トップ :: A 生活必需品 :: A01 農業;林業;畜産;狩猟;捕獲;漁業




【発明の名称】 播種器およびその製造方法
【発明者】 【氏名】中山 道広

【要約】 【課題】軽量で、播種作業時の作業性に優れた播種器およびその製造方法を提供する。

【解決手段】播種器1は、分配孔3が貫設された種子載置面2aと前記種子載置面2aの外周部にあって種子の飛散を防止するための側壁部5とを有する上板2と、分配孔3に対応した播種孔9が貫設されたスライド板4とを備え、スライド板4は、摺動により分配孔3とこれに対応する播種孔9とが種子落下方向において互いに重なり合う位置へ移動するように種子載置面2aの裏側において摺動可能に設けられ、かつ、上板2は、側壁部5と種子載置面2aとが一体成形されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】種子が通過する分配孔が貫設された種子載置面と前記種子載置面の外周部にあって該種子の飛散を防止するための側壁部とを有する上板と、前記分配孔に対応した播種孔が貫設されたスライド板とを備え、該スライド板は、摺動により前記分配孔とこれに対応する播種孔とが種子落下方向において互いに重なり合う位置へ移動するように構成されている播種器において、前記スライド板は、前記種子載置面の裏側において摺動可能に設けられ、かつ、前記上板は、前記側壁部と前記種子載置面とが一体成形されていることを特徴とする播種器。
【請求項2】上記スライド板を上記種子載置面の裏側に係止する係止部材を備え、該係止部材へのスライド板の係止により上記上板および/またはスライド板に与えられる応力による歪みを解消する方向に、上記上板および/またはスライド板に反りが形成されていることを特徴とする請求項1記載の播種器。
【請求項3】上記スライド板を上記種子載置面の裏側に係止する係止部材を備え、該係止部材へのスライド板の係止により上記上板および/またはスライド板に与えられる応力による歪みに応じて、上記上板および/またはスライド板に反りが形成されていることを特徴とする請求項1記載の播種器。
【請求項4】少なくとも、種子が通過する分配孔が貫設された種子載置面と前記種子載置面の外周部にあって該種子の飛散を防止するための側壁部とを一体成形することにより前記側壁部と種子載置面とを備えた上板を形成する第1工程と、前記各分配孔に対応した播種孔を有するスライド板を形成し、該スライド板を前記分配孔と播種孔とが種子落下方向にて重なり合う位置へ移動できるように前記スライド板を前記種子載置面の裏側に摺動可能に係止する第2工程とを含むことを特徴とする播種器の製造方法。
【請求項5】上記第1工程において、上記上板に係止されるスライド板により上記上板および/またはスライド板に与えられる応力による歪みを解消する方向に、上記上板に反りを形成することを特徴とする請求項4記載の播種器の製造方法。
【請求項6】上記第2工程が、上記上板へのスライド板の係止により上記上板および/またはスライド板に与えられる応力による歪みに応じて、上記スライド板に反りを形成する工程を含み、上記上板へのスライド板の係止が上記上板に与えられる応力による歪みの方向に応じて行われることを特徴とする請求項4記載の播種器の製造方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、農園芸作物の種子およびコート種子を所定位置に所定粒ずつ播くために用いられる播種器およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、各育苗ポットまたは地床に種子を所定粒ずつ、ほぼ等間隔に播種する際に、作業効率を高める等の目的で、播種器を用いることが行われている。このような播種器としては、たとえば、実開昭58−115910号公報に、略筐体形状のスライド式播種器が開示されている。
【0003】図7(a)は、上記従来のスライド式播種器の構成を説明するための平面図であり、図7(b)は、図7(a)のA−A’線断面図である。まず、図7(a)(b)に示す構成について説明する。
【0004】図7(a)(b)に示すように、播種器60は、種子が適当量載置され、該種子を適宜二次元的に配分するための固定板52と、該固定板52の周囲に設けられ、種子が外部に飛散することを防止するための側板55と、該固定板52の板面に縦横方向に貫設された複数の大孔51と、上記側板55の一方の短手方向端部55aに設けられたスリット部58より筐体内部に嵌入され、固定板52の板面上において、該板面に対して略平行方向に摺動(スライド)可能なスライド板54と、該スライド板54の板面に、縦横方向に二次元的に貫設された複数の小孔53とを備えている。また、側板55において、上記スリット部58が設けられていない方の短腕部55bには、該短腕部55bの内壁と、スライド板54の端面との間に種子が挟まらないようにするためのかぶり部56が設けられている。また、上記短手方向端部55aとスライド板54の端部54aとの間には、該スライド板54を所定位置で静止させておくための一対のスプリング57が設けられている。
【0005】まず、固定板52の筐体内部に適当量投入された種子またはコート種子は、播種器60を適宜振動、揺動、回動する等の操作をすることにより、上記小孔53内に所定粒ごとに配分される。このとき、上記小孔53と上記大孔51との位置関係は、図7(a)および(b)に示す状態、すなわち、板面を種子落下方向に見た場合に、互いに対応関係にある小孔53および大孔51どうしが、互いに重なり合わずに隣り合った位置関係にある。従って、上記小孔53内に配分された種子は、スライド板54の下面に当接する固定板52の板面が底蓋の役目を果たすことにより、上記小孔53内に保持される。そして、播種器60は、上記短手方向端部55aとスライド板54の端部54aとの間に設けられた一対のスプリング57の作用により、上記のような位置関係を維持することができる。
