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【発明の名称】 田植機の植付操作部
【発明者】 【氏名】岡田 悟

【氏名】小山 実

【氏名】笠原 敏章

【要約】 【課題】従来の田植機において、植付作業に必要な操作は、運転席前下方等のパネル上に配設した植付操作部の植付操作レバーを、所定の操作モード位置に移動等させることで行っていたが、操作モード変更後は直ちに初期位置に復帰する構造のため、植付操作レバーの位置を見ただけでは現在の操作モードを確認できず、また、植付操作レバー自体の操作もやりにくい等の問題があった。

【解決手段】植付部15の昇降、植付作業のON・OFF、及び線引きマーカの解除の各操作を可能とする操作部51を操向ハンドル14近傍に配置すると共に、前記操作部51に操作位置の検出手段62と操作レバー52を設け、該操作レバー52を、操向ハンドル14より下方で、該操向ハンドル14とアクセルレバー31との間に配設した。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 植付部の昇降、植付作業のON・OFF、及び線引きマーカの解除の各操作を可能とする操作部を操向ハンドル近傍に配置すると共に、前記操作部に操作位置の検出手段と操作レバーを設け、該操作レバーを、操向ハンドルより下方で、該操向ハンドルとアクセルレバーとの間に配設したことを特徴とする田植機の植付操作部。
【請求項2】 前記操作部に操作レバーのガイド溝を設け、該ガイド溝に、「上位置・下位置」「中立位置」「植付位置」「マーカ解除位置」を配置し、前記「中立位置」にはガイド溝より切欠き状の副溝を設けたことを特徴とする請求項1記載の田植機の植付操作部。
【請求項3】 前記ガイド溝を開口したガイド板は、作業者側が低くなるように傾斜状に配設したことを特徴とする請求項2記載の田植機の植付操作部。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、田植機の植付操作を行うための植付操作部の構成に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、植付部の昇降や植付作業のON・OFF等のように植付作業に必要な操作は、運転席の前方下方または横下方のパネル上に配設した植付操作部において行っており、実作業においては、該植付操作部に設けた植付操作レバー等を、所定の操作モードに対応する位置(以下「操作位置」という)まで移動又は回動させることにより、各操作に移行するようにしていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の植付操作レバーでは、所定の操作位置まで移動又は回動させて手を放すと元の位置に戻る方式があり、この場合、植付操作レバーの位置を視認しただけでは現在の操作モードが不明であり、迅速かつ確実な作業への移行が難しい、という問題があった。また、植付操作部を運転席前方下方または横下方のパネル上に配置した場合には、操向ハンドルから片手を大きく外してから前記植付操作レバーを操作しなければならず、しかも、運転のために前方に向けていた視線も一度外して植付操作部を視認する必要があるため、植付条が曲がったりして、見た目が悪く、収穫作業の悪化を招く恐れがある、という問題があった。さらに、植付操作レバーのガイド溝は直線方向に配置されていたので、誤って触れると他の操作位置に回動するという問題もあった。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。すなわち、請求項1においては、植付部の昇降、植付作業のON・OFF、及び線引きマーカの解除の各操作を可能とする操作部を操向ハンドル近傍に配置すると共に、前記操作部に操作位置の検出手段と操作レバーを設け、該操作レバーを、操向ハンドルより下方で、該操向ハンドルとアクセルレバーとの間に配設したものである。
【0005】請求項2においては、前記操作部に操作レバーのガイド溝を設け、該ガイド溝に、「上位置・下位置」「中立位置」「植付位置」「マーカ解除位置」を配置し、前記「中立位置」にはガイド溝より切欠き状の副溝を設けたものである。
