| 【発明の名称】 |
農作業機の変速装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】布野 隆
【氏名】山根 陽一
【氏名】永谷 宏
|
| 【要約】 |
【課題】前後進の切換え時に、クラッチレバーの操作に先立ってクラッチペダルの操作を必要として、切換え時の誤操作を防止する。
【解決手段】ミッションケース16内のディスククラッチを入切操作するクラッチペダル21と、このクラッチペダル21に連動可能に取付けられた牽制部材54を有し、この牽制部材54は、クラッチレバー20に設けられた牽制部材55の移動路上に出退可能となっていて、クラッチペダル21の踏み込みによりディスククラッチを切操作すると、前記牽制部材54が退避してクラッチレバー20による前進後進の切換え操作を可能とし、一方、クラッチペダル21の非踏み込みによりディスククラッチが入操作された状態では、前記牽制部材54が進出してクラッチレバー20による前進後進の切換え操作を禁止する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 エンジン出力軸に固定された駆動プーリ、及びミッションケースの入力軸に固定された従動プーリ間に巻回された巻掛けベルトと、該巻掛けベルトに転接して該巻掛けベルトを緊張・弛緩するテンションクラッチとを備え、前記テンションクラッチの入切操作と前進後進の切換え操作とを同一の操作レバーにて操作可能とした農作業機において、前記テンションクラッチと別体に設けられ、前記ミッションケース内の動力クラッチを入切操作するクラッチ操作部材と、該クラッチ操作部材に連動可能に取付けられ、前記操作レバーに設けた牽制部材の移動路上に出退し得る牽制部材とを有し、前記クラッチ操作部材による動力クラッチの切操作で、前記牽制部材が退避して前記操作レバーによる前進後進の切換え操作を可能とすると共に、前記クラッチ操作部材による動力クラッチの入操作で、前記牽制部材が進出して前記操作レバーによる前進後進の切換え操作を不能とした、ことを特徴とする農作業機の変速装置。 【請求項2】 前記従動プーリに近接してブレーキ部材を配置し、該ブレーキ部材を、前記操作レバーによるテンションクラッチの入切操作と略々連動可能で、かつ前記クラッチ操作部材による動力クラッチの入切操作とは独立して作動可能に連結し、前記操作レバーによるテンションクラッチの切操作に略々連動して前記ブレーキ部材が作動し、前記従動プーリに制動作用が付与されると共に、前記クラッチ操作部材による動力クラッチの切操作では前記ブレーキ部材が作動せず、前記従動プーリに制動作用が付与されないように構成した、ことを特徴とする請求項1記載の農作業機の変速装置。
|
【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、田植機等の農作業機に係り、詳しくはテンションクラッチの入切操作と前後進の切換え操作を1本の操作レバーで操作可能とした農作業機の変速装置に関する。 【0002】 【従来の技術】田植機等の農作業機において、エンジンとミッションケース間の動力伝達に巻掛けベルトを使用し、この巻掛けベルトをテンションプーリにより緊張・弛緩して動力の断接を行うものが採用されており、このようなテンションクラッチの入切操作は、クラッチレバーの操作により前記テンションプーリを移動制御することで行われる。 【0003】このようなベルト伝動装置として、従来、例えば本件出願人の実用新案登録第2519227号公報に記載の技術が公知であり、この従来技術によれば、図9に示すように、エンジン出力軸に固定された駆動プーリ100と、トランスミッション入力軸に固定された従動プーリ101との間に、巻掛けベルト102,103,104が巻回されていて、この巻掛けベルト102,103,104を緊張・弛緩するテンションアーム105を有し、このテンションアーム105の一端は、ロッド106を介して操作レバー107に連繋され、他端にはタイトプーリ108が設けられている(前者の従来技術)。 【0004】また、例えば本件出願人の実用新案登録第2569831号公報に記載の技術によれば、主変速レバーが左右揺動自在かつ前後揺動自在に支持されていて、この主変速レバーを左右に操作すると、ミッションケース内の前後進ギヤをスライドさせて前後進の切り換えが可能となり、また、主変速レバーを前後に操作すると、回転数比が変わり、低速から高速に無段階の変速が可能となっている。