【0006】次に、播種器60を所望の播種位置に合わせて配置した後、スライド板54の端部54aを上記スプリング57の力に抗して筐体内部方向へスライドさせることにより、小孔53の下部に、対応する大孔51を位置させることができる。これにより、小孔53と大孔51とが、種子落下方向において重なり合うので、種子を播種器60の下方に落下させることができ、播種が行われる。以上のような操作により、各育苗ポットまたは地床に種子を所定粒ずつ等間隔に播種することができる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記従来の播種器60では、スライド板54が、上記スリット部58に嵌入され、しかも、固定板52の板面上、すなわち筐体内部をスライドするよう設けられた構造を有している。このため、固定板52およびその周囲に設けられた側板55とから構成される筐体は、摺動に伴う摩擦や衝撃に対してある程度の強度を備えている必要がある。また、スライド板54は、上記のように固定板52の板面上を往復移動するので、短腕部55bの内壁とスライド板54の端面との間に種子が挟まらないようにするために、かぶり部56等の構造を別に設ける必要もある。
【0008】これらのことから、上記従来の播種器60は、固定板52の板面の外周部分や側板55として、所定値以上に厚みを有する厚板を用いなければならないという構造上の制約を受ける。具体的には、播種器60は、上記厚板を用いなければならないという制約から、筐体構造を形成するために側板55および固定板52の各構成単位を互いに貼り合わせなければならない。
【0009】従って上記従来の播種器60は、スライド板54が摺動する際に生じる摩擦や衝撃に対してはある程度の強度を備える反面、重量が大きくなり、作業性に劣るという問題点を有している。
【0010】また、上記従来の播種器60は、上述のように、スライド板54が、スリット部58に嵌入され、固定板52の板面上を摺動するよう設けられているため、スライド板54と固定板52との間にわずかな間隙が生じてしまい、種子等がこの間隙に挟まって摩擦を受けることで崩壊し、スライド板54のすべりが悪化するため、作業性がさらに劣化するという問題点を有している。また、この場合、上記間隙を埋めるために、もう一枚別の板をスライド板54と固定板52の間に貼り付ける等の構成とすることで、さらに重量が大きくなり、作業性が劣化するという問題点も派生する。
【0011】この場合、上記間隙に挟まった種子等は、スプリング57を固定しているビスをはずして、スライド板54を筐体から抜いた後掃除により除去しなければならず、手間がかかるため、作業効率が低下する。
【0012】本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、その目的は、軽量で、播種作業時の作業性に優れた播種器およびその製造方法を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記の問題点を解決すべく鋭意検討した。その結果、スライド板を筐体構造において、種子載置面の裏面側に設けると共に、該筐体構造を貼り合わせ構造にて形成せず、一体成形することにより、上記の目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0014】すなわち、請求項1の播種器は、上記の課題を解決するために、種子が通過する分配孔が貫設された種子載置面と前記種子載置面の外周部にあって該種子の飛散を防止するための側壁部とを有する上板と、前記分配孔に対応した播種孔が貫設されたスライド板とを備え、該スライド板は、摺動により前記分配孔とこれに対応する播種孔とが種子落下方向において互いに重なり合う位置へ移動するように構成されている播種器において、前記スライド板は、前記種子載置面の裏側において摺動可能に設けられ、かつ、前記上板は、前記側壁部と前記種子載置面とが一体成形されていることを特徴としている。
【0015】上記の構成によれば、摺動するスライド板が、上板における種子載置面の裏面側に設けられていることで、上板の側壁部にスリット部分を設けてスライド板を嵌入する等の構成をとることがないので、前記側壁部および前記種子載置面がスライド板の摺動に伴う摩擦や衝撃を直接受けることが少ない。このため、上板にスリット部分を設けてスライド板を嵌入する等の構成をとる播種器と比較して、上板に要求される強度が少なくて済むため、側壁部と種子載置面の外周とを厚板で構成したり、種子載置面を裏面側から補強するためのリブ構造等を別に設けたりする必要がない。また、種子載置面の裏面とスライド板とを密着させることができるので、種子が前記裏面とスライド板との間隙に挟まることがなく、崩壊した種子により摩擦が生じて作業性が劣化することを防止できる。
【0016】また、上板は、前記側壁部および前記種子載置面が一体成形されてなっているので、スライド板が種子載置面の裏面側で摺動した際に上板が受ける摩擦や衝撃に対して充分な強度を備えることができ、しかも、軽量で、播種作業時の作業性に優れた播種器を提供することができる。
