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【発明の名称】 田植機
【発明者】 【氏名】岡田 悟

【氏名】小山 実

【氏名】笠原 敏章

【要約】 【課題】植付部が下降で植付駆動が停止状態での圃場内移動時などの高速走行を可能とさせる。

【解決手段】アクセル操作部材(87)(94)によって変更操作されるエンジン回転数(N)に基づいて、作業速度変速用の無段変速機構(64)の速比を連動制御するようにした田植機において、植付部(15)が下降或いは植付クラッチ(72)が入の作業条件のときに、エンジン回転数(N)と無段変速機構(64)の速比との連動制御を行うように設ける。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 アクセル操作部材によって変更操作されるエンジン回転数に基づいて、作業速度変速用の無段変速機構の速比を連動制御するようにした田植機において、植付部が下降或いは植付クラッチが入の作業条件のときに、エンジン回転数と無段変速機構の速比との連動制御を行うように設けたことを特徴とする田植機。
【請求項2】 植付部が中立位置から下降位置に下降操作されるとき、無段変速機構の速比を徐々に増速させる緩増速制御を行うように設けたことを特徴とする請求項1記載の田植機。
【請求項3】 植付部が中立位置から下降位置に下降操作されるとき、一定時間の低速保持後に徐々に増速させる遅延緩増速制御を行うように設けたことを特徴とする請求項1記載の田植機。
【請求項4】 アクセル操作部材の操作或いはエンジンの一定回転数以上の変化時には、緩増速制御を解除してエンジン回転数と無段変速機構の速比との連動制御に移行させるように設けたことを特徴とする請求項2及び3記載の田植機。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は例えば苗載台及び植付爪を備えて連続的に苗植作業を行う田植機に関する。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】従来、田植機の作業速度の変更にあっては、エンジンで行うアクセル操作と、ミッションケースで行う主変速操作と、主変速の「植付」操作時に無段変速機構を作動させて行う副変速操作とがあり、植付作業中の植付作業速度の変更操作はアクセル操作と副変速操作の2系統によって通常行われているが、このような2系統による変速操作は操作が複雑で操作性が悪いという不都合がある。そこでアクセル操作と副変速操作とを1本化させて何れか一方で連動操作するようにした手段があるが、このような連動操作は通常植付部が下降状態で植付クラッチが入の植付作業中のみに行われている。このため植付部が下降状態で植付クラッチが入のときには、アクセル操作に副変速も連動して作業速度も増速するが、植付部が下降状態のみでは増速せず、植付部を下降保持させての圃場内の移動時(空走り)には低速走行となって作業能率が悪いという不都合がある。
【0003】
【課題を解決するための手段】したがって本発明は、アクセル操作部材によって変更操作されるエンジン回転数に基づいて、作業速度変速用の無段変速機構の速比を連動制御するようにした田植機において、植付部が下降或いは植付クラッチが入の作業条件のときに、エンジン回転数と無段変速機構の速比との連動制御を行って、植付部を下降状態で植付クラッチを切とさせての圃場内の移動時(空走り)に高速での走行を可能とさせて作業能率を向上させるものである。
【0004】また、植付部が中立位置から下降位置に下降操作されるとき、無段変速機構の速比を徐々に増速させる緩増速制御を行って、植付部を下降させてからの一定時間を低速域で走行させて植付前の条合せなどを容易とさせるものである。
【0005】さらに、植付部が中立位置から下降位置に下降操作されるとき、一定時間の低速保持後に徐々に増速させる遅延緩増速制御を行って、植付部を下降させてからの一定待機時間と、待機後の一定時間とを低速域で走行させて、植付前の条合せなどを正確に行うものである。
