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【発明の名称】 苗移植機
【発明者】 【氏名】真田 敏彰

【要約】 【課題】植溝と同じ方向に形成されている残耕部に沿った走行安定性が得られる構成を備えた苗移植機を提供する。

【解決手段】移植対象となる植溝(M)およびこれに隣接する植溝(M’)にそれぞれ走行体を位置させた走行機体(11)と、該走行機体(11)に搭載されている苗(N)を移植する移植部(11A)とを備えた苗移植機において、上記植溝(M)に存在する残耕部(M1)を跨いだ状態で転動可能な方向制御輪(21)を設け、上記方向制御輪(21)は、上記残耕部(M1)両側に位置するフランジ部(21A)と、該両フランジ部(21A)間に連続するとともに上記残耕部(M1)の上方に位置するドラム部(21B)とを備えていることを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 移植対象となる植溝(M)およびこれに隣接する植溝(M’)にそれぞれ走行体を位置させた走行機体(11)と、該走行機体(11)に搭載されている苗(N)を移植する移植部(11A)とを備えた苗移植機において、上記植溝(M)に存在する残耕部(M1)を跨いだ状態で転動可能な方向制御輪(21)を設け、上記方向制御輪(21)は、上記残耕部(M1)両側に位置するフランジ部(21A)と、該両フランジ部(21A)間に連続するとともに上記残耕部(M1)の上方に位置するドラム部(21B)とを備えていることを特徴とする苗移植機。
【請求項2】 上記両フランジ部(21A)の外周面は、先鋭化された形状とされていることを特徴とする請求項1記載の苗移植機。
【請求項3】 上記両フランジ部(21A)同士の間隔が変更可能であることを特徴とする請求項1または2記載の苗移植機。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、苗移植機に関し、さらに詳しくは、自走式の苗移植機における方向制御輪の構造に関する。
【0002】
【従来の技術】苗移植機の一つに、図5に示すように、長ネギの苗Nを対象としたものがある。ネギ苗移植機10は、走行機体11に搭載されているエンジン12からの駆動力によって走行体であるクローラ(図示されず)を作動させて自走することができるものであり、走行機体11に装備されているプラットホーム構造のネギ苗搭載部13からコンベヤ14を介して地上に搬送される長ネギの苗Nを一対の傾斜円盤(図示されず)を備えた移植部11Aによって地上に掘削されている植溝Mの内面に植え込むことができるようになっている。ところで、走行機体11には、一側方に向けて延長されたアーム部15に従動輪16が備えられており、この従動輪16を移植対象の植溝Mと隣り合う植溝M’内に接地させて転動させることにより走行機体を支持しながら移動できるようになっている。
【0003】一方、この種、ネギ苗移植機10が用いられる箇所では、長ネギ苗を移植するための植溝Mが形成され、その植溝Mに沿って走行機体が直進することが前提であるが、実際には、植溝Mが形成されている圃場の状態によって走行機体11側の移植部11A等に作用する植溝Mからの反力を受けると直進性能が悪化する場合がある。このため、従来では、走行機体側の移植部11A近傍に移植部11Aが対面する植溝Mの内面と反対側の内面に当接する走行安定板を設けたり、上記反力によるモーメントによって走行機体が走行方向に対して傾くのを防止できる位置に植溝底部に突き刺さることが可能な車輪部(便宜上、図5において符号17Aで示す)とこの車輪部17Aと一体化されて輪幅が広くされているボス部(同図中、符号17B)とを備えた一輪状のフランジ車輪(同図中、符号17)を設ける構成が提案されている(例えば、実公平8−1608号公報)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記公報記載の構成では、長ネギの苗の移植時、フランジ車輪17を植溝M底部に向けて降ろし、車輪部17Aを底面に突き刺して走行機体にモーメントが発生した場合の走行機体の走行姿勢の変化を阻止するとともに、車輪部17Aの沈み込みをボス部17Bで防止できる方向制御輪として機能させることができる。