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【発明の名称】 栽培方法、定植装置および播種装置
【発明者】 【氏名】山本 浩平

【要約】 【課題】単位面積当たりの栽培本数の増加および栽培条件の均一化により、収穫量増大を図ることができる栽培技術を提供する。

【解決手段】隣接する苗どうしの間隔が全て均等となるように栽培地または栽培装置に種子を播くか苗を定植するかして植物を栽培する。苗どうしの間隔をすべて均等にすることにより、苗の生育条件は、隣接する周囲の苗との関係において全方向にわたって均等となり、生育方向の偏りに起因する生育不良が発生しないので、生育状態が向上し、収穫量増大を図ることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 隣接する苗どうしの間隔が全て均等となるように栽培地または栽培装置に種子を播くか苗を定植するかして植物を栽培することを特徴とする栽培方法。
【請求項2】 栽培地に一定間隔ごとに苗を定植する装置であって、隣接して植えられる苗どうしがどの方向も等間隔となるように苗を植える定植機構を備えたことを特徴とする定植装置。
【請求項3】 前記定植機構として、複数の苗を保持および供給する苗供給部と、前記苗供給部から間欠的に苗を繰り出す植付け部と、前記植付け部を左右に往復移動させる往復部と、前記往復部および植付け部と一定規則で連動して前記苗供給部、前記植付け部および前記往復部を前進または後退させる走行部とを備えた請求項2記載の定植装置。
【請求項4】 栽培地に一定間隔ごとに種子を播く装置であって、隣接して播かれる種子どうしがどの方向も等間隔となるように種を播く播種機構を備えたことを特徴とする播種装置。
【請求項5】 前記播種機構として、種子を保持および供給する種子供給部と、前記種子供給部から間欠的に種子を繰り出し栽培地に播く播種部と、前記播種部を左右に往復移動させる往復部と、前記往復部および播種部と一定規則で連動して前記種子供給部、前記播種部および前記往復部を前進または後退させる走行部とを備えた請求項4記載の播種装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、野菜、果物、草花などの栽培技術に関する。
【0002】
【従来の技術】野菜、果物、草花などを栽培する場合、図7に示すように、田畑などの栽培地の地面70に形成された畝71に沿って苗72を植えて栽培する、いわゆる土耕栽培が行われている。一方、水稲や藺草などは、図8に示すように、数本の苗からなる苗株76を水田75に縦横方向が互いに均等間隔をなすように植えて栽培が行われている。
【0003】図7に示す土耕栽培の場合、育苗から収穫に至る一連の作業は、中腰やしゃがんだ姿勢での作業が多く、且つ、苗の運搬などの肉体的負担の大きな労働を伴う作業である。このような過酷な労働条件を改善するため、育苗容器の改善が行われたり、あるいは、図9に示すような高設栽培装置60を用いて、苗が植えられた栽培容器65を地面より高い位置に保持して栽培を行う、いわゆる高設栽培方法などが採用されている。そのほか、地面より高い位置に栽培槽を保持し、この栽培槽に充填された培土に播種または苗を植えて栽培が行われることもある。
【0004】高設栽培装置60においては、地面に立設されて支柱61にフレーム62が取り付けられ、フレーム62に栽培用パネル63が装着され、栽培用パネル63に形成された多数の開口部に、円筒状の栽培容器65が挿入、保持されている。
【0005】このような高設栽培装置60あるいは地面より高い位置に保持された栽培槽を使用することにより、中腰やしゃがんだ姿勢での作業を減らすことが可能となるため、栽培期間中における肉体的負担が減少し、労働条件の改善を図ることができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】一般に、栽培地や栽培装置に植えられた苗どうしは、日照確保のため、相互遮蔽を回避する性質があって、互いの干渉が少ない方向へ成長しようとするので、隣接する苗との間隔が離れた方向への成長が盛んとなり、栽培容器65で栽培される苗の生育方向が特定方向に偏ることがある。このような成育不良により、各株ごとに生育の差が生じると、収穫量減少や収穫期の変動という問題が発生する。