【0006】またさらに、アクセル操作部材の操作或いはエンジンの一定回転数以上の変化時には、緩増速制御を解除してエンジン回転数と無段変速機構の速比との連動制御に移行させて、植付前の緩増速制御中に条合せが完了し人為によるアクセル操作でエンジン回転数が高速側に変化するときには、速比もこれに追従させて高速側に変更させて、作業能率を向上させるものである。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施例を図面に基づいて詳述する。図1は乗用田植機の側面図、図2は同平面図を示し、図中(1)は作業者が搭乗する走行車であり、エンジン(2)を車体フレーム(3)に搭載させ、ミッションケース(4)前方にフロントアクスルケース(5)を介して水田走行用前輪(6)を支持させると共に、前記ミッションケース(4)の後部にリヤアクスルケース(7)を連設し、前記リヤアクスルケース(7)に水田走行用後輪(8)を支持させる。そして前記エンジン(2)等を覆うボンネット(9)両側に予備苗載台(10)を取付けると共に、乗降ステップ(11)を介して作業者が搭乗する車体カバー(12)によって前記ミッションケース(4)等を覆い、前記車体カバー(12)上部に運転席(13)を取付け、その運転席(13)の前方で前記ボンネット(9)後部に操向ハンドル(14)を設ける。
【0008】また、図中(15)は6条植え用の苗載台(16)並びに複数の植付爪(17)などを具備する植付部であり、前高後低の合成樹脂製の前傾式苗載台(16)を下部レール(18)及びガイドレール(19)を介して植付ケース(20)に左右往復摺動自在に支持させると共に、一方向に等速回転させるロータリケース(21)を前記植付ケース(20)に支持させ、該ケース(21)の回転軸芯を中心に対称位置に一対の爪ケース(22)(22)を配設し、その爪ケース(22)(22)先端に植付爪(17)(17)を取付ける。また前記植付ケース(20)の前側にローリング支点軸(23)を介してヒッチブラケット(24)を設け、トップリンク(25)及びロワーリンク(26)を含む昇降リンク機構(27)を介して走行車(1)後側にヒッチブラケット(24)を連結させ、前記リンク機構(27)を介して植付部(15)を昇降させる油圧昇降シリンダ(28)をロワーリンク(26)に連結させ、前記前後輪(6)(8)を走行駆動して移動すると同時に、左右に往復摺動させる苗載台(16)から一株分の苗を植付爪(17)によって取出し、連続的に苗植え作業を行うように構成する。
【0009】また、図中(29)は主変速レバー、(30)は植付レバー、(31)は感度設定器、(32)は主クラッチペダル、(33)(33)は左右ブレーキペダル、(34)は2条分均平用センタフロート、(35)は2条分均平用サイドフロート、(36)は6条用の側条施肥機である。
【0010】さらに、図3、図4に示す如く、前低後高(傾斜角約4度)に傾斜させる前記車体フレーム(3)前部上面に架台(37)…を一体固定させ、架台(37)…の上面に防振ゴム(38)…及びエンジン台(39)を介して前記エンジン(2)を上載させ、前記エンジン(2)の左側に燃料タンク(40)を、またエンジン(2)の右側にマフラー(41)を取付けると共に、車体フレーム(3)前端側略中央にバッテリ(43)を取付けている。
【0011】またさらに、前記車体フレーム(3)にケース台(44)を一体固定させ、ケース台(44)にステアリングケース(45)を取付け、ハンドル筒体(46)に内挿させる操向ハンドル(14)のステアリング軸(14a)を、左右車体フレーム(3)(3)間の略中央でステアリングケース(45)上面に立設させると共に、ステアリングケース(45)下面に出力軸(47)を突設させ、左右の前輪(6)(6)を方向転換させる操向アーム(48)を前記出力軸(47)に取付けている。
【0012】また、前記エンジン(2)下方のエンジン台(39)下側に、前後方向に略水平な円筒形の軸受体(49)を熔接固定させ、前記軸受体(49)にカウンタ軸(50)を挿通支持させ、軸受体(49)前方に突出させるカウンタ軸(50)前端にカウンタプーリ(51)を取付けると共に、左右車体フレーム(3)(3)間の略中央上方でエンジン(2)の前方にエンジン出力軸(52)を突設させ、該出力軸(52)に出力プーリ(53)を取付け、該出力プーリ(53)を前記カウンタプーリ(51)にVベルト(54)を介して連結させている。
