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【発明の名称】 田植機の苗マット押え機構
【発明者】 【氏名】山下 綱丈

【要約】 【課題】従来の苗マット押え機構に加えて、苗マットの浮き上がり、横ずれをさらに効果的に抑制する田植機の苗マット押え機構を提供する。

【解決手段】苗載台16に苗マット押え機構を配設する田植機において、苗マット押えロッド164b・164b間、または、苗マット押えロッド間および苗マット押えロッド164bと苗載台リブ161間等の既存の苗マット押え機構164による苗の押えが不十分な箇所に、該苗載台16上方から苗マットに当接する板状苗マット押え機構166を設けた。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 苗載台に苗マット押え機構を配設する田植機において、苗マット押え部材間、または、苗マット押え部材間および苗マット押え部材と苗載台リブの間に、該苗載台上方から苗マットに当接する板状苗マット押え機構を設けることを特徴とする田植機の苗マット押え機構。
【請求項2】 前記板状苗マット押え機構は、支持部材により板状の回転体を回転自在に枢支したことを特徴とする請求項1記載の田植機の苗マット押え機構。
【請求項3】 前記支持部材は、苗載台下辺に対して垂直になるように、機体前後方向、あるいは、上下方向に向けて配設することを特徴とする請求項1、または2記載の田植機の苗マット押え機構。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、田植機の苗載台における苗マット押え機構の技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来から、田植機における苗載台に搭載した苗マットの浮き上がりを防止するために、苗マット押え機構を装備し、該苗マット押え機構は、苗載台下端に横設した支点ロッドより苗載台上方に苗載台に略平行に延設した各条2本ずつの苗マット押えロッドにより、苗マットを押さえていた。また、前記支点ロッドには、各条位置に苗ストッパーを枢支して、苗マットを条毎に滑り落ちるのを防止して条止めできるようにしていた。さらには、前記支点ロッドの直下方に各条4本ずつ(あるいは2本ずつ)バネ状部材を垂設したサブ苗マット押え機構を横設して架設し、苗マットの横ずれを防止していた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、近年、苗の培土にフェノール樹脂製の人工培土等、代替材を使用することも増え、該代替材を用いた軽量の苗マットでの植付時には、前述のような既存の苗マット押え機構、サブ苗マット押え機構だけでは、苗マットを充分に押さえることができず、苗の浮き上がり、横ずれ等がしばしば発生していた。
【0004】本発明は、前記の点を鑑み、苗載台における苗マットの浮き上がり、横ずれをさらに効果的に抑制する田植機の苗マット押え機構を提供することを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次に前記課題を解決するための手段を説明する。すなわち、苗載台に苗マット押え機構を配設する田植機において、苗マット押え部材間、または、苗マット押え部材間および苗マット押え部材と苗載台リブの間に、該苗載台上方から苗マットに当接する板状苗マット押え機構を設ける。
【0006】また、前記板状苗マット押え機構は、支持部材により板状の回転体を回転自在に枢支して構成する。
【0007】また、前記支持部材は、苗載台下辺に対して垂直になるように、機体前後方向、あるいは、上下方向に向けて配設する。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明を解決するための手段は以上の如くであり、次に本発明の実施の形態を説明する。図1は田植機の全体側面図、図2は苗載台の後方よりの斜視図、図3は苗マット押え機構の構成図、図4はサブ苗マット押え機構の構成図、図5は本発明に係る苗マット押え機構の構成を示す苗載台後部の平面図、図6は同じく側面図、図7は図6におけるUから見た矢視図、図8は図7における苗ストッパー付近の拡大図、図9は本発明に係る苗マット押え機構の円盤の構成を示す円盤の平面図である。
【0009】まず、本発明に係わる乗用田植機の全体構成について、図1を参照しながら説明する。図1に示すように、乗用田植機Aは走行部1の後部に昇降リンク機構27を介して植付部4が配置され、該走行部1は車体フレーム3前部上方にエンジン2を搭載し、前下部にフロントアクスルケースを介して前輪6を支持させると共に、後部にリヤアクスルケース7を介して後輪8を支持している。そして、前記エンジン2はボンネット9に覆われ、該ボンネット9の両側に予備苗載台10・10を配設し、該ボンネット9後部のダッシュボード5上に操向ハンドル14を配置し、該ボンネット9両側とその後部の車体フレーム3上を車体カバー12で覆い、操向ハンドル14後方位置に座席13を配置し、ボンネット9の両側と座席13前部と、座席13左右両側および座席13後方をステップとしている。
