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【発明の名称】 芋等の移植機
【発明者】 【氏名】木下 栄一郎

【氏名】安田 賢司

【要約】 【課題】中央部がドーム状に隆起したカマボコ型の畝に種芋等を適正な状態で植付けられるようにする。

【解決手段】種芋等の植付位置Aが左右走行車輪のトレッド中心B−Bに対して左右片方に偏位している芋等の移植機1において、植付部1bの昇降制御の基準となる畝面高さを検出するための接地センサ70に、前記植付位置Aよりも前記トレッド中心B−B側に位置する延長部を設ける。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 種芋等の植付位置が左右走行車輪のトレッド中心に対して左右片方に偏位している芋等の移植機において、植付部の昇降制御の基準となる畝面高さを検出するための接地センサに、前記植付位置よりも前記トレッド中心側に位置する延長部を設けたことを特徴とする芋等の移植機。
【請求項2】 機体の骨格となる前後方向のフレームを前記植付位置よりも前記トレッド中心と反対側に配置した請求項1に記載の芋等の移植機。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、1行程では畝の片側に1条植付けし、同じ畝を往復して植付作業することで1畝に合計2条の植付けを行う芋等の移植機に関する。
【0002】
【従来の技術】野菜の苗、種芋等を畝に植付ける移植機は、機体の進行に伴い畝上面を滑走して植付部の畝上面に対する高さを検出する接地センサを備え、この接地センサの検出結果に基づき植付部を昇降させ、野菜の苗、種芋等の植付深さを一定に維持するように制御している。
【0003】一般的に、この種の移植機は1条植えの構成であるが、作物の種類や地域によっては一つの畝に作物を2条植付けることがある。その場合は、植付位置が左右走行車輪のトレッド中心に対して左右片方に偏位している移植機を使用し、同じ畝を往復して植付作業を行うことで、一つの畝に作物を2条植付ける。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、ジャガイモ等の芋類は、中央部がドーム状に隆起したカマボコ型の畝に植付けられる。このような形状の畝に対し、接地センサが植付位置と左右同じ位置に設けられていた従来の移植機を使用すると、接地センサが畝の最高地点からずれることにより、接地センサの左右端部が土中に食い込んで畝を荒すとともに、接地センサの検出結果が不安定となり、正確な植付部昇降制御を行えないという問題が生じる。そこで、本発明は、カマボコ型の畝に植付けを行う場合に畝を荒らすことなく正確な植付部昇降制御を行える芋等の移植機を提供することを課題としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するために本発明は次のように構成した、すなわち、本発明にかかる芋等の移植機は、種芋等の植付位置が左右走行車輪のトレッド中心に対して左右片方に偏位している芋等の移植機において、植付部の昇降制御の基準となる畝面高さを検出するための接地センサに、前記植付位置よりも前記トレッド中心側に位置する延長部を設けたことを特徴としている。
【0006】また、第一の発明において、機体の骨格となる前後方向のフレームを前記植付位置よりも前記トレッド中心と反対側に配置した構成とすると、機体の骨格となる前後方向のフレームで畝を荒らしたり、畝に被覆されているマルチフィルムを破損したりすることを防止できる。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施形態として、ジャガイモ移植機を図面に基づき説明する。このジャガイモ移植機1は、左右走行車輪2,2,3,3を有する走行部1aによって畝Uを跨いだ状態で機体を進行させながら、植付部1bでジャガイモの種芋を畝Uの上面に植付ける構成となっている。作業者は、機体後方に設けた操縦ハンドル6で適宜機体を操向すると共に、移植作業時には機体の側方を歩きながら植付部1bに種芋を補給する。以下、各部の構成について説明する。
【0008】走行部1aは、ミッションケース7の前側にエンジン9が配置されている。エンジン9の左側面部には該エンジンの動力で駆動する油圧ポンプ10が設けられている。また、エンジン9の上側には燃料タンク11等が設けられ、その上側をボンネット12が覆っている。ミッションケース7の背面部に側面視長方形の左右に長い連結フレーム13が一体に設けられており、この連結フレームの背面右端部に走行部1aと操縦ハンドル6をつなぐメインフレーム14の前端部が固着連結されている。メインフレーム14は、機体の右側を通って後方に延び、途中で斜め上向きに湾曲し、そのまま植付部1bの後方位置まで延びている。そして、その後端部に操縦ハンドル6が、周知の菊座を介して固定ねじ6b,6bにて高さ調節自在に取り付けられている。