【0013】さらに、前記車体フレーム(3)後端部にリヤアクスルケース(7)をボルト止め固定させ、前記リヤアクスルケース(7)前面にミッションケース(4)後面を連結固定させると共に、ミッションケース(4)の右側前面にクラッチケース(55)を一体形成し、クラッチケース(55)前面に無段ベルト変速ケース(56)右側後面を嵌合固定させ、また昇降シリンダ(28)を作動させる油圧ポンプ(57)をベルト変速ケース(56)の左側後面に固定させるもので、四角パイプ形の左右車体フレーム(3)(3)の間でこの上面よりも低位置に前記各ケース(4)(55)(56)及び油圧ポンプ(57)を吊下げ固定させ、ユニバーサルジョイント付き伝動軸(58)を前記カウンタ軸(50)後端とベルト変速ケース(56)間に設け、エンジン(2)出力をベルト変速ケース(56)に伝えると共に、フロントアクスルケース(5)とミッションケース(4)間に前輪伝動軸(59)を設け、ミッションケース(4)の変速出力を各アクスルケース(5)(7)を介して前後輪(6)(8)に伝えるように構成している。
【0014】図7に示す如く、電動式変速モータ(電動シリンダ)(60)の操作でもって巻付け径を変化させて変速比を無段階に変更する入出力プーリ(61)(62)及びVベルト(63)で構成する副変速部であるベルト式無段変速機構(64)をベルト変速ケース(56)に内設させ、主クラッチペダル(32)によって断続操作する多板摩擦形乾式クラッチ(65)を前記クラッチケース(55)に内設させ、ベルト変速ケース(56)の出力軸(66)をミッションケース(4)の入力軸(67)に前記クラッチ(65)を介して連結させて、前記変速モータ(60)でもって副変速である植付作業速度を変速するように構成している。
【0015】また、前記入力軸(67)に走行変速ギヤ機構(68)を介して走行出力軸(69)を連結させ、前後輪(6)(8)に前後輪伝動軸(59)(70)を介して前記走行出力軸(69)を連結させ、前後輪(6)(8)を駆動すると共に、前記入力軸(67)にPTO変速ギヤ機構(71)及び植付クラッチ(72)を介してPTO軸(73)を連結させ、PTO軸(73)を介して植付部(15)を駆動し、また変速ケース(4)近くでPTO軸(73)出力をスプロケット(74)により分岐して施肥機(36)を駆動するように構成している。なお(75)は前記昇降シリンダ(28)を作動する油圧ポンプである。また前記変速モータ(60)に換え電磁操作式油圧シリンダを用いて無段変速機構(64)の速比を変更させても良く、さらにベルト式無段変速機構(64)に換え油圧式無段変速機構(HST)を用いても良い。
【0016】図5、図6に示す如く、前記変速モータ(60)は左右車体フレーム(3)の後部内側に略平行で前低後高に一体連結させる左右サブフレーム(76)の左サブフレーム(76)に取付けるもので、左サブフレーム(76)の固定ブラケット(77)に枢支軸(78)を介し変速モータ(60)の基端を上下動自在に取付けると共に、前記無段変速機構(64)を内設する変速ケース(56)前面の変速レバー(79)に連結リンク(80)・引上げアーム(81)を介して変速モータ(60)のモータ軸(60a)を連結させ、変速モータ(60)の駆動によるモータ軸(60a)の伸縮動作でもって変速レバー(79)を操作して無段変速機構(64)を変速させ速比を変更するように構成している。
【0017】前記引上げアーム(81)は左車体フレーム(3)上に横軸(82)を介し中間部を揺動自在に枢支させ、一端側を前記モータ軸(60a)に、他端側を前記リンク(80)にそれぞれ連結させて、変速モータ(60)からの変速操作出力を変速レバー(79)に伝えると共に、左車体フレーム(3)に取付板(83)などを介し固設するポテンショメータ式速比センサ(84)のセンサアーム(85)と、前記引上げアーム(81)の検出軸(86)とを係合連結させて、前記変速モータ(60)によって引上げアーム(81)を揺動させて無段変速機構(64)を変速操作するときの速比を速比センサ(84)で検出するように構成している。