一方、運転席下部にはクラッチペダルが設けられていて、このクラッチペダルの踏み込み操作により、ミッションケース内の動力クラッチが切断される(後者の従来技術)。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】しかし、前者の従来技術によると、テンションクラッチの切時に、動力の伝達を切断することはできても、従動プーリ101は慣性力により回転するので、クラッチの切動作と略々同時に従動プーリ101を停止させることはできなかった。また、後者の従来技術によると、主変速レバーとクラッチペダルとは何らの連結関係も有しておらず独立に作動可能であって、主変速レバーの単独操作により前後進の切り換えが可能であったことから、例えばオペレータが降車して機体を操縦している場合にも、誤操作により前後進の切り換えが容易になされてしまうおそれがあった。更に、いずれの従来例においても、主変速レバーとブレーキレバーとが別個に設けられていたため、路上走行あるいは作業走行時には、クラッチペダルの踏み込みで走行伝動を切り、次いでブレーキペダルの操作で機体を停止させ、更に機体停止後にブレーキレバーを操作して駐車ブレーキをかける必要があり、操作が煩雑であった。 【0006】本発明は、斯かる課題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、テンションクラッチの入切操作で機体の走行・停止を可能とすると共に、前後進の切換え操作の誤操作を防止することのできる農作業機の変速装置を提供することにある。 【0007】 【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため、請求項1記載の発明は、エンジン出力軸(29)に固定された駆動プーリ(30)、及びミッションケース(16)の入力軸(31)に固定された従動プーリ(32)間に巻回された巻掛けベルト(33)と、該巻掛けベルト(33)に転接して該巻掛けベルト(33)を緊張・弛緩するテンションクラッチ(C)とを備え、前記テンションクラッチ(C)の入切操作と前進後進の切換え操作とを同一の操作レバー(20)にて操作可能とした農作業機(10)において、前記テンションクラッチ(C)と別体に設けられ、前記ミッションケース(16)内の動力クラッチを入切操作するクラッチ操作部材(21)と、該クラッチ操作部材(21)に連動可能に取付けられ、前記操作レバー(20)に設けた牽制部材(55)の移動路上に出退し得る牽制部材(54)とを有し、前記クラッチ操作部材(21)による動力クラッチの切操作で、前記牽制部材(54)が退避して前記操作レバー(20)による前進後進の切換え操作を可能とすると共に、前記クラッチ操作部材(21)による動力クラッチの入操作で、前記牽制部材(54)が進出して前記操作レバー(20)による前進後進の切換え操作を不能とした、ことを特徴とする。 【0008】請求項2記載の発明は、前記従動プーリ(32)に近接してブレーキ部材(45)を配置し、該ブレーキ部材(45)を、前記操作レバー(20)によるテンションクラッチ(C)の入切操作と略々連動可能で、かつ前記クラッチ操作部材(21)による動力クラッチの入切操作とは独立して作動可能に連結し、前記操作レバー(20)によるテンションクラッチ(C)の切操作に略々連動して前記ブレーキ部材(45)が作動し、前記従動プーリ(32)に制動作用が付与されると共に、前記クラッチ操作部材(21)による動力クラッチの切操作では前記ブレーキ部材(45)が作動せず、前記従動プーリ(32)に制動作用が付与されないように構成した、ことを特徴とする。 【0009】[作用]以上の発明特定事項に基づき、本発明によれば、ミッションケース(16)内の動力クラッチを入切操作するクラッチ操作部材(21)と、このクラッチ操作部材(21)に連動可能に取付けられた牽制部材(54)とを有し、この牽制部材(54)が操作レバー(20)に設けられた牽制部材(55)の移動路上に出退可能となっていて、前記クラッチ操作部材(21)のクラッチ切操作で、前記牽制部材(54)が牽制部材(55)の移動路上から退避して、操作レバー(20)による前後進切換えが可能となり、一方、クラッチ操作部材(21)のクラッチ入操作で、前記牽制部材(54)が牽制部材(55)の移動路上に進出して、操作レバー(20)による前後進の切換え操作が不能となる。