脂発泡体にはコンニャクマンナン、寒天、デンプン、米糠等の生物分解を促進する添加剤を添加してもよい。これにより、種子マットのシート部が直播後、速やかに土壌細菌により分解されるので、後処理を要さず作業性に優れる。
【0015】前記シート部の、前記接着剤層の形成される面の裏面に農薬成分、肥料成分等を保持させてもよい。これによって、(a)シート部が農薬成分、肥料成分等を保持しているので、植えられる種子の周囲に多量の農薬成分、肥料成分を付加することができ、これによって、施肥効率などを高めて、作物収量を効果的に向上させることができる。
(b)農薬成分により生育初期の水稲等の病虫害を回避し、育苗率を高めるとともに、初期成育を良好にすることができる。シート部への農薬や肥料成分等の保持は、接着剤と共にスプレーして保持させるか、該シート部に凹部を形成して保持させるか、もしくは、農薬成分等をカプセル状や丸薬に成形して、これをシート部に埋設して保持する。なお、凹部や埋設した部位に水溶性高分子フィルムを積層して接着するか、バインダーを用いて成分を保持できるようにしてもよい。
【0016】請求項4に記載の種子マットは、請求項1乃至3の内いずれか1項において、前記シート部の厚みが0.7〜5cm好ましくは1〜3cmである構成を有している。これによって、請求項1乃至3のいずれか1項で得られる作用の他、以下の作用が得られる。即ち、シート部の厚みが圧入される種子の長さに対して所定の比率に設定されているので、種子をシート部によって良好に把持することができると共に、必要な強度をシート部に付加して、田植機の掻き取り爪による掻き取り性を維持することができる。
【0017】ここでシート部の厚みが種子の長さの3倍より小さいと、種子の把持性が低下すると共に、シート部の全体強度を維持させることが困難になる。逆に、10倍を越えると、掻き取り時の抵抗が大きくなると共に、シート部の原料コストが上がるので好ましくない。
【0018】請求項5に記載の種子マットは、請求項1乃至4の内いずれか1項において、田植機のクランク運動又はロータリ運動する掻き取り爪を用いて、その一部がブロック状に掻き取られ、土中に押し込まれて直播されるように田植機の苗載せ台の単位列の幅及び長さで、かつ段積みできる厚さに形成された構成を有している。これにより、請求項1乃至4の内いずれか1項で得られる作用の他、以下の作用が得られる。
(a)種子マットが低弾性で、掻き取り爪の剪断に対し抵抗が弱いので、 該マットが伸びて引きちぎられずに掻き取られる(切断される)ので、掻き取り面に凹凸が生じるのを防ぎ下段の列を掻き取った後、その上段が所定の位置におりてくるので掻き取り量が常に一定で直播作業の作業性を向上できる。
(b)種子マットが田植機の苗載せ台の複数の苗列の一列の幅、長さに形成されているので直播時にそのまま田植機にセットできるとともに、厚さが7mm〜50mm好ましくは10〜30mmで形成されているので、列毎に複数段段積みでき、直播作業の作業性が向上できる。また、種子マットが適度の強度を有しているので、最下段の直播終了後も容易に下方へ繰り出すことができる。
(c)田植機の掻き取り爪を用いて、種子マットの一部をブロック状に掻き取る際に、シート部が剪断の容易な樹脂発泡体からなるので、マットブロックを型崩れさせることなく掻き取ることができる。掻き取ったマットブロックは樹脂発泡体が剛性を有しているので、掻き取り爪により強固に保持されているので、田面等に押し入れることができる。従って、従来の田植機を用いて直播を効率的かつ種子の種類に合わせた適正な播種条件で行うことができる。
【0019】ここで、田植機としては、苗の掻き取り爪等を有する汎用の稚苗用田植機が使用できる。掻き取り爪は、種子マットに適用して、種子を含むマットブロックを掻き取ることができる形状であればよい。
【0020】請求項6に記載の種子マットは、請求項1乃至4の内のいずれか1項において、育苗箱の内底壁の面積の90乃至99%の面積に形成された構成を有している。これにより、請求項1乃至4の内いずれか1項で得られる作用の他、以下の作用が得られる。
(a)種子マットが連続気泡なので、通気性にも優れ発芽時に水をやっても根腐れを起こすのを防止できる。
(b)吸水性が良いので、液肥を含んだ水をも速やかに吸収し、給水作業の作業性に優れる。
(c)同一の田植機を利用して、直播と移植が兼用できる。