【0007】高設栽培装置60の場合、図9に示すように、複数の栽培容器65は縦方向および横方向に互いに同一間隔をなすように配列されているので、隣接する栽培容器65どうしの縦横間隔は互いに同一であるが、斜め方向の間隔は、縦横方向の間隔より大となっている。
【0008】したがって、一つの栽培容器65に着目した場合、その周囲に隣接する8個の栽培容器65との間隔は、その位置関係により異なっている。このため、栽培容器65で栽培される苗の葉茎などの生育方向が、隣接する苗との距離関係によって偏向し、苗全体の成長が鈍化し、収穫量減少を招いている。このことは、図7に示す畝71で栽培される苗72、あるいは図8に示す水田75で栽培される苗株76についても同様である。
【0009】また、農作物などの収穫量増大を図るための手段の一つとして、単位面積当たりの栽培本数を増加させることがあるが、栽培用パネル63の場合、栽培容器65は縦横同一間隔の碁盤目状に配列されているので、単位面積当たり栽培本数は最大限まで至っていない。このことは、図7に示す土耕栽培、図8に示す水田栽培および栽培槽を用いた栽培においても同様である。
【0010】本発明が解決しようとする課題は、単位面積当たりの栽培本数の増加および栽培条件の均一化により、収穫量増大を図ることができる栽培技術を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため、本発明の栽培方法は、隣接する苗どうしの間隔が全て均等となるように栽培地または栽培装置に種子を播くか苗を定植するかして植物を栽培することを特徴とする。これにより、苗の生育条件は、隣接する周囲の苗との関係において、全方向にわたって均等となり、生育方向の偏りに起因する生育不良が発生しないので、生育状態が向上し、収穫量増大を図ることができる。
【0012】隣接する苗どうしの間隔が全て均等となるようにするためには、隣接する3ヵ所の苗どうしがそれぞれ正三角形の頂点に位置する配置とすればよい。これにより苗の配列は蜂の巣状となり、隣接する苗どうしの間隔が全方向にわたって均等となって生育方向の偏りに起因する生育不良が発生せず、生育状態が向上し、また、単位面積当たり最大の配列本数となり、これによっても収穫量増大を図ることができる。
【0013】また、本発明の定植装置は、栽培地に一定間隔ごとに苗を定植する装置であって、隣接して植えられる苗どうしがどの方向も等間隔となるように苗を植える定植機構を備えたことを特徴とする。この定植装置を用いて隣接する3ヵ所の苗どうしがそれぞれ正三角形の頂点に位置する配置となるように定植することにより、隣接する苗同士の間隔が全方向にわたって均等となるように定植することができる。これにより、生育方向の偏りに起因する生育不良が発生せず、生育状態が向上し、また、単位面積当たりの栽培本数が最大となり、収穫量増大を図ることができる。
【0014】前記定植機構として、複数の苗を保持供給する苗供給部と、苗供給部から間欠的に苗を繰り出す植付け部と、植付け部を左右に往復移動させる往復部と、植付け部および往復部と一定規則で連動して苗供給部、植付け部および往復部を前進または後退させる走行部とを備えることができる。
【0015】これにより、往復運動と前進運動(または後退運動)とを一定規則にしたがって連動させて植付け部をジグザグ状に移動させながら、苗を等間隔に植えることが可能となるため、隣接する3カ所の苗がそれぞれ正三角形の頂点に位置するように定植することができる。
【0016】また、本発明の播種装置は、栽培地に一定間隔ごとに種子を播く装置であって、隣接して播かれる種子どうしがどの方向も等間隔となるように種を播く播種機構を備えたことを特徴とする。この播種装置を用いて隣接する3ヵ所の播種位置どうしがそれぞれ正三角形の頂点に位置するように種子を播くことにより、発芽して成長した苗どうしの間隔が全方向にわたって均等となるように種子を播くことができる。これにより、上記の定植の場合と同様に、生育方向の偏りに起因する生育不良が発生せず、生育状態が向上し、また、単位面積当たりの栽培本数が最大となり、収穫量増大を図ることができる。
【0017】前記播種機構として、種子を保持および供給する種子供給部と、種子供給部から間欠的に種子を繰り出し栽培地に播く播種部と、播種部を左右に往復移動させる往復部と、往復部および播種部と一定規則で連動して種子供給部、播種部および往復部を前進または後退させる走行部とを備えることができる。