【0017】請求項2の播種器は、上記の課題を解決するために、請求項1に記載の構成に加えて、上記スライド板を上記種子載置面の裏側に係止する係止部材を備え、該係止部材へのスライド板の係止により上記上板および/またはスライド板に与えられる応力による歪みを解消する方向に、上記上板および/またはスライド板に反りが形成されていることを特徴としている。
【0018】上記の構成によれば、上記係止により上記上板および/またはスライド板に与えられる応力による歪みを解消する方向に上記反りが形成されていることで、該応力による上板および/またはスライド板の歪みを解消することができる。従って、たとえば、上記種子載置面が略長方形状を有している場合に、その短手方向両側壁部付近に、上記種子載置面の長手方向(長辺)に沿って2つの係止部材が設けられている場合、該係止部材の取り付け位置において上記種子載置面が種子落下方向に受ける応力により種子載置面に生じるたわみを、種子載置面に、上記たわみと逆向きの反りを形成することで解消することができる。また、これにより、前記種子載置面の裏面とスライド板とがより確実に密着し、前記種子載置面の裏面とスライド板との間に不要な間隙が発生することをさらに確実に防止できる。よって、該間隙に種子等が挟まって摩擦を生じ作業性が劣化したり、種子が浪費されることを防止することができる。
【0019】請求項3の播種器の製造方法は、上記の課題を解決するために、請求項1に記載の構成に加えて、上記スライド板を上記種子載置面の裏側に係止する係止部材を備え、該係止部材へのスライド板の係止により上記上板および/またはスライド板に与えられる応力による歪みに応じて、上記上板および/またはスライド板に反りが形成されていることを特徴としている。
【0020】上記の構成によれば、上記係止により上記種子載置面に与えられる応力による歪みに応じて上記反りが形成されていることで、前記種子載置面の裏面とスライド板とがより確実に密着し、前記種子載置面の裏面とスライド板との間に不要な間隙が発生することをさらに確実に防止できる。よって、該間隙に種子等が挟まって摩擦を生じ作業性が劣化したり、種子が浪費されることを防止することができる。
【0021】請求項4の播種器の製造方法は、上記の課題を解決するために、少なくとも、種子が通過する分配孔が貫設された種子載置面と前記種子載置面の外周部にあって該種子の飛散を防止するための側壁部とを一体成形することにより前記側壁部と種子載置面とを備えた上板を形成する第1工程と、前記各分配孔に対応した播種孔を有するスライド板を形成し、該スライド板を前記分配孔と播種孔とが種子落下方向にて重なり合う位置へ移動できるように前記スライド板を前記種子載置面の裏側に摺動可能に係止する第2工程とを含むことを特徴としている。
【0022】上記の構成によれば、摺動するスライド板を、上板における種子載置面の裏面側に設けることで、上板の側壁部にスリット部分を設けてスライド板を嵌入する等の構成をとる必要がないので、上板がスライド板の摺動に伴う摩擦や衝撃を直接受け難い。このため、上板にスリット部分を設けてスライド板を嵌入する等の構成をとる播種器と比較して、上板に要求される強度が少なくて済むため、たとえば、上板の側壁部を厚板で構成したり、上板の種子載置面を補強するためのリブ構造等を別に設ける必要がない。
【0023】また、上板は、前記側壁部および前記板面を一体成形することにより形成されるので、スライド板が種子載置面の裏面側で摺動した際に上板が受ける摩擦や衝撃に対して充分な強度を付与することができ、しかも、軽量で、播種作業時の作業性に優れた播種器を得ることができる。
【0024】請求項5の播種器の製造方法は、上記の課題を解決するために、請求項4の構成に加えて、上記第1工程において、上記上板に係止されるスライド板により上記上板および/またはスライド板に与えられる応力による歪みを解消する方向に、上記上板に反りを形成することを特徴としている。
【0025】上記の構成によれば、上記係止により上記上板および/またはスライド板に与えられる応力による歪みを解消する方向に上記反りを形成することで、該応力による上板および/またはスライド板の歪みを解消することができる。具体的には、たとえば、上記種子載置面を略長方形状としたときに、その短手方向両側壁部付近に、上記種子載置面の長手方向(長辺)に沿って2つの係止部材を設けた場合、該係止部材の取り付け位置において上記種子載置面が種子落下方向に受ける応力により種子載置面に生じるたわみを、種子載置面に、上記たわみと逆向きの反りを形成することで解消することができる。また、これにより、前記種子載置面の裏面とスライド板とがより確実に密着し、前記種子載置面の裏面とスライド板との間に不要な間隙が発生することをさらに確実に防止できる。よって、該間隙に種子等が挟まって摩擦を生じ作業性が劣化したり、種子が浪費されることを防止できる播種器を得ることができる。
【0026】請求項6の播種器の製造方法は、上記の課題を解決するために、請求項4の構成に加えて、上記第2工程が、上記上板へのスライド板の係止により上記上板および/またはスライド板に与えられる応力による歪みに応じて、上記スライド板に反りを形成する工程を含み、上記上板へのスライド板の係止が上記上板に与えられる応力による歪みの方向に応じて行われることを特徴としている。
【0027】上記の構成によれば、上記係止により上記種子載置面に与えられる応力による歪みに応じて上記反りを形成することで、前記種子載置面の裏面とスライド板とがより確実に密着し、前記裏面とスライド板との間に不要な間隙が発生することをさらに確実に防止できる。よって、該間隙に種子等が挟まって摩擦を生じ作業性が劣化したり、種子が浪費されることを防止できる播種器を得ることができる。