ここで、種子マットの面積は、樹脂原料や添加剤の種類により異なるが、90%より小さいと育苗箱の壁面との間に間隙ができ、また99%より大きいと育苗箱の壁面との間が密に成り過ぎる傾向があるので好ましくない。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につき図面を用いて説明する。
(実施の形態1)図1は本発明の実施の形態1の種子マットの斜視図である。図1において、10は実施の形態1の種子マット、11は樹脂発泡体からなるシート部、12はシート部11の面に形成された接着剤層、13は接着剤層12の側からプレスローラ等を用いてシート部11に圧入された状態の種籾等の種子である。本実施の形態1の種子マット10は、縦横の長さが580mm、280mm、厚みが15mmの矩形状に形成されている。シート部11は、軽量で吸水性に優れたフェノール樹脂発泡体からなる。フェノール樹脂発泡体は、レゾール型フェノール樹脂に酸性硬化剤(例えば、フェノールスルホン酸)、気泡調整用界面活性剤(ノニオン系)、吸水剤(アニオン系)、整泡剤(ポリアルキルシロキサン)及び低沸点有機発泡剤(石油エーテル、ペンタン、ヘキサン等)を混合し発泡させてなる連続気泡型の発泡体である。レゾール型フェノール樹脂はフェノール、ホルマリンにアルカリ触媒(苛性ソーダ、苛性カリ等)を配合し、常法に従って反応させたものを用いた。具体的には、レゾール型フェノール樹脂100wt部に対し、アニオン系界面活性剤0.1〜5wt部、ノニオン系界面活性剤0.3〜6wt部、整泡用シリコン0.01〜0.5wt部、ペンタン2〜7.5wt部、ヘキサン1.5〜8wt部及びフェノールスルホン酸2〜15wt部の範囲で種々選択して調整し各々を混合撹拌して、フェノール樹脂発泡体を得た。
【0022】このようなレゾール型フェノール樹脂を利用して得られる連続気泡を有した発泡体の密度を測定したところ、約20kg/m3であった。次いで、得られたフェノール樹脂発泡体を縦、横、高さが580mm×280mm×15mm(体積2436cc)の直方体状に形成し、これを水に浮かべて吸水させた結果、飽和するまでの吸水時間が著しく短く速やかに吸水し、その飽和含水量はこの直方体の体積にほぼ等しい2380〜2420ccであることが分かった。また、この樹脂発泡体は、一旦吸水すると、直ぐには水が滴り落ちることがなく十分な保水性を有していることも分かった。次いで、シート部の片面に種籾等の種子13をほぼ均一になるように散布した後、プレスローラ等を用いて種子13の上から圧着して、種子13をシート部11に圧入し埋設させて種子13の表面とシート部11の表面を同一に形成し、種子マットを得た。得られた種子マットの種子埋設面と底面とを逆にして底面を叩いたり振ったりしてみたが、種子の脱落は殆ど認められなかった。これは種子の表皮の毛とセルの破断面の壁面の凹凸部の絡みで種子が保持されているためと思われる。このことから、田植機の直播用や育苗箱の育苗用の種子マットとして最適の物性を有していることが判った。
【0023】次いで、シート部11の種子埋設面にスプレーコーチィングにより薄い接着剤層12を形成した。接着剤層12は、澱粉糊を水で希釈して濃度を4〜5%に調整した液体を噴霧器を用いてシート部11の面に平方m当たり300ccの塗布量となるように均一に吹き付けて形成させた。また、シート部11の表面に霧吹き部を用いて一枚当たり約50ccの水を散布し、この濡れた表面に澱粉糊の粉末を撒き接着剤層12を形成させた。各々の接着剤層12の面に種籾等の種子13をほぼ均一になるように散布した後、プレスローラ等を用いて種子13の上から圧着して、種子13をシート部11に圧入し埋設させて種子13の表面とシート部11の表面を同一に形成し、これを乾燥器や自然乾燥等で所定の水分量となるように乾燥して、種子マット10とした。得られた種子マットを過酷な条件で、種子埋設面と底面とを逆にして底面を叩いたり振ったりしてみたが、種子の脱落は全く認められなかった。接着剤層12で強固に埋設孔に接着固定されているためと思われる。また種子マットを水に漬けると澱粉糊は徐徐に溶出し種子の発芽に問題がないことも判った。