【0018】図2、図8、図9に示す如く、前記右車体フレーム(3)より右外側でブレーキペダル(33)近傍にアクセル操作部材であるアクセルペダル(87)を配設して、該ペダル(87)のペダル軸(88)に固設するペダルアーム(89)の先端に固設する検出軸(90)と右車体フレーム(3)側に固定するポテンショメータ式アクセルセンサ(91)のセンサアーム(91a)とを係合連結させて、アクセルペダル(87)の踏込み操作量(エンジン回転数の増減速)をアクセルセンサ(91)でもって検出するように構成している。
【0019】そしてアクセルセンサ(91)のセンサ値に対応した位置までエンジン(2)スロットル部(2a)のスロットル開度を制御するようにアクセルモータ(92)を駆動すると共に、エンジン出力軸(52)の回転数を検出するピックアップ型エンジン回転センサ(93)でアクセルモータ(92)によるエンジン(2)の実エンジン回転数(N)を検出するとき、実エンジン回転数(N)に基づいて設定される無段変速機構(64)の速比位置まで変速モータ(60)を連動制御して、ペダル(87)操作によってエンジン回転数(N)を変更するとき、無段変速機構(64)の速比もエンジン回転数(N)に応じ変更して、単一のペダル(87)操作でエンジン回転数(N)と速比の連動した同時の変更を行うように構成している。なおボンネット(9)の右外側に設けるアクセルレバー(94)によってもアクセルペダル(87)同様にエンジン回転数(N)と速比の連動した変更を行うものである。
【0020】また、図11,図16に示す如く、エンジン回転数(N)に対する無段変速機構(64)の速比を高速及び中速及び低速モードの変速モードに切換えるモード切換スイッチ(95)の操作レバー(96)を操向ハンドル(14)の近傍位置に設けるもので、操向ハンドル(14)のホイル部(14b)と操作コラム(97)の上部パネル面(97a)と間のステアリング軸(14a)外筒(98)にボルト(99)を介し取外し自在にレバー台(100)を固定させ、該レバー台(100)にレバー軸(101)を介し操作レバー(96)を回動自在に取付けて、操作レバー(96)の先端操作部(96a)をハンドル(14)の左外側でボンネット(9)の左外面より外側に突出させない範囲に配置させて、操作レバー(96)をレバー軸(101)を中心として略水平での前後方向に回動させ運転席(13)に近い後方向とするとき低速モードに、また略横方向とするとき中速モードに、さらに前方向とするとき高速モードに切換えるように構成している。
【0021】また図10に示す如く、アクセルペダル(87)は運転席(13)の作業者の足の向きに回転方向を一致させるように設けるもので、前後垂直ラインより一定角度(θ)だけペダル(87)の向きを左方向に傾けて、足の向きとペダル(87)の向きとを一致させることにより、ペダル(87)の操作性を向上させると共に、ブレーキペダル(33)とアクセルペダル(87)との間の距離をとってこれらペダル(33)(87)の踏み間違いを防止するように構成している。
【0022】そして図13に示す如く、前記植付レバー(30)の近傍位置に設置して該レバー(30)による植付部(15)の下降操作を検出する植付下降スイッチ(102)と、前記植付レバー(30)による前記植付クラッチ(72)の入切を検出する植付スイッチ(103)と、主クラッチペダル(32)の入切を検出する主クラッチスイッチ(104)と、モード切換スイッチ(95)と、前記アクセルモータ(92)の駆動によってスロットルアーム(105)を介し制御されるスロットル部(2a)のスロットル開度を検出するスロットルセンサ(106)と、前記アクセルセンサ(91)と、速比センサ(84)と、エンジン回転センサ(94)と、前記走行出力軸(69)の回転より車速を検出する車速センサ(107)とをコントローラ(108)に接続させると共に、前記変速モータ(60)及びアクセルモータ(92)に各リレー回路(109)(110)を介して、また前記パネル面(96a)に設ける制御表示ランプ(111)にコントローラ(107)を接続させて、単一のペダル(87)操作でエンジン回転数(N)と無段変速機構(64)の速比の連動した同時変更を行うように構成している。