【0028】
【発明の実施の形態】〔実施の形態1〕本発明の実施の一形態について図1ないし図4に基づいて説明すれば、以下のとおりである。
【0029】図1は、本発明の実施の形態に係る播種器1の概略構成を示す斜視図である。また、図2は、播種器1の正面図であり、図3は、平面図である。また、図4は、図3のA−A’線断面図である。
【0030】図1に示すように、上記播種器1は、上板2と、前記上板2における種子載置面2aの裏面側に、種子載置面2aに略平行な方向に沿って摺動可能に設けられたスライド板4とを備えている。
【0031】前記上板2は、略長方形状の種子載置面2aと、種子載置面2aの外周部にあって、載置された種子またはコート種子が周囲へ飛散することを防止するための側壁部5とを備えている。上記種子載置面2aには、種子が自由に通過する程度の孔径を有する複数の分配孔3が貫設されている。該分配孔3は、上板2の種子載置面2aを貫通するように、該種子載置面2aの縦横方向に、ほぼ等間隔をおいて複数配列されている。なお、本実施の形態では、分配孔3を上記のように配列したが、配列方法は、特に限定されず、播種しようとする種子、育苗ポット、あるいは、地床等のサイズや種類、播種位置等に応じて適宜設定すればよい。
【0032】また、上板2は、材質として、アクリル樹脂が用いられ、一体成形により形成されている。また、図4に示すように、上板2の種子載置面2aおよび側壁部5等は、いずれもほぼ同程度の厚みに設定されている。側壁部5は、図2および図4に示すように、放射状に傾斜した形状を有している。また、側壁部5の外周部分には、作業者が保持し易いように、把持部材5cが突設されている。
【0033】なお、本実施の形態では、上板2の材質として、アクリル樹脂を用いたが、上記一体成形する場合に、上板2の材質として用いられる樹脂としては、具体的には、たとえば、アクリル樹脂、ポリプロピレンやプロピレン共重合体等のプロピレン、プロピレンを含んでなるプロピレン系樹脂、塩化ビニル、ナイロン、ポリプロピレン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)樹脂等が挙げられる。上記例示の樹脂のうち、アクリル樹脂を用いることがより好ましい。アクリル樹脂の中でも、ポリメチルメタクリレート(PMMA)が特に好ましい。また、スライド板4および種子載置面2aは、播種する位置が見えるように、透明な材質であることが好ましい。
【0034】上板2を一体成形する方法は、特に限定されず、たとえば、ブロー成形、熱成形、射出成形等の一般的な成形方法を用いることができる。
【0035】本実施の形態では、前記スライド板4は、種子載置面2aの裏面上において前記上板2の長手方向側壁部である両長腕部に沿って取り付けられた一対の係止部材6・6によって、前記種子載置面2aの裏面に略平行な方向に摺動可能となるように係止されている。また、図1に示すように、上板2の短手方向の一方の側壁部である短腕部5aに平行して取り付けられた支持部材10とスライド板4の横板4aとの間には、一対のスプリング7が設置されており、該スプリング7により、スライド板4と上板2とが所定の位置関係で静止した状態に維持されている。
【0036】スライド板4の板面には、上記分配孔3に対応して、播種孔9が貫設されている。播種孔9は、分配孔3に比較して大きな孔径を有しており、これにより、播種孔9の上方に分配孔3が位置した場合に、分配孔3上の種子が確実に播種器1下方へ落下するように構成されている。播種孔9と分配孔3との孔径は、播種器1が用いられる種子等の種子径や、一つの播種位置に播種する種子の粒数等に応じて適宜設定すればよく、たとえば、両者を同じ孔径に設定してもよいが、播種すべき種子の落下をスムーズに行うためには、上記のように、播種孔9の孔径を分配孔3の孔径より大きくする構成がより好ましい。また、分配孔3の孔径は、播種すべき種子の種子径よりわずかに大きい程度に設定されることがより好ましい。
【0037】次に、播種器1の動作について以下に説明する。
【0038】図1〜図4では、スプリング7が設けられていることによって、上板2とスライド板4とが所定の位置関係で安定に静止した状態を示している。この状態において、上板2の種子載置面2a上に播種すべき種子が適当量載置される。次に、播種器1を揺動、傾動、または回動等させることにより、前記種子が種子載置面2a上を移動し、分配孔3内に1粒ずつ分配される。なお、本実施の形態では、種子が一粒ずつ分配する例を示したが、分配孔3内に分配される種子の数は、特に限定されず、育苗ポット等の種類や播種方法に応じて1粒〜数粒、またはそれ以上の範囲で適宜設定すればよい。
【0039】上記のようにして、種子が分配された際に上板2の種子載置面2aを種子落下方向に見た場合、図3に示されるように、互いに対応する分配孔3と播種孔9とが隣り合って並列した状態となっている。分配孔3下方は、スライド板4の種子載置面2aにより塞がれているので、該種子載置面2aが分配孔3の底蓋の役目を果たすため、種子は落下することなく分配孔3内に保持されている。
【0040】次いで、スライド板4の横板4aをスプリング7の力に抗して上板2側に圧縮することにより、スライド板4が上板2方向に摺動して停止する。このとき、上板2の種子載置面2aを種子落下方向に見た場合、分配孔3と播種孔9とが上下に重なり合った位置にある。このため、分配孔3内の種子がすみやかに播種器1下方に落下し、これにより、所定位置に確実に播種を行うことができる。