【0010】そして、前記座席13の側部には走行変速レバー30や植付昇降兼作業走行変速用副変速レバー31や植付感度調節レバーが配置され、ダッシュボード下部のステップ上には主クラッチペダル32や左右ブレーキペダルが配設され、前記座席13後方には施肥機33が配設されている。
【0011】また、前記植付部4は、苗載台16や植付爪17やセンターフロート34やサイドフロート35等から構成されており、前記苗載台16は前高後低に配設して、苗載台16の下部は下ガイドレール18、前面の上部は上ガイドレール19によって左右往復摺動自在に支持し、該下ガイドレール18および上ガイドレール19は植付センターケース20よりフレーム等を介して支持されている。そして、植付センターケース20より連結パイプを介してチェーンケース21を平行に後方へ突出して、該チェーンケース21の後部に一方向に回転させるロータリーケース22を配置し、該ロータリーケース22の両側に一対の植付爪17・17を配置している。こうして、前進走行とともに苗載台16を左右に往復摺動して、この往復動に同期させて植付爪17を駆動して一株分の苗を切り出し、連続的に植え付け作業を行うように構成している。
【0012】また、前記植付センターケース20の前部にローリング支点軸を介して前記昇降リンク機構27が連結され、該昇降リンク機構27はトップリンク25やロワーリンク26等より構成され、座席13下方に配置した昇降シリンダ28によって植付部4を昇降できるようにしている。
【0013】次に本発明に係る苗載台16における苗マット押え機構の構成について説明する。図1および図2に示すように、機体後部に前高後低に配設した前記苗載台16は、上ガイドレール19、下ガイドレール18、苗載台リブ161・161・・・、苗載台板162・162・・・から構成され、各苗載台リブ161・161・・・間に苗載台板162・162・・・を締結し、該苗載台板162・162・・・の上下中央部および下端を上苗載台レール168および下苗載台レール169で締結して、平面視、矩形の苗載台16を形成し、該上下苗載台レール168・169を上下ガイドレール18・19に係合させて苗載台16を機体後部に搭載する。また、前記各条苗載台板162・162・・・の上端より延長苗載台162a・162a・・・を延設して、苗載台16を延長し、より多くの苗を搭載できるようにしている。
【0014】前記苗載台16の下部から上下中間位置にかけて、左右両端の苗載台リブ161・161・・・間にローラを配設してベルト163・163・・・を巻回し、該上下のベルト163・163・・・は、苗載台16下部において、その上方に配設した苗マット押え機構164とで苗マットをしっかりと保持し、苗を正確に送り出して、安定した植付けを行なっている。
【0015】前記苗マット押え機構164は、図2および図3に示すように、支点軸164a・164a、苗マット押えロッド164b・164b・・・、苗ストッパー164c・164c・・・等から構成され、左右両端および中央の苗載台リブ161・161の下端にストッパーステー164d・164d・164dを締結し、該ストッパーステー164d・164d・164d間に支点軸164a・164aを架設して枢支し、該支点軸164a・164aより各条2本ずつ苗マット押えロッド164b・164b・・・を立設して構成し、該苗マット押えロッド164b・164b・・・により苗載台16上の苗マットを押さえるようにしている。
【0016】また、図3および図6に示すように、各条苗載台板162・162・・・間に苗ストッパーを配設し、すなわち、該苗ストッパー164c・164c・・・後部に凸設した係合凹部164f・164f・・・と前記支点軸164a・164aとを係合させて枢支し、該支点軸164a・164aを回動支点として回動自在に構成し、また、該苗ストッパー164c・164c・・・後部よりアーム164g・164g・・・を延設して、該アーム164g・164g・・・の後部と苗マット押えロッド164b・164b・・・の基部より突設したピン164i・164i・・・と枢結する。そして、苗ストッパー164c・164c・・・により条止めを行う時には、苗ストッパー係合凹部164f・164f・・・と支点軸164a・164aとの係合を解除して、ピン164i・164i・・・を支点として該苗ストッパー164c・164c・・・を下方へ回動して下げるのである。
【0017】また、図4に示すように、前記支点軸164a・164aのストッパーステー164d・164d・164dの下端でサブ苗マット押え機構165を架設し、すなわち、該苗ストッパー164c・164c・・・の斜下方でサブ苗マット押え機構165を横設する構成となる。該サブ苗マット押え機構165はホルダーレール165a・165aと苗マットキーパー165b・165b・・・とから構成され、該ホルダーレール165a・165aの左右両端間に各条2個ずつ該苗マットキーパー165b・165b・・・を締結し、該サブ苗マット押え機構165により、苗マットの落下と横ずれを防止している。
【0018】しかしながら、苗の培土にフェノール樹脂性の人工培土等、代替材を使用することも増え、該代替材を用いた軽量の苗マットでの植付時には、前述のような既存の苗マット押え機構164、サブ苗マット押え機構165等では、苗マットを充分に押さえることができず、苗の浮き上がり、横ずれ等がしばしば発生していた。