【0009】ミッションケース7の左右側面部から側方に突出する回動筒部15,15に後輪伝動ケース16,16が一体に取り付けられ、その後輪伝動ケースの先端部に駆動走行車輪である後輪2,2が軸支されている。右側の回動筒部15よりも左側の回動筒部15の方が長くなっている。そして、右後輪2は右後輪伝動ケース16の左右内側に配置され、左後輪2は左後輪伝動ケース16の左右外側に配置されている。また、ミッションケース7の下側に左右にスライド自在に設けられた前輪支持軸17に前輪支持アーム18,18が回動自在に取り付けられ、その前輪支持アームの先端部に従動走行車輪である前輪3,3が軸支されている。前輪3,3の左右位置が後輪2,2の左右位置と同じになるように、前輪支持軸17の左右位置が調整されている。
【0010】走行部1bには、後輪2,2及び前輪3,3を上下動させて機体位置を制御する機体制御機構が設けられている。この機体制御機構は、ミッションケース7の上に配置した油圧バルブユニット20から後方に向けて昇降シリンダ21が設けられ、該シリンダのピストンロッドの先端部に左右方向に長い天秤杆22が上下方向の軸まわりに回動自在に取り付けられている。ピストンロッドは、前部が油圧バルブユニット20に支持され後部がメインフレーム14と後記植付部支持フレーム30とに両端が固着された取付部材23に支持されたガイド軸24に沿って摺動するようになっている。なお、植付部支持フレーム30は、前記連結フレーム13の背面左端部に固着され、機体の左側を通って後方に延びている。
【0011】そして、天秤杆22の左右両端部と、回動筒部15,15に固着した後輪昇降アーム25,25とが、連結ロッド26,26を介して連結されている。左側の第一連結ロッド26は、ローリングシリンダ27が組み込まれており、該シリンダを伸縮作動させることにより長さを変えられるようになっている。また、回動筒部15,15に固着した前輪昇降アーム28,28と、前輪支持アーム18,18と一体の連動アーム18a,18aとが連結リンク29,29を介して連結されている。
【0012】昇降シリンダ21及びローリングシリンダ27は、各々前記油圧ポンプ11から供給される作動油を油圧バルブユニット20内の制御バルブ(図示せず)で制御して作動させられる。昇降シリンダ21を伸縮作動させると、左右の後輪2,2及び前輪3,3が同方向に同量だけ機体に対し上下動し、機体高さが変更される。また、ローリングシリンダ27を伸縮作動させると、後輪2,2,及び前輪3,3が左右逆方向に同量だけ機体に対し上下動し、機体が左右に傾斜する。
【0013】植付部1bは、種芋を植付位置の上方近傍まで移送するベルトコンベア31、植付けるための種芋が収納された箱状容器を載置する種芋収納容器載置台32、畝上面に種芋を植付けるための溝を形成する作溝器33、種芋が植付けられた溝を覆土する左右の覆土板34,34、覆土された跡を鎮圧する鎮圧輪35等を備えている。
【0014】上記植付部1bの各部が組み付けられている植付部フレーム37は、前記植付部支持フレーム30の後端部とメインフレーム14の中途部とにボルトにて固着されて支持されている。また、図3に示すように、前記取付部材23に軸受38にて支持された入力軸39の前端部が、ミッションケース7から後方に突出するPTO軸40に自在継手41を介して連結されている。このため、植付部支持フレーム30の前端部を連結フレーム13から外すと共に、植付部フレーム37をメインフレーム14の中途部から外し、入力軸39とPTO軸40との間の自在継手41を外すことにより、走行部1aから植付部1bごと取り外すことができ、植付部1bのメンテナンスが容易に行える。
【0015】ベルトコンベア31は、進行方向に向かって右上部と右下部と左上部の3箇所に設けられた3個の回転ロール43,44,45により正面視で三角形に張架され、図5における矢印方向に移動するように構成されている。ベルトコンベア31の搬送面46は仕切り板47,…で等間隔に区切られており、その仕切り板47,…で区切られた各区画に種芋aが1個づつ収容されるようになっている。種芋に損傷を与えないように、ベルトコンベア31はゴム等の弾性材で成形されている。