【0023】また図12に示す如く、前記植付レバー(30)は植付部(15)の昇降操作と、植付クラッチ(72)の入切操作とを可能とさせるもので、植付レバー(30)の上昇位置と下降位置との間に植付部(15)を中間高さで停止させる中立位置を設け、また植付レバー(30)の下降位置では植付クラッチ(72)を切とする植付クラッチ(72)の植付切操作位置に設けると共に、植付レバー(30)の前方揺動端を植付入操作位置に設けて、植付レバー(30)を植付入操作位置とさせるとき植付部(15)を下降状態に保ったまま植付クラッチ(72)を入とするように設けている。
【0024】本実施例は上記の如く構成するものにして、図14のフローチャートに示す如く、前記エンジン(2)の駆動中植付部(15)が下降操作(下降スイッチ(102)がオン)されるとき或いは植付部(15)が下降されて植付クラッチ(72)が入(植付スイッチ(103)がオン)となるとき、計時(T)が開始されると共に、エンジン回転センサ(93)及び速比センサ(84)によってエンジン回転数(N)及び速比(V)がコントローラ(108)に入力されるもので、図16に示す如く、前記モード切換スイッチ(95)によって選択された低速或いは中速或いは高速モード(例えば通常条件では高速、走行負荷が一定以内或いは以上に大のとき中速或いは低速)より、エンジン回転数(N)に対応した最適の目標の速比(V1)が計算される。
【0025】そして、植付部(15)の下降時の計時開始より一定時間(T1)(T1≒4秒)内は図15の実線(S1)部で示す如く、速比(V)を低速より目標となる高速の速比(V1)に変速モータ(60)をパルス駆動(間欠駆動)して徐々に増速させる緩増速制御を行うもので、前記速比センサ(84)で検出される実際の速比(V2)と目標の速比(V1)との差(|V1−V2|)が不感帯(V0)以上にあるとき、この差(|V1−V2|)を不感帯(V0)に入れて|V1−V2|<V0とする変速モータ(60)の連続した増減速制御が行われて、その時駆動するエンジン(2)のエンジン回転数(N)に応じた速比による圃場条件及び機械条件に最適の植付作業速度で作業を行うものである。
【0026】またこの場合低速・中速・高速の各モードはエンジン回転数(N)の低回転及び高回転の一定区間(a)(b)の速比を最低速(L)及び最高速(H)に保持させるもので、低回転側のエンジン回転数(N)(N=1700〜2000rpm)の一定区間(a)で速比を最低速(L)に保持させる場合、この低回転側での植付作業速度の所定以上の低下を防止して、エンジン(2)の低回転域での馬力不足状態を解消させると共に、低回転域でエンジン回転数(N)がばらついた場合でも一定値(L)を保つ速比によって作業速度を略最低速に確実に維持させた良好な低速作業を行うものである。
【0027】一方、高回転側のエンジン回転数(N)(N=3500〜3900rpm)の一定区間(b)で速比を最高速(H)に保持させる場合、使用頻度の高いエンジン(2)の高回転域で作業速度が減速する頻度を低減させて、安定した作業速度を確保して作業の高能率化を図るものである。
【0028】そしてエンジン回転数(N)の最低速区間(a)と最高速区間(b)との間の中間回転域である一定区間(c)(c=2000〜3500rpm)にあっては、エンジン回転数(N)に速比を比例させて高速側に変更させ、アクセル操作の操作量に作業速度を加速比例させて、アクセル操作による作業速度のスムーズにして良好な増減速制御を可能とさせるものである。
【0029】なお、前記モード切換スイッチ(95)は該スイッチ(95)のオープン(接点が開)状態のときを低速モードに設けて、配線に断線や端子抜け事故など発生したときには自動的に低速モードに戻して、作業が高速化するのを防止している。
【0030】また、図15の実線(S2)部で示す如く、速比(V)を低速より目標の速比(V1)に徐々に増速(間欠増速)させる時間(T1)内にあって、アクセルペダル(87)操作などでエンジン回転数(N)が所定回転数(△N)(例えば一定時間内のエンジン回転数(N)の変化量)以上変化するときには、この緩増速制御を解除させ連動制御に移行させて、この変化分速比も増速させるもので、アクセルペダル(87)など人為操作を優先させ、植付部(15)を下降しての条合せ完了後に一定時間(T1)内であっても高速側にアクセル操作などした場合に、速比を自動的に増速側に制御するものである。