このように、前後進の切換え操作時には、操作レバー(20)の操作に先立ってクラッチ操作部材(21)によるクラッチ切操作が必要となるので、誤操作が防止される。 【0010】なお、上述したカッコ内の符号は図面を参照するために示すものであって、本発明を何ら限定するものではない。 【0011】 【発明の実施の形態】以下、図面に基づき本発明の実施の形態について説明する。 【0012】図1及び図2に示すように、乗用田植機10は、前輪11及び後輪12により支持された走行機体13を有しており、該走行機体13にはその前輪前方のボンネット14内にエンジン15と燃料タンク19が搭載され、エンジン15の後方にはトランスミッションを収容するミッションケース16がエンジン15と一体的に固定されている。また、走行機体5の前後方向の中間部には、ステアリングホイール17と座席シート18を有する運転席49が配設されていて、ステアリングホイール17の側方及びその下方には、クラッチレバー20とクラッチペダル21が設けられている。このクラッチレバー20又はクラッチペダル21の操作により、前記エンジン15からトランスミッションへの動力の伝達が断接されると共に、該クラッチレバー20の操作により、機体の前後進が切換えられる(後述)。 【0013】なお、前記走行機体13の後方には、昇降リンク機構22を介して植付部23が昇降自在に支持され、該植付部23には多数のプランタアーム24、フロー卜25及びマット苗を上下方向に載置し得る苗載せ台26が備えられている。そして、前記走行機体13には、昇降リンク機構22との間に油圧シリンダ27が配設されていて、座席シート18の側方に設けられた手動操作レバー(図示せず)の操作に基づき、座席シート18下部のリヤカバー28内に配置された油圧コントロールバルブ(図示せず)を介して前記油圧シリンダ27が伸縮制御されて、植付部23が昇降制御される。 【0014】次いで、図3に示すように、前記エンジン15の出力軸29には駆動プーリ30が固定され、またトランスミッションの入力軸31には従動プーリ32が固定されていて、これら駆動プーリ30と従動プーリ32との間には巻掛けベルト33が巻回されている。そして、エンジン15の動力は、前記駆動プーリ30から巻掛けベルト33を緊張・弛緩するテンションクラッチCを介し、従動プーリ32によりミッションケース16内のトランスミッションに入力され、更にこのトランスミッションから前輪11,後輪12及び植付部23に夫々伝達される。前記テンションクラッチCは、クラッチレバー20の操作に基づき揺動支点34を中心として揺動可能なテンションアーム35と、前記巻掛けベルト33に転接して該巻掛けベルト33を緊張・弛緩するテンションプーリ36とを有していて、前記クラッチレバー20により、テンションクラッチCの入切操作が可能となっている。 【0015】この図3において、前記クラッチレバー20と一体的に固定されたレバーカム37は、支持軸38を中心として回動可能であると共に、このレバーカム37に隣接し、かつローラ39を介して該レバーカム37に摺接するクラッチカム40が、回動支点41を中心として回動可能に配設されている。また、このクラッチカム40には、一端をピン42にて該クラッチカム40に軸着され、他端をピン43にて前記テンションアーム35に連結されたクラッチアーム44が延設されている。これらクラッチカム40とクラッチアーム44とは、スプリング50により常時一方向に付勢されている。なお、前述したように、前記テンションアーム35は、一端を揺動支点34を中心として揺動可能に軸着され、他端には前記巻掛けベルト33に転接する前記テンションプーリ36が設けられている。 【0016】更に、前記従動プーリ32の外周部には、該従動プーリ32の略々半円周部分を覆うように、帯状のブレーキ部材45が近接配置されている。このブレーキ部材45は、一端を機体フレーム側に係止され、他端をスプリング46を介して前記レバーカム37に係止されている。なお、駆動プーリ30側の近傍の巻掛けベルト33には、対面側(ベルトの張り側と緩み側)に夫々ベルト押え47,48が設けられている。 【0017】そして、テンションクラッチCを切断すべく、クラッチレバー20を図面A方向(時計方向)に操作することで、テンションアーム35がクラッチ切方向(矢印方向)に移動して該テンションクラッチCが切れ、かつブレーキ部材45が従動プーリ32側の巻掛けベルト33を駆動プーリ30側に付勢して該従動プーリ32を制動する。 