【0041】なお、播種器1の使用方法としては、通常、作業者が上板2の両短腕部5a・5b付近において把持部材5c等を保持し、手作業により播種が行われるのが一般的である。このため、スプリング7は、作業者が片手で圧縮できる程度の張力に設定されている。
【0042】なお、本実施の形態の播種器1には、種子載置面2a上のいずれか一方の長手方向側壁部付近に、種子よせ部2bが略矩形領域として形成されている。また、該種子よせ部2bと分配孔3との間には、長手方向に種子が1粒ずつ一列に並ぶ程度に溝が設けられていてもよい。該溝が設けられることにより、該溝内にはまり込んだ種子が障壁となって、余剰の種子が分配孔3方向に移動することを防止することができると共に、種子よせ部2bに溜められた種子のうち、適当量を分配孔3付近に移動させることが容易となり、さらに作業性が向上する。
【0043】次に、本発明の特徴点である、スライド板4および一体成形された上板2について、以下に詳細に説明する。本実施の形態の播種器1は、摺動するスライド板4が、上板2における種子載置面2aの裏面側に設けられている。従って、上板2の側壁部5の短腕部5a等にスリット部分を設けてスライド板4を嵌入する等の構成をとる必要がないので、上板2がスライド板4の摺動に伴う摩擦や衝撃を直接受け難い。このため、スリット部分を設けてスライド板4を嵌入する等の構成をとる従来の播種器と比較して、上板2に要求される強度が少なくて済むため、上板2の側壁部5を厚板で構成したり、上板2の種子載置面2aを裏面側より補強するためのリブ構造等を別に設ける必要がない。
【0044】また、前記スリット部分を用いる場合のように、スライド板4と上板2との間に余分な間隙が生じ難いので、該間隙に種子等が挟まることによるスライド板4のすべりの悪化を抑制できる。
【0045】さらには、スライド板4は、上板2の種子載置面2a上を往復移動するわけではないので、スライド板4の端面と短腕部5bとの間に種子が挟まるといった事態が生じることがないため、種子を該端面と短腕部5bとの間付近から隔離するために、短腕部5b付近にかぶり部等を別に設ける必要がない。
【0046】スライド板4が以上のように設置されているため、上板2の強度を必要以上に高く維持する必要がなく、また、上板2の側壁部5等を、補強その他の目的で重厚に形成する必要もない。このため、播種器1は、上板2を貼り合わせ構造により形成する必要がないので上板2の形成方法において、構造上の制約を受けることがない。
【0047】本実施の形態では、以上の点に鑑みて、上板2が一体成形により形成されている。すなわち、上板2は、材質としてアクリル樹脂が用いられ、熱成形により、トレー形状に一体成形されている。
【0048】具体的には、上板2は、図4に示されるように、一体成形により側壁部5および種子載置面2aにおいて、厚みをほぼ一定に設定されたトレー状の形状を有しているため、非常に軽量であり、作業性に優れている。また、上板2は、一体成形されていることにより、上記軽量性を維持しつつ、スライド板4が上板2の種子載置面2aの裏側面を摺動した際に上板2が受ける程度の摩擦や衝撃に対して耐え得る程度の強度を備えることができる。
【0049】播種器1の大きさは、特に限定されないが、本実施の形態では、作業者が手作業により播種する際の作業性に鑑みて、たとえば、長辺×短辺=70×40cm程度に設定されている。また、上記分配孔3および播種孔9の個数は特に限定されないが、播種作業効率を維持するためには、上記例示の大きさを有する播種器1において、70〜800個の範囲内が好ましく、100〜300個程度の範囲内がより好ましい。
【0050】播種器1の製造方法としては、上述の工程により上板2を一体成形によって形成する工程が含まれる方法であれば特に限定されず、従来公知の一般的な工程を用いることができる。
【0051】なお、上記支持部材10および係止部材6は、上板2と一体成形されていてもよく、また、貼り合わせ工程により上板2に取り付けてもよい。また、スライド板4に用いられる材質としては、播種器1の上記軽量性および優れた作業性が維持される範囲内で適宜選択することができ、特に限定されないが、透明性、軽量性を確保するためには、合成樹脂を用いることがより好ましい。また、スプリング7は、たとえば、係止部材6に係止された状態のスライド板4の横板4a側からネジ部材を差し込み、該ネジ部材がバネを貫通した状態で、該ネジ部材の先端を支持部材10に嵌合させることにより取り付けることができる。
【0052】播種器1を用いて播種される種子またはコート種子の種類は特に限定されず、いかなる種類のものに用いてもよい。上記種子またはコート種子としては、白菜、キャベツ、レタス、人参、大根、トマト、玉葱、葱等の種子およびコート種子が挙げられる。また、上記播種器1は、上記のように優れた作業性を発揮するため、作業効率を向上させることができるので、育苗ポット等に等間隔に播種する必要がある機械移植に用いられる土付苗の栽培時に、特に好適に用いられる。
【0053】〔実施の形態2〕本発明の実施の他の形態について、図3および図5〜図6(a)、(b)に基づいて説明すれば以下のとおりである。なお、前記した実施の形態1で説明した構成と同一の機能を有する構成には、同一の符号を付記し、その説明を省略する。