【0024】以上のように構成された実施の形態1の接着剤層を備えた種子マットを田植機に用いた直播方法について、以下図面を用いて説明する。図2は実施の形態1の接着剤層を備えた種子マットの田植機に用いた直播方法の模式図である。図2において、10は種子マット、11はシート部、13は種子であり、これは図1と同様なものなので同一の符号を付し説明を省略する。14は種子マット10が装着される田植機の苗載せ台、15は種子マット10からその一部が掻き取られた立方体状のマットブロック、16はその先端が回転又は所定角度範囲内をクランク運動(回動)してマットブロック15を掻き取るための掻き取り爪、17はロータリ運動(回転)又はクランク運動(回動)する掻き取り爪16の先端に沿って形成されマットブロック15を円滑に移動させるためのガイド部材、18は種子13を有したマットブロック15が掻き取り爪16の先端部によって押し入れられる圃場等の土である。まず、稚苗用田植機を準備し、苗の掻き取りを行う直播用掻き取り爪の部分を交換して、種子マット10からマットブロック15の掻き取りができるようにする。そして、種子マット10をこの田植機の稚苗マットを載せるための苗載せ台14にセットし、通常の稚苗移植の時と同様の操作を行って、マットブロック15を圃場の土18に点播状に植え付ける。即ち、図2に示すように、回転又は回動する掻き取り爪16の先端部で種子マット10の端の一部が所定の大きさ、例えば8〜13mm角の立方体状のマットブロック15に切り落とされて、これがガイド部材17に沿って移動して、掻き取り爪16と連動する押し出し金具(図示せず)により圃場の土18に約5〜20mmの深さになるように押し入れられて植えられる。
【0025】本実施の形態1の種子マット10は以上のように構成されているので、次のような作用を有する。即ち、(1)種子マットが連続気泡を有し、通水性、通気性、に優れる。
(2)種子マットを育苗箱に使用した場合、速やかに吸水しかつ毛細管現象に液肥や水分を保持するとともに、通気性に優れるので、根腐れを生じさせることがなく、育苗が可能である。
(3)種子マット10の一部をブロック状に掻き取ってマットブロック15とする際に、シート部11が剪断の容易なフェノール樹脂発泡体からなるので、マットブロック15を型崩れさせることなく、土中に押し入れることができ、播種精度を高くして田植機を用いる直播の効率を向上できる。
(4)シート部11の表面に形成された澱粉糊等からなる接着剤層12を有し、しかも種子がシート部11に埋め込まれているので、種子13が脱落することがなく、種子13を無駄なく活用できる。
(5)フェノール樹脂発泡体は吸水性が高く、植え付けられた後に直ぐに水を吸収するので、水田からの浮き上がりを防止でき、植え付けの安定性が確保され、根付き率がよい。
(6)フェノール樹脂発泡体の吸水性を利用して、種子マット10に予め農薬肥料成分等を含ませた場合は、植え付けられた種子13に農薬肥料成分等が有効に作用し、種子13の初期生育を向上させたり、生育初期の水稲等の病虫害を回避できる。
(7)フェノール樹脂発泡体からなる種子マット10は、従来の稚苗マットに比べてその重量が約20分の1と軽くできるので、作業の軽労化を図ることができ、作業効率を向上させることができる。
(8)マットブロック15の掻き取り後の、種子マット10の断面は、ロックウール等を用いる場合に比べて、繊維等の飛び出しがなく平滑にでき、種子マット10を田植機の苗載せ台14上で支障なく容易に移動させることができ、作業性を向上できる。
(9)発泡成形時の条件を設定することにより、必要な強度を付加することができるので、種子マット10を重ねることができ、搬送性や収納性に優れる。
(10)種子マット10を掻き取る際、掻き取り爪16が種子13の上にきても、マット自体が柔軟性を有するので、種子13が掻き取り爪16から逃げる方向に移動し、種子13を傷つけることが少ない。
【0026】(実施の形態2)図3は本発明の実施の形態2の種子マットの斜視図である。図3において、20は実施の形態2の種子マット、21は樹脂発泡体からなるシート部、22はシート部21の面に形成された接着剤層、23は接着剤層22の側からシート部21に圧入された状態の種子、24はシート部21の裏面に形成された肥料成分が充填される凹部である。シート部21を構成する樹脂発泡体は、フェノール樹脂を主成分として発泡成形されたフェノール樹脂発泡体からなるもので、田植機の掻き取り爪等を用いる掻き取り動作に対して、良好な作業性を付与したものである。また、シート部21に、その成形後に中和処理や水洗処理等を施して、種子マット20を植え付けた時に障害となる成分を予め除去したり、改質したりしておくこともできる。シート部21に形成される凹部24は、深さがシート部の厚みに対して1/6〜1/4であり、細長の矩形状溝あるいは、独立した円形あるいは矩形状の孔を多数分散して配置したようなものでもよい。凹部24に充填される肥料成分としては、窒素、カリ、リン等を含む肥料や、過酸化カルシウム等の発芽促進剤、殺虫剤等の農薬成分が適用できる。なお、必要に応じて、肥料成分や農薬成分をシート部21の凹部24に充填した後、その表面を紙や高分子フィルム等で覆って、肥料成分や農薬成分が容易に脱落しないようにしてもよい。