【0018】すなわち、クラッチレバー20をA方向に操作すると、レバーカム37は支持軸38を中心として時計方向に回動すると共に、このレバーカム37にローラ39を介して摺接しているクラッチカム40が、回動支点41を中心としてB方向(反時計方向)に回動し、該クラッチカム40の一端に軸着されているクラッチアーム44が長手方向(矢印方向)に移動する。このクラッチアーム44の移動により、テンションアーム35が揺動支点34を中心として時計方向(矢印方向)に揺動する。これにより、テンションアーム35の先端に取付けられ、かつ巻掛けベルト33に転接して該ベルトを緊張していたテンションプーリ36がベルト33から離反し、巻掛けベルト33は弛緩してテンションクラッチCが切断される。 【0019】このクラッチ切操作と略々同時に、一端をレバーカム37に取付けられたブレーキ部材45が、クラッチレバー20の回動操作に伴い、図面矢印方向に引っ張られる。これにより、ブレーキ部材45は、従動プーリ32の外周側に浮き上がった巻掛けベルト33を外側から押圧し、従動プーリ32側から駆動プーリ30側に向けてガイドしながら押圧付勢する。このとき、ブレーキ部材45は、従動プーリ32側の巻掛けベルト33を駆動プーリ30側に向けて案内するベルトガイドの役目をなす。そして、駆動プーリ30側に付勢された巻掛けベルト33は、該駆動プーリ30側においてベルト押え47,48の作用で外周側にのみ浮き上がり(図3の破線状態)、該駆動プーリ30と巻掛けベルト33との接触が確実に断たれる。 【0020】更に、前記ブレーキ部材45が、従動プーリ32の外周側の巻掛けベルト33を外側から中心側(入力軸31側)に押圧付勢することで、該巻掛けベルト33を介して従動プーリ32に制動作用が付与され、従動プーリ32は確実に停止される。この場合、クラッチ切断時に前記ブレーキ部材45が従動プーリ32を停止させて駐車ブレーキの役目をなすと共に、巻掛けベルト33は従動プーリ32に当接して該従動プーリ32の回転を止めるブレーキシューの役割を果たす。 【0021】次に、図4(a)(b)は、クラッチレバー20による機体の前後進の切換え構造を示している。 【0022】すなわち、ミッションケース16の側方には、前後進切換シャフト56が上下方向に延設されており、この前後進切換シャフト56の上端部は、操作プレート57に固定されている。また、前後進切換シャフト56の下端には、シフトアーム58が固定されていて、このシフトアーム58はシフトシャフト59を介してミッションケース16に内蔵された前後進切換ギヤ63を操作して前進(F)、中立(N)及び後進(R)に切り換える。 【0023】一方、前記クラッチレバー20は、機体左右方向を向く支持軸38と、前後方向を向くピン61とによって夫々回動自在に支承されたプレート20aを有し、前記支持軸38は、ステアリングコラム62に固設されている。そして、クラッチレバー20を、前記支持軸38を中心として前後方向に揺動させると、機体の走行速度が低速から高速に至り連続的に切換えられ、また、クラッチレバー20を、ピン61を中心として機体左右方向に揺動させると、機体走行が前進又は後進に切換えられる。 【0024】前記プレート20aの下端には、図5に示すように、操作ピン64が固着されていて、この操作ピン64が操作プレート57に形成された三角形状溝57aに嵌挿されている。そして、前記クラッチレバー20を機体左右方向に操作するに伴い、操作ピン64が左右方向に移動し、この左右移動に基づき、操作プレート57が左右に揺動して前後進切換シャフト56による機体走行の前後進切換え動作が行われる。こうして、1本のクラッチレバー20を操作することにより、テンションクラッチCの入切操作と前後進の切換え操作とが可能となっている。 【0025】次に、図6及び図7は、前述したテンションクラッチCを乗用田植機10に適用した場合の実施の形態を示しており、図3と同一又は相当する部材には同一の符号を付している。 【0026】図6は、テンションクラッチ切時の状態を示したもので、このとき、クラッチレバー20は機体後方に操作されている。このクラッチ切時には、テンションアーム35の先端に取付けられたテンションプーリ36が巻掛けベルト33から離反し、該ベルトを弛緩させてテンションクラッチCが切断される。また、運転席49の下部には、踏込み式のクラッチペダル21が連結アーム51を介して回動軸52に連結されていて、この回動軸52に連結された連結ロッド53を介し、図示しないクラッチアームが作動してトランスミッション内の動力クラッチ(ディスククラッチ)が入切される。