【0054】実施の形態1では、図4に示すように、上板2の種子載置面2aが平面状に形成されている例を示した。しかしながら、上板2の材質ならびに大きさによっては、該種子載置面2aおよび/またはスライド板4に以下のような問題が生じる場合がある。すなわち、スライド板4が挿入された状態では、種子載置面2aおよびスライド板4が係止部材6・6付近において、種子落下方向側に力を受ける。このため、用いられる材質によっては、種子載置面2a上の係止部材6・6間の中央部分において種子載置面2aの長手方向に沿って、上向き(種子落下方向と逆向き)に突出した弧を描くように湾曲したたわみ(歪み)が発生する場合がある。一方、スライド板4の材質ならびに大きさによっては、スライド板4の短手方向(短辺)中央部分において、スライド板4の長手方向に沿って下向き(種子落下方向と同じ向き)に突出した弧を描くように湾曲した歪みが発生する場合がある。
【0055】そして、これら種子載置面2aとスライド板4との組み合わせによっては、図5に示すように、種子載置面2aおよびスライド板4において、係止部材6からより離れた部位、すなわち、係止部材6・6間の中央部分で、該種子載置面2aとスライド板4との間の間隙がより大きくなるように歪みが生じる。このような状態では、種子載置面2aとスライド板4との間に歪みによる間隙が生じるので、該間隙に種子等が挟まって、摩擦を生じ、作業性が劣化したり、種子が破損される。また、上記たわみは、用いられる材質による以外にも、係止部材6が取り付けられている位置によって、その向きおよび大きさが変化する。たとえば、係止部材6が、上記のように、より側壁部5に近い位置で長手方向に設置されている場合は、たわみは比較的大きく形成される。
【0056】従って、上記上板2および/またはスライド板4は、両者を互いに密着あるいは種子が挟まらない程度に近接させるために、スライド板4の係止により上記上板および/またはスライド板4に加えられる応力の向きや大きさに応じて、つまり、該応力により上記上板および/またはスライド板4に生じる歪みの向きや大きさに応じて予め、反りが形成された構造を有していることが好ましい。
【0057】図6(a)は、本実施の形態に係る播種器に用いる上板2の形状を概略的に示す断面図であり、図6(b)は、本実施の形態に係る播種器に用いるスライド板4の形状を概略的に示す断面図である。図6(a)・(b)は、図3に示す播種器11のA−A’線矢視断面図においてスライド板4が係止部材6に係止されず、上板2の種子載置面2aの裏面側に挿入されていない状態を示している。
【0058】本実施の形態において、上記上板2および/またはスライド板4に反りを形成することで上記上板2とスライド板4とを密着あるいは近接させる方法としては、主として、■上記上板2および/またはスライド板4に生じる歪みを解消する向きに上記上板2および/またはスライド板4に反りを形成する方法、つまり、各々の板に生じる歪みを、歪みが生じる各々の板に、歪みとは逆向きに、歪みの大きさに応じた反りを形成することで歪みを緩和あるいは無くして、上板2とスライド板4とを密着(近接)させる方法、■上記上板2またはスライド板4に生じる歪みと同じ向きに、歪みの大きさに応じた反り(好適には同じ大きさの反り)を他方の板に形成し、歪みによる両者の形状を合わせることで上記上板2とスライド板4とを密着(近接)させる方法が挙げられる。
【0059】より具体的に説明すれば、たとえば、上記種子載置面2aに上述した歪みが生じる場合、上記■の方法により上板2とスライド板4とを密着あるいは近接させるためには、種子載置面2aに、該種子載置面2aに加えられる応力に応じて、該種子載置面2aに生じる歪みとは逆向きの反り、つまり、係止部材6に近づくに従ってスライド板4から離れるように反りを形成する。すなわち、図6(a)に示すように、種子載置面2aに該種子載置面2aが、係止部材6・6間の中央部分において下向きに突出することで凹状の弧を描くように湾曲した反りを形成する。
【0060】本実施の形態では、種子載置面2aを上記のように構成することにより、スライド板4が係止部材6に係止された状態で、上板2の種子載置面2aが、2つの係止部材6が設けられた2箇所付近において種子落下方向(重力方向)に力を受け、種子載置面2aの湾曲とは逆方向に歪みを生じる。この結果、上記種子載置面2aに形成された反りがスライド板4の係止により種子載置面2aに与えられる応力による上板の歪みを解消することになるので、上板2の種子載置面2aとスライド板4とがより確実に密着し、該種子載置面2aとスライド板4との間に不要な間隙が発生することを防止できる。従って、これにより、該間隙に種子等が挟まって摩擦を生じたり、種子が破損したり、破損した種子を掃除により除去する必要が生じたりすることをさらに確実に防止することができる。
【0061】なお、図6(a)に示す構成例では、上記上板2に、上記係止部材6・6形成部間の中央側ほど下方に突出する弧を描くように反りを形成したが、上記上板2の反りは、上記種子載置面2aに加えられる応力に応じて形成すればよく、これに限定されるものではない。
【0062】また、前述したように、条件によっては、スライド板4に歪みが生じる場合もある。この場合は、スライド板4に、予め、スライド板4に加えられる応力に応じて、歪みとは逆向きの反りを形成することにより、上板2とスライド板4とを互いに密着させることも可能である。たとえば、図6(b)に示すように、スライド板4の短手方向中央部が、スライド板4の長手方向に沿って、種子落下方向と逆向きに凸状となるように反りを形成しておくことで、前記したように、スライド板4の短手方向中央部分においてスライド板4の長手方向に沿って下向きに突出した弧を描くように湾曲した歪みを解消することができる。言い換えれば、スライド板4に形成される上記反りは、該スライド板4における、係止部材6に係止される箇所に近いほど、該スライド板4が種子載置面2aから離れるように形成される。