【0006】請求項3においては、請求項2記載のガイド溝を開口したガイド板は、作業者側が低くなるように傾斜状に配設したものである。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。図1は乗用田植機の全体側面図、図2は本発明に係わる植付操作部を有する機体前部の斜視図、図3は植付操作部の取付け構成を示す機体前部の側面一部断面図、図4は植付操作部の正面図、図5は同じく平面図、図6は同じくガイド溝の形状を示す平面図、図7は同じく植付操作レバーの位置と操作モードとの対応を示す平面図、図8はデテント機構を示す側面一部断面図、図9は同じく正面一部断面図である。
【0008】まず、本発明に係わる乗用田植機の全体構成について、図1により説明する。1は作業者が搭乗する走行車であり、エンジン2を車体フレーム3前部上方に搭載させ、ミッションケース4前方にフロントアクスルケースを介して走行用前輪6を支持させると共に、前記ミッションケース4の後部にリヤアクスルケースを連接し、該リヤアクスルケースに走行用後輪8を支持させる。
【0009】そして、前記エンジン2等をボンネット9で覆うと共に、ステップ11を介して作業者が搭乗する車体カバー12上部に運転席13を取付け、該運転席13の左方には主変速レバー5を配設し、運転席13前方で前記ボンネット9後部には操向ハンドル14を立設している。更に、該操向ハンドル14の右方には、本発明に係わる植付操作部51を配設している。
【0010】また、15は、苗載台16並びに複数の植付爪17などを具備する植付部であり、前高後低の合成樹脂製の前傾式苗載台16を下部レール18及びガイドレール19を介して植付ケース20に左右往復摺動自在に支持させると共に、一方向に等速回転するロータリケース21を前記植付ケース20に支持させ、該ロータリケース21の回転軸芯を中心に対称位置に一対の爪ケース22・22を配設し、該爪ケース22・22先端に前記植付爪17・17を取り付ける。
【0011】そして、前記植付ケース20の前側には図示せぬローリング支点軸を介して支持フレーム24を設け、該支持フレーム24は、トップリンク25及びロワーリンク26を含むリンク機構27を介して走行車1後側に連結させており、該リンク機構27においては、植付部15を昇降させる昇降シリンダ28がロワーリンク26に連結され、さらに植付部15への動力はPTO伝動軸40を介して入力されるようにしている。
【0012】このような構成により、前記前後輪6・8を操向駆動して走行移動すると同時に、左右に往復摺動させる苗載台16から一株分の苗を植付爪17によって取出し、連続的に苗継ぎ作業を行うようにしている。
【0013】次に、本発明に係わる前記植付操作部51について、図2乃至図9により詳述する。まず、植付操作部51の配置と取付けの構成について説明する。図2、図3に示すように、前記ボンネット9の後部に固設されたステアリングコラム34にはステアリングシャフト35が軸支され、該ステアリングシャフト35上端部に操向ハンドル14が連結固定される一方、ボンネット9の右側部からは、前記エンジン2の回転数を調節するための側面視「く」字状のアクセルレバー31が突設されている。
【0014】さらに、ボンネット9の後上部には、モニタースイッチやライトスイッチ等を設けた操作パネル部32が配設され、該操作パネル部32の側方で、前記アクセルレバー31よりも内方に、本発明に係わる植付操作部51が配設され、該植付操作部51から上方に突設された植付操作レバー52は、前記操向ハンドル14よりも下方に近接して設けられている。
【0015】このように、植付操作レバー52を、操向ハンドル14よりも下方で、該操向ハンドル14とアクセルレバー31との間に設けた配置構成とすることにより、たとえ走行と植付の操作を同時に行う必要のある植付作業においても、視線を前方に向けて操向ハンドル14を一方の手で把持したままで、他方の手により植付操作レバー52を簡単に操作できるため、植付操作性が著しく改善され、その結果、植付位置精度や作業効率の大幅な向上を図ることができるのである。