【0019】そこで、前述のような苗載台16において、植付時における苗の浮き上がり、横ずれを防止すべく構成したものであり、以下本発明に係る苗マット押え機構を説明する。すなわち、図5に示すように、前記各条の苗マット押えロッド164b・164b・・・間に3組ずつ板状の回転体(円盤166a・166a・・・)を配設した板状苗マット押え機構166を配設し、前述の苗マット押え機構164およびサブ苗マット押え機構165に加えて該板状苗マット押え機構166を併用する。このような構成で、苗マット押えロッド164b・164b・・・間および苗マット押えロッド164b・164b・・・と苗載台リブ161・161・・・の間に前記板状苗マット押え機構166を配設することにより、さらに、苗の浮き上がり、横ずれを防止することができるのである。
【0020】図6乃至図8に示すように、前記板状苗マット押え機構166は、円盤166a・166a・・・、連結板166b、円盤支持ステー166c・166c・・・等から構成され、該連結板166bに、図6における側面視、L字状の円盤支持ステー166c・166c・166cを各条3本ずつ立設し、該円盤支持ステー166c・166c・166cの下端部に回転面を機体前後方向にして円盤166a・166a・166aを枢支する。すなわち、図9に示すように、該円盤166a・166a・・・は、円盤支持ステー166c・166c・・・の先端に凸設した回転軸166d・166d・・・回りにベアリング171・171・・・を周設して回転自在な構成としている。
【0021】そして、図6および図8に示すように、前記苗マット押え機構164の支点軸164aに各条中間位置にステーを167b・167b・・・立設し、該ステー167b・167b・・・は、その中央部に上下方向に長孔167c・167c・・・を開口し、該長孔167c・167c・・・に斜下方より蝶ネジボルト172・172・・・を挿入して該ステー167b・167b・・・前面に横設した連結板166bと締結する。
【0022】前記ステー167b・167b・・・に開口したボルト孔を長孔167c・167c・・・としたため、該板状苗マット押え機構166は苗載台16に対して垂直方向に位置調節可能で、苗マットの厚さLに応じてその配設位置を変えることのできる汎用性に富んだ構成としている。
【0023】このようにして板状苗マット押え機構166を配設することにより、苗マット押えロッド164b・164b・・・間等、苗の押えがされていない部分における苗マットの浮き上がり、横ずれを防止している。また、該板状苗マット押え機構166は、苗載台16下方への苗の送り方向と平行に配設し、円盤支持ステー166c・166c・・・下端部に円盤166a・166a・・・を回転自在に配設しているため、該板状苗マット押え機構166による苗送りの際の抵抗を極力小さくし、苗をスムースに送り出すのである。
【0024】また、前記円盤支持ステー166c・166c・・・は、苗載台16下辺に対して垂直になるようにして、上下方向、もしくは、前後方向に向けて連結ロッド166bより立設して、苗の葉が該円盤支持ステー166c・166c・・・にからまらないようにしているのである。
【0025】
【発明の効果】本発明は以上の如く構成したので、次のような効果を奏するのである。すなわち、苗載台に苗マット押え機構を配設する田植機において、苗マット押え部材間、または、苗マット押え部材間および苗マット押え部材と苗載台リブの間に、該苗載台上方から苗マットに当接する板状苗マット押え機構を設けたので、苗の培土にフェノール樹脂性の人工培土等、代替材を用いた軽量の苗マットでは、既存の苗マット押え機構、サブ苗マット押え機構だけでは、該苗マットを充分に押さえることができず、苗の浮き上がり、横ずれ等が起こりやすかったのであるが、苗マット押え部材間、または、苗マット押え部材間および苗マット押え部材と苗載台リブ間等の該苗マット押え機構による苗の押えが不十分な箇所に、該苗載台上方から苗マットに当接する板状苗マット押え機構を別設することにより、苗載台における苗の押えがされていない部分における苗マットの浮き上がり、横ずれ等をさらに効果的に苗を押さえることができるのである。
【0026】また、前記板状苗マット押え機構は、支持部材により板状の回転体を回転自在に枢支して構成することにより、該回転体の回転面を苗載台下方への苗の送り方向と平行に配設して、該回転体により苗を押さえるとともに、該回転体が回転して苗を苗載台下方へ送り、該板状苗マット押え機構は、苗送りの際の抵抗を極力小さくし、苗をスムースに送り出すことができるのである。
【0027】また、前記支持部材は、苗載台下辺に対して垂直になるように、機体前後方向、あるいは、上下方向に向けて配設することにより、苗との接触面積を少なくして、苗の葉が該支持部材にからまらないようにしているのである。
【出願人】 【識別番号】000006851
【氏名又は名称】ヤンマー農機株式会社
【出願日】 平成11年10月28日(1999.10.28)
【代理人】 【識別番号】100080621
【弁理士】
【氏名又は名称】矢野 寿一郎
【公開番号】 特開2001−120021(P2001−120021A)
【公開日】 平成13年5月8日(2001.5.8)
【出願番号】 特願平11−306340