【0016】ベルトコンベア31の作業者が種芋を置く部位31bは、左端の方が右端よりも高くなるように若干傾斜している。また、ベルトコンベア31の垂直に下降移送する部位31aに対向して、移送中の種芋が落下するのを防止する断面U字状の案内ガイド48が上下方向に設けられている。そして、この案内ガイド48の下端部に右下部の回転ロール44が装着されている。回転ロール44の位置がベルトコンベア31の最下端で、各区画に収容されて移送されてきた種芋aがここで落下し、作溝器33によって畝上面に形成された植付溝Mの中に植付けられる。この種芋の植付位置Aは、機体の左右中心に位置している。したがって、植付位置Aは、左右走行車輪2,2及び3,3のトレッド中心B−Bに対して右方に偏位している。
【0017】49はベルトコンベア31の右端部の上方を覆うカバー体で、植付部フレーム31の右端部に取り付けられている。このカバー体49は、ベルトコンベア31の作動方向が右端部で変わる際に、該ベルコンベアに付着した土や泥等が上方に飛散して、機体の左側方を歩きながら種芋の補給作業を行う作業者に降りかかるのを防止するために設けてある。
【0018】右上部の回転ロール43がこのベルトコンベア31の駆動ロールで、該回転ロール43の支軸51に一体回転するよう装着されたプーリ52と、前記入力軸39の後端に装着されたプーリ53とに伝動ベルト54が掛けられている。これにより、PTO軸40からの動力で回転ロール43が駆動回転し、ベルトコンベア31が作動する。なお、55はテンションプーリであって、後述の植付昇降レバー82により操作ワイヤ56を介して伝動ベルト54を張って動力を伝える状態と緩めて動力を伝えない状態とに切替操作できるように構成されている。
【0019】種芋収納容器載置台32は、機体の前後方向の中央でベルトコンベア31の前方に配置され、前部よりも後部が低く且つ左側よりも右側が低くなるように傾斜して設けられている。
【0020】作溝器33は、平面視で前端が尖った形状をしており、前記案内ガイド39の前方から側方を覆う位置に設けられている。植付作業時には、機体の進行と共に畝の表土部に潜った状態で移動して植付溝を形成する。
【0021】左右の覆土板34,34は、後部の相互間隔が狭くなるよう機体進行方向に対し斜めの姿勢で、植付位置Aの後方に回転自在に設けられている。覆土板34を支持する支持ロッド58は、植付部フレーム31から後方に向けて延設された支持体59に固着の筒体59aに摺動自在に嵌合し、スプリング60によって下向きに付勢されている。このため、覆土板34,34が一定の力で下向きに加圧された状態となっており、均一な覆土を行うことができる。
【0022】鎮圧輪35は、土が付着しにくい樹脂製で、左右覆土板34,34の後方に設けられている。前記支持体59に支持軸62にて回動自在に支持されたL字状回動アーム63の中途部に鎮圧輪35が取付軸64にて遊転自在に取り付けられていると共に、取付軸64に下端部が連繋された吊下げロッド65が支持体59に対し上下動自在に吊り下げ支持されている。そして、鎮圧輪35は、吊下げロッド65に遊嵌させたスプリング66によって下向きに付勢され、機体の進行に伴って畝上面を転動し、左右覆土板34,34にて覆土された種芋の植付跡を鎮圧するようになっている。吊下げロッド65の支持体59よりも上方に突出する部分には、上下方向に複数の孔が形成されており、ピン67をいずれかの孔に選択して挿通することにより、鎮圧輪35の上下方向の高さを複数段階に変更できるようになっている。これにより、鎮圧輪35の鎮圧力を段階的に調節できる。なお、68は鎮圧輪35に付着した土を掻き落とすスクレーパであって、回動アーム63の後端部に取り付けられている。
【0023】また、機体の前後中央部に、畝面高さを検出するための接地センサ70が設けられている。この接地センサ70は、メインフレーム14に右端部が軸支された回動軸72に固着したアーム73の前端部に、軸74にて回動自在に取り付けられている。接地センサ70の左端部は、前記植付位置Aよりも左右走行車輪2,2,3,3のトレッド中心B−B側に張り出している。接地センサ70が軸74を支点に上下回動すると、その回動がリンク機構71を介して油圧バルブユニット20内の昇降制御バルブに伝えられ、接地センサ70の角度が元に戻る方向に昇降シリンダ21を作動させる。これにより、畝上面から機体までの高さを一定に維持するように機体を昇降制御し、畝の高さ変動にかかわらず種芋の植付深さが常に一定に保たれる。
【0024】前記回動軸72は植付深さ調節レバー75の基部に連繋されており、植付深さ調節レバー75を操作して接地センサ70の基準角度を変更することにより、植付深さを調節する。植付深さ調節レバー75を位置固定するための係合ガイド76には複数の調節係合部が形成されており、植付深さを複数段階に調節できるようになっている。
【0025】なお、油圧バルブユニット20内のローリング用油圧バルブは左右傾斜検出用の振り子等の動きに連動して切り替わるようになっており、機体が左右に傾斜するとローリングシリンダ27が適宜作動し、機体を左右水平に戻すように制御する。