【0016】また、図3乃至図5に示すように、前記植付操作部51の周囲はケース53で覆われ、該ケース53の前面は、固定板54aを介して支持ステー54の上端に固定され、該支持ステー54の下端は、チルトハンドル操作レバー33等を連結したフロントフレーム38の下辺に、締結固定されている。そして、該フロントフレーム38の後部は、前記ステアリングコラム34から側方に延設された右側板34aの前部に固定されると共に、フロントフレーム38の下辺と前端は、側面視Y字状の補強部材36を形成する二本の上パイプ36a・36bの上端に連結され、該補強部材36の下パイプ36cの下端は、車体フレーム3に突設された支持部材3aに固定されている。
【0017】この際、前記ケース53の左側面にも、固定板55aを介して支持ステー55の上端が固定されており、該支持ステー55の下端も、前記下パイプ36c下端とともに、支持部材3a側面にボルト39によって共締め固定される構成となっている。
【0018】このように、植付操作部52の側方は車体フレーム3により、前方は車体フレーム3とステアリングコラム34の両構成部材により、横と前の二方向から支持される構造であるため、植付操作部52を適正位置に確実に取り付けることができ、しかも、必要に応じて前記ボルト39等の締結具を緩めたり締め付けたりすることにより、前記植付操作レバー52の配置構成を微調整できるため、作業者の体格や癖などを考慮した配置構成に設定することができるのである。
【0019】次に、前記植付操作レバー52とその操作構成、及び内部構成について説明する。図3、図6に示すように、植付操作部51の上面には植付操作レバー52を案内するガイド板56が作業者側に低く傾斜状に設けられ、該ガイド板56には、植付操作レバー52を内挿して所定の操作位置まで案内するガイド溝57を開口し、該ガイド溝57は、前後に直線状に開口した主溝57aと、該主溝57aの前後途中部から右方に延出した切欠き状の副溝57bと、主溝57a前部から左右に延出した副溝57cとから構成されている。
【0020】そして、図7に示すように、前記ガイド溝57には、植付部15を上昇させる上位置52a、植付部15を下降させる下位置52b、植付部15を昇降中に任意高さに保持する中立位置52d、植付部15を下降させた後に植付動作をON・OFFする植付位置52c、及び収納されている左右の線引きマーカを解除して圃場上にセットするマーカ解除位置52e・52fとを設け、各操作位置まで前記植付操作レバー52を回動できるようにしている。
【0021】このように、ガイド板56を作業者側が低くなるように傾斜状に配設したため、植付操作レバー52の位置が見やすくなり、植付操作を迅速かつ確実に行うことができ、また、植付部15を任意高さに固定するための中立位置52dを切欠き状の副溝57b内に配置するようにしたため、植付部15を所定高さに確実に保持することができ、路上走行や苗継ぎ作業の際のように植付部15を高い位置に保持する必要のある場合に、たとえ誤って作業者が植付操作レバー52に触れても、誤操作しないようにすることができるのである。
【0022】さらに、図8、図9に示すように、植付操作部51の内部には、各操作位置まで回動した植付操作レバー52の位置を検出するための操作位置検出センサ62、各操作位置に植付操作レバー52を弾性的に保持するためのデテント機構61、及びこの保持を解除するためのデテント解除用アクチュエータ63等が配設されている。
【0023】これらのうち、まずデテント機構61について説明する。植付操作レバー52の下端部は、前記ケース53に枢支された操作レバー軸74に固定ピン77で固定され、該操作レバー軸74には、後辺に多数の凹部65aを設けたデテントカム65の前部が外嵌固定されており、該デテントカム65が植付操作レバー52の回動とともに回動できるようにしている。一方、ケース53には、レバー軸73を介してデテントレバー66の下端が枢支され、該デテントレバー66の上端はデテントばね70によりケース53に弾装されており、デテントレバー66途中部に設けた側面視波状のデテント板72を前記デテントカム65の方向に付勢して、デテントカム65の凹部65aにデテント板72の凸部を係合させ、植付操作レバー52を各操作位置に保持できるようにしている。
【0024】このようにして、植付操作レバー52を各操作位置に保持できるようにしたため、植付操作レバー52の位置を視認しただけで簡単に現在の操作モードを確認することができ、各操作モード間を迅速かつ確実に移行することができるのである。