【0018】これにより、往復運動と前進運動(または後退運動)とを一定規則にしたがって連動させて播種部をジグザグ状に移動させながら種子を等間隔に播くことが可能となるため、隣接する3ヵ所の播種位置どうしがそれぞれ正三角形の頂点に位置するように種子を播くことができる。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は本発明の実施の形態である栽培方法を示す平面図、図2は図1の部分拡大図である。
【0020】本実施形態の栽培方法においては、栽培地10に複数の苗11が一定間隔ごとに植えられているが、隣接する苗11どうしの間隔が全て均等となるように配置されている。すなわち、図2に示すように、1本の苗11に着目すると、苗11に隣接する周囲の苗11との定植間隔12は全て同一となっている。これは、栽培地10に植えられている苗11の全てについて同様である。
【0021】これにより、苗11の生育条件は、隣接する周囲の苗11との関係において、全方向にわたって均等となり、生育方向の偏りが発生しなくなるので、生育状態が向上し、収穫量増大を図ることができる。
【0022】また、隣接する3ヵ所の苗11は、それぞれ正三角形の頂点に位置する配置となっているため、苗11全体は蜂の巣状の配列をなし、単位面積当たり最大の配列本数となる。したがって、単位面積当たりの栽培本数が最大となり、これによっても収穫量増大を図ることができる。
【0023】次に、図3〜5を参照して、図1,2に示すように苗11を植えることのできる定植装置13について説明する。
【0024】定植装置13は、作業者が乗った状態で、原動機(図示せず)によって栽培地10上を走行可能であり、定植機構として、複数の苗11を保持供給する苗供給部15と、苗供給部15から間欠的に苗を繰り出す植付け部16と、植付け部16を左右に往復移動させる往復部17と、往復部17と連動し、苗供給部15、植付け部16および往復部17を前進または後退させる走行部14とを備えている。
【0025】苗供給部15および植付け部16は、図3に示すように、フロート18によって支持され、クランク運動する植付け爪16aによって苗11を栽培地10に植えていく。植付け爪16aは、図1,2に示す苗11の定植間隔12と同じ間隔で、走行方向と直角方向に4個配置されている。
【0026】走行部14が定植間隔12の(2/√3)倍だけ前進する間に、植付け部16を横方向に(1/√3)倍だけ横移動させた後、植付け爪16aによって苗11を栽培地10に植え、次に、走行部14が定植間隔12の(2/√3)倍だけ前進する間に、植付け部16を前記と逆の横方向に(1/√3)倍だけ横移動させた後、植付け爪16aによって苗11を栽培地10に植えるという作業を順次繰り返すことができる。
【0027】このように、定植装置13は、往復部17による植付け部16の横往復運動と、走行部14の前進運動(または後退運動)とを一定規則で連動させることにより、植付け部16をジグザグ状に移動させながら植付け爪16aによって苗11を間欠的に植えることが可能であるため、定植後、隣接する3カ所の苗11がそれぞれ正三角形の頂点に位置するように植えることができる。
【0028】定植装置13により、隣接する周囲の苗11との関係が全方向にわたって均等となるように苗11を定植することが可能となるので、生育方向が偏らず、生育状態が向上し、収穫量増大を図ることができる。
【0029】また、定植後、隣接する3カ所の苗11はそれぞれ正三角形の頂点に位置する配置となるため、前述と同様、単位面積当たりの栽培本数が最大となり、これによっても収穫量増大を図ることができる。
【0030】なお、本実施形態の定植装置13は栽培地10に苗11を定植する装置であるが、本発明はこれに限定するものではないので、複数の栽培容器が全方向にわたって互いに等間隔となるように配列された栽培容器あるいは栽培槽に苗を植える装置とすることもできる。