【0026】操縦ハンドル6のグリップ6a,6aの下側には、サイドクラッチレバー80,80が設けられている。また、操縦ハンドル6の基部には操作パネル81が設けられ、該操作パネルに、前記テンションプーリ55を操作する操作ワイヤ56を介して操作する植付昇降レバー82、メインクラッチの入・切操作をするメインクラッチレバー83等が設けられている。84は変速操作レバーであって、ミッションケース7内の変速歯車機構を操作して「前進路上走行速」と「前進植付速」と「後進」と「中立」とを切り替える。
【0027】次に、この移植機1を使用しての植付作業について説明する。通常の植付作業時には、変速操作レバー84を「前進植付速」にし、植付昇降レバー82を自動昇降制御状態で植付部1bが伝動される操作位置にし、メインクラッチレバー83をメインクラッチ入に操作する。すると、左右後輪2,2が駆動回転して機体が前進すると共に、植付部1bの各部が作動する。作業者は、機体の進行に合わせて左後輪2の後方の畝溝を歩きながら、種芋収納容器載置台32に載置されている種芋収納容器から種芋を取り出し、それをベルトコンベア31の仕切り板46,…で区切られた区画に1個づつ入れる。種芋は、ベルトコンベア31の最下端から、作溝器33によって畝上面に掘られた植付溝の中に落下する。その後、左右覆土板34,34で覆土し、さらに鎮圧輪35で鎮圧する。
【0028】畝の端まで植付作業を行うと、畝の中心より右側に偏位した位置に種芋が1条植付けられる。例えば、図6において、紙面の手前側から奥に向かって植付作業を行うとすると、A1の位置に植付けられる。次いで、畝の端で機体を180度旋回させ、逆向きに植付作業を行う。すると、今度はA2の位置に植付けられる。このように一つの畝を往復して植付作業を行うことにより、1畝に種芋が2条植え付けられる。
【0029】上記植付作業中は、接地センサ70の上下回動に基づき機体の昇降制御を行う。接地センサ70は植付位置A1,A2よりも左右走行車輪のトレッド中心B側に設けられているので、往復いずれの植付作業時にも、少なくとも接地センサ70の一部が畝の最高地点(畝の左右中心)を通る。このため、接地センサ70の端部が土中に食い込んで畝を荒すことがなく、また接地センサ70の検出結果も安定している。
【0030】1畝1条の植付けを行う場合は、図1において鎖線で示すように、右後輪2を右後輪伝動ケース16の左右外側に付け替えると共に、左後輪2を左後輪伝動ケース16の左右内側に付けられる。また、後輪2,2と前輪3,3の左右位置が同じになるように、前輪支持軸17の左右位置を調整する。この状態で植付作業を行うと、図7に示すように畝の左右中央に種芋が植付けられる。
【0031】なお、図8に示すように、機体の左右中心に設けたピボット軸90を中心に揺動自在な前輪支持アーム91の左右端部に前輪支持ロッド92,92を高さ調節可能に取り付け、その前輪支持ロッドの下端部に前輪3,3が軸支されている構成の移植機の場合は、ピボット軸90による前輪支持アーム91の支持位置を変更することにより、1畝2条の植付けと1畝1条の植付けとに対応させることができる。図8において実線で示すように、前輪支持アーム91の支持位置を機体の左右中心に対し偏心させると1畝2条の植付け仕様となり、同図において鎖線で示すように、前輪支持アーム91の支持位置を機体の左右中心と一致させると1畝1条の植付け仕様となる。
【0032】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明にかかる芋等の移植機は、植付部の昇降制御の基準となる畝面高さを検出するための接地センサを、植付位置よりもトレッド中心側に配置することにより、中央部がドーム状に隆起したカマボコ型の畝に植付けを行う場合、接地センサが常に畝の最高地点を通ることとなり、接地センサの端部が土中に食い込んで畝を荒すことがなく、また接地センサの検出結果が安定して正確な植付部の昇降制御を行えるので、植付深さが常に一定に維持されるようになった。
【0033】さらに、機体の骨格となる前後方向のフレームを植付位置よりも左右走行車輪のトレッド中心と反対側に配置することにより、前記前後方向のフレームで畝を荒らしたり、畝に被覆されているマルチフィルムを破損したりすることが防げるという効果を有する。
【出願人】 【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
【出願日】 平成11年11月4日(1999.11.4)
【代理人】 【識別番号】100083611
【弁理士】
【氏名又は名称】菅原 弘志
【公開番号】 特開2001−128508(P2001−128508A)
【公開日】 平成13年5月15日(2001.5.15)
【出願番号】 特願平11−314436