【0031】さらに、変速モータ(60)による増速制御にあって制限値(15km/h)以上の車速を検出するとき、制限値以内に車速を抑えるように速比を制御して、機体の安定走行を図るものである。
【0032】一方、植付レバー(30)を下降位置から中立及び上昇位置に操作しての植付部(15)の上昇時には、変速モータ(60)によって無段変速機構(64)の速比を最低速に制御すると共に、計時をクリアする。
【0033】また、前述にあっては植付レバー(30)を中立から下降位置に操作したとき、図15実線(S1)部に示す如く速比(V)を一定時間(T1)内で徐々に低速から高速側に増速させる構成を示したが、図15破線(S3)部に示す如く、下降位置に操作してからの一定時間(K)低速を保持させ、その後前述同様一定時間(T1)内で徐々に低速から高速側に増速(間欠増速)させる遅延緩増速制御を行う構成でも良い。
【0034】このように、植付部(15)の下降や植付クラッチ(72)の入動作によって、アクセルペダル(87)操作に基づいたエンジン回転数(N)と速比(V)の連動制御が行われるもので、植付部(15)を下降状態に保っての走行中も連動制御によって速比(V)が増速して、従来の如く植付部(15)の下降状態では速比を低速保持して作業を低能率とさせる不都合を解消させ、植付部(15)を下降状態に保ったままの圃場内の移動時(空走り)の高速走行を可能とさせて、圃場内移動時の作業能率を向上させることができる。また植付作業中の植付クラッチ(72)の入切に関係なく連動制御が行われる為、植付作業中は変速ショックのないフィーリング良好な作業が行われるものである。
【0035】なお、前述実施例においてはアクセルペダル(87)及びアクセルレバー(94)の操作をアクセルセンサ(91)で検出してアクセルモータ(92)を駆動する構成を示したが、アクセルペダル(87)及びアクセルレバー(94)とスロットル部(2a)をアクセルワイヤで連動連結して、直接的にスロットル開度を調節する構成でも良い。
【0036】
【発明の効果】以上実施例から明らかなように本発明は、アクセル操作部材(87)(94)によって変更操作されるエンジン回転数(N)に基づいて、作業速度変速用の無段変速機構(64)の速比を連動制御するようにした田植機において、植付部(15)が下降或いは植付クラッチ(72)が入の作業条件のときに、エンジン回転数(N)と無段変速機構(64)の速比との連動制御を行うものであるから、植付部(15)を下降状態で植付クラッチ(72)を切とさせての圃場内の移動時(空走り)に高速での走行を可能とさせて作業能率を向上させることができるものである。
【0037】また、植付部(15)が中立位置から下降位置に下降操作されるとき、無段変速機構(64)の速比を徐々に増速させる緩増速制御を行うものであるから、植付部(15)を下降させてからの一定時間(T1)を低速域で走行させて植付前の条合せなどを容易とさせることができるものである。
【0038】さらに、植付部(15)が中立位置から下降位置に下降操作されるとき、一定時間(K)の低速保持後に徐々に増速させる遅延緩増速制御を行うものであるから、植付部(15)を下降させてからの一定待機時間(K)と、待機後の一定時間(T1)とを低速域で走行させて、植付前の条合せなどを正確に行うことができる。
【0039】またさらに、アクセル操作部材(87)(94)の操作或いはエンジン(2)の一定回転数(△N)以上の変化時には、緩増速制御を解除してエンジン回転数(N)と無段変速機構(64)の速比との連動制御に移行させるものであるから、植付前の緩増速制御中に条合せが完了し人為によるアクセル操作でエンジン回転数(N)が高速側に変化するときには、速比もこれに追従させて高速側に変更させて、作業能率を向上させることができるものである。
【出願人】 【識別番号】000006851
【氏名又は名称】ヤンマー農機株式会社
【出願日】 平成11年11月9日(1999.11.9)
【代理人】 【識別番号】100062270
【弁理士】
【氏名又は名称】藤原 忠治
【公開番号】 特開2001−128517(P2001−128517A)
【公開日】 平成13年5月15日(2001.5.15)
【出願番号】 特願平11−317577