【0027】実施の形態2の種子マット20は以上のように構成されているので、次のような作用を有する。即ち、(1)肥料成分や農薬成分等と種子23とが互いに接触することなく、種子マット20の表裏面に分離して配置されているので、長期間にわたって種子マット10を保存しても、これによって種子23が影響を受けて発芽したりするようなことを防止することができる。
(2)種子マット20を掻き取ってマットブロックとする際に、シート部21が剪断の容易なフェノール樹脂発泡体からなるので、マットブロックを型崩れさせることなく、田植機を用いる直播の作業効率を向上できる。
【0028】(実施の形態3)実施の形態3の種子マットは、そのシート部を実施の形態1、2とは異なるポリウレタン、ビニル系(EVA等)等からなる親水性で塑性変形性に優れた発泡樹脂によりそれぞれ形成したものである。尚、これらの樹脂原料にコンニャクマンナン、寒天、デンプン、米糠等の生物分解を促進する添加剤や炭酸カルシュウム等の無機添加剤を添加して押し出し成形してもよい。これらの場合にも、実施の形態1と略同様に以下のような作用を有する。
(1)種子マットの一部をブロック状に掻き取ってマットブロックとする際に、シート部が剪断の容易な樹脂発泡体からなるので、マットブロックを容易に土中に押し入れることができ、播種精度を高くして田植機を用いる直播の効率を向上できる。
(2)シート部の表面に形成された接着剤層を有し、しかも種子がシート部に埋め込まれているので、種子を確実に保持して種子を無駄なく活用できる。
(3)樹脂の特性に応じて材質を選定して、従来の稚苗マットに比べてその重量が調整でき、作業効率を向上させることができる。
(4)シート部としてロックウール等を用いる場合に比べて、繊維等の飛び出しがなく表面を平滑にでき、種子マットを田植機の苗載せ台上で支障なく容易に移動させることができる。
(5)発泡成形時の条件を設定することにより、必要な強度を付加できるので、種子マットを重ねることができ、搬送性や収納性に優れる。
【0029】
【発明の効果】以上のように本発明の種子マットによれば、以下の優れた効果が得られる。
【0030】請求項1に記載の発明によれば、以下の効果を有する。即ち、(a)種子がシート部に圧入されると、シート部の樹脂発泡体の気泡(セル)が破け、種子が埋設されるとともに、その破断面のギザギザと種子の表皮の毛がからみ合った状態でシート部の埋設孔部中に保持され種子の脱落を防止でき種子の保持性に優れるとともに、生産性に優れ低原価で高品質の種子マットを量産できる。
(b)種子がシート部の表面と面一に圧入埋設されているので着種層の表面が平らになり、該種子マットを幾層にも積み重ねて使用でき、また直播時に複数段積み重ねた該種子マットを下段から繰り出しても表面が平滑なので、繰り出し作業が円滑で直播作業の作業性を向上させることができる。
(c)発芽力を長期間維持することができるので、農閑期である冬に種子マットを生産しておき、春にこれを用いることができ、不足しがちな労働力を効率的に活用できる。
(d)シート部が樹脂発泡体なので、種子を樹脂発泡体中に埋設する際にも種子を傷めることなく行うことができ、埋設作業の作業性を向上できる。
(e)種子を傷めることなく樹脂発泡体中に安定して保持できるので、水稲の他、飼料稲,ソルゴー等直播可能な種子も田植機を利用した直播用や育苗用の種子マットとして好適に使用できる。
(f)田植機の掻き取り爪を用いて、種子マットの一部をブロック状に掻き取る際に、シート部が剪断の容易な樹脂発泡体からなるので、マットブロックを型崩れさせることなく、田面に押し入れることができる。従って、従来、種子を育苗箱に播種し、これを20日間程度灌水等の育苗管理作業を行って稚苗として育成し、これを田植機で移植していたが、従来の田植機をそのまま使用して種子を直接田面に植えることができ、育苗箱等のスペース及び育苗管理労力を削減することができる。
(g)種子がシート部に圧入された状態で保持されるので、樹脂発泡体で種子の周囲が覆われ、種子の発芽能力を良好に保持させたままで保存維持させることができる。従って、種子マットを用いて播種したときの、苗立ち率を向上させることができる。
(h)シート部に農薬成分等を含ませて生育初期の水稲等の病虫害を回避できる。
