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【発明の名称】 田植機の植付部
【発明者】 【氏名】前川 智史

【氏名】松岡 秀樹

【氏名】加藤 祐一

【氏名】西 陽一朗

【氏名】土井 邦夫

【要約】 【課題】田植機の植付部のフロートの均平性能を向上する。

【解決手段】センターフロートを配置し、その左右外側に二対以上のサイドフロートを左右対称に配置した構成を有する田植機の植付部において、最も外側に位置するサイドフロートと該サイドフロートより一つ内側にあるサイドフロート35とを連結部材94を介して連結するとともに、該連結部材94の下縁には凹部97を設けて、該凹部97の上端の高さHjはサイドフロート35の底面35aの最上端の高さHfよりも高くなるように構成した。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 センターフロートを配置し、その左右外側に二対以上のサイドフロートを左右対称に配置した構成を有する田植機の植付部において、最も外側に位置するサイドフロートと該サイドフロートより一つ内側にあるサイドフロートとを連結部材を介して連結するとともに、該連結部材の下縁には凹部を設けて、該凹部の上端の位置はフロートの底面の最上端の高さよりも高くなるように構成したことを特徴とする、田植機の植付部。
【請求項2】 センターフロートを配置し、その左右外側に二対以上のサイドフロートを左右対称に配置した構成を有する田植機の植付部において、最も外側に位置するサイドフロートと該サイドフロートより一つ内側にあるサイドフロートとを連結部材を介して連結するとともに、該連結部材はレベラーを取り付けるための孔部を有することを特徴とする、田植機の植付部。
【請求項3】 センターフロートを配置し、その左右外側に二対以上のサイドフロートを左右対称に配置した構成を有する田植機の植付部において、最も外側に位置するサイドフロートと該サイドフロートより一つ内側にあるサイドフロートとを連結部材を介して連結するとともに、該連結部材とサイドフロートとを連結するための孔を左右対称に配置して設けたことを特徴とする、田植機の植付部。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、田植機の植付部の構成に関する。詳細には、機体の走行輪の跡等が残らないようにして圃場を良好にならすために、田植機の植付部のフロートの均平性能を向上するための技術に関する。
【0002】
【従来の技術】田植機の植付部下部にフロートを配置して、このフロートにより植付爪により苗を植え付ける前に走行車体の車輪跡等を消して圃場を均平する技術は公知とされている。このフロートは後部を回動自在に枢支され、圃場の凹凸に応じてフロートの前部が揺動して、圃場土を上方から押圧することにより、圃場の凹凸をならすこととしている。
【0003】また、特に多条植え式の田植機の植付部においては、植付部中央にセンターフロートを配設し、その外側に複数対のサイドフロートを設けて、植付部後部左右に複数配置される植付部の前方を、該複数対のサイドフロートにて均平する構成も公知となっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記のような従来の田植機の植付部は、互いに隣接するサイドフロートを独立に揺動させることだけしかできなかったので、均平性能が十分でない場合があった。従って、圃場の泥質が固くなっていたり、泥の層が薄い場合や耕盤の凹凸が激しい場合などにおいては、圃場凸凹や走行車体の車輪跡がサイドフロートによっても消しきれずに残ってしまうことがあった。また、車輪の種類によっても、フロートによる圃場の均平が不十分となってしまうことがあった。このように均平が不十分であると、植付爪による植付深さにばらつきが生じたり、植付姿勢が不安定になったりする原因となるので、フロートによる均平性能の向上が望まれていた。
【0005】あるいは、三条以上の幅を一体のフロートで均平する構成もあったが、この構成は均平性能は高くても、圃場を押圧する接地面積が大きすぎて、フロート跡が残ったり、泥押しが生じたり、藁等の夾雑物がフロート前部に滞留して抵抗が増大して、植付けを乱すことがあったのである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0007】即ち、請求項1においては、センターフロートを配置し、その左右外側に二対以上のサイドフロートを左右対称に配置した構成を有する田植機の植付部において、最も外側に位置するサイドフロートと該サイドフロートより一つ内側にあるサイドフロートとを連結部材を介して連結するとともに、該連結部材の下縁には凹部を設けて、該凹部の上端の位置はフロートの底面の最上端の高さよりも高くなるように構成したものである。