【0031】次に、図6を参照し、本発明の実施の形態である播種装置について説明する。本実施形態の播種装置20は、植物の種子21を保持および供給する複数の種子供給部23と、種子供給部23から繰り出される種子21を栽培地に向かって昇降する播種爪22から間欠的に吐出する播種部24と、播種部24を左右に往復移動させる往復部25と、往復部25および播種部24を一定規則で連動して種子供給部23、播種部24および往復部25を前進させる走行部(図示せず)とを備えている。
【0032】播種装置20は、往復部25による播種部24の横往復運動と、走行部の前進運動(または後退運動)とを一定規則で連動させることにより、播種部24をジグザグ状に移動させながら播種爪22によって種子21を間欠的に植えることが可能であるため、播種後、隣接する3カ所の種子21がそれぞれ正三角形の頂点に位置するように植えることができる。
【0033】このように、播種装置20により、隣接して播かれた種子21どうしの距離関係が全方向にわたって均等となるように種子21を播くことができるので、生育方向の偏りに起因する生育不良が発生せず、生育状態が向上し、収穫量増大を図ることができる。
【0034】また、隣接して播かれた3カ所の種子21はそれぞれ正三角形の頂点に位置する配置となるため、前述と同様、単位面積当たりの栽培本数が最大となり、これによっても収穫量増大を図ることができる。
【0035】なお、本実施形態の播種装置20は栽培地に種子21を播種する装置であるが、本発明はこれに限定するものではないので、複数の栽培容器が全方向にわたって互いに等間隔となるように配列された栽培容器あるいは栽培槽に種子を植える装置とすることもできる。
【0036】
【発明の効果】本発明により、以下に示す効果を奏する。
【0037】(1)隣接する苗どうしの間隔が全て均等となるように栽培地または栽培装置に種子を播くか苗を定植するかして植物を栽培するすることにより、苗の生育条件は、隣接する周囲の苗との関係において、全方向にわたって均等となり、生育方向の偏りに起因する生育不良が発生しないので、生育状態が向上し、収穫量増大を図ることができる。隣接する3ヵ所の播種位置どうしまたは定植した苗どうしがそれぞれ正三角形の頂点に位置する配置とすることにより単位面積当たり最大の配列本数となり、これによっても収穫量増大を図ることができる。
【0038】(2)隣接して植えられる苗どうしがどの方向も等間隔となるように苗を植える定植機構を備えた定植装置を用いて、隣接する3ヵ所の苗どうしがそれぞれ正三角形の頂点に位置する配置となるように定植することにより、隣接する苗同士の間隔が全方向にわたって均等となるように定植することができる。
【0039】(3)定植機構として、複数の苗を保持供給する苗供給部と、苗供給部から間欠的に苗を繰り出す植付け部と、植付け部を左右に往復移動させる往復部と、往復部と連動し、苗供給部、植付け部および往復部を前進または後退させる走行部とを備えたことにより、往復運動と前進運動(または後退運動)とを一定規則で連動させ植付け部をジグザグ状に移動させながら、苗どうしの間隔が全て均等となるように定植することができる。
【0040】(4)隣接して播かれる種子どうしがどの方向も等間隔となるように種を播く播種機構を備えた播種装置を用いて、隣接する3ヵ所の播種位置どうしがそれぞれ正三角形の頂点に位置するように種子を播くことにより、発芽して成長した苗どうしの間隔が全方向にわたって均等となるように種子を播くことができる。
【0041】(5)播種機構として、種子を保持および供給する種子供給部と、種子供給部から間欠的に種子を繰り出し栽培地に播く播種部と、播種部を左右に往復移動させる往復部と、往復部および播種部と一定規則で連動して種子供給部、播種部および往復部を前進または後退させる走行部とを備えたことにより、往復運動と前進運動(または後退運動)とを一定規則にしたがって連動させて播種部をジグザグ状に移動させながら、種子どうしの間隔が全て均等となるように播種することができる。
【出願人】 【識別番号】591038026
【氏名又は名称】福岡丸本株式会社
【出願日】 平成11年12月16日(1999.12.16)
【代理人】 【識別番号】100099508
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 久
【公開番号】 特開2001−169615(P2001−169615A)
【公開日】 平成13年6月26日(2001.6.26)
【出願番号】 特願平11−358157