しかし、植溝の形態には、上述したフランジ車輪17が直接植溝Mの底部に乗るのでなく、図5において符号M1で示すように、植溝Mの中央部に残耕部が形成されている。すなわち、植溝Mを予め形成するには、通常、センタードライブ式のネギ土上げ機を利用するため、植溝Mの中央部分に残耕部M1が形成されてしまう。このため、植溝Mの幅に比べて狭い幅の残耕部M1に乗り上げた状態でフランジ車輪17を転動させる際には、残耕部M1の堅さやフランジ車輪17が乗り上げる位置にもよるが残耕部M1が崩れてしまいやすく、これによって、残耕部M1の左右いずれかにフランジ車輪17が落ち込みやすくなる。このため、植溝Mを対象としてネギ苗移植機を走行させる際には、フランジ車輪本来の機能が得にくくなり、直進性能が良好に得られないという問題があった。
【0005】本発明の目的は、上記従来の苗移植機における問題、特に、植溝内を転動する方向制御輪における問題に鑑み、植溝と同じ方向に形成されている残耕部に沿った走行安定性が得られる構成を備えた苗移植機を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するため、請求項1記載の発明は、移植対象となる植溝(M)およびこれに隣接する植溝(M’)にそれぞれ走行体を位置させた走行機体(11)と、該走行機体(11)に搭載されている苗(N)を移植する移植部(11A)とを備えた苗移植機において、上記植溝(M)に存在する残耕部(M1)を跨いだ状態で転動可能な方向制御輪(21)を設け、上記方向制御輪(21)は、上記残耕部(M1)両側に位置するフランジ部(21A)と、該両フランジ部(21A)間に連続するとともに上記残耕部(M1)の上方に位置するドラム部(21B)とを備えていることを特徴としている。
【0007】請求項2記載の発明は、上記両フランジ部(21A)の外周面は、先鋭化された形状とされていることを特徴としている。
【0008】請求項3記載の発明は、上記両フランジ部(21A)同士の間隔が変更可能であることを特徴としている。
【0009】
【作用】請求項1および2記載の発明では、残耕部に沿って方向制御輪を転動させることができるので、走行機体に対して走行方向を変化させるようなモーメントが作用した場合でも直進性能を悪化させないようにすることができる。しかも、フランジ部の外周面が先鋭化されているので、植溝底面に突き刺さることで走行機体の走行姿勢を変化させないようにすることができる。
【0010】請求項3記載の発明では、方向制御輪のフランジ部間の間隔が変更できるので、植溝の残耕部の幅に関係なく、走行機体の走行姿勢を安定化させることができる。
【0011】
【実施例】以下、図示実施例により本発明の詳細を説明する。図1は、図5に示した場合と同様に、長ネギの苗を対象とした苗移植機20の外観図であり、図5に示したものと同じ構造部品に関しては同符号により示してある。尚、本実施例に挙げる苗移植機は長ネギの苗を対象としているが、本発明では、このような長ネギの外に、大豆、ブロッコリ、キャベツなどの苗を移植対象とすることも可能である。図1において、図5に示したフランジ車輪が設けられている箇所には、図5に示した場合と同様に、走行機体11の直進安定性を確保するための方向制御輪21が設けられている。本実施例での方向制御輪21は、図5に示した構成と違って、図2に示すように、植溝Mに存在する残耕部M1の両側に位置することが可能な一対のフランジ部21Aと、これら両フランジ部21A間に連続して残耕部M1の上方に位置するドラム部21Bとを備えている。フランジ部21Aは、図2に示すように、外周面が先鋭化された形状をなし、植溝Mの底部において転動する際には、その外周面を植溝底部に突き刺すことができるようになっている。ボス部21Bは、軸方向一端がフランジ部21Aに一体化され、内部中心に回転軸(図示されず)を挿通するための支持孔21Cが形成されている。
【0012】本実施例は以上のような構成であるから、方向制御輪21のボス部21Bが残耕部M1の上方に位置するか、または残耕部M1に接地して転動することができる。ボス部21Bが残耕部M1の上方に位置すると、その両側に位置するフランジ部21Aが残耕部M1の両側に被さるような状態で配置されるので、残耕部M1に乗り上げることがなく、残耕部M1により方向制御輪21がガイドされるということも期待できる。これにより、走行機体11の直進性が不安定となるのを防止することができる。また、方向制御輪21のフランジ部21Aが植溝Mの底面に突き刺さるので、走行機体11に作用するモーメントによって走行機体の直進性が変化するのを防止することができる。