(i)発芽力を長期間維持させることができるので、農閑期である冬に種子マットを生産しておき、春にこれを用いることができ、不足しがちな労働力を効率的に活用できる。
【0031】請求項2に記載の発明によれば、請求項1の効果に加えて以下の効果を有する。即ち、(a)シート部の表面に形成された接着剤層を有しているので、圧入された種子がシート部との接触面で接着剤により接着固定され保持されるので、種子が脱落するのを防止し、種子を無駄なく活用できる。
(b)接着剤層やシート部に農薬成分や肥料成分等を含ませた場合には、発芽力を調整し、播種日の調整ができ、天候により播種日が変更になった場合でも支障なく対応できる。
【0032】請求項3に記載の発明によれば、請求項1又は2の効果に加えて以下の効果が得られる。即ち、(a)樹脂発泡体がフェノール樹脂を主成分としているので、適度な硬度を有し、しかも軽量化ができる。これによって、田植機の掻き取り爪による掻き取り性を良好にして、掻き取られたマットブロックを無駄なく、点播状に植え付けることができ、結果として、苗立ち率等を向上させることができる。
(b)連続気泡を有しているので、水田などに植え付けた後の吸水が速く、マットブロックが浮き上がるようなことがなく、根付きの歩留まりを向上できる。
(c)フェノール樹脂からなる発泡体は表面を平滑にできるので、田植機のマット装着部に種子マットをセットした時、縦横の移動抵抗を少なくして、スムーズに種子マットの送り操作を行うことができる。
(d)含水量が、種子が発芽するための実質的な物質代謝が生じない範囲に設定されるので、種子を種子マットに保持させたまま、長期間にわたって確実に保存しておくことができる。従って、直播の時期が変動しても、これに対応して、種子マットをさらに有効に使用することができる。更に、水田等への直播作業時期での労働競合を回避することができる。
【0033】請求項4に記載の発明によれば、請求項1乃至3のいずれか1項の効果に加えて以下の効果が得られる。即ち、シート部の厚みが圧入される種子の長さに対して所定の比率に設定されているので、種子をシート部によって良好に把持することができると共に、必要な強度をシート部に付加して、田植機の掻き取り爪による掻き取り性を良好に維持することができる。
【0034】請求項5に記載の発明によれば、請求項1乃至4のいずれか1項の効果に加えて以下の効果が得られる。即ち、(a)種子マットが低弾性で、掻き取り爪の剪断に対し抵抗が弱いので、 該マットが伸びて引きちぎられずに掻き取られる(切断される)ので、掻き取り面に凹凸が生じるのを防ぎ下段の列を掻き取った後、その上段が所定の位置におりてくるので掻き取り量が常に一定で直播作業の作業性を向上できる。
(b)種子マットが苗載せ台の複数の苗列の一列の幅、長さに形成されているので直播時にそのまま田植機にセットできるとともに、厚さが7mm〜50mm好ましくは10〜30mmで形成されているので、列毎に複数段段積みでき、直播作業の作業性が向上できる。また、種子マットが適度の強度を有しているので、最下段の直播終了後も容易に下方へ繰り出すことができ直播作業の作業性を向上できる。
(c)田植機の掻き取り爪を用いて、種子マットの一部をブロック状に掻き取る際に、シート部が剪断の容易な樹脂発泡体からなるので、マットブロックを型崩れさせることなく掻き取ることができる。掻き取ったマットブロックは樹脂発泡体が弾性を有しているので、掻き取り爪により強固に保持されているので、田面等に押し入れることができる。従って、従来の田植機を用いて直播を効率的かつ種子の種類に合わせた適正な播種条件で行うことができる。
【0035】請求項6に記載の発明によれば、請求項1乃至4のいずれか1項の効果に加えて以下の効果が得られる。即ち、(a)種子マットが連続気泡なので、通気性にも優れ発芽時に水をやっても根腐れを起こすのを防止できる。
(b)吸水性が良いので、液肥を含んだ水をも速やかに吸収し、給水作業の作業性に優れる。
【出願人】 【識別番号】391016082
【氏名又は名称】山口県
【識別番号】593220410
【氏名又は名称】松村アクア株式会社
【出願日】 平成11年12月27日(1999.12.27)
【代理人】 【識別番号】100095603
【弁理士】
【氏名又は名称】榎本 一郎
【公開番号】 特開2001−178211(P2001−178211A)
【公開日】 平成13年7月3日(2001.7.3)
【出願番号】 特願平11−371295