【0008】請求項2においては、センターフロートを配置し、その左右外側に二対以上のサイドフロートを左右対称に配置した構成を有する田植機の植付部において、最も外側に位置するサイドフロートと該サイドフロートより一つ内側にあるサイドフロートとを連結部材を介して連結するとともに、該連結部材はレベラーを取り付けるための孔部を有するものである。
【0009】請求項3においては、センターフロートを配置し、その左右外側に二対以上のサイドフロートを左右対称に配置した構成を有する田植機の植付部において、最も外側に位置するサイドフロートと該サイドフロートより一つ内側にあるサイドフロートとを連結部材を介して連結するとともに、該連結部材とサイドフロートとを連結するための孔を左右対称に配置して設けたものである。
【0010】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施の形態を説明する。図1は本発明の一実施例に係る植付部を具備した田植機の全体的な構成を示した側面図である。図2は本植付部において、フロートの後部を吊設する構成を示した平面図、図3はセンターフロート近傍の構成を示した側面図、図4は第二サイドフロート近傍の構成を示した側面図である。
【0011】まず、本発明の実施例に係る乗用田植機の全体構成について、図1乃至図4を用いて説明する。即ち、この乗用田植機Aは走行部1の後部に昇降リンク機構27を介して植付部4が配置され、該走行部1は車体フレーム3前部上方にエンジン2を搭載し、前下部にフロントアクスルケースを介して前輪6を支持させると共に、後部にリヤアクスルケース7を介して後輪8を支持している。そして、前記エンジン2はボンネット9に覆われ、該ボンネット9の両側に予備苗載台10・10を配設し、該ボンネット9後部のダッシュボード5上に操向ハンドル14を配置し、該ボンネット9両側とその後部の車体フレーム3上を車体カバー12で覆い、操向ハンドル14後方位置に座席13を配置し、ボンネット9の両側と座席13前部と、座席13左右両側及び座席13後方をステップとしている。
【0012】そして、前記運転席13の側部には走行変速レバー30や植付昇降兼作業走行変速用副変速レバー31や植付感度調節レバーが配置され、ダッシュボード下部のステップ上には主クラッチペダル32や左右ブレーキペダルが配設され、前記座席13後方には八条用の施肥機33が配設されている。
【0013】また、前記植付部4は苗載台16や植付爪17やセンターフロート34や複数のサイドフロート35・35' 等から構成されており、前記苗載台16は前高後低に配設して、苗載台16の下部は下ガイドレール18、前面の上部は上ガイドレール19によって左右往復摺動自在に支持し、該下ガイドレール18及び上ガイドレール19は植付センターケース20よりフレーム等を介して支持されている。そして、植付センターケース20より左右に連結パイプを突設し、その端部にはそれぞれチェーンケース21・21を固着して、その更に左右外側にも連結パイプを突設してその端部にそれぞれチェーンケース21・21を固着して、計四つのチェーンケース21を並設する構成としている。この四つのチェーンケース21・21・・・は平行に後方へ延出して、その後端の左右両側には一方向に回転させるロータリーケース22をそれぞれ配置し、八つの該ロータリーケース22それぞれに二つの植付爪17・17が配置されて、八条植え式の植付部4が構成される。
【0014】上記構成において、植付センターケース20には走行部1後部に設けられたPTO軸の動力がユニバーサルジョイント等を介して入力され、チェーンケース21を介してロータリーケース22を駆動して、植付爪17・17を駆動する。こうして、前進走行とともに苗載台16を左右に往復摺動して、この往復動に同期させて植付爪17を駆動して一株分の苗を切り出し、連続的に植付け作業を行うように構成している。
【0015】また、前記植付センターケース20の前部はローリング支点軸を介して前記昇降リンク機構27と連結され、該昇降リンク機構27はトップリンク25やロワーリンク26等より構成され、座席13下方に配置した昇降シリンダ28によって植付部4を昇降できるようにしている。
【0016】前記苗載台16は、進行方向右外側の二条分の苗載台を分割して分割苗載台16Dとし、機体中央側の固定された六条分の苗載台を主苗載台16Mとしており、前記分割苗載台16Dを着脱可能に構成して、該分割苗載台16Dを取り外して主苗載台16Mの苗載面側の上に載置係合して収納可能に構成している。