この場合、前記ブレーキ部材45はクラッチレバー20の入切操作と略々連動して作動するが、クラッチペダル21と前記ブレーキ部材45とは独立であって、該クラッチペダル21を踏み込み操作してもブレーキ部材45は作動しない。 【0027】すなわち、クラッチレバー20の操作によりテンションクラッチCを切操作すると、これに略々連動して前記ブレーキ部材45が作動して前記従動プーリ32に制動作用が付与されるが、クラッチペダル21の踏み込みによりトランスミッション内の動力クラッチを切操作しても、前記ブレーキ部材45は作動せず、従って、この場合は前記従動プーリ32に制動作用が付与されないようになっている。 【0028】図7は、クラッチ入時の状態を示したもので、このとき、クラッチレバー20は機体前方に操作されている。このクラッチ入時には、テンションアーム35の先端のテンションプーリ36が巻掛けベルト33に転接し、該ベルトを緊張させてテンションクラッチCが接続される。 【0029】一方、図6〜図8に示すように、運転席49の下部には、前記クラッチペダル21が連結アーム51を介して回動軸52に連結されていて、この回動軸52に連結された連結ロッド53を介し、図示しないクラッチアームが作動してトランスミッション内の動力クラッチ(ディスククラッチ)が入切される。これと同時に、前記連結ロッド53が前記クラッチカム40の一端にも連繋されている(図6及び図7参照)。このため、このクラッチペダル21を踏込むと、トランスミッション内の動力クラッチが切断されると共に、クラッチカム40が回動支点41を中心として図6の反時計方向に回動し、前述した経路でテンションクラッチCも切断される。 【0030】また、クラッチペダル21に連結された前記回動軸52には、これと一体的に牽制部材54が固定され、かつクラッチレバー20の下部には別の牽制部材55が一体的に固定されている。このクラッチレバー20側の牽制部材55は、該クラッチレバー20の操作に基づき図8の左右方向(矢印方向)に移動され、前記クラッチペダル21側の牽制部材54は、前記牽制部材55の移動路上に出退可能となっている。そして、クラッチペダル21の踏み込み操作(クラッチ切操作)で、前記牽制部材54が牽制部材55の移動路上から退避して、クラッチレバー20による前後進切換えが可能となると共に、クラッチペダル21の非踏み込み操作(クラッチ入操作)で、前記牽制部材54が牽制部材55の移動路上に進出してクラッチレバー20による前後進の切換え操作ができないようになっている。 【0031】次いで、本実施の形態の作用について説明する。 【0032】クラッチレバー20の操作により、テンションクラッチCの入切と前後進の切換えを行うことができるが、前後進を切換えるには、クラッチレバー20が機体前方に操作されたテンションクラッチCの入状態で、クラッチペダル21を踏み込み、この踏み込み中にクラッチレバー20を機体左方向又は右方向に操作して行う。 【0033】すなわち、図8に示すように、クラッチペダル21の回動軸52には牽制部材54が一体的に固定され、この牽制部材54が、クラッチレバー20の下部に固定された別の牽制部材55の移動路上に出退可能となっていて、クラッチペダル21の踏み込み操作(クラッチ切操作)で、前記牽制部材54が牽制部材55の移動路上から退避して、クラッチレバー20の左右操作による前後進切換えが可能となる。一方、クラッチペダル21の非踏み込み時(クラッチ入時)には、前記牽制部材54が牽制部材55の移動路上に進出してクラッチレバー20を左右操作することができず、該クラッチレバー20による前後進の切換え操作が不能となる。このように、前後進の切換え操作時には、クラッチレバー20の操作に先立ってクラッチペダル21の踏込み操作が必要となるので、例えばオペレータが降車して機体を操縦している場合には、クラッチペダル21を踏み込むことはできず、前後進の切換えを行うことができないので、誤操作が防止される。 【0034】次に、クラッチレバー20によるテンションクラッチCの入切操作については、図6に示すように、クラッチレバー20を機体後方(矢印方向)に引き操作すると、該クラッチレバー20と一体のレバーカム37が支持軸38を中心として同方向に回動し、このレバーカム37に摺接しているクラッチカム40が、回動支点41を中心として反時計方向に回動し、該クラッチカム40の一端に軸着42されているクラッチアーム44が長手方向(図面左方向)に移動する。