【0013】上記実施例においては、フランジ部21Aの間隔が一定している場合を説明したが、このフランジ部21Aは、間隔を変更する構成とすることも可能である。すなわち、図3は、この場合を示す図であり、同図において、各フランジ部21Aには、対向する面に二重軸からなるボス部材21B1、21B2の各端部がそれぞれ一体化されている。ボス部21B1,21B2は互いに軸方向に沿って摺動することができ、フランジ部21Aが互いに離間したり接近したりした場合の位置決めを行うためのネジ穴が内側に位置するボス部材21B2に形成され、このネジ穴に対応する外側のボス部剤21B1の外周面には、ネジを挿通するための挿通孔22が形成されている。挿通孔22は、ボス部材21B1,21B2の軸方向での伸縮量に軸方向への移動を阻止できる凹状段部が軸方向に沿って複数形成された長孔で構成されている。
【0014】このような構成によれば、残耕部M1の幅に応じてフランジ部21Aの間隔を調整するだけで植溝内を転動させることができるので、残耕部M1の幅に関係なく単一の方向制御輪21を用いることが可能となる。
【0015】上述した方向制御輪21は、走行機体11に対して図4に示す構成により設置されている。図4において、走行機体11に設けられている制御輪用支持ブラケット11Aには、鈎部を有する掛け止めフック部材23が図示しないバネなどの付勢部材によって図4中、時計方向への回転習性が与えられて設けられており、この掛け止めフック部材23に対しては、方向制御輪21が地面から離れた位置に上昇した状態に掛け止め保持されるようになっている。すなわち、方向制御輪21は回転軸を有する軸支ブラケット24を介して転動可能に支持されており、この軸支ブラケット24の上端は、支持アーム25を介して走行機体11に対して揺動可能に支持されている。これにより、方向制御輪21は、地面から離れる状態(図4中、二点鎖線で示す状態)と接地した状態(図4中、実線で示す状態)とが選択されるようになっている。支持アーム25は、延長方向一端に軸支アーム24が一体化され、走行機体11側の支持部材26に設けられている支点軸27に対して延長方向他端が枢支されていることで走行機体11側に支持され、その延長方向両端間には、掛け止めフック部材23に係脱可能な係合部材28が取り付けられている。
【0016】このような構成においては、地面から方向制御輪21を離す方向に支持アーム25を揺動させると、係合部材28を掛け止めフック部材23に係合させることで方向制御輪21が地面から離れた状態を維持される。方向制御輪21は、走行時での振動により揺動しようとするが、係合部材28を掛け止めフック部材23に掛け止められているので、例えばチェーンなどの連結部材を用いた場合と違って、緩みなどが生じないことでがたつきなどがなく、これによる騒音の発生を防止できる。方向制御輪21を接地する場合には、掛け止めフック部材23を自らの習性に抗して反時計方向に回転させるだけで係合部材28との間での係合状態が解除されるので、簡単に接地させることができる。
【0017】
【発明の効果】請求項1および2記載の発明によれば、残耕部に沿って方向制御輪を転動させることができるので、走行機体に対して走行方向を変化させるようなモーメントが作用した場合でも直進性能を悪化させないようにすることができる。しかも、両フランジ部の外周面が先鋭化されているので、植溝底面に突き刺さることで上述した場合と同様に走行機体の直進性能を変化させないようにすることができる。
【0018】請求項3記載の発明によれば、方向制御輪の両フランジ部間の間隔が変更できるので、植溝の残耕部の幅に関係なく、走行機体の走行姿勢を安定化させることができる。
【出願人】 【識別番号】000237215
【氏名又は名称】富士ロビン株式会社
【出願日】 平成11年11月16日(1999.11.16)
【代理人】 【識別番号】100063565
【弁理士】
【氏名又は名称】小橋 信淳
【公開番号】 特開2001−136814(P2001−136814A)
【公開日】 平成13年5月22日(2001.5.22)
【出願番号】 特願平11−325334