【0017】ここで、前記植付部4の構成について詳述する。即ち、図2に示すように、該植付部4は、その下方中央にセンターフロート34を、またこの左右両側に第一サイドフロート35・35、第二サイドフロート35' ・35' を配設しており、前記各フロート34・35・35' の前部が上下に揺動自在となるよう支持する支点軸85・85・・・を各フロート後部上面のブラケット86・86・・・にそれぞれ設け(図3・図4)、左右方向に回動自在に横支される植付深さ調節軸38に植付深さ調節アーム87・87・・・の基端を固設させると共に、該アーム87の先端を前記支点軸85に連結させている。これらフロート34・35・35' は、合成樹脂等を素材としており、ブロー成形により形成されている。
【0018】また、植付深さ調節軸38には基準の植付深さを変更操作するための植え深さ調節レバー98の基端が固設され、該レバー98を図示しないガイドに沿って回動することで、上記植付深さ調節アーム87・87を上下に回動して、各フロート34・35・35' の後部回動支点が上下動されて植付け深さを調節できるように構成している。また、センターフロート34の前部上方には昇降制御装置99が設けられて、センターフロート34の傾斜角を検出してその値に応じて自動的に植付部4を昇降させて、耕盤の凹凸等によっても植付爪17による植付深さにバラツキが生じないようにしている。尚、本実施例では、植付深さ調節軸38は、三本の軸部材38L・38C・38Rを連結板88・88を介して連結する構成としており、左右側の軸部材38L・38Rは中央の軸部材38Cに対して位相をずらすことができるようにして、サイドフロート35・35' の後部回動支点の高さと、センターフロート34のそれとの間に差を設けて調節できるようにしている。ただし、従来の如く、一本の軸部材にて植付深さ調節軸38を構成しても差し支えない。
【0019】次に、本発明の要部である、サイドフロート35・35' を連結する構成について説明する。図5はサイドフロートと第二サイドフロートとを連結部材にて連結した様子を示した平面図、図6は連結部材の具体的構成を示した図である。また、図7は連結部材の凹部の上端の位置の高さとサイドフロート底面の最上端位置の高さとの関係を示した側面図、図8はサイドフロートに連結部材を取り付け、更に連結部材にレベラーを取り付ける様子を示した斜視図である。
【0020】即ち、本実施例では図5に示すように、最外方に位置するサイドフロート35' とそれより一つ内側にあるサイドフロート35とを連結部材94を介して連結して、両サイドフロート35・35' を一体的に上下揺動させる構成としている。
【0021】この連結部材94の具体的構成について説明する。この連結部材は図6に示すように平板状の部材を加工して構成され、具体的には、この部材下部の左右両側にサイドフロートと連結するためのボルト孔96・96・・・が穿設され、部材下部の左右中央部分には凹部97が欠切されて設けられる。また、部材の上縁部は折曲されて、その左右両側にはレベラー取付部94a・94aをそれぞれ上方へ突出して設け、該レベラー取付部94a・94aには孔部である長孔95・95を形設した構成としている。
【0022】上記のような連結部材94によりサイドフロート35・35' 同士を連結することで、互いに隣接するフロートを独立に揺動させる構成に比べて均平能力を向上させることができ、上記一体型のフロートのように圃場を押圧する接地面積が大きすぎないので、圃場にフロート跡がきつく残らずに綺麗に植え付けることができる。また、隣り合うフロート35・35' が同時に一体的に揺動する構成により、植付深さの条ごとのバラツキが低減される。
【0023】連結部材94下部の凹部97は、該連結部材94にて連結される両サイドフロート35・35' の間の空間に位置や大きさを対応させて形設される。更に図7に示すように、サイドフロート35の底面35aはその前部を上方に湾曲されて、該フロート35の最前部にて最も上方となるよう形成されるが、該底面35aの最上端の高さHfよりも上記凹部97の上端位置の高さHjが大きくなるように構成している。同様に、上記凹部97の上端位置の高さは、最外方に位置するサイドフロート35' の底面の最上端の高さよりも大きくなるように構成している。連結部材94に上記のような凹部97を設けているので、該凹部97の内部を水や泥や夾雑物が通過するようにできることから水はけが良好な構成とすることができ、該夾雑物がサイドフロート35・35' 前部や連結部材94に引っ掛かって滞留することが防止される。特に、該凹部97の高さをサイドフロート35・35' の底面に対して十分高くする構成としていることから、夾雑物が凹部97の上部に引っ掛かって滞留することが十分に防止されるのである。