このクラッチアーム44の移動により、テンションアーム35が揺動支点(図示せず)を中心として時計方向に揺動する。このテンションアーム35の揺動に伴い、該テンションアーム35の先端に取付けられているテンションプーリ36が巻掛けベルト33から離反し、該巻掛けベルト33は弛緩してテンションクラッチCが切断される。 【0035】一方、このテンションクラッチCの切操作と略々同時に、一端を前記レバーカム37に取付けられた帯状のブレーキ部材45が、クラッチレバー20のクラッチ切操作に伴い引っ張られ、従動プーリ32を外側から内側に向け押圧する。これにより、ブレーキ部材45は、従動プーリ32の外周側に浮き上がった巻掛けベルト33を外側から押圧し、更に該浮き上がった巻掛けベルト33を従動プーリ32側から駆動プーリ30側に向けてガイドしながら押圧付勢する。このため、駆動プーリ30側において巻掛けベルト33が外周側に浮き上がり、該駆動プーリ30と巻掛けベルト33との接触が確実に断たれる。 【0036】更に、このクラッチ切断時に、前記ブレーキ部材45が、従動プーリ32の外周側の巻掛けベルト33を外側から中心側(入力軸31側)に向けて押圧付勢するため、この巻掛けベルト33を介して従動プーリ32に制動作用が付与され、該従動プーリ32は確実に停止される。この場合、ブレーキ部材45は駐車ブレーキの役目をなす。 【0037】しかし、クラッチペダル21とブレーキ部材45とは独立して設けられているため、該クラッチペダル21を踏み込み操作してもブレーキ部材45は作動せず、従動プーリ32に制動作用は付与されない。このため、路上走行あるいは作業走行時には、クラッチペダル21により走行伝動を切ると共にブレーキペダルの操作で機体を停止させ、次いで機体停止後にクラッチレバー20を操作して駐車ブレーキが作動するため、クラッチペダル21による動力クラッチの切操作ではブレーキ部材45が作動せず、この時点での急停止を防止することができる。また、機体を降りて操作するような、畦越えあるいはトラックへの積み込み時等の低速走行時には、クラッチレバー20の操作によりテンションクラッチCを切り操作すれば、自動的に駐車ブレーキが作動して確実に機体が停止する。 【0038】 【発明の効果】以上説明したように、請求項1記載の発明によれば、クラッチ操作部材による動力クラッチの切操作で、牽制部材が退避して操作レバーによる前進後進の切換え操作を可能とすると共に、クラッチ操作部材による動力クラッチの入操作で、前記牽制部材が進出して操作レバーによる前進後進の切換え操作を不能としたことにより、前記操作レバーによるテンションクラッチの入切操作で機体の走行・停止を行うことができ、また、前後進の切換え操作時には、操作レバーの操作に先立ってクラッチ操作部材の踏込み操作が必要となるので、不用意な誤操作を防止することができる。 【0039】請求項2記載の発明によれば、操作レバーによるテンションクラッチの切操作に略々連動してブレーキ部材が作動し、従動プーリに制動作用が付与されると共に、クラッチ操作部材による動力クラッチの切操作ではブレーキ部材が作動せず、従動プーリに制動作用が付与されないように構成したことにより、路上走行あるいは作業走行時には、クラッチ操作部材で走行伝動を切り、ブレーキペダルの操作で機体を停止させ、次いで機体停止後に、操作レバーの操作で駐車ブレーキがかかるため、クラッチ操作部材による動力クラッチの切操作ではブレーキ部材が作動しないため、この時点での急停止を防止することができる。また、畦越えあるいはトラックへの積み込み時等の低速走行時(機体を降りて操作する場合)は、操作レバーの操作によりテンションクラッチを切り操作して、レバー1本で確実に機体を停止させることができる。
|
| 【出願人】 |
【識別番号】000001878 【氏名又は名称】三菱農機株式会社
|
| 【出願日】 |
平成11年10月22日(1999.10.22) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100082337 【弁理士】 【氏名又は名称】近島 一夫 (外1名)
|
| 【公開番号】 |
特開2001−120016(P2001−120016A) |
| 【公開日】 |
平成13年5月8日(2001.5.8) |
| 【出願番号】 |
特願平11−301705 |
|