【0063】また、図5に示すように、上記種子載置面2aおよびスライド板4に共に歪みを生じる場合は、上板2に前記図6(a)に示すように反りを形成すると共に、スライド板4に前記図6(b)に示すように反りを形成することで、各々の板に生じる歪みを解消し、互いに密着させることができる。言い換えれば、種子載置面2aおよびスライド板4に形成される反りは、図6(a)・(b)に示すように種子載置面2aおよびスライド板4を配置した場合、種子載置面2aにおける係止部材6・6間の中央部分と、スライド板4の短手方向の中央部分とが、より近づくように形成することで、各々の板に生じる歪みを解消し、互いに密着させることができる。
【0064】以上のほか、反りの形成方法として、たとえば、図5に示すような種子載置面2aの歪みに対して、該歪みと同じ向き、好適には、同じ大きさの反り、すなわち、図6(b)に示すような反りをスライド板4に形成することもできる。このように、種子載置面2aの歪みにスライド板4の形状を合わせることで、上記上板2とスライド板4とを密着させることができる。
【0065】同様に、たとえば、図5に示すようなスライド板4の歪みに対しては、該歪みと同じ向き、好適には、同じ大きさの反り、すなわち、図6(a)に示すような反りを種子載置面2aに形成することにより、スライド板4の歪みに種子載置面2aの形状を合わせることで、上記上板2とスライド板4とを密着させることができる。上記のような方法により、種子載置面2aとスライド板4とを密着し、間隙をなくすことができる。
【0066】また、これらの反りは、たとえば、実施の形態1で述べた大きさを有する播種器を用いた場合、種子載置面2aの端部と中央部分とのひずみ(反りによる高低差)、および/または、スライド板4の端部と中央部分とのひずみ(反りによる高低差)がそれぞれ2mm程度となるように形成することが好ましい。
【0067】また、上記反りは、上記スライド板4の係止により生じる歪みが解消されるように形成されていることが好ましい。すなわち、スライド板4の係止により生じる種子載置面2aの歪みを解消し、より正確な播種を行うと共に、取り扱い性、作業性に優れた播種器を形成するために、上記反りは、種子載置面2a側に設けられていることがより好ましい。
【0068】なお、上述した歪みは、夏場やハウス内等において、播種器が高温下に放置された場合、熱膨張により大きくなることがある。しかしながら、上述したように、上板2および/またはスライド板4に、反り、特に、歪みを解消する方向に反りを設けることで、反りを形成しない場合と比較して、大幅に歪みを緩和することができ、歪みによる不都合を緩和することができる。また、夏場やハウス内等において、播種器が高温下に放置された場合に、熱膨張による歪みを防止するために、このような条件下においてのみ使用される播種器においては、予め、熱膨張による歪みを解消することができるように上記上板2および/またはスライド板4に反りを形成してもよい。
【0069】上記反りの形成方法は、特に限定されず、従来公知の一般的な方法で形成することができる。すなわち、上板2を一体成形する際に、種子載置面2aに上記のような凹状の弧を描くような形状を有するよう成形すればよい。
【0070】
【発明の効果】請求項1の播種器は、以上のように種子が通過する分配孔が貫設された種子載置面と前記種子載置面の外周部にあって該種子の飛散を防止するための側壁部とを有する上板と、前記分配孔に対応した播種孔が貫設されたスライド板とを備え、該スライド板は、摺動により前記分配孔とこれに対応する播種孔とが種子落下方向において互いに重なり合う位置へ移動するように構成されている播種器において、前記スライド板は、前記種子載置面の裏側において摺動可能に設けられ、かつ、前記上板は、前記側壁部と前記種子載置面とが一体成形されている構成である。
【0071】それゆえ、摺動するスライド板が、上板における種子載置面の裏面側に設けられていることで、上板の側壁部にスリット部分を設けてスライド板を嵌入する等の構成をとることがないので、前記側壁部および前記種子載置面がスライド板の摺動に伴う摩擦や衝撃を直接受けることが少ない。このため、上板にスリット部分を設けてスライド板を嵌入する等の構成をとる播種器と比較して、上板に要求される強度が少なくて済むため、側壁部と種子載置面の外周とを厚板で構成したり、種子載置面を裏面側から補強するためのリブ構造等を別に設けたりする必要がない。また、種子載置面の裏面とスライド板とを密着させることができるので、種子が前記裏面とスライド板との間隙に挟まることがなく、崩壊した種子により摩擦が生じて作業性が劣化することを防止できるという効果を奏する。
【0072】また、上板は、前記側壁部および前記種子載置面が一体成形されてなっているので、スライド板が種子載置面の裏面側で摺動した際に上板が受ける摩擦や衝撃に対して充分な強度を備えることができ、しかも、軽量で、播種作業時の作業性に優れた播種器を提供できるという効果を奏する。
【0073】請求項2の播種器は、以上のように請求項1に記載の構成に加えて、上記スライド板を上記種子載置面の裏側に係止する係止部材を備え、該係止部材へのスライド板の係止により上記上板および/またはスライド板に与えられる応力による歪みを解消する方向に、上記上板および/またはスライド板に反りが形成されている構成である。