【0024】連結部材94はボルト92によりサイドフロート35・35' に着脱可能としているので、夾雑物が多いときは連結部材94を取り外してサイドフロートが独立に揺動するようにすることで、夾雑物のサイドフロート35・35' 前部への滞留を防止できる。例えば、圃場の起伏が激しく強い均平が望まれる場合であって、圃場上に夾雑物が少ないような場合は、サイドフロート35・35' を連結して均平性能を高める構成とする。一方、圃場が既にある程度均平であって圃場上の夾雑物が多いような場合は、サイドフロート35・35' の連結を解除して夾雑物の滞留を防止する構成とするのである。即ち、圃場上の夾雑物の多少、圃場のかたさ、均平度等、圃場条件に応じてサイドフロート35・35' の連結及び連結解除を行うことにより、サイドフロート35・35' の構成を均平性能を高める構成としたり、夾雑物の滞留の防止を重視する構成としたりして、状況や目的に応じた使い分けができるのである。尚、本実施例に示すようにボルト92により両サイドフロート35・35' と連結部材94とを連結する構成に限らず、例えば係合部材等により連結する構成とすることも可能である。
【0025】また、本実施例に係る連結部材94にはレベラー取付部94aを設け、該レベラー取付部94aには長孔95・95がそれぞれ設けられているので、図8に示すように該レベラー100をボルト91により該長孔95・95に取り付けることができる構成となっている。従って、サイドフロート35・35' にレベラー100を取り付けるためのステー等を独自に設ける必要がないので、コストの低減や工数の削減に貢献できる。ただし、本実施例で示すような長孔95・95に限定するものでもなく、例えば円形の孔を複数個レベラー取付部94aに穿設する構成とすることもできる。
【0026】更には、本実施例に係る連結部材94は、図6により明らかであるようにその形状が左右対称とされている。特に、サイドフロート35・35' に連結部材94を取り付けるためのボルト孔96・96・・・が左右対称に配置されていることから、機体左側のサイドフロート35・35' 同士を連結するのにも、機体右側のサイドフロート35・35' 同士を連結するのにも、同じ形状の連結部材94を用いれば足り、これによってもコストの低減等が図れる。
【0027】
【発明の効果】本発明は、以上のように構成したので、以下に示すような効果を奏する。
【0028】即ち、請求項1に示す如く、センターフロートを配置し、その左右外側に二対以上のサイドフロートを左右対称に配置した構成を有する田植機の植付部において、最も外側に位置するサイドフロートと該サイドフロートより一つ内側にあるサイドフロートとを連結部材を介して連結するとともに、該連結部材の下縁には凹部を設けて、該凹部の上端の位置はフロートの底面の最上端の高さよりも高くなるように構成したので、互いに隣接するフロートを独立に揺動させる構成に比べて均平能力を向上させることができ、圃場にフロート跡がきつく残らずに綺麗に植え付けることができる。また、連結部材に凹部を設けているので、該凹部の内部を水や泥や夾雑物が通過する水はけが良好な構成とすることができ、該夾雑物がフロート前部や連結部材に引っ掛かって滞留することが防止される。更には、該凹部の上端の位置をフロートの底面の最上端の高さよりも高くしているので、ある程度大きい夾雑物であっても該凹部の内部を通過する構成とでき、該凹部の上部に夾雑物が引っ掛かって滞留することが十分に防止される。
【0029】請求項2に示す如く、センターフロートを配置し、その左右外側に二対以上のサイドフロートを左右対称に配置した構成を有する田植機の植付部において、最も外側に位置するサイドフロートと該サイドフロートより一つ内側にあるサイドフロートとを連結部材を介して連結するとともに、該連結部材はレベラーを取り付けるための孔部を有するので、サイドフロートにレベラーを取り付けるためのステー等を独自に設ける必要がなくなり、コストの低減や工数の削減に貢献できる。
【0030】請求項3に示す如く、センターフロートを配置し、その左右外側に二対以上のサイドフロートを左右対称に配置した構成を有する田植機の植付部において、最も外側に位置するサイドフロートと該サイドフロートより一つ内側にあるサイドフロートとを連結部材を介して連結するとともに、該連結部材とサイドフロートとを連結するための孔を左右対称に配置して設けたので、機体左側のサイドフロート同士を連結するのにも、機体右側のサイドフロート同士を連結するのにも、同一の形状の連結部材で足りることとなるので、同一形状の連結部材を用いて植付部左右外側のサイドフロート同士を連結できる構成となり、コストや工数が低減される。
【出願人】 【識別番号】000006851
【氏名又は名称】ヤンマー農機株式会社
【出願日】 平成11年11月2日(1999.11.2)
【代理人】 【識別番号】100080621
【弁理士】
【氏名又は名称】矢野 寿一郎
【公開番号】 特開2001−128512(P2001−128512A)
【公開日】 平成13年5月15日(2001.5.15)
【出願番号】 特願平11−312637