【0025】そして、前記デテントレバー66はレバー軸73を介して解除アーム71の後端に連結され、該解除アーム71の前端は係止部材68下部に開口された長孔68aに係合されており、該係止部材68上端は、デテント解除用アクチュエータ63を構成するモータ軸63aに固設された回動アーム67に上下動可能に連結されている。一方、植付操作レバー52は、その上下途中部に一端を連結した操作レバー戻しバネ69を介して、前記ケース53内壁に弾装されている。
【0026】このような構成において、前記主変速レバー5を「後進位置」にセットする等のデテント解除操作を行うと、デテント解除用アクチュエータ63が作動して係止部材68が引き上げられ、レバー軸73を中心にしてデテントレバー66が反時計方向に回動され、その結果、前記凹部65aとデテント板72の凸部との係合が外れてデテント機構61が解除されるようにしている。
【0027】また、前記操作レバー軸74からは位置指示アーム75が垂設される一方、ケース53下部に配設したポテンショメータ式の操作位置検出センサ62からは、側面視二股状のセンシングアーム62aが延出され、該センシングアーム62aは、前記位置指示アーム75の下端から突設させた係止ピン76と係合されており、前記植付操作レバー52を回動するとセンシングアーム62aも回動して、操作位置検出センサ62が現在の操作位置を検出できるようにしている。
【0028】さらに、ガイド板56の下方には左右マーカ解除用スイッチ43・44が配設されており、前記植付位置52cにおいて、植付操作レバー52を左右どちらかに傾動させることにより、左右いずれかのスイッチアーム43a・44aが押され、マーカ解除用スイッチ43・44が入り、植付操作レバー52が、植付位置52cにおいて左右どちらに傾動されたかを検出できるようにしている。
【0029】そして、これら植付操作部51における前記各種スイッチやセンサ類は、いずれも電子式であり本体との機械的な接続を考慮する必要がないため、植付操作部51は比較的自由な位置に配設することができ、さらに、植付操作部51の構造自体も単純なため、小型化して操作力を小さくし、植付操作性を大きく向上させることができるのである。
【0030】
【発明の効果】本発明は、以上のように構成したので、次に示すような効果を奏する。すなわち、請求項1のように、植付部の昇降、植付作業のON・OFF、及び線引きマーカの解除の各操作を可能とする操作部を操向ハンドル近傍に配置すると共に、前記操作部に操作位置の検出手段と操作レバーを設け、該操作レバーを、操向ハンドルより下方で、該操向ハンドルとアクセルレバーとの間に配設したので、植付操作レバーの位置を視認しただけで現在の操作モードを把握できるため、各操作モード間を迅速かつ確実に移行することができ、また、視線を前方に向けて、操向ハンドルを一方の手で把持したままで、これまでアクセルレバー操作を行っていた他方の手でそのまま植付操作レバーの操作を行うことができ、植付操作性が著しく改善され、その結果、植付位置精度や作業効率を大きく改善することができる。
【0031】請求項2のように、前記操作部に操作レバーのガイド溝を設け、該ガイド溝に、「上位置・下位置」「中立位置」「植付位置」「マーカ解除位置」を配置し、前記「中立位置」にはガイド溝より切欠き状の副溝を設けたので、該「中立位置」から植付操作レバーが外れにくくすることができ、作業者が路上走行や苗継ぎ作業等の際に例え誤って該植付操作レバーに触れても誤操作しないようにすることができる。
【0032】請求項3のように、請求項2記載のガイド溝を開口したガイド板は、作業者側が低くなるように傾斜状に配設したので、作業者からの操作モードの視認性が大きく向上する。
【出願人】 【識別番号】000006851
【氏名又は名称】ヤンマー農機株式会社
【出願日】 平成11年11月16日(1999.11.16)
【代理人】 【識別番号】100080621
【弁理士】
【氏名又は名称】矢野 寿一郎
【公開番号】 特開2001−136813(P2001−136813A)
【公開日】 平成13年5月22日(2001.5.22)
【出願番号】 特願平11−325505