【0074】それゆえ、上記係止により上記上板および/またはスライド板に与えられる応力による歪みを解消する方向に上記反りが形成されていることで、該応力による上板および/またはスライド板の歪みを解消することができる。従って、たとえば、上記種子載置面が略長方形状を有している場合に、その短手方向両側壁部付近に、上記種子載置面の長手方向(長辺)に沿って2つの係止部材が設けられている場合、該係止部材の取り付け位置において上記種子載置面が種子落下方向に受ける応力により種子載置面に生じるたわみを、種子載置面に、上記たわみと逆向きの反りを形成することで解消することができる。また、これにより、前記種子載置面の裏面とスライド板とがより確実に密着し、前記種子載置面の裏面とスライド板との間に不要な間隙が発生することをさらに確実に防止できる。よって、該間隙に種子等が挟まって摩擦を生じ作業性が劣化したり、種子が浪費されることを防止できるという効果を奏する。
【0075】請求項3の播種器の製造方法は、以上のように請求項1に記載の構成に加えて、上記スライド板を上記種子載置面の裏側に係止する係止部材を備え、該係止部材へのスライド板の係止により上記上板および/またはスライド板に与えられる応力による歪みに応じて、上記上板および/またはスライド板に反りが形成されている構成である。
【0076】それゆえ、上記係止により上記種子載置面に与えられる応力による歪みに応じて上記反りが形成されていることで、前記種子載置面の裏面とスライド板とがより確実に密着し、前記種子載置面の裏面とスライド板との間に不要な間隙が発生することをさらに確実に防止できる。よって、該間隙に種子等が挟まって摩擦を生じ作業性が劣化したり、種子が浪費されることを防止できるという効果を奏する。
【0077】請求項4の播種器の製造方法は、以上のように、少なくとも、種子が通過する分配孔が貫設された種子載置面と前記種子載置面の外周部にあって該種子の飛散を防止するための側壁部とを一体成形することにより前記側壁部と種子載置面とを備えた上板を形成する第1工程と、前記各分配孔に対応した播種孔を有するスライド板を形成し、該スライド板を前記分配孔と播種孔とが種子落下方向にて重なり合う位置へ移動できるように前記スライド板を前記種子載置面の裏側に摺動可能に係止する第2工程とを含む構成である。
【0078】それゆえ、摺動するスライド板を、上板における種子載置面の裏面側に設けることで、上板の側壁部にスリット部分を設けてスライド板を嵌入する等の構成をとる必要がないので、上板がスライド板の摺動に伴う摩擦や衝撃を直接受け難い。このため、上板にスリット部分を設けてスライド板を嵌入する等の構成をとる播種器と比較して、上板に要求される強度が少なくて済むため、たとえば、上板の側壁部を厚板で構成したり、上板の種子載置面を補強するためのリブ構造等を別に設ける必要がない。
【0079】また、上板は、前記側壁部および前記板面を一体成形することにより形成されるので、スライド板が種子載置面の裏面側で摺動した際に上板が受ける摩擦や衝撃に対して充分な強度を付与することができ、しかも、軽量で、播種作業時の作業性に優れた播種器を得られるという効果を奏する。
【0080】請求項5の播種器の製造方法は、以上のように請求項4の構成に加えて、上記第1工程において、上記上板に係止されるスライド板により上記上板および/またはスライド板に与えられる応力による歪みを解消する方向に、上記上板に反りを形成する構成である。
【0081】それゆえ、上記係止により上記上板および/またはスライド板に与えられる応力による歪みを解消する方向に上記反りを形成することで、該応力による上板および/またはスライド板の歪みを解消することができる。具体的には、たとえば、上記種子載置面を略長方形状としたときに、その短手方向両側壁部付近に、上記種子載置面の長手方向(長辺)に沿って2つの係止部材を設けた場合、該係止部材の取り付け位置において上記種子載置面が種子落下方向に受ける応力により種子載置面に生じるたわみを、種子載置面に、上記たわみと逆向きの反りを形成することで解消することができる。また、これにより、前記種子載置面の裏面とスライド板とがより確実に密着し、前記種子載置面の裏面とスライド板との間に不要な間隙が発生することをさらに確実に防止できる。よって、該間隙に種子等が挟まって摩擦を生じ作業性が劣化したり、種子が浪費されることを防止できる播種器を得ることができるという効果を奏する。
【0082】請求項6の播種器の製造方法は、以上のように請求項4の構成に加えて、上記第2工程が、上記上板へのスライド板の係止により上記上板および/またはスライド板に与えられる応力による歪みに応じて、上記スライド板に反りを形成する工程を含み、上記上板へのスライド板の係止が上記上板に与えられる応力による歪みの方向に応じて行われる構成である。
【0083】それゆえ、上記係止により上記種子載置面に与えられる応力による歪みに応じて上記反りを形成することで、前記種子載置面の裏面とスライド板とがより確実に密着し、前記裏面とスライド板との間に不要な間隙が発生することをさらに確実に防止できる。よって、該間隙に種子等が挟まって摩擦を生じ作業性が劣化したり、種子が浪費されることを防止できる播種器を得ることができるという効果を奏する。
【出願人】 【識別番号】596005964
【氏名又は名称】住化農業資材株式会社
【出願日】 平成11年11月30日(1999.11.30)
【代理人】 【識別番号】100080034
【弁理士】
【氏名又は名称】原 謙三
【公開番号】 特開2001−157502(P2001−157502A)
【公開日】 平成13年6月12日(2001.6.12)
【出願番号】 特願平11−341446